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2018/08/21

アメリカキササゲの花蜜を吸うクマバチ



2018年6月中旬

校庭の隅にアメリカキササゲの高木が2本並んで立派に育ち、白い花が満開に咲いていました。
そこへキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)が何匹も集まり忙しなく訪花していました。
複数個体を撮影。

下から仰ぎ見ると高所で採餌するクマバチの顔色や複眼が見えず、性別を見分けられません。
少なくとも、後脚の花粉籠は空荷でした。
花の盛りは過ぎていて、雄しべの花粉はほとんど残っていないようです。

クマバチと言えばハナバチ類の中でも舌が短く、穿孔盗蜜の常習犯として有名です。
しかし、このアメリカキササゲの花に対しては毎回常に正当訪花し、盗蜜しませんでした。
花筒が充分に太いおかげで、クマバチも入口から楽々と潜り込んで奥の蜜腺を舐めることができるようです。

アメリカキササゲの円錐花序で隣接する花へ飛ばずに歩いて移動することもありました。(省エネ採餌)
花蜜が豊富な花に当たると夢中になって吸蜜し、なかなか外に出て来ません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
風揺れが激しいので、あえて手ブレ補正処理はしませんでした。


クマバチ@アメリカキササゲ訪花吸蜜
クマバチ@アメリカキササゲ訪花吸蜜
クマバチ@アメリカキササゲ訪花吸蜜
クマバチ@アメリカキササゲ訪花吸蜜
クマバチ@アメリカキササゲ訪花

地面に落ちていたアメリカキササゲの花を拾い、中の構造を調べるために分解してみました(花弁を半分だけ割いた)。


アメリカキササゲ落花@採取
アメリカキササゲ落花@採取
アメリカキササゲ落花:入口@採取
アメリカキササゲ落花:下面@採取
アメリカキササゲ落花:内部構造@分解

アメリカキササゲ花
アメリカキササゲ花
アメリカキササゲ幹
アメリカキササゲ幹
アメリカキササゲ蒴果(前年の物が枝に残る)
アメリカキササゲ蒴果(前年の物が枝に残る)

2018/08/20

ソヨゴの雄花で吸蜜するコマルハナバチ雄蜂♂



2018年6月中旬

街路樹として植栽されたソヨゴの雄株でコマルハナバチ♂(Bombus ardensが訪花していました。
本種の雄蜂は♀とは体色が異なり、きれいなレモン色をしているのが特徴です。(性的二型)
白い小さな花から花へと忙しなく吸蜜して回ります。
雄蜂は採餌しませんから、後脚には花粉籠の構造が発達していません。(花粉団子を運ばない)
マルハナバチ類の中でコマルハナバチは営巣開始が最も早く、雄蜂や新女王など次世代の生殖虫を最も早く産出します。
他の種類のマルハナバチではこの時期に雄蜂を見かけることはまずありません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
絶え間なくビル風が吹いて枝が激しく揺れるので、動画編集時にあえて手ブレ補正処理をしませんでした。
(やると副作用でグニャグニャと歪み不自然で酔いそうな動画になるのです)




▼関連記事(同じ日に続けて撮影)
ソヨゴの雄花で採餌するコマルハナバチ♀

コマルハナバチ♂@ソヨゴ雄株+訪花吸蜜
コマルハナバチ♂@ソヨゴ雄株+訪花吸蜜

2018/08/19

ハコネウツギの花で穿孔盗蜜と正当訪花を自在に切り替えるクロマルハナバチ♀



2018年6月中旬
▼前回の記事
ハコネウツギに正当訪花で採餌するクロマルハナバチ♀

ハコネウツギ(別名ベニウツギ)の生垣でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。

少なくとも2匹のワーカーが採餌していたのですが、動画に撮りながら同一個体を追いかけると、正当訪花と穿孔盗蜜を切り替えていました。
穿孔盗蜜とは、漏斗状の花筒の根元を外側から噛んで穴を開け、そこから舌を差し込んで蜜腺を舐める採餌行動のことです。
特にラストシーンを見てもらうと(@4:00〜)、穿孔盗蜜の手順がよく分かります。(これは会心の証拠映像!と自画自賛)
蜂は後ろ向きなので口元の動きは見えませんが、花筒の奥を正面から見ていると、蜂が花弁の根元に外側から小さな穴を開け、次に黒くて細長い舌をその穴に挿入して蜜腺を舐めています。
植物の側からすると送粉の報酬としてせっかく花蜜を用意したのに、盗蜜されると丸損になります。
クロマルハナバチはマルハナバチ類の中でも舌が短く、盗蜜の常習犯として知られています。
ハコネウツギの花筒に対してクロマルハナバチ♀は正当訪花でも吸蜜できるのに、なぜか盗蜜行動⇔正当訪花と自由自在に(気紛れに?)スイッチするのがとても面白く思いました。
ハコネウツギの咲いたばかりの白い花でも、咲いてから日にちの経ったピンクの花でも、クロマルハナバチ♀は穿孔盗蜜していました。

後脚の花粉籠に注目すると、白い大きな花粉団子を付けていました。
もし盗蜜に専念しているのであれば、花筒の中で待ち構えている雄しべに全く触れませんから体は花粉で汚れず、後脚の花粉籠は空荷のはずです。
こうした個体は花粉籠が満タンなのに胃は未だ満腹ではない、と仮定すれば説明できるでしょうか。
つまり、「もう花粉で体が汚れるのは煩わしいけれども帰巣する前に蜜だけ吸いたい」と判断した蜂が正当訪花から盗蜜に切り替えたのかもしれません。
しかし、逆に盗蜜から正当訪花に切り替える場合もあることをこの仮説は説明できません。
自分で穿孔するのは面倒でやらないけれど、もし先客が穿孔した盗蜜痕を見つけたら手っ取り早くそれを利用して盗蜜する、という二次盗蜜者の採餌戦略なのかもしれません。
あるいはもしかすると、ハコネウツギの花筒の長さには変異があるのでしょうか。
訪花するクロマルハナバチ♀はそれを瞬時に見分けて、正当訪花しても舌が蜜腺に届きそうにない長い花筒の場合は盗蜜するのかな?

興味深い問題ですが、素人にはこれ以上どうやって追求したらよいものやら、分かりません。
とりあえず、個体標識したワーカー♀をひたすら追跡して採餌法を記録する、ぐらいしか思いつきません。

その後で蜂の舌の長さや訪花した花筒の長さを丹念に採寸すれば何か分かるかもしれません。
そもそも盗蜜行動は各自が学習によって身につけるものなのか、それとも生得的な採餌法なのか、気になります。



【追記】
同じハコネウツギの花でひたすら穿孔盗蜜に専念するクマバチ♀とは対照的です。


クロマルハナバチ♀@ハコネウツギ訪花+穿孔盗蜜
クロマルハナバチ♀@ハコネウツギ訪花+穿孔盗蜜
クロマルハナバチ♀@ハコネウツギ訪花+穿孔盗蜜
クロマルハナバチ♀@ハコネウツギ訪花+穿孔盗蜜

2018/08/17

フウリンソウの花で採餌するセイヨウミツバチ♀



2018年6月下旬

民家の庭の花壇に見慣れないピンク色の花が咲いていて、セイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。

入口の口径が大きいので、わざわざ盗蜜する必要がないのでしょう。
釣鐘型の花筒に正当訪花しています。
体中が黄色い花粉で汚れているものの、後脚の花粉籠は空荷でした。
隣には花弁が紫や白色の品種も咲いていて、ミツバチはどちらの花からも採餌しています。
先客が採餌している同じ花に入りこんでもトラブルにはならず、そそくさと外に出て来ました。

帰ってからこの園芸植物の名前を調べると、フウリンソウ(別名ツリガネソウ)と知りました。

複数個体を撮影。


セイヨウミツバチ♀@フウリンソウ訪花(ピンク)採餌
セイヨウミツバチ♀@フウリンソウ訪花(紫)採餌

フウリンソウ花:ピンク
フウリンソウ花:紫
フウリンソウ花:紫
フウリンソウ花:白

2018/08/15

ハコネウツギに正当訪花で採餌するクロマルハナバチ♀



2018年6月中旬

駐車場の隅に生垣として植栽されたハコネウツギ(別名ベニウツギ)クロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が正当訪花していました。
漏斗状の花筒の開口部から頭を潜り込ませて(正当訪花)、奥の花蜜を吸っています。
体に付着した花粉は後脚の花粉籠にまとめるので、少量の白い花粉団子を付けて運んでいます。
複数個体を撮影。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
この日は風揺れが激しくて、虫撮りには悪条件でした。
いつものように手ブレ補正処理すると副作用でグニャグニャと不自然に歪んで酔いそうな映像になるので、今回はあえてやりませんでした。



つづく→ハコネウツギの花で穿孔盗蜜と正当訪花を自在に切り替えるクロマルハナバチ♀

クロマルハナバチ♀@ハコネウツギ訪花・全景
クロマルハナバチ♀@ハコネウツギ訪花採餌(正当訪花)
クロマルハナバチ♀@ハコネウツギ訪花採餌(正当訪花)

2018/08/09

ハコネウツギを訪花するセイヨウミツバチ♀



2018年6月中旬

駐車場の生垣に咲いたハコネウツギ(別名ベニウツギ)セイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が漏斗状の白い花筒に正当訪花していました。
なぜか吸蜜せずに飛び去りました。
後脚の花粉籠は空荷でした。
ハコネウツギは初めは白い花が咲き、次第に赤へと変わるらしい。



この日は風が強く、撮影に難儀しました。
盗蜜していた別種のハナバチ類の撮影に夢中になり(映像公開予定)、正当訪花する蜂はこの短い映像しか撮れませんでした。
撮れたと思ったのに勘違い…。来年、吸蜜シーンを撮り直します。


セイヨウミツバチ♀@ハコネウツギ訪花吸蜜

ハコネウツギ花@生垣
ハコネウツギ花@生垣
ハコネウツギ花@生垣

2018/08/07

ソヨゴの雄花で吸蜜するニホンミツバチ♀



2018年6月上旬

街路樹として植栽されたソヨゴの雄株に白くて小さな花が咲いていました。
どの花も雄花で、よく見ると花粉の付いた雄しべがありますが雌しべを欠いています。(雌花を付ける雌株の木は別にあるのです。)
ニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が訪花していました。
吸蜜中に後脚の花粉籠を見ると、空荷でした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ニホンミツバチ♀@ソヨゴ雄株+訪花吸蜜

ソヨゴ雄花@雄株
ソヨゴ雄花@雄株

2018/08/01

ハルジオンの花で採餌するセイヨウミツバチ♀



2018年5月中旬

川の堤防に咲いたハルジオンの群落でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。
後脚の花粉籠は空荷でした。

意外にも、この組み合わせを撮るのは初めてです。


セイヨウミツバチ♀@ハルジオン訪花採餌

2018/07/30

ホウチャクソウの花で吸蜜するトラマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】



2018年5月中旬

里山の山道沿いに咲いたホウチャクソウの群落でトラマルハナバチ♀(Bombus diversus diversus)が訪花していました。
創設女王なのか、それともワーカー♀なのか、微妙な時期です。
少なくとも2匹が来ていました。(複数個体を撮影)
ホウチャクソウの白い花から花へ忙しなく飛び回り、毎回、花筒の入口から潜り込んで正当訪花しています。
それなのに、後脚の花粉籠は空荷でした。
(足先に黄色い花粉を少量付けた個体がいました。)
白い花筒の中で黒くて長い舌を伸縮させて吸蜜する様子が薄い花弁を通して透けて見えることがあります。(@1:33〜1:44)

240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:09〜)
スーパースローで見ると、トラマルハナバチ♀は花にぶら下がり吸蜜しながらゆっくり回転しています。
複数の蜜腺を探り当てながら順に吸蜜しているのでしょう。
体に付いていた花粉がたまに落ちる様子もスローモーションだと無駄にドラマチックで見応えがあります。
花から飛び去る時も長い舌を伸ばしたままでした。
次の花に着地する瞬間を撮ろうとして、苦労しました。
群落で次はこの花に来るであろうと待ち構えて撮り始めても予想が何度も外れ、ようやく成功!


▼関連記事(10年前に撮った動画はやはり画質が見劣りしますね。)
トラマルハナバチ♀がホウチャクソウを訪花


トラマルハナバチ♀@ホウチャクソウ訪花吸蜜
トラマルハナバチ♀@ホウチャクソウ訪花吸蜜

2018/07/23

アブラムシを捕食中のナミテントウ幼虫を襲うアリ



ナミテントウの飼育記録#5


2018年5月中旬


▼前回の記事
ヨモギヒゲナガアブラムシを捕食するナミテントウ若齢幼虫

道端からヨモギを採集してくる際に、一緒についてくるアリを完全に取り除いておく必要があります。
アブラムシが分泌する甘露を報酬として、アリはアブラムに随伴し、その天敵から守るボディーガードとして働きます。

ヨモギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogicola)を捕食中のナミテントウHarmonia axyridis)若齢幼虫に対してボディーガード役のクロアリ(種名不詳)のワーカー♀が激しく噛み付いたり腹端から蟻酸を吹きかけたりしていました。
ところがナミテントウ幼虫はアリから攻撃を受けても平然と捕食を続け、逃げたりしませんでした。
テントウムシの幼虫は体表のトゲトゲで自衛しているようです。
逆になぜかアリの方がどこかへ行ってしまいました。
アリを同定する前に素早く逃げられてしまったのが残念です。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#6:脱皮中のナミテントウ若齢幼虫【10倍速映像】



【追記】
今村寿明『化学で勝負する生物たち―アレロパシーの世界〈1〉』によると、
テントウムシ自体もなにせ1cm満たない昆虫だから、アリなどに寄ってたかられると食べられてしまう。このときにはテントウムシの方がコシネリンという化学物質を放出するが、このコシネリンは10^-3mol/d㎥程度の溶液でもアリが嫌がる。つまり、ナナホシテントウの対蟻防衛物質というわけである。 (p57より引用)
テントウムシの幼虫も成虫と同じくコシネリンを放出するのだそうです。
今回の動画でナミテントウ幼虫が対蟻防衛物質を含む液体を分泌している様子は写っていませんでした。



2018/07/19

カキドオシの花で穿孔盗蜜するクマバチ♂【HD動画&ハイスピード動画】



2018年5月上旬
▼前回の記事
カキドオシの花で盗蜜するクマバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

川の堤防や河畔林の林床に咲いたカキドオシの大群落でキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)の♀ばかりでなく雄蜂♂も穿孔盗蜜していました。

複眼が大きく発達していて顔の頭楯が白いのが雄蜂♂の特徴です。
♂は採餌せず自分の空腹を満たすために吸蜜するだけですから、集めた花粉を巣に持ち帰るための花粉籠と呼ばれる器官が後脚には元々ありません。
訪花シーンをよく見ると、クマバチ♂は体が大きい(太い)ため、カキドオシの花筒の入り口から潜り込んで正当訪花することができません。
毎回常に花筒の根本に外側から口器を突き刺して吸蜜しています。
これは穿孔盗蜜と呼ばれる行動で、クマバチやクロマルハナバチのような舌の短い蜂の得意技です。
雄しべの花粉に全く触れませんから、カキドオシの受粉には関与しません。
カキドオシの立場にしてみれば、せっかく受粉の報酬として用意した花蜜が盗まれ損ということになります。


後半は240-fpsのハイスピード動画でも記録してみました。(@3:22〜)
複数個体を撮影。
リアルタイムでは見ているこちらの目が回りそうなくらい忙しなく飛び回ってます。
1/8倍速のスーパースロー映像でクマバチ♂の行動をじっくり見ると、面白いことが色々と分かります。
先客が残した盗蜜痕をそのまま利用することがありました。(例:@4:32)
このようなケースを二次盗蜜者と呼ぶらしい。
いちいち穿孔する手間も面倒なので、なるべく楽して省エネで盗蜜したいのでしょう。
腹端から白い小さな液滴がポトリと落ちたのは、飛びながら脱糞したのかもしれません。(@6:51)


クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜

2018/07/17

ライラックの花で吸蜜するクロマルハナバチ創設女王



2018年5月上旬

公園に植樹されたライラック(=リラ、ムラサキハシドイ)の灌木で紫の花が満開に咲いています。
クロマルハナバチBombus ignitus)の創設女王が訪花していました。
大型の個体なので、この時期はワーカー♀ではなく創設女王でしょう。
後脚の花粉籠は空荷でした。
女王蜂はライラックの花蜜を少し吸っただけで飛んで逃げてしまいました。
時間に余裕があればその場で待機して蜂が戻ってくるまで粘ったのですが、この日は別の用事があり、後ろ髪を引かれつつ先を急ぎます。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


クロマルハナバチ♀創設女王@ライラック訪花吸蜜

ライラック花
ライラック花

2018/07/15

ヒゲナガハナバチの一種:♂同士の誤認求愛



2018年5月上旬


▼前回の記事
カキドオシの花蜜を吸うヒゲナガハナバチの一種♂

川の堤防に咲いたカキドオシの群落でこの日に見かけたヒゲナガハナバチの仲間は触角の長い雄蜂♂ばかりで、触角の短い♀の姿を見かけませんでした。
♀が未だ羽化する前に♂が活動を始め、交尾相手の♀を待ち伏せしているのでしょう。(雄性先熟)

一匹の♂αが吸蜜しながら腹部を身繕いしていると、そこへ(おそらく同種の)別個体♂βが背後から飛来して軽く飛びつきました。
すぐに離れて少し離れた別の花に着陸し、吸蜜を始めました。
餌場(蜜源)からライバル♂を追い出す縄張り争いではないようなので、おそらく♀と誤認して交尾しかけたのでしょう。

スーパースローで撮影していれば、一瞬の出会いで何か面白いことが行われていたのかどうか突き止められたかもしれません。

その後、二匹の雄蜂は花上で念入りに化粧をしています。
とても長い口吻を伸縮させ、前脚で拭いました。
このぐらい舌が長ければ、カキドオシの漏斗状の花筒の奥にある蜜腺から吸蜜するのは容易でしょう。
カキドオシに正当訪花して吸蜜するハナバチ類は長い舌が必要なのです。

上の個体♂βが先に花から飛び立ちました。
下に居た個体♂αに再び誤認求愛してから飛び去りました。
今回もすぐに離れましたが、♂αは何か交尾拒否(抗議)のシグナルを発したのかな?

蜂を同定するため撮影後に持っていたビニール袋を被せて採集しようとしたものの、逃げられてしまいました…。



2018/07/14

ダニに体外寄生されたクロマルハナバチ創設女王が林床で身繕い



2018年5月上旬・午後14:52

河畔林の林床で越冬明けのクロマルハナバチBombus ignitus)の創設女王を見つけました。
てっきり営巣地を探索しているのかと思い、追跡するつもりで動画を撮り始めました。
林床を覆うように育ち始めたカキドオシの群落も未だ丈が低く、花も一部が咲き始めたばかりです。

ところが予想に反してクロマルハナバチ創設女王は地中の穴には潜り込まず、ニセアカシア(別名ハリエンジュ)灌木の根際に立ち止まって身繕いを始めました。
背中を足で頻りに掻いています。
後脚の花粉籠は空荷なので、幼虫のための採餌活動もしていないようです。
その後脚をよく見ると、多数の赤っぽいダニがびっしり付着していました(体外寄生)。
ダニのせいでクロマルハナバチ女王は痒みを感じて身繕いばかりしているのかな?
この寄生ダニに注目して接写するべきでしたが、やや薄暗い現場では気づきませんでした。

『マルハナバチの謎〈下巻〉 (ハリフマンの昆虫ウオッチング・社会性昆虫記)』によれば、

越冬したマルハナバチの女王バチの体が小さな褐色の点で一面におおわれていることがあります。これが<まるはなばちやどりダニ>です。このダニは毛の色もまったくわからなくなるほどマルハナバチにたかります。やがて働きバチがかえるとダニは働きバチに移り、巣の底にもうごめくようになります。(p46より引用)



この本は旧ソ連の昆虫学者が書いた原著を翻訳したもので、<まるはなばちやどりダニ>の正式名称や学名は不明です。
吸血性のダニなのだとすると、寄主は体力を消耗して営巣活動やコロニーの繁殖力に悪影響を及ぼすのではないでしょうか?


▼関連記事(10年前の秋に撮影)
クロマルハナバチ♀と寄生ダニ
ちなみに私が見つけた二例とも、寄主は不活発な状態でした。


クロマルハナバチ創設女王:ダニ寄生@林床+身繕い

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