2012年9月中旬
山間部のガードレールに蜂がしがみついたまま干からびて死んでいました。
死骸からヒゲのような長い突起物がひょろひょろと何本も伸びています。
ハチタケなど冬虫夏草の一種でしょうか?
ガードレールという乾燥した場所で菌糸?が伸びているのがとても不思議に思いました。
ガードレールの向こうを見渡すと、草むらの斜面の3mぐらい下を小川が流れていました。
そこそこ湿気があるのかもしれません。
冬虫夏草に興味はあるものの、これまで自分では見つけたことがありません。
冬虫夏草関連の掲示板で問い合わせたところ、ツキヌキハチタケの不稔型と似ているそうです。
寄主の正体については、いつもお世話になっている「蜂が好きBBS」に駄目元で問い合わせてみました。
青蜂@管理人さんより以下の回答を頂きました。
写真のハチは、クモバチ科(ベッコウバチ科)です。
翅が欠けているので断定はできませんが、トゲアシクモバチ(トゲアシベッコウ)属の一種(Priocnemis sp.)のようですね。
定点観察で9日後に現場を再訪してみました。
日照り続きの後に大雨が降ったので心配しましたが、ハチタケは無事でした。
しかし状態に変化はありませんでした。
【参考動画】
冬虫夏草を扱ったBBC制作の見事な映像をご覧下さい。
アリタケ感染後の成長の微速度撮影など。
2011年8月下旬
里山の遊歩道にて、朽ちて苔むした丸太の切り株に白いキノコが生えていました。
よく見ると、キノコの柄に一匹のナメクジが取り付いてゆっくり食べているようです。
背中に甲羅は無く、全体が褐色で見慣れないナメクジです。
ナメクジ図鑑も持っていない素人の山勘ですが、もしかしたらこの里山で昨年2匹見つけたハナタテヤマナメクジと思われる種類かもしれません。
関連記事はこちら→「ハナタテヤマナメクジ?」「ハナタテヤマナメクジ?の徘徊(20倍速)」
ハナタテヤマナメクジは鮮やかな黄色ですが、今回の個体はその褐色変異体かも…と勝手に都合よく想像してみました。
眼柄が黒い点は共通しています。
新潟や東北地方のブナ林に生息し、キノコを好んで食べることが知られているそうです。
他の種類のナメクジもキノコを食べるのだろうか※。
実は、全く同じ場所で昨年キノコを食べるヤスデを観察しました。
関連記事はこちら→「キノコを食すヤスデ」
今回もキノコの傘の部分で数匹のヤスデが食事中でした。
このキノコやナメクジの名前が分かる方がいらっしゃいましたら、是非教えてください。
オオイチョウタケ?!(ド素人の当てずっぽう)
【追記1】
micromyuさんより「オオイチョウタケは地上性のキノコで朽木の上には生えないはずだから除外できる」とご教示頂きました。
※【追記2】
『ゲッチョ先生のナメクジ探検記』によると、ナメクジ類はキノコが大好物らしく毒キノコにも喜んで集まるらしい。
2008年7月中旬
ススキの葉にしがみ付いたまま死んでいたフキバッタの仲間(種名不詳)。
この個体は尾端が葉に付着して千切れても構わずに更に上へ登って死んだようで一層不気味です。
この日は同様のフキバッタ死骸を何体か目にしました。
【追記】
渡部仁『微生物で害虫を防ぐ (ポピュラー・サイエンス)』という昆虫病理学の入門書を読むと、糸状菌や疫病菌について詳しく知ることができました。
イエバエ、アブラムシ、バッタ、ガの幼虫、ハチなど多くの種類の昆虫に糸状菌の一種、疫病菌(Entomophthora)が寄生します。(p68より引用)
分生子が成熟すると、分生子梗の内圧によって、ちょうどロケットのようにはじき出されて遠くに飛ばされます。同時に粘液状の内容物が分生子について飛ぶので、分生子は物体に付きやすいのです。(中略)(イエバエやバッタなどの)感染虫は致死直前になると死期を悟るのか、高い場所を求め、草の葉や木の枝、あるいは石壁などをゆっくり登りつめ、高い所でじっと静かに死を迎えるのです。不思議なことに、致死は夕方から午後7時までに起こりやすく、分生子が死体の表面に形成されるのは夜中で、翌朝つゆのあるうちに分生子が飛散するといわれています。 (p70より引用)
2008年8月下旬
草叢で虫カビに感染したフキバッタの仲間(種名不詳)が茎にしがみ付いて死んでいました。
キイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)のワーカー♀飛来してがその死骸に興味を示し、齧り付きました。
そのまま肉団子にするかと思いきや、乾いて脆くなっていたバッタの尾部は噛み付かれるとバラバラに崩れ落ちました。キイロスズメバチは諦めて飛び去りました。
新鮮な生餌でなくても(病死の死骸でも)狩りの対象になるとは知りませんでした。
スズメバチは接触・摂食してもバッタ特有の虫カビ胞子に感染しないのだろうか(病原性の種特異性)。
2010年11月中旬
赤松の倒木から白いキノコが生えていました。
おそらくスッポンタケ(Phallus impudicus)だと思います。
柄が横向きに生え、傘は下を向いています。
傘は元々は黒かったのだろうか。
現場では特に何も悪臭は感じませんでした。
気温が低いせいか、ハエも集まっていません。
根元に粘液が垂れています。
動画を撮りながら採寸代わりに右手をキノコの横に写し込もうとしたら目測を誤り、うっかり折ってしまいました。
いつか微速度撮影でキノコの成長過程を記録してみたいものです。
ハエとの共生関係にも興味があります。
【参考映像】
NHKクリエイティブ・ライブラリーより
「スッポンタケ においでハエを誘う」
2010年11月上旬
湿地帯を歩くと蒲(ガマ)の群落がありました。
固く締まっていた穂が熟すと少しずつ自然に弾けます。
それを手で揉み解すと大量の綿毛が飛散します。
風による種子散布の戦略ですね。
ふわふわの手触りが最高です。
因幡の白兎が蒲の穂の布団で傷を癒したという神話もなんとなく分かる気がします。
2010年10月下旬
林縁でホコリタケ(別名キツネノチャブクロ;Lycoperdon perlatum)と思われる群落が地面から生えていました。
天辺の穴から褐色の胞子が放出するシーンを観察するために、7個の茸を順に指で摘んだり棒で突ついてみました。
後で思うと、もう少し自然な演出をすれば良かったですね。
木の実を上から落としたり、雨粒を模して水をキノコに垂らしたりして、スーパースローの映像にすれば格好良い作品になりそうです。
2010年8月上旬
里山にて、キノコの傘の表に止まっているメタリックな甲虫を発見。
接写すると頭楯の前縁が半円形なのでセンチコガネ(Geotrupes laevistriatus)だと思います。
獣糞だけでなくキノコも好きなのですね。
警戒しているようで、残念ながらキノコを食すシーンは撮れませんでした。
小さな赤いダニ※が体表を這っています。
やがて歩き始めたセンチコガネはキノコの傘の裏側に隠れました。
このキノコの名前が分かる人がいらっしゃいましたら、是非教えて下さい。
関連記事(年前の撮影)▶ 白い菌糸塊?を食べるセンチコガネ
【追記1】
センチコガネがタマゴタケというキノコを食すことが確かめられているそうです。(森昭彦『ファーブルが観た夢:地球生命の不思議な迷宮』第四章:豊穣の聖域「王家の谷」へーセンチコガネ p220より)
映像のキノコは虫食いだらけですけど、これもタマゴタケなのかな?
※「センチコガネにくっついているダニは、ヤドリダニ類、イトダニ類、ハエダニ類などが知られている。」(同書 p227より)
【追記2】
『日本動物大百科10昆虫Ⅲ』p106-107より
- 糞食性コガネムシの仲間であるセンチコガネは(中略)、しばしばイグチ類などのキノコに食い入ることがある。
- キノコは朽ち木や腐植質の分解過程で、窒素成分など重要な元素を濃縮するため、甲虫にとってたいへんにすぐれた栄養源となる。
【参考映像】
NHKクリエイティブ・ライブラリーより
「センチコガネ キノコを食べる」