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2020/01/27

糞害対策の鳥よけCD-ROMを吊り下げた車庫(野鳥)



2019年9月上〜中旬・晴れ

民家の屋外ガレージ(カーポート)の屋根の軒先に計5枚のCD-ROMが紐で吊り下げられていました。
風が吹くとCD-ROMがくるくる回転し、眩しい反射光がキラキラと点滅します。
鏡面のようにピカピカ光る反射板として使われるCD-ROMは、使用済みの古い廃品を再利用しています。
庭先に停めた自家用車にただ屋根をかけただけの駐車場(カーポート)なのですが、おそらく車体が野鳥による糞害に悩まされているのでしょう。
ただの板状の鏡を吊り下げるよりも、CD-ROMは中央に穴の開いた円盤ですから、鳥が怖がる眼状紋の効果もあるかもしれません。

9日後に現場を再訪して逆アングルからも追加で撮影しました。
玄関先の庭にCD-ROMのキラキラした反射光が激しく踊る様子がちょっとした現代アート作品のようでした。
それも動画に撮りたかったのですけど、表札など個人情報が映り込むので止めました。
車のナンバープレートも写さないように注意しました。

実際に鳥よけの効果はどのぐらい続くのでしょう?
撮影した2回とも、ガレージ周辺に野鳥の姿はありませんでした。
CD-ROMの設置目的を住民に問い合わせていないので、私の推測ですが、猫よけの可能性もありますかね?


鳥よけCD-ROM(野鳥)@車庫軒下
鳥よけCD-ROM(野鳥)@車庫軒下・全景

2020/01/24

田んぼの稲穂を鳥害から守る目玉風車



2019年9月上旬・午後17:40頃

稲穂が実る田んぼの畦道に木製の小さな風車が並んで設置され、風が吹くとクルクルと回っていました。
スズメPasser montanus)など種子食性の野鳥に食害されないように怖がらせる防鳥グッズのようです。

ホームセンターなどで売られている商品なのか、自作なのか、不明です。

2枚の回転翼の内側は白、外側は赤色のペンキで塗り分けられていて、先端付近には銀色の大きな目玉模様が描かれています。
目玉模様の外側はアイシャドウのように黒く縁取られています。
風向きが変わっても自然に風車の向きが変わるように、垂直尾翼も付いています。
その垂直尾翼にも銀色に光る目玉模様が貼られていました。
無風のときには大きくて光る目玉(眼状紋)による忌避効果を期待しているのでしょう。
風車が回っているときは、ギラギラ光る模様が激しく動くことで鳥を脅かす作戦のようです。
電源などの動力も不要です。

これでちょっとした風力発電もしていたら一石二鳥ですね。
あの手この手の創意工夫に感心します。
鳥が馴れてしまうまでの有効期間はどれぐらいなのでしょう?

風車の周囲に野鳥が居ないのは、時間帯が遅かったせいかもしれません。
念の為に明るい昼間に撮り直すつもりが忘れてしまいました。


2020/01/17

収穫後の畑に捨てられたトウモロコシを拾い食いするハシボソガラスとスズメの群れ(野鳥)



2019年8月下旬

▼前回の記事
トウモロコシ畑を守る鳥害対策グッズ類

トウモロコシ畑の右半分が収穫され、根元から刈り取られていました。
収穫後の区画で2羽のハシボソガラスCorvus corone)が採食していました。
トウモロコシの枯れ葉を嘴で次々にめくって餌を探しています。
隠れている虫を捕食するのかと思いきや、地面に転がっている(捨てられた?)トウモロコシの穂を見つけると、足で押さえつけながら黄色い穀粒を美味そうに啄み始めました。

警戒心の強いスズメPasser montanus)の群れも、カラスの様子を見て安全確認すると、収穫後のトウモロコシ畑に次々と舞い降りて採食を始めました。

このトウモロコシ畑には以前から2種類の鳥害対策グッズが設置してありました。
鷹がプリントされた鳥よけカイトが竿から吊り下げられていますが、この日は無風なので動きがありません。
期待された鳥よけ効果が全く失われ、その下でハシボソガラスやスズメが平気で落穂拾いしています。
カイト(凧)が畑に長期間設置されたままだと、鳥も虚仮威しだと学習して怖がらなくなってしまうのかもしれません。

手前の地面にはハシブトガラスを模した黒いプラスチック模型が転がっていました。
トウモロコシの収穫と共に、お役御免になったようです。(以前はカイトと同じく竿から吊り下げられていました。)
カラス模型の近くでハシボソガラスとスズメが採食(落穂拾い)しないということは、若干の鳥よけ効果が残っているのかな?
撮影している私に対して警戒し距離を取っているだけかもしれません。

ちなみに、このトウモロコシ畑は全体が電気柵で囲われていますが、これは野生動物(哺乳類)が入って来られないようにするための対策です。
鳥は空から飛来するので、電気柵では防鳥効果が期待できません。

畑の左半分は収穫前のトウモロコシ畑が残っているのに、野鳥が餌の豊富な収穫前の区画に侵入して食害しないのは不思議でした。
私が見ている間は遠慮しているのかもしれません。
もしかすると、収穫前のトウモロコシ畑は穂に未だ種が育って無くて、鳥にとって魅力が無いのでしょうか?
収穫前のトウモロコシ畑に回り込んでよく見ると、もう一つの鳥よけカイト(鷹型)が守っていました。


ハシボソガラス2(野鳥)@収穫後トウモロコシ畑+採食
鳥よけグッズ:カラス模型@収穫後トウモロコシ畑
鳥よけカイト(鷹型)@収穫後トウモロコシ畑:無風

2019/11/23

トウモロコシ畑を守る鳥害対策グッズ類



2019年7月中〜下旬(同じ場所で2回に分けて撮った映像をまとめました)

トウモロコシ畑の上を鳥害対策の凧が風で揺れていました。
最近ではホームセンターでも売っていてすっかり普及した、タカ型の鳥追いカイトです。
期待通りの防鳥効果はあるのでしょうか?
馴れが生じてしまえばせっかく実ったトウモロコシを鳥に食害されてしまうのは時間の問題です。

カメラを右上にパンすると、電線に1羽のキジバトStreptopelia orientalis)が止まり、トウモロコシ畑を虎視眈々と見下ろしていました。
キジバトは種子食性ですから、きっとトウモロコシが大好物でしょう。
電線上で方向転換した直後に黒っぽい丸い固形糞をポトリと排泄しました(@0:28)。
キジバトがトウモロコシ畑に降りて食害するシーンを撮影したかったのですが、キジバトは警戒心が強いので、おそらくブラインドに隠れないと無理そうです。
実はキジバトの他にもハシボソガラスとスズメもトウモロコシ畑の近くまで来ていました。(映像なし)

4日後に同じ現場(トウモロコシ畑)を再訪すると、鳥追いカイトの設置場所が少し変更していました。
鳥に対して馴れが生じないように、こうした地道な工夫が大切です。
更に別の鳥害対策グッズが追加されていました。
黒いカラスのプラスチック模型が吊り下げられていました。
模型の形状をよく見ると、ハシボソガラスではなくハシブトガラスがモデルになっているようです。
風が吹いても模型は重くてほとんど動かないので、これだけでは案山子としての効き目は薄いでしょう。
黒いビニールの切れ端がカラスの模型に縛り付けられ、風になびいていました。
それでも近くでスズメの群れがチュンチュン♪鳴いています。(姿は見えず)

鳥害対策は野鳥と農家の絶え間ない知恵比べです。
様々なタイプの防鳥グッズを組み合わせて使うことが有効とされています。
実際にこのトウモロコシ畑の農家さんは毎年あの手この手で涙ぐましい工夫をされているようです。
例えば2年前には防鳥ネットが張られていました。
▼関連記事(2年前の撮影)
トウモロコシ畑で雄花を啄むスズメの群れ(野鳥)


余談ですが、日没前の西日に照らされトウモロコシ畑の上空に大きな虹がかかっていました。
夕立も降っていないのに、虹が出ているのは不思議でした。(局所的に雨が降ったのかな?)
動画の彩度を上げたら外側にもう一つの虹が薄っすらと架かっていました。
(正式な名称を知りませんが、二重の虹です。)


【追記】
2020/10/31付の山形新聞の記事によると、
内側の主虹(しゅにじ)はくっきり、外側の副虹(ふくにじ)はうっすらとしていた。(中略)虹は太陽光が空気中の水滴(雨粒)で屈折、反射して起きる現象。二重の虹の主虹は太陽光が水滴内で1回反射、副虹は2回反射して現れる。

【追記2】
2022/10/08 17:31 ウェザーニュース「東北でダブルレインボー 雨の後に二重の虹が出現」によると、
濃くはっきり見えるものを「主虹」、その外側に見える色の並びが反対の虹を「副虹」といいます。

よく見ると主虹の内側が明るく、主虹と副虹の間が暗く、副虹の外側がやや明るく見えるのがわかります。主虹と副虹の間の暗く見える部分は「アレキサンダーの暗帯」と呼ばれます。


鳥よけグッズ:カラス模型(野鳥)+黒ビニール袋@トウモロコシ畑
鳥追いカイト(タカ型)(野鳥)@トウモロコシ畑

2019/10/30

鳥害対策として樹上に黒ビニール(鳥よけ)



2019年5月上旬および7月下旬

ネムノキの大木の枝に黒いビニール袋が2枚くくりつけられています。
風で飛ばされてきたゴミ袋が枝に引っかかっているのではなく、明らかに誰かが枝先にしっかり縛り付けたようで、何年間もそのままになっています。
ネムノキの葉が未だ全く開いていない早春に見るとよく分かります。
(前年の豆果が枝に未だ残っています。)
風が吹くと枝上で黒いビニールがはためいています。
おそらくカラスの死骸を模した鳥害対策なのでしょう。


鳥よけ黒ビニール(野鳥)@ネムノキ樹上
鳥よけ黒ビニール(野鳥)@ネムノキ樹上


ネムノキの葉が生い茂った7月上旬の写真です。↓
ただし映像には含まれていません。


ネムノキの花が満開に咲いた真夏(7月下旬)に再訪してみました。
黒いビニールはしっかり枝に残っていて、風になびいています。
それなりに防鳥効果があるようで、いつ見てもこのネムノキに野鳥は来ていません。

鳥よけ黒ビニール(野鳥)@ネムノキ樹上:花満開
鳥よけ黒ビニール(野鳥)@ネムノキ樹上:花満開

それにしても、ネムノキに鳥が来て欲しくない理由とは何でしょう?
ネムノキの花を食害する鳥なんて見聞きしたことがありませんし、実(豆果)に果樹のような商品価値はありません。
これは私の想像ですが、鳥の大群が集団塒(または就塒前集合場所)としてネムノキを使っていたのかもしれません。
例えばムクドリの集団塒は、鳴き声による騒音と糞害が深刻になりがちです。
民家の裏なので、あるいはカラスに営巣して欲しくないのかな?

鳥が来なくなった代わりに、ネムノキの葉を食い荒らす虫(キタキチョウの幼虫など)が増えた可能性が考えられます。
葉の食害状況を調べてみるのも面白そうです。


▼関連記事
鳥害対策として田畑に黒ビニール(鳥よけ)

鳥よけの黒ビニールを気にせず集まるハシボソガラス(野鳥)鳥害対策の無効例 



2019/05/25

鳥害対策として田畑に黒ビニール(鳥よけ)



2018年10月上旬

稲刈りの済んだ刈田の横を日没後に通りかかると、電線に黒い大きなビニールが数枚ひっかかって風になびいていました。
よく見ると、黒ビニールはひっかかっているのではなく、電線に縛り付けてありました。
田んぼの稲穂を食害する鳥を少しでも減らすために設置された、カラスの死骸を模した防鳥グッズなのでしょう。
スズメの群れは田んぼで稲穂を採食する際に、周囲を常に警戒していつでも緊急避難できる場所を用意しています。
したがって、田んぼの周囲の電線にスズメが怖がる黒ビニールをぶら下げておけば、電線にスズメが止まれず被害が減るはずです。


▼関連記事
防鳥テープの無効例:田んぼの稲穂を食害するスズメの群れ(野鳥)

檻のようなゴミ集積所もすぐ近くの道端(電柱の下)に設置してあったので、ゴミを漁りに来るカラスへの対策も兼ねているのかもしれません。
しかし電線を保守管理する電力会社は良い顔をしないでしょう。
果たして防鳥効果はあったのでしょうか?

鳥よけ黒ビニール(野鳥)@電線:田んぼ横

藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によると、

風によって複雑に動く物体に鳥は警戒を示すようです。(中略)鳥が嫌う色として、昔から赤とか黒とかがいわれてきましたが、それらの効果を調べたものはあまりありません。たとえ、特定の色を鳥が嫌う傾向があったとしても、その色だけで鳥を追い払うことは難しいでしょう。 (p145-146より引用。ゴミ袋で作った吹き流しの写真が掲載)


精巧にできたこの模型は、しかし、ほとんど効果がありませんでした。餌台に集まるスズメを使って行った私たちの試験では、餌台の上に張ったロープに吊るした(プラスチックで作ったカラスの)模型は、ずっしりと重いため、ほとんど動きませんでした。スズメには、単なる物体がぶら下がっているとしか見えなかったようです。それに対して、同じロープにぶら下げた黒ビニールは風でよく動きましたが、この時はスズメは一週間以上餌台に近づきませんでした。 (同書p150より引用)



2018年11月下旬

郊外で収穫後のトウモロコシ畑の横を通りかかったら、似たような光景を目にしました。
畑の上に縦横に張り巡らせた縄に黒いビニール袋が等間隔に何枚もくくりつけられていました。
風が吹けばひらひらと動くはずです。
この畑は更に念入りに鳥害対策がなされており、畑に突き刺した長い棒の先に黒いカラスのプラスチック模型も何個かぶら下げられていました。
期待された防鳥効果はあったのでしょうか?


もう一つ別な実例も見つけたのですが、目的がおそらく違うので、別の記事↓に書く予定です。


鳥害対策として樹上に黒ビニール(鳥よけ)

鳥よけ黒ビニール(野鳥)@トウモロコシ畑
鳥よけグッズ:カラス模型(野鳥)@トウモロコシ畑


2019/01/08

防鳥テープの無効例:田んぼの稲穂を食害するスズメの群れ(野鳥)



2018年9月下旬

秋に田んぼの稲穂が実り始めると、スズメPasser montanus)など種子食性の野鳥に食害されないようにキラキラ光る防鳥テープ(別名:防雀テープ)が田んぼ中に張り巡らされます。

季節の風物詩のような田園風景です。
このテープは片面が銀色で裏面がメタリックな赤色になっています。
田んぼの畦道に杭や細い竹竿を突き立て、その間に防鳥テープを張り渡します。
秋風が吹くとテープが捻れて両面のメタリックな2色が目まぐるしく動いてチラチラと光ります。
このギラツキをスズメは嫌って田んぼに寄り付かなくなる、動かない案山子よりも防鳥効果がある、というのが商品の宣伝文句です。
しかし長年使われて防鳥効果が薄れているのか、このテープを大量に使っている田んぼを最近ではあまり見かけなくなりました。

それほど大きな田んぼではないものの、今時珍しく縦横無尽に(斜めにも)大量の防鳥テープを張り巡らせている所を見つけました。
ここは住宅地の裏なので、スズメ追いの爆音器を田んぼに設置すると近隣から苦情が殺到する、などの事情があるのでしょう。
宅地開発が進む前、この辺りは広大な田んぼだったのに、皮肉なものです。

▼関連記事
収穫前の田んぼからスズメ(野鳥)を追い払う爆音機♪

稲刈り前の田んぼに張り巡らされた防鳥テープの様子を私が動画に撮っていると、すぐ近くの電柱や電線にチュンチュン♪と鳴きながらスズメが続々と集まり始めました。
ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)も一羽、電線に止まり素知らぬ顔で羽繕いしていました。

田んぼから少し離れて野鳥の行動を見張ることにしました。
しばらくすると案の定、スズメが電柱や電線から下の田んぼに続々と舞い降りて稲穂を啄み始めました。
スズメは一旦田んぼに降り立つと、稲穂の茂みに隠れて居場所が分からなくなります。

せっかく苦労して張り巡らせた防鳥テープをスズメが恐れている素振りはありません。
防雀テープ破れたり!
食害シーンの証拠映像を撮るにはアングルがいまいちですけど、私が下手に田んぼに近づくとスズメは逃げてしまいますから、なかなか難しいのです。
いつか無人カメラを設置して田んぼの被害状況を長時間監視してみたいものです。

この田んぼの端で新築の家を建てているのですが、スズメは建築作業の騒音を全く気にしないようです。
田んぼから一段高くなっている横の道を車が通ってもスズメは無頓着です。
ただし通行人が歩いて来ると警戒して飛び去り、一時避難していました。(スズメにとって歩行者は警戒すべき不審者)
最後に私が動画を撮りながら田んぼにそっと歩み寄ると、驚いたスズメの大群が一斉に飛び立ち、電線に避難しました。
これほど多数のスズメが田んぼに潜んでいたとは驚きです。
スズメが一斉に飛んで逃げるシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイします。

動画の初めに登場するカラスも実は、田んぼに居た(悪さをしていた?)個体が私を警戒して飛び立ち、電線に避難していたのです。
スズメと異なり、しばらく待ってもカラスは田んぼに戻らず、食害シーンを撮れませんでした。(来季の宿題です)

市販の防鳥グッズに対して私がいまいち懐疑的なのは、野鳥がすぐに慣れてしまう同様の光景を子供の頃から見てきたからです。
もちろんこの記事は商品の営業妨害が目的ではありません。
そもそも防鳥グッズに100%の効果は期待できません。
地域の田んぼ全体で対策するか一部の田んぼだけで対策するかによっても効果は変わってきますし、スズメの慣れ具合は場所や状況によってまちまちでしょう。

この田んぼでも防鳥テープを張らなくなると、スズメによる被害がもっと酷いことになるのかもしれません。
なるべく安上がりな防鳥グッズを設置し、結果として何割の増収になったか?というコストパフォーマンス(費用対効果)が求められます。

例えば最新鋭のドローンを飛ばしたり二足歩行ロボットを導入して畦道を常に巡回させればスズメは怖がって田んぼに寄り付かなくなるかもしれません。
しかし防鳥効果を100%にしても、高額な対策コストに見合う収穫が得られなければ本末転倒です。

この田んぼだけ稲刈りが遅れているのは、稲穂の実りの状況が芳しくないためのようです。
鳥による食害が原因かどうかは米農家に聞いてみないと分かりません。
稲穂を食い荒らす野鳥と知恵比べを長年繰り返している稲作農家の苦労もよく分かります。
スズメは警戒心がとても強く、田んぼで稲穂を盗み食いする際も常に緊急避難場所を近くに用意しています。
鳥の習性を見てきた鳥好きによる私案としては、赤銀テープだけでなく他の防鳥グッズと組み合わせることをまずお勧めします。

次に、田んぼの周囲でスズメの避難場所を無くしてしまうことを提案します。
田んぼ内に防鳥テープを張り巡らせるだけでなく、電力会社と協力して田んぼ周辺だけでも無電柱化を推進するとか電線や電柱にスズメが止まれないような工夫をすれば、田んぼの防鳥効果が高まりそうな気がします。
ただし、電線にトゲトゲの障害物を装着すると今度は冬の積雪で電線が切れてしまうおそれがありそうで、雪国ではどうするか悩ましいところです。
(それでもスズメは田んぼの近くの民家の屋根や庭木に止まるようになるだけかもしれません…。)

藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によれば、

テープはよりをつけて張ってやると、風でよく動き、その度に太陽の光を反射してキラキラひかります。この反射光を鳥は嫌うようで、日の出前や曇天の日には効果が落ちるという試験結果があります。このテープは本来は、スズメを対象にして考えられたようですが、スズメ以外の鳥にも効果が期待できます。(中略)鳥に慣れがつくことから逃れることはできませんから、絶対的な効果は期待できません。(p144-145より引用)



「鳥獣害研究室-鳥害対策 - 農研機構」が公開しているサイトでも赤銀テープの評価は低いです。
防鳥テープ キラキラと光るテープを作物の上に張り巡らす。防雀テープともいう。見えにくいテグスと違って、鳥が当たっていやがるわけではなく、警戒して避けることを期待したもの。あまり効果は期待できないが、安価で気楽に使える。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


田んぼ(稲刈り前)+防鳥テープ赤銀
田んぼ(稲刈り前)+防鳥テープ赤銀
田んぼ(稲刈り前)+防鳥テープ赤銀
田んぼ(稲刈り前)+防鳥テープ赤銀

スズメ群れ(野鳥)@電柱+電線:田んぼ横
スズメ群れ+ハシボソガラス(野鳥)@電柱+電線:田んぼ横

2018/12/28

収穫前の田んぼからスズメ(野鳥)を追い払う爆音機♪



2018年9月下旬

秋の田んぼで稲穂が実ると、スズメPasser montanus)など種子食性の野鳥による食害を防ぐために様々な対策を施すようになります。

ここは山麓の田んぼで、黄金色の稲穂の上をトンボが飛び交っています。
手前はソバ畑になっています。

鳥害対策の一つとして、田んぼを囲む畦道に支柱を立て、その間に「防鳥テープ赤銀」が張り巡らされていました。
風が吹くと両面テープの捻れた部分が自然と左右に動き、メタリックの赤と銀色がチラチラと反射するようになっています。
(両面テープと言っても粘着力があるのではなくて、裏表が二色に塗り分けられているのです。)
このギラツキを鳥は嫌うという触れ込みで、昔から使われています。
たまたま撮影時は夕方で風が止んでいて、テープが静止しているため、残念ながら映像では特徴が伝わりません。
無風の際も防鳥効果が期待できるのかな?

もう一つの鳥害対策として、田んぼの奥にスズメ追い(スズメ脅し)の爆音機が設置されていました。
ドカーン!という凄まじい爆裂音が山里にこだまします。
プロパンガスをタイマーで定期的に爆発させる仕組みなのだそうです。
どうやら約5分間隔で爆裂しているようなので、次の爆発を待ち構えて動画に記録してみました。
この日は三脚を持参しておらず手持ちカメラで撮ったために、心の準備をしていても爆音が鳴った瞬間は反射的にビクッとしてしまいます。

爆発の瞬間をスロー再生すると、爆裂音の直前に青い炎が赤いパイプから少し出ていました。

「鳥獣害研究室-鳥害対策 - 農研機構」のホームページによると、

爆音器 農地と住居が混在している日本ではプロパンガスによる比較的小音量のものが用いられているが、それでも騒音で苦情が来る。鳥の慣れも早い。

同所で公開されたPDF「鳥種別生態と防除の概要:スズメ」を読んでみると、

爆音器も一時的には効果はあっても、日数がたつと慣れてきてしまい、爆音器周辺の小範囲に限られるようになる。爆音器と視覚刺激を組み合わせた複合型爆音器も市販されているがやはり慣れを生じる。これらの機器には騒音の問題をに気を付けなくてはならず、その対策として夜間停止していた場合には早朝に被害にあいやすくなる。


藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によれば、

爆音器などの効果は、鳥が銃猟を知っているかどうかで大きく違ってきます。(p178-179より引用)

こうした鳥害対策が功を奏したのか分かりませんが、この田んぼにスズメの群れは一羽も来ていませんでした。
薄暗くなってきた夕方に撮ったので、そもそもスズメの採餌活動が終わった後のような気もします。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
宮崎学、小原真史『森の探偵―無人カメラがとらえた日本の自然』という本を読んでいたら、
水力などを利用して一定時間が経つと定期的に大きな音が鳴る鹿威しも聴覚に訴える全自動式の威嚇装置の一種。 (p286より引用)
確かに伝統的な「鹿威し」は爆音器の原型ですね。
私のフィールドにはニホンジカは生息しないので、鹿威しの効果は実感したことがありません。
カコーン♪という風情ある音だけで逃げ出すとは、よほどニホンジカは神経質なのでしょう。


スズメ(野鳥)追い:爆音機@田んぼ
防鳥テープ赤銀(野鳥)@田んぼ
防鳥テープ赤銀(野鳥)@田んぼ

2018/12/17

鳥追いカイトは田んぼのスズメ対策に有効か?(野鳥)



2018年9月上旬
▼前回の記事(8月中旬)
水田を鳥害から守る鳥追いカイト(フクロウ型の凧)


実りの秋になり、黄金色の稲穂が広がる田園地帯のあちこちに設置された鳥追いカイト(凧)の数が増えていました。
収穫前の鳥による米の食害を防ぎたいのでしょう。
プリントされたデザイン(擬態)がタカとフクロウの2種類ありました。



幾つもの凧を田んぼに設置すると決して安い買い物ではないので、気になるのはその有効性です。
鳥追いカイトの防除効果を厳密に試験する際には、圃場に処理区と無処理区(無防除区)とを設ける必要があります。

カイトを上げていない区画で田んぼに隣接する民家の辺りにスズメPasser montanus)が群がっていました。
チュンチュン♪と賑やかに鳴き交わしながら、庭木のカエデの木と田んぼの端を往復するように飛び回っています。
民家のトタン屋根にも群れの一部が止まっています。
いざというときにすぐ避難できる場所を確保しつつ、稲穂を食べに来たのでしょう。

田んぼには稲穂以外にもイヌビエがたくさん生えています。
スズメがイヌビエの実も食べるのかどうか、証拠映像を未だ撮れていません。(イネの実の方が好み?)

さて次に、私がその場で向きを変えると、広大な田んぼの反対側の区画に設置された鳥追いカイトが幾つも見えました。
長い釣り竿を立て、その先から糸でカイトが吊り下げられています。
風が吹くと煽られたカイトが右に左に動き回ります。
ヒトに擬態した昔ながらの案山子に比べれば、激しい動きがある分だけ鳥追い効果がありそうです。

カイトの下面にはフクロウやタカと言ったスズメの天敵となる猛禽類の絵柄がプリントされていました。
しかしカイトの上面は意外にも白紙でした。(日焼けして退色したのではなさそうです。)
上空から田んぼに飛来する野鳥に対して脅かすには、コストをけちらずにカイトの上面にもリアルなプリントをした方が良いと思うのですが…。
それでも鳥追いカイトの周囲にはスズメの群れは見当たりませんでした。

この映像だけ見ると、まるで商品CMのように、確かに鳥追いカイトにスズメを追い払う効果がありそうに思えます。
しかし、この比較はフェアではありません。
鳥追いカイトが設置された区画は広大な田んぼの中央部にあり、近くにスズメの避難場所がありません。
スズメの性質からすると、元々あまり来ない(食害が少ない)区画である可能性があるのです。
民家に近い田んぼの端にもカイトを設置して、スズメが来なくなることを実証しなければいけません。

おそらく田んぼの区画によって違う農家が管理・栽培しているのでしょう。

藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によれば、

(イネの)登熟期の被害はスズメ、ハト、カルガモによるものですが、スズメによるものがもっとも大きく、重要です。(中略)広く開けた水田地帯では、それほど大きな被害を受けることは少ないようです。しかし、人家の近くや電線の下、樹木の近くなどの水田では大きな被害が発生します。これらの場所では、スズメの逃げ場が確保されているからだと思われます。(p190より引用)

スズメの被害は、登熟した穀類の種子ばかりでなく、田んぼや畑に播種された種子にも発生します。
登熟:穀物や豆類の種子が次第に発育・肥大して、炭水化物や蛋白質が集積されること。(p60より引用)


もう一つの問題として、スズメの群れが稲穂の茂みに完全に隠れてしまうと、私にも見つけられなくなり、動画が撮れないのは当然です。
もしかすると、鳥追いカイトに慣れてしまったスズメの群れが、カイトのお膝元でもこっそり稲穂を食害しているかもしれません。
無人の監視カメラを田んぼのあちこちに設置したら面白そうです。
鳥追いカイト自体にGoProのような小型のCCDカメラを付ければ、カイト目線の映像が撮れるでしょう。

毎日、夕方になったら田んぼの凧を回収するのかな?

無風で凧が動かない日は防除効果が無くなるのでしょうか?
逆に台風が来る前には予め凧を取り外しておく必要がありそうです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

2日に分けて同じ田んぼで撮った映像をまとめました。

2018/12/05

リンゴ園を守る鳥獣害対策グッズ類



2018年9月上旬

山麓の果樹園でリンゴの果実が赤く色づき始めました。
熟して収穫するまでに鳥獣による食害を防ぐため、リンゴ園農家は色々と涙ぐましい工夫をしています。

まず、光るテープが何本も木の枝に結び付けられ、風にたなびいていました。
このテープは両面がメタリックな赤と銀色の2色になっていて、反射光がチラチラする効果があります。 (防鳥テープ赤銀)
これは果樹園以外にもスズメ対策として秋の田んぼによく張り巡らされているのを昔から見かけていました。(映像公開予定)



オレンジ色に黒い縞模様の虎の張りぼてが枝から吊り下げられていました。(防獣タイガー風船)
ときどき山から下りてくる野生ニホンザルの群れへの対策だと思われますが、こんな子供騙しのような案山子が果たして効果あるのか、個人的には甚だ疑問です。
初めは見慣れない物体に不審がるかもしれませんが、人畜無害(まさに張子の虎)だとすぐに見破られ、慣れてしまうでしょう。



フクロウの模型も吊り下げられていました。
大きな目が鏡になっていて、風が吹いて向きが変わると、目が反射してピカピカ光ります。
これだけはネット検索しても見つからず、正式名称が不明です。
確かに鳥を怖がらせる効き目がありそうな気がするのですけど、目が光る角度は限られていますし、今はもう売られていないということは、残念な結果に終わったのでしょう。


矢崎葉子『カラスバトル』を後日読んでいたら、東急ハンズで売られている鳥避けグッズを紹介した中に「タカくん」という似た商品を見つけました。(本の表紙の右下にも写真が小さく載っています)
「鷹を模した下敷きみたいなもので目の部分がミラーになっている」のだそうです。(p28-29より)


現在は首を振る動きをしたり、もう少しリアルな造形に改良されたフクロウ型の防鳥具が売られています。
私は未だ実際の食害シーンを見たことがないのですけど、リンゴ園を悩ませている害鳥はヒヨドリでしょうか。

鳥害の本を読んで勉強してみると、複数の対策法を組み合わせて使うのが良いとされています。
こうした鳥獣害対策グッズの有効性を実証するために、可能ならばライブカメラやカメラトラップを設置して果樹園を終日監視してみたいものです。



最近では莫大な投資をして果樹園全体をネットやハウスですっぽり覆ってしまい、がっちり食害対策する農家も見かけます。
コストを回収できる利益があり、リンゴの木の光合成と授粉を妨げなければ、これが一番なのかもしれません。

※ 日没前に撮った薄暗い映像を編集時に自動色調補正を施しています。


防鳥テープ赤銀+防獣タイガー風船+フクロウ型鏡@リンゴ園


【追記】
宮崎学、小原真史『森の探偵―無人カメラがとらえた日本の自然』という本を読んでいたら、獣害対策についても動物カメラマンの第一人者らしい考察やヒントが散りばめられていました。
けもの道と接している田畑には、昔はよく案山子が立っていましたが、近ごろは少なくなってきました。あれは人形を人間に見せかけて視覚的に威嚇するだけでなく、汗や匂いが染み付いた布や動物の皮の匂いを「嗅がす」ことで嗅覚に訴えるものでもあったようです。 (p286より引用


匂いによる忌避効果は、鳥類には期待できません。
哺乳類による食害対策として、オオカミの尿そのものを輸入した商品が「ウルフピー」として売られています。
ニホンオオカミは既に絶滅して久しいですけど、狼の尿の匂いを嗅いだ動物は本能的にその場所を忌避するようになる、という触れ込みです。
しかし実践では効果が無かったという報告もあり、決定打にはなっていないようです。

2018/05/13

田んぼの稲穂を食害するスズメの群れ(野鳥)



2017年10月上旬

稲作農家にとってスズメPasser montanus)は収穫前に米を食い荒らす害鳥であり、田舎の田んぼ周辺にはスズメ追いの爆音機とか、風が吹くとキラキラ光るテープとか、案山子などが設置されていたりします。
スズメがイネの実(米)を実際に採食しているシーンをしっかり撮りたいと私は常々思っていました。
スズメはとにかく警戒心が強くて、肝心の食害シーンを動画で記録するのにひどく難儀します。

田んぼに実った稲穂にスズメの群れが集まっていました。
スズメの動向を見ていると、田んぼの中央部には行かず周縁部に留まっています。
どうやら、田んぼのすぐ近くにある木の茂みにいつでも避難できるように用心しているようです。
横の道に車が通りかかると警戒心の強いスズメは田んぼから一斉に飛び立ち、一時避難します。
しばらくすると再び樹上から田んぼに次々と飛び降りて来ます。
稲穂すれすれの上空でホバリングし、着陸すると稲穂に隠れて見えにくくなりました。

より良い撮影アングルを求めて私が少し移動しただけで、今度は私を警戒して田んぼに近寄らなくなってしまいました。
田んぼの端に無人カメラを設置すれば、もっと上手く撮れるかな?

大田真也『スズメ百態面白帳』という本を読むと、まさに私が今回観察した通りのことが書いてありました。

スズメがイネを食い荒らすのは、決まって田の周縁部で、広い田の中央部などということはけっしてない。しかも、すぐ近くにいざというときの隠れ場となる生け垣や木立、竹やぶなどの茂みがあるという条件がそろっている場所である。 (p13より引用)



川内博『大都会を生きる野鳥たち』によると、
 スズメは少なくとも稲作がはじまった数千年前から人間の近くにすみ、寄生ともいえる生活をしている鳥である。農作物やそれにつく虫などとともに、人のおこぼれを重要な食料源とし、巣のほとんどを人家や人工建造物に依存している。」(p93より引用)

「スズメはヒトに寄生」とは身も蓋もない表現ですが、言われてみれば確かにそうだなぁと納得します。

実るほど頭を垂れる稲穂かな

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