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2024/01/05

リフォームした子供部屋に落ち葉を運び入れるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2023年5月下旬・午後18:30頃・日の入り時刻は午後18:50。 

日没前の夕方に奥の巣口Rからニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が顔を出して風の匂いを嗅いでいます。 
巣口Rの右に出て座り込み、体をボリボリ掻きました。 
立ち上がって右に向かいます。 

しばらくすると、林床の落ち葉を前脚で手前に掻き集めながら後ろ向きで戻って来ました。 
そのまま後退して巣材を巣穴Rに搬入しました。 

すぐにまた♀が出巣Rすると、2回目の巣材集めに出かけました。 
前足で掻き集めた落ち葉を抱えながら、後ろ向きで帰巣Rします。 

産室だった巣穴Rがヘルパー♂によって拡張工事が行われ、それが終わると次は新しいインテリア(寝床)を子供部屋に運び込んでいるようです。 
アナグマ営巣地(セット)周辺の林床がきれいなのは、アナグマが絶えず落ち葉を掃き掃除しているからです。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
別アングルのトレイルカメラ(新機種)が不調で、撮れていないのが残念です。


2024/01/03

巣穴を掘り広げて子供部屋を増築するニホンアナグマのヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月中旬

シーン1:5/15・午後21:01〜21:05・(@0:00〜) 
奥の巣穴Rでヘルパー♂と思われるニホンアナグマMeles anakuma)が再び穴掘りを始めました。 
後退しながら土を掘り出すと、巣口Rからアクセストレンチが形成されます。 

これから4頭の幼獣が大きく育ちますから、子供部屋を増築しているのでしょうか? 
それとも自分の部屋を育児部屋として♀に乗っ取られたので、仕方なく自分の部屋を新たに掘っているのかもしれません。


トレイルカメラの電池が消耗しているために、細切れの録画になっています。 
別アングルのトレイルカメラ(新機種)で撮れていなかったのが残念です。


シーン2:5/20・午前4:44〜4:46・(@0:50〜)日の出時刻は04:22。 
5日後もヘルパー♂が早朝から穴掘りを始めました。 
奥の巣口Rに顔を突っ込むと、前脚で土を後ろに掻き出しています。

アナグマの♀は授乳などの子育てに忙しいので、穴掘りの重労働はヘルパー(1年仔の息子♂)に任せているようです。 
つまり分業が存在するようです。
それにしても、なぜ一夫一妻(交尾した♂と同居)ではなくヘルパー制なのか、不思議です。
アナグマの社会システムが更に進化すると、ハダカデバネズミのように真社会性やカースト制度が進化してくるのでしょうか?(この辺は勉強不足なので、曖昧かつ適当な推測です。)

アクセストレンチという用語について解説しておきます。
巣穴の掘削方法は、穴の中から前足で土を押し出し、押し出したあとにはアクセストレンチと呼ばれる溝ができる。 (wikipedia:ニホンアナグマより引用)
しかし、この記述は私の観察結果と明らかに異なります。 
私の見ているアナグマ(ヘルパー♂)は、穴の中から頭を先頭にして出巣しながら土を前足で押し出したりしません。 
後退しながら前足で土を後ろに掻き出すというのがポイントです。 
一方、「飯能の自然メモ」というブログサイトで穴熊ノ溝という記事を読むと、
フィールドで地中にできた巣穴を観察した際に、アナグマが掘ったものかどうかを判断する指標のひとつに、「アクセストレンチ」と呼ばれる溝がある。これは、アナグマが掘った土を外に出すときに残る跡で、どのようにつくかは諸説あるが、動物園で観察したアナグマの場合、掘った土を前肢で抱きかかえるようにし、後退りしながら外に引きずり出した際にできた。
こちらの記述は私にもしっくりきます。 


アナグマは林内の営巣地でこれほど大規模な土木工事を何年も継続することから、様々な種類の生き物に影響を与えることになります。
(アナグマの掘った巣穴を利用する生き物は多い。)
アナグマが巣材集めのために落ち葉掻きをした林床は乾燥が進むことになるでしょう。
つまり、アナグマは日本の山林で独特な生態系エンジニアとしての役割りを果たしていると言えそうです。 
後々、これに関連した動画を公開予定です。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 



2023/12/31

ニホンアナグマ♀が古い巣材を産室から次の引越し先に運び、ヘルパー♂が巣穴を掘り直す【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月中旬

シーン1:5/15・午後18:54・(@0:00〜)日の入り時刻は午後18:45。 
ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣4匹を連れて巣穴Rから手前の巣穴Lへ引っ越したのが早朝で、これはその日の夕方の出来事です。 
日没直後の薄暗い営巣地(セット)で、奥の巣穴Rから出てきた♀個体が、なぜか巣口Rでぐるぐる回っています。 
一体何をしているのでしょうか? 
画面の手前の左からハリギリ(別名センノキ)の棘だらけの細い倒木が右に突き出しているせいで、奥の巣穴Rが見えにくくなっています。 
謎の行動を同時に逆アングルからも動画で記録したかったのですが、残念ながらこの時期はもう1台のトレイルカメラ(新機種)が不調でした。 

アナグマ♀は何か白っぽい物(古い巣材?)を巣穴Rの中から巣口Rに捨てたようです。 
身震いしてから右に立ち去りました。 


シーン2:5/15・午後18:56・(@0:54〜) 
次にカメラが起動したときには、赤外線の暗視モードに切り替わっていました。 
♀が巣口でグルグル回る謎の行動をまたやっています。 
次回の幼獣引っ越しに備えて、巣口Rに柔らかい巣材(クッション・緩衝材)を予め敷き詰めておくのでしょうか? 
再び右に立ち去りました。 


シーン3:5/15・午後18:59・(@1:40〜) 
後頭部(首筋)に白斑のある♀個体が後ろ向きで手前の巣穴Lに入るところでした。 
前脚で落ち葉などを掻き集めながら巣穴Lに搬入しています。 
途中で落枝に引っかかってしまった落ち葉を口で拾い直しました。 

空荷で出巣Lすると、身震いしてから奥に入巣R。 
次に出巣Rする際には、後ろ向きで古い巣材を外に掻き出しました。 
これほど大量の落ち葉を地下の巣穴に溜め込んでいたとは驚きました。 
私が以前試しに与えてみた藁束も含まれているでしょうか? 


アナグマ♀が何をしているのか、私にもようやく意図が飲み込めました。 
産室だった巣穴Rに何度も出入りしては古い巣材を外に排出し、引越し先の巣穴Lに運んでいたのです。

使い古した巣材(寝床)にはノミやダニなどの体外寄生虫がまぎれていそうなのに、大丈夫なのでしょうか?
アナグマは巣材をときどき天日干し(虫干し)するという話を聞いていたのに、この個体は横着して新居に古い巣材をそのまま運び入れました。

(アナグマは)巣材として草を根から引き抜いて使用していると推測される。巣材が大雨などで濡れると、昼に穴の外に出して乾燥させて夜に穴に戻す、という話もある。(wikipediaより引用) 


その後は奥の巣穴Rから土を外に何度も掘り出しています。 
トンネルの拡張工事を始めたのでしょうか。 


シーン4:5/15・午後19:13・(@4:25〜) 
少し時間が開きました(7分後)。 
2つの巣口LRの間に座っていたアナグマが立ち上がって身震いすると、奥の巣穴に入りました。 
すぐにまた後ろ向きで外に出てきました。 
黒い土を外に掻き出しています。 
巣穴Rから奥に向かってまっすぐ後退しながら土を掻き出すので、なだらかなスロープが形成されます。 
これはアクセストレンチと呼ばれ、アナグマの巣穴入口に隣接して必ず見られる構造です。
少し疲れたのか、アナグマは身震いすると右上に立ち去りました。 
採食に出かけたのかな? 



シーン5:5/15・午後20:25・(@5:45〜) 
70分後にアナグマが巣穴Rの拡張工事を再開しました。 
巣口Rから何度も後退しながら土を外に排出しています。 
トレイルカメラの電池が消耗してきて、細切れ映像しか撮れなくなってきました。 
巣口Rに頭を突っ込み、土を前足で後方に掻き出しています。 

作業中にたまたま左後脚を持ち上げてくれたので、股間に睾丸が見えました。(@6:30〜) 
やはり穴掘り作業を担当するのは母親♀ではなく、ヘルパー♂(1年仔の息子♂)だったようです。 
地下で穴掘りを続ける個体の毛皮は黒い土で汚れ、個体識別が困難になります。 
正面からのカメラ目線をくれないので、左右の目の大きさも分かりません。 
この間、母親♀は手前の巣穴Lで幼獣4頭の面倒を見ていて忙しいのでしょう。 


シーン6:5/15・午後20:28・(@6:53〜) 
巣口Rで何やら作業を続けていますが、尻尾しか見えなくなりました。 


シーン7:5/15・午後20:31・(@7:10〜) 
巣穴Rを掘りながら、画面の右側にも新たにアクセストレンチを伸ばしているようです。 
近くにある細い蔓がブラブラ揺れています。 
その後も午後20:40まで穴掘り作業を続けていました。 

巣口から四方にアクセストレンチが伸びています。
これから梅雨になりますが、雨水の浸水対策はどうなっているのでしょうか?
ニホンアナグマは地中でトンネル(坑道)が一度下がってから少し上がった地点に居住区を作っているのかな?(ビーバーの巣からの連想です)

※ 動画の一部は、編集時に自動色調補正を施しています。 
この動画を編集した5月には、アナグマが何をしているのか、いまいち分かっていませんでした。 
♀が巣穴Rの古い巣材(寝床)を外に排出して引越し先(巣穴L)に運んだ前半部と、ヘルパー♂が巣穴Rを掘って拡張工事している後半部を分割すべきでしたね。 
登場個体が♀からヘルパー♂にいつ入れ替わったか、しっかり見極められないのが問題です。


2023/12/30

庭で落葉したカエデ樹上に現れたコガタスズメバチの古巣:2018年

2018年12月上旬・午後・くもり

民家の庭木が落葉した後に、コガタスズメバチVespa analis insularis)の古巣を見つけました。 
初冬でコロニーが解散した後ですから、成虫の出入りはありません。 
コガタスズメバチはヒトへの攻撃性がそれほど高くなく、当地(東北地方の雪国)では巣があまり大きく育ちません。
夏に横を通りかかっても巣の存在に気付きませんでした。

このように「知らぬが仏」という事例が多いことから、少なくともコガタスズメバチに関しては、人家の近くに巣を作っても、ほぼ問題なく共存できると私は考えます。
コロニーが解散するまで干渉せずに放っておけば良いのです。
下手に駆除しようとするから、蜂に反撃されて刺傷事故が起きるのです。
むしろコガタスズメバチが庭木に営巣したおかげで、周囲の庭や家庭菜園で害虫の発生が抑えられたはずです。
ヒトの知らない間にスズメバチは重要な生態系サービスを担っています。
ミツバチなどのハナバチ類が植物の花を受粉してくれる生態系サービスについては一般人でも理解されているようですが、スズメバチやアシナガバチなど社会性カリバチについてはその危険性ばかりが過剰に喧伝されているのが残念です。

蜂好きが「べき論」を言ったところで反感を買うばかりですが、身近にスズメバチの巣を見つけたら、まずはその種類を正しく見分けることが大切です。
巣の形状や営巣環境などからスズメバチの種類をおおよそ推測することができます。
マスコミがオオスズメバチへの恐怖を毎年煽るので強烈な印象に残り、虫に詳しくない人は最悪を想定してしまいがちです。
しかし、必ずしもオオスズメバチの巣とは限りません。
オオスズメバチは地中に営巣する種類であって、樹上には決して巣を作りません。
そもそもオオスズメバチが営巣するのは、よほど自然豊かな環境(山林)になります。
知識がなくて不必要に怖がる結果、スズメバチに対して不寛容になっている(見つけ次第、皆殺しにすべきだ!)ケースが多いと私は感じます。


完全に落葉した後でも特徴的な翼果が枝に残っていたことから、営巣木の樹種はカエデの仲間[(おそらくイロハモミジ(=イロハカエデ)]と分かりました。


2023/12/28

雨夜に巣材集めを始めたニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2023年5月中旬


シーン1:5/14・午後19:18・(@0:00〜) 
小雨がぱらつく晩に、ニホンアナグマ♀(Meles anakuma) がせっせと巣材集めを始めました。 
落ち葉などを前脚で抱え込みながら、右奥にある巣穴Rに後ろ向きで入りました。 
雨で巣材が濡れている(湿っている)はずなのに、気にせず搬入しました。 
すぐに同じ巣穴Rから外に出ると、身震いしてから左の二次林へ向かいました。 
ちらっとカメラ目線をくれた際に、右目の小さな♀個体であることが確認できました。 


シーン2:5/15・午前3:43・(@0:38〜) 
日付が変わった深夜未明、雨は止んでいました。 
♀が左手前の巣穴Lから外に出て来ました。 
画面の左端で軽く立ち上がると、低木に前脚を掛けました。 
カメラの死角で何か作業しています。
灌木の茂みがガサガサ動いているので、枝についた葉を直接採取して寝床(敷き藁、巣材)として集めているようです。 
落ち葉だけでは量が足りないのでしょう。 
少しずつ後退しています。 
巣穴に辿り着く前に、尻切れトンボで録画が終わってしまったのが残念です。 


シーン3:5/16・午前3:12・(@2:08〜) 
翌日も未明に♀が巣材を巣穴Rへと運び込んでいました。 
カメラの電池が消耗していて、細切れの映像になってしまいました。 


※ 動画の一部は、編集時に自動色調補正を施しています。 
残念ながら、この時期は1台のカメラでしか撮れていません。 


アナグマ関連の本を読むと、使い古した巣材や濡れた巣材を外に出して干すのだそうです。(寄生虫対策?) 
今回のアナグマは逆に、濡れた落ち葉を巣材として運び込んだので、とても驚きました。 
濡れ落ち葉は寝床として冷たいですし、地中でカビが生えたりしないのか?と心配になります。 
何か緊急事態が勃発し、新しい巣材が急遽必要になったのでしょうか? 
出産が近いので新しい巣材を産室に持ち込んだのか?と想像したものの、私の予想は外れました。 
この翌日になんと…。 


2023/12/27

スズメバチの巣よけのダミー?

2023年11月中旬 

民家の庭木に奇妙な物体が紐で2つ吊り下げられていました。 
茶色のガムテープを丸めた物体です。 
その家の人が不在で質問できませんでしたが、おそらくコガタスズメバチVespa analis insularis)の丸い巣を模したダミーを自作したのではないかと想像しました。 
中に防虫薬剤が含まれているのかもしれません。 
果たしてスズメバチの創設女王に対して営巣忌避効果があったのでしょうか? 

最近ホームセンターや通販などで売られている類似商品には表面に鱗模様が印刷されていて、スズメバチの巣の外皮に擬態しています。 
しかしダミー(フェイク)の巣を吊るしても、個人的には「気休めやおまじない程度にしかならないのでは?」とその効果に懐疑的です。 
機会があれば検証実験してみたいものです。
宣伝通りの効果があるのであれば、もちろん朗報です。

どうせなら実際にスズメバチの古巣を採集しておいて、営巣して欲しくない場所にそれを吊るすのはどうでしょう?
スズメバチは古巣を再利用して住み着くことはありません。
古巣には寄生蛾などが同居しているはずですから、スズメバチの天敵が増えることが期待できますし、本物の古巣の近くにはわざわざ営巣しない気がします。

関連記事(14年前の撮影)▶ コガタスズメバチの巣に寄生する蛾の幼虫
 

2023/12/25

二次林にあるニホンアナグマの営巣地@5月中旬

 



2023年5月中旬・午後 

トレイルカメラの電池を交換するために、ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の営巣地(セット)にやって来ました。 
繁殖期なので子育て中の♀を刺激しないように、なるべく訪問頻度を下げています。 
セットの広場には足を踏み込れないようにしています。 

動画を撮りながら巣口Rの近くに忍び寄ると、実際には2つ以上の穴が横に並んでいました。 
巣口Lの近くにも回り込んでズームインしてみました。 
アナグマが巣口から顔を出して警戒することはありませんでした。 

アナグマ関連の本を読むと、巣穴の近くに溜め糞場を作るのだそうです。 
 アナグマも「ためフン」をする。そうはいっても、タヌキのもののように、家族が何日もかけて積み上げたものではなく、規模は小さい。
 それはふつうに「トイレ」といっていいほどで、巣穴の近くの、ざっくりと斜面をひとかきしたような穴の中に3〜5本してある。

セットの横を探すと、灌木の根元を数カ所、浅く掘っていました。 
アナグマのトイレ(溜め糞場)にしては、糞が全く残っていません。 
餌となるミミズを捕食するために掘った穴ではないかと思います。 
あるいは新しい巣穴を掘ろうとして、木の根っこなどに阻まれてしまったのかもしれません。 

木漏れ日が小さいので、林冠は木の葉でほとんど塞がれていることが分かります。 
実際にカメラを上に向けて林冠の様子を撮ればよかったですね。
晴れた午後でも林床はほぼ日陰になっています。 
巣穴の周囲にはマルバゴマギの細くてねじくれた灌木がヒョロヒョロと生えています。
その生育が悪いのは冬の雪圧のせいだと思っていたのですが、夏も日当たりが悪くてあまり光合成できないと分かってきました。
地中にアナグマの巣穴がありますから、根っこが常に痛めつけられている悪影響もありそうです。
台風の大風や落雷など何らかの理由で近くの大木が倒れて林冠ギャップができれば、日当たりが良くなり、生育が良くなるはずです。



2023/12/24

ススキの葉裏に作られたヒメクモバチの泥巣

2022年7月下旬・午後16:00 

里山で幅が狭く人通りの少ない山道を下っていると、ススキの葉の裏に付着した小さな泥玉を見つけました。 
これはおそらくヒメクモバチ♀(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)の作った泥巣と思われます。 

完成後に閉じられた育房が2つ並んでいました。 
白っぽく乾いた育房の方が先に作られ、やや黒っぽく湿った育房はその後に作られたと推理できます。
葉裏の主脈に沿って巣材の泥玉を付着させようと試みた跡が残っていました。 
作りかけの泥玉が剥落してしまったのかもしれません。
地上から泥巣までの高さは約80cm。 
近くに母蜂の姿はありませんでした。

私が通りすがりに営巣基のススキの葉身をうっかり折ってしまったので、ヒメクモバチ♀が造巣を続けるかどうか疑問です。 
次回に来たときは泥巣を採集して育房の中身を発掘調査してみようと計画していたら、山道の整備に伴って草刈りされてしまいました…。

2023/12/21

落葉したイワガラミ蔓に現れたコガタスズメバチの古巣

2023年3月下旬 

民家の壁面緑化のために植栽された蔓植物のイワガラミが冬に落葉すると、コガタスズメバチVespa analis insularis)の古巣がぶら下がっていました。 
地上からの高さは、目測で7〜8mぐらいでしょうか。
コロニーは晩秋に解散していて空き巣です。
激しい風雪が吹きすさぶ長い冬の間にコガタスズメバチの古巣が壊れたり落ちたりしなかったのは驚きです。
紙(パルプ)製なのに強度はしっかりしていることが分かります。 
春になるとイワガラミの若葉が芽吹き始めました。
@東壁の緑化
2023年4月上旬 

発見から数日後に古巣を蔓ごと採集させてもらいました。
外皮の一部は剥がれてしまいましたが、ほぼそのまま採取できました。

巣口は外皮側面の外向きに開口しています。
イワガラミの細い木質の蔓が巣内を貫通していました。
外皮が少し損傷したおかげで、内部の構造が垣間見えました。
3層の巣盤が作られていました。

巣口付近の外皮を大きく食い広げられた形跡があります。
晩秋にオオスズメバチの襲撃を受けたのか、それとも鳥に食害されたのかな?




採集直前の写真は撮り忘れてしまいました。
15cm定規を並べて置く
裂け目の下部からコガタスズメバチ成虫の死骸?が覗いて見える。

2023/12/19

庭で落葉したカエデ樹上に現れたコガタスズメバチの古巣:2023年

2023年12月中旬 

初冬にコガタスズメバチVespa analis insularis)の古巣を見つけました。 
気温が下がり初雪が降った後なので、蜂のコロニーはとっくに解散しています。 
場所は川沿いの民家の庭で、落葉した庭木の枝先にぶら下がっていました。 
地上からの高さは目測で〜4mぐらい。 
外皮の直径はあまり大きくなさそうです。 

撮れた写真をよく見ると、モミジの葉が数枚、古巣の外皮に取り込まれたまま紅葉していました。 
これで営巣木がカエデと判明。 
すぐ横の堤防路を何度も通ったのに、庭木が落葉するまでコガタスズメバチの巣の存在に気づきませんでした。

スズメバチが庭木に営巣して獲物を大量に狩ったおかげで、庭や畑で植物を食い荒らす害虫の発生が抑えられたという側面があります。(生態系サービス
スズメバチやアシナガバチを目の敵にしないで共存して欲しいものです。
生態系ピラミッド(食物連鎖)の上位にいる捕食者昆虫を安易に駆除すると、下位の植食性害虫が大発生してしまいます。
これを駆除するために殺虫剤をさらに撒くと益虫がますます減り、悪循環になります。(生物多様性の貧困化)
害虫はやがて薬剤耐性を獲得します。
そんなことになって得をするのは、農薬メーカーや駆除業者だけです。

巣の側面(左上に巣口?)
巣の底面
今にも落ちそう。家主に叩き落とされそうになった?
全景
枝に僅かに残ったモミジの枯葉

2023/12/17

落ち葉や若葉を掻き集めて巣穴に運び込むニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】巣材集め

 



2023年5月上旬・午後18:10頃(日の入り時刻は午後18:40) 

日没の30分前にニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が営巣地(セット)の奥の二次林に入って行く後ろ姿が撮れていました。 
林内で立ち止まって何をしているのかと思いきや、林床の落ち葉を掻き集めているようです。 
落ち葉だけでなく周囲の低木から若葉も毟り取り、一緒にまとめています。 
両手で巣材を抱えてピョンピョン後退しながら、巣穴へと運んで行きます。 

自動センサーカメラが次に起動したときには、アナグマ♀が集めた巣材を両手に抱えたまま、右手前の巣口Rまで帰って来ていました。 
そのまま巣口Rの左側の穴に後ろ向きで入りました。 
巣内で育つ赤ちゃんのために新鮮な寝床が必要になったのでしょう。

巣内で寝床を整えるとと、♀が再び巣口Rから外に出て来ました。 
身震いしてから広場と巣口Lを経由して左へ歩き去りました。 
私が新しい藁を与えたときもそうだったのですが、アナグマ♀は巣材集めを連続してやることはないようです。 
重労働で疲れてしまうのかな? 

この個体は体つきからして♀タイプなのですけど、ヘルパー(若い♂)かもしれません。 
赤外線の暗視モードに切り替わらないと、左右の目の大きさでしっかり個体識別できません。 
明るい時間帯は黒い過眼線で小さな目がほとんど隠れてしまっているのです。

まだ観察例が少ないのですが、今のところ、巣材を集めるのはいつも夜ではなく未だ明るい夕方の時間帯です。 
これはアナグマの決まったルーチンなのでしょうか。 


アナグマが定期的に落ち葉掻きをするために、営巣地(セット)の周辺だけ林床の落ち葉がきれいに無くなっていて地面が露出しています。
自然林でこの状況は不自然なので、フィールドでアナグマの営巣地を探すときの手かがりになりそうです。
落ち葉(枯葉)だけでなく緑の木の葉も集めていたのが興味深く思いました。
質より量を確保するためにやったのでしょうか?
虫よけの薬効とかアロマ成分が含まれている特定の植物の生葉を選んで採集しているとしたら、とても面白い行動です。
それを調べるためにはまず、巣穴から寝床の巣材を採集して、使われている植物を同定しないといけません。
例えば巣穴の周囲に自生しているマルバゴマキという灌木は、漢字名「丸葉胡麻木」が示す通り、葉をちぎると本当に香ばしいゴマの香りがします。
アナグマにもこの芳香はリラックス効果があったりするのかな?



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


2023/12/14

夕方に腹這いで休むニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2023年5月上旬 

シーン0:5/1・午後14:25 
たまたま明るい昼間に撮れた現場の様子です。 
右手前の巣穴Rと左奥の巣穴Lの2つが二次林の林床に並んでいます。 


シーン1:5/4・午後18:16・(日の入り時刻は午後18:35)(@0:04〜) 
日没前の夕方にニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が営巣地(セット)の広場に座り、毛繕いしていました。 
仰向けで自分の股間を舐めています。 
舌をペロペロと出し入れするのが見えます。 
広場の地面を前脚で軽く引っ掻くと、掘り返した土の上に腹這いで座り込みました。 
掘ったばかりの土がひんやりして気持ち良いのでしょう。
♀は巣内で赤ちゃんに授乳する仕事があるはずですが、腹面の乳首が土で汚れても大丈夫なのでしょうか?
授乳前に自分で乳首を舐めてきれいにするのかな?
現代のヒトが哺乳瓶をいちいち煮沸消毒するのと大違いですね。
 
ヘルパー♂と違って♀は砂を自分にかける砂浴び行動をなぜかやりません。 
ボリボリと体を掻いています。 
最後は立ち上がって歩き始めました。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 




2023/12/07

与えた藁を掻き集めて巣穴に運び込み寝床とするニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月上旬

アナグマの巣材集め行動を観察するために、ちょっとした実験をしてみました。 
巣穴の近くに巣材を置いてみたのです。 
子育て中のアナグマ♀がどれぐらい神経質か分かりません。
露骨に警戒して巣穴を引っ越してしまうリスクを恐れたのですけど、熊谷さとし『タヌキを調べよう (身近に体験!日本の野生動物)』という本を参考にしました。
巣の中にしきつめる材料は、草を根っこから引きぬいて使っているようで、出入り口のそばに落ちていることがある。
(中略)ぼくが、わらたばを巣穴の近くに置いておいたら、ちゃんと穴の中に運びこまれていた。(p23より引用)


熊谷さとし、安田守『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』 によると、

アナグマの巣穴は(中略)草をむしりとって巣穴に運び入れて布団にする。著者が試しに入口近くに藁束を置くと、ちゃんと中へ引き込んでいた。(p69より引用)



シーン1:5/1・午後17:44・(@0:00〜) 
日没前の夕方から2頭のニホンアナグマ♀♂(Meles anakuma)が巣穴の外に出てきていました。(日の入り時刻は午後18:32) 
右の個体が♀で、左の個体はヘルパー♂(若い息子)のようです。 
アナグマ家族の体色を自然光下で初めて拝むことができました。 
二次林にある営巣地で、マルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)など)の若葉の緑がきれいに撮れています。 

左の個体(ヘルパー♂?)が手前の巣穴Rに入りました。 
広場に残った♀個体も続けて入巣しかけたものの、立ちどまりました。 
アクセストレンチと呼ばれる巣口R手前のスロープに私がこっそり広げて置いた藁に気づいたようです。 
営巣地に謎の異物が突然現れたので、警戒しながら慎重に近づいて藁の匂いを嗅ぎます。
私が手で触れた匂いが気に入らなかったのか、巣材を搬入しませんでした。 
広場に戻ると、座り込んでしまいました。 
仰向けになって毛繕いしてから入巣R。 


シーン2:5/2・午後18:04・(@1:31〜)日の入り時刻は午後18:33。 
翌日も日没前の夕方にアナグマ♀が巣穴の外に現れました。 

アクセストレンチに置かれた干し草(藁)の匂いを不審そうに嗅いでいます。 
前脚で枯草を掻き寄せると、そのまま後ろ向きで藁を巣に搬入しました。 
♀はすぐにまた出巣Rすると、巣口Rで身震いしてから、体を掻いています。 


シーン3:5/2・午後18:06・(@2:25〜) 
ニホンアナグマ♀は数分後に巣材集めを再開しました。 
干し草(藁)の匂いを嗅いでから前脚で掻き集めると、後ろ向きにピョンピョン跳んで巣穴Rに入ります。 
巣穴Rの入り口に落としてしまった大量の藁も、しばらくしてから巣内に引き込みました。 


シーン4:5/2・午後18:40・(@3:19〜) 
約30分後、巣穴Rの外に出てきた♀が巣口の地面に座ってまったり休んでいます。 
痒かったのか、尻尾を甘噛みしたり、後脚で痒い体を掻いたりしています。 

立ち上がると、干し草の山へ向かってノソノソと向かい始めました。 
その動きに反応して、もう1台のトレイルカメラが起動し、赤外線LEDが点灯しました。 
トレイルカメラのかすかな物音に気づいて♀はそちらを向いたものの、すぐに警戒を解きました。 
巣材を集めて巣穴Rに搬入。 

出巣Rしても続けて巣材集めをすることはなく、いつも休憩を挟みます。 


シーン5:5/2・午後18:42・気温12℃(@4:40〜) 
別アングルで撮れた映像を見てみましょう。 
巣口Rの手前のスロープ(アクセストレンチ)に置かれた干し草(藁)の匂いを嗅ぐと、前脚で掻き寄せました。 
後ろにピョンピョン跳びずさるようにして、一抱えの藁束を巣内に運び入れます。 

 一仕事を終えた♀が広場に出てくると身震いし、痒い体をボリボリ掻いています。 
その間、ずっと監視カメラの方を見ているため、左右の目の大きさが違う♀個体であることがよく分かります(右目<左目)。 


実験は大成功です!!
ニホンアナグマの巣材集め行動を遂に撮影できました。 
せっかく与えた藁が雨で濡れないように、天気予報で晴れの日が続く時期を選んで決行しました。 
巣穴の奥では赤ちゃんを育てているはずですから、新しい寝床として受け入れてくれたのです。
「あ〜、ありがとうございますー、ね。今、誰かお客さんからフッカフカの新しい敷き藁を頂きました。 こんなん、なんぼあっても、良いですからね〜。(動画で一言©ミルクボーイ)」
巣材集めは♀の仕事なのか、ヘルパー♂は一度も手伝いませんでした。 

この実験は見ていて楽しいので、皆さんにもお勧めです。
野生動物に給餌するより害がないと言いたいところですが、くれぐれも清潔な干し草(藁)を与えるようにしましょう。 
屋根裏で埃を被っている古い稲藁とか家畜小屋(厩舎)から干し草を持ってきたりすると、ダニやノミが付着しているかもしれません。 
巣材集め作業の合間にアナグマが体をボリボリ掻いているのが気になりました。 
いつもやる行動なので大丈夫だと思うのですけど、もしも与えた干し草がダニやノミで汚染されていると大変です。
運び込まれた体外寄生虫が巣内に蔓延して(赤ちゃんにも感染して)大惨事となります。 
「獅子身中の虫、獅子を喰らう」
まるで「トロイの木馬」作戦のようではないか! 専守防衛の穴熊戦術もこれで陥落!などと感心している場合ではありません。 
アナグマは使い古した巣材を巣外に出して干す(日光消毒)ことがあるそうです。
そこまで知恵があるのであれば、もしも与えた巣材が原因で全身が異常に痒くなるようなことがあれば、原因となった巣材を巣外に捨てるような気がします。

※ 動画の一部には編集時に自動色調補正を施しています。


2023/12/03

巣材を集め始めたニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2023年4月下旬・午後18:30頃・(日の入り時刻は午後18:28) 

ちょうど日没時にニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が巣穴Rの近くで地面を手で引っ掻いています。 
餌となるミミズでも探しているのかと思いきや、地表の落ち葉を前脚で抱えたまま後退しました。 
そのまま巣内に搬入したら巣材集めの行動だと確定するのですが、途中で作業を止めてしまいました。 
この時期の林床に落ち葉はほとんど残っていませんから(※)、寝床にならないと判断したのでしょう。
巣口Rに座り込むと、痒い体を後足でボリボリ掻いています。 
※ 営巣地周辺の落ち葉は既にアナグマがきれいさっぱり掻き集めてしまっています。

時系列を整理すると、直前(2分弱前)までアナグマ♀は巣口Rの拡張工事をしていました。 


次にアナグマ♀は画面の手前(下)に移動すると、監視カメラの死角で何か始めました。 
灌木の枝葉がザワザワと揺れているのは、アナグマが(立ち上がって?)枝葉を毟り取り、巣材集めをしているからと思われます。 
もっと長く録画できなかったのが残念です。



アナグマの巣材集め行動はこの後何度も披露してくれるのですけど、これがその始まりでした。 


♀は交尾の前に巣内で出産していますから、赤ちゃんがすくすく育ってくると育児部屋を広げたり新鮮な寝床(落ち葉や枯草)が必要となるのでしょう。 
アナグマは行動のレパートリーがとにかく豊富で、見ていて飽きません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 



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