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2016/12/04

ノリウツギの花に群がるキタテハとコアオハナムグリ



2016年8月下旬

用水路沿いに生えたノリウツギの灌木で多数のコアオハナムグリGametis jucunda)と一頭のキタテハPolygonia c-aureum)夏型が訪花していました。
キタテハは日向でも日陰でも翅を開閉しながら吸蜜しています。
コアオハナムグリとニアミスしても気にしません。
ときどきコアオハナムグリの新たな個体が花に飛来します。



2016/10/29

センノキカミキリ♂の擬死落下



2016年7月下旬

峠道の法面を補強するコンクリートの土留にセンノキカミキリ♂(Acalolepta luxuriosa luxuriosa)を見つけました。
垂直な壁に横向きで止まっていました。
長い触角をわずかに動かし、大顎を開閉し、足踏みしています。
手掴みで捕まえようとしたらポロリと落ちました。(擬死落下)

どうしてこんな所にいるのかと不思議でしたが、後で思うと寄主植物のタラノキ灌木がコンクリート壁のすぐ上に何本も生えていました。




この辺りで♀♂両方見つけたことになります。

▼関連記事
センノキカミキリ♀を見つけた!(身繕い、徘徊、飛び立ち)
捕獲すると液体を吐き戻すセンノキカミキリ♀

2016/10/12

アカショウマの花とセマダラコガネ



2016年7月中旬・午後17:18

峠道の横の斜面に咲いたアカショウマの群落でセマダラコガネExomala orientalis)が訪花していました。
白い花穂に潜り込んで、おそらく花粉や花蜜を食べているのでしょう。
しかし、あまり動きがなくて面白くありません。
夕刻は不活発なのでしょうか。
このまま花上で夜を過ごす(寝る)つもりだったのかもしれません。

警戒すると後脚を持ち上げます。

一時採集して手のひらに乗せ、飛び立ちをハイスピード動画に記録しようと長撮りを繰り返したのですけど、身繕いしたり触角を開閉したりするばかりで一向に飛んでくれませんでした。(映像無し)
夕方はもう飛ばないのかな?



2016/10/10

タチアオイの花蜜を吸うコアオハナムグリ赤銅型



2016年7月中旬

民家の庭の花壇に咲いたタチアオイ※の花に赤銅型のコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。
花粉には興味を示さず、花の奥に潜り込んで蜜腺を一心不乱に舐めているようです。
タチアオイは白い花弁がフリル状になっている品種でした。

そのままでは甲虫の種類を見分けられなかったので、一時的に採集して手乗りさせました。
するとすぐに私の掌から飛び去りました。
映像の後半は飛び立ちの瞬間を更に1/4倍速のスローモーションでリプレイ。
スロー再生すると、鞘翅を閉じたまま後翅だけを広げて飛んでいることがよく分かります。(ハナムグリ類の飛翔の特徴)

※ wikipediaに掲載された最初の写真がタチアオイの花ではなく、なぜかゼニアオイになっているので要注意。
写真の修正法が分からなかったので、誰か訂正・編集して下さい。


手乗りコアオハナムグリ

2016/10/06

セマダラコガネを狩り肉団子を作るコガタスズメバチ♀



2016年7月上旬・午後18:37

堤防の土手に咲いたネムノキの灌木にコガタスズメバチVespa analis insularis)のワーカー♀が訪花していました。
花蜜が目当てではなく、獲物を探して飛び回っています。
未だ明るいのに、ネムノキの葉が閉じかけています。

蜂が花の陰で何か獲物を捕らえました。
近くに生えたススキの群落に飛んで移動し、枯れ茎にぶら下がると、獲物を解体して肉団子を作り始めました。
コガタスズメバチ♀は左後脚の跗節を引っ掛けただけで器用にぶら下がっています。
獲物はおそらくセマダラコガネExomala orientalis)だと思います。

▼関連記事
ウツギの花で食事するセマダラコガネ
獲物の翅を毟り取って捨て、邪魔な脚も切り落としているようです。
セマダラコガネの筋肉を噛みほぐして肉団子が出来上がりましたが、かなり粗挽きの挽肉です。
コガタスズメバチはこれを咥えて巣に向かって飛び去りました。



2016/10/02

クリの花で食餌するマメコガネ同士が威嚇牽制



2016年7月上旬

峠道の横に生えたクリの灌木で2匹のマメコガネPopillia japonica)が訪花していました。
なぜか枯れかけ(終わりかけ)の花に集まって、花蜜や花粉を食べているようです。
互いに近接しているので、初めは交尾中なのかと思いました。
(直前までマウントしていたのかも?)
互いに牽制するために後脚を大きく広げました。
片足ずつゆっくり伸ばすことが多いようです。
餌場での個体間距離を調節しているのでしょう。
直接的に相手を強く蹴る攻撃は見られませんでした。(おそらく、やらないのでは?)
私がカメラを近づけた時も同じポーズで威嚇しました。

これはマメコガネではよく知られた行動です。

人が近づいたり植物が揺れたりすると後脚を斜めに挙げる動作をとる。(wikipediaより)


2016/09/23

メマツヨイグサの花で食餌するマメコガネ



2016年7月上旬

郊外の道端の原っぱでマメコガネPopillia japonica)がメマツヨイグサを訪花していました。
咲いた花の一つに潜り込むと、食事に夢中でもう出て来なくなりました。



2016/09/18

捕獲すると液体を吐き戻すセンノキカミキリ♀



2016年6月下旬

▼前回の記事
センノキカミキリ♀を見つけた!(身繕い、徘徊、飛び立ち)

山間部の道端の草むらで見つけたセンノキカミキリ♀(Acalolepta luxuriosa luxuriosa)を手掴みで一時捕獲してみました。
驚いて擬死落下するかと思いきや、あっさり御用。
掴まったセンノキカミキリ♀は、暴れながら褐色の液体(消化液?)を口から吐き戻しました。
泥水のような水滴が口元でみるみる大きくなります。
揮発性の強い悪臭はしませんでしたけど、捕食者が口にすると苦かったりたじろがせたりする効果が多少はあるのかもしれません。

また、暴れながらキーキー♪鳴いて威嚇したのですけど、周波数が高過ぎたのか動画には録音されていませんでした。
私の掴み方がまずくて発音器を上手く動かせなかったのかな?

最後に解放してやると路上を慌てて逃げ出し(意外に俊足!)、途中で飛びました。
しかし短い距離しか飛べず、路肩の枯れ葉の上に着陸。

吐き戻した液体が私の手に少し付着したのですが、悪臭かどうか匂ってみるのを忘れました。


▼関連記事(吐き戻し液は醤油のような褐色でした)
捕獲すると液体を吐き戻すキボシカミキリ♂


2016/09/17

センノキカミキリ♀を見つけた!(身繕い、徘徊、飛び立ち)



2016年6月下旬

センノキカミキリ♀(Acalolepta luxuriosa luxuriosa)だと思います。
ホストのタラノキも近くに沢山生えていました。
1ヶ月後に、ほぼ同じ場所で触角の長い♂も見つけました。(映像公開予定)

峠道で飛来したカミキリムシが道端の雑草の葉に止まりました。
顔を正面から撮っても逃げません。
身繕いを始めました。
その後は葉から降りて徘徊開始。
背の低い雑草のてっぺんに苦労してよじ登りましたが、足場が不安定なためか離陸に失敗。
飛び立たってもすぐに墜落しました。
捕獲して私の指先から飛び立たせました。
最後は1/4倍速のスローモーションで飛び立ちをリプレイ。

つづく→捕獲すると液体を吐き戻すセンノキカミキリ♀


2016/08/26

トウネズミモチの花で食餌するシロテンハナムグリ



2016年6月下旬

農道脇に植栽されたトウネズミモチの生垣でシロテンハナムグリProtaetia orientalis submarumorea)が訪花していました。
花に潜り込んで花蜜や花粉を食べています。
葉に落ちた花(散った花の花弁そのものではなく花粉?)を食べている個体もいました。

複数個体を撮影。
葉を透かして葉脈がくっきり見えることがトウネズミモチの特徴です。(ネズミモチだと、主脈だけ透けて見えるものの側脈は見えないらしい。)



2016/08/08

イタドリの葉で揺籃を作るドロハマキチョッキリ♀



2016年6月上旬

麓に近い山間部の道端に生えたイタドリの群落で、特徴的な作りかけの揺籃を見つけました。
立ち止まってよく探すと案の定、小さなドロハマキチョッキリ♀(Byctiscus (Byctiscus) puberulus)を発見。
今回も♀の近くに♂の姿はありませんでした。
複数枚の葉を材料に細長い葉巻状の揺籃を作っています。
揺籃の位置は、葉柄に噛み傷を入れた折れ目から地上までの高さを測ると113cmでした。
少し離れたイタドリの株にも、おそらく同一個体の♀が作ったと思われる揺籃の完成品が吊り下げられて風に揺れていました。
道の左右はスギと雑木林の混合林です。
夕暮れ時ということもあり、かなり薄暗くて自然光で撮影するには厳しい条件でした。
仕方なくビデオカメラ内蔵の補助照明(白色LED)を点灯しながら撮りました。
その結果、美しい緑色のメタリックな構造色がどうしても不自然な色に写ってしまいます。
眩しい照明を嫌ってか、ドロハマキチョッキリ♀は揺籃の裏側に回り込んでしまいました。
自然な行動を記録するには、警戒されないように赤外線の暗視カメラで撮るべきだったかもしれません。
巻きかけの揺籃の中に潜んでいた♀をしつこく探すと、外に出て来ました。

葉が萎れるのを待つ間に次に揺籃へ追加する葉を物色しているのか、それとも揺籃を作っている間にお腹が空いた♀が食事をするのか?とあれこれ想像しながら見ていました。
天敵対策のために、待機中は揺籃から少し離れるのかな?
もし作りかけの揺籃に産卵済みなら、托卵や寄生を恐れて♀は揺籃をガードする気がします。

揺籃を離れて葉柄から茎を伝い、隣の葉へ移動しました。
最後は葉の縁から回り込んで裏側へ隠れてしまいました。
やはり眩しい光を嫌ったのかな?
しばらくすると、隣の葉に居た♀が、茎を下ってまた揺籃へ戻って来ました。

揺籃作製中のドロハマキチョッキリ♀を観察するのはこれで2回目です。
しかし残念ながら今回も時間に余裕がなくて全貌を掴めず、断片的でよく分からない記録になってしまいました。
もしかすると飼育下での観察に挑戦した方が早道かもしれません。

暗くなる前に下山しなければいけないので、泣く泣く観察を打ち切りました。
夜になるとドロハマキチョッキリ♀は作りかけの揺籃内に隠れて休むのでしょうか?
それとも夜通し揺籃を作り続けるのかな?



2016/08/06

飛べ!ドロハマキチョッキリ【HD動画&ハイスピード動画】



2016年6月上旬

コブオトシブミ♀が揺籃を作っている現場でお邪魔虫だったドロハマキチョッキリByctiscus puberulus)が短距離の飛翔を繰り返して離れて行きます。
木の葉や草から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で繰り返し撮ってみました。



2016/08/05

コブオトシブミ♀の交尾拒否と脱糞



2016年6月上旬
▼前回の記事
コブオトシブミ♀が揺籃作りに失敗

コブオトシブミ♀(Phymatapoderus latipennis)は作りかけの揺籃(失敗作)を放棄したまま隣のアカソの葉へ移動してしまいました。
相変わらず♂が♀にマウントしたままなので交尾シーンを接写しようと試みたものの、風で葉が揺れるので撮り難くて仕方がありません。
そこで裏技として、カップルが乗ったアカソの葉を慎重にナイフで切り落とし、路上にそっと置きました。
初め♀♂は擬死状態(死んだふり)のようにじっとしていました。
(映像はここから。)
横からじっくり接写すると交尾器を結合していなかったので、♂の行動はライバル♂から配偶者♀を守るための交尾後ガードなのでしょう。
やがて♀が立ち上がり、動き始めました。(@0:14)
マウントしていた♂が慌てて体を左右に揺すったのは、♀に宥めの信号を送ってるのかもしれません。

♀は交尾を嫌がって立ち止まったまま体を激しく揺すり、交尾器を伸ばした♂を振り落とそうとしています。
♂はまるでロデオのように必死で♀にしがみついています(じゃじゃ馬馴らし)。
とても滑稽なシーンで、接写しながら笑いそうになりました。
♀は頭を下げ逆立ちすると後脚で♂を蹴落とそうとするも、脚が届きません。
遂に♀は抗議の脱糞をしました。
細長くて黒っぽい糞を排泄すると、自ら足で払い落としました。
♀は生殖口の直前に排泄口があるようです。

そのうち交尾器の結合が外れてしまいました。
♂は再チャレンジするも、♀がまたポロリと脱糞しました。(@3:39)
♀が向きを変え、背面からのアングルになりました。
そのおかげで、上翅中央付近に一対の瘤があることがよく見えます。
最後、コブオトシブミ♀はアカソの葉先から降りると、しつこい♂を背負ったまま路上を逃げ始めました。

コブオトシブミ♀は交尾相手を選り好み(配偶者選択)しているのでしょうか?

初めに♀がアカソの葉に低く伏せていたのも、交尾に非協力的な拒否行動だったのかもしれません。

私の頭の中では山口百惠がドスの効いた声で歌う「プレイバックPart2」が流れていました。

「気分次第で抱くだけ抱いて女はいつも待ってるなんて 坊や いったい何を教わって来たの 私だって 私だって 疲れるわ」

ところで、オトシブミやチョッキリの♂はどうやって交尾相手の♀を探し当てるのですかね?
♀が性フェロモンを放出しながら揺籃を作るのでしょうか?
それとも♀が揺籃を作り始めると傷つけられたホスト植物から独特の匂いが発せられ、それを頼りに♂が集まるのかな?


コブオトシブミ♀♂の交尾
コブオトシブミ♀の交尾拒否と脱糞

2016/08/04

コブオトシブミ♀が揺籃作りに失敗



2016年6月上旬

山間部の道端に繁茂するアカソの群落でコブオトシブミ♀(Phymatapoderus latipennis)が葉を巻いて揺籃を作っていました。
現場は林縁の日陰で、アカソは葉柄が未だ赤く色づいていませんでした。

作りかけの揺籃を見ると、本で読んだコブオトシブミの特徴通り、葉の根本付近の裁断線は一本の直線状で主脈を切断しています。
裁断線の下の葉は適度に萎れかけ、巻き易くなっています。
ちなみに、コブオトシブミはヒメコブオトシブミと同種にまとめられたらしい。

コブオトシブミを観察するのは初めてなのに、いきなり難しい応用問題に出くわし、混乱しました。
フィールド観察ではよくあることです。
交尾中のコブオトシブミ♀♂と単独のコブオトシブミ個体が同じ揺籃に居たのです。
あぶれたコブオトシブミ♀は隣の葉に移動してしまいました。(@1:00)
(もし、あぶれ個体が♂なら♀を奪い合う喧嘩になるはず)
おまけに明らかに別種のチョッキリ類が同じ揺籃を徘徊していました。
後にドロハマキチョッキリByctiscus puberulus)と判明しますが、初めはもしかして、労働寄生つまり別種の作った揺籃に托卵する種(ヤドカリチョッキリまたはオオメイクビチョッキリ)かと疑い、緊張・興奮しました。
しかし、アカソをホストとする労働寄生種は知られていません。
作りかけの揺籃で異種遭遇しても、なぜか争いにはなりません。
頭をひねって見ていると、途中でドロハマキチョッキリは翅を開いて飛び去りました。(@2:13)
どうやら、ただの通りすがりだったのでしょう。




揺籃上に残ったのは、交尾中のコブオトシブミ♀♂1ペアだけになり、ようやく状況がシンプルになりました。
♀にマウントした♂がときどき体を左右に揺すっています。
揺籃を作りかけた葉裏に♀は静止して、葉脈を噛んでいるように見えます。

途中から揺籃作りを微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧ください。(@4:14〜)



ところが、コブオトシブミ♀はなぜか作りかけの揺籃を放棄して葉柄を登り、♂を背負ったまま隣のアカソの葉裏へ移動してしまいました。(@5:00)

こんな不細工な状態で揺籃が完成したとは思えません。
巻きかけた葉が戻ってしまいましたし、この揺籃は失敗作ですね。
昆虫の本能行動において「弘法も筆の誤り」というのはあり得ないと思っていたので、とても意外な展開でした。
分からないことばかりで混沌としています。
2匹の♀が同じ葉を材料に同時に揺籃を巻こうとして邪魔し合い、台無しになったのでしょうか?
コブオトシブミ♀やドロハマキチョッキリ♀による揺籃作りの成功例(正常例)の一部始終を観察してみないことには始まりません。

最後に失敗作の揺籃を採取し、その場で開いてみました。
ペリペリと糊を剥がすような感触がありました。
きつく巻いた葉の先に黄色い卵が一つ産み付けられていました。
産卵してから葉を巻き上げる途中で何か工程を失敗してしまったようです。
もし私が揺籃を採集しなくても、こんな不完全な揺籃では孵化した幼虫が正常に育つ可能性は低そうです。


つづく→コブオトシブミ♀の交尾拒否



さて、謎のドロハマキチョッキリはコブオトシブミの揺籃で一体何をしていたのでしょう?
♂が交尾相手の♀を探していたのかな?
それならアカソの群落ではなく、自身のホスト植物(カエデやイタドリなど)で探すべきでしょう。
労働寄生(托卵)の萌芽だとしたら非常に興味深いです。
しかし、たとえドロハマキチョッキリ♀が托卵に成功したとしても孵化した幼虫はイラクサ科の葉巻きをうまく消化したり解毒できず、生き残れないと思われます。
托卵行動が進化するにはまず、幼虫の消化・代謝機能が生理的に寄主転換の前適応する必要があります。

したがって、労働寄生はまず同種内で起こり、次にホスト植物がたまたま共通である別種の間で托卵するよう進化すると思われます。
闖入したドロハマキチョッキリの接写も採集も出来なかったので、性別は不明です。
スナップショット写真をよく見直すと、心眼では前胸下部に鋭い棘状の突起が見えた気がするので、♂かもしれません。
もう一つの特徴として、ドロハマキチョッキリ♂の口吻は長く、触角付着点あたりで湾曲するらしい。(『オトシブミハンドブック』p52より)


2016/07/31

ウリハダカエデの葉を巻いたドロハマキチョッキリの揺籃



2016年6月上旬

山間部の道端に生えたウリハダカエデの枝先に、葉巻状の物体を見つけました。
複数の葉を巻いているので、ファウストハマキチョッキリではなくドロハマキチョッキリByctiscus puberulus)の揺籃でしょう。
完成した揺籃を切り落とすのではなく、切れ目を入れた葉柄でぶら下がったまま萎れて(枯れて)います。

飼育して確認したかったのですが、他のことで忙しく、とても手が回りませんでした。



2016/07/28

イタドリの葉を巻いた揺籃を点検して回るドロハマキチョッキリ♀



2016年6月上旬

山間部の道端でヒトの背丈よりも高く伸びた(>2m)イタドリの群落でドロハマキチョッキリ♀(Byctiscus (Byctiscus) puberulus)が揺籃を作っていました。
仕上げの段階なのか、♀はひたすら揺籃上をぐるぐると巡回、点検していました。
とても小さいながらも、緑色の金属光沢に輝く非常に美しい甲虫です。




同じイタドリの株の下の方に似たような揺籃が作りかけも含めて幾つもぶら下がっていました。
おそらく同一個体の♀が次々に作製したのでしょう。



途中からは三脚を立てて微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい(@2:44〜4:39)。

交尾したり♀をガードしたりする♂の姿は見当たりません。
ときどき休息したり身繕いしたりするものの、基本的にひたすらパトロールしているだけであまり面白くありません。
ぐるぐる歩き回ることが葉をきつく巻きつける行為になっているのでしょうか?
遂に完成した揺籃から離れて茎を下り、隣の葉の葉柄にて静止しました。



一仕事終えた♀が葉を食べているのか、それとも次の揺籃作りのために噛み傷をつけているのか、あまりにも高所のため様子が全く分かりません。
何枚も葉を寄せ集めて細長くて大きな葉巻型のゆりかご(揺籃)を作るのが本種の特徴です。
したがって、新しい葉を萎れさせて揺籃に更に追加して巻きつけるのかもしれません。
移動してきた葉は虫喰い穴だらけなので、普通に考えれば揺籃作りの材料に選ばれないと思うのですが、ドロハマキチョッキリは無頓着なのかな?

やがて日も暮れかけてきました。
気温の下がる夜はここで寝るのか、それともドロハマキチョッキリ♀は徹夜で作業を続けるのですかね?
観察を続けたいのはやまやまですけど、ビバークする用意をしていなかったので泣く泣く観察を打ち切って下山しました。
イタドリの背丈が非常に高いため、採集は断念。
本種の揺籃作りの一部始終を観察しようとすると、他のオトシブミ類よりもおそろしく長い時間がかかりそうです。

海野和男『ポケット図鑑:昆虫』p161によると、ドロハマキチョッキリは

夏は前蛹で過ごし、8月末に蛹となり、秋の初めに羽化し、ほんの少し活動した後、土中で越冬する。




つづく


2016/07/24

アカガネサルハムシとクロヤマアリ♀の喧嘩【ハイスピード動画】



2016年6月上旬

アカガネサルハムシAcrothinium gaschkevitchii gaschkevitchii)の飛び立ちを240-fpsのハイスピード動画で撮ろうとしていると、偶然に面白い対決シーンが記録されていました。
クロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀がやって来て背後から大顎でつついたり噛み付こうとしています。
一方的に攻撃されても、硬い鞘翅で身を守られたアカガネサルハムシは動じません。
なぜか尻切れトンボの映像になってしまったのが残念です。


2016/07/22

フランスギクの花で食事後に飛び立つコアオハナムグリ



2016年6月上旬

道端に咲いたフランスギクの群落でコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。
花蜜や花粉を食べているようです。
風で花が揺れて撮りにくい…。
最後に翅を広げて花から飛び立ちました。
ハナムグリの仲間は前翅(鞘翅)を閉じたまま後翅だけを器用に広げて羽ばたきます。



2016/07/18

アカガネサルハムシ♀♂の交尾



2016年6月上旬

山麓の道端の茂みでアカガネサルハムシAcrothinium gaschkevitchii gaschkevitchii)♀♂が交尾していました。

♀の背後からマウントした♂がときどき体を左右に激しく揺する行動が気になりました。
交尾器の結合部が見えないのが残念。
ライバル♂の精子を掻き出そうとしているのか?と想像しました。(精子競争
それとも挿入角度を調節しているのでしょうか?

ちなみに、交尾中の尻振り行動はナミテントウでも観察したことがあります。
そしてナミテントウの場合では研究の結果、交尾中の♂の体の振動はおそらく精子を送り込む運動であると考えられているそうです。


同時にアカガネサルハムシ♂が長い触角で♀の腹背(肩の辺り)を激しく叩いているのは、求愛行動の一種なのか、♀にじっとしているよう宥めの信号を送っているのかな?
更に♂はときどき後脚も激しく動かしています(側面からも接写したかった…)。
ところが、静止していた♀が♂を背負ったまま歩き出しました。

複数ペアを撮影した後に、1ペアを採集しました。
以下は標本写真。(掲載予定)







2016/07/16

揺籃を作るルイスアシナガオトシブミ♀c【10倍速映像】



2016年5月中旬・午後16:07〜18:06
▼前回の記事
完成した揺籃を切り落とすルイスアシナガオトシブミ♀a


里山に生えたハルニレの幼木で、ルイスアシナガオトシブミ♀c(Henicolabus lewisii)が揺籃を作っていました。
制作過程を10倍速の早回し動画でご覧ください。
カメラの三脚を一台しか持参してなくて、同時並行して別個体♀bの揺籃づくりを微速度撮影するのに使っていたので、こちらの個体♀cでは手持ちハンディカムでの映像が多いです。
風が吹いて枝が揺れる上に多少の手ブレもありますので、ご了承ください。

映像の冒頭は完成後も切り落とさず枝に残ったタイプの揺籃を写しました。
その下の葉で作業を始めた♀cと付き添う♂を見つけました。
既に葉の根元を両裁しており、萎れた葉が垂れ下がりつつあります。
しかし茂みに葉がひっかかり、うまく垂れ下がらないようです。
その間に♀は葉裏であちこちの葉脈に噛み傷をつけています。
徘徊していた♂が♀にマウントしました。
(結合部を接写していないので、交尾なのか交尾後ガードなのか不明です。)
♂は四六時中♀にマウントしている訳ではなく、辺りをパトロールしています。
♀の元に戻ってきた♂が焦って(?)前後逆向きにマウントすることがありました。
その後、♂が向きを変えて交尾に成功?

葉を巻き始める前に、主脈に沿って葉を縦二つ折りにしました。
これ以降は葉裏が揺籃の表側になります。

♂を背負ったまま♀cは葉先から巻き上げ始めました。
産卵行動は見落としてしまいました。

別個体♀bの揺籃づくりに気を取られている間に、♀cの作業がだいぶ進行してしまいました。
♂は近くの枝葉を徘徊しているものの、もはや♀にマウントしなくなりました。
♀が産卵を済ませた後は交尾後ガードする必要が薄れたのでしょう。
♂はどこかへ行ってしまいました。



最後は完成した揺籃を♀cが切り落とすタイミングを見計らって容器を差し出し、ポロリと落ちてきた揺籃を受け止めて採集しました。
揺籃作りの材料となった葉の地上からの高さは100cmでした。


採集3日後の撮影

採集した揺籃cをそのまま容器に入れて室内飼育しているのですけど、この記事を書いている現在(7月中旬)も未だに成虫が羽化してきません。
揺籃が乾燥し過ぎないように注意したつもりですが、もっと水気を与えるべきだったかもしれません。
カビの発生が怖くて霧吹きなどはしませんでした。
揺籃を切って中を調べてみるべきか、もう少し静観すべきか、悩みどころです…。

揺籃完成直後にルイスアシナガオトシブミ♀cを採集しました。
以下は標本の写真です。(掲載予定)




↑【おまけの動画】
同じ素材の映像ですが、ハンディカムで撮影したパートは早回し加工せずにそのままつなげました。
三脚を立てて微速度撮影したパートは10倍速映像になります。
16分間と長いのでブログ限定で公開します。


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