ラベル 哺乳類 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 哺乳類 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2019/01/18

昼塒のトンネルで寝るコウモリ♀に寄生虫?【暗視映像】



2018年9月上旬

ボックスカルバートのトンネル内を日中の集団ねぐらとしている夜行性コウモリを毎年少しずつ調べています。
昨年は9月中旬にトンネル内を初めて調査したのですが、今年は少し時期を早めて(前年の15日前)入洞してみました。
コウモリの育児を撮影してみたい気持ちと、デリケートな繁殖期が終わるまでコウモリの活動を邪魔してはならないというコウモリ保全上の配慮との間で葛藤があります。
私が繰り返し侵入するせいでコウモリがこのトンネルは危険とみなして塒に使わなくなってしまったのでは、私も観察できなくなって困ります。
一応、私なりの配慮として、年に1回しか入らないようにしています。
日没前の夕方に、赤外線の暗視動画を撮りながら、トンネルを探検開始。
トンネルの奥にコウモリの集団塒(コロニー)があるようで、コウモリの鳴く声が可聴域でキキキキキ♪と反響して聞こえるのは前年と同じです。

真っ暗なトンネルの中程でようやくコウモリと遭遇しました。
コンクリート天井に2頭が間隔を明けてぶら下がっていました。
1頭に注目してズームインすると、コウモリの体表で何か小さな虫が動きました!(矢印に注目@0:19)
おそらくクモバエやコウモリバエなどの体外寄生虫でしょう。

▼関連記事
ユビナガコウモリの体表に寄生するケブカクモバエ?
現場ではこの虫に気付かなかったので、ストロボを焚いた証拠写真は撮れませんでした。

コウモリは畳んだ翼で顔を覆って寝ています。
一本足で天井からぶら下がっています。
幼獣を抱えた母獣かどうか、映像をしつこく見直したのですが、素人にはよく分かりませんでした。

私がゆっくり回り込みながらアングルを変えてしつこく撮り続けるとコウモリは覚醒して最後は飛び去りました。
飛び立つ直前にタラララ…♪と速いクリック音が私の耳にはっきりと聞こえました。
(映像でも確認できますが、ビデオカメラのノイズだったりして…)
エコロケーションのためにコウモリが発している超音波だと思うのですが、可聴域なのが不思議です。
トンネルなどの閉鎖空間では超音波が可聴域にシフトするのでしょうか???
コウモリ関係の本を読んでいても超音波の話ばかりで、可聴域の鳴き声についてはほとんど情報がありません。

飛び立つ瞬間を1/10倍速のスローモーションでリプレイしても、下腹部に陰茎が見えないので♀のようです。
やはり、幼獣を抱えていない、単独の♀だと思います。
この映像でコウモリの種類が見分けられる方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。

1頭のコウモリに注目している間に、もう1頭は飛んで逃げてしまいました。

この直後にビデオカメラのバッテリーが切れてしまいました。
交換しようとしたらスペアのバッテリーがなぜか充電されていないことが判明しました。
準備してきたはずなのに、我ながら酷い大失態です…。
仕方がないので暗視映像を諦め、これ以降はストロボ写真による撮影に切り替えました。

つづく→トンネルを塒とする野生コウモリの写真集


2019/01/16

深夜の庭から聞こえた謎の鳴き声(ニホンイタチ?!)



2018年10月上旬・午前1:27〜1:35

深夜に窓の外の庭から野生動物が発する凄まじい鳴き声が聞こえてきて、寝ていた私は飛び起きました。
静かな真夜中にキキキッ♪(チュチュチュッ♪)とかなりの大音量で悲鳴のような鳴き声が繰り返し響き渡ります。
それに釣られてカエルも外で鳴き始めました。

カーテンや窓を開けると逃げられると思い、室内から窓越しに動画で鳴き声だけ記録しました。
鳴き声の主は、外で少しずつ場所を移動しながら(遠ざかりながら)断続的にキキキッ♪と繰り返し鳴いているようです。
複数個体が喧嘩しているのかな?

これは一体、何の鳴き声なのでしょう?
夜にこんな鳴き方をする鳥を私は知りません。
夜行性の捕食者に襲われた獲物が断末魔の悲鳴を上げているのでしょうか?
例えばシジュウカラなどの小鳥や小動物が寝込みを襲われたのかな?
なんとなく、ネズミやコウモリの鳴き声っぽい気もします。

発情したイエネコFelis silvestris catus)が夜中に鳴き騒ぐことがありますが、今回の鳴き声は明らかに猫とは違いますし、調べたら10月上旬は猫の繁殖期ではありませんでした。



他に候補として考えられる野生動物は、ハクビシンです。

▼関連記事 
ハクビシンの早朝散歩
しかし、YouTubeに公開されている動画でハクビシンの鳴き声と聴き比べると、どうも違うようです。


謎の鳴き声を声紋解析してみる

オリジナルの動画(MOVファイル)から音声をWAVファイルに抽出し、鳴き声の入った部分を適当に切り出してからスペクトログラムを描いてみました。
約16kHzの単調で強いシグナルは、私のビデオカメラに固有のノイズなので無視して下さい。
20kHz以上の高周波数域で弱いながらも断続的に鳴き続けているのは、かすかに聞こえたコオロギなど虫の音だと思います。



この事件があってから45日後の11月下旬。
昼過ぎに私が家から外出しようとしたら、入れ違いで黄土色の細長い小動物が庭の方へササッと素早く駆け込みました。
一瞬の出来事で証拠となる写真や動画は撮れるはずもありませんが、どうやらニホンイタチMustela itatsi)のようでした。
この辺りに野生のイタチが住み着いているとは知りませんでした。
家庭菜園や田畑が点在し、細い用水路も流れているので、イタチの食料もありそうです。
てっきり夜行性だと思っていたイタチが真っ昼間に活動することも意外でした。
本種は冬眠はしないで1年中活動し、その活動時間帯は特に定まっておらず、昼夜活動する (wikipediaより引用)

もしかして、1.5ヶ月前の夜中に聞いた謎の鳴き声は、このイタチかもしれません。
車庫や庭などのあちこちにカメラトラップを仕掛けてみたら楽しそうです。
YouTubeに公開されている動画で捕獲されたイタチが威嚇する鳴き声を聞いてみると、状況が違えどかなり似ています。











↑最後はツイッターで話題になった動画です。

犬に追い詰められたイタチが側溝の穴から顔を出したり引っ込めたりしながらキキキッ♪と鋭く鳴いています。
この鳴き声が私が聞いたのとそっくりでした。


【追記】
今泉忠明『イタチとテン―森をかけめぐる万能選手』という動物学の書籍を読むと、繁殖期に♀を巡って♂同士が争う「イタチごっこ」を解説した文脈の中で、イタチの鳴き声について詳しく書いてありました。
 「キチッ! キチキチキチキチ」と鋭く鳴き、「ケケケケ…!」などの叫び声を時折あげて走り、闘争する。相手を威嚇したり、激しく怒ったときに出される声だ。平常時には、イタチはほとんど発声することもない。春の発情期から、夏の育児期にわたる期間にはかなり頻繁に啼き、しかも特殊な啼き声が多いという。一声鋭く「キッ!」と発声するのは驚愕を表し、低く「シューッ!」と発声するのは警戒を表すという。(p71より引用)

しかし今回の動画の撮影時期は10月上旬なので、「春の発情期から、夏の育児期にわたる期間 」には当てはまりません。



【追記2】

郷土出版社『置賜ふるさと大百科―決定版』でイタチについて調べると、

置賜地方では方言で小豆トギとも呼ぶ。由来は鳴き声からきたものである。(p52より引用)

私はそんな呼び名を聞いたことがないのですし、鳴き声が小豆を研ぐ音と似ているとは思わないのですけど、覚書として追記しておきます。




2019/01/12

トンネルの塒を離れる前に出口付近を往復飛翔するコウモリの群れ【暗視映像】



2017年9月中旬・午後17:00、17:51

野生のコウモリが日中の集団塒として使っているトンネルを初めて探検し終わり、出口sに戻ろうとすると、コウモリの離塒が始まりそうな夕刻になりました。
ちなみに日の入り時刻は午後17:43。
赤外線の暗視カメラで撮った映像ですが、外界の自然光が差し込むので明るく見えます。

ボックスカルバートのトンネル内から出口の方を向いて撮ると、数頭のコウモリが飛んで往復していました。
外がまだ明るいのを確認するとコウモリはすぐに、暗いトンネルに引き返して来ます。
刻々と外が暗くなるにつれて、偵察に飛び回るコウモリの数が増えてきます。
私がトンネルを歩き回って寝ていたコウモリの平穏な暮らしを乱してしまった(私がコウモリをトンネルから追い出すような形になった)影響も当然あるでしょう。
しかし、離塒前のコウモリが出口付近でしばらく往復飛翔するのは、これまでも繰り返し観察してきたことです。
このアングルで撮れたのは初めてでした。

▼関連記事
日没後に塒のトンネルから飛び出すコウモリの群れと衝突事故【暗視映像】

日が落ちて外界が充分に暗くなると(日没から約30分後)、夜行性のコウモリは続々とトンネルの外に飛び出し、夜の採餌に出掛けるのです。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2019/01/11

トンネル内でぶら下がったまま死んだコウモリ【暗視映像】



2017年9月中旬

野生コウモリが昼塒として利用しているボックスカルバートを調査中に、コウモリの死骸を見つけました。
赤外線の暗視カメラで撮りながら真っ暗なトンネルを奥に進んでいると、コンクリートの壁面に不自然な体勢で下向きにへばり付いていた個体が気になりました。

前脚は左だけ広げ、後脚は左だけでぶら下がっています。
足掛かりは無さそうなのに、壁面の割れ目の少し下にしっかりしがみ付いたまま死んでいました。
本当に死んでいるのか半信半疑だったので、暗視動画を撮りながら指で翼の先をつついてみました。
後で冷静に考えると、感染症のリスクがあるコウモリに素手で触れたのは大きな間違いですね。

腐らずにミイラ状態になっているようです。
腐臭も無く、死肉食性の昆虫なども集まっていませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


『身近で観察するコウモリの世界―町を飛ぶ不思議な野生動物 (子供の科学★サイエンスブックス)』によると、

コウモリはどうして脚でぶら下がって生活をしているのだろう。これは空を飛ぶことと関係がある。
 空を飛ぶためには、体重をできるだけ軽くしたい。そのため、コウモリは骨を細く軽くした。ただ、脚の骨まで細いので、鳥のように枝の上側にとまって体を支えることは難しい。頭を下にしてぶら下がれば、体を支える脚の筋肉も少なくていい。足指の先にある鋭いかぎ爪で壁や枝などに引っ掛かっているだけだから、足の指に力をかけなくていい。寝ぼけて落っこちる心配はないのだそのかわり、死んでもぶら下がったままのことがある。(p28より引用)


コウモリの集団塒を見つけたのに、コウモリの種類が見分けられずに困っています。
昆虫が相手なら手っ取り早く採集して標本をじっくり精査すれば同定できるのですが、野生の生きたコウモリを素人が無許可で採集するのは法律で禁じられているのです。
という訳で、死骸も天の恵みとしてありがたく頂くことにしました。(ビニール袋に採集)

さて、せっかく貴重な死骸を持ち帰ったものの、未だ調べられていません。
同定のために体の各部位を細かく採寸しようと思って後日、容器の蓋を開けたらミイラ化した死骸に少しカビが生えていました。
カビの胞子が舞ったので吸い込まないように慌てて蓋を閉め、その後は「パンドラの箱」に厳重に密閉して某所に保管してあります。
日本産のコウモリではまず大丈夫だと思うのですが、ヒトにも感染する危険な病原体のちょっと怖い話を思い出したからです。
すぐにでもホルマリン漬けにした方が良いかもしれません。
いつか時間のあるときに、このコウモリを標本にしてみるつもりです。
全身骨格標本を作るのは大変そうですけど、透明樹脂にコウモリを丸ごと包埋した標本なら私にもできそうです。



コウモリsp_h死骸@トンネル内壁面

現場で死骸を撮った写真を見返すと、既に毛皮にうっすらとカビが生えていました。
ボックスカルバートの底は水が溜まっている(時季によっては流水)ので、一年中、気温はやや低く湿度は高く保たれていそうです。

私にはコウモリの死因も死亡時期も分かりません。
寿命による自然死なのか、病死(感染症?)または餓死の可能性も考えられます。


アメリカ合衆国では2006年に、ニューヨーク州で冬眠中のコウモリがカビに感染して大量に死んでいるのが見つかった。このカビに感染すると冬眠中に目が覚めて蓄えていた脂肪を使い尽くして死んでしまうのだ。このカビは今ではアメリカ北東部に広がり、これまで5000万頭以上のコウモリが犠牲になっている。 (子供の科学★サイエンスブックス『身近で観察するコウモリの世界―町を飛ぶ不思議な野生動物 』p94より引用)

今回トンネル内で見つけた死骸は1頭だけで、多数の生きたコウモリが元気に飛び回っていますから、カビ感染による大量死は起きていないと思います。
ただし、トンネルの底は水が流れているので、死後に落ちてしまった個体は水に流されて残っていないだけかもしれません。

それから、このトンネルは冬眠用の塒としては使われていないことが分かっています。

2019/01/04

ヒミズ死骸の肉片をクロヤマアリから守るクロオオアリの群れ



2018年9月下旬


▼前回の記事
ヒミズの腐乱死体に飛んで集まるヨツボシモンシデムシ

腐乱したヒミズUrotrichus talpoides)の死骸から少し離れた路上に小さな肉片が転がっていました。
死骸から食い千切った肉片を4匹のクロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀が巣に運ぶ途中のようです。
肉片を大顎で噛んで引っ張り、更に細切れにしようとしています。
肉片には数匹の白い蛆虫(ハエの幼虫)が蠢いているのですが、アリは蛆虫を獲物とはみなしていないのか、肉片に夢中です。


▼関連記事
猿の死骸からウジ虫を運ぶアリ

2匹のクロヤマアリFormica japonica)も物欲しそうに肉片に近寄って来ました。
しかし、体格に勝るクロオオアリ♀が撃退しました。
クロヤマアリ♀は追い払われてもすばしこく逃げ回り、横取りするチャンスをしつこく狙っています。

もし仮に、クロヤマアリが援軍を呼び寄せてクロオオアリを数で圧倒したら、勝機はあるのでしょうか?


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


クロオオアリ♀4 vs クロヤマアリ♀2@ヒミズ死骸:肉片

2019/01/03

逃げたニホンカモシカと再会



2018年9月下旬
▼前回の記事
鼻息を荒げ蹄を踏み鳴らして威嚇するニホンカモシカ

野生ニホンカモシカCapricornis crispus)と一触即発の睨み合い(メンチ切り対決)を制した興奮も醒めやらぬまま、つづら折れの峠道を数百メートル下ると、おそらく同一個体と思われるカモシカと再会しました。

別れてから3分後のことです。
先程のカモシカが藪に覆われた谷を駆け下りスギ林を走り抜け、先回りして私を待ち構えていたようです。

スギ林から車道に出て来たカモシカは私に対してフシュフシュ♪と鼻息を荒げて威嚇しながら車道を走り去りました。
今度はもう私に対して向かって来ませんでした。
山道のカーブの死角に消えたカモシカを慌てて追いかけたのですが、見失ってしまいました。

どうもカモシカという動物の性格は、臆病なだけでなく実は好奇心も旺盛な気がしてなりません。
逆に私のことをどう思ったのか、カモシカに聞いてみたいものです。
「せっかく巻いたはずなのに、あのおかしな人間がしつこく追いかけてきやがった」と思ったかもしれません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

三部作のシリーズ完。


ニホンカモシカ@再遭遇+対峙+

2019/01/02

鼻息を荒げ蹄を踏み鳴らして威嚇するニホンカモシカ



2018年9月下旬
▼前回の記事
スギ林の急斜面を下りながら眼下腺マーキングするニホンカモシカ

山林の獣道から車道に下りてきたニホンカモシカCapricornis crispus)は私に気づき、じっと凝視しています。
カモシカは目が悪い(近視)らしいのですが、濡れた鼻をヒクヒクさせて私の匂いを嗅ごうとしています。
角や耳介には個体識別の特徴となるような欠損などは見当たりません。

実はカモシカとの遭遇に備えて、車道に立っていた私はそっと姿勢を低くして片膝立ちになって待ち構えていました。
警戒心の強い野生ニホンカモシカにどうしたらより近づいて撮れるか、という私なりの試行錯誤のひとつです。
カモシカが見ている前で姿勢を低くしてもあまり効果が無いことが分かっています。


▼関連記事(4年前の撮影)
ニホンカモシカ(左角欠け)の鼻息威嚇♪と逃走

やがてニホンカモシカは、いつものようにフシュ、フシュ♪と鼻息を鋭く吐いて私に威嚇し始めました。
濡れた鼻から鼻水が垂れています。
騒ぎを聞きつけた野次馬のカケスが近くの樹上でけしかけるようにジャージャー♪と警戒声を発し始めました。
私がじっと動画を撮り続けていると、ニホンカモシカは意を決したように舗装された車道に出て来ました。

鼻息威嚇に効果が無いことに業を煮やしたカモシカが数歩ずつ前進して近づいて来るようになりました。

見慣れない無礼な侵入者を縄張りから追い出そうとしているのでしょう。
揃えた前脚を高く跳ね上げてから振り下ろし、左右の蹄を舗装路に同時に打ち付けてカッ♪と鳴らします。
突進する素振りはただのブラフだろうと分かっている私は、落ち着いて撮影を続けます。
カモシカが居丈高に蹄を踏み鳴らす威嚇の示威行動を実際に見るのは初めてで、内心とても興奮しました。

路上でしゃがんで片膝立ちをしていた私の足が痺れてきたので、撮りながらゆっくり体勢を変え、両膝立ちになりました。 
現場は勾配のある峠道で、私の方がカモシカよりも少し高い位置に居ます。
両膝立ちでも見かけの身長はカモシカより低く保っています。
今回の個体が強気で私を恐れず威勢が良いのは、おそらく私が姿勢を低くしているからだと思います。

尻尾を左右に振っているのは、体に集る吸血性の昆虫を払っているのでしょう。 
興奮状態を表しているボディランゲージなのかもしれません。

強気のカモシカが調子に乗ってどんどん私に近づいてくるので、状況が緊迫してきました。
正直に言うと、このまま野生のカモシカに角で小突かれてみたいという密かな願望は少しありました。
しかし怒ったカモシカの鋭い角で本気で突かれたら大怪我しそうです。
これ以上カモシカとチキンレース(度胸試し)を続けるのは危険と判断し、私もカモシカの鼻息威嚇を真似して応戦することにしました。


▼関連記事(6年前の撮影)
野生ニホンカモシカと鼻息で鳴き交わしてみる

カモシカがフシュフシュ♪と鼻息威嚇をしてきたら、そのすぐ直後に私も応戦します。
私がただ鼻息を吐いても大きな音が出ないので、口から気迫を込めた歯舌音でシュッ♪と鋭く発するようにします。
すると効果てきめんで、カモシカはそれ以上近寄らなくなりました。
さっきまでの強気が嘘のように、神経質そうに横を向き(視線を逸らし)がちになりました。
これは弱気のサインです。
戦意喪失したカモシカは遂に完全に体を横に向けると、腹立ち紛れに鼻息威嚇しながら路肩のガードレールをひらりと飛び越えました。
ススキの茂みに隠れながらも、負け惜しみのようにしつこく鼻息を荒げ続けています。
ここでようやく私が立ち上がると、驚いたカモシカは藪に覆われた斜面を慌てて駆け下りて行きました。
この対決を見守っていたカケスがやんややんやと囃し立ててくれました。
幸い車が1台も通りかからず、誰にも邪魔されずに野生動物と1対1の濃厚な遭遇を体験をすることができました。
迫力のある映像が撮れて大満足です。

私の撮影スタイルはカメラの液晶ディスプレイを見るのではなく、カメラを顔の正面に構えてファインダーを覗いているため、カモシカと視線を直接合わせませんでした。
カモシカから見ると私はカメラで顔(目)を隠していたことになります。
野生動物をじっと直視(凝視)するのは敵意の現れと解釈されるので、例えばニホンザルを相手にするときなどは特に注意が必要です。
今回のカモシカが私を恐れず(舐めてかかり)近づいてくれた理由として、視線を隠し低姿勢だったことの他に考えられるのは、私が全身迷彩服を着ていたことです。
アスファルトの路上に居たので周囲に溶け込む迷彩効果はありませんが、見慣れない模様にカモシカは戸惑った(興味を持った)のかもしれません。

一触即発のにらみ合いになっても長年の経験と知識を活かして我ながら冷静に対処できました。
もしかすると結構危ない状況だったのかもしれません。
しかし私には切れるカードがあともう2枚ありました。
カモシカが迫ってきても逃げずに急に立ち上がりカメラで隠していた顔を見せて睨みつければ、私はカモシカよりも身長が高いので怯むはずです。
もしそれでもカモシカの突進が止まらなければ、最終手段として、クマも撃退できる強力な催涙スプレーを噴射するつもりでした。
(夏山に入る時は必ず熊よけスプレーを腰のホルスターに携帯するようにしています。)
以上ノウハウみたいなことを書いてみましたが、カモシカの気性には個体差がありそうですから、これを読んだ人が真似して襲われても私は責任を負えません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



つづく→再会篇


ニホンカモシカ:顔@車道+対峙
ニホンカモシカ@車道+対峙
ニホンカモシカ@車道+対峙
ニホンカモシカ@車道+駆け寄り威嚇

 

↑【おまけの動画】 
"Utah mountain goat wants to fight!"  by Kevin Slider
北米の氷河を登山中に好戦的なシロイワヤギに絡まれたときの対処方とは?

2018/12/31

スギ林の急斜面を下りながら眼下腺マーキングするニホンカモシカ



2018年9月下旬

私が山道を下っていると、前方横のスギ林の斜面からパキパキと林床の枝を踏みしめる音が聞こえました。
クマか?と焦りながら辺りを探すと、ニホンカモシカCapricornis crispus)でした。
急斜面の獣道を下りながら、ときどき灌木の枝やクズの葉に顔の眼下腺を擦り付けて縄張りをマーキングしているようです。
スギ木立に隠れてよく見えないので、もしかすると道草を食っていた(採食)のかもしれません。
シナノキの未熟な青い実が手前に見えます。
スギの幹とカモシカの体は色が似ていて、保護色のようになっています。
もしカモシカが動かずにじっとしていれば、見つけるのは至難の業でしょう。
ゆっくり車道まで降りて来たカモシカが頭を上げ、遂に私の存在に気づきました。

つづく→気の強い野生カモシカに威嚇され一触即発!

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/12/30

日没後の刈田に出没したホンドタヌキ



2018年9月下旬・午後18:01〜18:02(日没時刻は17:35)

稲刈りが終わった山麓の田んぼ(刈田)を横目に見ながら夜道を歩いていると、暗い刈田で動き回る1頭の野生動物を発見。
落ち穂が目当てなのか、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が山から里に降りてきたようです。
(昼間でも)目が悪いタヌキは初め私には気づいておらず、田んぼの畦道に沿って採食しながらこちらに向かって歩いて来ました。
やがてタヌキは頭を上げ私の存在に気付くと、刈り残された隣の田んぼの稲穂の茂みの中へ慌てたように逃げ込み、姿を消しました。

現場は肉眼で辛うじて見えるぐらいの暗がりでした。
ストロボを焚いて写真に撮ろうか一瞬迷ったのですが、カメラ内蔵のストロボではタヌキに光が届くか分かりません。
野生のタヌキは閃光に驚いてすぐ逃げてしまうはずなので、チャンスは一発勝負になってしまいます。
なるべく行動を記録したい私は、駄目元で動画に撮ってみました。
赤外線の暗視カメラを荷物から取り出して準備する余裕はとてもありませんでした。
(被写体までやや遠いので、赤外線投光器を使っても暗くて写らなかったと思います。)
手にしていた通常のカメラのいつものお任せモードで撮りました。
カメラのファインダーで覗いたときにはかなり粗い画質でも辛うじて写っていたのに、撮れた動画は真っ暗になっていました。
後々思えば、「夜景を手持ちカメラで撮るモード」に切り替えて動画撮影すれば良かったかもしれません。
漆黒の映像を動画編集で強引に明るく加工してみたら、暗視カメラ風にタヌキの姿が辛うじて写っていました。
「失敗だ」と動画を削除しないで良かった!
本来タヌキは夜行性らしいので、一瞬でも夜の活動を撮れたのは嬉しかったです。


2018/12/29

ヒミズの腐乱死体に飛んで集まるヨツボシモンシデムシ



2018年9月下旬
▼前回の記事
ヒミズの死骸に群がるキンバエとクロオオアリ♀

舗装された山道に転がっていたヒミズUrotrichus talpoides)の腐乱死体を観察していると、オレンジ色の昆虫がブーンと羽音を立てながら低空で飛来しました。
一瞬スズメバチかと思いきや、死骸めがけて飛んで来た新参者の正体はヨツボシモンシデムシNicrophorus quadripunctatus)でした。
飛んでいる姿を見るのはこれが初めてで、とても興奮しました。
飛翔シーンは一瞬なので、まずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。

飛来したヨツボシモンシデムシはすぐに死骸の下に潜り込みました。
死骸がゾンビのように勝手に動いているように見えるのは、ヨツボシモンシデムシの活動のせいです。
ゴソゴソと死骸が動いてもキンバエは逃げずに平気で吸汁を続けています。

しばらくすると、死骸の上面に1匹のヨツボシモンシデムシが来て死肉を食べていました。
その体表を橙色のダニが多数徘徊しています。
そのヨツボシモンシデムシも再び死骸の下に潜り込みました。

新たにもう1匹のヨツボシモンシデムシが死臭に惹きつけられて飛来したものの、なぜか着陸せずに飛び去りました。
低空で飛ぶシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

さて、ヨツボシモンシデムシはヒミズ死骸の裏で何をしているのでしょうか?
拾った小枝で死骸を裏返してみると、2匹のヨツボシモンシデムシが潜んでいました。
私には性別が見分けられないのですが、これは♀♂のつがいなのかな?
ところがすぐにまた死骸の裏面に慌てて隠れてしまいます。
一旦死骸に辿り着くと、日光を嫌う習性があるようです。
しつこく更にもう一度死骸を裏返すと、またもやヨツボシモンシデムシは逆側に潜り込んで隠れました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

タッパーウェアなどの容器を持っていれば、ヨツボシモンシデムシを採集し死骸と一緒にお持ち帰りしたいところです。
ヨツボシモンシデムシは甲虫としては珍しく育児(子育て)をすることで有名なので、いつか飼育下で観察してみたいのです。
またの機会にお預けです。(夏に部屋でシデムシに腐肉を与えて飼うのはかなりの覚悟が必要ですね)







▼関連記事(10年前の撮影)
ヒミズ死して屍拾うものあり(中編):ヒミズ死骸とヨツボシモンシデムシ

10年前の観察例では土の地面にヒミズの死骸が置かれていました。
ヨツボシモンシデムシが何匹も死骸の下に次々と潜り込み、仰向けに歩くように足を動かすことで重い死骸を少しずつ運んでいました。
今回の現場はアスファルトの舗装路なので、ヨツボシモンシデムシは死骸を地中に埋葬して独占するのは不可能です。
死骸を運びつつ路肩の地面を目指して舗装路を横断中だったのかもしれません。

つづく→ヒミズ死骸の肉片をクロヤマアリから守るクロオオアリの群れ




【追記】
ベルンド・ハインリッチ『生から死へ、死から生へ:生き物の葬儀屋たちの物語』という翻訳書を読んでいたら、北米産モンシデムシの飛翔について嘘みたいな驚くべきことが書いてありました。
日本のヨツボシモンシデムシ(Nicrophorus quadripunctatus)とは別種なのですが、同属のNicrophorus tomentosusおよびNicrophorus orbicollisの2種は後翅を羽ばたいて飛ぶ際に鞘翅が裏返しになって裏面(下面)のレモンイエローが外側を向き、黄色のマルハナバチに擬態するというのです。(p31〜33より)


そんな奇天烈な翅を持つ甲虫を私は知らなかったので、自分で撮ったこの動画を急いで見直してみました。
しかし、飛翔時のヨツボシモンシデムシの翅はレモンイエローではなく、鞘翅表側のオレンジ色の残像しか見えませんでした。
(だから私はスズメバチが飛来した!と現場で一瞬錯覚したのです。)
次に機会があれば、ヨツボシモンシデムシの飛翔シーンをハイスピード動画で撮ったり、採集して鞘翅の裏面をじっくり調べてみたくなりました。
北米産の2種(N. tomentosus, N. orbicollis)だけが特殊なリバーシブルの鞘翅を持っているのかな?
それ以外の習性については日本産のモンシデムシとほぼ共通していただけに、裏返る鞘翅の話が強烈な印象に残りました。
日本産のモンシデムシがそのような翅に進化しなかったのは何故でしょう?
日本には黄色のマルハナバチと言えばコハナバチ♂ぐらいしか生息しておらず、雄蜂には毒針がありませんから、怖くない蜂にベイツ擬態するメリットが無かったためと考えられます。




ヨツボシモンシデムシ+キンバエspp+クロオオアリ♀群れ@ヒミズ死骸
ヨツボシモンシデムシ+キンバエspp+クロオオアリ♀群れ@ヒミズ死骸

2018/12/27

ヒミズの死骸に群がるキンバエとクロオオアリ♀



2018年9月下旬

山間部の峠道にヒミズUrotrichus talpoides)の死骸が転がっていました。
遺体の損傷が激しく死因は不明ですが、車に轢かれたロードキルなのでしょうか。
死骸は長い尻尾に毛が生えています。
前足の爪がさほど発達していないので、モグラではありません。

クロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀とキンバエの仲間が死骸に群がっていました。
クロオオアリ♀は死骸の毛皮が裂けて露出した部分から大顎で肉を食い千切っていました。
私にキンバエの種類は見分けられないのですが、複眼の形状を見ると♀♂両方来ていました。
キンバエは死骸の体液を舐めています。
産卵シーンは見ていません。
肉の組織で白い蛆虫(ハエの幼虫)が蠢いているので、死後数日が経過していることが分かります。
撮影アングルを変更しようと私が動くと、ハエが死骸から一斉に飛び立って避難してしまいます。
後半は、15cmの金属製定規を並べて置いて死骸を採寸しました。


▼関連記事(10年前の撮影)
ヒミズ死して屍拾うものあり(前編):ヒミズ死骸に群がるキンバエ

つづく→ヒミズの腐乱死体に飛んで集まるヨツボシモンシデムシ


クロオオアリ♀群れ+キンバエspp群れ@ヒミズ死骸
クロオオアリ♀群れ+キンバエspp群れ@ヒミズ死骸
クロオオアリ♀群れ@ヒミズ死骸+scale

2018/12/18

トンネルの壁面で休むコウモリ【暗視映像】



2017年9月中旬

夜行性の野生コウモリがねぐらを取っている山麓のボックスカルバート内を探検しています。
赤外線の暗視カメラで撮りながら長くて暗いトンネルをゆっくり進むと、コンクリート壁面の高い位置に一匹のコウモリを発見。
壁に単独で(群塊を作らず)頭を下向きにへばりついていて、背中しか見えません。
小刻みに震えているものの、飛び立ちませんでした。

これは何というコウモリなのか、もし映像で分かるようでしたら、どなたか教えてください。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2018/12/12

日没後に塒のトンネルから飛び出すコウモリの群れと衝突事故【暗視映像】



2015年9月上旬・午後18:23〜18:55

夜行性コウモリ(種名不詳;ユビナガコウモリなど?)の群れが集団塒のトンネルから日没とともに採餌活動に飛び出していく様子を記録してみました。
ボックスカルバートのトンネルの入口から中に数m入った地点に三脚を立て、赤外線の暗視カメラを出入り口に向けてセットしました。

カメラをやや仰角にしてトンネル出口の天井付近を狙います。

これまでの観察で、コウモリは日没時刻の約30分後に離塒することが分かっています。
この日の日の入り時刻は18:08、月齢18.5。
離塒の時刻が近づくと覚醒したコウモリがトンネル内で飛び回り始め、暗闇で往復するようになります。
出口から外に少しだけ飛び出して外界の明るさを確認すると慌てたようにUターンしてトンネル内に引き返す、という行動をしばらく繰り返します。
この引き返す行動が、トンネルの出口付近で見ている私を警戒するために起こるのか、確かめるために、無人カメラで撮ることにしたのです。

充分に暗くなるとトンネルからコウモリの大群が続々と飛び出して夜の採餌活動を始めます。
カメラを回収して長撮りした映像を見直すと、離塒前の往復飛翔がしっかり記録されていました。
初めのうちコウモリは、少し外に飛び出してから未だ残照が明るいと分かるとすぐに引き返しています。
コウモリの餌となる夜行性の蛾などの昆虫も飛び回っていました。
動画の画面が次第に暗くなるのは赤外線投光機のバッテリーがすぐに消耗するせいで、30分で切れてしまいました。

そして驚きの衝撃映像が撮れていました。
外の明るさを確かめる偵察から戻って来た1頭のコウモリがカメラ(または三脚)を避け切れずに激突したようで、バーン!とすごい音がトンネル内に反響しました。
衝突シーンを1/4倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:41〜0:58)
超音波を用いたコウモリのエコロケーション(反響定位)は完璧だと思っていたので、まさかこんな分かりやすい障害物を避けきれずに衝突事故が起きるとは予想外でした。
経験の浅い若い個体が油断したのかな?
静止したカメラを獲物と誤認して襲いかかったとは考えにくいでしょう。

撮影機材からコウモリのエコロケーションを乱すような人工的な超音波が発せられていたのかな?
暗闇で光るビデオカメラの液晶画面を袋で覆い隠しておくべきでした。

狭いトンネル空間を同種のコウモリが群れで一斉に飛び回る際は、エコロケーションの混信やそれに伴う衝突事故が起こりやすいのかもしれません。
同種の群れで飛行中に超音波の混信を防ぐ仕組みについて、日本のユビナガコウモリを用いた研究の成果が最近報告されていました。
【参考】:「群れの中のコウモリは反響定位信号を変えてカクテルパーティー問題の解決を図る
ヒトでも似たようなカクテルパーティー現象が知られています。

"Bats enhance their call identities to solve the cocktail party problem"
Kazuma Hase, Yukimi Kadoya, Yosuke Maitani, Takara Miyamoto, Kohta I Kobayasi & Shizuko Hiryu
Communications Biology volume 1, Article number: 39 (2018)


カメラに激突したコウモリが無事とは思えません。
松原始『カラス先生のはじめてのいきもの観察』によると、

コウモリはとても華奢で脆い動物だ。畑正憲が書いていたが、帽子ではたいただけでも死んでしまうことがあるというし、軽量化のためか首の周囲の筋肉がひどく薄くて、他の小動物と同じように首をつまんで持つと頸動脈が圧迫されて危険だとか。(p112より引用)

カメラを回収するときに周囲をもっと注意深く見ていれば、もしかすると犠牲になったコウモリの死骸を回収できたかもしれません。
見落として貴重な標本を採集できなかったのが残念です。
後日の定点観察でも同じような撮影を繰り返したのですが、不幸な衝突事故が起きたのは、この一度だけでした。

この塒を利用している群れの個体数を知りたいところです。

しかし、長いトンネルの両端から出入りしていること、コウモリが出戻り飛翔をすること、この2つの理由から、カウント出来ていません。
(反対側のトンネル出口を同時に監視するビデオカメラがもう一台必要です。)
例えば自動ドアに使われるような赤外線センサーをトンネル出口に設置したとしても、コウモリがセンサーを横切る向きまで正しく判定できるのでしょうか?


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

ところで、動画撮影を定点カメラに任せた私はトンネルの反対側の出口に急いで回り込み、飛び出してくるコウモリの写真をなんとか撮ろうと奮闘していました。
高速で飛び回るコウモリを「数撃ちゃ当たる式」でバシバシと闇雲に撮りまくっても、コウモリの種類を同定できるような満足の行く写真は撮れませんでした。
カメラのストロボが発する強烈な閃光とコンデンサーに急速充電するチュイーン♪という超音波が野生のコウモリに悪影響を及ぼしそうで、ストロボを乱用するのは気が引けます。
もしも私の撮影活動のせいでコウモリが嫌がったり恐怖を抱いたりして、このトンネルをねぐらとして利用しなくなったら、元も子もありません。
かと言って、赤外線の暗視映像だけではコウモリを同定できず、素人が許可なくコウモリを捕獲することも法律で禁じられています。
どうすりゃイイのよ?
一つの望みは、バット・ディテクターという装置を手に入れてコウモリが発する超音波の鳴き声を聞けるようになったら、声紋解析でコウモリの種類を判別できるかもしれません。




この集団塒を見つけた2015年は、主にトンネルの出入り口の外から定点観察・撮影しました。
コウモリが出産・育児をする繁殖期は特に塒の保護・保全に配慮するようにという注意を本で読んだからです。
この年はトンネルの入り口から中に数m入るだけに留め、奥まで入ってコウモリの集団塒を直接調べに行きませんでした。


2018/12/11

トンネル天井にぶら下がる野生コウモリの飛び立ち【暗視映像】



2017年9月中旬・午後16:53

山麓のボックスカルバート内にねぐらを取っている夜行性の野生コウモリを調べています。
赤外線の暗視カメラで撮りながら長くて暗いトンネルを探検していると、2頭のコウモリがバラバラで(群塊を作らず)天井からぶら下がっていました。
左の個体は既に覚醒していて、私を警戒しています。
怪しい侵入者に向かって盛んに超音波を発して探っているのでしょう。(コウモリの超音波を可聴域に変換するバットディテクターという装置が欲しい…)
小さい耳介は丸みを帯びた形状でした。
やがて天井から落ちながら羽ばたいて飛び去りました。
飛び立つ様子を1/10倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:45〜)
右側の個体もいつの間にか居なくなっていました。

これは何というコウモリなのか、もし映像で分かるようでしたら、どなたか教えてください。
虫が相手ならさっさと採集して標本で体の各部位の特徴を図鑑と見比べれば絞り込めるのですけど、野生のコウモリを無許可で捕獲するのは法律で禁じられているのです。
コウモリの集団塒を保全するためにその場所を秘匿したり、
コウモリの暮らしを乱さないように入洞する時期や時間帯を配慮する必要があります。
別に不満を訴えている訳ではありませんが、虫を相手にした調査の気楽さに比べて、色々と勝手が違います。
コウモリを同定できれば同じ種類の映像を編集でまとめて一気に紹介するのですけど、私は未だ見分けられないので、撮れた動画を1頭ずつ分けて記事にしています。
複数種が塒内で棲み分けていることがよくあるそうです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2018/11/03

夕闇の崖を歩くネコ



2018年8月上旬・午後18:59(日の入り時刻は午後18:44)

日没後、池の畔の崖で1頭のイエネコFelis silvestris catus)が活動していました。
白地に黒い斑紋の猫が薄暗がりの急斜面を忍び足でトラバースしています。
首輪は見えませんが、野良猫なのかな?

水際に下りて池の魚を取ったり岸辺のカルガモなどを襲うなど、何か獲物を捕食するのでは?と期待して(※)対岸から撮ってみました。
しかし、気まぐれな猫は斜面を登り返してしまいました。

※ 池の岸の茂みで鯉の白骨化死体を見つけたことがあり、このネコの仕業ではないかと疑っています。


ネコ@晩:濠沿いの崖+トラバース徘徊

2018/09/17

水を飲み毛繕いする猫



2018年6月中旬

民家の玄関先でイエネコFelis silvestris catus)が水の入ったボウルをピチャピチャ舐めてを飲んでいました。
軽くカールした尻尾の先を水を飲みながら左右に振っています。
首輪は付けていませんが、ここで飼われている猫なのでしょう。(野良猫に給餌しているのかな?)

時々こちらを振り返り、舌舐めずりしてから飲水を再開。
身震いすると、段差を降りて座り込みました。
揃えた前足を舐め、毛繕いを始めました。
こちらを見据えたままで、尻尾をくねらせています。

撮っている私の背後にクーラーの室外機があるためファンの騒音がうるさいのですが、コムクドリSturnus philippensis)の親鳥が警戒声♪をずっと発しています。
実は、近くにコムクドリの営巣木があるのです。
猫が雛鳥を襲って捕食するのではないかと私も心配です。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/08/16

夕暮れに線路沿いを散歩する長毛ネコ



2016年7月上旬・午後19:23〜19:25(日の入り時刻は午後19:05)

日没後に長毛のイエネコFelis silvestris catus)が田舎のローカル線(単線)を散歩していました。
野生のタヌキにしては変だな?と焦って撮り始めたら猫でした。

▼関連記事
線路脇に尿で縄張りをマーキングする長毛ネコ

私がそっと近づくと、ネコは線路上に立ち止まり、こちらを見下ろしています。
やがてネコは砂利を盛った土手を降り始め、下の農道に向かいました。
こちらを一瞥してから砂利道を歩き去ります。

向こうから走って来た自転車が猫に気づいて止まってくれました。
ライトを点灯した自転車も恐れない、完全に人馴れした猫でした。
実はこの間、軽トラックも農道を通り過ぎています。(私も横にどいて車を通したので撮影中断)
首輪は見当たりませんけど、近くで誰かに飼われている飼い猫なのでしょう。


長毛ネコ@線路

2018/07/17

早春の野原を3頭で散歩するイエネコ



2018年3月下旬

根雪が溶けたばかりの休耕地?を小走りで移動する黒猫を見つけた私は、野生動物かと思って撮り始めました。
すると更に2匹(黒猫1、茶猫1)のイエネコFelis silvestris catus)と合流しました。

茶色の猫が先頭に立ち、尻尾を左右に大きくくねらせながら枯れ草の茂みを歩き回ります。
おそらく野ネズミを探索しているのでしょう。
獲物に飛びついて捕らえ損ねたついでに、黒猫と茶猫の2頭がふざけたようにもつれ合いました。

私は家で猫を飼った経験が無くて本やテレビなどから得た中途半端な知識しかありません。
それでもなんとなく、茶色の個体が♀で黒猫♂2頭がつきまとっているように見えました。
発情が近い♀を♂が交尾前ガードしていると勝手に解釈してみたのですが、どうでしょう?
だとすれば♂同士がもっと喧嘩するはずですかね?
ただの仲良し3頭組なのかな?
首輪は見えませんけど、おそらく近所で飼われている飼い猫なのでしょう。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/07/11

立ったまま反芻するヤギ♀



2018年4月下旬

排泄を終えたヤギ(山羊)♀(Capra hircus)は立ったままで口をモグモグと動かしていました。
食べて一部消化した草を吐き戻して反芻しているのです。
横目で私の様子を伺っているようです。
ときどき耳を動かし、顔にたかるハエを追い払っています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ヤギ♀@原っぱ+立位反芻

2018/07/06

排尿から排便するヤギ♀



2018年4月下旬

原っぱで除草のために放牧されている白いヤギ(山羊)♀(Capra hircus)が立ったまま少し腰を落とすと、尿道口から小便(おしっこ)を排泄し始めました。
排尿時は後脚を軽く屈んだ姿勢になりました。
これは同じウシ科ヤギ亜科のニホンカモシカ♀の排尿姿勢と似ていて、興味深く思いました。
比較のために、今度はヤギ♂の排尿姿勢を観察してみたいものです。

▼関連記事
ニホンカモシカ♂(左角欠け)の排尿

排尿を終えたヤギ♀は立ち上がると、今度は肛門から黒くて丸い粒のような糞をポロポロと排泄しました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ヤギ♀@排尿
ヤギ♀@排便

ランダムに記事を読む