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2023/10/13

春の果樹園でリンゴの落果を食べ漁るヒヨドリの群れ(野鳥)

 

2023年4月上旬・午後15:15頃・晴れ 

山麓の果樹園でリンゴの若葉が芽吹き始めました。 
ヒヨドリHypsipetes amaurotis)の群れがリンゴの木の下に集まり、落果を食べていました。 
春になって残雪がすっかり溶けたので、枝から落ちて腐りかけた果実が再び現れたのでしょう。 
あるいは、リンゴ農家が売り物にならない収穫物(傷物の果実)を堆肥として根元に捨てたのかもしれません。 
秋にリンゴの果実が枝についている状態でヒヨドリが食害すると害鳥扱いされますが、落果なら食べ放題です。

地上のヒヨドリは採食中も常にキョロキョロして警戒を怠りません。 
リンゴ園の林床にはタデ類(スイバ?)などの雑草も青々と茂り始めました。 
周囲ではヒヨドリが賑やかに鳴き交わす声がします。 

ヒヨドリは果実と一緒に種子も飲み込みます。 
食後に飛び去った先で未消化の種子を糞と一緒に排泄します。 
したがって、果実食のヒヨドリはリンゴの種子散布に貢献するはずです。 
しかし果樹園以外の山中で野生化した野良リンゴの木を私は未だ見たことがありません。 
栽培品種のリンゴは病害虫に弱く、ヒトが手間暇を掛けて苗木を守ってやらないと育たないのかもしれません。 
さらに冬の豪雪地帯は、苗木(実生)が雪の下に埋もれたり枝が痛めつけられたりする過酷な環境です。

リンゴの落果が腐るとハエなどの昆虫も集まってくるはずですが、まだ気温が低くて来ていませんでした。







2023/10/05

遊歩道のタヌキ溜め糞場で未消化の種子を食べに来た野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年3月下旬・午前2:10頃 

スギ植林地の遊歩道にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場opを自動撮影カメラで見張っていると、野ネズミ(ノネズミ)が登場しました。 
他の地点に設置している監視カメラも含めて冬の積雪期には野ネズミの活動は全く写らなかったのですけど、春になって山林の残雪が溶けると再び活動を始めたようです。 


シーン0:3/24・午後14:44 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 


シーン1:3/31・午前2:08(@0:05〜) 
深夜に斜面の林床を野ネズミがチョロチョロと探餌徘徊しています。 
タヌキの溜め糞場opを見つけると長く留まり、未消化の種子を食べているようです。 
ホンドタヌキは種子散布者で、野ネズミは種子捕食者になります。 
森全体の健康を保つためには、両者のバランスが欠かせません。 

残念ながらカメラの電池が消耗していて、録画が早々に打ち切られてしまいました。


シーン2:3/31・午前2:09(@0:42〜) 
録画が再開されると、野ネズミは溜め糞場opを離れていました。
スギ落ち葉の下に顔を突っ込んで餌を探しながら斜面を左下に移動しています。(探餌徘徊)


2023/09/10

川沿いの雪原でサイカチの豆果を拾う

 

2023年3月上旬・午後12:50頃・晴れ 

残雪に覆われた河畔林を探索していると、謎の長大な豆果が雪面に散乱していました。 
辺りを見渡すと、川岸にサイカチの大木が自生していました。 
幹には鋭い棘が生えています。 
落葉した枝には豆果が少し残っていて、風でぶらぶらと揺れています。 
採取した豆果を軽く振ると、ジャラジャラ、シャカシャカ♪と乾いた音が鳴ります。 
硬い莢を開くと、中に黒い種子が10個含まれていました。 
大きさもスイカの種ぐらいでした。
雪面のサイカチ落果に15cm定規を並べて採寸



サイカチ豆果の莢が細長く捻れているということは、枝から落ちると回転しながら風に乗って遠くまで飛ばされるのでしょうか? 
川の水に落ちたら、浮いて下流まで流されそうです。 
だとすれば、サイカチの種子散布は風散布型または水散布型と予想されます。 

ここまで書いてからネット検索してみると、サイカチの種子散布について非常にエキサイティングなストーリーがありました。 
絶滅したナウマンゾウがサイカチの種子を散布していたとの説があるそうです。
もしもナウマンゾウの糞の化石が国内で発掘されたら、糞内容物を調べて検証して欲しいものです。

 
【参考サイト】
樹木シリーズ140 サイカチ @あきた森づくり活動サポートセンター
サイカチ @山川草木図譜

サイカチの種皮は固くて水を通さないらしく、種子食性のサイカチマメゾウムシが食い破らないと発芽できないのだそうです。
昆虫写真家であられる安田守氏のブログには、サイカチマメゾウムシの成虫がサイカチの種子から脱出する瞬間を撮った見事な写真が掲載されていました。 
私も保管していたサイカチの種子をチェックしてみたのですが、残念ながらサイカチマメゾウムシは1匹も羽化していませんでした。 
サイカチマメゾウムシを調べるのなら、もっと大量にサイカチの種子を集める必要がありそうです。

ちなみに、サイカチの豆果を鞘ごと水に浸すと界面活性剤のサポニンが抽出されて、水が泡立つそうです。 
次回はそれを実演してみるつもりです。 
サイカチ種子の風散布や水散布の可能性についても、実験してみないといけません。


2023/08/30

ケカビの生えていない新鮮なタヌキ溜め糞に集まる晩秋のハエ類:ベッコウバエ♂、ハクサンベッコウバエ、キバネクロバエ

 

2022年11月中旬・午後13:15頃・晴れ 

里山のスギ林道で定点観察しているホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場sを見に行くと、大小の糞塊が2個残されていました。 
気温の低い晩秋には、溜め糞に集まるハエ類はめっきり少なくなっていました。 
来ている少数の昆虫も低温のせいで動きが非常に緩慢です。 

古い糞塊には白いケカビが発生しています。 
その上に追加された泥状の新鮮な糞(下痢便)にベッコウバエ♂(Dryomyza formosa)とハクサンベッコウバエNeuroctena analis)が1匹ずつ同じ向きに乗っていました。 
手前の別な小糞塊にはタヌキが食べた果実の種子が未消化のまま大量に含まれていました。 
そちらの小糞塊にキバネクロバエMesembrina resplendens)が1匹で来ていました。(@0:57〜) 

興味深いことに、ケカビの生えた古い糞塊にハエ類は集まっていませんでした。 
これが偶然の事象なのかどうか、今後も注意して見ていくつもりです。 
溜め糞を長期間のインターバル撮影したタイムラプス動画で記録すれば、分かりそうです。
ケカビが生えると獣糞の匂いや味、栄養価も変わるはずですから、ハエ類が来なくなっても不思議ではありません。 
糞の表面にモサモサのケカビが生えると、ハエが物理的に着陸しにくくなるのでしょうか?
その一方で、ケカビの生えた獣糞を好む糞虫もいます。 

関連記事(別地点で同年の秋に撮影)▶ ケカビの生えたタヌキの溜め糞を食べるセンチコガネ 

蓼食う虫も好き好きというか、ニッチの棲み分けが見事です。 
数日経つとケカビは自然に消滅し、溜め糞の生物分解は次の遷移段階へ移ります。 

2023/08/13

交通事故死したホンドテンを解剖してみる

 



2022年12月下旬 

閲覧注意! モザイク処理なしの解剖写真が続きます。

交通事故死(ロードキル)が疑われるホンドテンMartes melampus melampus)の新鮮な死骸を家に持ち帰ったものの、師走は忙しくてすぐには解剖できませんでした。 
腐敗しないように野外で雪の下に埋めておきました。 
ようやく時間がとれた2日後に、剖検を始めました。 
雪の下からテンの死骸を掘り出すと、凍結しておらず、程よく冷蔵保存されていたようです。 
死後硬直は解けているのか、関節は柔らかいままでした。 

床にビニールシートと古新聞紙を敷き、その上にアルミ製トレーを置いて作業します。 
感染症予防のため、マスクとビニール手袋を装着しました。 
当然ながらロードキル死骸には絶対に素手で触れないように注意します。 
途中経過の写真を撮るのに毎回手袋を外すため、大量の使い捨て手袋が必要となります。 

この機会に解剖キットをネット通販で注文しようかと思ったのですが、良いメスは高価ですし年末年始は届くまでに時間がかかります。 
待っている間に死骸の腐敗が進みそうなので、普通のカッターナイフで代用することにしました。 
やってみると大型のカッターナイフ1本ですべて解剖できました。(弘法メスを選ばず) 
ピンセットやハサミなども使わずに済みました。 
切れにくい部位で力を入れるときは、自分の手指をカッターナイフで切らないよう刃の向きに注意します。 
死骸の血糊や脂肪で切れ味が悪くなったら、いちいち研がなくても刃先を折れば復活します。 

トレーに死骸を仰向けに寝かせてから、まずは足の裏に注目しました。 
足の裏が黒いのがテンの特徴です。 
川口敏『哺乳類のかたち ~種を識別する掟と鍵~』によれば、
・テンとイタチを見分けるポイントは足だ。足の裏を見てもいいし、毛の色でもいい。テンの足は黒いがイタチは黄褐色から茶褐色で黒ではない。 (p26より引用) 
・テンとイタチでは、足の裏の肉球の数や配列の違いで識別できる。  (p30より引用)
過去に撮ったイタチのロードキル写真と見比べると、確かにその通りでした。
関連記事(0、5年前の撮影)▶  
ニホンイタチの死骸 
車に轢かれたニホンイタチの死骸に群がるハエ他

指の本数は前足も後足も5本で、鋭い爪が生えています。 
肉球が白くなっているのは、雪道を歩いて毛が抜け落ちたのでしょうか?
手根球については写真にうまく撮れていません。

右前足裏

左前足裏

右後足裏

左後足裏


今後、足跡の付き方を見分けられるように資料としてホンドテンの足裏を写真で記録しておきましょう。 
熊谷さとし『動物の足跡学入門:‐形とつき方から推理する』という本のp165にテンの足の裏の細密画が掲載されていました。 
熊谷さとし・安田守『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』p58にはホンドテンの足の裏の写真が掲載されています。
掌球しょうきゅう手根球しゅこんきゅうにテン特有の特徴がある。前足は掌球がシンメトリーで、手根球がある。後ろ足の掌球(足底球(そくていきゅう))は、第1指側(親指側:しぐま註)に流れており、手根球がない。(p58より引用)


剥皮が下手糞で血管を傷つけてしまい、血が滲んできました。


次にいよいよ腹部正中線をカッターナイフで切開します。 
毛皮が意外に丈夫で厚く、刃先が最初に貫通するまで少し手間取りました。 
腹膜を破らないよう注意しながら、毛皮を少しずつ剥いでいきます。 
四肢の足先は靴下を脱がせるように毛皮をきれいに剥けるかと思いきや、途中で行き詰まりました。 
時間がないので、足の骨ごと強引にゴリゴリと切断しました。 
尻尾も途中までしか毛皮を剥げず、諦めて切断。 
全身骨格標本を作るのなら、剥皮作業をもっと丁寧にやる必要がありそうです。
テンの肩甲骨(軟骨?)は遊離していて、鎖骨や背骨に連結していませんでした。
肩甲骨の大部分は膜性骨化によって形成される。 周囲の部分には出生時には軟骨であり、その後軟骨内骨化によって形成されるものがある。(wikipedia:肩甲骨より引用)
前腕の骨をきれいに取り出すのは大変そうです。





腹膜を切開し、内臓を露出しても消化器官に内出血は認められませんでした。 
胃の上部を取り囲む赤黒い臓器が肝臓です。
肝表面の肉眼所見は正常で、毒入りの餌を食べた可能性は却下。 
胃の下部にある赤黒くて細長い臓器は脾臓です。 
興味深いことに、腎臓の位置が左右非対称でした。 
右側の腎臓が上で左が少し下にあります。 
心臓や肺を詳しく調べるのを忘れました。 

子宮や卵巣、精巣の有無など内部生殖器については勉強不足で、解剖してもよく分かりませんでした。 
下腹部(肛門周り)の内臓や脂肪をやみくもに切ると臭腺・肛門腺を傷つけてひどい悪臭を発するのではないかと恐れたからです。 
しかし後でネット検索してみると、テンに臭腺は無いそうです。 
あまり自信がないのですが、性別は若い♀だと思います。 
股間に陰茎や睾丸がありませんし、腹面に乳首も無いからです。 

 

↑【参考動画】
「テンの解剖(グロ注意)」 by 高貴 
専門家による手際の良い解剖動画です。 
執刀者の実況を聞くと、どうやら同じく交通事故死した個体(ロードキル)のようです。 
毛皮をきれいに剥いだ状態から始まります。 
テン死骸の足先はやはり切断されていました。 
血抜きしてあるのか、素手で作業しても全く汚れていません。 
膀胱の近くにある内部生殖器(未発達の子宮)から若い♀とのことです。 

先にこの動画を閲覧して予習しておくべきでした。 
解剖中に手を止めて参考書やインターネット情報を調べたいのはやまやまですけど、汚れたゴム手袋をいちいち着脱するのが面倒臭くて、我流で一気に解剖しました。 
使い捨てゴム手袋の残量が少なかったので、無駄にできなかったのです。 
解剖の途中でゴム手袋を脱いで、写真に記録するだけで精一杯でした。 


頭蓋骨の頭頂部が大きく割れていて、脳が少し流出していました。 
死因は走行車にはねられた(正面衝突)衝撃による脳挫傷と推定しました。 
おそらく即死で、苦しまずに逝ったようです。 

体の他の部位は無傷で、内臓に内出血もありませんでした。 
罠にかかったテンの頭部を鈍器で殴って撲殺した可能性も考えましたが、四肢は無傷で罠にかかった痕跡がないので却下。 
この機会にホンドテンの頭骨標本を作りたかったのに、残念ながら損傷がひどくて試料に使えませんでした。 




両顎の歯式を記録するために、開口した内部を写真に撮りました。 

上顎の歯列

下顎の歯列


開口状態で下顎の歯列を撮る際に、下顎の小さな門歯(切歯)を私の指で隠してしまっています(痛恨のうっかりミス)。 
哺乳類の歯式は、左右片側について切歯I(門歯)・犬歯C・小臼歯P(前臼歯)・大臼歯Mの順で本数を表します(I,C,P,M)。 
分数のように表記され、分母が下顎、分子が上顎の歯です。 
ホンドテンの典型的な歯式をネット検索で調べると、切歯、犬歯、前臼歯、臼歯の順に I3/3,C1/1,P4/4,M1/2=38 とのことでした。 
私が調べた個体の歯式は、 I3/?,C1/1,P3/5,M2/2=? 
下顎の前臼歯および上顎の臼歯が普通よりも多いのが謎です。 
小さな乳歯が生え残っているのでしょうか? 
しかし常識的に考えると、永久歯よりも乳歯の数の方が少ないはずです。 
不慣れな素人ゆえに、歯の数え方が間違っているのかもしれません。 
それとも過剰歯の個体なのかな? 




次に摘出した胃の内容物を調べてみましょう。 
内臓の中で胃が最も大きく膨らんでいました。 
死亡時のホンドテンは空腹状態ではなかったことになります。 
胃を切開した途端に、解剖実習で馴染みのある生臭い悪臭が辺りに漂います。 
胃内容物は柔らかい泥状に消化されていて、指で丹念に探ってもめぼしい収穫はありませんでした。 
死後に低温冷蔵でも胃内で消化がゆっくり進行したのかもしれません。
今回は残渣を茶漉しで丹念に水洗いする余力がありませんでした。 






胃に残っていたオレンジ色の小さな破片は、熟柿の果肉と思われます。 



カキノキに特有のひらべったい種子が1個だけ出てきました。 
種子の先端が尖っていますが、全体的に無傷です。 
テンは液果の果肉ごと噛まずに種子も丸呑みしたのでしょう。 
この未消化のカキノキ種子を鉢植えで栽培すれば更に楽しみが広がったはずですが、熱湯消毒したので発芽は期待できなくなりました。 

ホンドテンは熟した液果を好んで食べることが知られています。 
そのお返しに、テンは果樹の種子散布に貢献しています。(共生関係) 
テンは食後に遠くまで移動してから、未消化の種子を糞と一緒に排泄するからです。 


腸の内容物も回収して糞から未消化の種子や残渣を調べるべきでした。 (糞内容物調査と同じ手法) 
初めての解剖で疲労困憊していた私は、そこまでやり遂げる余力がありませんでした。 


冬毛のホンドテンは毛皮がとても美しいのですけど、長期保存するにはタンパク質が腐らないように毛皮のなめし方を学ぶ必要があります。 
忙しくて今回は泣く泣く諦めました。 
ゆくゆくは毛皮の剥製や全身骨格標本を自分で作れるようになりたいものです。

解剖する前にホンドテンを身体測定するのを忘れていました。 
仕方がないので、剥皮した毛皮(背側)に巻き尺を当てて採寸。 
正式な測定法よりも少し誤差がありそうです。
全長73cm(鼻先から伸ばした尾端まで)。 
尾長は30cm。 
したがって、頭胴長(体長)は43cm。 
前脚を左右に広げた幅は42cm。 
体高(四足で立ったときの前足の裏から肩までの高さ)を測り忘れましたが、前脚を左右に広げた幅42cmの半分だとすると約21cmでしょうか? 

解剖に使った道具類を熱湯消毒して終了。 
暖房のない極寒の部屋で慣れない解剖を長時間やったので、疲労困憊しました。 
手抜きが多く、細かい点で色々と不備がありますが、それでも1例目の解剖でこれだけ出来れば上出来です。(自画自賛) 
死因をロードキルと確定できました。
これで経験値が一気に上がりました。 
本で動物解剖学を学ぶだけよりも、実際に自分の手で解剖してみると、より深く理解できて記憶に残ります。




2023/08/11

メジロの群れが熟柿を食べ脱糞(冬の野鳥)

 

2023年1月上旬・午後14:10頃・晴れ 

道端の庭に植栽されたカキノキメジロZosterops japonicus)の群れが集まり、賑やかに鳴き交わしていました。 
初め、メジロ同士が落葉したカキノキ樹上で小競り合いのような追いかけっこをしていました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
忙しなく飛び回るため、別種の鳥も混じっていた(混群)のかどうか不明です。 

関連記事(6年前の撮影)▶ 熟柿をついばむ雪国のスズメとメジロ(冬の野鳥)
後半は、甘く熟した果実を美味そうに啄む様子を順光できれいに撮れました。
横の車道を車が通りかかるたびにメジロは警戒して少しずつ飛び去ってしまい、居残って採食を続ける図太い個体も逃げ腰になります。 

採食の合間にメジロが枝先で後ろ向きになり、脱糞しました。 
排便の瞬間をまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。(@1:44〜) 
続けて等倍速でリプレイ。 
普段バードウォッチャーが見慣れた尿酸混じりの白っぽい鳥の糞ではなく、いかにも熟柿食後らしいオレンジ色で粘度の高い軟便でした。 
これは種子散布の瞬間でしょうか? 
カキノキは果実(液果)を種子ごと丸呑みする動物(哺乳類と大型の鳥類)に種子散布を託しています。 
チビチビと熟柿の果肉を啄むメジロの採食法から見て、柿の種を丸呑みするとは思えません。 
柿の種はメジロの口には大きすぎるので、カキノキの種子散布には関与してないはずです。 
撮影後にカキノキの下でメジロの糞を探して、種子が含まれていないことを確かめればよかったですね。

2023/07/28

河畔林のタヌキ溜め糞場に来る初冬の野ネズミは何を食べているのか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年12月上旬~中旬 

ニセアカシアを主体とする河畔林でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場rvを見張るために設置した自動センサーカメラに写った野ネズミ(ノネズミ)の活動記録です。 
これまでは野ネズミが林床で餌を探し回るシーンと、溜め糞場に来たシーンとを別々に分けて編集しましたが、今回はただ時系列順につなげただけです。 

野ネズミは溜め糞場には滅多に来ないことが分かります。
たまに溜め糞に長居して食べているのは何でしょう?
タヌキが丸呑みした果実(液果)の種子が未消化のまま大便と一緒に排泄されるので、野ネズミはこれを目当てに通っているというのが本でよく見る説明です。
せっかくタヌキが種子散布したのに、野ネズミは液果の種子を捕食してしまいます。
しかしトレイルカメラの映像を見る限り、どうもそれでは野ネズミの行動をうまく説明できない気がします。
むしろ、気温の低い初冬でもタヌキ溜め糞の周囲に集まる少数の虫(ダンゴムシなど)を捕食しに野ネズミは通っているのではないか?という仮説に私は傾いています。
決定的な証拠映像を撮るためには、カメラを固定する位置をもっと下げて、ローアングルで野ネズミの口元を撮影する必要がありそうです。
それが分かっていながらカメラをハイアングルに設置したのは、なるべく広範囲をカバーして野ネズミが写る確率を上げるためです。
カメラを下げて画角が狭くなると、それだけ野ネズミが写る頻度が下がりますし、監視カメラの存在に気づいたタヌキが警戒して溜め糞場で排便しなくなってしまいます。
トレイルカメラによる行動観察だけでは限界があるので、今後はタヌキの糞分析をまじめにやる必要がありそうです。
 


シーン1:12/9・午後18・40(@0:00~) 
画角内の中央やや下の左右に写っている黒々とした部分がタヌキの溜め糞LRです。 
野ネズミがよく利用していた落枝の橋は、右下に一部しか写っていません。 
この日の日の入り時刻は午後16:23。 
右下から登場した野ネズミが落枝を伝って右側の溜め糞Rへ到達。 
長居して未消化の種子を食べているのでしょうか? 


シーン2:12/9・午後18・42(@0:45~) 
落ち葉に覆われた林床でウロチョロと餌を探し歩いています。 


シーン3:12/9・午後18・58(@1:40~) 
探餌徘徊。 


シーン4:12/9・午後19・21(@1:47~) 
探餌徘徊中に左の溜め糞Lを横切ったのに、長居しないで下に立ち去りました。 
我々ヒトの衛生感覚では、溜め糞の上を素足で歩いたり尻尾を引きずって歩いたりするのは不潔に感じるのですが、野ネズミは平気です。 
キツネやテン、イタチなどの捕食者が怖い野ネズミは、ときどきタヌキの糞便臭をあえて身に着けて、自分の匂いの痕跡を消しているのでしょうか?
匂いによるカモフラージュだとしたら面白いですね。 


シーン5:12/9・午後19・32(@2:36~) 
林床を探餌徘徊中になぜか突然、溜め糞Rを跳び越えました。(@3:15) 
野ネズミの見事な大跳躍(立ち幅跳び)を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
その後は溜め糞Rに長居して、何か採食しています。 


シーン6:12/9・午後19・34(@3:46~) 
黒土と化した古い溜め糞Lの端で野ネズミが落ち葉の下に頭を突っ込み、浅く穴を掘って何かを食べています。 
残念ながら、落ち葉が邪魔でよく見えません。 


シーン7:12/9・午後19・40(@4:45~) 
画面の左上で立ち止まり、何かを採食しているようですが、よく見えません。 


シーン8:12/9・午後20:29(@5:16~) 
探餌徘徊で右上へ。 


シーン9:12/10・午後18:07(@5:23~) 
翌日の晩に野ネズミが採餌活動を再開しました。 
右上からゆっくり溜め糞Lへ到達したところで、録画が終了してしまいました。 


シーン10:12/10・午後18:14(@6:23~) 
お尻の毛皮が黒い個体です。 本当に毛の一部だけ黒いのか、毛並みの艶による違いなのか、それとも土で汚れているだけなのか、赤外線の暗視映像では見分けられません。(おそらく前者?) 
個体識別に使える安定した形質なら嬉しいのですが、どうでしょうか。 
ウロチョロしてから、後半になると溜め糞Lに長居しました。 


シーン11:12/10・午後18:18(@7:23~) 
右上エリアで探餌徘徊。 


シーン12:12/10・午後18:36(@8:23~) 
画面中央から溜め糞Lに辿り着くと、最後は落枝を渡って右に立ち去りました。 


シーン13:12/10・午後19:09(@9:24~) 
上のエリアを右往左往しています。
前回の記事 ▶ 初冬の河畔林で虫を捕食する野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】
虫を見つけて捕食した成功体験が忘れられないのか、前夜(ほぼ24時間前)に虫が取れた場所を繰り返し調べています。 
だとしたら、なかなか優れた長期記憶の持ち主ですね。 
それとも、虫が居た痕跡や残り香を嗅ぎ付けたのでしょうか? 
林床の落ち葉を口で引っ張ってどかし、念入りに探しています。 
この時期の野ネズミはときどき落ち葉を集めて巣穴に運ぶのですが、今回の行動は巣材集めではなく、探餌行動の落ち葉めくりでした。 



シーン14:12/10・午後19:12(@10:19~) 
探餌徘徊。 


シーン15:12/10・午後22:06(@10:42~)
前回の登場からだいぶ時間が経ちました。 
溜め糞Rには少し立ち寄って軽く調べただけでした。 
林床に転がっている落枝の上を伝い歩きして、素早く移動します。


シーン16:12/10・午後23:53(@11:42~) 
探餌徘徊。 


シーン17:12/11・午前6:16・(@12:11~) 
日の出時刻は午前6:41。 
野ネズミが次に登場したのは、日付が変わって日の出前でした。 
画面右上の赤丸に注目してください。 
小雨がぱらついているのに、しばらくボーっと佇んでいます。 
休息シーンは退屈なので、5倍速の早回し。 
その後は、上のエリアを探餌徘徊。 
もしかすると、右上の林床に野ネズミの巣穴があるのかな?という気がしてきました。 


シーン18:12/11・午後17:25・(@12:43~) 
日の入り時刻は午後16:23。 
夜行性の野ネズミは、明るい昼間は巣穴で休み、日が暮れると活動を再開します。 


シーン19:12/11・午後20:58・(@12:51~) 
林床をウロチョロ探餌徘徊。 


シーン20:12/11・午後23:50・(@13:22~) 
野ネズミが珍しく左の溜め糞Lに長居して何かを食べています。 
この日もタヌキは来ておらず、溜め糞場rvに新鮮な糞が供給されたという訳ではありません。 
立ち去る前に尻切れトンボで録画終了。 


シーン21:12/11・午後23:57・(@14:22~)
探餌徘徊で右上へ。 


シーン22:12/12・午前2:08・(@14:33~) 
日付が変わった深夜未明に野ネズミが活動再開。 
溜め糞Rに居座ってから、中央エリアでしばらく止まりました。 
チビチビと何かを食べてるような気もしますが、真上から見下ろすアングルではメニューがよく見えません。 


シーン23:12/12・午前2:12・(@15:33~) 
落ち葉が積もった林床を右往左往。 


シーン24:12/12・午前2:17・(@15:56~) 
探餌徘徊。 


シーン25:12/12・午前4:09・(@16:03~) 
上のエリアを探索。 
実はこの後、未明4:52にタヌキが来たものの、溜め糞Rの周囲をチェックしただけで排便せずに立ち去りました。 


シーン26:12/12・午後22:14・(@16:18~) 
晩遅くに現れた野ネズミが溜め糞Rを横切ってから溜め糞Lに長居して何かを食べています。 


シーン27:12/12・午後22:20・(@17:18~) 
探餌徘徊。 


シーン28:12/12・午後23:07・(@18:13~)
右下から登場した野ネズミが落枝を伝って溜め糞Rへ。 
タヌキの溜め糞の中央(糞塊)ではなく辺縁部を好んで野ネズミは訪問します。 


シーン29:12/13・午前0:59・(@19:13~) 
日付が変わった深夜に現れた野ネズミが林床を右往左往。 


シーン30:12/13・午前1:37・(@19:34~)
珍しく左の溜め糞Lに来て長居しています。 


シーン31:12/13・午前1:41・(@20:34~) 
画面右上でしばらく静止しました。 
退屈なので、5倍速の早回し。 
白く光る目が開いていたままので、仮眠ではありません。 
落ち葉の下で獲物(小さな虫)が動くかすかな物音を聞き取ろうと耳を澄ましているのかな? 
カメラの電池が消耗し、録画途中で打ち切られました。 


シーン32:12/13・午前2:55・(@20:51~) 
うろちょろと探餌徘徊する途中で溜め糞Rを通り抜けました。 


シーン33:12/13・午前3:08・(@21:14~) 
溜め糞Lに居座って何かを採食しています。 


シーン34:12/13・午後18:30・(@21:50~) 
日の入り時刻は午後16:23。 
日がとっぷり暮れてから河畔林を探餌徘徊。 

これ以降はトレイルカメラの設置角度がなぜか勝手に変わってしまいました。 
悪戯好きなカラスがワイヤーロックを嘴で引っ張ったのかな? 
根雪が積もると野ネズミの採食行動がどう変わるのか、一番興味があったのに、その記録が全く残っていなくて残念無念。 
野ネズミは雪国でも冬眠しません。
秋のあいだにせっせと貯めこんだ(あちこちに隠した)堅果類を少しずつ掘り出して食べ、春が来るまで逞しく生き延びるのだそうです。

つづく→

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