2017/12/15

餌をねだる池の鯉



2017年7月下旬

蓮池の岸辺近くで黒くて大きなコイ(鯉;Cyprinus carpio)が悠然と遊泳していました。
水面近くを泳ぎ回る2匹の地味な鯉を私が岸から覗き込んでいると、一匹が近寄って来て水面で口をパクパク開けました。
人馴れしている鯉ですから、おそらく水中の酸素不足ではなく餌乞いの行動でしょう。

池の鯉にパンや麩などを給餌するヒトをたまに見かけています。
この池には色鮮やかな錦鯉も居たのですけど、うまく撮れませんでした。


※ 動画編集時に自動色調補正を施したら、やや不自然な色調になってしまいました。
レンズに偏光フィルターをかければ水面の乱反射を抑えて水中もきれいに写るのでしょうか。



尾状突起を破損したウラナミシジミの飛び立ち【HD動画&ハイスピード動画】



2017年8月中旬

川沿いの堤防を歩いていると、横の草むらでイネ科の雑草の茎に見慣れないシジミチョウが止まって休んでいました。
羽を閉じて止まり、後翅を互いに擦り合わせる動きをしています。
帰ってから図鑑と見比べてみると、ウラナミシジミLampides boeticus)と知りました。

後翅の肛角部に橙色と黒の小さな目玉模様および尾状突起があるはずですけど、この個体では欠損しています。
破損部が左右対称ですから、きっと翅を閉じていたときに野鳥に襲われて嘴で突かれたビークマーク(捕食痕)なのでしょう。
天敵から逃れるための眼状紋の有効性が証明されたことになります。

(ウラナミシジミの)後翅の後端には黒い斑点が2つあり、2つの斑点の間には細い尾状突起が突き出ている。この黒い斑点と尾状突起は複眼と触角に似ていて、頭部に似た模様をもつことで身体の方向や頭部の位置について敵の目をあざむいていると考えられている。(wikipediaより引用)

しかし、もし次回、野鳥に襲われた場合は確実に頭部を狙われてしまうでしょう。



どうしても翅表を撮りたくて、飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に切り替えました。(@1:00〜)
しかし1/8倍速のスローモーションでも羽ばたきが速過ぎて翅表をしっかり見れませんでした。
なんとなく♂かな?と思うものの、定かではありません。
後翅の一部が欠損していても、飛翔能力に影響はありません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

この後、同じ農道を更に進むと別個体がクズの群落に来ていたのですが、残念ながら撮り損ねました。
本種のホスト(幼虫の食草)はマメ科らしいので、もしかすると産卵していたのかもしれません。



【追記】
福田晴夫、高橋真弓『蝶の生態と観察』によると、
ウラナミシジミ類などの後翅には、糸のような尾状突起がある。このつけ根には赤斑や黒点などがあり、翅を閉じてとまると、ある種の昆虫の頭部に見えるのかもしれない。後翅をすり合わせるようにして動かすと、1対の尾状突起は、ちょうど昆虫の触角のように動くので、捕食者が偽の「頭部」を攻撃すると、蝶はそれを与えて反対側に飛び、難をのがれることになる。この場合、尾状突起の先端が白色となりめだちやすいことは注目される。 (p104より引用)





2017/12/14

イチョウ並木に塒入りするハクセキレイの群れ(野鳥)



2017年7月下旬・午後19:03〜19:12 (日の入り時刻は18:57)

最近新たにハクセキレイMotacilla alba lugens)の集団塒を見つけました。
市街地の大通りに沿って植栽されたイチョウの街路樹です。
この大通りはすぐ近く(〜150m)で川を横切るので、昼間はその川沿いや市街地で暮らしているハクセキレイが夕方になるとこのねぐらに集まって来るのでしょう。
塒入りの様子を見に行くと、一番ピークであるはずの日没直前には間に合いませんでした。

青々と生い茂ったイチョウの枝葉に飛び込む前に、その手前でホバリング(停空飛翔)する個体がいます。
画質が荒いのは薄暗いせいです。
左手にある高い建物の屋上とイチョウ並木を興奮したように行ったり来たり飛んでいます。
近くで見ている私の存在を警戒しているのかな?
イチョウの真上の電線にも1羽止まっていますし、就塒前集合の名残りなのでしょう。
塒入りした後もしばらくの間は、イチョウの枝から枝へ元気に飛び回ります。

注目すべき点は、集団塒には♂(背中が黒色)も♀(背中が灰色)も居ることです。
おそらく繁殖期を終えた♀が塒に合流しているのでしょう。
これまで私が観察してきた別の集団塒では、繁殖期の間はハクセキレイの♂しか居ませんでした。

大通りを流れる車のテールランプやヘッドライトが光り、商店街のネオンサインが輝いています。
こんなに人工的な都市環境でもハクセキレイは平気で夜を過ごすようです。
むしろ天敵が少なくて安心するのかもしれません。
忙しい現代人は野鳥の動向に無関心です。
ちなみに月齢は28.0で、月は既に沈んだ後でした。

『まるごと発見!校庭の木・野山の木〈2〉イチョウの絵本』によれば、

国土交通省の調査(道路緑化樹木の統計)では、全国に街路樹などとしてもっとも多いおよそ60万本が植えられている。(p39より引用)



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。(実際はもっと薄暗い)
ハクセキレイのプライバシーを守るために、一部の背景にモザイク処理をしました。



つづく→1ヶ月後



車道の反対側からストロボを焚いたらハクセキレイは警戒し、群れの一部は塒から(隣のイチョウの木へ?)移動した。

跳べ!コバネササキリ♀



2016年9月下旬

平地の草むらで長い産卵管を有するコバネササキリ♀(Conocephalus japonicus)がヨモギを食べていました。
葉ではなく実をムシャムシャ食べていたような気もするのですが、摂食シーンをじっくり撮らせてもらえず、すぐに跳んで逃げられました。

跳ぶと分かっていればハイスピード動画に切り替えたのに、残念!


▼関連記事
ススキの種子を食すコバネササキリ♀



2017/12/13

トウモロコシ畑で雄花を啄むスズメの群れ(野鳥)



2017年8月上旬

平地のトウモロコシ畑にスズメPasser montanus)が群がっていました。
嘴の根元が黄色く、頬の黒班が薄い個体は、巣立ったばかりの幼鳥です。
トウモロコシ株の上部にある雄穂に止まって採食しています。
雄花で花粉の詰まった葯を食べているのでしょうか?
あるいは雄穂に発生したアブラムシなどの害虫を捕食している可能性もありますが、遠くてよく見えません。

▼関連記事
トウモロコシ畑の害虫アブラムシを捕食するスズメ(野鳥)

頬の黒班が濃い成鳥も飛来して同様に採食しました。
トウモロコシの茎の下部には雌穂の実が育っているのにスズメが決して実を食べない(一羽もトウモロコシの実に口を付けない)ということは、きっと未熟なのでしょう。

▼関連記事
トウモロコシ畑で実を採食するスズメ(野鳥)
ここの農家は鳥獣による食害を防ぐために、トウモロコシ畑全体を電気柵で囲んでいる上に、オレンジ色の防鳥ネットを上から被せてありました。
しかし、スズメの群れは平気でネットを出入りしています。(防鳥ネットの効果なし)
ネットを張る意図がよく分かりませんが、ムクドリやカラスなど大型の野鳥を排除しているのでしょうか?
防鳥ネットを張りかけの段階(未完成)なのかもしれません。
そもそも私は防鳥ネットについて疎いのですけど、素朴な疑問として、カスミ網とどう違うのですかね?
色付きなら違法なカスミ網ではなくなるのかな? (農家の防鳥ネット使用を問題視している訳ではありません。ただの素朴な疑問です。)



実はこのトウモロコシ畑には収穫直後の区画があり、スズメの群れは最初そこに集まって地上採食していました。(映像無し)
トウモロコシを根本の茎ごと刈った後の畑でおそらく虫を探しては食べていたのでしょう。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。




ヤナギハナガサの花蜜を吸うツマグロヒョウモン♀



2017年8月中旬

平地の民家の裏庭に咲いたヤナギハナガサ(別名サンジャクバーベナ)の群落でツマグロヒョウモン♀(Argyreus hyperbius)が訪花していました。
開いた翅を軽く上下しながら吸蜜しています。

本来ツマグロヒョウモンは南方系の蝶ですけど、近年の地球温暖化の影響で、ここ北国(豪雪地帯)でも毎年平地で普通に見かけるようになりました。
幼虫の食草になるパンジーを庭で栽培している家が増えたのかもしれません。
これまで♂は何度か撮影してきました。

▼関連記事 
セイヨウタンポポの花蜜を吸うツマグロヒョウモン♂ @2016年11月上旬 
ツマグロヒョウモン♂がリョウブで訪花吸蜜 @2012年8月下旬 
飛べ!ツマグロヒョウモン♂【ハイスピード動画】 @2012年10月下旬

一方「ツマグロ」の名前の通り翅表が美しい♀を見るのはこれが初めてで、とても嬉しい出会いでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


【追記】
 前翅の端が黒色の(ツマグロヒョウモン:しぐま註)♀は、毒をもつカバマダラというマダラチョウに擬態しているといわれる。どちらも比較的暖かい地域に生息する。(p97より引用)
近年の温暖化でツマグロヒョウモンの生息域が北進していますが、カバマダラは当地で一度も見たことがありません。
したがって、ここ北国の野鳥は毒蝶を食べたことがないので、ツマグロヒョウモン♀も平気で捕食してしまうと考えられます。


2017/12/12

モミの樹幹で羽繕いするアオサギ(野鳥)



2017年8月上旬・午後17:35〜17:49

池の畔の崖の上におそらくモミと思われる針葉樹の高木がそびえ立っていて、その樹冠に一羽のアオサギArdea cinerea jouyi)を発見。
樹上で池を見下ろしながら、念入りに羽繕いしたり、足で頭を掻いたり(@4:19、5:35、7:49)していました。
風でなびく羽毛が夕日を浴びて美しいですね。

枝上でゆっくりと向きを変えた後で、目の前のモミの葉の束を嘴の先で甘噛みしました。(@5:05)
何か虫を捕食しようとしたのかもしれませんが、手持ち無沙汰の暇つぶしかもしれません。

鷺山やコロニーという感じではなく、近くに他の個体は見当たりませんでした。
アオサギがこのままここに塒入りして夜を過ごすのか興味があったのですけど、他に用事があったために観察を打ち切りました。

※ 動画編集時に冒頭のみ自動色調補正を施しています。



ミゾソバを訪花するイネキンウワバ?(蛾)の羽ばたき【ハイスピード動画】



2016年10月上旬


▼前回の記事ニホンハッカの花蜜を吸うイネキンウワバ?(蛾)

湿地帯の遊歩道沿いに咲いたミゾソバの群落で夕方に、おそらくイネキンウワバPlusia festucae)?と思われる蛾が訪花していました。

羽ばたきながら吸蜜する様子を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
吸蜜中も休みなく羽ばたき続けていますが、花に足がかかっているので、ホバリング(停空飛翔)ではありません。

蛾を同定するためにはストロボを焚いて羽ばたきを止めた写真を撮る必要があります。
しかし、シャッタースピードの設定を間違えてブレブレの写真しか撮れず逃げられてしまいました。
私の撮影スタイルはどうしても動画優先なので、被写体に逃げられないうちにいつ写真を撮るか、採集すべきか、動画を切り上げるタイミングの見極めにいつも悩みます。



2017/12/11

列車の通過音に驚いて逃げるキジ♂(野鳥)



2017年5月中旬・午後18:21〜18:29

広大な湿地帯で枯れた葦原をキジ♂b(Phasianus versicolor)が闊歩していました。
広い縄張りをパトロールしているのでしょう。
ときどき立ち止まって辺りを警戒しています。
実際はじっと佇んでいる時間が長いのですが、退屈なシーンは編集でカットしました。

夕暮れの原野に佇むキジ♂がいかにも鳴きそうな(母衣打ち♪)雰囲気だったのに、私の存在に気づいた瞬間に、羽毛で膨らませていた体が一気に萎んだのが興味深く思いました。
鳴く気が失せたのでしょう。

私から逃れようとしてか、左へ左へと移動しています。
葦原から水浸しの遊歩道に降りて足早に逃げていきます。

近くの線路で踏切が鳴り列車が通ると、その通過音に驚いたキジが慌てて走り去りました。
テレビの動物番組で見たのですが、キジ♂は縄張りに侵入した郵便配達員の赤いバイク(深緑の制服)に対して果敢に攻撃を加えることがあるそうです。
さすがに鉄道の列車に対してキジ♂が挑みかかることはないでしょう。(ドン・キホーテもびっくり!)

▼関連記事
線路を歩くキジ♂(野鳥)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



つづく→枯れ葦原で母衣打ち♪するキジ♂(野鳥)

ウンモンスズメ(蛾)の準備運動と飛翔



2017年8月上旬・午前6:05〜6:10

山麓のキャンプ場のログハウスで早朝、翅も胴体も緑色のスズメガが外壁に止まっていました。
ウンモンスズメCallambulyx tatarinovii gabyae)を見つけたのは、これが初めてです。
外灯のすぐ下でしたが、既に消灯していました。
夜の灯火に誘引されて(山から?)飛来したのでしょう。
横からみると、腹部が海老反り姿勢になっていました。

静止蛾を撮るだけでは動画ブログのネタにならないので、手を伸ばして蛾を摘み下におろしました。

地面に落ちた蛾の翅に触れるとパッと広げて赤い後翅を誇示しました。
眼状紋ではありませんが、緑と赤という補色関係にある色のコントラストで捕食者をたじろがせる威嚇効果が多少はあるかもしれません。
更にしつこく触れると慌てて走って逃げ始めました。
私の手に乗せようとしても、暴れてすぐに落下してしまいます。
羽ばたいて体温を上げる準備運動を始め、最後は飛び去りました。
大型の蛾はすぐには飛び立てないのです。

ウンモンスズメの性別の見分け方が分かりません。
触角の形状から♀なのかな?
♀にしては腹部が細い気がします。
それとも腹端に一対の突起があるので、バルバ(把握器)だとすれば♂ですかね? 
どなたかお分かりの方は教えて下さい。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

余談ですけど10時間後、数キロ離れた自宅の庭に緑色のウンモンスズメが静止していました。
初見の蛾なのに、同じ日に別の場所で2頭続けて出会えたのは幸運でした。



2017/12/10

アキノノゲシの実を食べるカワラヒワ(野鳥)



2017年8月上旬

市街地の空き地が草ぼうぼうの原っぱになっています。
そこで一羽のカワラヒワCarduelis sinica)がアキノノゲシの細い茎に足で器用に掴まり、実を喋んでいました。
綿毛の付いた種子だけでなく、もう少し若い実を主に食べています。
風が吹いて茎が激しく揺れても平気で食事を続けていました。
敷地を囲む金網のフェンスの隙間に止まって、横に生えたアキノノゲシの実を啄むこともありました。
白い花が咲いているヒメジョオンの茎に止まっても、食べているのは隣に生えたアキノノゲシの実でした。
種子食性のカワラヒワの面目躍如です。
数日前にテレビ番組「鉄腕!DASH!」にて、家庭菜園のカブの種子を食べに来たカワラヒワの生態映像を見たばかりだったので、とてもタイムリーでした。

救急車がサイレンを鳴らしながら近くを通りかかってもカワラヒワは逃げませんでした。
どうやらフェンスに囲まれていればヒトは入って来られず安全だと知っているようです。




原っぱ全体を見渡しても花が全て咲き終わった後なので、その場ではキク科植物としか分かりませんでした。
数日後に現場へ戻り一株を丸ごと採集し、持ち帰って検討したところ、アキノノゲシと判明。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


アキノノゲシ実・全景
アキノノゲシ葉
アキノノゲシ実

野菊の花蜜を吸うキンケハラナガツチバチ♂



2016年9月下旬

川沿いの民家の花壇に咲いた紫色の野菊?(種名不詳)でキンケハラナガツチバチ♂(Megacampsomeris prismatica)が訪花していました。

どなたか花の名前をお分かりの方は教えて下さい。
当てずっぽうですけど、ノコンギクの仲間ですかね?
花壇なので、もしかすると野菊ではなく園芸種かもしれません。



2017/12/09

朝ムクドリの大群が高圧線鉄塔の集団塒から飛び去るまで【後編:10倍速映像:野鳥】



2017年8月上旬・午前4:12〜5:25 (日の出時刻は午前4:49)

▼前回の記事
朝ムクドリの大群が高圧線鉄塔の集団塒から飛び去るまで【中編:野鳥】

高圧線鉄塔#30および下の電柱、電線で一夜を過ごしたムクドリSturnus cineraceus)の大群が、夜明けとともに集団塒内で上下に移動したり、少しずつ塒から飛び去る様子を、10倍速の早回し映像に加工してみました。

黒い点々のように見えるムクドリの塒内分布や時間変化に何か法則やパターンが見出せたら面白いですね。

鉄塔の背景となる西の空を流れる雲の動きも味わい深いです。


動画編集した結果、無音となり、せっかくの音声情報(ムクドリの鳴き声)が失われてしまいました。

シリーズ完。



【おまけの映像】
早回し速度を少し落とした6倍速映像をブログ限定で公開します。
このバージョンには、ムクドリの鳴き声などの音声も含まれています。




ハスの葉で翅を開閉誇示するハグロトンボ♀



2017年8月上旬

蓮池でハグロトンボ♀(Calopteryx atrata)がハス(蓮)の葉に止まって翅を開閉していました。
ハグロトンボが地上で翅を繰り返し開閉するのは、縄張りを主張する誇示行動なのだそうです。
開いた翅は褐色のはずなのに、所々にドット欠けのように抜けている点がありました。
胴体が黒いので♀ですね。



ときどき蓮の葉から素早く飛び立つものの、すぐに元の場所や隣の葉に舞い戻ります。
口をモグモグ動かしているので、飛んでいる小さな昆虫を空中で捕食しているのでしょう。
ハイスピード動画に撮ってみれば良かったですね。

▼関連記事
川沿いで捕食活動するハグロトンボ♀♂の群れ【HD動画&ハイスピード動画】

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2017/12/08

朝ムクドリの大群が高圧線鉄塔の集団塒から飛び去るまで【中編:野鳥】



2017年8月上旬・午前4:50〜5:27(日の出時刻は午前4:49)
▼前回の記事
朝ムクドリの大群が高圧線鉄塔の集団塒から飛び去るまで【前編:野鳥】

長撮りした定点動画の、日の出直後からのつづきになります。
ムクドリSturnus cineraceus)の群れが集団塒内で木の葉落としのように下へ下へと移動しているのは、左右に走る高圧線の一番上に止まっているハシボソガラスがムクドリを鉄塔から追い出そうと圧力をかけているのでしょうか?
画面には写っていませんが、鉄塔の左側の高圧線にもカラスが止まっていました。
ところが、しばらくするとカラスは高圧線から飛び去りました。
カラスが居なくなってもムクドリの群れの全体的な動きに変化は無かった(鉄塔の上部に戻らなかった)ので、カラスの存在は別に気にしていなかったようです。

画面右下に少しだけ見えているケヤキ並木の樹冠に、相変わらず群れの一部が次々に飛び込んで行きます。
もしかすると、葉の茂った枝で毛虫を捕食するなどの採餌活動があるのかもしれませんが、未確認です。
ケヤキ並木に集合していた群れが何かに驚いて一斉に飛び立ち、再びすぐ上の電線や鉄塔に戻りました。(@6:01)
ほとぼりが冷めると、また群れの一部が続々とケヤキ並木の樹冠に飛び込み始めました。
早朝から集団塒内で上下に飛び回る移動は、本格的な離塒に備えて各自が朝の準備運動をしているのかもしれません。
休みなくひたすら鳴き続けるムクドリの大群は我々の耳にはただうるさいだけですけど、例えば夜の間にはぐれてしまった家族群が互いの鳴き声を個体認識して、家族群を単位として少しずつ再集合している可能性も考えられます。

(もちろん常識的に考えれば、繁殖期が終われば家族は解散してしまう気がします。)

鉄塔#30から右に伸びた一番上の高圧線に止まっていた2羽のハシボソガラスが急に飛び立ち、鳴きながら鉄塔の最上部に止まり直しました。(@6:53)
これに驚いたムクドリの群れが鉄塔の天辺から一斉に飛び立って少し下の鉄骨に避難しました。
そのハシボソガラスもお山の大将のように鉄塔の頂上部を占拠する訳でもなく、すぐに飛び去ってしまいました。
いかにも性格の悪いカラスらしい行動(ムクドリに対するただの嫌がらせ)ですね。
ムクドリのことはあまり眼中になくて、2羽のカラス同士で追いかけっこのように遊んでいるだけのような印象も受けました。

ムクドリが集団塒から出て行く際は、夕方に見られるような派手な(誇示的な)群飛をやりませんでした。

▼関連記事 
日没と同時に就塒前群飛を始めるムクドリ(野鳥)の大群 
ムクドリ(野鳥)大群の飛翔乱舞
小群あるいは単独で四方に散って行くだけで、まとまりがありません。
日中の活動域は各所に広く分散しているのでしょう。
鶴の一声のようにリーダーが合図して一斉に離塒するのでも無さそうです。



菅原光二・丸武志『カラー版自然と科学:ムクドリ』によると、
 夜があけると、ムクドリたちはす早くねぐらをとびたちます。大群となるねぐらでも、ムクドリたちはほとんどいっせいにといえるほど短時間に、いくつもの群れにわかれ、つぎつぎにねぐらからでていきます。 
 ムクドリは、行動範囲がとてもひろく、ねぐらから40キロぐらいまででかけるものがいます。(中略) 
 ねぐらの場所は、えさ場の変化や落葉、はんしょく場所などにえいきょうされて季節とともにかわります。 (p34-35より引用)


水野仲彦『野鳥のくらし―卵から巣立ちまで』でムクドリの項目を読むと、

 朝のねぐら離れも見事で、羽音と鳴き声でゴーッという音を立てて黒煙が吹き出るように次々と舞い上がり、採食地へと飛び去って行く。(p16より引用)
先人の観察記録ではどれも、ムクドリの離塒は一斉に飛び立つと書いてあり、私の観察結果とは違います。
おそらく私が見ている集団塒は、規模が小さい(個体数が少ない)のでしょう。



野鳥が群れで塒を取る理由の一つとして、塒内で互いに餌場の情報交換をするために集まるのだという説があります。

翌朝に採餌場へ飛んで行く際に、餌の豊富な採餌場を知っている個体について行くというのです。
しかし今回、五月雨式の離塒を眺めていると、そんな「情報センター仮説」がムクドリに成り立つとはとても思えませんでした。
仮説を否定するにしろ、科学的にきっちり実証するのが困難だというのも実感できました。
ムクドリの大群を一網打尽にして多数の個体にGPSや電波発信機を装着して行動を逐一追跡すれば、はっきりするでしょう。


【参考図書】
上田恵介『鳥はなぜ集まる? 群れの行動生態学』 第2章:ねぐらはエサの情報センター


遂にムクドリが一斉に飛び立ちました。(@15:12)
その直前に響いた空気銃のような乾いた発砲音が引き金になったようです。
誰か近所のヒトが喧しいムクドリを追い払おうとしたのか?と思ったりもしたのですが(被害妄想?)、たまたま近くを走る車のマフラーから破裂音がしただけかもしれません。
今までで最大規模の集団離塒が数回に分けて波状に行われました。
飛び立った群れの一部は上空で旋回しただけで、すぐに鉄塔へ戻って来ました。
依然として数多くの個体が集団塒に居残って鳴き騒いでいます。
空腹の個体から先に飛び立ったのか、それとも餌場が遠い個体群から順に塒から飛び去るのでしょうか?


午前5:09頃、東の山から太陽が昇り、高圧線鉄塔#30も朝日を浴び始めました。(盆地のため、地平線から朝日が昇る公式な日の出時刻から少し遅れます)

愚直に長撮りを繰り返したのですが、途中で私のうっかり操作ミスで空白の時間帯があります。(午前5:11に1分10秒間の痛恨のタイムロス。動画では@20:57)
肝心の離塒シーンを一部撮り損ねてしまいました。


下の電線に鈴なりになっていたムクドリの群れが、今までとは逆に上の高圧線鉄塔に移動を始めました。
群れ全体の数が減ると心細くなって、再集合するのでしょうか?
集団塒に残っている数が減ると、ムクドリの鳴き声がかなり静かになりました。

最後は鉄塔や電柱、電線にズームインしてみて、ムクドリが集団塒に一羽も残っていないことを確認しました。(@34:19-)
鉄骨には、白い鳥糞が付着して若干汚れていました。
しかし、集団就塒していたムクドリの数に対して意外に糞の汚れは少ないのではないか、と私は思います。

ちなみに撮影地点でときどき測定した気温データは、以下の通りです。
午前4:53 気温20.1℃、湿度89%
午前5:03 気温20.0℃、湿度90%
午前5:16 気温20.1℃、湿度100%
午前5:26 気温20.0℃、湿度90%


ムクドリの群れが完全に飛び去った後で、すっかり静まり返った鉄塔#30の真下に立ち寄ってみました。(@35:13-)
もちろん立入禁止の区画なのですが、柵の隙間から覗いてみると、意外にも真下のコンクリート地面は鳥の糞であまり汚れてはいませんでした。
糞の色があまり目立たないだけかもしれません。
その一方で、鉄塔の近辺で群れの一部が塒にしていた電柱や電線の真下には白い鳥糞が大量に散乱していました。
雨が降れば路上の鳥糞は洗い流されるのでしょうけど、近隣住民は深刻な糞害に悩まされているのかもしれません。
ただし不思議なことに、この場所(高圧線鉄塔#30周辺)にムクドリが毎日塒入りするとは限りません。
集団塒の場所を頻繁に(気紛れに?)変えているのは、ムクドリもヒトとのトラブルを学習してあまり長居しないようにしていたりして…?


※ 終盤だけ、動画編集時に自動色調補正を施しています。(@34:19-)

つづく→後編:10倍速映像


鳥糞で汚れた鉄骨
高圧線鉄塔の直下
電柱の直下に大量の鳥糞
電線の直下に大量の鳥糞

シロオビノメイガ(蛾)の日光浴と飛翔



2016年9月下旬・午後12:14

湿地帯の遊歩道で昼下がりにシロオビノメイガSpoladea recurvalis)が日光浴していました。
死んでいるのかと思いつつ、私が近づくと蛾は飛んで逃げました。

路面を舐めていた可能性もありますかね?(ミネラル摂取)
横から見ても口吻は動いていませんでしたし、路面は乾いていたので、その可能性は低いと思います。



2017/12/07

朝ムクドリの大群が高圧線鉄塔の集団塒から飛び去るまで【前編:野鳥】



2017年8月上旬・午前4:12〜4:50(日の出時刻は午前4:49)

街中にそびえ立つ高圧線鉄塔#30にねぐらとしてムクドリSturnus cineraceus)の大群が賑やかに鳴いているのを前夜に確認しています。(映像公開予定)
この鉄塔に
昨年の夏から秋にかけてムクドリの大群が塒入りするのを観察していますが、気紛れなのか、毎日塒として使われるとは限りません。

早朝にムクドリが集団塒から飛び去る(離塒りじ)までの一部始終を撮影するために、夜明け前の深夜から再訪しました。
晴れた夜空にほぼ満月が出ていました。(月齢17.7)

現場で撮影アングルや画角を決めるのが難しく、苦労しました。
前夜にロケハンしたものの、どうしても高圧線や電線が邪魔になってしまいがちです。
個人的には国策として電柱の地中化を早く進めて欲しいのですけど、電柱や高圧線鉄塔を利用している野鳥を観察している身としては、ジレンマもあります。
道端に三脚を立て、鉄塔の東から狙うことにしました。
朝日が昇ると順光になるはずです。
広角レンズが欲しくなりました。

映像の冒頭はほとんど真っ暗で、遠くからムクドリの鳴き声だけが聞こえます。
住宅地でこんなに喧しく一晩中鳴き続けるのでは、確かに近所迷惑ですね。(騒音公害)
白々と夜が明けて次第に明るくなると、高圧線の鉄塔だけでなく、その直下の電柱および電線にもムクドリが鈴なりに群がっていることが分かります。
日の出を待ちかねた個体が、この集団塒内を飛んであちこち移動し始めました。
群れ全体として見ると、鉄塔に居た個体が木の葉落としのように下へ下へ(低い電線に)移動しているようです。

ハシボソガラスCorvus corone)はムクドリよりも早い時刻に離塒するようで、どこか近くのねぐらから三々五々と飛来したカラスが高圧線に止まりました。
カラス同士で鳴き交わしていますが、ムクドリの大群に遠慮しているような印象を受けました。(多勢に無勢)
一方ムクドリは、カラスの存在をあまり気にしていないようです。


後半になると、画面右下のケヤキ並木の樹冠に飛び込む個体が続々と増えてきました。
この動きは昨年の夕方にムクドリが塒入りするときに見た群れの運動と似ています。(今回ムクドリはなぜかこのケヤキ並木に塒入りしませんでした。)
しかしケヤキ並木に集まっていた群れが何かに驚いて飛び立ち、近くの電線や鉄塔に避難しました。(@34:43)
(もしかすると、通行人や走行車に対する驚きや警戒ではなくて自発的な衝動に駆られた飛翔行動かもしれません。)

ちなみに撮影地点でときどき測定した気温データは、以下の通りです。
午前4:07 気温22.5℃、湿度70%
午前4:19 気温21.2℃、湿度77%
午前4:44 気温20.2℃、湿度87%


つづく→中編


鎮守の森を散歩するヤマトゴキブリ♀



2017年8月上旬

小高い山になった鎮守の森の薄暗い林床で、真っ昼間にヤマトゴキブリ♀(Periplaneta japonica)を発見。
短翅の♀成虫です。
腹端に卵鞘はぶら下げてはいませんでした。
せかせかと歩いて逃げ、地面に空いた穴に潜り込みました。
アリの巣穴だとしたら好蟻性昆虫ということになって面白いのですが、中からアリが出てきたり、ゴキブリを撃退したりしませんでした。
空巣なのか、それとも穴を掘った主はまた別の生き物なのかもしれません。(セミの幼虫?)
まさかヤマトゴキブリが自分で掘った穴とは思いません。(だとしたら大発見!)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2017/12/06

セイタカアワダチソウの花蜜を吸うキタキチョウ



2016年10月中旬

湿地帯の遊歩道沿いに咲いたセイタカアワダチソウの群落でキタキチョウEurema mandarina)が訪花していました。
風で揺れる花穂で翅を閉じたまま吸蜜しています。
セイヨウミツバチ♀とニアミスすると、少し飛んで移動します。



ヤナギハナガサを訪花するクマバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2017年8月上旬

大通り沿いの民家の庭に咲いたヤナギハナガサ(別名サンジャクバーベナ)にキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。
この組み合わせは初見です。
大きな図体なのに小さな花に丹念に口吻を差し込んで吸蜜しています。
後脚の花粉籠は空荷でした。

後半は花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:43〜)
重量級のクマバチが花に止まると、その重みで三尺バーベナの茎が大きくしなります。
ときどき個々の花が落下するのは、スローモーションで見直さないと気づきませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



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