2014/12/12

ペパーミントの花蜜を吸うベニシジミ



2014年8月下旬

道端に咲いたペパーミントの群落でベニシジミLycaena phlaeas daimio)が2頭訪花していました。
そのうち1頭は翅が黒っぽく明らかに夏型でした。
仲良く吸蜜していて、互いに没交渉です。
争ったり求愛交尾したりしないのは同性だからでしょうか?
(残念ながら私にはベニシジミの性別が見分けられません。)



2014/12/11

モンスズメバチvsチャイロスズメバチ:樹液酒場での種間順位



2014年8月下旬

里山の雑木林で定点観察しているミズナラの樹液酒場でチャイロスズメバチVespa dybowskii)とモンスズメバチVespa crabro flavofasciata)のワーカー♀が1:1で争っていました。

チャイロスズメバチが樹液酒場を占有している間にモンスズメバチが周囲をホバリングするも怖くて近づけないようです。
本に書いてあった通り、力関係はチャイロ>モンでした。
『スズメバチの科学』p97によれば、

同所性のスズメバチ属6種の生息する地域で樹液孔における種間順位は、おおむねオオスズメバチ、チャイロスズメバチ、モンスズメバチ、コガタスズメバチ、ヒメスズメバチ、キイロスズメバチの順である。


ライバルを追い払った直後、チャイロスズメバチ♀が糞を排泄しました。(@0:28)


▼関連記事(前年の観察記録)チャイロスズメバチvsモンスズメバチ:樹液酒場での序列【HD動画&ハイスピード動画】


ペパーミントの花蜜を吸うキンケハラナガツチバチ♂



2014年8月下旬

道端に咲いたペパーミントの群落でキンケハラナガツチバチ♂(Megacampsomeris prismatica)が訪花していました。
頭楯が白く腹部の帯紋が4本であることなどから、オオハラナガツチバチではなくキンケハラナガツチバチだと思います。

▼前回の記事
スペアミントの花蜜を吸うオオハラナガツチバチ♂




2014/12/10

アオクチブトカメムシの交尾



2014年8月下旬

林道脇に生えたススキの葉に乗って交尾中のアオクチブトカメムシDinorhynchus dybowskyi)を発見。
側角の形が鋭く尖っていることから、ツノアオカメムシではなくアオクチブトカメムシのようです。
大柄な個体が♀なのでしょうか?
小柄な個体は前脚を伏せています。
残念ながら、交尾器の結合部は翅に隠れて見えません。
互いに逆を向いてじっと静止しています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。



スペアミントの花蜜を吸うフタモンアシナガバチ♀



2014年8月下旬

平地の原っぱに咲いたスペアミントの群落でフタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)のワーカー♀が2匹訪花していました。
小さなクロアリ(種名不詳)も多数、花に群がっています。





2014/12/09

ヤブガラシの花蜜を吸うモンスズメバチ♀



2014年8月下旬

川に近い建築現場のメッシュフェンスに蔓延るヤブガラシの群落でモンスズメバチVespa crabro flavofasciata)のワーカー♀が訪花していました。
工事の騒音も気にせず吸蜜しています。

初めはちら見して「なんだ、キイロスズメバチか」と素通りしようとしたのですが、「待てよ、もしや…?」と引き返してみたらモンスズメバチでした。
こんな平地で見かけるのはちょっと珍しいです。



スペアミントの花蜜を吸うオオハラナガツチバチ♂



2014年8月下旬

川沿いのちょっとした原っぱに咲いたスペアミント※の群落でオオハラナガツチバチ♂(Megacampsomeris grossa matsumurai)が訪花していました。
触角の長い♂が2匹来ています。
同じ花でニアミスしても特に争うでもなく、1匹が飛び去りました。
腹端に棘状の突起あるかどうか興味があるのですが、採集しないと分かりませんね。

最近買った『ハチハンドブック』のおかげでオオハラナガツチバチの名前を知りました。
初めはてっきり近縁種のキンケハラナガツチバチ♂だと思い込んでいました。
これまでよく分からぬままキンケハラナガツチバチ♂としてきた記事も再検討が必要かもしれません。


※ この花の名前について。
茎に触れると断面が四角形だったのでシソ科だろうと見当がつきました。
ハッカやミントの仲間かな?と思うものの、手元の野草図鑑にはハーブ類は載っていなくていつも困ります。
植物の画像掲示板で問い合わせたところ、スペアミントだろうとご教示頂きました。
ハーブ図鑑も買わなきゃなー。



2014/12/08

傘の柄を舐めるメスグロヒョウモン♂(ミネラル摂取)



2014年8月下旬

キャンプ場の休憩所(東屋)でなぜかメスグロヒョウモン♂(Damora sagana liane)が飛び回り、軒下に止まったりしていました。
行動の目的が分からず、夏眠する傾向があるのかな?と首を捻りつつじっと眺めていたら、私が持参したビニール傘に止まりました。
口吻を伸ばして柄を舐め始めました。
翅を開閉しながら長時間ひたすら舐め続けます。
かなりマニアックなフェチですけど、ミネラル摂取の行動なのでしょう。

すぐ横のベンチの背もたれに汗で濡れたシャツを干しているのに、それには興味を示しませんでした。
洗剤の残り香やグレーの色が嫌いなのかな?

汗をかいた腕を差し出してもその手に乗りませんでした。
ヒトの汗というよりも皮脂が目当てなのでしょうか。
濃縮した塩分が固体表面に析出した状態が好みなのかもしれません。

▼関連記事
金属管を舐めるミドリヒョウモン♂


飛べ!ハグロトンボ♂【HD動画&ハイスピード動画】



2014年8月上旬


▼前回の記事
ハグロトンボ♀の翅紋誇示

民家の庭でハグロトンボ♂(Calopteryx atrata)が何匹も集まっていました。
草木の葉っぱや地面に止まり、独特のリズムで翅を開閉しています。(縄張り争いの誇示行動)
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
複数個体を撮影。



ミソハギの花で採餌するトラマルハナバチ♀



2014年8月下旬

民家の庭先に咲いたミソハギの群落でトラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が訪花していました。
後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を付けて運んでいます。
葉が茎を抱かないので、エゾミソハギではなくミソハギです。



2014/12/07

ガガイモの花蜜を吸うコガタスズメバチ♀



2014年8月下旬

道端に蔓延るガガイモの群落でコガタスズメバチVespa analis insuralis)のワーカー♀が訪花していました。
吸蜜していると近くに居たクマバチ♂に追い払われた(ように見えた)のが興味深く思いました。
クマバチによる餌場の占有行動ですかね?
栄養補給したコガタスズメバチ♀は引き続き草むらで獲物を求め探索飛翔を始めました。


正常円網で食事中のナガコガネグモ♀(蜘蛛)



2014年8月下旬

道端の草むらに張られた正常円網でナガコガネグモ♀(Argiope bruennichi)が獲物を捕食していました。
捕帯でラッピング済みの獲物(正体不明)を噛んで吸汁しています。
円網下部へジグザグに伸ばした白い隠れ帯が目立ちます。



メマツヨイグサの花で採餌するクロマルハナバチ♀



2014年8月下旬

平地の道端に咲いたメマツヨイグサの群落でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。
後脚の花粉籠にレモン色の花粉団子を付けて運んでいます。
忙しなく飛び回る同一個体を追いかけて撮影。



2014/12/06

夜は静かなコガタスズメバチの巣【暗視映像】



2014年8月下旬
▼前回の記事
巣の外被を増築するコガタスズメバチ♀

コガタスズメバチ巣の定点観察#2014-4

モンスズメバチが本に書いてあった通り夜も活動を続けていることを最近自分の目で確かめました。
これはモンスズメバチだけの性質なのでしょうか?
比較対象として、コガタスズメバチVespa analis insuralis)の巣を夜(〜22:30 pm)見に行きました。

赤外線の暗視カメラで観察すると、軒下に吊り下げられた巣はひっそりしています。
巣口での扇風行動も見られません。

巣口から外界を見張る門衛の姿も見られません。
久しぶりに見た巣の外被はほとんど成長しておらず、ひょっとするともぬけの殻なのではないかと疑いを抱きました。

動画を撮りながら巣の外被を棒でコツコツそっと叩いてみると(良い子は真似してはいけません)、在巣の蜂が1匹だけ点検のため外に出て来ました。
起きてきた♀は巣口からあまり離れず、外被全体を見回りすることもなく巣内にすぐ戻りました。
とりあえず、空き巣ではないと分かり一安心。
そろそろ8月も終わるというのに、依然としてワーカーが羽化していないのでしょうか?
創設女王がネジレバネや線虫に寄生されて不妊化したのかもしれません。
あるいは創設女王が死亡し、僅かにワーカーだけが残っているのかもしれません。

忙しくて頻繁に定点観察できていませんが、コロニーの成長が明らかに停滞しています。
いずれ巣ごと採集して巣盤や育房の状態を確認するつもりです。
という訳で残念ながら、夜の活動性をモンスズメバチの巣と比べる対照例としては適していませんでした…。

つづく→シリーズ#5(逃去巣)



イタドリの花蜜を吸うベニシジミ



2014年8月下旬

道端のイタドリ群落でベニシジミLycaena phlaeas daimio)が訪花していました。
翅を半開きのまま吸蜜しています。



マルバハギの花蜜を吸うスズバチ



2014年8月中旬

里山の尾根道に咲いたマルバハギの群落でスズバチOreumenes decoratus)が訪花していました。
橙色紋の赤味が強い個体だという印象を受けたのですけど、映像で見直すとそうでもないですね…。
暑さで頭がぼーっとしていたのかな?
頭楯は黄色でした。
性別は不明です。



2014/12/05

スギ伐採木に産卵するオオホシオナガバチ♀



2014年8月中旬

里山の林道でスギの木が無造作に転がして置かれていました。
おそらく最近ここで伐採されたようです。※
その倒木にオオホシオナガバチ♀(Megarhyssa praecellens)が産卵しに来ていました。
一瞬キバチ科の仲間かと思いきや、キバチ類の幼虫に外部寄生※※するヒメバチ科の一種でした。
前翅の斑紋が目立つので、同属のエゾオナガバチではなくオオホシオナガバチと分かります。

※※ この「外部寄生」という解説は『ハチハンドブック』p26に書いてあるのですが、内部の間違いではないですかね? 英語版wikipediaのMegarhyssa属の項にはendoparasitoid(内部寄生捕食者)とありました。(自己解決したので追記参照。)産卵直後に樹皮を剥いて寄主を探し、実際にどうなのか調べてみたいものです。



初めは長い触角で材の表面を探っています。
やがて産卵場所を決めると、長い産卵管を垂直に突き立て始めました。
樹皮が激しくめくれ、ささくれだっている場所を選んだようです。
腹端をカールさせて産卵しています。
このとき、オオホシオナガバチの特徴である第2腹節の背板の凸状黄色斑が見えました。
産卵管の根元は2本に別れていることも分かりました。
産卵を終えて産卵管を抜くと、もう次の産卵場所を探索し始めました。
2回目の産卵は観察しやすい場所を選んでくれました。
産卵中の無防備な状態の時に背後から微小なアリ(種名不詳)が通りかかると(@6:55)、オオホシオナガバチ♀は嫌がって噛まれた左後脚をピクリと動かし足踏みしました。
産卵中はすぐには逃げ出せませんからね。
産卵管を抜いて徘徊・探索を再開したところで撮影を止めたのですけど、直後に蜂は材木から飛び立ちました。
採集を試みたのですが逃げられました。
実は2匹も見かけました。

本種の産卵行動について『狩蜂生態図鑑』p150にとても興味深い記述を見つけました。

後脚の一部に半円状のくぼみがあり、左右の後脚を合わせると、産卵管の大きさにピッタリとしたすき間となる。これを照準として、朽木の中にいる幼虫に産卵している。


「日本産ヒメバチ目録」サイトには本種の寄主としてニトベキバチ、ヒラアシキバチ?、ニホンキバチが挙げられていました。

また、古い文献で次の記述を見つけました。

オオホシオナガバチが産卵に際し産卵管をまげて腹部第7〜8節間の膨張膜が気球のように大きく丸くふくれている。
南川仁博. "オオホシオナガバチの産卵状況." 昆蟲 36.2 (1968): 163.(PDFへのリンク)より
今回の映像ではアングルがいまいちなのか、この点はよく分かりませんでした。

ところで私はキバチの生態に疎いのですけど、木が切り倒されてしまったら中に潜むキバチの幼虫は成長できずに死んでしまうのですかね?
それとも初めから倒木を選んで産卵するキバチもいるのでしょうか。
オオホシオナガバチに産卵されたら捕食寄生される運命なので、どちらにせよもう関係ないですけどね。

※ 最近、砂防ダム改修工事のため沢の両岸の林を大量に伐採した結果、スギ倒木などが大量に転がっている状況でした。


※【追記】
『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』という名著の第9章 藏滿司夢「キノコとキバチと寄生バチ:枯れ木をめぐる奇妙な三者系」を読むと、オナガバチの仲間の産卵行動について詳しく知ることができました。
キバチ類を寄主として利用する寄生バチの(中略)1つはヒメバチ科オナガバチ亜科の寄生バチで、キバチの幼虫に外部寄生する殺傷寄生者として知られている。(中略)
腹部を高く持ち上げると同時に、長い産卵管鞘を木に突き立て、それをリードにして器用に産卵管を木の中へと挿入していく姿は圧巻である。挿入する産卵管の角度をときどき変えながら、木のなかに隠れるキバチ幼虫を探すのだ。この寄生バチのなかまは産卵管の先に感覚器と化学受容器を持っており、それによって産卵管が寄主に到達したことを認知すると寄主の体表に産卵する。 (p190より引用)
もう一つ勉強になったのは、寄主のキバチについてです。
キバチ亜科に属するキバチ類は全ての種類がマツ科やヒノキ科などの針葉樹を食樹とする。それに対して、ヒラアシキバチ亜科に属するキバチ類はブナ科やムクロジ科などの広葉樹を食樹としているのである。 (p185より引用)
今回私が観察した事例では、スギ倒木で産卵行動が行われたので、オオホシオナガバチの寄主はキバチ亜科に属する種類(ニトベキバチまたはニホンキバチ)に絞り込めそうです。(ヒラアシキバチ属は除外できる。)




ハンゴンソウの花蜜を吸うメスグロヒョウモン♂



2014年8月下旬

山間部の道端に咲いたハンゴンソウの群落で2〜3頭のメスグロヒョウモン♂(Damora sagana)が訪花していました。
翅を開閉しながら吸蜜しています。
フキバッタの一種やシュレーゲルアオガエルも花に来ていました。
カエルは花に来る虫を待ち伏せしているはずですが、満腹なのか眠そうにじっと座っているだけです。



この黄色いありふれた感じの花の名前を知りませんでした。
図鑑で調べてみるとキオンではなくてハンゴンソウと判明。



2014/12/04

ガガイモの花蜜を吸うクマバチ♂



2014年8月下旬

道端に蔓延るガガイモの群落でキムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。
吸蜜と身繕いの行動が見られました。
複眼が大きく発達していることと、顔の頭楯が白いことがクマバチ雄蜂の特徴です。



採土をアリに邪魔されたムモントックリバチ♀の飛翔【ハイスピード動画】



2014年8月上旬
▼前回の記事
ムモントックリバチ♀の集団採土場(蜂を個体標識してみる)
地面に穴を掘って巣材の泥玉を作っているムモントックリバチ♀(Eumenes rubronotatus rubronotatus)が飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮り始めました。
そこへたまたま地面を徘徊中のクロアリ(種名不詳)が近づいて来るとムモントックリバチは警戒して飛び立ち、ホバリングしながらお邪魔虫の蟻と対峙しました。
低空飛行の羽ばたきで地面の砂埃が舞う様子がアクション映画のようにドラマチックですね。
しかし喧嘩(異種格闘戦)になることもなく、ムモントックリバチは軽く定位飛行してから泥玉を抱えて巣へ飛び去りました。
アリに邪魔されたので穴を掘る場所を変えるかと思いきや、泥玉がある程度採れたので「今回はもうこれで充分」との判断なのでしょう。
体長ではムモントックリバチの方が大きいのに、蟻を恐れている(一目置いている)印象を受けました。

個体識別のために腹背に白の油性ペンでマーキングを施してあります。



ハナトラノオの花で採餌するトモンハナバチ♀



2014年8月下旬

民家の花壇に咲いたカクトラノオ(=ハナトラノオ)トモンハナバチ♀(Anthidium septemspinosum)が訪花していました。
花筒に潜り込んで吸蜜しています。
腹面のスコパに白い花粉を付けていました。
こんな郊外の住宅地で出会えるとは驚きました!

採餌が済むと花筒の外側に乗り、身繕いして体中の毛に付いた花粉をスコパに移しています。
このとき口吻を出し入れしていました。
同一個体を追いかけて撮影。
大雨の翌日の、特に午前中は訪花吸蜜するハチが多いので狙い目です。

残念ながら営巣地は突き止められませんでした。
ちなみに前年に定点観察に通ったクサフジとムラサキツメクサの群落は堤防一帯が小綺麗に草刈りされてしまって大打撃を受け、トモンハナバチの姿も見られなくなりました。



2014/12/03

汗を舐めるシロスジナガハナアブ♀


2014年8月下旬


▼前回の記事
シロスジナガハナアブ♀の探索飛翔

私が山道で休んでいると、シロスジナガハナアブ♀(Milesia undulata)が飛来しました。
やがて私のザックに降り立ち、汗の滲み込んだベルト部分を舐め始めました。
汗に含まれるミネラルを摂取(塩分補給)しているのでしょう。
左右の複眼が離れているので、性別は♀ですね。
それまで探索飛翔していたのは、汗の匂いに誘引されたようです。
近寄ってきたクロアリを嫌って飛び立ち、ホバリング(停空飛翔)を披露してくれました。
飛び回ると意外に重低音の羽音が鳴り響きます。
ザックのいつもほぼ同じ場所に着地します。
不思議なことに私の体や服には寄って来ず、汗ばんだ腕を差し出してもその手に乗りませんでした。
警戒しているのか、それとも新鮮な汗は惹き寄せる匂いが足りないのかな?(濃縮・熟成が必要?)【※追記を参照のこと】

このハナアブは見た目がアシナガバチやスズメバチにそっくり(ベイツ型擬態)なだけでなく、捕獲すると蜂のように刺す真似をする(行動擬態)そうです。
捕虫網が無いと採集できず今回も確かめられませんでした。
実は近くをキイロスズメバチが盛んに行き来しています。
擬態のモデルかもしれないキイロスズメバチとシロスジナガハナアブ♀は互いに没交渉でした。(追記2を参照)


【追記】
私は山中でも虫除けスプレーや制汗剤、香水などを使う習慣がありません。
ひとつ心当たりがあるのは、私が夏に使っている冷涼系ボディソープにメントール(ハッカ油の成分)が含まれていることです。
虫除け効果が知られているため、ハナアブも私の汗を直接摂取しに来るのは忌避したのかもしれません。


【追記2】
上田恵介・有田豊『黄色と黒はハチ模様:ハチに擬態する昆虫類』 (『擬態:だましあいの進化論〈1〉昆虫の擬態』p62-71に収録) によると、
”虻蜂取らず”はアブの戦略 
針を持たないのにハチの姿をまねている昆虫というと、まず双翅目のアブ類が挙げられる。(p62より引用) 
 ところで、モデル種であるハチ類は、自分とよく似たアブ類をどう見ているのであろう。自分と同じハチの仲間と見ているのか、それともいくら模様が似ていても、ハエと同じただの双翅目と認識しているのであろうか。これについて、コガタスズメバチVespa analisがスズキナガハナアブSpilomyia suzukiiを捕らえた報告がある。(p63より)


夜にミズナラの樹液を吸うエゾシモフリスズメ(蛾)の停空飛翔【暗視映像】



2014年8月中旬

夜の雑木林で(20:15〜20:34 pm)樹液が滲むミズナラの木の周りをエゾシモフリスズメMeganoton analis scribae)が激しく飛び回っています。
このために買った赤外線の暗視ビデオカメラが大活躍!
ホバリング(停空飛翔)しつつ長い口吻を伸ばして樹液を吸う自然な行動をじっくり撮影することができました。
一瞬だけ幹に止まったのは、脚が樹皮の割れ目に挟まったのでしょうか。
白色LEDの照明に切り変えた途端に、エゾシモフリスズメは驚いて逃げてしまいます。
大きく発達した複眼に光が反射して見えます。
翅の大きさや形が違う別種と思われるスズメガ(種名不詳)も来ていました。

前回の撮影では普通の懐中電灯に赤色のビニール袋を被せて光を和らげたりしてみたのですけど、それでもすぐに逃げられてしまいストレスが溜まりました。
夜間の自然な行動を記録するには撮り放題の赤外線カメラが一番です!
特に側面からのアングルは今までは絶対に撮らせてくれませんでした。

暗視映像はモノクロなので、蛾の種類を同定するには採集するかストロボを焚いて写真に撮るしかありません。
ストロボを焚く度に飛んでいたスズメガが強い閃光でショックを受け墜落して暴れます。
すぐに復活して飛び始めるのですけど、いつも申し訳ない気分になります。



2014/12/02

シロスジナガハナアブ♀の探索飛翔



2014年8月下旬

山道の休憩所にシロスジナガハナアブ♀(Milesia undulata)が飛来しました。
見る度にアシナガバチにそっくりだと思います。
ベーツ型擬態の代表格ですね。
初めは地面で身繕いしていたのですが、休憩所の床やベンチなどを小刻みに飛び回り何かを探索しているようです。
この虻の行き先を追うと…。

▼つづく
汗を舐めるシロスジナガハナアブ♀


夜モンスズメバチの巣に忍び寄るシロスジカラスヨトウ(蛾)【暗視映像】



2014年8月中旬


▼前回の記事
巣に侵入するナミクシヒゲハネカクシ?を殺すモンスズメバチ♀門衛

モンスズメバチの巣の定点観察8

クヌギの樹洞に営巣したモンスズメバチVespa crabro flavofasciata)のコロニーで夜間の活動の様子を暗視カメラで撮影しに行きました。(21:07 PM)
5日ぶりに巣を見ると外被状の被膜が更に増築され、小さな巣口以外は樹洞がすっかり覆われています。

巣口のすぐ上に黒い蛾が止まっていました。
スズメバチの巣に寄生する蛾なのかと思いきや、写真に撮るとシロスジカラスヨトウAmphipyra tripartita)と判明。
幹で警戒中のモンスズメバチのワーカー♀に追い払われても、少し歩いて逃げるだけです(巣口の下→左下→左)。
このクヌギの木は樹液を分泌していないので、単に休んでいるだけでしょうか。
もし微量でも樹液が滲んでいるなら、他の蛾や昆虫も集まって来るはずです。
何度も追い立てられるのに、なぜか樹洞から離れようとしません。
一方、モンスズメバチも夜行性であるという前評判とは異なり、暗がりではしっかり見えていないようです。
触角で偶然に触れて初めて蛾を追い払っています。
明るい昼間ならきっと飛びかかってもっと積極的に追い払う気がします。
(蛾の存在をあまり問題視していないだけかもしれません。)
シロスジカラスヨトウの黒い翅が闇夜に紛れやすいのかと考えがちですけど、白条が目立ち過ぎますしクヌギの樹皮が白っぽいので保護色にはなっていません。

シロスジカラスヨトウの幼生期についてはよく分かっていないらしく(参考リンク)、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」サイトでも幼虫の食餌植物は記載されていません。
「カラスヨトウ属幼虫の行動と食草について」と題した論文によると、飼育下で本種幼虫はアラカシおよびサカキを食べたそうです。

船越進太郎. "カラスヨトウ属幼虫の行動と食草について." 蝶と蛾 44.4 (1994): 249-257.
ここは東北地方の雪国で、照葉樹林帯ではありません。(アラカシもサカキも私は未だ見たことがありません。)
当地のシロスジカラスヨトウ幼虫は何を食べて育つのでしょう?
今回の観察では私の先入観かもしれませんが、いかにも寄生蛾♀が産卵のチャンスを伺っているように見えて仕方がありませんでした。
(今回のシロスジカラスヨトウの性別を確かめた訳ではありません。)

同じモンスズメバチの巣口を観察していて、寄生生物との攻防をこれまで二例(ムツボシベッコウハナアブおよびナミクシヒゲハネカクシ)観察したので、どうしても「二度あることは三度ある?」と期待してしまいます。
ギンモンシマメイガのようにシロスジカラスヨトウもスズメバチの巣に寄生する可能性は無いのでしょうか?

▼関連記事
コガタスズメバチの巣に寄生する蛾の幼虫
コガタスズメバチの巣から羽化したギンモンシマメイガ(蛾)
スズメバチの巣に侵入する決定的瞬間を撮影するか、あるいは採集したスズメバチの巣から羽化する蛾を得ないと証拠にはなりませんね。
野外で採集したシロスジカラスヨトウ成虫♀から採卵し、孵化した幼虫にスズメバチの巣を与えて育てられたら完璧でしょう。
今のところは個人的な大胆仮説として温めておきます。
暗視カメラでスズメバチの巣を愚直に監視・長撮りすれば何か分かりそうな気がするのですけど…。

先走って楽しく空想してみましたが、動画のシロスジカラスヨトウを採集してみたら♂だったというオチに終わるかもしれません。

木から少し離れた所から撮影するとビデオカメラに内蔵の赤外線LEDでは光がいまいち届きませんでした。
もっと強力な赤外線投光機が欲しくなりました。
巣口でモンスズメバチが扇風行動をしているようですけど、映像では暗くてよく見えません。
ちなみにこの日の月齢は23.2でした。

※ 実は同じ日の夜に近くで野生ニホンカモシカとニアミスしてお互いに肝を冷やしたのですけど、暗闇の山中では赤外線が遠くまで届かず使い物になりませんでした。

つづく→シリーズ#9:直列二連の扇風行動



2014/12/01

角材を食べて面取りするフキバッタ



2014年8月下旬

里山のキャンプ場の東屋(休憩所)で軒下にフキバッタの一種がぶら下がっていました。
梁の太い角材の角をまるで面取りをするように線状の食痕が残っています。
顔を接写してみると、確かに大顎で材木の表面を齧り取っていました。

軒下は薄暗いので、後半は補助照明としてビデオカメラの白色LEDを点灯しました。
それでもフキバッタは逃げようとしません。
警戒して角材にしばらく身を伏せていましたが、すぐに食事を再開してくれました。
撮影後は、しばらく目を離した隙にいつの間にか居なくなっていました。

周囲には食草となりそうな草や灌木は幾らでも生えているのに、何を好き好んで栄養価の低そうな材木を食べているのでしょう?
便秘を解消するために植物繊維を重点的に摂取している…なんてね。

角材の表面を処理した化学薬品(防腐剤や塗装)の味が気に入ったのかな?
草食のフキバッタが木造家屋の建材を食害するという衝撃的な事件を見るのはこれが初めてではありません。
実は4年前の夏にも観察しています。

▼関連記事
木の柱を食害するフキバッタ
これは異常行動(異食行動)などではなく、フキバッタの習性なのでしょう。
前回見たフキバッタの食べ方は面取りになっていませんでした。
不思議なことに必ずしも死んだ材木が好きな訳でもなさそうで、自然界の朽木や倒木を食べているフキバッタは未だ一度も見たことが無いのです。
飼育してみれば何かヒントが掴めるでしょうか。

私にはフキバッタの種類を見分けられないのですけど、せめて性別ぐらいは知りたいところです。
どなたか教えて下さい。





夜のミズナラ樹液を吸うキシタバ【暗視映像】



2014年8月中旬

夜の雑木林で(21:00 pm)樹液が滲むミズナラの幹にキシタバCatocala patala)が来ていました。
口吻を伸ばして樹液を激しく吸汁しています。
他の蛾(カギバガの仲間?)が飛来すると驚いて飛び去りました。

暗視カメラでは暗闇での自然な行動が観察できるものの、後翅の色がまるで分からず蛾の種類を見分けられません。
赤外線から白色LEDに切り替え点灯してもキシタバは逃げませんでした。



2014/11/30

夜のミズナラ樹液酒場で栄養交換するモンスズメバチ♀【暗視映像】



2014年8月中旬

夜の雑木林で(20:15 pm)モンスズメバチVespa crabro flavofasciata)のワーカー♀が2匹ミズナラの樹液酒場に来ていました。
幹を降りてきた個体と樹液酒場に居た個体が口移しで栄養交換を行いました。
近くにある同じ巣から来た仲間なのでしょう。
挨拶が済むと1匹はすぐに巣へ飛び去り、残った方は身繕いしながら樹液を吸汁しています。
お気に入りの樹液スポットを交代で守るのでしょうか(占有行動)。

照明を点けずに赤外線の暗視ビデオカメラで撮影したので、夜行性モンスズメバチの自然な行動がばっちり記録できました。
餌場での様子は、暗闇でも昼間の行動とまるで変わりません。
他種のスズメバチ類が暗くなると樹液酒場に全く来なくなるのと対照的です。


飛んで火に入る夏のマイマイガ♂【蛾:ハイスピード動画】



2014年8月上旬

この夏に近所で大発生して騒動になったマイマイガ♂(Lymantria dispar japonica)が室内に迷い込み壁に止まっていました。
羽毛状の触角があるので♂ですね。

正の走光性で白色電球の周りを飛び回る(乱舞)様子を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
すぐに疲れて壁に止まるので、その度に触角に指で触れて飛び立たせました。
1/8倍速のスローモーションで見ると、暗い照明が点滅して見えます。
実は暖色の蛍光灯なのかと思いきや、後日調べてみると古い白色電球でした。

『日本動物大百科9昆虫II』p78によると、

マイマイガの♂の飛び方は上下左右と不規則で、方向性がない。そのため、捕虫網で捕らえようとしても容易ではない。このような飛び方は鳥にとっても非常に捕らえにくいのではないかと想像される。

【追記】
マイマイガの名前の由来は、♂がひらひらと舞うから「舞々蛾」らしい。


ランダムに記事を読む