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2024/01/21

シロバナヤマフジの花で採餌するクマバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年5月上旬・午後15:20頃・晴れ 

民家の蔓棚で今年も見事に花が咲きました。 
いわゆる普通のフジ(藤)(ノダフジ)の紫の花と一緒に白い花の品種も並んで咲いていました。 
花序が短いので、シロナガフジ(白長藤)ではなくヤマフジの一品種であるシロバナヤマフジ(シラフジ、白藤)のようです。 
ヤマフジとノダフジは蔓の巻く向きが逆向きになるらしいのですが、この蔓棚では成長初期に庭師が人為的かつ強引に蔓の巻き方を変えたのか、不規則でよく分かりませんでした。 

長年の宿題だったキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)の訪花シーンをようやく撮影できました。 
♀との組み合わせは、これが初見になります。 

関連記事(同所で6、7年前の撮影)▶  


同じ藤の仲間でも花の咲く時期が少しずれるのか、今回クマバチ♀は白藤ばかり選んで訪花していました。 
マメ科植物に特有の蝶形花に正当訪花を繰り返し吸蜜するクマバチ♀の後脚をよく見ると、花粉籠は空荷でした。 
あまりにも忙しなく飛び回るので、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:15〜) 

つづく→雄蜂♂の訪花吸蜜【ハイスピード動画】

2024/01/11

セイヨウタンポポの花蜜を吸って飛び去るビロウドツリアブ【ハイスピード動画】

 

2023年5月上旬・午後12:40頃・晴れ 

山麓の山道に咲いたセイヨウタンポポビロウドツリアブ(=ビロードツリアブ;Bombylius major)が訪花していました。 
ともに普通種ですけど、この組み合わせは初見です。 

長い口吻で吸蜜している間も高速で羽ばたき続けていますが、舌状花の花弁に足を掛けているので、ホバリング(停空飛翔)ではありません。 
そのまま次の花へと飛び去りました。 
アイドリングの羽ばたきを止めないのは燃費が悪い気がするのですけど、カロリー収支が赤字にならずやって行けてるのが不思議です。 
訪花中に外敵に襲われたり交尾相手が飛来した際にいつでも素早く飛び立てるように、アイドリングしているのでしょうか。

240-fpsのハイスピード動画撮影を優先したら、高画質のFHD動画に切り替える前に逃げられてしまいました。 
撮影後に頭花の総苞片が反り返っているセイヨウタンポポと確認しました。

2024/01/03

シャクの花蜜を吸うセスジハリバエ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年5月中旬・午後15:45頃・くもり 

ニセアカシアを主体とする河畔林の林床に咲いたシャクの群落でセスジハリバエTachina nupta)が訪花していました。 
風で激しく揺れるシャクの花序にしがみついたまま、口吻を伸縮させて花粉や花蜜を舐めています。 
この白い花を、あやうくドクゼリと間違いそうになったのですけど、同じセリ科でもこの植物はシャクのようです。 

樹々が展葉した林床は薄暗い上に、激しい風揺れに悩まされました。 
虫撮りには最悪の条件です。
ハエ類は敏感なので、私が手でシャクの茎をつまんで揺れないように押さえようとすると逃げてしまいます。 
「シャクに触わるなぁ…。」 

セスジハリバエがシャクの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:51〜) 
スーパースローで見ると、ひどい風揺れも気にならなくなります。 
ところがハイスピードモードに切り替えたら風が収まり、ハエがなかなか飛んでくれなくなりました。 (マーフィーの法則) 
それでも愚直に撮り続けたら、身繕いのシーンが撮れました。 
左右の前脚を互いに擦り合わせています。 
ようやく花序の上で方向転換してから、隣の花序に飛び移りました。
足を伸ばせばなんとか渡り歩ける距離なのに、わざわざ飛んで移動しました。
足場が風で揺れるので、バランスを取るために羽ばたいているのでしょう。

カワラヒワCarduelis sinica)の鳴く声が聞こえますね。

2023/12/31

尾根道で日光浴してから飛ぶ越冬明けのヒオドシチョウ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月中旬・午後12:50頃・晴れ 

里山の尾根道を歩くと、日陰のところどころに残雪が未だ少しありました。 
越冬明けのヒオドシチョウNymphalis xanthomelas japonica)を尾根道で何頭も見かけました。 

尾根道の路肩で落ち葉の上に止まって閉じた翅を小刻みに震わせている個体がいます。 
翅の外縁が激しく破損していて、越冬の厳しさを物語っています。 
翅をパッと全開にしてから飛び去りました。 
気温が未だ低いので、くもっていると飛び立つ前に準備運動が必要だったようです。 


次は日向で翅を全開にして日光浴している個体がいました。 
自発的に飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:58〜) 
尾根道に転がっている丸太の上で翅を開閉しながら日光浴していた個体は、翅がほぼ無傷でした。 
複数個体を撮影。 

関連記事(1、9年前の撮影)▶  

ヒオドシチョウの性別を私は外見から判別できませんが、蝶道を作って侵入者(他のチョウ)を追尾していたことから、おそらく♂が尾根道に縄張りを張っているようです。 
そのシーンは動きが激し過ぎて、動画に撮れませんでした。 

 越冬後は山頂や稜線でよく見られ、♂は見晴らしのよい場所で占有行動をとる。(フィールドガイド『日本のチョウ』p225より引用) 


関連記事(同じ尾根道で同日の撮影)▶ 日光浴してから飛ぶ越冬明けのエルタテハ 


冬の間になまった体に鞭打って尾根道まで登ってきたのは、ギフチョウ類の配偶行動を観察するためでした。
しかし残念ながら、 目当てのギフチョウ、ヒメギフチョウは1頭も見かけませんでした。 
どうやら時期を逃してしまったようです。
今季は春の雪解けが早かったので、もっと早く観察に来るべきでした。

2023/12/21

セイヨウタンポポの花蜜を舐めるセスジハリバエ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年5月上旬・午前11:20頃・晴れ 

山麓の道端に咲いたセイヨウタンポポの群落でセスジハリバエTachina nupta)が訪花していました。 
花の上でクルクルと自ら向きを変えながら、花蜜や花粉を舐めています。 
伸ばした口吻を深く差し込んでいることが分かります。 
花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:06〜) 

この組み合わせは初見です。 
タンポポの総苞片が反り返っていたので、帰化植物のセイヨウタンポポでした。

2023/12/12

ヒラドツツジの花で採餌するコマルハナバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年5月上旬・午後12:25頃・晴れ 

山麓の集落で民家の庭に植栽された躑躅に薄いピンクの花が満開に咲いていました。 
私は庭木に疎いのですが、調べてみるとヒラドツツジ(淡ピンクの花が咲く品種)ですかね? 
名前が長崎の平戸に由来するように、栽培適地は関東以西らしいです。
寒冷地(雪国)の山形県でも冬に「雪囲い」すれば栽培可能になったのでしょうか? 

コマルハナバチBombus ardens)のワーカー♀が複数で忙しなく訪花していました。 
近づいて接写すると、風切り音に混じって蜂の羽音♪がかすかに聞こえます。 
口吻を伸ばして吸蜜する蜂の後脚を見ると、白い花粉団子を花粉籠に付けて運んでいます。 
体毛には白い花粉が付着しています。 
橙色の花粉団子を満載した個体は、何か別の蜜源植物から花粉を集めてきた後と思われます。 

ヒラドツツジの5枚組の花弁のうち、上側に位置する1枚の花弁だけ内側の根元に赤い斑点が散りばめられているのは、送粉者に蜜腺の在処を知らせる蜜標なのでしょう。 
紫外線カメラで撮ると、どう見えるのかな?

晴れているものの春風が吹き荒れる虫撮りには最悪の条件で、じっくりズームインすることが出来ません。 
早々に諦めて、240-fpsのハイスピード動画での撮影に切り替えました。(@1:04〜) 
強風をものともせず採餌に勤しむコマルハナバチ♀をスーパースローで観察するのも面白いです。
訪花中に強風で激しく揺さぶられても、蜂は必死にしがみついています。(@3:46〜) 
激しい風揺れの中、伸ばした口吻の先端で蜜腺を探っています。(@3:18〜) 
ヒラドツツジの花から飛び立ったコマルハナバチ♀が次の花に移ろうとしても、風で激しく揺れる花に着陸失敗するNGシーンが撮れていました。(@2:12〜) 
着地しようとして、雄しべや雌しべの束を掴み損ねています。

2023/12/03

エゾタンポポの花で採餌するセイヨウミツバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月下旬・午後14:30頃・晴れ 

田園地帯の農道に咲いたエゾタンポポの群落でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

帰化植物のセイヨウタンポポが日本中を席巻しているかと思いきや、この地点にはなぜか在来種のタンポポばかりが咲いていました。 
茎は未だ短く、草丈が低いです。 

口吻を伸ばして吸蜜するミツバチの後脚を見ると、花粉籠は未だほとんど空荷でした。 
群落内で隣の頭花へ飛んで次々に移動します。 
胸背部や頭部の体毛にエゾタンポポの黄色い花粉が付着すると、採餌の合間に身繕い。 
タンポポの横に咲いているヒメオドリコソウの花には見向きもしませんでした。 

撮影中は気づかなかったのですが、タンポポの花弁に黒くて微小な昆虫がしがみついています。 
ハナバチ類に寄生するツチハンミョウ(ゲンセイ)の仲間かもしれません。 
マクロレンズを装着して接写しないと正体不明です。 
しかし、訪花中のミツバチに取り付くシーンは撮れていませんでした。 
ミツバチが近づくと飛んで逃げたので違いますね。

セイヨウミツバチ♀がエゾタンポポの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:35〜) 
春風が強く吹いても日差しが強いので、絶好のハイスピード動画撮影日和です。 
強風下で飛ぶのは大変そうです。
次の花に向かって飛びながら、空中で左右の後脚を擦り合わせています。
口吻を伸ばしたまま飛ぶこともありました。 

タンポポの頭花をめくって萼(総苞片)の形状を調べると、在来種のエゾタンポポと判明。 
このシーンだけ70%のスローモーションに加工しました。(@2:12〜2:34)

2023/11/21

セイヨウタンポポの花蜜を吸うツバメシジミ♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月下旬・午後14:40頃・晴れ 

農道の横に咲いたセイヨウタンポポの群落でツバメシジミ♂(Everes argiades hellotia)が訪花していました。 

初めは翅を半開きのまま吸蜜していました。 
やがて翅をときどき開閉するようになりました。 
次はしっかり閉じた翅の後翅を互いに擦り合わせています。 
後翅の尾状突起を触角のように動かす自己擬態の行動です。 

セイヨウタンポポの花からツバメシジミ♂が飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:44〜)

この組み合わせは初見です。 
個人的に、ツバメシジミの成虫をこんな早い時期に見たのも初めてです。 
本種は幼虫で越冬するのだそうです。 
温暖化で羽化が早まっているのでしょうか? 
 

2023/11/15

ハナズオウの花でクマバチ♀が飛び回り採餌【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月下旬・午後15:05頃・晴れ

民家の畑の一角に植栽された落葉灌木に見慣れない赤紫色の花が満開に咲いています。 
落葉したまま若葉は全く出ていないのに、マメ科に特有の豆果が枝に未だ残っています。 
名前を調べてみると、中国原産のハナズオウと知りました。
キムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)がハナズオウに訪花していました。 
マメ科の蝶形花に正当訪花を繰り返し、採餌しています。 
口吻を伸ばして吸蜜するクマバチ♀の後脚を見ると、花粉籠は空荷でした。 
ハナズオウの花粉は少ないのでしょうか。 

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:49〜) 
後半(@4:45〜5:50)に暗転部分がカットされないまま長々と流れるのは、動画編集のうっかりミスです。


関連記事(同所同日の撮影)▶ ハナズオウの花蜜を吸うクマバチ♂

2023/11/14

休耕田の野焼き【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月中旬・午後14:40頃・晴れ 

広大な田園地帯の一角で野火が燃えていました。 
休耕田の中央部に農家の人が灯油を一直線に撒いてから、意図的に火を放ったようです。 
強風に煽られて枯れた草や藁が激しく燃え、着火点(線)から両側に延焼していきます。 
私が子供の頃には田んぼでよく野焼きが行なわれていた記憶があるのですが、久しぶりに見ました。 

激しく燃え盛る火炎の動きを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:15〜)
まるで生き物のような炎に魅せられて、長々と撮影してしまいました。
火のスローモーションはずっと見てられますね。 
黒い燃えカスが熱い上昇気流に乗って舞い上がります。 
強風で火の粉が周囲に飛んで(山)火事の原因になりそうなら119に通報しないと…と心配で見守りましたが、広大な田園地帯の真ん中なので近くには人家もありません。 

枯草が素早く燃え尽きた焼け跡には黒々とした灰が残り、そのまま田んぼの肥灰こえはいとなります。 
野焼きしなければ、枯れ草を刈り取って土に漉き込む作業が面倒になるのでしょう。
風が強い日だったので、野放図に延焼するのではないかと心配でしたが、無事に自然鎮火して一安心。 
野焼きを見張るヒトが誰もおらず、消火器や水を用意してないのは、素人目にも危なっかしく写りました。 
そもそも野焼きは無風の日を選んでやるべきでしょう。

近年の異常気象で雨不足の夏に頻発する山火事は、人間社会に甚大な被害をもたらす悪(天災・人災)とされています。
しかし落雷などで自然発生する山火事は、自然の摂理でもあります。 
定期的に火入れをする原始的な焼畑農業も自然破壊どころか、(ある条件下では)むしろ持続可能だったりします。

山火事による撹乱の生態学はなかなか面白いテーマです。 
今回は地表の枯れ草だけがさっと燃えたので、地中に埋没した種子に高温は伝わっていないはずです。 
野焼きの後にどんな先駆パイオニア植物が生えてくるか植生の遷移を調べたかったのですが、この区画は後に水稲栽培の水田になっていました。 
草灰の肥灰だけでは充分ではないので、化学肥料も投入したはずです。
この区画は後にヨシ原が再生しました。
ガマセイタカアワダチソウも混じって生えました。
ヨシ、ガマなどは湿地に生える抽水植物です。
休耕田だと思ったのは私の勘違いで、田んぼの隣の区画にある小さな湿地帯(湿原)でした。
(水田の端にヨシ原が残されています。)

【参考】
新山恒雄『休耕田で群落遷移を追う』(『現代生態学とその周辺』p284〜291に収録)


藤井一至『大地の五億年:せめぎあう土と生き物たち』は近年稀に見るエキサイティングな名著(ベストセラー)です。
第3章に「酸性土壌と生きるには」と題した一節があり、野焼きや焼畑を科学的に解説していました。
特に勉強になった記述を抜書しておきます。

草木灰はカルシウムやカリウムなどのアルカリ成分を含み、土の酸性物質を中和する中和剤となる。焼畑農業は、ヒトの酸性土壌への適応術ともいえる。
 草木灰は即効性のある中和剤だが、雨に溶けて流されやすいため、有効期間は短い。

人口に対して広い森林さえあれば、焼き畑は持続的な伝統農業である。(中略)焼畑農業が時に環境破壊となる問題の本質は、人口増加である。その土地が持つ焼畑による人工扶養力を超えてしまうのだ。

 焼畑農業そのものは、酸性土壌へのヒトの適応戦略として、生態学的にも理にかなった仕組みである。しかし、どんな農業にもルールがあり、扶養できる人口には限界がある。


関連して、アンドルー・C・スコット『山火事と地球の進化』という本も出ているようです。


春の強風のせいで私が立っているだけでも体勢がぐらついてしまい、手持ちカメラによる撮影では手ブレが生じてしまいます。 
野火があっという間に燃え広がったので、三脚を使う余裕がありませんでした。 
動画編集時に手ブレ補正処理したらだいぶ改善しました。
次に機会があれば、野火が燃え広がる様子を引きの絵の定点で微速度撮影するのも面白そうです。


【追記】
2024年4月22日のNHK山形放送局「山形県のニュース」によると、
産業廃棄物処理法では、野外で廃棄物を燃やすことは原則、禁止されていますが、県は「農業などやむを得ない場合は、事前に消防署に届け出を行い、消火用の水が入ったバケツなどを準備してほしい」としています。

その上で、県は、強風や空気の乾燥時にたき火や野焼きをしないこと、枯れ草の近くなど火災が起こりやすい場所ではたき火をしないことを呼びかけています。

また、たき火などをするときは、その場を離れずに完全に火を消すことなど、火の取り扱いに十分注意するよう呼びかけています。




↑【おまけの動画】
"Why Only Earth Has Fire" by PBS Eons 
火が存在することが知られている惑星は宇宙の中で地球だけです。
生命(シアノバクテリア)の誕生によって初めて地球上で火が燃えるようになり、その後は山火事に適応した陸上生物(特に植物)の進化が始まった、という実に見事なストーリー建てのプレゼンです。


2023/11/09

オオイヌノフグリの花蜜を吸うルリシジミ♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月中旬・午前11:45頃・晴れ 

川沿いの土手に咲いたオオイヌノフグリの群落でルリシジミ♂(Celastrina argiolus)が訪花していました。 
翅をしっかり閉じたまま口吻を伸ばして吸蜜しています。 
春風に煽られても、花にしっかりしがみついて吸蜜を続けます。 
とにかく風が強くて、通常の虫撮りには不向きな条件でした。 

花から花へ飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:44〜) 
羽ばたく際に翅表がようやく見えて、♂と判明しました。 
スーパースローにすれば、風揺れも気にならなくなります。 
日差しが強く、ハイスピード動画に適した撮影日和でした。 

※ 前半に流れていた選挙カーの騒音を無音にするのも不自然なので、後半の音声(自然音)と入れ替えました。


田中肇『昆虫の集まる花ハンドブック』でオオイヌノフグリについて調べると、メインの送粉者はハナアブ類なのだそうです。
花はアブが活動できる15℃になると、満開になる。(p74より引用)
ハナアブ類の名前を調べるのが億劫で、どうしても撮影を後回しにしてしまいます。

 

2023/10/31

飛べ!カメノコテントウ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月中旬・午後13:10頃・晴れ

ノイバラなどの下草が生え始めた春の川岸で、カメノコテントウAiolocaria hexaspilota)がせかせかと歩き回っていました。 
前胸部右側の白い部分に、自分が分泌した赤い体液が付着した個体でした。 
少しでも高い場所によじ登り、足場が良ければ、翅をパカッと開げて飛び立ちます。 
しかしなぜか飛行が下手糞で、遠くまで飛べずにすぐ地面に落ちてしまいます。 
それでもめげずに何度も離陸を繰り返していました。 

飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:26〜) 
離陸直後に隣の葉に翅が接触して、地表に墜落することもありました。 

関連記事(12年前の撮影:220fps)▶ カメノコテントウの飛び立ち(ハイスピード動画)
カメノコテントウは成虫で集団越冬します。 
越冬明けのカメノコテントウがどうしてここに居たのでしょう?
不思議に思って辺りを見回すと、すぐ近くにオニグルミの木が自生していて、若葉が開き始めていました。 
肉食性のカメノコテントウはクルミハムシの幼虫が大好物ですから、納得しました。

2023/10/25

春の池で水面を高速遊泳するミズスマシの群れ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月上旬・午後14:20頃・晴れ 

里山の池でヤマアカガエル卵塊の定点観察に来たら、小さい方の池でミズスマシの仲間が水面をくるくると高速遊泳していました。 
越冬明けの成虫が春の池で活動を始めたのでしょう。
水生昆虫に疎い私は、生きたミズスマシを見るのが生まれて初めてで、感激しました。 
(子供の頃に見ているかもしれませんが、記憶にありません。) 
山からの雪解け水が溜まるこの池には、前年に生えたガマの群落が枯れたまま残っています。 
この池は完全な止水ではなく、やや流れがあります。 
隣りにある大きな池からチョロチョロと水が流れ込んでいるのです。 

ミズスマシは水面を滑らかに回ったり八の字を描いたり蛇行したり、休み無く高速で遊泳しています。 
多数のミズスマシが水面で群れる性質があるらしいのですが、この池では2〜3匹しか居ませんでした。
水面で2匹のミズスマシがたまにニアミスしたときに何が起きているのか気になったので、240-fpsのハイスピード動画に切り替えてみました。(@4:35〜) 
仲間を獲物と誤認してしまうのでしょうか? 
それとも水面に自分の縄張りがあるのかな?(縄張り争い)

スーパースローで見ると、スクリューの回転のような持続的な推進力ではなく、ミズスマシの泳ぎは足で掻いて断続的に進んでいるようです。 
右回りから左回りに移行する際に8の字を描きます。

たまに爆発的にダッシュすることがあり、大きな波紋が広がります。 
しかし水面の獲物を目がけて突進する訳ではなく、目的が分かりません。 
獲物(候補)を探査するために意図的に波紋を出しているのですかね? 
潜水艦がソナーでピン音(ping)を打つ様とか、コウモリのエコロケーションを連想しました。 

池の底では黒いオタマジャクシ(ヤマアカガエルの幼生)がときどき身をくねらせて泳いでいます。 
しかし水面のミズスマシは水中に潜ってオタマジャクシを狩ることはありませんでした。 
次は捕食シーンを観察してみたいものです。 
今回は現場で手頃な生き餌を調達できませんでしたが、適当なゴミや虫を水面に落とすとミズスマシは反応するでしょうか? 
捕食中は遊泳を止めて獲物に群がるのかな? 

小さな泡やゴミ(浮遊物)が水面をゆっくり流れてくると、ミズスマシは興味を示して近づいてきます。
しかし獲物ではないと知ると、離れて行きました。


2匹のミズスマシが水面でニアミスしても激しい喧嘩や共食いにはならず、すぐに離れました。 
ニアミスする直前にピンを打っている(大きな波紋を立てている)ような気もしますが、定かではありません。
そもそも自分の出したピンが反射した波紋と相手の発したピンを区別できるのでしょうか?

 ヤマケイポケットガイド18『水辺の昆虫』に載っていたオオミズスマシの解説によると、
中・後ろあしをスクリューのように回転させて、ぐるぐる回るように泳ぐ。ぐるぐる回っているのはえさを捕まえるためと、上空の鳥と水中の魚から身を守るため。 前あしは遊泳用ではなく、水草につかまるために発達した。 
越冬形態:成虫  
ぐるぐる回ってできる波で、獲物や障害物の位置を知ることができる。

 ミズスマシの仲間は、水面の位置を堺にして複眼が上下に分かれている。この上下2対の目で、水中と空中とを同時に見ることができる。(p266-267より引用)


遊泳中にミズスマシはお尻から オナラのように泡を出して、それを腹端に付けたまま泳ぎ回っています。

泳ぐ際に水の抵抗で邪魔になりそうですけど、水中の酸素とガス交換しているのかな? 


※ 動画の順番を適当に入れ替えました。
動画ばかり夢中で撮ってしまい、同定用のストロボ写真を撮り忘れてしまいました。
高速旋回するミズスマシにきちんとピントを合わせるのは至難の業です。
ミズスマシをしっかり同定するには、網を持参して採集する必要がありそうです。

後半のハイスピード動画が長過ぎて冗長(退屈)かもしれません。 
初めての観察で嬉しくなった私は長撮りを繰り返したものの、編集でカットするには惜しくなってしまいました。 
面白いシーンはなるべく前半にお見せするように編集しました。 
ミズスマシが水面に描く軌跡をトレースしたら、各個体の縄張りが見えてくるかもしれません。 

2023/10/15

越冬明けの早春に求愛するキタテハ♂と交尾拒否する♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年3月下旬・午前11:40頃・晴れ 

川沿いの枯れ草に覆われた土手に越冬明けのキタテハPolygonia c-aureum)秋型が止まり、翅を開閉しながら日光浴していました。 
やがて自発的に飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:09〜) 
フィールドで見かけるキタテハの性別を私は自信を持って見分けられません。 
この個体はなんとなく、縄張りを張る♂が、飛来したライバル♂を追い払いに行ったように見えました。 
あるいは♂が♀を待ち伏せしていて、飛来した♀を追いかけて飛び立ったのかもしれません。 

『フィールドガイド日本のチョウ』という図鑑でキタテハ♀♂の識別法を調べると、
キタテハ:秋形では♀の(翅:しぐま註)裏の外縁は一様に濃褐色で、♂では淡黄色を帯びる。(p223より引用)
しかし翅裏に正対して見ないと、太陽光の角度によって色の濃淡は変わって見えます。 
翅裏を斜めからしか撮れていない動画で性別を見分けるのは難しいのです。

辺りを探すと、堤防路の道端で枯れた落ち葉の上に2頭のキタテハ♀♂が並んで止まっていました。 
♀は翅をしっかり閉じたまま、じっとしています。 
一方、♂は斜め後ろから頭部を♀の翅裏に密着させ、翅を半開きにしました。 
これがキタテハ♂の求愛行動なのでしょうか? 
♂の触角は♀の翅裏に触れています。 
もしかすると♀の性フェロモンの匂いを嗅いだり体に直に触れたりして、同種の♀であることを確認しているのかな? 

キタテハの求愛行動をじっくり記録するために、私は240-fpsのハイスピード動画に切り替えました。(@0:48〜1:46) 
♂は前脚で頻りに♀の翅裏に触れています。 
翅を広げた♂は日光浴しているようです。 
交尾に備えて体温を上げているのでしょうか。 
春風が吹くと、キタテハ♂の翅が煽られます。 
キタテハ♀が翅を閉じたままなのが交尾拒否の意思表示なのでしょう。 
シロチョウ科の交尾拒否行動とは全く異なります。 
しばらくするとキタテハ♂は紳士的に諦めて飛び去りました。(@1:25〜) 
翅をしっかり閉じた♀は全く無反応で、反射的に♂につられて飛び立つこともありませんでした。 
煩わしい♂から解放されてしばらくすると、ようやく♀も身動きするようになり、自発的に飛び立ちました。(@1:37〜) 
低空で羽ばたき、前方に飛び去りました。 

キタテハ♀の交尾拒否行動を観察できたのはこれが2回目です。
関連記事(9年前の撮影:6月下旬)▶ キタテハの交尾拒否 
どうやら♀が翅を固く閉じたままなので、♂は腹端の交尾器を連結できないでいるようです。 (交尾に成功すれば互いに逆向きに連結するはずです。) 
これがキタテハ♀の交尾拒否行動なのでしょう。 
やがて諦めた♂は飛び去りました。 

堤防路の少し離れた地点でも同様のシーンが繰り広げられていました。(@1:48〜) 
地上に2頭のキタテハ♀♂が並んで止まっています。 
さっきと同一の♀♂ペアなのか別個体なのか不明です。 
枯れ葉の上で翅を閉じていると、翅裏は枯葉のように地味なため、見事な保護色で見つけにくくなっています。 

今回も♀♂ペアは共に翅をしっかり閉じています。 
高画質のFHD動画で交尾拒否行動を記録しました。
♀の閉じた翅裏に対して♂が正対してアプローチするのがキタテハ♂の求愛の流儀なのでしょう。 
体の向きは互いに直交しています。 
♂は頭部や触角を♀の翅裏にぐいぐい押し付けながら、♀の背後に回り込んでマウントしようと試みます。 
しかし♀が翅を閉じたままなので、腹端がしっかり隠されていて交尾器を結合できません。 
この間に♂が翅を少し開閉しました。 
これが求愛の儀式的な行動なのかどうか、定かではありません。 
♀の背後で♂が翅を広げて美しい翅表を見せつけたところで、♀には見えない気がします。 
♀の閉じた翅を♂が手足を使ってこじ開けることは出来ず、♂は交尾を諦めて飛び去りました。 
♀に交尾拒否された♂が飛び去る様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:06〜) 

キタテハの翅裏は地味なので、地上で翅を閉じたままだと周囲の枯葉や落葉に完全に紛れています(隠蔽擬態、保護色)。 
翅の外縁の不規則なギザギザ(鋸歯)も隠蔽効果を高めています。 
地上で翅を閉じたまま静止している同種♀を♂はどうやって探し出すのでしょうか? 
今回のケースでは♂の求愛を拒否したので、地上の♀が性フェロモンを放出して♂を誘引しているとは思えません。 
(♂を誘引した上で、求愛しに来た♂を♀が品定めしている可能性は残ります。)
可視光しか見えないヒトとは違って昆虫の視覚は紫外線のスペクトルでも見えているので、もしかすると紫外線の下では♀の姿がよく目立つのかもしれません。 
紫外線カメラでキタテハを撮影し、確かめてみたいものです。 


採集したキタテハ♀の標本(死骸)を野外に放置したら、♂が求愛に来て交尾を試みるのかどうか、実験してみるのも面白そうです。 
♂の標本に対してはどんな反応をするでしょうか? 
同性に誤認求愛するでしょうか?
もしも近縁種シータテハ♀の標本を使うと、キタテハ♂はしっかり異種だと見分けられるでしょうか?
異種に誤認求愛するかな?
(ヒトが翅裏を見ただけでシータテハとキタテハを見分けるのは、蝶に詳しいマニアでなければ難易度が高いです。)

地上で休んでいるキタテハ♀を♂が目敏く見つけて横に舞い降りたとは限りません。
♂の縄張り内に飛来した♀を追尾して乱舞になり、一緒に着陸したのではないかと思います。 
この過程はあまりにも動きが激し過ぎて、しっかり観察・撮影できていません。(見失いがち)

交尾済みの♀にとって、♂のしつこい求愛(セクハラ)は煩わしいだけです。 
キタテハでは交尾拒否の決定権が♀にあり、♂が♀の意志に反してむりやり交尾することは物理的に不可能です。 
交尾拒否された♂はあっさりと紳士的に諦め、次の♀を探しに行きます。 
キタテハで求愛が成就して交尾に至る例を私は未だ一度も観察できていません。 
♀が翅を開いて♂を受け入れれば互いに逆向きで連結するはずですが、そもそも交尾中のキタテハ♀♂も未見です。
かなり古い本ですけど、保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIIチョウ編』(1972)を紐解いてキタテハの配偶行動について調べると、
秋型の交尾は一般に越冬後に行なわれるが、9月に交尾した記録もある。(p228より引用)

独りになった♀はようやく翅を開くようになりました。(@3:01〜) 
後翅外縁部の損傷が激しい個体で、越冬の厳しさを物語っています。 
最初に観察した♀とは別個体であることが判明しました。 
日光浴で体温を上げると、自発的に飛び立ちました。(@3:28〜) 
そのまま低空で飛び続け、オオイヌノフグリの花が咲き乱れる土手を下りて行きました。 


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