2016年11月下旬
▼前回の記事
里山の急斜面をトラバース遊動するニホンザルの群れ【前編】
急斜面の落葉した雑木林を遊動する野生ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)の群れの中で、突然、小競り合いが勃発しました。
喧嘩の原因がさっぱり分からないのですが、ハッハッハッ♪ キッキー♪など威嚇の鳴き声を発しています。
木に登っていた個体が、後続の個体に対してなぜか急に怯えて騒ぎ出したようにも見えました。
暴力的な乱闘には至らず、2頭は互いにすぐ離れました。
群れが続々と急斜面を横切って行きます(トラバース)。
子猿を腹に抱えた♀が斜面の倒木に腰を下ろしました。
続いて子猿をおんぶした別個体の♀が遊動しています。
やがて、斜面ではなくて尾根を進む個体が増えてきました。
私の存在が猿の群れに知れ渡り、警戒しているのかな?
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2017年6月中旬
街中の公園で外灯の天辺に止まったハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)が頻りに鳴いていました。
喉を膨らませて鳴く声に合わせて、尾羽をヒョコヒョコと上下に動かします。
おそらく、すぐ横の小山の樹上にある巣を守るため、私に対して警戒声を発しているのでしょう。
遂に、鳴きながら横の茂みに飛び込みました。
樹上でも相変わらず切迫した様子で鳴き続けています。
左右の翼を同時に軽く持ち上げる威嚇の姿勢も披露しました。
それでも私がしつこく撮り続けていると、カラスは嘴で枝を折り取る怒りの誇示行動を始めました。
ぴょんぴょん跳ねて木に登ります。
▼関連記事(撮影は4年前)
木の枝を折って威嚇するハシブトガラス【野鳥】
親鳥の剣幕に負けて、巣の位置は確かめていません。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
(カラスが枝を折っていた樹種を調べに行くこと。)
2017年6月上旬
家庭菜園でハクセキレイ♀(Motacilla alba lugens)を見つけました。
土を耕したものの作物は未だ何も生えていない畑を忙しなく走り回って土を啄んでいます。
それだけでなく、ときどき飛び上がって空中を飛んでいる虫を直接捕食しています。
華麗に舞う素早い動きに感嘆しました。
ハイスピード動画に撮れたら面白そうですけど、動きが予測不能なので難しそうです。
(セキレイ科は)しばしば空中でも虫を捕らえる。長い尾はこのときにバランスをとるのに役立つ。 (『色と大きさでわかる野鳥観察図鑑』p135より引用)
捕らえた虫を嘴に貯めていないので、雛に給餌するためではなく自分の食餌なのでしょう。
(未だ繁殖に参加しない若鳥なのかもしれません。)
▼関連記事
雛のために橋で虫を捕食するハクセキレイ♀(野鳥)
畑だけでなく、ときどき横の舗装路にも移動して昆虫を捕食しています。
途中でときどき羽繕いしました。
最後はチュチュチュン♪と鳴きながら民家の向こうへ(田んぼの方へ)飛び去りました。
藤田祐樹『ハトはなぜ首を振って歩くのか(岩波科学ライブラリー)』を読んでいて、ハクセキレイについて意外な事実を知りました。
セキレイ類をしばらく観察していると、たしかに尾羽をピョコピョコと上下に振っている。これはたいへん目立つ行動だ。セキレイのことを英語でワッグテイル(wagtail)というが、ワッグは振るという意味で、テイルは尾である。すなわち、英語ではセキレイは「尾振り」と呼ばれているわけだ。(中略)セキレイは歩くときには尾を振りません。首を振って歩きます。 (p104-105より引用)
実際のところ、セキレイは歩くときには尾を振らない。立ち止まっているときに振るのである。そして、歩くときには、ハトと同じように首を振って歩いている。セキレイはしばらく歩き、立ち止まっては尾を振り、また歩きといった動作を繰り返す。尾を振る印象があまりに強すぎるのと、歩いている途中で頻繁に立ち止まるので、つい歩きながら尾を振ると思ってしまうのだろう。 (p105より)
セグロセキレイを観察し、セキレイの尾振りは、天敵を警戒している時に頻繁に行なわれることを明らかにした。捕食者に対して、自分は気づいていることを伝えるメッセージだというのだ。(中略)ハクセキレイは、採食しているときにより頻繁に尾を振っていたこと、さらに、採食中でも、餌をついばんでいるときよりも、頭をあげて左右をキョロキョロして周囲を警戒しているときのほうが、頻繁に尾を振っていたことがわかったのだ。(p106より)
今回の映像を見直しても、確かにその通りでした。
身近な普通種の鳥の行動を観察するだけでも面白い科学のネタは転がっているのだと感銘を受けた本です。
2017年5月下旬・午前5:50
郊外の住宅地でまた新たにムクドリ(Sturnus cineraceus)の営巣地を見つけました。
早朝から電柱に止まっていたムクドリを何気なく見ていたら、すぐ横の民家の軒先に飛び込みました。
入巣の瞬間を撮り損ねて残念でした。
(映像はここから。)
2F建ての民家の軒下に穴が開いていて、奥の屋根裏に巣を作ったようです。
慌ててカメラを構えると、雛鳥に給餌し終えた親鳥が鳴きながら出巣するシーンを辛うじて撮ることができました。
その後、巣口からときどき顔を出して下界を覗いているのは留守番をしている幼鳥(雛)なのかな?
もう1羽の親鳥が私の存在を警戒して出巣を躊躇っている可能性もありそうです。
民家の東壁が朝日を浴びています。
結局、その個体は巣口から外に出てくることなく奥に引っ込んでしまいました。
なんだかスズメバチの巣口を守る門衛の行動を連想しました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2017年6月上旬・午後18:46(日の入り時刻は18:59)
池畔の桜の樹上でカワセミ♀(Alcedo atthis)を見つけました。
水面に張り出した枝に止まって、甲高い声で繰り返し鳴いていたのです。
魚を探しているのでしょう。
初めは後姿でしたが、横を向いてくれたときに赤い下嘴が見えたので♀と判明。
日没前で薄暗かったのですけど、今までで一番近くからカワセミを撮れて感激しました。
最後は鳴きながら池の方へ飛び去りました。
池に飛び込んではいないと思います。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
鳴き声を声紋解析してみる?
ところで、カワセミが止まり木で首を上下に動かしている動きにも意味があるそうです。
藤田祐樹『ハトはなぜ首を振って歩くのか(岩波科学ライブラリー)』によれば、
カワセミを観察していると、ひょいっと首を上に伸ばして、その後に縮める仕草を見せる。この一連の動作は、いったい何なのだろうか?
実はこれは、光の反射などによって見づらくなっている水中の獲物や天敵を見やすくするための行動である。私たちも、川や池にいる魚を見ようとすると、光の加減で水面が反射してしまい、よく見えないことがある。そんなとき、ちょっと頭の位置を変えてみると、見やすくなることがある。それと同じことを、カワセミは上下に首を振ることで行っているのである。(p101より引用)
2017年5月下旬・午前5:26~5:40
アカマツ樹上でのハシブトガラス営巣記録#6
ハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)親鳥の1羽がアカマツの右下から飛来し、巣の右下の枝に着地しました。
頭を低くして枝葉の陰から私の様子を油断なく伺っています。
結局、入巣せずに左下へ飛び去りました。
繁殖期のハシブトガラスはおそろしく警戒心が強いという印象が一層強まりました。
その間、在巣の雛鳥が餌乞い♪せずにおとなしくしていたのが、不思議というか、よくしつけられていて偉いですね。
しばらくすると、再び親鳥の1羽がアカマツの左下から飛来しました。
先程と同じく一旦、巣の右下の枝に着地して、辺りを警戒しています。
焦った私がうっかりカメラの鏡筒に手をぶつけてしまい、望遠レンズの狙いがずれてしまいました。
その隙に親鳥が抜け目なく入巣しました。
とにかく私に帰巣の瞬間を見られたくない、巣の位置を悟られたくない、という執念のような親心が伺えます。
雛は一斉に伸び上がって餌乞いしたものの、親鳥が給餌したかどうか、枝葉の陰になってよく見えません。
親鳥の尾羽根だけが動いて見えます。
ようやく親鳥が巣に跳び乗り、抱雛を開始。
そのまましつこく撮影していると、在巣の親鳥(♀?)が突然、巣を離れました。
右へ鳴きながら飛び去ったのは、おそらく採餌に出かけたのでしょう。
親鳥が留守の間に少しアカマツに近づいてみました。
雛の頭部だけ巣から見えてる気もするのですが、はっきりしません。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
シリーズ完。
この営巣地での定点観察はこれで打ち切ることにしました。
中途半端ですけど、仕方がありません。
あまりにも親鳥の警戒心が強い上に、アカマツの手前に生い茂った枝葉で巣が巧妙に隠されていて、雛への給餌行動もろくに観察できないからです。
このままでは私も親鳥もストレスが溜まるだけです。
雛が巣立つまで親鳥は更に殺気立ち、雛を守るために通りすがりのヒトに対してもっと攻撃的になることが予想されます。
育雛中のハシブトガラスが相手の撮影は、プロがブラインドを設置して隠し撮りしても至難の業らしいので、私はここで撤退しました。
ハシボソガラスとハシブトガラスの性格の違いはカラス関連の本で読んだ通りでした。
同時並行して定点観察しているもう一つのハシボソガラスの巣の撮影に今後は全力を尽くします。
2017年5月下旬・午前5:13~5:17
アカマツ樹上でのハシブトガラス営巣記録#5
早朝から見に行くと、巣内でハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)の雛鳥が孵っていて、親鳥(おそらく♀)が甲斐甲斐しく世話していました。
手前にある松葉の茂みが邪魔で巣の様子がよく見えず、もどかしいですね。
しばらくすると親鳥♀は巣に座って抱雛します。
急に親鳥♀が立ち上がって飛び立ちました(右へ滑空)。
私がこっそり隠し撮りしていることが遂にバレたようです。
澄んだ声でカァカァと繰り返し鳴きながら私の頭上を左へ横切り、近くの高木に止まりました。
私に対して「そこに居るのは分かってるんだぞ!」という怒りの警告(イエローカード)ですね。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→#6:巣内の雛に給餌するハシブトガラス(野鳥)
2017年5月下旬・午後22:00頃
▼前回の記事
街中の側溝で鳴くケラ♂の謎:#1【暗視映像】
夜道を歩いていると、また新たに街中でケラ♂(Gryllotalpa orientalis)が鳴いている側溝(幅100cmの融雪溝)を見つけました。
まずは赤外線の暗視カメラで撮影してみます。
次に白色LEDを点灯してもケラ♂は平気でジーーー♪と単調に鳴き続けていました。
ケラの姿は見つけられなかったものの、鳴き声のする方向から察するに、地上の植生内ではなく、護岸の石垣の隙間に潜んでいるようです。
撮影直後の気温は24.7℃、湿度44%。
実はここは泣く子も黙る税務署前でした。
お上に毟り取られてオケラになった納税者の怨嗟の声なのか?と想像したら、ちょっと可笑しくなりました。
もしここがギャンブル施設だったらより一層面白かったですね。(出来過ぎの話)
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昼間に撮った現場の状況。右岸の石垣で鳴いていた。 |
こんな自然度の低い環境でケラが鳴いているのは、あまりにも不自然に思いました。
前回の記事で述べたように、田植え前に水入れされた田んぼから水路を流されてきてようやく辿り着いた個体なのではないかと私は予想しています。
数日後の夜に再訪しても鳴き声はしなくなっていました。
飛んでどこか新天地へ移動したのなら良いのですが、人知れず死んだのかもしれません。
この側溝は両脇が石垣になっているので、コンクリート三面張の水路より遥かにマシですね。(おそらく脱出可能)
側溝の上流が本当に田んぼに繋がっているのかどうか、突き止める必要があるのですが、難航しています。
ケラと同じく田んぼで暮らすことの多いタガメの本を読んでいたら、似たような話が書いてありました。
市川憲平、北添伸夫『田んぼの生きものたち:タガメ』によると、
「田んぼから突然水がなくなります。稲刈りの準備のために、落とし口を開いて、田んぼの水を落としたのです。(中略)落とし口から側溝へと流されるタガメも少なくはありません。コンクリート製の側溝の壁は垂直で、飛ぶことのできない幼虫は脱出できず、雨が降ると川まで流されてしまいます。」(p32より引用)
田の落水とともに、コンクリートの溝に流されたタガメは、雨が降ると下流に流れていきます。コンクリートの溝には、かくれるところがほとんどないからです。(p34より)
2017年5月上旬
アカマツ樹上でのハシブトガラス営巣記録#4
ハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)の巣があるアカマツに対して左奥の落葉高木(樹種不明)にいつの間にか親鳥の1羽αが止まっていました。
芽吹き始めた樹上で嘴を足元の枝に擦り付けたりのんびり羽繕いしたりしています。
やがて右から番(つがい)のもう一羽βが飛来しました。(@0:30)
同じ枝に並んで止まると左のαLが両方の翼を持ち上げてばたつかせました。
これはカラスの雛や幼鳥がやる餌乞い行動と同じです。
右のβRがそれに応え、口移しで給餌しました。
食後は2羽とも嘴を枝に擦り付けています。
カラスの求愛給餌行動を見たのは初めてです。
きっとβRが♂なのでしょう。
遠くて風が強いこともあり、α♀による餌乞いの鳴き声などは聞き取れませんでした。
プレゼントで♀の胃袋を掴んだ後に右の個体R(♂)がキスを迫ると左の個体L(♀)がのけぞって嫌がっているのが、見ていて微笑ましく思いました。
めげずにR♂がL♀に軽い相互羽繕いを数回行いました。(ニホンザル同士の蚤取り行動を連想します)
お返しの羽繕いはなかったので、厳密には「相互羽繕い」ではなく「対他羽繕い」ですね。
とにかく仲睦まじい様子で熱々です。
妬けるねー。
『科学のアルバム:カラスのくらし』によると、
この時期には、♀のカラスが♂のカラスに食べ物をねだることがあります。この行動は、のちにたまごをうむ♀のカラスに、より多くの栄養分をあたえることにやくだっているようです。
♀のカラスに食べ物をあたえる、♂のカラス。♀は羽をふるわせ、クークーと鳴いています。(p14より引用)
♂が♀に食べものをあたえる行動は、♀が産卵期をむかえてからもずっとつづきます。(p15より)
最後はほぼ同時に枝から飛び立ちました。
カーカー♪鳴きながら左に飛び、1羽はスギ高木の天辺に止まりました。
また私に対する警告です。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
私がハシブトガラスの巣を撮影しているとあまりにも親鳥が嫌がるので、短時間で切り上げて帰りました。
親鳥がストレスでこの営巣地を放棄してしまうのでは本末転倒になってしまいます。
つづく→#5:巣で給餌後に抱雛するハシブトガラス♀(野鳥)
▼関連記事(3、6年後に撮影)
・モミ樹上の巣で求愛給餌するハシボソガラスの♀♂つがい(野鳥)
・パートナーにパンを求愛給餌するハシブトガラス(野鳥)
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営巣木との位置関係 |
2017年5月上旬
アカマツ樹上でのハシブトガラス営巣記録#3
私がどうしても帰巣シーンを撮りたくてしつこく粘っていると、ハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)の親鳥が番(つがい)で飛来しました。
営巣地のアカマツ喬木に近づくも、私が見ていることに気づいたせいで急旋回して、右手の樹上に止まりました。
若葉が開きかけた大木の樹種は不明です。
ハシブトガラスの親鳥は頑として帰巣シーンを見られたくないし、ヒトに巣の位置を知られたくないのでしょう。
1羽が左に飛び立ったので流し撮りしたのですが、帰巣せず通り過ぎました。
樹上に残った個体が私に対して怒って威嚇を始めました。(@0:50)
強風で揺れる樹上で両翼を持ち上げながら苛立たしげにカーカー♪と繰り返し鳴いています。
やがて鳴きながらこちらに向かって飛んで来ました。
いかにも威嚇するかのように私の頭上を通り過ぎて、近くの電柱の天辺に止まりました。
明らかに私に対する威嚇の誇示行動ですね。
ただし今回は枝折り行動が見られなかったので、未だ激怒するほどではなかったようです。
▼関連記事(4年前の撮影)
木の枝を折って威嚇するハシブトガラス【野鳥】
松原始『カラスの教科書』によると、
カラスによる威嚇、攻撃の手順はどんなものだろうか。これを知っていると、カラスが「急に」襲ってくる、という印象はなくなるはずである。
まず、カラスは音声によって威嚇を行う。普段からカアカア鳴いていて区別できないと言われそうだが、普段が「カア、カア」だとすれば「カアカアカアカア!」くらい激しくなる。繰り返しの早い連続した鳴き方で、一声ずつも大きな声だ。ただ、この段階でビビる必要はない。あなたに対してではなく、その辺を通りかかったカラスに向かって鳴いている場合が大半だからである。
しかし、明らかに自分の方を向いているとか、後をついて来るとか、低いところまで来るとか、そういう場合は目をつけられている。つまり「そこのお前だよ、お前」と名指しされている状態だ。しゃがれ声で「ガララララ…」と言い出したら、かなり怒っている。時には「コラー!」と聞こえる声で鳴くこともある。(p289より引用)
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→#4:ハシブトガラス♀♂の求愛給餌と相互羽繕い(野鳥)
2017年5月下旬
川の堤防の歩道でガードレールの柵にホオジロ♂(Emberiza cioides)が止まっていました。
口元をよく見ると、嘴に2匹の黄色っぽいイモムシ(幼虫)を咥えています。
巣で待つ雛鳥に給餌する途中なのでしょう。
獲物を咥えながら鳴いていて驚きました♪(地鳴き? 警戒声?)
さすがにこの状況でリップシンクロは確認できないものの、この個体の鳴き声で間違いありません。
尾羽根を神経質そうに上下に動かしています。
最後は右から来た歩行者に驚いて、住宅地ではなく川の方へ飛んで逃げました。
実は土手のどこか近くに巣がありそうです。
もしかするとヒトに巣の位置を悟られたくないため、私に見られている間は帰巣しないのかもしれません。
ホオジロの繁殖期の育雛行動を見たのは初めてです。
次は巣を発見したいものです。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2017年5月下旬
郊外でコムクドリ♂(Sturnus philippensis)が電線に止まっていました。
暑そうに嘴を開けています。
撮られていることに警戒したのか、鳴きながら飛んで逃げました。
辺りをキョロキョロしながらときどき小声で鳴いています。
嘴を足元の電線に擦り付けています。
同じ日に時間を開けてほぼ同じ場所で撮った映像をまとめたものです。
てっきり同一個体♂かと思ったのですが、映像をよく見ると翼の肩?の辺りの白紋に違いがありますね。
少なくとも2羽の♂を撮ったことになります。
同じ縄張りでそんなことあり得るのかな?
近くで営巣するムクドリは雛への給餌で忙しそうだったのに、コムクドリ♂は雛のために虫を運んでいませんでした。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2017年5月下旬・午後22:30頃・晴れ
夜道を歩いていると自然度の低い市街地でも道端の側溝からジー♪というケラ(Gryllotalpa orientalis)の単調な鳴き声が響いてくることがあります。
田園地帯の畦道ならケラが鳴いていても別に不思議なことではありません。
しかし土や草もろくに無い人工的な水路で果たしてケラが生息できるのでしょうか?
やはり数日後にはその鳴き声は聞こえなくなってしまいます。
また、側溝からケラの鳴き声が聞こえる地点は毎年違うのです。
実は去年の同じ時期に気になり始めた現象なのですが、去年は証拠映像を撮り損ねてしまいました。
今年は団地の横の側溝の中から二夜連続でケラが鳴いていました。
まず赤外線の暗視動画で鳴き声を記録してみます。
ケラは♀も鳴くそうなので、性別は不明です。
北海道大学出版会『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』によると、
(ケラの)♀にも翅に発音器があるが、♂ほど発達していない。(中略)湿った草地や田畑などの土中にすみ、灯火に飛来する。♂は長くジーーーと鳴き、♀は短く断続的に鳴く。(p312より引用)
続けて白色LEDを点灯してもケラ♂は眩しい光を気にせず鳴き続けました。
残念ながらケラがどこに隠れているのか姿は見つけられませんでした。
天気は晴れ。
温度計を忘れてしまいましたけど、雨上がりのため体感の気温は高くなかったです。
幅50cmの側溝には水が流れておらず、暗渠の蓋が金網になっている部分の下には雑草が生い茂っていました。
先程まで降っていた雨の水滴が雑草に付着して光っています。
一方コンクリートで蓋された部分では光合成できないため草は生えていないはずです。
夏は大雨が降らない限り、この側溝は干上がってしまうのでしょう。
もしかするとケラが辛うじて生息できる安全な環境なのかもしれません。
しかし後日にまた再訪すると、ケラの鳴き声は聞こえなくなっていました。
この枯れ水路(支流?)を辿ると水の流れる側溝(融雪溝)につながっていました。
私が推理したシナリオは以下の通りです。(あくまでも個人的な作業仮説です)
ケラが道端の側溝で鳴き始めるのは、ちょうど近隣の田んぼに水を入れ代掻きした(今年は5月中旬)後である点に注目しました。
春まで田んぼの地中で暮らしていたケラが突然の増水に流されて農業用水路から更に下流の融雪溝に流されて来たのではないでしょうか?
ここ雪国では冬の除雪作業に備えて融雪溝が町中に縦横無尽に張り巡らされているのです。
各家庭が雪かきしたその雪を捨てて融かしたり大きな川まで流すための水路です。
ケラは泳ぎも達者らしいので、なんとか溺れずに水から上がれた地点でケラが途方に暮れて鳴いている、という推理です。
当然、そんな人工的な場所に単独で漂着しても繁殖できず、すぐに死に絶えてしまいます。
ケラの鳴き声が聞こえた側溝から上流にどんどん辿っていけば、私の予想では水田に行き着くはずです。
ところが実際に調べようとしたら、意外に難しいミッションでした。
側溝が交差点の下を暗渠(地下水路)でくぐる時にどの方角から流れているのか(交差点を直進するのか曲がるのか分岐しているのか)、素人には外から分からないのです。
役所で尋ねれば側溝や融雪溝の詳細な地図を閲覧させてもらえるのかな?
逆に、生きたケラに超小型の電波発信器やGPSを括り付けて田んぼから流れ出る用水路に放流し、街中の側溝まで辿り着けることを証明できればエレガントです。
必ずしも生体を使わなくても、小さな浮きや追跡機器を流してみるだけで充分かもしれません。
この方法論は、ポリネシア人の起源について南米渡来説を立証するために海洋人類学者のヘイエルダールが自作のイカダで南太平洋を漂流した壮大な実験(コンティキ号の冒険)と同じ発想です。
しかし水入れした田んぼから小型GPSを水路に流してもすぐに途中で引っかかったり紛失したりして、文字通りお金をドブに捨てる実験になるだけかもしれません。
もし私の仮説が正しいと分かれば、春に田んぼから流れ出る排水口に網や柵などを適切に設置すれば、ケラの犠牲を少なくすることができそうです。
ケラは未だ絶滅危惧種には指定されていませんし、田んぼで野鳥などの天敵に捕食される数に比べたら微々たるものかもしれません。(調べてみなければ分かりません)
別なシナリオも考えられます。
ケラは夜の灯火に向かって飛んでくるらしいので、自力で配偶者を探したり分布を広げようとしたり試行錯誤している最前線なのかもしれません。
路上を歩いてきたケラが側溝の金網から落ちた可能性もありますね。(側溝の横は団地の駐車場のケヤキ並木で、貧弱な自然が申し訳程度に残っています。)
今はケラが越冬から目覚めて活動を始める時期だとすれば、各地で鳴き始めるのは当然でしょう。
このシナリオBをどうすれば否定(または実証による肯定)できるのか、今のところアイデアが思いつきません。
何か良い案がありましたら教えてください。
先述のように、もし全ての田んぼの出水口にケラが入り込まないようにしっかり対策した結果として街中の側溝で鳴くケラが居なくなれば、シナリオAで間違いないでしょう。(言うは易く行うは難し)
つづく→#2
2017年5月上旬
アカマツ樹上でのハシブトガラス営巣記録#1
郊外でアカマツの樹幹にカラスの巣を新たに見つけました。
かなりの高木です。
巣材は多数の小枝を組み合わせてお椀状に作られています。
巣に座っている親鳥は、抱卵中の♀なのでしょう。
ところが在巣の♀が急に飛び立ち、旋回して左手の針葉樹に止まりました。
その枝には先客のカラス(恐らく番の♂)が居て、下で見ている私に対して「カァカァカァカァ♪」と切迫した警戒声を発していました。
澄んだ声なのでハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)のようです。
なぜか♀はまたすぐに飛び立ち、アカマツの左横の雑木林の樹冠に止まり直しました。
他のカラスの領空侵犯があったのかもしれません。(縄張り防衛の行動?)
その後は、怪しいヒト(=私)が見ている間は帰巣したくない(巣の位置をヒトに悟られたくない)というハシブトガラス♀の意志を感じました。(この日だけでなく後日の観察でもそのような印象を受けました。)
これだけ嫌がっているのにしつこく撮影して営巣放棄されては私も困るので、このまま撤退しました。
私のフィールドでカラスと言えば北方系のハシボソガラスの方が圧倒的に優占種で、南方系のハシブトガラスは滅多に見かけません。
同時期に営巣中のハシボソガラスよりもハシブトガラスの番(つがい)の方がバードウォッチャー(私)に対する警戒心がかなり強い印象を受けました。
これはカラスに関する本で読んでいた通りで、この後の定点観察でも毎回悩まされることになります。
例えば松原始『カラスの教科書』によると、
・特にハシブトガラスは巣が丸見えになるのを嫌うらしく、針葉樹・広葉樹を問わず常緑樹に営巣することが多い。(p47より引用)
・ハシブトガラスは巣の位置を秘匿することに非常に気を遣う。(p52より)
・カラスは巣や雛を見る視線に非常に敏感である。野生動物の世界にはバードウォッチャーとか研究者とかいうおかしな奴はいないので、巣をジロジロ見る者は「巣を狙っている敵」と見なして差し支えないからである。まして巣立ち雛の方を見ていたり、巣立ち雛の近くにいたりすれば、確実に「我が子に迫る危険」と認定される。(p287より)
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→#2:縄張り防衛に余念がない繁殖中のハシブトガラス♀♂(野鳥)
2017年5月中旬
▼前回の記事
春の枯れ葦原で採食するキジ♂(野鳥)
堤防の階段を降りて行ったキジ♂a(Phasianus versicolor)をそっと追いかけます。
キジ♂aは湿地帯の少しだけ盛り上がったマウンドに佇み、周囲を見回しています。
その場で羽繕いしました。
やがて姿勢を正すとケンケーン♪と大声で鋭く鳴き、直後に翼を激しく羽ばたかせました。(@1:55)
後半の行動(羽ばたき)は母衣(ほろ)打ちと呼ばれます。
最近テレビの動物番組を見て知ったのですが、「けんもほろろ」という慣用句の由来は、母衣打ちするキジ♂の鳴き声(ケン)と羽の音(ホロロ)から来ているのだそうです。
実際は縄張り宣言の行動(さえずり)なのに、昔の人は頼み事を断る様子に見立てたのは興味深いですね。
ちなみに、♂の求愛を断るときにキジ♀がこのような行動をすることはありません。
▼関連記事
キジ♂(野鳥)の求愛行動【中編:求愛ディスプレイ】
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
退屈な冒頭の2分間をカットしました。「雉も鳴かずば撮られまい。」
更に粘って母衣打ちをハイスピード動画に撮りたかったのですが、夕刻は光量不足で断念。
2017年3月下旬
川沿いの堤防の桜並木にカワラヒワ(Carduelis sinica)の群れがいました。
逆光で羽の色が見えにくいのですが、キリリ、コロロ♪という独特の鳴き声でカワラヒワと分かります。
ときたま枝先の冬芽を啄ばんでいるように見えたのが気になりました。
カワラヒワは種子食のはずですけど、ウソのように冬芽も食べるのでしょうか?
▼関連記事
ウソ♀が桜の花芽を採食【冬の野鳥】
それとも何か虫を捕食しているのですかね?
枝先を飛び回っている蚊柱を気にして顔を動かしている様子が興味深いです。
逆光の上に、カメラを向けると警戒して採食行動してくれない傾向があり、結局よく分かりませんでした。(決定的な映像が撮れませんでした)
このソメイヨシノの老木は、冬の大雪のせいで幹が一部折れています。
春はもうすぐ。(あと一ヶ月待たないと桜は咲きません)
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2017年5月上旬
郊外の休耕地でツグミ(Turdus eunomus)の群れが採食していました。
ツグミの地上採食シーンを見たのは初めてかもしれません。
最後は警戒声を発して奥の灌木へ飛び去りました。
何よりも驚いたのは、冬鳥のツグミを5月のGWに目撃したことです。
一瞬ホオジロかと思ったのですが、よく見ると下面(お腹)が白く鱗状の斑点があることからツグミですね。
地球温暖化でも説明できない、むしろ逆ですね。
春になっても北へ渡りをせず日本に居残る個体群なのでしょうか?
日本大百科全書(ニッポニカ)を紐解いてツグミの解説を読むと、
冬には群れは分解して、耕地や川原など開けた場所で単独で生活するようになる。5月に小群をつくり、渡り去る。
日本を北上してきて渡去する直前のツグミを運良く見れたのだと分かりました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。