【これまでの経緯】
昨年の春(2016年4月下旬)に市街地の交通量の多い通りでハクセキレイ(Motacilla alba lugens)の集団塒を見つけて以来、定点観察してきました。
▼まとめ記事
ハクセキレイ(野鳥)の集団塒:定点観察2016年
初めの頃は道端の電柱に就塒していたハクセキレイの群れが、やがて街路樹(ケヤキ並木)に葉が茂ると樹上に移って夜を過ごすようになりました。
集まるのは♂ばかりであった点も興味深いです。
しかも、どうやら同じ集団塒を通年使うのではなく、ここは繁殖期にしか使われていないようです。
塒で一通りの行動パターンの映像が撮れてしまうと、基本的に朝晩同じことの繰り返しなので飽きてしまいました。
次第に足が遠のくと、夏から秋の間にハクセキレイがいつの間にか居なくなっていたのです。
次に知りたい疑問は、毎年いつから集団塒に戻って来るのか?という点です。
電柱の柱上トランス(柱上変圧器)はじんわりと発熱していそうなので、雪国の寒い時期には柱上トランス付近に集まって暖を取るのではないか?と予想を立てました。
ハクセキレイは冬でもよく見かける留鳥です。
2016年12月下旬、および2017年1月中旬の2回、日没前後に調べたところ、この電柱や街路樹にハクセキレイは未だ1羽も来ていませんでした。
厳冬期の塒はどこか別の場所にあるのでしょう。
いつか突き止めたいものです。
別の可能性として、雪国のハクセキレイ個体群の多くは漂鳥(国内限定の渡り鳥)で、どこか暖かい越冬地に渡ってしまうのかもしれません。
ハクセキレイを一時捕獲して個体標識すれば、この問題を解明できるはずです。
定点観察と言っても、「今日も鳥が居ない」ことを確認するために寒い夕方に通いつめるのはちっとも面白くなくて苦行でしかありません。
さぼって定点観察の間隔が空いてしまいました。
確か3月上旬にも見に行ったのですけど、恥ずかしながら記録(不在記録)を残すのを忘れてしまいました。
言い訳になりますが定点観察に身が入らなかった理由として、本当にハクセキレイが再びこの場所に塒入りしてくれるのか、そもそも確信がもてませんでした。
夏から秋にかけて居なくなったのも、誰かに駆除されて追い払われたのではないか?という一抹の疑念があったのです。
悲しいことに、世間は野鳥に寛容な人ばかりとは限りません。
ハクセキレイに限らず野鳥の集団塒は各地で鳴き声による騒音公害や糞害など深刻な問題を引き起こす例があるからです。
▼関連記事ヒトに追い払われ就塒前集合の場所を変えるムクドリの大群(野鳥)
2017年3月中旬・午後17:46~18:16・気温~1℃・日の入り時刻は午後17:49
啓蟄も過ぎたのでそろそろかな?と思い、久しぶりに重い腰を上げて見に来てみました。
すると、去年と全く変わらぬ様子でハクセキレイが集団就塒していて一安心。
昨年と同じ個体群が記憶を頼りに同じ塒へ無事に戻ってきたのでしょう。
一体いつからここに戻って来たのでしょうか?
ある日いきなり群れが戻ってくるのか、それとも数日かけて少しずつ集結するのかな?
いよいよハクセキレイの繁殖期が始まったのでしょうか?
求愛行動の萌芽かもしれない思わせぶりな行動をこの日の就塒直前に観察しています。
▼前回の記事
ハクセキレイのお辞儀(野鳥:求愛行動?)
ハクセキレイは決まった場所で就塒前集合するはずですが、この日はなぜかはっきりしませんでした。
去年の夏とは異なり、近くの赤いトタン屋根に一度集まることはありませんでした。
これは群れの個体数が少ないためだろう、と私は推測しています。
日没直後から周囲の電線や電柱に三々五々集まって来て、互いに鳴き交わしています。
明るいうちは互いに追いかけっこ(空中戦)が頻発します。
居なくなっても、しばらくするとまた戻って来ます。
メインの集団塒である電柱Sだけを利用していて、サブの塒(車道を挟んで立つ電柱N)および丸裸の街路樹(ケヤキ)には一羽も塒入りしませんでした。
背中が灰色の♀が落葉状態のケヤキの樹上(2016年夏に使われた集団塒の隣の木)に止まった時は「おっ!」と思ったのですが、一時的ですぐにメインの集団塒(電柱S)に移動しました。(@1:52~2:02 このパートのみ自動色調補正を施しています。)
塒内でもお気に入りの場所取りがあるらしく、しばらく華麗なホバリング(停空飛翔)で飛び交い、小競り合い(陣取り合戦)が生じています。
気温は未だとても寒いのに(1℃)、私の予想とは異なり、柱上トランス周辺に集まって暖を取っている傾向は特に見られませんでした。
ちなみに、この日の日の入り時刻は午後17:49。
未だ穴だらけの定点観察記録ですが、気長に調べて少しずつ穴を埋めていくつもりです。
つづく→集団塒でムクドリと混群?
2016年10月上旬
山麓の田園地帯で木の電柱の天辺に猛禽類が1羽、後ろ向きに止まっていました。
周囲の田んぼを見回しています。
電線にはトンボがほぼ等間隔で並んでいたのですが、ノスリが虫を捕らえて食べることはないのでしょうか?
猛禽類を同定するためには翼の下面をしっかり見る必要があるので、途中から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に切り替えました。(@0:42~)
私がじっと撮り続けていると居心地が悪くなったのか、止まり木で90°向きを変え、直後に力強く羽ばたいて飛び立ちました。
ようやくノスリ(Buteo japonicus)と判明。
飛翔シーンを流し撮りすると、ノスリは稲刈りの進む田んぼを飛び越えて行き、最後は見失いました。
2017年3月中旬・夕方17:45
ハクセキレイ(Motacilla alba lugens)の塒入りを見に来たら、日没直前の電線に止まった2羽の行動が気になりました。
右にいる個体がすぐ左隣の個体に向かって頭を低く下げて繰り返しお辞儀をしています。
それに対して相手は無反応でした。
こんな行動は今まで見たことがありません。
これは求愛行動ですかね?
ここ雪国でもハクセキレイの繁殖期がいよいよ始まったのかな?
薄暗い上に逆光のため、映像からハクセキレイと判別するのも少々難しく、肝心の性別も不明です。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
『日本動物大百科4 鳥類II』を紐解いてみても、
(ハクセキレイの)交尾は数回続けて行なうが、♂は交尾のたびに体をふくらまし、鳴きながら求愛する。(p77)
と書いてあるだけで、求愛行動の具体的な詳細が分かりませんでした。
↑参考映像:ka2kaさん撮影の見事な求愛ディスプレイ。
百科事典に載っていないことも検索すればすぐに生態動画が見れる、つくづく良い時代になりましたね。
2016年11月中旬
里山の急斜面で雑木林の林床を野生ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)がガサガサと音を立てながら遊動していました。
口に何かを頬張ったのですが、カメラのピントが合う前に警戒して幹の陰に隠れてしまいました。
木に登るかと思いきや、姿を見失いました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2016年12月下旬
▼前回の記事
川で小魚を捕食するダイサギ(冬の野鳥)
街中を流れる川の対岸からしつこく撮り続けると、冬鳥ダイサギ(Ardea alba)は方向転換し、今度は上流へ向かって苔むした護岸沿いにゆっくり戻り始めました。
魚を捕ろうとして失敗し、嘴を水でゆすぎました。(@0:15)
先ほど漁に成功した梯子の下をもう一度調べた後で通り過ぎました。
ダイサギは足早に橋の下へ向かっています。
やがて長い足で川を渡り始め、こちらの岸に向かって来ます。
渡渉中に川床で足を滑らせてバランスを崩したのか、急に羽ばたいてジャンプし、下流に向きを変えました。(@5:29)
すぐにまた羽ばたくと少しだけ上流に飛んで、支流が流れ込む滝壺の下へ移動しました。(@5:48)
引きの絵にすると、驚いたことに別のもう一羽が滝の下に来ていました。
ここは支流が本流に流れ込む放水路?が2つ並んでいるのです。
この滝壺(と言うと大袈裟ですが…)は、よほど優れた漁場なのでしょう。
2羽の白鷺は縄張り争いや喧嘩はせず互いに離れました。
滝壺で実際に魚がよく捕れかどうか更に観察を続けたかったのですが時間切れとなり、泣く泣くその場を離れました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
実は更にもう2羽のダイサギをこの日に撮影していて(映像公開予定)、延べ4羽(実数は2~4羽)と出会いました。
この川でいつも見かけるアオサギがこの日は一羽もいない点が気になりました。
ダイサギの群れに縄張り争いで負け、追い払われたのでしょうか?
もう一つ気づいた点として、ダイサギはアオサギと違ってカメラを向けてもあまり逃げなかったので撮影が楽でした。
冬は採餌で必死なのかもしれません。
2016年11月中旬
農村部の路肩でニホンカナヘビ(Takydromus tachydromoides)の幼体を発見。
おそらく舗装路で日光浴していたのでしょう。
撮りながら近づくと、チョロチョロ逃げて行きました。
2016年12月下旬
▼前回の記事
川の滝壺とダイサギ(冬の野鳥)
飛び去った個体を追いかけて少し下流で見つけた冬鳥ダイサギ(Ardea alba)は、街中を流れる川の護岸沿いを下流に向かってゆっくり歩いていました。
(おそらく同一個体だと思っています。)
やがて、苔むした護岸の一点(梯子の下)をじっと見つめていたダイサギが嘴を一閃。(@2:48)
漁に成功したのに後ろ姿で残念。
獲物の小魚を一呑しました。
その後も「二匹目のドジョウ」を狙って同じ場所をしばらくは覗き込んでいました。
ちなみに後日、「ダイサギが足を揺らして川底を掻いて魚を追い出す行動」を観察したのですが(映像公開予定)この個体はしていませんでした。
捕食戦略の違いは個体差なのか、それとも川底の状況によって使い分けるのでしょうか?
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→川の滝壺に集まるダイサギ(冬の野鳥)
2016年6月上旬
山裾の草むらで葉から葉へ歩き回るアカガネサルハムシ(Acrothinium gaschkevitchii gaschkevitchii)を接写してみました。
日光を浴びると金属光沢のグラデーションがひときわ美しく輝きます。
複数個体を撮影
2016年12月下旬
街中を流れる川の橋の下で、本流に支流が滝のように豪快に流れ込んでいます。
その滝壺(というと大袈裟ですが…)のすぐ横で冬鳥のダイサギ(Ardea alba)が待ち構えていました。
護岸沿いに下流へゆっくり歩き始めたものの、また引き返して来ました。
明らかにダイサギは流れ込みに執着していますね。
魚が流れ落ちるのを待ち伏せしているのでしょうか。
やがて羽繕いすると川の下流へ向かって低空で飛び去りました。
私も後を追いかけてみると…。
つづく→ダイサギの魚捕り
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2016年6月上旬・午後19:23
夜の路樹裏でネコ(Felis silvestris catus)と遭遇。
一瞬タヌキかと思って慌てて撮り始めたのですが、毛足の長い飼い猫でした。
私は猫を飼ったことがないので、この品種名をご存知の方はぜひ教えてください。(いかにも外国の品種の猫だと思います。)
外灯の明かりだけで暗くても普通のカメラでなんとか撮れました。
ぼろぼろの小屋(納屋?)に潜り込んだ猫は、入り口の匂いを頻りに嗅いでいます。
再び通りに出てくると角を曲がり、見失いました。
こちらを気にせず堂々としている人馴れした個体でした。
やはり近所で飼われている猫なのでしょう。
ちなみに、この日の日の入り時刻は19:00。
2016年12月中旬
川岸の遊歩道で夕方、ハクセキレイ♀(Motacilla alba lugens)に来ました。
背中が灰色の♀は特に、辺りの残雪に対して保護色になっていそうです。
飛び立つ前に白い糞をポトリと排泄して、出来る限り軽量化します。
チュチュチュン♪と鳴きながら飛び去りました。
2017年1月下旬
町中を流れる川でスズメ(Passer montanus)とハクセキレイ(Motacilla alba lugens)が何やら一緒に?採食していました。
残念ながらカメラを向けた途端にハクセキレイが逃げてしまいました。
あちこちに雪の塊が残っている寒々しい川岸で、スズメは泥にまみれた枯れ草やコンクリート護岸の苔を喋んでいます。
おそらく草の種を必死で探しているのでしょう。
雪国で餌の乏しい厳冬期を生き残るのはいかにも大変そうです。
2016年12月中旬・午後16:30~17:02
▼前回の記事
白鷺が集団就塒する川【前編:冬の野鳥】
対岸の岸辺(中洲?)に2羽の白鷺(おそらく冬鳥のダイサギ;Ardea alba)が相次いで舞い降りました。
集団塒の右端には前編で一番乗りしたアオサギが佇んで居ます。
白鷺は水際まで歩いて来ると嘴を浅瀬の水に浸しましたが、水は飲んでいない気がします。
次は下流側(画面左)より1羽の白鷺が飛来しました。
群れから左にかなり離れた位置(川の中央)に着水。
また少し低空で飛ぶと、塒の仲間に合流しました。
塒入りした個体は嘴を川の水に浸したり羽繕いしたり、各自がのんびり過ごしています。
白鳥のように群れで飛来して一斉に集団就塒するのではなく、白鷺は三々五々集まって来ます。
川へ続々と舞い降りるので、撮影しながらはとても個体数をカウントできなくなりました。
滑空、旋回して川に舞い降りる白鷺の姿が優雅で美しいですね。
実は白鳥の塒入りを見に来たつもりだったのですが、騒々しい白鳥の塒入りなんかよりも白鷺の方が遥かに優雅で美しい光景だと思い、見とれてしまいました。
暗くなるとズームインしてもAFピントが合わなくなるので、粗い画質でも引きの絵(広角)で撮り続けます。
相当暗くなっても、黒い川面に対して被写体の白鷺はコントラストが目立つのが助かります。
塒への着陸アプローチは上流からと下流からと両方ありました。
着陸に多少失敗して群れから離れてしまっても、すぐにまた少し飛んで移動し、群れの本体に合流します。
塒では初め大小2群に別れていたのですが、小群の個体が少し飛んで大群に合流しました。
塒内ではなるべく個体間距離を詰めて群れのサイズをコンパクトに保とうとしているようです。
暗くなると心理的な不安感が高まるのか、孤立を嫌うようです。
白鷺の塒入りについて予備知識のなかった私は、この時点では未だ就塒前集合なのかと疑っていました。
そのうちに就塒パターンが変わりました。
飛来した個体の一部が、集団塒を通り過ぎて上流へ飛び去るようになったのです。(@5:41)
集団塒が満員になったとは思えませんし、理由は不明です。
警戒心が強い個体が対岸で観察している怪しい人影(=私)を嫌って飛び去ったのかもしれません。
ところがしばらくするとまた上流(画面右)から飛んでくるので、さきほど塒を通り過ぎた個体が戻って来たのか、私には区別がつきません。
せっかく集まったのに、なぜか塒から自発的に飛び立って上流へ行ってしまう個体が現れました。(@10:37、11:45、11:52、…)
対岸の私に気づいて居心地が悪くなったのでしょうか。
(あまりの寒さに撮りながら身動きしてしまったのです。防寒対策が甘く、懐炉も持参すべきでした)
その後も1羽ずつ飛び去るので、もしかするとここまでが就塒前集合で、これから本格的に集団就塒するのかと思ったりしました。
あるいは上流にもう一つの集団塒が形成されつつあるのかもしれません。
鴨のように一斉に逃げるのではなく、一羽ずつ飛び立ちます。
上空を飛び去る白鳥の鳴き声につられて白鷺も飛び立ったのかな?
対岸の堤防を作業車が黄色い警告灯を回しながら通ったから、白鷺が警戒して逃げた可能性もあります。
気づけば東の空に、ほぼ満月(月齢12.6)が出ていました。
とっぷり日が暮れると遠くには外灯が見え、暗い川面に月明かりが映ります。
対岸の集団塒は真っ暗で全く見えなくなりました。
編集でカットしましたが、手前の川岸にはカモ類(オナガガモとマガモ)が集団就塒していて、小声で鳴き交わしています。
ちなみに、この日の月齢は12.6、日の入り時刻は午後16:19。
※ 日没後の薄暗い映像に対して動画編集時に自動色調補正を施しています。
就塒前集合なのかと途中で思ったりもしましたけど、どうやらこのまま夜を過ごすようです。(集団塒)
ダイサギは大型のせいか、集団塒での個体間距離は結構離れている印象を受けました。
私がこれまで見てきた別種の野鳥の集団塒ほど密集していません。
この集団塒は厳密に言えばダイサギとアオサギの混群ですけど、私が把握している限り、アオサギは一番乗りした個体の1羽だけでした。
日没時に白鷺が集団塒へ離合集散する様子を引きの絵で微速度撮影したら面白い映像になるかもしれません。
早朝の離塒と併せて、今後の撮影課題です。
次回は鳥を警戒させないように、隠れて撮影できるブラインドを持参するつもりです。
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この写真2枚は16:34撮影 |
【おまけの動画】
周囲の実際の明るさを示すために、自動色調補正処理していないオリジナル・バージョンの薄暗い動画もブログ限定でお見せします。
2016年12月中旬・午後15:48~16:19
白鳥の塒入りを観察しようと川で待ち構えていたら今回はうまく撮れず、その代わりに予想外のスペクタクルが見れました。
まず上流から飛来したのは白鷺です
川の中の岩に着陸すると羽繕いを始めました。
白鷺(シラサギ)には何種類かいますけど、おそらく冬鳥で大型のダイサギ(Ardea alba)だと思います。
望遠レンズを持って来なかったため、識別点である目元にズームできませんでした。
ところがしばらくすると、この白鷺は岩の上から上流へ飛び去ってしまいました。
(飛び立つ瞬間は撮り損ね)
次に、河畔林の落葉樹の天辺で休んでいる白鷺を見つけました。
この個体もカメラを向けられていることを嫌ったのか、川とは逆方向に飛び立ってしまいました。
再び上流から白鷺が飛来しました。
堰の上空で引き返し、旋回すると上流へ飛び去りました。
集団塒の候補地を偵察に来たようです。
対岸の集団就に一番乗りしたのはアオサギ(Ardea cinerea)でした。(午後16:13)
背の高い枯れ草に隠れて姿が見えなくなりました。
また白鷺が上流から飛来しました。
先程と同じく堰の上空で引き返し、また上流へ戻って行きました。
集団塒に仲間が居ないと不安で、着陸する気になれないのでしょうか。
川岸に立っている私の存在に警戒しているのかもしれません。
ちなみに、この日の公式な日の入り時刻は午後16:19。
私はそれまで白鷺の塒入りを見たことがありませんでした。
なぜ樹上のコロニー(鷺山)でそのまま寝ないのか、不思議に思いました。
落葉樹の塒は冬になると白鷺が目立ってしまい、危険を感じるのかもしれません。
『カラー版自然と科学22:シラサギのくらし』p31によると、
(秋のはじめに)サギ山を出たシラサギたちはいくつかの群れになり、近くの川岸の木や沼の林にあつまってそこをねぐらにします。
ここまでは序章で、いよいよ白鷺の群れの本格的な塒入りが始まります。
後編へつづく。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
【おまけの動画】
周囲の実際の明るさを示すために、自動色調補正処理していないオリジナル・バージョンの薄暗い動画もブログ限定でお見せします。
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2016年12月中旬
河川敷の落葉高木(樹種不明‡)に絡みついた蔓植物ツルウメモドキに冬鳥ツグミ(Turdus eunomus)が群がって赤い果実を採食していました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
‡【追記】
春になった5月下旬に樹種を調べに現場を再訪しました。
撮影アングルの記憶が確かなら、大木はクルミ(オニグルミ)と判明。
2016年12月中旬
川岸の桟橋でカモ類にパンを千切って給餌する家族連れがいました。(映像公開予定)
その家族と鴨の群れが帰った後でハクセキレイ♂(Motacilla alba lugens)がやって来て、桟橋の板に散乱した白くて細かいパン屑(パン粉)を丹念に啄み始めました。
(ハクセキレイが食べているのは雪ではなくてパン屑です。大き目の欠片は全てカモ類が食べ尽くした後なのです。)
ハクセキレイがパンを食べる行動は以前、都市鳥に関する本で読んだ通りでした。
ヒトをあまり恐れなくなり、学習した結果、いつも給餌のおこぼれに預かってるのでしょう。
ただし、先程の家族連れからカモ類に混じってハクセキレイが直接パンをもらっていた記憶はありません。
私も試しに給餌してみれば良かったのですけど、あいにくパンなど食物を何も持ってきていませんでした。(そもそも野鳥への給餌行為があまり好きではありませんし。)
※ 夕方に撮った薄暗い映像に対して動画編集時に自動色調補正を施しています。
2016年11月下旬・午前9:50
郊外の庭で落葉したナナカマド?の木の天辺でモズ♂(Lanius bucephalus)を発見。
猛禽類のモズが純肉食性なのに赤い果実を採食したら大発見?…と内心期待しながら息を潜めて見守りました。
モズは枝先で辺りを油断なく見回しています。
頻りに首を傾げる仕草が可愛らしいですね。
朝の陽射しの中で日光浴しているのかもしれません。
すぐ近くでヒヨドリやカラス鳴いているのに、高鳴きなどせずにモズは黙っています。
この辺りは結構賑やかな環境です。
飼い犬が鳴いても車が通り過ぎても鉄道の踏切が鳴っても、里のモズはあまり気にしていないようです。
やがて尾羽を持ち上げたタイミングで白い糞を排泄しました。(@1:29)
最後は細い枝で突然バランスを崩したのか、激しく羽ばたき、そのまま飛び去りました。
結局、赤い木の実は食べませんでした。
まぁ、当然ですね。
【追記】
水野仲彦『野鳥のくらし―卵から巣立ちまで』によれば
ほとんど木の実を食べず、昆虫や小動物が餌のモズの冬の生活は、ことのほか厳しい。(p20より引用)
【追記2】
唐沢孝一『モズの話 (1985年) (よみもの動物記)』を読むと「木の実を食べるモズ」と題した章が設けられていて、具体的な観察記録が日本各地から報告されていました。
モズが木の実や芽を食べることは確かで、それも偶然食べたというよりも、かなりの頻度で、どの季節にも食べているらしい。 (p136より引用)
2016年11月下旬
▼前回の記事
杉の実を採食するヒガラ(野鳥)の群れ
峠道の横の斜面に生えたスギ林で遭遇したカラ類の混群の中で、シジュウカラ(Parus minor)もスギの球果を啄んで採食していました。
冒頭シーンは、コガラ(Poecile montanus)が休んでいた枝にシジュウカラが乱入して追い払いました。
混群で個体数が多いのはシジュウカラでした。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2016年11月下旬
農村部の休耕田にガマ(蒲)の群落が生えていました。
晩秋の秋風に吹かれて、熟した穂先から白い綿毛がフワフワと飛んでいきます。
空気抵抗を大きくするために冠毛を付けた種子が風任せで遠くまで散布される仕組みは風散布の一種です。
タンポポの綿毛がその代表例です。
鷲谷いづみ、埴沙萠『タネはどこからきたか? (Nature Discovery Books)』によると、
・ガマは、冠毛のある細かいタネを大量につくり、強い風でなければ飛ばないように穂の形にまとめ、その穂を高く掲げる。風でタネを飛ばす名人中の名人だ。その分散力の大きさが、ガマを世界中に広げているといってもよいだろう。(p21より)
・いかにも身軽そうな微細なタネは、ときに数千mの高度まで舞い上がり、水平距離にして数百kmも飛ぶことがあるという。(p9より)
埴沙萠『科学のアルバム:たねのゆくえ』p1によると、
風にとばされたガマのわた毛は、やがて水面におちてながされ、さらに遠くへはこばれていきます。
▼関連記事
ガマの穂の綿毛はフワフワ
このとき(6年前の2010年11月上旬)は未だ少し未熟な穂を手でほぐして中に詰まっていた綿毛を風に飛ばせる実演をしました。
今回はご覧のように、自然に綿毛が飛ばされていく様子を動画に撮りました。
2016年11月下旬
峠道の脇の斜面に生えたスギ林でカラ類の混群と遭遇しました。
スギの球果を啄んで採食しているようです。
混群の中でも、まずはコガラ(Poecile montanus)に注目した採食シーンをまとめました。
やや遠いのですが、互いに鳴き交わす声がかすかに聞こえます。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
帰ってから『野鳥と木の実ハンドブック』p70で復習してみると、私が観察した通りでした。
(スギの)種子は10月頃から熟すが、鳥は厳冬期の頃に採食することが多い。採食する鳥の種類はあまり多くはない。(シジュウカラ類、アトリ、マヒワなど。)
2017年2月上旬
雪がちらつく日に、街中のお屋敷の庭でヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis)と冬鳥のツグミ(Turdus eunomus)が樹上に群れていました。
ときどき枝から枝へ飛び移っています。
この立派な庭木はおそらく桜ではないかと思います。
落葉した樹冠に冠雪しています。
右隣に植えられたエゾノコリンゴの木の果実を採食していた混群が、私に警戒して一時的に桜の枝へ退避したようです。
▼関連記事
エゾノコリンゴの果実を採食するヒヨドリの群れ【冬の野鳥】
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2017年2月上旬
小雪がちらつく日に、町中を流れる川の中に佇む1羽のダイサギ(Ardea alba)を見つけました。
ボサボサした飾り羽が寒風になびく様子が印象的でした。
川岸は雪で覆われています。
川下を向いて立っていたダイサギがときどき横を向くのは、きっと私を警戒して横目で見るためでしょう。
やがてダイサギは雪の積もった中洲の陰に隠れるように移動しました。
しつこい私は撮影アングルを求め、かなり近づいてからつづきを撮影。
ダイサギの横顔にクローズアップして識別点の目尻を確認します。
いつもと違ってこれほど接近しても飛んで逃げませんでした。
しっかり個体識別している訳ではありませんが、この川でいつも見かける顔なじみの個体だとすると、ようやく私に気を許してくれたのだろうか。
もしかすると厳冬期には餌不足で飛び立つのも億劫なほど飢えているのかもしれないと想像しました。
最後はようやく警戒を解いたのか、川の中を下流へ歩き始めました。
採食行動(漁)などの派手な活動を見れなかったのが残念。
やや退屈な動画かもしれませんが、雪国を知らない人はこの静謐なひとときが魅力的(エキゾチック)に思うかもしれません。
2017年2月上旬
街中にある旧いお屋敷の立派な庭で、ヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis)がとある落葉樹に群がっていました。
雪をかぶった枝に残った丸くて茶色(干し柿のような色)の果実を喋んでいます。
果実の根本はとても細くて長い柄で枝につながっています。
例えるなら、サクランボの実に付いているような柄です。
この柄のせいでヒヨドリはとても食べにくそうな様子でした。
嘴で実をつついても実がブラブラ揺れるだけです。
失敗して、実を落としてしまうこともありました。
ようやく柄からちぎって実を丸呑みできたと思いきや、なぜか種子を吐き出し捨ててしまうシーンが撮れました。(@2:51~3:01)
これでは種子散布の役割を果たしていませんね。(偶々かな?)
最後ヒヨドリは鋭く鳴きながら飛び去りました。
【追記】
映像を見直すと、一羽が採食の合間に排便していました。(ややピンぼけですが左側の個体@1:05)
鳥の糞でよく見る白い液状便ではなく、珍しく黒い固形の便でした。
アングルがあまり良くないのですが、再び脱糞したかもしれません。(@3:05, 3:55)
まさしくヒヨドリによる種子散布の現場を観察できたことになります。
実は初めこの木にヒヨドリだけでなくツグミも来ていたのですが、撮影しようと私が近づいたらツグミは逃げてしまいました。
▼関連記事
落葉した木に集まるヒヨドリとツグミの混群(冬の野鳥)
あるいはヒヨドリが群れで餌場を占有していたのかもしれません。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
この果実の樹種を調べるのに難航しています。
予想が二転三転して現在も調査中です。
撮影中はなんとなくマメガキだろうか?と思いました。
帰ってからは図鑑で少し調べて、エノキかな?と予想を変更。
「エノキの実は甘くてうまい」@『カラスの教科書』p117より
ところが春になって花が咲くと、エノキではなく、桜のような白い花でした。
ズミやエゾノコリンゴですかね?
葉が出るまでもうしばらくお待ち下さい。
次の写真5枚は5月上旬に撮影。
花が白く長枝の葉が中裂しないことから、ズミではなくエゾノコリンゴ(別名ヒロハオオズミ、サンナシ)とようやく判明しました。
次の写真5枚は5月下旬に撮影。
未熟な果実がついていました。