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2018/01/11

肉団子や巣材を巣に搬入するチャイロスズメバチ♀【ハイスピード動画】



2016年9月下旬
▼前回の記事
チャイロスズメバチの巣を新たに発見


神社の破風板(南側)の裏に営巣したチャイロスズメバチVespa dybowskii)のワーカー♀の出入りを240-fpsのハイスピード動画で記録してみました。
長撮りした素材から、帰巣時に何かを搬入したシーンをまとめてみました。
営巣地が高所なので、何を運んで来たのか映像ではしっかり突き止められないこともあります。

シーン1:(0:00〜0:30)

緑色の葉のような謎の物体をヒラヒラさせながら持ち帰りました。
イモムシなどの獲物をそのまま搬入したのですかね? 
以前、チャイロスズメバチ♀がカマキリを狩ったときは肉団子を作らずに持ち帰ったのを観察しています。

▼関連記事
オオカマキリを狩るチャイロスズメバチ♀


シーン2:(0:30〜0:50)

二番目に帰巣した個体♀が黄緑色の肉団子を搬入。



シーン3:(0:50〜1:14)

緑色の肉団子を搬入。



シーン4:(1:14〜1:31)

黒っぽい肉団子?を搬入。
団子から虫の脚のようなものが突き出ている。
巣材の樹皮かもしれない。



シーン5:(1:31〜2:04)

画面の上端で着地した個体が黄緑色の肉団子を咥えていた。
破風板を歩いて巣口に向かう。



シーン6:(2:04〜3:44)

♀αが白っぽい肉団子を搬入。
破風板に居た別個体♀βが迎撃に飛び立ち(スクランブル発進)、帰巣する個体♀α(+肉団子)と空中で衝突した。
門衛βが外敵と誤認したのだろうか?
♀αが帰巣をやり直している間に、更に別個体♀γが黒っぽい団子(巣材?)を咥えて帰巣。
その後も続々と帰巣する個体は空荷のようでした。


肉団子を持ち帰っても破風板でたむろしている多数の門衛?が獲物の分配を求めて殺到することはありませんでした。
したがって、コロニーはさほど飢えていないのでしょう(食糧事情は満ち足りている)。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→チャイロスズメバチの巣に近づく謎の寄生?ハエ【ハイスピード動画】


2017/07/20

電柱に巣を作るハシボソガラス♀♂【10倍速映像:野鳥】



2017年4月中旬・午後14:44~15:51
▼前回の記事
電柱の天辺に小枝を組み合わせて巣を作るハシボソガラス♀♂(野鳥)

電信柱の最上部に営巣を始めたハシボソガラスCorvus corone)の♀♂番(つがい)による造巣を微速度撮影で1時間以上記録してみました。
カメラを嫌って営巣を止めてしまうのが一番心配でした。
巣に出入りする親鳥を警戒させないように、私はなるべく巣の方向を見ないように心がけました。
素知らぬ顔でわざと巣の逆を向いて座り、ときどき手鏡で背後のカメラの液晶モニタをチェックしました。
すると後半はカラスの番がわざわざ私が眺めている方角の電柱に止まり直し、偵察に来たのが可笑しかったです。
私が長々と一体何を見ているのか、気になってたまらなくなったのでしょう。
少し離れた電柱や電線に2羽が並んで止まり、こちらを見張っているときもありました。

10倍速の早回し速度を御覧ください。
親鳥の♀♂番が協力して、巣材の小枝を一本ずつ搬入しました。
映像の中で巣材を搬入したのは、@0:12(単独)、@1:22(♀♂)、@3:03(♀♂)、@4:01(単独)、@4:33(♀♂)、@5:27(単独)の計9回です。
手ぶら(空荷)で帰巣することはありませんでした。
もし私が撮影していなければ、もっと伸び伸びと(頻繁に)造巣活動を行ったかもしれません。
カラスを性別を外見で見分けられないのが残念です。
単独で帰巣するのではなく、番が相次いで帰巣することが多い印象を受けました。
夫婦で同じ場所から巣材を集めてくるのですかね?

これは個人的な仮説ですけど、細かい造巣作業は♀の担当なのだとすれば、♀が不在時は♂が♀の帰りを待っているのかもしれません。
一緒に帰巣すれば♂は♀に巣材を渡してすぐ出かけられるので、無駄なタイムロスが無くなるでしょう。

巣から飛び立つまで結構長い時間、巣の横の電線に止まっていることがありました。
疲れて休んでいるのか、それとも私を油断なく監視しているのかな?

一から作り始めて何日目の巣なのでしょう?(この巣を見つけたのは2日前)
一番初めの作り始めに電柱の天辺に乗せた小枝が風で飛ばされたりしないように、どうやって固定したのか、知りたいところです。
このような丸見え状態でも平気で営巣するのは、ハシボソガラスの特徴なのだそうです。

電柱は約10メートルの高さの支柱にアーム(横棒)がついている構造で、まったく隠蔽物のない環境である。したがって、隠蔽にこだわるハシブトガラスの電柱利用は難しいが、隠蔽にこだわらない性質をもっていることで、ハシボソガラスは営巣箇所として、電柱を利用することができるのだろう。(後藤三千代『カラスと人の巣づくり協定』p24-25より引用)

営巣地の電柱の真下に庭木を伐採した枝が積み上げられています。
微速度撮影の後半になると近所の人が現れ、その枝をその場で更に細かくカットし始めました。
その間も、カラスは平気で電柱の天辺にせっせと巣材を運搬し造巣を続けました。
ヒトを個体識別し、カラスに対する敵意の有無をきちんと見分けているとしか考えられません。
見ていた私は、このヒトが親切心でカラスのために巣材を提供しているのか?とさえ思うようになりました。
しかし、インタビューする機会を逃してしまいました。
実は初めカラスは電柱下の豊富な巣材源から小枝を集めていたのですが、私が見ていると警戒して他所から巣材を調達するようになりました。
もし適切な巣材を大量に用意して積み上げておけば、カラスはその近くに営巣してくれるかもしれません。

ここで悲しいお知らせです。
その後も張り切って定点観察に通ったものの、まず親鳥が警戒して私が見ている間は巣に近寄らなくなりました。
私が諦めて帰ろうとすると、親鳥がしばらく後を追いかけてきて、ちゃんと帰ったかどうか確かめようとさえするのです。
今季はあちこちでカラスの営巣観察を集中的に行ったのですが、それで分かったことは、このときの撮影地点があまりにも巣に近過ぎました。
むしろ初日にブラインドも張らず長時間撮れたのが奇跡的でした。
その次は電柱から巣が撤去されてしまい、残念ながらここには二度と再建されませんでした。
電気トラブルを恐れた近隣住民が通報したのか、電力会社が対処したのでしょう。
私が見たところ、この親鳥は電柱の最上部に営巣していて電線とはほとんど干渉しそうにない上に、巣材に針金ハンガーなどは使用していません。
したがって(素人考えでは)、漏電事故は起こりにくいと思うのですが、仕方がありません。
雛が孵ると親鳥は周囲のヒトに対して攻撃的になるので、その意味でもこの巣をそのままにしておくのは危険だったかもしれません。

営巣による停電は、巣の材料として使われる木の枝やハンガーなどの金属類が電線に触れ、漏電するなどして起こる。(同書p9より引用)





【書評】
後藤三千代『カラスと人の巣づくり協定』という新刊本を書店で見つけて衝動買いし、一気に読みました。
我が山形県の北部の鶴岡地区で電柱に営巣するカラスの問題と対策について研究してきた山形大学農学部の先生による著書です。
内容も本格的で充実しており、非常に参考になりました。(こういう本を待っていました。)
私のフィールドは同じ山形県でも南部なので、地域性の違いを伺い知れて興味深く思いました。
カラスについて書かれた本は数あれど、営巣活動(巣作り)に焦点を当て、全く新しいユニークな視点からカラスの生態について教えてくれます。

驚いたのは、本書に書かれた研究アプローチはフィールドでカラスの行動や生態を全く観察していないことです。(割愛しただけかもしれません)
バードウォッチャーの私としてはその点で不満はあるのですが、他の本を読んで補足すればよいのでしょう。(餅は餅屋)
それでも電柱から撤去された多数の巣を鑑識のように緻密に分析するだけでここまで深くストーリーを組み立てられるのか!と驚嘆しました。(巣の遺留物からDNAバーコーディングも駆使しています。)

巣材に使われた小枝の植物種を一本ずつ同定しています。

電柱の営巣対策でも決して情緒に流れされず冷徹に科学的なデータを積み上げて合理的な対策を提案しています。

実際に成果をしっかり上げつつあるので、非常に説得力があります。
カラスが悪者でないことがわかれば、人間の戦う相手は、カラスではなくなる。カラスの営巣生態を無視した、撤去という対策のあり方に問題があったのである。(p121あとがきより引用)


以下は個人的な疑問点。(一度通読しただけなので、私の読み落としや誤解があるかもしれません)

  • DNAバーコーディングで巣を作ったカラスの種類(ハシボソガラスまたはハシブトガラス)を見分けるだけでなく、DNAフィンガープリンティングで親鳥や巣で育った雛の正確な個体識別は可能か?
  • カラスはひとつの縄張りで一つしか巣を作らないという前提で議論を進めているが、大丈夫か? 繁殖に使われない偽巣を作ることがある、という記述を別な本で読んだことがあり、私もそれらしき偽巣の存在を観察しています。(同じ縄張り内でニ巣並行営巣の決定的な証拠映像を撮るのが私の次の目標です。)
  • 撤去したカラスの巣の基盤部から珍虫アカマダラハナムグリの土繭や蛹、幼虫を得たという結果は興味深いのですが、必ずしもカラスの巣でアカマダラハナムグリ♀が産卵・繁殖したとは限らないのでは? 基盤部の巣材となる土壌をカラスが水田から採取してきた際に既にアカマダラハナムグリの卵や幼虫が混入していた可能性は?

2017/07/19

電柱の天辺に小枝を組み合わせて巣を作るハシボソガラス♀♂(野鳥)



2017年4月中旬・午後14:20~14:44

街中を流れる川の支流沿いで2日前に見つけたハシボソガラスCorvus corone)の巣を観察に行きました。
昨年観察した高圧線の鉄塔に作られたハシボソガラスの巣よりも低い場所にあるため、撮影しやすくて助かります。

これまでカラスの巣材集めは見ていましたが、カラスの造巣行動を撮影できたのは初めてです。

▼関連記事
ハシボソガラスの巣材集め(野鳥)@マサキ生け垣 @2013年3月下旬
巣材を運ぶハシブトガラス(野鳥) @2014年4月上旬

千載一遇のチャンスにとても興奮しました。

冒頭から1羽の親鳥(♀?)が作りかけの巣に座っています。
すぐにもう1羽(♂?)が巣材の細い小枝を咥えて帰巣しました。
♂はお椀状の外巣に持ってきた小枝を組み込むと、すぐに飛び去るかと思いきや、巣の横のアーム(横棒)で休息しました。
私のことを警戒して辺りを見張っているようです。
その間、作りかけの巣に座った♀が嘴で巣材を曲げて外巣に互いに差し込んだり位置を細かく調節しています。
造巣の作業が下からではよく見えないのが残念です。
こういうときにカメラ付きのドローンがあればカラスの巣を空撮してみたい…とよく夢想するのですが、親鳥への影響が懸念されるだけでなく電線の近くでドローンを飛ばすのは問題がありそうです。(飛行禁止空域?)

ようやく電柱のアームから♂が飛び立ちました。(@1:55)
すぐ横を流れる川の下流へ風に乗って滑空して行きました。
川の中に降り立ったようですが、死角に入って見えなくなりました。
しばらくすると、もう1羽の親鳥♀(?)も巣から飛び去りました。(@2:10)

親鳥の留守中に急いで川の対岸にカメラの三脚を立て長撮りし、これ以降、私はなるべく巣の方向を見ないように心がけました。(バリアングルの液晶画面の角度をわざと変えて見ました。)
巣材の小枝を一本ずつ咥えてカラスの♀♂番(つがい)が代わる代わる帰巣します。
カラスの性別を外見で判別できないのが残念。
造巣作業中に巣の右端に伸びた小枝が落下しました(@3:00)。

カメラを下にパンすると、電柱を登るためのボルトにもう1羽の親鳥が空荷で止まっていました。(@4:07)
おそらく私に対して警戒し、巣を警護しているのでしょう。
ようやくボルトから飛び立ったときには、電柱の最上部で造巣作業していた親鳥も居なくなっていました。

営巣地のコンクリート製電柱の根本付近には庭木を剪定・伐採した小枝が切り揃えて大量に積み上げられていました。(@6:52)
実は初めカラスはそこから巣材を集めていたのですが、私が見ていると警戒して他所から巣材を調達するようになりました。
もしかすると豊富な巣材源があったから、ハシボソガラスの番はこの電柱を営巣地に選んだのかもしれません。

巣材を運んできたカラスがなぜか巣に着陸せずに思いとどまり、飛び去ることがありました。
少し離れた電線に小枝を咥えたカラスが止まってこちらを警戒しています。(@7:00)
巣材を咥えたまま小声で鳴きました。(@7:09)
一旦巣材を足で押さえ、咥え直しました。
このときも小声で鳴きました♪(@7:26)
営巣活動を邪魔する(目障りな)私に対する苛立ちの表れかもしれません。
どうしても擬人化して解釈してしまいがちです。
ところがしばらくすると、もう1羽の親鳥が巣材を運んで先に帰巣したのに続いて電線の個体も帰巣しました。
これを見て、私の考え(解釈)が変わりました。
造巣の細かな作業は♀の担当だとすれば、♂は運んできた巣材を♀に渡して巣作りを任せるでしょう。
電線で待機していた個体は♂で、♀を呼ぶために鳴いていたのかもしれません。
性別を見分けられないのが残念です。

後藤三千代『カラスと人の巣づくり協定』によると、

カラスの巣は、電柱の最上部の電線を支えるアーム(横棒)を利用して作られ、10メートル前後の高い位置にある場合が多い。(p45より引用)



つづく→造巣の微速度撮影



2016/12/22

コガタスズメバチ♀2匹同時の扇風行動



2016年9月上旬・午前11:15頃・気温31℃・快晴


▼前回の記事
軒下の巣で扇風行動するコガタスズメバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

民家の軒下で西向きに作られたコガタスズメバチVespa analis insularis)の巣を39日ぶりに観察。
出入りする蜂とは別に、2匹のワーカー♀が同時に扇風行動していました。
1匹が巣口のすぐ左横に位置して、頭部は巣口と逆を向いて扇風しています。
もう一匹が巣口から右下に離れた外皮上で扇風していました。
てっきり巣口から中に送風しないと意味はないと思っていたので、少し驚きました。
外皮を冷やせればどこで扇風しても構わないのですかね??

巣材を何層も重ねて断熱効果を高めるのが外皮の役割ですから、外皮の外からいくら扇風しても巣内の温度は下がらないと思うのですけど…。
あるいは軒下に篭った熱気を少しでも撹拌・換気するのが目的なのでしょうか。
サーモグラフィー・カメラでスズメバチの扇風行動を撮影してみたいのですが、高嶺の花です…。
酷暑のときは巣を水で濡らしてから扇風することで気化熱で巣を冷やすらしいのですが、私は未だ実際に見たことがありません。(北国ではなかなかそこまで気温が上がることがない?)

他にも見えているだけで4匹のワーカーが外皮をあちこちで増築しています。
巣材を咥えた個体が扇風中の♀に向かって羽ばたきながら外皮上をダッシュしては直前で立ち止まる、という謎の行動がときどき見られました。
逆に扇風役の♀が羽ばたきを一時止めて仲間に駆け寄り、警戒することもありました。
これは外敵と誤認した警戒行動なのでしょうか?(例えばオオスズメバチの襲来を警戒しているとか?)
それともアシナガバチの巣で見られるようなワーカー♀間の優位行動なのかな?
その間、門衛が巣口から外を見張っています。

引き続きハイスピード動画でも記録しようとしたら、残念ながら蜂は扇風行動を止めてしまいました。



2016/11/21

夜の自販機で円網に横糸を張るズグロオニグモ(蜘蛛)



2016年7月下旬・午後20:05頃

道端に設置されたコカコーラの自動販売機で夜、ズグロオニグモYaginumia sia)が造網中でした。
ちょうど粘着性の横糸を螺旋状に張っているところでした。
垂直円網が完成するとクモは甑を噛み切り、下向きに占座しました。
触肢をよく見ると、成体♂ではありませんね。
同じ自販機のあちこちに複数のズグロオニグモが造網していました。
サイズや発育段階はまちまちです。

日が暮れると自販機パネルのバックライトが点灯します。
照明に誘引される夜行性昆虫を捕食するために造網性クモはここで店開きするのでしょう。
動画に撮るとその蛍光灯がちらついて見難いですね。
次回は造網の一部始終をじっくり撮影してみたいものです。



2016/09/05

電柱の丸パイプ内に巣材を搬入するスズメ(野鳥)



2016年6月下旬

農村地帯の電柱から横に伸びた支柱にパイプ状の器具(正式名称は?)が水平に取り付けられています。
その円筒内にスズメPasser montanus)が営巣していました。

毟ってきた樹皮を嘴に咥えた成鳥がパイプから伸びたケーブルに止まっています。(おそらく私の目を警戒している。)
やがて巣材をパイプ内に運び込みました。
両側の出口にも家族の別個体が待機しています。
左側の個体が羽繕いしてから巣に入りました。
出口から顔だけ覗かせていた個体が、ようやく出巣しました。
スズメはパイプ内で方向転換したりすれ違ったりできるのかな?




【追記】
平野伸明『スズメのくらし (たくさんのふしぎ傑作集)』によると、
スズメは子育てをしている間、ヒナたちのフンをひんぱんに巣の外に出しています。きれいにそうじしているので、同じ巣を、くり返し使うことができるのです。鳥が巣を作るには、たいへんな労力がいります。スズメは一度作った巣を長く使うことで、子育てを年に何度もできるようになりました。(中略)ヒナが巣立つ前から、親鳥は次の子育てのため、材料を運んで巣を直す。 (p32より引用)



2016/08/27

水草も巣材として集めるヨシゴイ♂(野鳥)



2016年6月中旬・午前8:58
▼前回の記事
池で魚を捕食するヨシゴイ♂(野鳥)

ヨシゴイ♂(Ixobrychus sinensis)がいつの間にかまた水際に来ていました。
じっと池を見つめています。
葦原を歩いて移動を始めました。
水面を狙いながら体をゆっくり左右に振っています。
今度こそ、魚を捕食する瞬間をしっかり観察できそうです。(前回の捕食シーンは藪の中でした)
集中力を高めて獲物を狙っているヨシゴイの姿は絵になりますね。



しかし獲物に逃げられたのか、ヨシゴイ♂は一旦諦めたようで、また少し移動しました。
嘴を何度か連続で水面に付けたのは、魚をおびき寄せる行動なのでしょうか?
次に水中から咥え上げたものは緑色の水草でした。(@1:56)



撮影中の私は一瞬、巨大なミズカマキリかと思ったのですが、水草ですね。


水草を池に一度落としたのに拾い直しました。
そのまま水草を咥えて少し飛び、営巣地と思われる葦原の奥へ入って行きました。
ヨシゴイはベジタリアンではないので、水草を採食するはずがありません。
漁の失敗でたまたま採取した水草もおそらく巣材や産座として利用するのでしょう。

▼関連記事(これまでは巣材として主に枝をせっせと集めていました)
巣材を集めるヨシゴイ♂(野鳥)


つづく→樹上で脱糞するヨシゴイ♂(野鳥)


木の柱をかじり巣材を集めるキアシナガバチ♀



2016年6月中旬

小川沿いの民家の軒下の資材置き場の木柱にキアシナガバチPolistes rothneyi)のワーカー♀が飛来しました。
年季の入った(古びた)角材の表面を薄くかじり取っています。
同じ面のあちこちに巣材を採取した跡が縦に細長く残っているので、同一個体の蜂が繰り返し何度も通ってきているのでしょう。



2016/08/24

巣材を集めるヨシゴイ♂(野鳥)



2016年6月中旬・午前6:45〜8:37
▼前回の記事
ヨシゴイ♂(野鳥)同士の喧嘩

ヨシ原で羽繕いしていたヨシゴイ♂(Ixobrychus sinensis)が不意に飛び立つと、池の水面すれすれに低空飛行で対岸へ渡りました。
カメラを嫌って死角へ逃げたのか、あるいは対岸で獲物の魚影を見つけたのかな?と初めは思いました。
ところがその後、何度も葦原と対岸を往復するようになりました。
ちなみに対岸には柳の木とガマの群落が少しあるぐらいで、葦原は発達していません。
その対岸から戻って来た個体に注目してズームインしてみると、嘴に枯れた植物(ガマ?)の茎または枯れ枝を咥えていました。
巣材を集めているのだと、ようやく合点がいきました。
取ってきた長い枯れ枝を足で押さえながら嘴で折り、細い枝だけを茂みに運びました。
奥の葦原で営巣しているようです。
♀の姿を全く見かけませんが、造巣は♂の仕事なのかな?
ヨシゴイは夏鳥らしいので、♀が渡ってくる前に一足先に♂が縄張りを張り、巣作りしておくのでしょうか?

この池には少なくとも2羽のヨシゴイ♂が生息しているのですが、今回の動画では個体識別していません。
縄張り争いに勝った♂個体だと思うのですけど、定かではありません。

つづく→池で魚を捕食するヨシゴイ♂(野鳥)



【追記】
『日本動物大百科3:鳥類I』p38によると、関東地方低地のヒメガマ群落で営巣した例では
ヨシゴイは水底から2〜3mの高さに育ったヒメガマの途中、水面上数十cmのところに巣をつくる。茎を折り曲げてからみあわせ、枯れた葉や茎を織り込んで椀状の巣をつくり、近くの巣をたくし込むようにして、巣の上方にドーム状のおおいをつくる。巣の下は水面であることが多い。(中略)こういう場所では、数巣がゆるやかな集団で固まっているのが見られる。




2016/08/08

イタドリの葉で揺籃を作るドロハマキチョッキリ♀



2016年6月上旬

麓に近い山間部の道端に生えたイタドリの群落で、特徴的な作りかけの揺籃を見つけました。
立ち止まってよく探すと案の定、小さなドロハマキチョッキリ♀(Byctiscus (Byctiscus) puberulus)を発見。
今回も♀の近くに♂の姿はありませんでした。
複数枚の葉を材料に細長い葉巻状の揺籃を作っています。
揺籃の位置は、葉柄に噛み傷を入れた折れ目から地上までの高さを測ると113cmでした。
少し離れたイタドリの株にも、おそらく同一個体の♀が作ったと思われる揺籃の完成品が吊り下げられて風に揺れていました。
道の左右はスギと雑木林の混合林です。
夕暮れ時ということもあり、かなり薄暗くて自然光で撮影するには厳しい条件でした。
仕方なくビデオカメラ内蔵の補助照明(白色LED)を点灯しながら撮りました。
その結果、美しい緑色のメタリックな構造色がどうしても不自然な色に写ってしまいます。
眩しい照明を嫌ってか、ドロハマキチョッキリ♀は揺籃の裏側に回り込んでしまいました。
自然な行動を記録するには、警戒されないように赤外線の暗視カメラで撮るべきだったかもしれません。
巻きかけの揺籃の中に潜んでいた♀をしつこく探すと、外に出て来ました。

葉が萎れるのを待つ間に次に揺籃へ追加する葉を物色しているのか、それとも揺籃を作っている間にお腹が空いた♀が食事をするのか?とあれこれ想像しながら見ていました。
天敵対策のために、待機中は揺籃から少し離れるのかな?
もし作りかけの揺籃に産卵済みなら、托卵や寄生を恐れて♀は揺籃をガードする気がします。

揺籃を離れて葉柄から茎を伝い、隣の葉へ移動しました。
最後は葉の縁から回り込んで裏側へ隠れてしまいました。
やはり眩しい光を嫌ったのかな?
しばらくすると、隣の葉に居た♀が、茎を下ってまた揺籃へ戻って来ました。

揺籃作製中のドロハマキチョッキリ♀を観察するのはこれで2回目です。
しかし残念ながら今回も時間に余裕がなくて全貌を掴めず、断片的でよく分からない記録になってしまいました。
もしかすると飼育下での観察に挑戦した方が早道かもしれません。

暗くなる前に下山しなければいけないので、泣く泣く観察を打ち切りました。
夜になるとドロハマキチョッキリ♀は作りかけの揺籃内に隠れて休むのでしょうか?
それとも夜通し揺籃を作り続けるのかな?



2016/08/04

コブオトシブミ♀が揺籃作りに失敗



2016年6月上旬

山間部の道端に繁茂するアカソの群落でコブオトシブミ♀(Phymatapoderus latipennis)が葉を巻いて揺籃を作っていました。
現場は林縁の日陰で、アカソは葉柄が未だ赤く色づいていませんでした。

作りかけの揺籃を見ると、本で読んだコブオトシブミの特徴通り、葉の根本付近の裁断線は一本の直線状で主脈を切断しています。
裁断線の下の葉は適度に萎れかけ、巻き易くなっています。
ちなみに、コブオトシブミはヒメコブオトシブミと同種にまとめられたらしい。

コブオトシブミを観察するのは初めてなのに、いきなり難しい応用問題に出くわし、混乱しました。
フィールド観察ではよくあることです。
交尾中のコブオトシブミ♀♂と単独のコブオトシブミ個体が同じ揺籃に居たのです。
あぶれたコブオトシブミ♀は隣の葉に移動してしまいました。(@1:00)
(もし、あぶれ個体が♂なら♀を奪い合う喧嘩になるはず)
おまけに明らかに別種のチョッキリ類が同じ揺籃を徘徊していました。
後にドロハマキチョッキリByctiscus puberulus)と判明しますが、初めはもしかして、労働寄生つまり別種の作った揺籃に托卵する種(ヤドカリチョッキリまたはオオメイクビチョッキリ)かと疑い、緊張・興奮しました。
しかし、アカソをホストとする労働寄生種は知られていません。
作りかけの揺籃で異種遭遇しても、なぜか争いにはなりません。
頭をひねって見ていると、途中でドロハマキチョッキリは翅を開いて飛び去りました。(@2:13)
どうやら、ただの通りすがりだったのでしょう。




揺籃上に残ったのは、交尾中のコブオトシブミ♀♂1ペアだけになり、ようやく状況がシンプルになりました。
♀にマウントした♂がときどき体を左右に揺すっています。
揺籃を作りかけた葉裏に♀は静止して、葉脈を噛んでいるように見えます。

途中から揺籃作りを微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧ください。(@4:14〜)



ところが、コブオトシブミ♀はなぜか作りかけの揺籃を放棄して葉柄を登り、♂を背負ったまま隣のアカソの葉裏へ移動してしまいました。(@5:00)

こんな不細工な状態で揺籃が完成したとは思えません。
巻きかけた葉が戻ってしまいましたし、この揺籃は失敗作ですね。
昆虫の本能行動において「弘法も筆の誤り」というのはあり得ないと思っていたので、とても意外な展開でした。
分からないことばかりで混沌としています。
2匹の♀が同じ葉を材料に同時に揺籃を巻こうとして邪魔し合い、台無しになったのでしょうか?
コブオトシブミ♀やドロハマキチョッキリ♀による揺籃作りの成功例(正常例)の一部始終を観察してみないことには始まりません。

最後に失敗作の揺籃を採取し、その場で開いてみました。
ペリペリと糊を剥がすような感触がありました。
きつく巻いた葉の先に黄色い卵が一つ産み付けられていました。
産卵してから葉を巻き上げる途中で何か工程を失敗してしまったようです。
もし私が揺籃を採集しなくても、こんな不完全な揺籃では孵化した幼虫が正常に育つ可能性は低そうです。


つづく→コブオトシブミ♀の交尾拒否



さて、謎のドロハマキチョッキリはコブオトシブミの揺籃で一体何をしていたのでしょう?
♂が交尾相手の♀を探していたのかな?
それならアカソの群落ではなく、自身のホスト植物(カエデやイタドリなど)で探すべきでしょう。
労働寄生(托卵)の萌芽だとしたら非常に興味深いです。
しかし、たとえドロハマキチョッキリ♀が托卵に成功したとしても孵化した幼虫はイラクサ科の葉巻きをうまく消化したり解毒できず、生き残れないと思われます。
托卵行動が進化するにはまず、幼虫の消化・代謝機能が生理的に寄主転換の前適応する必要があります。

したがって、労働寄生はまず同種内で起こり、次にホスト植物がたまたま共通である別種の間で托卵するよう進化すると思われます。
闖入したドロハマキチョッキリの接写も採集も出来なかったので、性別は不明です。
スナップショット写真をよく見直すと、心眼では前胸下部に鋭い棘状の突起が見えた気がするので、♂かもしれません。
もう一つの特徴として、ドロハマキチョッキリ♂の口吻は長く、触角付着点あたりで湾曲するらしい。(『オトシブミハンドブック』p52より)


2016/07/31

ウリハダカエデの葉を巻いたドロハマキチョッキリの揺籃



2016年6月上旬

山間部の道端に生えたウリハダカエデの枝先に、葉巻状の物体を見つけました。
複数の葉を巻いているので、ファウストハマキチョッキリではなくドロハマキチョッキリByctiscus puberulus)の揺籃でしょう。
完成した揺籃を切り落とすのではなく、切れ目を入れた葉柄でぶら下がったまま萎れて(枯れて)います。

飼育して確認したかったのですが、他のことで忙しく、とても手が回りませんでした。



2016/07/29

巣材を集めるキアシナガバチ創設女王(黄紋変異個体)



2016年6月上旬

日没直前(午後19:00)の山麓で、スギの材木を垂直に立てた柱にアシナガバチが巣材集めに飛来しました。
時期的に単独営巣期の創設女王でしょう。
前伸腹節に黄紋が無いのでセグロアシナガバチと紛らわしいのですが、おそらくキアシナガバチPolistes rothneyi)の黄紋変異だと思っています。
この辺りに毎年生息する個体群の遺伝的特徴のようです。

樹皮をかじりとる様子を横から撮ろうとしたら、蜂はすぐに飛び去ってしまいました。
その後、暗くなるまでしばらく粘って待ち構えたのですけど、蜂は再訪してくれませんでした。
ちなみに、日の入り時刻は午後19:02。


2016/07/28

イタドリの葉を巻いた揺籃を点検して回るドロハマキチョッキリ♀



2016年6月上旬

山間部の道端でヒトの背丈よりも高く伸びた(>2m)イタドリの群落でドロハマキチョッキリ♀(Byctiscus (Byctiscus) puberulus)が揺籃を作っていました。
仕上げの段階なのか、♀はひたすら揺籃上をぐるぐると巡回、点検していました。
とても小さいながらも、緑色の金属光沢に輝く非常に美しい甲虫です。




同じイタドリの株の下の方に似たような揺籃が作りかけも含めて幾つもぶら下がっていました。
おそらく同一個体の♀が次々に作製したのでしょう。



途中からは三脚を立てて微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい(@2:44〜4:39)。

交尾したり♀をガードしたりする♂の姿は見当たりません。
ときどき休息したり身繕いしたりするものの、基本的にひたすらパトロールしているだけであまり面白くありません。
ぐるぐる歩き回ることが葉をきつく巻きつける行為になっているのでしょうか?
遂に完成した揺籃から離れて茎を下り、隣の葉の葉柄にて静止しました。



一仕事終えた♀が葉を食べているのか、それとも次の揺籃作りのために噛み傷をつけているのか、あまりにも高所のため様子が全く分かりません。
何枚も葉を寄せ集めて細長くて大きな葉巻型のゆりかご(揺籃)を作るのが本種の特徴です。
したがって、新しい葉を萎れさせて揺籃に更に追加して巻きつけるのかもしれません。
移動してきた葉は虫喰い穴だらけなので、普通に考えれば揺籃作りの材料に選ばれないと思うのですが、ドロハマキチョッキリは無頓着なのかな?

やがて日も暮れかけてきました。
気温の下がる夜はここで寝るのか、それともドロハマキチョッキリ♀は徹夜で作業を続けるのですかね?
観察を続けたいのはやまやまですけど、ビバークする用意をしていなかったので泣く泣く観察を打ち切って下山しました。
イタドリの背丈が非常に高いため、採集は断念。
本種の揺籃作りの一部始終を観察しようとすると、他のオトシブミ類よりもおそろしく長い時間がかかりそうです。

海野和男『ポケット図鑑:昆虫』p161によると、ドロハマキチョッキリは

夏は前蛹で過ごし、8月末に蛹となり、秋の初めに羽化し、ほんの少し活動した後、土中で越冬する。




つづく


2016/07/16

揺籃を作るルイスアシナガオトシブミ♀c【10倍速映像】



2016年5月中旬・午後16:07〜18:06
▼前回の記事
完成した揺籃を切り落とすルイスアシナガオトシブミ♀a


里山に生えたハルニレの幼木で、ルイスアシナガオトシブミ♀c(Henicolabus lewisii)が揺籃を作っていました。
制作過程を10倍速の早回し動画でご覧ください。
カメラの三脚を一台しか持参してなくて、同時並行して別個体♀bの揺籃づくりを微速度撮影するのに使っていたので、こちらの個体♀cでは手持ちハンディカムでの映像が多いです。
風が吹いて枝が揺れる上に多少の手ブレもありますので、ご了承ください。

映像の冒頭は完成後も切り落とさず枝に残ったタイプの揺籃を写しました。
その下の葉で作業を始めた♀cと付き添う♂を見つけました。
既に葉の根元を両裁しており、萎れた葉が垂れ下がりつつあります。
しかし茂みに葉がひっかかり、うまく垂れ下がらないようです。
その間に♀は葉裏であちこちの葉脈に噛み傷をつけています。
徘徊していた♂が♀にマウントしました。
(結合部を接写していないので、交尾なのか交尾後ガードなのか不明です。)
♂は四六時中♀にマウントしている訳ではなく、辺りをパトロールしています。
♀の元に戻ってきた♂が焦って(?)前後逆向きにマウントすることがありました。
その後、♂が向きを変えて交尾に成功?

葉を巻き始める前に、主脈に沿って葉を縦二つ折りにしました。
これ以降は葉裏が揺籃の表側になります。

♂を背負ったまま♀cは葉先から巻き上げ始めました。
産卵行動は見落としてしまいました。

別個体♀bの揺籃づくりに気を取られている間に、♀cの作業がだいぶ進行してしまいました。
♂は近くの枝葉を徘徊しているものの、もはや♀にマウントしなくなりました。
♀が産卵を済ませた後は交尾後ガードする必要が薄れたのでしょう。
♂はどこかへ行ってしまいました。



最後は完成した揺籃を♀cが切り落とすタイミングを見計らって容器を差し出し、ポロリと落ちてきた揺籃を受け止めて採集しました。
揺籃作りの材料となった葉の地上からの高さは100cmでした。


採集3日後の撮影

採集した揺籃cをそのまま容器に入れて室内飼育しているのですけど、この記事を書いている現在(7月中旬)も未だに成虫が羽化してきません。
揺籃が乾燥し過ぎないように注意したつもりですが、もっと水気を与えるべきだったかもしれません。
カビの発生が怖くて霧吹きなどはしませんでした。
揺籃を切って中を調べてみるべきか、もう少し静観すべきか、悩みどころです…。

揺籃完成直後にルイスアシナガオトシブミ♀cを採集しました。
以下は標本の写真です。(掲載予定)




↑【おまけの動画】
同じ素材の映像ですが、ハンディカムで撮影したパートは早回し加工せずにそのままつなげました。
三脚を立てて微速度撮影したパートは10倍速映像になります。
16分間と長いのでブログ限定で公開します。


2016/07/12

桐の枝で営巣地を探すクマバチ♀



2016年5月中旬

里山でキリの高木に訪花するキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)を長時間観察していると、たまに採餌以外に不思議な行動をする個体がいました。
桐の花ではなく枝に興味を示し、調べながら飛び回っています。
穿孔営巣に適した材を探している♀なのでしょうか?※

桐の花はメインの送粉者としてクマバチを当てにしているようです。

▼関連記事
桐の花で採餌するクマバチ
もしクマバチが桐の木に穿孔して営巣するとなると、桐とクマバチは互いにより深く依存した共生関係になりそうです。

※ もし映像の個体が雄蜂♂ならば、解釈がまるっきり変わってきます。


2016/07/09

完成した揺籃を切り落とすルイスアシナガオトシブミ♀a



2016年5月中旬


▼前回の記事
ルイスアシナガオトシブミ♀bの揺籃作り【10倍速映像】

里山に生えたハルニレの若い灌木で、ちょうど作り終えた揺籃をルイスアシナガオトシブミ♀(Henicolabus lewisii)が切り落とそうとしていました。
この♀aに対して、♂は揺籃の完成間際まで交尾後ガードを続けていました。
♀aはハルニレの葉柄ではなく、最初の工程で葉を両裁して残った主脈を噛んでいます。
風が吹いたせいで、肝心の揺籃がポトリと落ちる瞬間がピンぼけになってしまいました。
枝の真下の地面(茂み)を探してなんとか揺籃aを見つけ出し、採集しました。
手のひらに乗せて転がし、ちっぽけな虫けらの作り上げた芸術作品をお見せします。

今回、ルイスアシナガオトシブミ♀aは揺籃作りの材料として未だ葉緑素が少なくて赤っぽい若葉を選んだ点が興味深く思いました。
確かに柔らかそうですけど、なんとなく青々とした(緑色の)葉の方が生まれてくる幼虫にとって栄養価が高いような気がします。
母親オトシブミ♀は気にしないのですかね?


3日後の揺籃


採集した揺籃aをそのまま容器に入れて室内飼育しているのですけど、この記事を執筆中の現在(7月上旬)も未だに成虫が羽化してきません。
揺籃が乾燥し過ぎないように注意したつもりですが、もっと水気を与えるべきだったかもしれません。
カビの発生が怖くて霧吹きなどはしませんでした。
揺籃を切って中を調べてみるべきか、もう少し静観すべきか、悩みどころです…。(※追記参照)

以下は、採集したルイスアシナガオトシブミ♀aの標本写真です。(掲載予定)


※【追記】
小松貴『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる (BERET SCIENCE)』p182-183によれば、
(オトシブミの)落ちた葉巻は地面の湿気を吸ってやわらかくなり、カビも生えやすくなっていきますが、中の幼虫にとっては快適な状態となります。
幼虫は、湿気で腐りかけた葉のほうがやわらかくて食べやすく、また消化しやすいので都合がいいようです。逆に乾燥しすぎると、葉巻の中で休眠に入ってしまい、再び雨などで湿り気を帯びるのを待つといわれています。



2016/07/03

ルイスアシナガオトシブミ♀bの揺籃作り【10倍速映像】



2016年5月中旬・午後15:32〜17:34
▼前回の記事
ハルニレの葉裏で交尾するルイスアシナガオトシブミ♀♂

里山に生えたハルニレの幼木で若葉を巻いて揺籃を作っているルイスアシナガオトシブミHenicolabus lewisii)♀が数匹いました。
その中の一匹♀bに注目して、微速度撮影で作業の一部始終を記録してみました。
10倍速の早回し映像をご覧ください。
ただし、映像のラスト22秒間のみ5倍速に落としました。(♀が揺籃を切り落とし始め、受け止めて揺籃と♀bを採集するまで)
この日は風が絶え間なく吹く悪条件でしたので、マクロレンズによる接写は早々に断念しました。
山の陰に日が沈み夕方になると風が止んで助かりました。
余談ですが、野外に持ち運べる風除けのための衝立があれば虫を楽に接写できるのになーといつも夢想します。
巨大なテントを立てても良いのでしょうが、被写体が暗くなったり中が暑くなったりと、色々と副作用がありそうです。
大名行列のように助手を何人も引き連れて出かけ、被写体を取り囲むように円陣を組んで長時間立たせるのも現実的ではありませんね。
閑話休題。

ルイスアシナガオトシブミ♀bが加工に適したハルニレ葉の吟味を終え、葉の根本(短い葉柄の少し上)で両裁型の加工を始めました。
残った主脈に傷をつけると葉が垂れ下がりました。
体重を利用しているのでしょう。
次に♀bは垂れ下がった葉の下方に移動しました。
いつの間にか♂が来ていて、作業中の♀の背後からマウントしていました。
交尾器が結合しているのか、それとも交尾後ガードでマウントしているだけなのか、接写しない限り分かりませんね。
♂を背負ったまま♀はハルニレ葉裏の主脈に噛み傷をつけているようです。
動きがあまり無くて退屈ですが、♀は葉が適度に萎れるのを待っているのでしょう。

しばらくすると、別のライバル♂が上から登場しました。(@3:30)
♀をめぐって♂同士が闘争を始めました。
♀はその喧騒から離れて黙々と作業と続けます。
交尾後ガードしていた♂も含めて、♂は2匹とも落下してしまいました。(喧嘩両成敗@3:48)
『オトシブミハンドブック』p26-27によると、

(ルイスアシナガオトシブミの)♀をめぐる♂同士の闘争では、向かい合って長い前脚を振り上げ合ったり、レスリングのように組み合う行動が見られる。
興味深い♂の闘争シーンを微速度撮影ではなくリアルタイムのマクロ動画でじっくり記録したかったです。
残念ながら撮影中はこの闘争シーンに気づきませんでした。
おそらく他の虫のことに気を取られていたのだと思います。

独り残された♀は垂れ下がった葉の主脈を中心に葉裏が表になるように二つ折りにします。
そして葉先から巻き上げ始めました。
この辺りで♀は産卵したはずですが、接写しないと産卵行動の詳細が分かりませんね。

再び♂が飛来して辺りを徘徊し始めました。(@4:57)
揺籃製作中の♀をランダムウォークで探し当てると♂は直ちにマウントしました。(@5:15)
先程争っていた♂の一方が戻って来たのでしょうか。
♂を背負ったまま♀bは葉の巻き上げ作業を続けます。

オトシブミ♀が揺籃を巻く向きを考えて撮影アングルを決めないと、♀が作業する裏側ばかり撮ることになります。
画面に写っているのは、交尾後ガードで♀に付き添いウロウロと徘徊する♂ばかりかもしれません。
しかしフィールドの現場では他の茂みがあったり斜面だったりと諸事情により、三脚を立てて撮影できるアングルに制限があるので仕方がありません。

明らかに産卵が済んだ揺籃作りの後半になっても♂がしつこく交尾後ガードを続けている点が不思議に思いました。
素人目には♂はただ♀の作業を邪魔しているだけのように見えますし(お邪魔虫)、♂の立場で合理的に考えれば次の交尾相手の♀を探しに出かけた方が良さそうな気がします。
ライバル♂から♀を守るだけでなく、労働寄生種のオトシブミ♀に托卵されないように献身的に警護する意味もあるのでしょうか?
葉の巻き上げが完了するとようやく♂が交尾後ガードを止めて♀から離れました。
マウントを解除しても♂はしばらく揺籃上をウロウロ徘徊しています。

完成した揺籃を切り落とす最後の工程を微速度撮影と同時並行で別アングルでも撮影しました。
真下に受け皿を置いて、完成した揺籃を採集します。
揺籃がポトリと落ちる肝心の瞬間がピンぼけになってしまいました。

カメラのバッテリー交換に手間取ったせいです。
『オトシブミハンドブック』p26-27によれば、ルイスアシナガオトシブミの♀は完成した揺籃を切り落とす場合と切り落とさない場合があるらしい。
実際にこのハルニレ幼木で探すと、切り落とされず枝に残ったままの揺籃も見つけました。


3日後の揺籃

採集した揺籃をそのまま容器に入れて室内飼育しているのですけど、この記事を執筆中の現在(7月上旬)も未だに成虫が羽化してきません。
揺籃が乾燥し過ぎないように注意したつもりですが、もっと水気を与えるべきだったかもしれません。
カビの発生が怖くて霧吹きなどはしませんでした。
揺籃を切って中を調べてみるべきか、もう少し静観すべきか、悩みます…。

以下は、採集したルイスアシナガオトシブミ♀bの標本写真です。(掲載予定)


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