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2023/07/15

砂地の地面を尾端で叩いて回るスキバツリアブ♀(産卵行動?)

 

2022年7月中旬・午前10:10頃・晴れ 

川沿いの堤防路(ダートロード)で砂地の部分にスキバツリアブ♀(Villa limbata)が降り立っていました。 
スキバツリアブはてっきり山地性と思っていたので、こんな平地(郊外と田園地帯の間)でも会えるとは意外でした。 

ホバリングの名手が地上で羽ばたきを止め、尾端を小刻みに上下して地面に付けています。 
本種の♀は産卵前に予め取り込んだ細かい砂で卵をまぶしておくのだそうです。 
途中で少し飛んであちこち移動してから、再び尾端接地行動を繰り返します。 
平べったい石の上では尾端接地行動をしないですぐに飛び立ちました。
定説に反して、実はこれが産卵行動なのでは?と私は密かに疑っています。 
撮影後に現場の砂を掻き分けて微小な卵を探し出し、飼育できたら証明になるのですけど、想像するだけでも難しそうです。
私の仮説が正しければ、この辺りにスキバツリアブの寄主となる地中営巣性のハナバチ類の巣穴があるはずです。
それとも、尾端接地行動した後の♀を追跡して観察すれば、産卵行動が見れるのでしょうか? (私は未だ見たことがありません。) 
本当の産卵はホバリングしながら卵を散布するのかな?

 

2023/07/07

腐った青リンゴから吸汁するニクバエの1種

 

2022年7月下旬・午前10:10頃・晴れ 

果樹園で未熟なうちに間引かれたリンゴの果実(摘果)が林床に多数転がっていました。 
1箇所にまとめられた未熟果(青リンゴ)が腐り、褐色に変色しています。 
辺りに漂う良い芳香(発酵臭)に誘引されたニクバエの1種が、摘果の表面を舐め回していました。 

チョウやスズメバチ類も腐果を吸汁しに集まっているかと期待して探したのですが、ハエ1匹しか来てなくて残念。 
殺虫剤を散布しているのかな?

野生動物による食害を防ぐために、この時期から果樹園全体を囲むように電気柵が張り巡らされていました。 
果樹園の横の公道から撮ったのですが、撮影に夢中になった私が吸い込まれそうにバランスを崩して電気柵の電線を咄嗟に手で掴みそうになり、「うーわ、危ない!」と焦りました。

2023/07/03

アリに噛まれて飛び去るオオモモブトハナアブ♀

 

2022年9月上旬・午前11:55頃・くもり 

山道の横の苔むしたハリギリ(別名センノキ)大木の根元でホバリング(停空飛翔)する昆虫がいました。 
縄張りを張っていたのか、あるいは私の汗を舐めようと飛来したのか、分かりませんでした。 
てっきりマルハナバチかと思ったのですが、林道脇に露出した石の上に着陸したのでズームインしてみると、マルハナバチにベーツ擬態したオオモモブトハナアブ♀(Matsumyia jesoensis)でした。 
 「カオグロ」オオモモブトハナアブではありません。 
側面からは分かりにくいのですけど、左右の複眼は中央で接していないので♀と判明。 

石の上で微小なアリ(種名不詳)に右中脚の先端(跗節)を噛まれ、慌てて飛び去りました。 
微小なアリにしてみれば、ただでさえ視力が悪いのに巨大なアブの全身像は把握できませんから、蜂に擬態しているかどうかなんて預かり知らぬところです。
オオモモブトハナアブ♀を攻撃して追い払ったというよりも、噛み付いて獲物かどうか味見してみたのでしょう。
つまり、アリに対してベーツ型擬態は通用しません。

オオモモブトハナアブ♀は近くの幼木の葉に止まり直したものの、すぐにまた飛び立ちました。 
音量を上げるとオオモモブトハナアブ羽音♪がかすかに聞こえます。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:30〜) 

※ 羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。



2023/06/21

ベッコウバエの婚活パーティーで独身♀に求愛しても振られ続ける「あぶれ♂」(交尾拒否)

 



2022年11月上旬・午後12:05頃・くもり 

腹部の色で性別をかんたんに見分けることができるベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)は、配偶行動の観察に向いています。 
腹部が黒光りしているのが♀で、黄金色の毛が密生しているのが♂です。 

少し時間を置いたら、逃げていたベッコウバエ♀♂がホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場dに多数戻って来ました。 
複数のベッコウバエ♀がタヌキの糞を舐めています。 
独身の「あぶれ♂」が翅を小刻みに開閉しながら交尾相手♀を求めてうろついています。 
性比は珍しく♀の方が多くて、♂にとっては夢のハーレム状態(交尾し放題)のはずです。
ところが、あぶれ♂が近くに居る単独♀に次々に飛び乗って求愛・マウントしても、なぜか連戦連敗です(ふられ続ける)。 
早い者勝ちの♂が♀の背に乗って配偶者ガードしている訳でもないのに、単独♀が単独♂の求愛を断るのは不思議です。 
交尾済みの♀は2度と交尾しないのでしょうか? 
それなら♂が♀を交尾後ガード(配偶者ガード)する必要はなくなります。
それとも♀は交尾相手の♂を厳しく品定め・選り好みしているのでしょうか? 
♀が同意しなければ♂がマウントしても交尾は成立しません。

あぶれ♂に度重なる求愛を受けても(セクハラ)、♀は嫌がって逃げたりしないで、落ち着いて吸汁を続けています。 
交尾拒否すればあぶれ♂が紳士的に諦めてくれるので、安心できるのでしょう。 
しかし、ベッコウバエ♀が交尾拒否する意思表示法が私には分かりません。 
♂にマウントされた♀が腹端を下に屈曲するのが交尾拒否なのかな? 
たとえば♂にマウントされた♀が胸部の飛翔筋を高速で動かして、体の振動で♂にお断りの合図を出しているのかもしれません。 
高性能のマイクを溜め糞に仕込めば、かすかな羽音も聞き取れるはずです。 

♀も脚を持ち上げて広げることで、隣の♀が近づかないよう牽制しています。
しかし「あぶれ♂」は♀から足蹴にされないよう前後から求愛アプローチしてマウントを試みます。

次はベッコウバエ♀の産卵行動を観察したいものです。




2023/06/18

交尾中のベッコウバエ♀♂に繰り返しアタックするハクサンベッコウバエ♂の謎(誤認求愛? 縄張り争い?)

 

2022年11月上旬・午前11:45頃・くもり 

山林の小径に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場dには、ベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)だけでなくハクサンベッコウバエNeuroctena analis)も少数ながら来ていました。 




イタヤカエデの黄色い落ち葉の上で交尾を始めたベッコウバエ♀♂の背後にハクサンベッコウバエ♂が飛来しました。 
私には外見でハクサンベッコウバエの性別を見分けられませんが、その後やった行動から♂と思われます。 

翅を半開きにして交尾しているベッコウバエ♂の背後からハクサンベッコウバエ♂が忍び寄り、いきなり跳びつきました! 
ハクサンベッコウバエ♂が別種の♂に対して誤認求愛してしまったのでしょうか? 
同じベッコウバエ科ですが、別種で体格も異なります。 
ハクサンベッコウバエ♂の眼には、巨大な同種♀が近くに居るように見えて、その魅力に抗えずに求愛してしまうのかもしれません(超正常刺激)。 
しかしハクサンベッコウバエ♂は相手に触れた瞬間に間違いに気づいたらしく、すぐに離れました。 

背後から不意打ちを食らったベッコウバエ♂は、直ちに左右の前脚を大きく開いて持ち上げ、交尾相手の♀を奪われないように撃退・牽制の姿勢になりました。(配偶者ガード) 
衝撃に驚いたベッコウバエ♀は、同種♂を背負ったままイタヤカエデの落ち葉から前進して溜め糞の上に移動すると、口吻を伸ばして吸汁し始めました。 

驚いたことに、逃げたベッコウバエ♂に対してハクサンベッコウバエ♂が再び背後から飛びかかりました。 
ベッコウバエ♂は翅を斜め上に持ち上げ、前脚を高々と上げて、撃退ポーズを取ります。
(翅を震わせてリリースコール♪を発していたら面白いのですが、それは無さそうです。) 
ベッコウバエ♂の翅先に乗ったハクサンベッコウバエ♂は、自らの誤認に気づいて離れました。 
翅の黒い斑点模様がベッコウバエに特有のトレードマークです。
それを見れば明らかに別種だ(ハクサンベッコウバエではない)と気づくはずなのに、ハクサンベッコウバエ♂は懲りずに同じ相手に誤認求愛を繰り返しています。 
学習能力が全くありません。
薄暗い林床では視覚による認識がおぼつかなくなり、誤認が増えるのかな? 

もしも配偶者ガードするベッコウバエ♂が居なかった場合、体格の小さなハクサンベッコウバエ♂が、体格の大きな異種のベッコウバエ♀に誤認したまま交尾を挑むことがあり得るのでしょうか? 
だとすれば、異種間の繁殖干渉ということになります。 

秋の溜め糞場で最も興味深く、興奮した事件でした。
訳が分からないので、頭をひねって別の仮説をひねり出しました。 
ハクサンベッコウバエ♂は溜め糞の横で交尾相手の同種♀が飛来するのを待ち伏せしているはずです。 
今回見られたハクサンベッコウバエ♂の行動は、集団お見合い場となっている溜め糞からライバルを追い払う占有行動なのでしょうか? 
体格差をものともせずにベッコウバエに何度も飛びかかるハクサンベッコウバエは相当な闘士(ファイター)です。 
繰り返しアタックされたベッコウバエは確かにタジタジで少し離れて行きました。
それにしても、別種であるベッコウバエをライバルとみなす意味が分かりません。 

ハクサンベッコウバエ♂の同種♀への求愛が成就して交尾に至る過程を未だ観察できていないので、それが今後の課題です。 


英語版wikipediaには同属近縁種(Dryomyza anilis)に関する解説ページが立項してあり、交尾行動についても詳しく書かれていました。

2023/06/15

ベッコウバエ♂の配偶者ガード:横恋慕するあぶれ♂を足蹴にして撃退

 



2022年11月上旬・午前11:55頃・くもり 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場dで繰り広げられる ベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)の配偶行動が面白くて観察しています。 

糞塊の横でイタヤカエデの黄色い落ち葉に「あぶれ♂」が乗っていて、交尾相手の♀が溜め糞に飛来するのを待ち伏せしています。 
そのあぶれ♂が翅を半開きにピクピク動かすようになり、目の前で交尾していた♀♂ペアに跳びつきました。 
あぶれ♂は目の前で動くものに対しては、とにかく何にでも飛びついてみるようです。(誤認求愛) 

実は、このイタヤカエデの落ち葉に乗っていた個体は腹背が黒っぽかったので、てっきり♀だと初めは思い込んでいました。 
ところが、横から見ると黄色がかっていて、黄色の毛があまり密生していない♀♂中間型の個体でした。 
その後の行動を見る限り、♂で間違いなさそうです。 
♂なのに♀のふりをして油断させつつ交尾のチャンスを狙うスニーカー戦略の♂だとしたら面白いのですが、どうでしょうか? 

溜め糞に居る交尾ペア♀♂aをよく見ると、実際には交尾器を結合していない状態でマウントを続けており、配偶者♀をライバル♂bから守っている(交尾後ガード)、と表現するのが正しいです。 
♂が自分の遺伝子を確実に次世代に残すためには、交尾した♀が産卵するまで他の♂と浮気しないようしっかりガードする必要があるのです。
実際に、♂aは♀にマウントしながら中脚を伸ばしてあぶれ♂bが配偶者♀に近寄らないよう牽制し、強引に飛びかかってきたら蹴って撃退しました。 

足蹴にされたあぶれ♂bはあっさり諦めて、横のイタヤカエデ落ち葉にすごすごと戻りました。 
交尾中のペアに割り込んで♀を強奪することはありません。 
体格を比べると、今回は交尾後ガードをしている♂aがあぶれ♂bに勝っていました。 
もしもあぶれ♂の方が体格が大きければ、♀を奪い取って交尾できるのでしょうか? 
(私は♀の強奪シーンを未だ一度も見たことがありません。)

つづく→

2023/06/12

タヌキの溜め糞場で交尾を始めたベッコウバエ♀♂(求愛成就)

 

2022年11月上旬・午前11:45頃・くもり 

山林の斜面をトラバースする小径にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場dがあります。 
晩秋の小径には黄葉したイタヤカエデの落ち葉が敷き詰められていました。 
タヌキの新鮮な糞は下痢便(泥状)で、少し古い糞には白いケカビが生えかけています。 
糞塊にはベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)が群がり、婚活パーティーが繰り広げられていました。 
私が溜め糞に近づくと警戒して一斉に飛び去ってしまいましたが、しばらくすると少しずつ戻ってきます。 

溜め糞の横にあるイタヤカエデの黄色い落ち葉の上でベッコウバエ♀♂が出会い頭にいきなり交尾を始めました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
ベッコウバエの性別は腹部の色で簡単に見分けられます。 
♀の腹部は真っ黒で、♂の腹部には黄金色の剛毛が密生しています。 
イタヤカエデの落ち葉に乗っていた♀の正面から♂が翅を震わせながら近づき、そのまま♀に馬乗りになると、向きを変えて(頭の向きを揃えて)マウントしました。 
♀の背後からマウントした♂は、すかさず黒い交尾器を伸ばして♀に挿入したようです。 
♂の求愛が成就して交尾が始まる瞬間を初めて観察できました。 
どうもベッコウバエには儀式的な求愛行動というものは無いようです。 
強いて言えば、翅を素早く開閉して翅の黒い斑点模様を誇示するのが求愛なのかな? 
♂が求愛しても♀に交尾拒否される場合がほとんどなのですが、求愛の成否は何によって決まるのでしょう? 
♀が何らかの基準で♂を選り好みしているのか、それとも羽化した♀は♂と生涯で一度しか交尾しないのでしょうか? 

少しズームアウトすると、交尾中の♀♂ペアの少し上のイタヤカエデ落ち葉にあぶれ♂が乗って♀を待ち伏せしていました。 
交尾中の♂は、別のハエが飛来すると翅を半開きにして軽く震わせ、牽制・撃退します。(配偶者ガード) 
しばらくすると、♀と連結していた♂の交尾器が外れました。(@1:50〜) 
伸びた状態の♂交尾器がよく見えます。 
ベッコウバエの交尾時間は意外に短いようです。

2023/06/06

誰彼構わず(♂にも)交尾を挑むベッコウバエのあぶれ♂

 

2022年11月上旬・午後10:30頃・晴れ 

湿地帯を囲むコンクリート護岸に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場uを久しぶりに見に来たら、新鮮な糞が追加されていました。 
糞にたくさん含まれている黄色い粒は、未消化のトウモロコシのようです。 
この近くに飼料用のデントコーンを栽培する畑があったので、タヌキがそこで収穫後のトウモロコシ落ち穂を拾い食いしてきたのかもしれません。 
それとも、近所で生ゴミや残飯を漁ってトウモロコシにありついたのかな?

ベッコウバエDryomyza formosa)の♀♂ペアが交尾しながら口吻を伸縮させて獣糞を舐めていました。 
獣糞上を歩き回る♀♂ペアがバランスを崩して横倒しになり、ようやく♀の姿も見えました。
ベッコウバエは腹部の色で性別をかんたんに見分けることができます。 
♀の腹部は黒く、♂は黄土色で黄金色の毛が密生しています。 
よく見ると、♀にマウントした♂aは交尾器を結合しておらず、♂aは配偶者ガード(交尾後ガード)しているところでした。

やがて、あぶれ♂bが登場します。(@0:44〜) 
実は冒頭のシーンから溜め糞上に来ていました。 
糞塊をせかせかと歩き回り、交尾ペア♀♂aに正面から近づきました。 
そのまま交尾ペアの♂aにマウントしたものの、すぐに相手が♀ではないと気づいて自発的に離れました。 
交尾後ガードしている♂aがあぶれ♂bを撃退したようには見えませんでした。 

しばらくすると、更に別個体♂cが糞塊に飛来しました。 (@1:06〜)
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@1:33〜)、腹背が黒くないのでcは♀ではなく♂と分かります。 
♂cが溜め糞に着地した瞬間に横に居たあぶれ♂bが反応して向き直り、正面から飛びつきました。 
背後からマウントしながら方向転換して体の向きを揃えたものの、交尾には至らず離れました。 
今回は飛びついた相手cが♀ではなく♂だと気づくのに少し時間がかかりました。 
飛びつかれた♂がヒキガエルのようにリリースコール(「離せ!」)を発音していたら面白いのですが、私の耳には聞き取れませんでした。
♂bに襲われた♂cは驚いて(嫌がって?)飛び去ってしまいました。 
失敗続きでも、あぶれ♂bはめげません。 
あぶれ♂bは苛々と翅を素早く開閉して黒い斑点模様を見せつけながら、再び交尾ペア♀♂aにアプローチしました。 
再度♂aにマウントを試みるも、誤認求愛と気づいて離れました。

ベッコウバエの♂は♀に対して儀式的な求愛行動をしないようです。(翅紋誇示が求愛なのかな?)
いきなり相手に飛びついて背後からマウントします。 
しかもベッコウバエ♂は周囲で動くハエには誰彼構わず飛びついて交尾を挑むことが分かりました。 
相手に触れてみて初めて性別が認識できるようです。 
♂同士の闘争で交尾中の♀♂ペアから♀を強奪することはありませんでした。 

2023/06/02

ブタナに訪花するナミハナアブ♂

 

2022年11月上旬・午後13:30頃・晴れ 

河川敷の遊歩道沿いに咲いたブタナの群落でナミハナアブ♂(Eristalis tenax)が訪花していました。 
共にありふれた普通種ですが、この組み合わせは意外にも初見です。 

左右の複眼が頭頂で接しているので♂と分かります。 
ブタナ頭花の上でグルグル方向転換しながら、口吻を伸縮させて花蜜や花粉を食べています。 
食餌の合間に身繕い。 
左右の前脚を擦り合わせ、付着していたブタナの黄色い花粉を舐め取ってしまいます。 
複眼にも少量の花粉が付着しているのに、それは落とさずに吸蜜を再開。 

よく晴れているものの、秋風による風揺れに悩まされました。

2023/05/28

ヤマボウシの熟果を舐めるニクバエの一種

 

2022年10月下旬・午後15:25頃・晴れ 


河川敷に植栽されたヤマボウシの生垣が紅葉し、果実も赤く熟しています。 
ニクバエ科の一種がヤマボウシの熟果に止まり、その表面を口吻で舐め回していました。 

私もヤマボウシの熟果を味見してみることにしました。 
果皮がシワシワになった熟果を選んで摘果します。 
触れるとブヨブヨした触感でした。 
果皮を指で裂くと、柔らかくねっとりしたクリーム状の果肉が現れました。 
中には複数の種子が含まれています。 
味見すると薄っすらと甘かったのですが、品種改良された果物の甘さには到底及ばず、喜んで食べる気にはなれません。 

地面にはヤマボウシの落果が大量に散乱していました。 
トレイルカメラで監視すれば、タヌキやハクビシンなどの夜行性動物が落果を食べに来る様子が撮れたかもしれません。

2023/05/25

タヌキの溜め糞に群がるハクサンベッコウバエ♀♂の諸活動【10倍速映像】

 

2022年10月下旬・午後14:55頃・くもり 

山林の斜面をトラバースする小径にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場dの横に三脚を立てて微速度撮影してみました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 
10分間長撮りしてみても、つい先程獣糞に潜り込んだヨツボシモンシデムシは二度と表に現れませんでした。 
糞塊がモコモコと上下に動かなかったということは、中に糞虫は潜んでいないようです。 

下痢便状のタヌキの糞にはハクサンベッコウバエNeuroctena analis)が群がっていました。 
獣糞上で待ち伏せしていた♂が飛来した♀に飛びつき、カップルが成立しました。 
交尾は早い者勝ちのようです。 
体格は♀<♂で♂同士の熾烈な♀獲得闘争があるはずなのに、交尾が始まると横恋慕したり強奪したりすることはありませんでした。 

左上にある枯れ葉の上でもハクサンベッコウバエ♀♂が交尾しています。 
他には獣糞を吸汁したり身繕いしたりしています。 

途中から(@0:30〜)画面の右下に居座っているハクサンベッコウバエ(♂?)に注目すると、溜め糞上を徘徊する微小なクロアリ(種名不詳)を追い回しました。 
さすがに誤認求愛ではないはずですが、占有行動なのかな?

現場はスギ植林地と雑木林の境界で、かなり薄暗い林床でした。 
動画編集時に自動色調補正したら、暗い映像が劇的に改善しました。 
副作用として、ハクサンベッコウの体色が少しどぎつく強調されてしまったかもしれません。 

次に機会があれば、ハクサンベッコウの配偶行動を微速度撮影ではなくリアルタイムで動画撮影するつもりです。

2023/05/11

ミミズの死骸に群がるオオヒラタシデムシとキンバエ、ニクバエ

 

2022年6月中旬・午後15:55頃・晴れ 

平地の舗装された農道に細いミミズのロードキル死骸が転がっていて、屍肉を好むスカベンジャーたちが群がっていました。 
周囲の環境(農道の左右)は、雑木の防風林と広い畑が広がっています。 
林縁または畑から這い出したミミズが通りかかった車に路上で轢かれたのでしょう。

先ずはストロボ写真で記録してから動画に切り替えたら、ミミズの屍肉を齧っていたオオヒラタシデムシNecrophila japonica)が慌てて逃げ始めました。 
濡れた舗装路で立ち止まると、大顎を開閉したり、前脚を舐めて身繕いしたりしました。 
マイマイガ♀♂(Lymantria dispar japonica)の幼虫が脱皮した頭楯の抜け殻が路上に転がっていたものの、通りかかったオオヒラタシデムシは全く興味を示しませんでした。(@0:03〜) 

キンバエの仲間が最大で16匹、ニクバエの仲間が2匹、ミミズの死骸に群がって吸汁していました。 
キンバエの体格が大小まちまちなのは個体差や性差なのか、それとも複数種が混じっているのかな? 

初めは何の死骸かよく分からず、拾った小枝でハエを追い払い、尺取り虫にしては長過ぎる?と思いつつひっくり返したりしてみました。 
驚いたことに、オオヒラタシデムシと違ってハエは図太く、私が死骸を撹乱してもあまり逃げませんでした。 
実はすぐ近くにミミズの死骸がもう1匹あり、同様にキンバエが群がっていました。(写真を撮り忘れ) 
急いでいた私は、ミミズの死骸にシデムシが戻ってくるまで待てませんでした。


関連記事(1年後の撮影)▶ ミミズの死骸に群がるキンバエ

2023/05/06

秋のタヌキ溜め糞に集まる虫たちの活動【10倍速映像】ベッコウバエ、ハクサンベッコウバエ、オオセンチコガネ、センチコガネなど

 

2022年10月中旬・午後12:00頃・くもり・気温17℃ 

里山のスギ林道に残された溜め糞場sを定点観察しています。 
トレイルカメラを設置して通ってくる野生動物を記録しているのですが、撮れた映像を現場でチェックしたり電池を交換したりする間に、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞の横に三脚を立てて微速度撮影してみました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 
この日、スギの落ち葉の上に残された獣糞の量は少なく、ほぼ泥状になっていました(少量の下痢便)。 
糞内容物には植物の種子が含まれています。 

秋になると獣糞に集まるハエ類はベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)がメインになりました。 
私が近づくと一斉に飛んで逃げるものの、しばらくすると溜め糞に舞い戻って来ます。 
ベッコウバエより小型のハクサンベッコウバエNeuroctena analis)も集まっていました。
ベッコウバエ類の興味深い配偶行動については、後日改めてじっくり撮影したので、別の記事にします。
キバネクロバエらしき黒っぽいハエもたまに飛来しますが、もっとズームインしないと見分けられません。 
 

 獣糞の周囲のスギの落葉や落枝が上下に細かく動いているのは、直下で糞虫が活動している証です。 
案の定、赤紫の金属光沢に輝くオオセンチコガネPhelotrupes (Chromogeotrupes) auratus auratus)と鈍い金属光沢のセンチコガネ♀♂(Phelotrupes laevistriatus)がときどき獣糞の表面に出てきます。 
 他には微小なアリ(種名不詳)の群れが獣糞の上を徘徊していました。

2023/04/27

タヌキの溜め糞場で婚活するベッコウバエ♀♂の群れ(交尾、翅紋誇示、誤認求愛、交尾拒否)

 

2022年10月中旬・午後15:00頃・晴れ 

ニセアカシア河畔林の木の下にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場rvに久しぶりに来てみると、溜め糞が復活していました! 
一時期はトレイルカメラを設置して監視していたのですが、他のプロジェクトのためカメラを撤去し、それと共に私の足も遠のいていました。 
ヒトの気配が無くなったのでタヌキが警戒を解いてくれ、ここにまた通い始めたのでしょうか。 
やはりタヌキたちもトレイルカメラの存在に気づいて嫌がっていたのでしょうか?
この点については結論が出ておらず、私の気にし過ぎかもしれません。
溜め糞の消長には環境の季節変化やタヌキ側の事情もありそうです。

木漏れ日に照らされたタヌキの糞にベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)の大群が群がっていました。 
私が下手に近づくと皆一斉に逃げてしまうので、まずは少し離れたところから望遠マクロで撮影します。 
黒々としたタヌキの糞塊が2箇所に残されていて、その1つにベッコウバエが集まっています。 
冒頭シーンで数えると22匹ものベッコウバエが来ていました。 
ベッコウバエの性別は腹部の色で容易に見分けられ、♀は黒光りしていて♂は黄金色の毛が密生しています。 

糞塊の表面にまぶされている白いフレーク状の欠片は植物の種子ではなく、ベッコウバエの卵です。 
大量に産み付けられていました。 

交尾中の♀♂ペアにズームインしてみると、体格は♂>♀でした。 
横から見ると腹部の色の性差がよく分かります。 
体格の性的二型は、♀を巡って♂同士の闘争行動があることを示唆しています。 
♂が♀に背後から乗ってマウントしているものの、交尾器は結合していませんでした。(交尾中ではない) 
おそらく♂は♀が産卵するまでライバル♂と浮気されないように交尾後ガード(配偶者ガード)しているのでしょう。 
♂にマウントされた♀はひたすら獣糞を吸汁しています。 

次はあぶれ♂の行動に注目してみましょう。 
獣糞の上を歩き回りながら翅を小刻みに開閉して翅紋を誇示しているのは求愛行動なのでしょうか。 
あぶれ♂は手当たり次第に周囲のベッコウバエに飛びついています。 
♂が♂に飛びつくのは同性愛的な誤認求愛ではなく、一種のマウンティング(優劣行動)や縄張り占有行動なのかもしれません。 
獣糞を吸汁したり身繕いしたりしている単独♀にあぶれ♂が飛びついても、なぜかすぐに別れました。 
このとき単独♀は翅を動かしておらず、交尾拒否の意思表示をどう示したのか分かりませんでした。 
単独♀が腹端を下に屈曲させていたので、産卵中だったのかな? 
あぶれ♂は交尾中(交尾後ガード中)の♀♂ペアにも飛びついて♀を強奪しようとしています。 
しかし交尾中の♂が脚を横に突き出して「来るなよ」とあぶれ♂を牽制するので、諦めました。 
あぶれ♂は苛々と翅紋誇示しながら溜め糞上を徘徊しています。 

今回はベッコウバエの他に糞虫などは見つかりませんでした。
(少なくとも獣糞の表面には居らず) 
糞塊の中をほじくってしっかり探すべきでしたね。

2023/04/07

ヘビの死骸に群がるヨツボシモンシデムシとヤマトマルクビハネカクシ

 

2022年10月上旬・午後14:15頃・くもり 

蛇行しながら山を登る舗装路にヘビの死骸が転がっていました。 
横断中に走ってきた車に轢かれたようで、ペシャンコに潰されて干物のように乾いていました。 
周囲はスギの植林地です。 
頭部が食い千切られているのは猛禽の仕業でしょうか? 

1匹のヨツボシモンシデムシNicrophorus quadripunctatus)がヘビの死骸の傷口に頭を突っ込んで死肉を貪っていました。 
その体表を薄ピンク色の微小なダニが徘徊しています。 
他には微小なアカアリ(種名不詳)もヘビの死骸に来ています。 
私が死骸に近づいたら、集まっていたハエ類はほとんど飛んで逃げてしまったのですが、ニクバエとキンバエの仲間が1匹ずつ戻って来ました。 

死んだヘビの背面を見たかったので死骸を裏返してみると、ゴキブリのような艶のある茶色をした謎の虫が死骸の下から慌てて逃げ出しました。 
よく見るとゴキブリではなく甲虫で、翅の短いハネカクシの仲間でした。 
後で調べてみると、どうやらヤマトマルクビハネカクシTachinus japonicus)という種類のようです。 
飛んで逃げることはなく、路上をしばらく走り回ると、死臭を頼りにロードキルに再び戻って来ました。 
干物のように乾いたヘビの死骸を早速齧り始めました。 

白い腹面を向けて(仰向け)いた死骸を裏返して背面を見ても特徴に乏しく、何という種類のヘビか私には見分けられませんでした。 (どなたか教えてください。) 
鱗が白っぽい薄皮に覆われているのは、死後に路上で急速に乾燥したせいなのか、あるいは脱皮の直前に死んだのかな? 
そのため生前の模様が分かりません。 
薄っすらと縦縞が見えるので、シマヘビですかね?(自信なし) 
全体的に干からびていて、「鮭とば」を連想しました。 

撮影後にヨツボシモンシデムシとヤマトマルクビハネカクシを採集しました。 
以下に標本の写真を掲載する予定です。 
ヨツボシモンシデムシは普通種ですけど、鞘翅の裏面が何色なのかずっと気になっていたので調べてみるつもりです。
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