2017年7月中旬・午後18:57〜20:09(日の入り時刻は午後19:01)
ここ数年、定点観察を続けているハクセキレイ(Motacilla alba lugens)の集団塒があるケヤキ並木を久しぶり(約4ヶ月ぶり)に見に来ました。
繁殖期が終わったらハクセキレイは夏の集団塒から居なくなるのかどうか(解散する?)、宿題が残っているのです。
▼関連記事のまとめ
・ハクセキレイ(野鳥)の集団塒:定点観察2017年
・ハクセキレイ(野鳥)の集団塒:定点観察2016年
冒頭に登場するのは、大通り沿いの某店舗の屋上に止まっていたハクセキレイ♂です。
塒入りが始まる前に、辺りによく響く声で鳴いていました。
屋根から飛んで大通り沿いの電線に止まり直しました。(就塒前集合場所に一番乗りの個体)
このように日没が近くなると各自が少しずつ集団塒に合流するのです。
この日の観察でまず意外だったのは、集団塒の位置がなぜか大通りに沿って少しだけ東に移動していたことです。
日没時刻の直前にハクセキレイが集まり始めた電柱は、従来の集団塒の一つである電柱Nの一つ東隣りの電柱Neでした。
カメラをズームインしてみると、背中の黒い♂だけでなく背中が灰色の♀も集まっていました。
繁殖期は♂しかここに塒入りしなかったので(♀は夜も巣に留まり抱卵・抱雛するらしい)、雌雄が集団塒に同居している点も大きな違いです。(性比の偏りが回復した)
やはり繁殖期が終わったとみなして良いでしょう。
恥ずかしながら私は未だハクセキレイの成鳥♀と若鳥の区別があやふやなので、灰色の個体は巣立ったばかりの幼鳥や若鳥である可能性もあります。
(幼鳥は全体にぼやけた灰色で、胸の黒斑が小さいらしい。)
これまでの観察から、「この群れは就塒前集合で、どこか近くにある集団塒にやがて移動するのだろう」と予想しました。
この予測は一部外れることになります。
昨年のハクセキレイは大通り沿いの赤い三角屋根に就塒前集合していたのですけど、今回そこには一羽も集まりませんでした。
しばらくすると、電柱Neのほぼ真下(東側)に植栽されたケヤキ街路樹の茂みに移動を始めました。
多数の個体が一気に飛び込む集団就塒ではなく、五月雨式に飛び込んでいます。
ケヤキの葉が生い茂っているため、外灯に煌々と照らされていてもハクセキレイが樹幹のどこに隠れたのか分からなくなってしまいました。(個体数をカウントできず)
しかし群れの一部の個体は夜になっても電柱Neの中段付近に居残っていました。(少なくとも17羽。なぜか電柱の最上部には不在 少ない。)
電柱を登るための太いボルトに止まっている個体も居ます。
昨年の観察では、春になってケヤキの葉が茂ると電柱よりもケヤキの樹冠に塒入りするようになりました。
樹幹の方が葉に身を隠しやすくて安心なのだろうと当時はすんなり理解したのですが、今回の塒入りでケヤキ並木よりも電柱を選択した個体の存在は謎です。
ケヤキ樹幹の塒が満員状態とは思えませんし、たとえそうであっても、現場はケヤキの並木道なので、他にもケヤキの木は等間隔で立っています。
真夏の寝苦しい夜は、ケヤキ樹冠よりも電柱の塒の方が風通しが良くて涼しかったりするのでしょうか?
ちなみに昨年のハクセキレイが塒入りしていたケヤキ並木は、通りを挟んで反対側の街路樹でした。
私が近くで撮影しているからハクセキレイは警戒してケヤキ樹幹に全個体が塒入りしなかったのだろうか?と考えたりもしました。
しかし、30分ほど現場を離れ戻って来ても、一部のハクセキレイは電柱に居残ったままでした。
日がすっかり沈んで空が真っ暗になると、鳴き声も聞こえなくなり辺りは静かになりました。
電柱Neの塒で未だ起きている個体は尾羽を上下に動かしています。
尾羽も動かさずじっとしている個体は寝静まっているのでしょう。
素人考えでは「電柱の中途半端な高さ(中段付近)よりも最上部で夜を過ごす方が天敵から襲われるリスクが低いのでは?」と心配になりますが、ハクセキレイなりの事情や理由が何かあるのでしょう。
この群れがいつ集団塒を少し東に移動したのか、そして理由も気になります。
何者か(捕食者やヒト)に追い立てられ、危険を感じたのでしょうか?
今季は他の撮影で忙しくて、定点観察の空白期間が生じてしまいました。
昨年の定点観察で、ハクセキレイの塒入りについては大体分かったつもりでいました。(本で得た知識をなぞっただけ)
ところが今回は細かい点で就塒行動に幾つか新展開がありました。
野鳥の生態は本に書いてあるよりも奥が深く一筋縄では掴めない(混沌としている?)、と改めて実感しました。
撮影の合間に測定した気温の変化は、
午後19:17で28.4℃、湿度61%。
午後19:27で28.2℃、湿度64%。
午後20:11で27.9℃、湿度63%。
撮影を終えて帰宅すると、夜からやや強い雨が降り出しました。
夏は気温が高いので、ハクセキレイは夜に雨が降って濡れても気にせず朝まで耐え忍ぶのでしょう。
もしも雨宿りが可能な場所に集団塒を変えるのなら、それはそれで面白い行動です。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。(実際はもっと暗いのですが、ハクセキレイの雌雄を見分けるために彩度を上げました)
つづく→15日後の定点観察
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20:08 pm |
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20:10 pm |
2017年8月中旬・午後19:36
夜の歩道でアブラゼミ(Graptopsaltria nigrofuscata)を2匹見つけました。
右側の一匹は死んで仰向けに転がっています。
発音器官の腹弁が見えるので、♂ですね。
寿命なのでしょう。
左側の個体を手掴みで拾い上げると、ビービー、ジージー♪と鳴き騒ぎ、激しく羽ばたいて暴れました。
このままだと歩行者や自転車に踏み潰されそうなので、近くの街路樹の幹に移してやろうとしました。
ところがアブラゼミ♂はすぐに飛び立ち、また歩道に落下してしまいました。
セミの雑学をまとめたインターネット記事(執筆・監修:Mr. Fox)によると、
死んだセミの簡単な見分け方: セミが道端で死んでいると思い、近づいたらいきなり暴れだして驚いた経験は誰もがお持ちでしょう。いわゆる「セミ爆弾」と言われるこのトラップですが、実は見分け方があります。ひっくり返っているセミの脚が閉じている場合は死んでいる確率が高いので安全で、脚が開いている場合は生きている確率が高く、近寄ると急に暴れることがあるので要注意です。
怪しい出典ですけど、確かに今回路上でひっくり返って死んでいた右側の個体は、脚を閉じていました。
2017年5月中旬・午後18:18〜18:36
▼前回の記事
列車の通過音に驚いて逃げるキジ♂(野鳥)
枯れた葦原に覆われた広大な湿地帯でキジ♂b(Phasianus versicolor)が縄張りをパトロールする合間に、立ち止まってはケンケーン♪と絶叫していました。
毎回鳴き終わると翼を激しく羽ばたかせてドドドド♪と音を立てます。
これをドラミングとか母衣打ちと呼びます。
同一個体をそっと尾行すると、鳴くシーン♪を3回撮ることができました。
撮影には望遠レンズを使いましたが、肉眼で見ると遠いせいかキジは意外に小さな鳥という印象を受けます。
尾羽根が長いだけ?
この日は♀の姿を1羽も見つけられませんでした。
巣で抱卵、抱雛しているのでしょう。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2017年8月中旬・午後17:49
夕方、田園地帯の電柱および前後の電線にムクドリ(Sturnus cineraceus)の群れがびっしり鈴なりに並んでいました。
就塒前集合の先駆けでしょうか。
そこへ一羽のハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)が飛来し、わざわざ近くの電線に止まりました。
ムクドリが鳴き騒ぐ中をハシブトガラスは電線から電線に少し飛んで移動したり、嘴を足元の電線に擦り付けたりしています。
なんとなく、ムクドリを牽制するような動きに感じました。(意地悪なカラスがムクドリに嫌がらせの神経戦を仕掛けて縄張りから追い払いたい?)
しかし、あからさまな攻撃やモビングはしませんでした。
この後、通りかかったスクーターのエンジン音に驚いて、ムクドリの群れはほとんど飛び去りました。(映像無し)
残ったカラスにズームインして、ハシブトであることを確認しました。
ちなみに、日の入り時刻(午後18:34)まで45分も前の出来事でした。
ムクドリが群飛を始めたり集団就塒したりするには未だ早い時間帯です。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2017年6月中旬
川原に生い茂ったススキの穂からホオジロ♂(Emberiza cioide)が少し飛んで、柳の灌木の細い枝先に止まり直しました。
そこでひたすら囀り続けます。
これまで私が(主に山地で)聞き馴染みのあるホオジロ♂の囀りと比べて、この個体はさえずりが少し独特だと感じました。
個体差や方言(地域差)がありそうですが、声紋解析したくてもこの日は川のせせらぎだけでなく風切り音のノイズが耳障りだったため、諦めました。
さえずりの合間に白い糞をポトリと排泄しました。(@1:54)
▼関連記事
オニグルミの樹上で鳴きながら♪脱糞するホオジロ♂(野鳥)
一向に飛び立たないので、最後は引きの絵で状況説明。
2017年8月上旬・午前4:12〜4:50(日の出時刻は午前4:49)
街中にそびえ立つ高圧線鉄塔#30に塒としてムクドリ(Sturnus cineraceus)の大群が賑やかに鳴いているのを前夜に確認しています。(映像公開予定)
この鉄塔に昨年の夏から秋にかけてムクドリの大群が塒入りするのを観察していますが、気紛れなのか、毎日塒として使われるとは限りません。
早朝にムクドリが集団塒から飛び去る(離塒)までの一部始終を撮影するために、夜明け前の深夜から再訪しました。
晴れた夜空にほぼ満月が出ていました。(月齢17.7)
現場で撮影アングルや画角を決めるのが難しく、苦労しました。
前夜にロケハンしたものの、どうしても高圧線や電線が邪魔になってしまいがちです。
個人的には国策として電柱の地中化を早く進めて欲しいのですけど、電柱や高圧線鉄塔を利用している野鳥を観察している身としては、ジレンマもあります。
道端に三脚を立て、鉄塔の東から狙うことにしました。
朝日が昇ると順光になるはずです。
広角レンズが欲しくなりました。
映像の冒頭はほとんど真っ暗で、遠くからムクドリの鳴き声だけが聞こえます。
住宅地でこんなに喧しく一晩中鳴き続けるのでは、確かに近所迷惑ですね。(騒音公害)
白々と夜が明けて次第に明るくなると、高圧線の鉄塔だけでなく、その直下の電柱および電線にもムクドリが鈴なりに群がっていることが分かります。
日の出を待ちかねた個体が、この集団塒内を飛んであちこち移動し始めました。
群れ全体として見ると、鉄塔に居た個体が木の葉落としのように下へ下へ(低い電線に)移動しているようです。
ハシボソガラス(Corvus corone)はムクドリよりも早い時刻に離塒するようで、どこか近くの塒から三々五々と飛来したカラスが高圧線に止まりました。
カラス同士で鳴き交わしていますが、ムクドリの大群に遠慮しているような印象を受けました。(多勢に無勢)
一方ムクドリは、カラスの存在をあまり気にしていないようです。
後半になると、画面右下のケヤキ並木の樹冠に飛び込む個体が続々と増えてきました。
この動きは昨年の夕方にムクドリが塒入りするときに見た群れの運動と似ています。(今回ムクドリはなぜかこのケヤキ並木に塒入りしませんでした。)
しかしケヤキ並木に集まっていた群れが何かに驚いて飛び立ち、近くの電線や鉄塔に避難しました。(@34:43)
(もしかすると、通行人や走行車に対する驚きや警戒ではなくて自発的な衝動に駆られた飛翔行動かもしれません。)
ちなみに撮影地点でときどき測定した気温データは、以下の通りです。
午前4:07 気温22.5℃、湿度70%
午前4:19 気温21.2℃、湿度77%
午前4:44 気温20.2℃、湿度87%
つづく→中編
2017年7月上旬・午前4:28〜4:40 (日の出時刻は午前4:22)
早朝の田園地帯で、1羽の大型の猛禽類αが奇妙な飛び方をして(ヒラヒラとチョウゲンボウみたいな飛び方)道端の電柱(いわゆる普通の高さの電柱)に止まりました。
(映像はここから)
私を警戒してそこから更に飛び立ち、近くの高圧線鉄塔#23に向かいました。
このとき、力強く飛び去る猛禽類が足の鉤爪で何か獲物を掴んで運んでいることに気づきました。
空輸する獲物が重くて、いつものように上手く飛べないのでしょう。
映像冒頭は1/4倍速のスローモーションで始まります。
獲物は自分で狩りをして仕留めた小動物(哺乳類)なのか、それとも夜に車がはねた死骸(ロードキル)を見つけただけなのか、正体不明です。
死肉食ならノスリよりもトビ(Milvus migrans)の可能性が高まります。
私も急いで追いかけると、おそらくノスリ(Buteo japonicus)と思われる猛禽類が高圧線鉄塔#23の鉄骨中段に止まり、足元の獲物を食い千切って捕食していました。
獲物が重くてこれ以上高く運び上げられなかったのかな?
この時点でカメラを上にパンしても、この鉄塔に他の野鳥は止まっていませんでした。
(鉄塔の最上部まで確認していないのが痛恨のミス)
ノスリ?αはキョロキョロと辺りを警戒してから朝食を摂り始めました。
獲物を足で押さえつけながら鋭い嘴で細かく引きちぎり飲み込んでいます。
やがて、どこからともなくピーエ♪という甲高い鳴き声が繰り返し聞こえるようになりました。
食事中のノスリ?αはこの鳴き声を聞いてもあまり気にせずに、獲物を食べ続けます。
鳴き声の主を探して私がカメラを上にパンすると、鉄塔の天辺にもう1羽のノスリβを発見。
私が知らぬ間に飛来したようです。
実はここはノスリのお気に入りの止まり場所なので、通りがかる度に気にして見るようにしています。(ノスリの定点観察)
▼関連記事
・高圧線の鉄塔で羽繕いするノスリ(野鳥)
・高圧線の鉄塔から見張るノスリ(野鳥)
・高圧線の鉄塔で鳴いて♀を呼び寄せるノスリ♂(野鳥)
ピーエ、ピーエ♪という甲高い鳴き声と嘴の動きが一致したので(リップシンクロ)、鳴いていたのはこの個体βで間違いありません。
早朝から縄張り宣言の囀り♪(モーニングコール)でしょうか。
餌乞いの際は違う鳴き方をするような気がします。
鳴いているノスリβはときどき下を見ているのに、獲物をねだったり奪いに行かないのが不思議でなりません。
鉄塔は末広がりの構造なので、天辺から見下ろせば確実に食事中のノスリαの存在に気づくはずです。
この2羽は番の関係なのか、それとも親子なのかな?
その間、鉄骨中段でノスリ?αは黙って小動物を食べ続けています。
ここで私が欲を出して、真横からのアングルを確保しようと少し動いたら、警戒したノスリαに飛んで逃げられてしまいました。(痛恨のミス)
慌てて飛び去る姿をスローモーションで見直すと、今度は足の鉤爪に何も運んでいませんでした。
獲物はもう食べ尽くしてから飛び去ったのでしょう。
実は捕食シーンを撮影した個体αもノスリだと思っているのですが、識別点である翼の下面の模様を確認できていませんし、特徴的な鳴き声も発しませんでした。(例えば、実はトビだったのかもしれません。)
一方、鉄塔の天辺には相変わらずノスリβが残って鳴き続けています。
αが飛び去った方角をちょっと振り返って見ただけです。
私が更にもう少し横にずれると、ノスリβが再び鳴き始めました。
ピーエ、ピーエ♪と寂しげな鳴き声を何度も繰り返しています。
ノスリの捕食シーンを観察したのは、これが二回目です。
次は獲物を狩る瞬間を撮影してみたいものです。
▼関連記事
ノスリの狩り・捕食と飛翔(冬の野鳥)
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。(実際はもう少し薄暗いです。)
【追記】
宮崎学 『野生動物の首をしめるゴミ (かわりゆく環境 日本生き物レポート)』という本(写真集)を読んでいたら、ノスリも動物の死がいを食べることがあると知りました。
ネコの死がいを食べるノスリの生態写真が掲載されていて、
ふだんはノウサギをはじめ、イタチ、リス、野ネズミ、ヘビ、カエルなどを狩って生きている。そのノスリが死んだネコを食べているということは、気位の高いタカとしては不似合いにうつる。 しかし、冬の時期はノスリといえども獲物をとりにくいから、たとえ死んだイヌでもネコでもシカでも、そこにありさえすればごちそうなのである。 (p108より引用)
2017年8月上旬
神社の鎮守の森でハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)がスギの横枝に止まり、辺りの様子をうかがっています。
やがてカーカー♪と澄んだ声で鳴き始めました。
近くにいる別個体と鳴き交わしています。
最後はどこかへ飛び去りました。
2017年7月下旬・午前7:28
某施設の三角屋根の天辺でハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)が3羽集まっていました。
1羽が小枝を嘴に咥えていたので、繁殖期も終わったはずなのに今さら巣材集めするのか?と不審に思いました。
ところが観察を続けると、互いに小枝を奪い合って遊んでいたのです。
三羽烏の内訳が気になります。
幼鳥の群れが遊んでいるのかと思いきや、2羽が1羽に対して餌乞いしたので、1羽は親鳥なのかもしれません。
(口の中の色を見れば成鳥か幼鳥か見分けられるのですが、やや遠い上に逆光気味のため無理でした。)
2羽が小枝を綱引きのように嘴で引っ張り合っています。
左の個体Lがこの遊びに参戦しないで傍観しているのは、成鳥だから落ち着いているのかな?
Lは静止時も嘴を半開きにしたままで、暑さに喘いでいるようです。
小枝の争奪戦で遊んでいた右の幼鳥?2羽が嘴でキスしました。(嘴の先を噛み合う遊び?)
遂にLが参戦して小枝を素早く奪うと、2羽の幼鳥は慌てて飛び退きました。
このとき幼鳥は餌乞い姿勢を取りました。(左右の翼を同時に持ち上げ、甘えた声で鳴いた。)
餌乞いではなく、親鳥に抗議の威嚇(「ひどいよ! 玩具を返してよ!」)なのかもしれません。
右端に居た個体Rが中央の親鳥に「うるさい!」と軽く追い払われ、少し飛ぶと屋根の左端に止まり直しました。
互いに少し離れた3羽がしきりに鳴き交わしています。
子どもの兄弟喧嘩を、親が「いい加減にしなさい!」と軽く叱ったのかな?と想像を逞しくしてしまいます。
親鳥(と思しき個体)はせっかく奪った小枝に執着せずその場に捨てると、右側へ歩き去りました。
続いて、2羽の幼鳥が屋根の左側で何かを採食し始めたようです。
今までの小枝よりも細い何かを嘴で摘み上げました。
これも争奪戦になり、軽い小競り合いになりました。
今回はただの遊びではなく、口移しで給餌しました。
もらった方は、特に餌乞いしなかったのに、兄弟姉妹から何か餌を分けてもらえたことになります。
これは幼鳥同士の「ままごと遊び」なのかもしれません。
最後は相次いで屋根から飛び去りました。
三角屋根の向こうから、ハシブトガラスが鳴き交わす澄んだ声が聞こえてきます。
額は出っ張っているのに嘴は未だ細く、素人目にはハシボソガラスと非常に紛らわしいです。
(もし幼鳥だけを見たら、ハシブトガラスだと見分けられる自信がありません。)
澄んだ鳴き声を聞いてようやくハシブトガラスと確信を得ました。
カラスの行動を見ていると、どうしても誘惑に負けて擬人化した解釈をしてしまいます。
少なくともヒトの幼児並みに知能が高いことは間違いありません。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#30
2017年6月中旬・午後14:55
いつもの撮影ポイントへ向かっていると、ハシボソガラス(Corvus corone)の巣がある高圧線鉄塔#21で一羽のヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis)が居ました。
鉄塔の中段に止まって辺りを見回しています。
ヒヨドリにしてはあまり聞き慣れない鳴き方を始めました。
嘴の動きと鳴き声が一致したので(リップシンクロ)、この個体の鳴き声で間違いありません。
カワラヒワの鳴き声も一緒に聞こえて紛らわしいのですけど、これはヒヨドリが縄張り宣言しているさえずり(囀り)なのですかね?
あまり面白くもない映像を長々と撮り続けたのは理由があって、ハシボソガラスの親鳥が縄張りへ侵入したヒヨドリに気づいたらどんな反応をするのか、興味があったからです。
すごい剣幕でヒヨドリを追い払うでしょうか?
例えばカラスの天敵の猛禽類がハシボソガラスの巣の近くに飛来すると、カラスの親鳥はすごい剣幕で急行し、モビングして縄張りから追い払ってしまいます。
ヒヨドリはカラスの雛を襲う天敵でもありませんし、ニッチもおそらく違うので、カラスの縄張りに侵入しても黙認するでしょうか?
ところがハシボソガラスの番は採餌に出掛けて辺りに不在で、ヒヨドリはカラスの巣の下でひたすら鳴き続けています。
自発的に飛び立つ気配もありません。
私も先を急ぐので、痺れを切らして撮影を打ち切ってしまいました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→#31:巣立ちの近いハシボソガラス雛の冒険(その2)前編【10倍速映像:野鳥】
2017年7月上旬・午前5:17 (日の出時刻は4:22)
カワラバト(=ドバト;Columba livia)が単独で電線にとまり、東を向いて朝日を浴びていました。
胸元の羽毛が構造色(メタリック)で虹色に美しく輝いています。
耳を澄ませると、喉と美しい胸を大きく膨らませて小声でクークー♪鳴いていました。
私は鳩の性別を見分けられないのですけど、これは♂の囀り(さえずり)なんですかね?
近くからカメラに撮られているのを嫌ったようで、すぐに飛んで逃げてしまいました。
2017年6月中旬・午前5:11〜5:15
早朝から民家の屋根にハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)巣立ち雛の群れが集まっていました。
集団塒から出てきて、朝日を浴びた屋根の上で日光浴しているようです。
嘴の中が赤いのがカラスの雛や幼鳥の特徴です。
成鳥になると口の中が黒くなります。
1羽の幼鳥が何気なく屋根を嘴で突くと、残りの2羽が餌か!と勘違いして近寄って来ます。
途中からもう1羽の幼鳥が飛来し、計4羽になりました。(@0:52)
私が幼鳥の群れを撮り続けている間、近くの電線で親鳥が鳴いていました。
腹立たし気に嘴を足元の電線に擦り付けているのは、幼鳥を心配し、私を警戒しているのでしょう。
電線上で向きを変えて鳴いた直後に脱糞しました。(@1:38)
やかましく鳴きながら飛んで常緑樹(ヒバ?)の梢に止まりました。
我が子(幼鳥)に向かって「人間だ! 気をつけろ!」と教えているのかもしれません。
口の中が黒いので成鳥と確認できました。
カメラを右にパンすると屋根の上に居た幼鳥の群れが親鳥の方へほとんど飛び立ちました。
1羽の幼鳥だけが屋根に居残り、呑気に歩き回っています。
樹幹の親鳥が「ほら、早く逃げろ! 逃げろ!」と警戒声を発し続けています。
あまりにうるさいので、再びカメラを親鳥に向けました。
するとガーガー♪切迫した鳴き声を上げながら、こちらに飛んで来ました。
その隙に、屋根の幼鳥は居なくなっていました。
近くの鎮守の森にハシブトガラスの巣や塒があるのではないかと睨んでいるのですが、未だ確かめてはいません。
今回は親鳥が一緒に居たのでハシブトガラスだと分かりましたけど、もし幼鳥を単独で見ていたら、ハシボソガラスと見間違いそうです…。
これまでも誤同定してそう…。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2016年11月下旬
▼前回の記事
里山の急斜面をトラバース遊動するニホンザルの群れ【前編】
急斜面の落葉した雑木林を遊動する野生ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)の群れの中で、突然、小競り合いが勃発しました。
喧嘩の原因がさっぱり分からないのですが、ハッハッハッ♪ キッキー♪など威嚇の鳴き声を発しています。
木に登っていた個体が、後続の個体に対してなぜか急に怯えて騒ぎ出したようにも見えました。
暴力的な乱闘には至らず、2頭は互いにすぐ離れました。
群れが続々と急斜面を横切って行きます(トラバース)。
子猿を腹に抱えた♀が斜面の倒木に腰を下ろしました。
続いて子猿をおんぶした別個体の♀が遊動しています。
やがて、斜面ではなくて尾根を進む個体が増えてきました。
私の存在が猿の群れに知れ渡り、警戒しているのかな?
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2017年6月中旬
街中の公園で外灯の天辺に止まったハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)が頻りに鳴いていました。
喉を膨らませて鳴く声に合わせて、尾羽をヒョコヒョコと上下に動かします。
おそらく、すぐ横の小山の樹上にある巣を守るため、私に対して警戒声を発しているのでしょう。
遂に、鳴きながら横の茂みに飛び込みました。
樹上でも相変わらず切迫した様子で鳴き続けています。
左右の翼を同時に軽く持ち上げる威嚇の姿勢も披露しました。
それでも私がしつこく撮り続けていると、カラスは嘴で枝を折り取る怒りの誇示行動を始めました。
ぴょんぴょん跳ねて木に登ります。
▼関連記事(撮影は4年前)
木の枝を折って威嚇するハシブトガラス【野鳥】
親鳥の剣幕に負けて、巣の位置は確かめていません。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
(カラスが枝を折っていた樹種を調べに行くこと。)
2017年6月上旬
家庭菜園でハクセキレイ♀(Motacilla alba lugens)を見つけました。
土を耕したものの作物は未だ何も生えていない畑を忙しなく走り回って土を啄んでいます。
それだけでなく、ときどき飛び上がって空中を飛んでいる虫を直接捕食しています。
華麗に舞う素早い動きに感嘆しました。
ハイスピード動画に撮れたら面白そうですけど、動きが予測不能なので難しそうです。
(セキレイ科は)しばしば空中でも虫を捕らえる。長い尾はこのときにバランスをとるのに役立つ。 (『色と大きさでわかる野鳥観察図鑑』p135より引用)
捕らえた虫を嘴に貯めていないので、雛に給餌するためではなく自分の食餌なのでしょう。
(未だ繁殖に参加しない若鳥なのかもしれません。)
▼関連記事
雛のために橋で虫を捕食するハクセキレイ♀(野鳥)
畑だけでなく、ときどき横の舗装路にも移動して昆虫を捕食しています。
途中でときどき羽繕いしました。
最後はチュチュチュン♪と鳴きながら民家の向こうへ(田んぼの方へ)飛び去りました。
藤田祐樹『ハトはなぜ首を振って歩くのか(岩波科学ライブラリー)』を読んでいて、ハクセキレイについて意外な事実を知りました。
セキレイ類をしばらく観察していると、たしかに尾羽をピョコピョコと上下に振っている。これはたいへん目立つ行動だ。セキレイのことを英語でワッグテイル(wagtail)というが、ワッグは振るという意味で、テイルは尾である。すなわち、英語ではセキレイは「尾振り」と呼ばれているわけだ。(中略)セキレイは歩くときには尾を振りません。首を振って歩きます。 (p104-105より引用)
実際のところ、セキレイは歩くときには尾を振らない。立ち止まっているときに振るのである。そして、歩くときには、ハトと同じように首を振って歩いている。セキレイはしばらく歩き、立ち止まっては尾を振り、また歩きといった動作を繰り返す。尾を振る印象があまりに強すぎるのと、歩いている途中で頻繁に立ち止まるので、つい歩きながら尾を振ると思ってしまうのだろう。 (p105より)
セグロセキレイを観察し、セキレイの尾振りは、天敵を警戒している時に頻繁に行なわれることを明らかにした。捕食者に対して、自分は気づいていることを伝えるメッセージだというのだ。(中略)ハクセキレイは、採食しているときにより頻繁に尾を振っていたこと、さらに、採食中でも、餌をついばんでいるときよりも、頭をあげて左右をキョロキョロして周囲を警戒しているときのほうが、頻繁に尾を振っていたことがわかったのだ。(p106より)
今回の映像を見直しても、確かにその通りでした。
身近な普通種の鳥の行動を観察するだけでも面白い科学のネタは転がっているのだと感銘を受けた本です。
2017年5月下旬・午前5:50
郊外の住宅地でまた新たにムクドリ(Sturnus cineraceus)の営巣地を見つけました。
早朝から電柱に止まっていたムクドリを何気なく見ていたら、すぐ横の民家の軒先に飛び込みました。
入巣の瞬間を撮り損ねて残念でした。
(映像はここから。)
2F建ての民家の軒下に穴が開いていて、奥の屋根裏に巣を作ったようです。
慌ててカメラを構えると、雛鳥に給餌し終えた親鳥が鳴きながら出巣するシーンを辛うじて撮ることができました。
その後、巣口からときどき顔を出して下界を覗いているのは留守番をしている幼鳥(雛)なのかな?
もう1羽の親鳥が私の存在を警戒して出巣を躊躇っている可能性もありそうです。
民家の東壁が朝日を浴びています。
結局、その個体は巣口から外に出てくることなく奥に引っ込んでしまいました。
なんだかスズメバチの巣口を守る門衛の行動を連想しました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2017年6月上旬・午後18:46(日の入り時刻は18:59)
池畔の桜の樹上でカワセミ♀(Alcedo atthis)を見つけました。
水面に張り出した枝に止まって、甲高い声で繰り返し鳴いていたのです。
魚を探しているのでしょう。
初めは後姿でしたが、横を向いてくれたときに赤い下嘴が見えたので♀と判明。
日没前で薄暗かったのですけど、今までで一番近くからカワセミを撮れて感激しました。
最後は鳴きながら池の方へ飛び去りました。
池に飛び込んではいないと思います。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
鳴き声を声紋解析してみる?
ところで、カワセミが止まり木で首を上下に動かしている動きにも意味があるそうです。
藤田祐樹『ハトはなぜ首を振って歩くのか(岩波科学ライブラリー)』によれば、
カワセミを観察していると、ひょいっと首を上に伸ばして、その後に縮める仕草を見せる。この一連の動作は、いったい何なのだろうか?
実はこれは、光の反射などによって見づらくなっている水中の獲物や天敵を見やすくするための行動である。私たちも、川や池にいる魚を見ようとすると、光の加減で水面が反射してしまい、よく見えないことがある。そんなとき、ちょっと頭の位置を変えてみると、見やすくなることがある。それと同じことを、カワセミは上下に首を振ることで行っているのである。(p101より引用)
2017年5月下旬・午前5:26~5:40
アカマツ樹上でのハシブトガラス営巣記録#6
ハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)親鳥の1羽がアカマツの右下から飛来し、巣の右下の枝に着地しました。
頭を低くして枝葉の陰から私の様子を油断なく伺っています。
結局、入巣せずに左下へ飛び去りました。
繁殖期のハシブトガラスはおそろしく警戒心が強いという印象が一層強まりました。
その間、在巣の雛鳥が餌乞い♪せずにおとなしくしていたのが、不思議というか、よくしつけられていて偉いですね。
しばらくすると、再び親鳥の1羽がアカマツの左下から飛来しました。
先程と同じく一旦、巣の右下の枝に着地して、辺りを警戒しています。
焦った私がうっかりカメラの鏡筒に手をぶつけてしまい、望遠レンズの狙いがずれてしまいました。
その隙に親鳥が抜け目なく入巣しました。
とにかく私に帰巣の瞬間を見られたくない、巣の位置を悟られたくない、という執念のような親心が伺えます。
雛は一斉に伸び上がって餌乞いしたものの、親鳥が給餌したかどうか、枝葉の陰になってよく見えません。
親鳥の尾羽根だけが動いて見えます。
ようやく親鳥が巣に跳び乗り、抱雛を開始。
そのまましつこく撮影していると、在巣の親鳥(♀?)が突然、巣を離れました。
右へ鳴きながら飛び去ったのは、おそらく採餌に出かけたのでしょう。
親鳥が留守の間に少しアカマツに近づいてみました。
雛の頭部だけ巣から見えてる気もするのですが、はっきりしません。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
シリーズ完。
この営巣地での定点観察はこれで打ち切ることにしました。
中途半端ですけど、仕方がありません。
あまりにも親鳥の警戒心が強い上に、アカマツの手前に生い茂った枝葉で巣が巧妙に隠されていて、雛への給餌行動もろくに観察できないからです。
このままでは私も親鳥もストレスが溜まるだけです。
雛が巣立つまで親鳥は更に殺気立ち、雛を守るために通りすがりのヒトに対してもっと攻撃的になることが予想されます。
育雛中のハシブトガラスが相手の撮影は、プロがブラインドを設置して隠し撮りしても至難の業らしいので、私はここで撤退しました。
ハシボソガラスとハシブトガラスの性格の違いはカラス関連の本で読んだ通りでした。
同時並行して定点観察しているもう一つのハシボソガラスの巣の撮影に今後は全力を尽くします。
2017年5月下旬・午前5:13~5:17
アカマツ樹上でのハシブトガラス営巣記録#5
早朝から見に行くと、巣内でハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)の雛鳥が孵っていて、親鳥(おそらく♀)が甲斐甲斐しく世話していました。
手前にある松葉の茂みが邪魔で巣の様子がよく見えず、もどかしいですね。
しばらくすると親鳥♀は巣に座って抱雛します。
急に親鳥♀が立ち上がって飛び立ちました(右へ滑空)。
私がこっそり隠し撮りしていることが遂にバレたようです。
澄んだ声でカァカァと繰り返し鳴きながら私の頭上を左へ横切り、近くの高木に止まりました。
私に対して「そこに居るのは分かってるんだぞ!」という怒りの警告(イエローカード)ですね。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→#6:巣内の雛に給餌するハシブトガラス(野鳥)