ラベル 捕食 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 捕食 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018/09/20

棚網に給餌したワラジムシを嫌うクサグモ(蜘蛛)



2018年7月上旬

農道と用水路の間に生えたタケニグサの群落でおそらくクサグモAgelena silvatica)と思われるクモの棚網を見つけました。
棚網の地上からの高さは約85cm。
クモを採集していないので、性別やステージ(幼体か成体か)については真面目に検討していません。

近くの杉の幹で見つけたワラジムシPorcellio scaber)をクサグモの棚網に給餌してみました。
雨の水滴が付いた棚網に生き餌を乗せると、管状住居からクサグモが素早く飛び出して捕獲しました。
このとき獲物に噛み付いたかどうかは不明ですが、糸でラッピングはしませんでした。
ところがこのクサグモは獲物を持ち帰らずすぐに住居へ戻ってしまいました。
ワラジムシを恐れているのか、それとも満腹なのかな?

アングルを変更して住居内のクサグモの顔を正面から狙うと、恐ろしげな牙が動いていました。
歩脚の先(跗節)を甘噛みしているので、一種の身繕いなのでしょう。
住居の背後で、さきほど給餌したワラジムシが逃げようと棚網を横断しています。
棚網の振動を感知したクサグモが反応し、獲物に向き直ると再び獲物に駆け寄りました。
獲物を噛んだかどうか、今回もよく見えません。(触肢の先で触れただけ?)
またもや獲物をすぐに手放してしまい、その場に残したままクサグモは住居に帰ってしまいました。
難を逃れたワラジムシは棚網を逃げ始めたので、どうやら体を麻痺させる毒液を注入されていないようです。
必死で逃げるワラジムシが棚網の端のタケニグサの葉に到達し、一息つきました。
虎口を逃れたワラジムシはその後、網から地面に落ちて逃げて行きました。(無事に生還!)

一方、トンネル状の住居に戻ったクサグモは何か食べ残しを食べ始めました。
体外消化された獲物は黒い物体と化していて、同定不能です。

今回どうしてクサグモはワラジムシを捕食しなかったのか、とても気になります。
幾つか思いついた仮説を検討してみます。

(1)棚網の振動で反射的に反応したものの、たまたまこのときは満腹状態だったのでしょうか?
隠れ家に戻って食餌を再開しましたし、後で別の獲物(昆虫)を棚網に給餌したら捕食しました。(映像公開予定)
したがって、この可能性は否定できます。

(2)天敵(捕食者)に襲われたワラジムシは何か忌避物質を出すのでしょうか? 
そんな話は聞いたことがありませんが、もし本当なら面白いですね。
親戚のダンゴムシをもしクサグモに給餌したらどうなるでしょうか?

ダンゴムシのように体を丸めて自衛できないワラジムシが長い進化を経て生き残ってこれたのは、何か秘密があるはずです。

(3)ワラジムシはクモ毒に対して免疫があるのでしょうか?

以前、飼育下で別種の徘徊性クモにワラジムシを給餌したら問題なく捕食したので、仮説(2)(3)の可能性も低いと思います。

▼関連記事
ワラジムシを捕食するエビチャコモリグモ♀



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


このクサグモは食欲が無いのかどうか、別の獲物を与えてみましょう。


つづく→クサグモ(蜘蛛)の棚網から脱出するセマダラコガネ黒色型


2018/08/31

ソヨゴの雄花で吸蜜するオオフタオビドロバチにキイロスズメバチ♀が奇襲



2018年6月中旬

街路樹として植栽されたソヨゴの雄株でオオフタオビドロバチAnterhynchium flavomarginatum)が訪花していました。
忙しなく飛び回り、雄花から吸蜜しています。
日陰の逆光で蜂が見えにくかったり、周囲に吹き荒れるビル風でソヨゴの枝が常に揺れていたりと、撮影にはかなりの悪条件でした。

そこへ探餌飛翔していたキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が急に襲いかかり、驚いたオオフタオビドロバチはソヨゴの雄花から転げ落ちるように飛び去りました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、キイロスズメバチ♀に飛びつかれた瞬間にオオフタオビドロバチは腹端を曲げて毒針で反撃する姿勢になっていました。
毒針の有無までは映像で確認できませんでした。
ということは、♀なのかな?(オオフタオビドロバチの性別の見分け方を知らないのです。)
雄蜂♂が自衛のために、毒針を持っていないのに持っているふりをして♀みたく刺す真似をした可能性も考えられます。(行動擬態)

▼関連記事 
オオフタオビドロバチ♂尾端に生えた謎の刺状突起
キイロスズメバチも手強い相手だと一瞬で察したようで、深追いせずに飛び去りました。

▼関連記事
ソヨゴの雄花に集まるミツバチ?を狩るキイロスズメバチ♀



オオフタオビドロバチ@ソヨゴ雄株+訪花吸蜜
オオフタオビドロバチ@ソヨゴ雄株+訪花吸蜜

柵から飛び上がって空中で虫を捕食しようとするヒヨドリ(野鳥)



2018年7月上旬

川沿いの道端に設置されたフェンスのてっぺんにヒヨドリHypsipetes amaurotis)が止まっていました。
急に飛び上がってはすぐに元の柵に着地、という行動を二度繰り返しました。
どうやら飛んでいる昆虫を空中で捕らえようとしているようです。
残念ながら映像ではフライキャッチの成否はいまいち不明です。
(獲物をすぐに食べてしまった可能性もありそうです)

カラスの鳴き声♪がするので見上げると、頭上のサクラの横枝でハシボソガラスがガーガー♪鳴いています。
3度目に飛び立ったヒヨドリも上の木の枝に身を隠してしまいました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
夕方でやや薄暗い上に、望遠レンズで遠くのフェンスに対して正面ではなく斜めから撮っているために、カメラのAFピント合わせが間に合いませんでした。
もう少し引きの絵で撮ればよかったですね。


ヒヨドリ(野鳥)@柵

2018/08/24

ソヨゴの雄花に集まるミツバチ?を狩るキイロスズメバチ♀



2018年6月中旬

街路樹として植栽されたソヨゴの雄株でキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が訪花していました。
白くて小さな雄花の手前を素早く飛び回るばかりで、一向に落ち着いて吸蜜しようとしません。
(確実に吸蜜シーンだと言える映像は結局、撮れませんでした。)
おそらくミツバチなど他の訪花昆虫を狩ろうとして探餌飛行しているのでしょう。

▼関連記事
ソヨゴの雄花で吸蜜するニホンミツバチ♀
ソヨゴの雄花で吸蜜するコマルハナバチ雄蜂♂

2匹のキイロスズメバチ♀が出会い頭に軽い小競り合いになり、空中戦となることもありました。(@0:24)
その直後に、近くを飛来したニホンミツバチ♀?をキイロスズメバチ♀が空中で捕らえようとして失敗していました(@0:27)。
(狙われた獲物の方が空中で敏捷に回避。)

ようやく狩りに成功したらしく、獲物をその場で噛んで殺し、肉団子に加工しました。
残念ながらカメラのピントが合う前にキイロスズメバチ♀は巣へ飛び去ってしまいました。
なんとなく、獲物はニホンミツバチ♀のような気がしますが、ピンぼけなので定かではありません。
肉団子を巣に持ち帰る前後を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみます。

▼関連記事
ソヨゴの雄花で吸蜜するオオフタオビドロバチにキイロスズメバチ♀が奇襲
周囲のビル風が絶え間なく吹いて枝が揺れ続け、虫撮りには悪条件でした。

ソヨゴの語源は風にそよいで葉が特徴的な音を立てる様が由来らしいので、その様子もお楽しみ下さい。


2018/08/18

細い枝先からイラガ(蛾)繭を剥がして持ち去るアカゲラ♂(冬の野鳥)



2018年2月上旬・午後12:15

小雪がちらつく正午過ぎ、平地の庭でアカゲラ♂(Dendrocopos major)がケヤキの樹上に居ました。
小枝の先に作られたイラガMonema flavescens)の硬い繭を嘴で熱心に突いています。
アカゲラ♂は逆さまにぶら下がる体勢になり、鳴かずに黙って破壊工作に従事しています。
よく見ると繭の本体に直接穿孔するのではなく、小枝との接着面を集中的につついていることが分かります。
(細い枝先にぶら下がる姿勢では力が入らず、イラガの硬い繭が割れないので、中身を捕食するには工夫が必要になるのです。)
剥がした繭を咥えて飛び降りました。
右隣に立つメタセコイア(=アケボノスギ)の幹に移り、幹を登り始めました。
落ち着いて繭を割る場所を探しているようですが、幹の陰に隠れ見失ってしまいました。


▼関連記事
イラガ(蛾)の繭を割る名手アカゲラ♂(冬の野鳥)♪

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


アカゲラ♂(冬の野鳥)@ケヤキ枝先+イラガ(蛾)繭剥がし

2018/08/03

竹藪で虫を捕食するハシブトガラス(野鳥)



2018年6月下旬

郊外の交差点近くにある竹藪にハシブトガラスCorvus macrorhynchos)がバサバサと飛び込んで何か大型の獲物を捕らえ、すかさず歩道の手摺に止まり直しました。
狩りの決定的瞬間を撮り損ねたのが悔やまれます。
(映像はここから)
獲物の正体は不明ですが昆虫のようで、ハシブトガラスはまず翅を毟って捨てています。
緑色の細長い獲物はキリギリス類のように見えたのですが、定かではありません。
旨そうに平らげたハシブトガラスは、足元の手摺の鉄パイプに太い嘴を擦り付け、後ろ向きになり休息。
背後の竹藪にもう2羽のカラスが止まっています。

電柱(信号機のボックス)の陰に隠れてしまったので、私が横に少し動いてから撮影再開。
食休み中のハシブトガラスの半開きにした口の中が黒いので、成鳥と判明しました。
瞬きする度に目を白黒させているのは、瞬膜が白いからです。
最後は近くの河原の方へ飛び去りました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ハシブトガラス(野鳥)@竹藪→歩道手摺+昆虫捕食
嘴の中が黒いのは成鳥の特徴

2018/07/29

耕運機を利用して虫を捕食するムクドリの群れ:オートライシズム(野鳥)



2018年5月中旬

田起こしをしている大型トラクター(耕運機)の周りにムクドリSturnus cineraceus)が群がっていました。
トラクターの騒音などを恐れるはずなのに続々と集まってくるのは、耕された土に交じって露出したミミズやケラなどの土壌生物をいち早く捕食するためです。
片利共生の一種で、オートライシズムと呼ばれる行動です。

畑を耕している耕運機の後をムクドリ・ハクセキレイなどがついて歩き、掘り起こされた土の中にいる虫を探していることがあります。 鳥が自分の生活のために、他の動物や人の活動を積極的に利用することを「オートライシズム」と呼んでいます。 (平塚市博物館サイトの解説より引用)
以前の撮影ではムクドリの群れがほとんど逃げてしまい、満足のいく動画になりませんでした。
▼関連記事(3年前の撮影)
ムクドリ(野鳥)のオートライシズム
3年ぶりに、ようやく念願のチャンスが再び巡ってきました。
映像を見るとムクドリに交じってハシボソガラスも来ていたようですが、撮影中は気づきませんでした。

働いているトラクターの運転手の顔が写ってしまうと失礼になりますし、プライバシー保護に気を使います。
モザイク処理するのが面倒で、細切れの映像になりました。


ムクドリ(野鳥)群れ@採食:耕運機オートライシズム

2018/07/27

田んぼの水面で芋虫を捕食して巣に運ぶハクセキレイ♂(野鳥)



2018年5月中旬

水入れしたばかりの田んぼでハクセキレイ♂(Motacilla alba lugens)が虫を捕食していました。
その場で食べずに嘴に細長い獲物を何匹も咥えていることから、巣で待つ雛鳥のためにせっせと餌を集めているのだと分かりました。
水面に浮いた藁や塵芥の島に身軽なハクセキレイ♂が乗り、溺れた虫(イモムシや土壌生物)が水面に浮いてきたのを捕らえているようです。
最後は住宅地の方へ飛び去りましたが見失い、営巣地は不明です。


ハクセキレイ♂(野鳥)@水田水面+虫捕食運搬

2018/07/23

アブラムシを捕食中のナミテントウ幼虫を襲うアリ



ナミテントウの飼育記録#5


2018年5月中旬


▼前回の記事
ヨモギヒゲナガアブラムシを捕食するナミテントウ若齢幼虫

道端からヨモギを採集してくる際に、一緒についてくるアリを完全に取り除いておく必要があります。
アブラムシが分泌する甘露を報酬として、アリはアブラムに随伴し、その天敵から守るボディーガードとして働きます。

ヨモギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogicola)を捕食中のナミテントウHarmonia axyridis)若齢幼虫に対してボディーガード役のクロアリ(種名不詳)のワーカー♀が激しく噛み付いたり腹端から蟻酸を吹きかけたりしていました。
ところがナミテントウ幼虫はアリから攻撃を受けても平然と捕食を続け、逃げたりしませんでした。
テントウムシの幼虫は体表のトゲトゲで自衛しているようです。
逆になぜかアリの方がどこかへ行ってしまいました。
アリを同定する前に素早く逃げられてしまったのが残念です。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#6:脱皮中のナミテントウ若齢幼虫【10倍速映像】



【追記】
今村寿明『化学で勝負する生物たち―アレロパシーの世界〈1〉』によると、
テントウムシ自体もなにせ1cm満たない昆虫だから、アリなどに寄ってたかられると食べられてしまう。このときにはテントウムシの方がコシネリンという化学物質を放出するが、このコシネリンは10^-3mol/d㎥程度の溶液でもアリが嫌がる。つまり、ナナホシテントウの対蟻防衛物質というわけである。 (p57より引用)
テントウムシの幼虫も成虫と同じくコシネリンを放出するのだそうです。
今回の動画でナミテントウ幼虫が対蟻防衛物質を含む液体を分泌している様子は写っていませんでした。



2018/07/21

ヨモギヒメヒゲナガアブラムシを捕食するナミテントウ若齢幼虫



ナミテントウの飼育記録#4


2018年5月中旬


▼前回の記事
ヨモギの葉を徘徊するナミテントウ若齢幼虫


背中の赤紋が点のような一対のみあるのは、ナミテントウHarmonia axyridis)の若齢幼虫の特徴です。
ヨモギの若葉に群がって吸汁していたヨモギヒメヒゲナガアブラムシMacrosiphoniella yomogicola)と思われる集団を見つけると、大型の個体(成虫?)にいきなりガブリと噛み付いて捕食開始。
餌食になったアブラムシは全く抵抗しません。
周りに居る小型のアブラムシも慌てて逃げたりしないので、利他性を発揮して警報フェロモンなどは分泌していないようです。



佐藤信治『テントウムシ観察記 (写真絵本 ぼくの庭にきた虫たち)』によると、

・アリマキを食べるナミテントウ
幼虫はエサを口で直接捕えて食べているのを、成虫はエサを前足で持って食べるのをよく見かけた。 (p9より引用)
・(ナミテントウ)孵化2日後には、1回目の脱皮がみられ、体長は3匹が3.5mm、2匹が3mm、黒地に赤い点が2つ見える。その翌日、早くも2回目の脱皮で、体長5mmになり、赤い点は線に変わった。 (p18より引用)


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#5:アブラムシを捕食中のナミテントウ幼虫を襲うアリ





【追記】
アブラムシの名前について。
ナミテントウ幼虫の生き餌として、ヨモギをホストとする緑色のアブラムシのコロニーを与えました。
手元の図鑑『校庭のクモ・ダニ・アブラムシ』を参考にしてヨモギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogicola)だろうと判断しました。


私はアブラムシ専門の図鑑や資料を持っていなくて、上記の古い図鑑(2001)しか持っていないのです。ところが、この和名でインターネット検索してもヒットするのは「ヨモギ”ヒメ”ヒゲナガアブラムシ」ばかりで、しかも学名は同じ(Macrosiphoniella yomogicola)でした。
一体これはどういうことなのか分からず、頭が混乱します。
最近になって和名が改名され、ヒメが付いたということなのですかね?
虫の和名でヒメが付くのは、あくまでもスタンダードな種類「(ナミ)○○○」と比べた上で、小型の種類「ヒメ○○○」がいる、というイメージです。
したがって、アブラムシで「ヒメ無し」が消えて「ヒメ有り」だけが残ったのは、事情がわからない素人からすると、ちょっと変な感じです。

九州大学昆虫学教室のデータベース「日本産昆虫学名和名辞書」を検索すると「Macrosiphoniella yomogicola ヨモギヒゲナガアブラムシ」が登録されているので、図鑑『校庭の〜アブラムシ』の単純な誤植ではないと思います。
一方、「ヨモギヒメヒゲナガアブラムシ」という和名はデータベースに登録されていませんでした。

疑問に思った私は、いつもお世話になっている虫Navi掲示板で問い合わせてみました。
するとtsukiさんから以下の回答を頂きました。
私は主に「アブラムシ入門図鑑」を参考にしていますがそれによると、ヨモギヒメヒゲナガアブラムシMacrosiphoniella yomogicolaとなっています。
ただ、近縁種にアオヒメヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogifoliae)がいて、「日本原色アブラムシ図鑑」ではこの種の別名がヨモギヒメヒゲナガアブラムシで、ヨモギヒゲナガアブラムシがMacrosiphoniella yomogicolaとなっています。

「アブラムシ入門図鑑」の誤りであれば正誤表にも載ると思うのですが、正誤表にもなく、「日本原色アブラムシ図鑑」が非常に古い図鑑なので「アブラムシ入門図鑑」に従っています。専門家ではないのでこれ以上のことは判断いたしかねますのでご了承ください。


経緯がややこしいのですが、やはり「ヒメ無し」の和名は古くて廃れたみたいです。
という訳で、この記事でも「ヨモギヒメヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogicola)」と改めておきます。
九大の「日本産昆虫学名和名辞書」データベースも情報が少し古いことが他の例でも分かっているので、何事も鵜呑みにせずアンテナを広く張って総合的に判断するしかありません。



【追記2】
テントウムシを飼育すると、生き餌のアブラムシを調達するのが大変です。
しかしアブラムシの死骸でも食べてくれるらしいので、次に機会があれば試してみるつもりです。
アブラムシの動きを止めるために、アブラムシをいったん冷凍し、それからテントウムシの幼虫に与えることにしました。 (中公新書『すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く』p98より引用)


ナミテントウ若齢幼虫@ヨモギ葉+ヨモギヒゲナガアブラムシ捕食
ナミテントウ若齢幼虫@ヨモギ葉+ヨモギヒゲナガアブラムシ捕食

ナミテントウ若齢幼虫@ヨモギ葉+ヨモギヒゲナガアブラムシ捕食 


雛のためにイモムシを捕まえるハクセキレイ♀(野鳥)



2018年5月中旬

耕した畑の畝でハクセキレイ♀(Motacilla alba lugens)が大量のイモムシ(幼虫)を嘴に咥えていました。
雛鳥たちに給餌するために帰巣したのでしょう。
畑からすぐに飛び去り見失ってしまい、営巣地は不明です。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ハクセキレイ♀(野鳥)@畑

2018/07/12

雪解けした畑でミミズを捕食するハシボソガラス(野鳥)



2018年3月下旬

雪国の根雪が溶け始めた広い農地(畑)でハシボソガラスCorvus corone)が地面をほじくって何かオレンジ色の実を美味そうに食べています。
冬の間に深い雪で押しつぶされていた植物(作物?)だと思うのですが、採食メニューは不明です。
カラスの上嘴に茶色の食べ残しが付着しています。


やがて、雪解け水で水浸しの農地を畝から畝へと歩いて渡り始めました。
遠くの地面で動いているミミズを目敏く見つけたようで、一目散に歩み寄ると長大なミミズを捕食しました。
のたうち回る獲物を足の爪で押さえつけながら嘴で引き千切り飲み込みます。
食後は水たまりで嘴をかるくゆすぎました。

画面の奥でもう一羽のハシボソガラスが餌を探し歩いています。
この2羽はつがいなのでしょう。
初めのカラスが少し歩くと二匹目のドジョウならぬ、2匹目のミミズを捕食しました。(@1:00)
カラスはミミズが好物なのかもしれません。

▼関連記事
路肩でミミズ?の死骸を食べるハシボソガラス(野鳥)
川でミミズ?を捕食するハシボソガラス(野鳥)

雪解けした畑では土壌が水浸しになってミミズが溺れそうになり、地上に避難してきたところを捕食者に狙われるのでしょう。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2018/06/12

カワガラス:厳冬期の潜水漁(冬の野鳥)



2018年2月中旬

街中を流れる川でまたカワガラスCinclus pallasii)を見つけました。
撮影しようと私が不用意に近づくと、カワガラスは鳴きながら川面の上空を低空で飛んで逃げてしまいます。
鳴き声はチュンチュンチュン♪またはチッチッチッ♪と聞こえました。
警戒心が強いようですが、今回もなんとか潜水漁を動画で記録することが出来ました。

カワガラスは川中にある岩の上に乗って、捕ってきたばかりの獲物を岩に叩きつけて殺していました。
川の両岸は積もった雪が壁のようになっています。

うっかり獲物を落としてしまいましたが、すぐに拾い直しました。
食べ残し(食べ滓)を岩の上に置きました。
なんとなく貝殻のような気がします。
食後は川の水で嘴をゆすぎました。
すぐに再び冷たい川に飛び込んで漁を再開。

同じ岩にピョンと飛び乗るように戻って来たカワガラスは空荷でした。
どうやら今回は不漁に終わった模様です。
ときどきパチクリと瞬きすると白い瞬膜が目立ちます。
尾羽根を忙しなく上下に動かしています。
岩から飛び立ち、漁をする場所を変えました。

切り立ったコンクリートの護岸には枯れ草が垂れ下がっていて、一部は残雪に覆われています
そこで何か動く獲物(虫?)を見つけたのか、橋の下の近くの護岸をカワガラスは少し調べてから飛び去りました。


そっと追いかけて三度目に見つけたときは、川の中央部で潜水と息継ぎを何度も繰り返していました。
水中で見つけた獲物を嘴に咥えると、飛んで岸壁に戻りました。
すぐに入水し、潜水漁を再開。
泳ぎながら川の中央部(流れの早い瀬の部分)へ向かいます。
最後は上流へ飛び去りました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ときどきしか冬の川に通えませんでしたが、カワガラスに出会えたのはこの日が最後でした。
街中を流れる川で餌を食べ尽くし、縄張りを変えたのでしょうか。
それとも繁殖期が始まると上流域の渓流に戻るのでしょうか。



2018/06/06

イラガ(蛾)の繭を割る名手アカゲラ♂(冬の野鳥)♪



2018年2月上旬・午前11:58〜12:08


▼前回の記事
ソメイヨシノの幹をつつくアカゲラ♂♪【HD動画&ハイスピード動画】(冬の野鳥)


小雪がちらつく正午頃、庭木のソメイヨシノに来ていたアカゲラ♂(Dendrocopos major)がキョッ、キョッ♪と鳴きながら細い枝を下から上へ登り始めました。

冬芽の付いた小枝の途中にイラガMonema flavescens)の繭を見つけ、嘴で早速つつき始めました。
シュウ酸カルシウムの硬くて厚い殻で守られたイラガ繭をつつく合間にもキョッ、キョッ♪と鳴き続けています。
桜の小枝にしがみつき逆さまにぶら下がっているアクロバチックな体勢ではなかなか力が入りません。
数年前の冬にも、割れずに諦めたりひどく苦労して割っていたアカゲラを観察しています。

▼関連記事
イラガの繭を割って食べるアカゲラ【冬の野鳥】
アカゲラ♀がイラガ(蛾)の繭を砕いて採食【冬の野鳥】

秋にイラガ幼虫が細い枝先に繭を作るのも、越冬中に啄木鳥に捕食されないための対策ではないかと私は考えています。

「細い枝先でイラガ繭はなかなか割れないぞ」と思いつつ見ていると、このアカゲラ♂個体は驚くべき技巧者でした。
小枝からイラガ繭を丸ごと器用に取り外すと、咥えて下に飛び降りました。
幹に移動して、安定した足場のある所で硬い繭をじっくり砕き、中で越冬していた前蛹を食べたようです。(幹の陰で死角)

食べ終わると、味を占めたアカゲラ♂は再びピョンピョンと跳ねるように木登りして枝先で次の餌を探します。
すぐに新しいイラガ繭をつつき始めました。
逆さまになって小枝にぶら下がる体勢になると、アカゲラ♂の下腹全体が真っ赤でとてもよく目立ちます。
今回も、繭と小枝の接着面を何度かつついてから咥えてねじる動きを繰り返しています。
小枝から剥がした繭を咥えて飛び降りました。
先程と同様に、幹に移動して硬い繭を割り始めました。
残念ながら死角でよく見えませんが、何度か繭を咥え直して、幹に置く場所や繭の向きを変えている様子。
いつの間にか、嘴に咥えていた繭が無くなっていました。
叩き割った繭の中身(前蛹)を食べ終えて、殻は捨てたのでしょう。
もしかして採取したイラガ繭を幹の隙間にでも埋め込んで貯食していたらとても面白いのですが、その現場を見た訳ではないので、今のところ私の妄想です。

再び鳴きながら木登りを始めました。
小枝の先に作られた3個目のイラガ繭を目ざとく見つけると、早速つつき始めます。
今度は斜めにぶら下がる体勢で、逆さまにぶら下がるよりも作業が楽そうです。
案の定、今回はすぐに繭が割れて穴が開きました。
その場で緑色の前蛹をぺろっとたいらげました。

幹に戻り探索を再開。
水平に伸びた小枝の先に2個並んで作られたイラガ繭の一つをつつき始めました。
逆さまにぶら下がる体勢になっても、もう手慣れたものです。
繭に開けた小さな穴から緑色の前蛹をひきずり出すと、少しずつ捕食しました。
食べ終えると更に枝先へ移動し、すぐ隣にあるもう一つのイラガ繭をつつき始めました。
逆さまにぶら下がる体勢でバランスを保つのも苦労しています。
自分が枝先でくるくる向きを変えて繭をつつくアングルを確保すると、手際よくイラガ繭を小枝から剥がしました。
採取した繭を咥えて飛び降りました。
近くの木の幹に移動して安定した足場でイラガ繭を壊して中身を食べるようです。

それにしても、桜の庭木にこれほど多くのイラガ繭が作られていたとは私も気づきませんでした。
アカゲラは冬の間に害虫駆除してくれる優秀な作業員ですね。

冬になるとアカゲラによるイラガ繭の捕食行動を何年も観察してきましたが、今回の♂個体の採食法は最も洗練されていました。
アカゲラが硬いイラガ繭を2段階で捕食するやり方は初めて見ました。
細い小枝に作られたイラガ繭にその場で穴を開けるのが難しければ、繭を丸ごと慎重に剥がし取ります。
足場の安定した幹に運んで行くと繭を足で固定し、嘴で割って中身を食べるのです。
これを何度も繰り返していました。
繭の採取と破壊の工程を分けてしまうのです。
発想は単純ですが、すごい発明です。
まるでコロンブスの卵(目から鱗)でした。
この♂個体が長年の経験を積んで学習し、自分で編み出したのでしょう。
もし啄木鳥の全個体がこの採食法を身につけてしまうと、越冬中のイラガ繭は全滅の危機に瀕しそうです。
そうなるといずれまたイラガ個体群の中で新たな対抗策を編み出す個体が登場して、巧妙で鉄壁な防御が進化するでしょう。
手始めに、小枝への接着面を更に強化するはずです。
食う食われるの軍拡競争はもはや、最強の矛と最強の盾による単純な強度任せの対決には留まらなくなっているのです。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


つづく→細い枝先からイラガ(蛾)繭を剥がして持ち去るアカゲラ♂(冬の野鳥)


アカゲラ♂(冬の野鳥)@ソメイヨシノ樹上+イラガ(蛾)繭破壊捕食
アカゲラ♂(冬の野鳥)@ソメイヨシノ樹上+イラガ(蛾)繭破壊捕食
アカゲラ♂(冬の野鳥)@ソメイヨシノ樹上+イラガ(蛾)繭破壊捕食
アカゲラ♂(冬の野鳥)@ソメイヨシノ樹上+イラガ(蛾)繭破壊捕食

2018/06/03

ソメイヨシノの幹をつつくアカゲラ♂♪【HD動画&ハイスピード動画】(冬の野鳥)



2018年2月上旬・午後12:00頃

小雪がちらつく正午頃、民家の庭から啄木鳥の鳴き声がするので探すと、庭木ソメイヨシノの幹をアカゲラ♂(Dendrocopos major)が登り降りしていました。

キョッキョッ♪と鳴きながら、桜の幹を嘴でコツコツ、コンコン♪と激しくつついています。
後半は、木をつつく行動を240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮ってみました。(@0:34〜)
無音になるのは、カメラの仕様です。

スローモーションで見ると、樹皮の破片が砕け落ちる様子や舞い散る雪が絵になりますね。
つついた直後に材の破片を嘴で千切り取って捨てています。
アカゲラ♂は幹の同じ場所に狙いを定め、繰り返しつついて穿孔しようとしています。
力任せにつつくだけではなく、嘴を穴に差し込んで首をねじりドリルのように繊細に動かしたり、つつく角度を変えたりすることもありました。
つつく合間に、細い針金のような舌が嘴に引っ込むのが見えました。
しかし材の中に潜んでいるカミキリムシなどの幼虫に逃げられたようで、獲物を捕食することなくアカゲラ♂はつつく場所を変えました。



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


アカゲラ♂(野鳥)@ソメイヨシノ幹+樹皮つつき

2018/05/29

真冬の川に潜って小魚を捕食するカワガラス(冬の野鳥)



2018年1月上旬


▼前回の記事
潜水漁で川虫を捕食するカワガラス(冬の野鳥)

街中を流れる川の、雪が積もった中洲を拠点にカワガラスCinclus pallasii)が潜水漁を続けています。

今度は水中で細長いミミズのような獲物(小魚?)を捕らえ、川岸の岩に持ち帰りました。
かなりの大物です!
ピチピチと暴れる獲物を岩に繰り返し叩きつけて殺します。
おそらくミミズではなくて、小さな川魚のようです。
この作業中に勢い余って獲物を何度も落としてしまうのですが、獲物はもう動かなく(逃げなく)なりました。
しめた獲物をようやく丸飲みにしました。
食後は川岸から川の水を飲み何度も嘴をゆすぎます。
すぐにまた入水し、潜水漁を再開。

厳冬期に冷たい雪解け水が流れる川で潜水漁を続けるカワガラスは、どんな優れたウェットスーツ(ドライスーツ)を着ているのでしょう?
水を弾き断熱性に優れたダウン(羽毛)の素材に秘密があるはずです。


※ いつものように動画編集時に手ブレ補正処理を施したら、川の流れが絶えず写り込んでいるために、副作用で却っておかしな映像(グニャグニャして、ちょっと気持ち悪い映像)になってしまうのです。
せめて一脚を持ち歩くべきですね。

ここまでが同じ日に同一個体のカワガラスを連続観察した記録です。
望遠レンズを付けた重いカメラを手で持ち、かなり粘って動画を長撮りしたら、腕や肩の筋肉が限界を迎えました。


【追記】
水野仲彦『野鳥のくらし―卵から巣立ちまで』によれば、

平地の汚れた河川では姿は絶対に見られない。(中略)カワガラスの驚異的な耐寒性には感嘆させられる。尾の付け根から分泌される油脂をくちばしで常になすりつけ、体全身が油膜に覆われているためで、水中で翼を使って泳ぐ姿は水を遮断して白く光って見える。(p84より引用)




今回私がカワガラスを見つけた川は平地を流れコンクリートで護岸され、周囲の生活排水も流れ込むような川でした。
餌の乏しい厳冬期に上流(渓流)から下りてきたのでしょう(例外的な移住)。


2018/05/25

潜水漁で川虫を捕食するカワガラス(冬の野鳥)



2018年1月上旬
▼前回の記事
川岸で雪を食べるカワガラス(冬の野鳥)


街中を流れる川で雪の積もっていない護岸に居たカワガラスCinclus pallasii)が飛んで、川中の岩に移動しました。
岩の上に積もった雪を繰り返し食べていましたが(前回の記事)、遂に岩から川に飛び込んで潜水漁を開始。

飛んで川から同じ岩に戻って来たカワガラスは、嘴に黒っぽい獲物を咥えていました。
それを岩に叩きつけてから捕食しました。
食後は嘴を川の水ですすぐと、またすぐに入水し、潜水漁を再開。
しかし空荷ですぐに戻って来ました。

少し休むと、雪が積もった岩から川に飛び込みました。
泳いで(川底を歩いて?)岩に戻ったカワガラスは、嘴に何か黒っぽい小さな獲物を咥えていました。
岩に叩きつけて殺してから捕食します。
岩から上流へ向かって飛び込んだときは、獲物を捕らえると水面に顔を出し流れに乗って川面をスーッと泳いで帰ってきます。

良い漁場を見つけたようで、空荷で戻ることがなくなりました。
川に入る度に毎回獲物を捕らえて帰ってきます。
水中で捕らえた獲物をその場で飲み込まずに、陸上に持ち帰ってから食べるのはなぜでしょうか?
生きが良くて暴れる獲物は、岸で岩に叩きつけて殺す必要があるのでしょう。

川の堤防から撮っている私の背後を車が通りました。
そのタイミングで、カワガラスは上流へ飛んで行き、漁場を変えました。

今度は川の中洲を拠点にして潜水漁を繰り返すようになりました。
泳ぎながら何度も潜って獲物を探しています。
息継ぎで頭を上げるときは常に上流を向いていました。
流れから何度も頭を出し入れしていたカワガラスが、川の中で足が付く浅い場所を見つけて立ちました。
上流を向いて休憩すると、再び入水。

映像後半は、また漁場を変えてからの様子です。(実は編集で順番を入れ替えました)

カワガラスを見る角度によって、黒というよりも褐色に見えるときがあります。

望遠レンズを使っても遠いので獲物の正体はさっぱり分からないのですが、おそらく川虫(水生昆虫)なのでしょう。
丸くて黒っぽい小石のような獲物は貝の仲間ですかね?
岩に叩きつけて貝殻を割り、中身を食べているのではないかと想像しました。

この川は渓流どころか街中を流れているので、清流というイメージはありませんでした。
しかし、厳冬期でもかなり餌の豊穣な川だとカワガラスに教えてもらいました。



※ 望遠レンズを装着したカメラを手持ちで撮影した映像そのままです。
いつもなら動画編集時に必ず手ブレ補正処理をするのですが、今回は川の流れが絶えず写り込んでいるために、副作用で却っておかしな映像になってしまうのです。
せめて一脚を持参すれば良かったですね。


つづく→小魚を捕食するカワガラス




【追記】
後澤正知『渓流の忍者カワガラス』を読むと、潜水漁の秘密を知ることができました。
カワガラスは、水中の水生昆虫を餌にしているのです。(中略)カワガラスが水面に浮かずに川底を歩けるのは、流れの速いところに潜って羽を広げ、水流の圧力を利用して体を押さえているらしいのです。カワガラスの羽毛は密に生え、尾の近くにある羽脂腺は発達していて、体中にぬった脂が水をはじきます。また足の裏はゴツゴツしていてすべり止めに役立っています。(上越鳥の会『雪国上越の鳥を見つめて』p223-224より引用。)
わずか4ページの短い報文ですが、営巣地の写真や繁殖の観察記録もあってとても参考になりました。


2018/05/21

ダイサギが足踏み追い出し漁で川魚を3匹捕食(野鳥)



2017年11月下旬

街中を流れる川で1羽のダイサギArdea alba)が岸辺をこちら(上流)に向かってゆっくり歩いて来ます。
一歩ずつ歩きながら川底の泥を足でわざとガクガクと踏みしめていました。
これは、小魚など隠れている獲物を追い出そうとしているのです。
このような写真では記録できない行動こそ、動画の出番です。

▼関連記事(約10ヶ月前の撮影で計3羽の別個体)
足踏みで川魚を追い出し捕食するダイサギa(冬の野鳥)
川で足踏みしながら魚を探し回るダイサギc(冬の野鳥)
川で足踏みして追い出し漁をするダイサギe(冬の野鳥)

ダイサギが「足踏み追い出し漁」をしながら上流へ向かって川を遡上するのも、意味がありそうです。

もし逆に下流へ向かって歩いて行くと、足踏みして川底を掻き乱した結果、濁った水が行く先に流れて魚影が見えなくなってしまうでしょう。
しかし上述した昔の記録を読み返すと、ダイサギは必ずしも上流へ向かうばかりではありませんでした。
これは漁の可否(上手下手、成功効率)に影響するはずですから、経験の浅い若い個体は自分で学習しないといけないのかもしれません。

6分間ほど長撮りしている間に、小魚など獲物を3回も捕食していました。
なかなか高い成功率(効率の良い漁法)と言えるでしょう。


  1. 何か小さな獲物を捕食。(@2:36) 
  2. 川の中をゆっくり渡渉しながら急に向きを変えると、翼を広げてバランスをとりながら嘴を一閃し、見事に小魚を捕らえました!(@3:43)
  3. ゴミと一緒にまた小魚を捕らえました。(@5:36) 暴れる魚を咥えながら器用にゴミだけを捨て、獲物を丸呑み。
もちろん、獲物に逃げられ捕食に失敗することも何回かあります。

私は釣りをやらないので知りませんでしたが、お世辞にも清流とは呼べないこんな街中の川にも魚が結構居るのだなとダイサギに教えられました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
大田眞也『田んぼは野鳥の楽園だ』という本を読んでいたら、気になる記述がありました。
(コサギは)片方の足を前方に出して震わせ、ドジョウすくいのような格好で、魚やアメリカザリガニなどを追い出して捕食しています。ダイサギやチュウサギにはこのような習性はなく、ただじっと獲物が近づくのを待って捕食しています。(p81より引用)
著者は私なんかより遥かに熟練のバードウォッチャーですが、畏れながら下線部に対して私は複数の証拠映像を添えて異議を申し立てます。
大田氏のフィールドは九州なので、私が見ている東北地方のダイサギとは習性が異なるのでしょうか?(地域差)
ダイサギはオオダイサギとチュウダイサギという2亜種に分けられるそうなのですが、私には外見で亜種を見分けられません。亜種によって食習性が異なるのでしょうか?
それともダイサギが足踏み追い出し漁をするようになったのは、比較的最近のことなのかな?



【追記2】
孝森まさひで『フィールド版カモ類の観察』を読んでいたら、ダイサギの亜種(オオダイサギとチュウダイサギ)の見分け方が書いてありました。

冬、日本で過ごす亜種(オオダイサギ)は脚が肉色をしている。嘴は冬羽では両亜種とも黄色。(中略)この2亜種の場合は体の大きさ、脚の色が違う。 (p54より引用)

しかし、今回の動画では泥で汚れていて脚の色が分かりませんね。


【追記3】
松原始『鳥類学者の目のツケドコロ』に読むと、「コサギ独特の足で獲物を追い出す行動」について詳しい解説がありました。
 これはタモ網を使った捕獲とまったく同じ方法です。タモ網で魚を獲るとき、無闇に網を突っ込んで魚を掬い上げようとしても、なかなかうまくいきません。こういうときは、魚の潜んでいそうな場所の先にそっと網を差し入れ、足でガサガサと水底を踏んで、魚を網のほうに追い立てるのが得策です。魚が勝手に網に飛び込んできてくれます。これを「ガサ」などとも呼びます (電子書籍版より引用)

筆者はさらに次のような面白い仮説を提唱しています。
コサギだけが妙に目立つ黄色い足先を持っているのも、この行動と関係しているかもしれません。黒と黄色という取り合わせは警告色に使われるくらい、目立ちやすい色合いです。黄色い足先で、より魚を脅しやすくしているということも、あるのかもしれません。(同書より引用)
 しかし、ダイサギの足は黒いけどコサギと同じような足踏み追い出し漁をするぞ?と反論したくなります。
 松原氏のフィールドは京都周辺で、大田氏と同じく西日本です。
ダイサギはもう少し歩いて探すこともありますが、コサギに比べればあまり動きません。(同書より引用)
こうした記述は、どうも東北地方の雪国をフィールドとする私の観察結果と一致しなくて、読んでいても首をひねるばかりです。
そもそも私が見かける白鷺はダイサギばかりで、今のところ一度もコサギを見たことがないのです。
専門家や偉大な先人の書いた書物は参考になりますけど、どうも鳥の生態や行動には地域差がありそうなので、本の内容を鵜呑みに出来ません。
結局のところ、自分のフィールドのことは自力でコツコツ調べていくしかありません。
ダイサギ(野鳥)@川+足踏み追い出し漁
ダイサギ(野鳥)@川+足踏み追い出し漁
ダイサギ(野鳥)@川+足踏み追い出し漁

2018/05/14

池から次々に飛び立つダイサギ(野鳥)【HD動画&ハイスピード動画】



2017年10月中旬

浅い池で3羽のダイサギArdea alba)が互いに離れ片足立ちでのんびり佇んでいました。
私がしつこく望遠レンズを向けていると警戒され、まず一羽aが飛び去りました。(撮影に失敗して映像無し)
続けてもう一羽bが飛び立ちました。(@1:19)

最後に残った個体cの飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@1:27〜)
身を屈めて脚力でジャンプしながら翼を力強く羽ばたいて離陸します。
白鷺の美しい飛翔シーンを上手いこと流し撮りすることができました。
スローモーションにすると見応えがありますね。
先に飛び去った仲間の後を追うように同じ飛行ルートを取りました。


後半は、飛び立つ前の行動をとらえたおまけの映像です。

別の記事にするまでもないと思い、ここでついでに紹介します。

(その1:身震い@2:25〜)
池に佇んでいた個体cがその場で翼を激しくばたつかせて身震いしました。
顔も左右に振っています。

(その2:漁の失敗@2:51〜)
浅い池を渡渉していたダイサギcが突然嘴を水面に突き刺しました。
しかし魚を取り逃がしてしまったようです。
顔を左右に激しく振って、濡れた嘴の水気を切りました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



ランダムに記事を読む