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2014/11/28

巣に侵入するナミクシヒゲハネカクシ?を殺すモンスズメバチ♀門衛



2014年8月中旬
▼前回の記事
モンスズメバチ♀夜の営巣活動(扇風行動・造巣)

モンスズメバチの巣の定点観察7

モンスズメバチVespa crabro flavofasciata)が営巣したクヌギの樹洞を朝(7:00 AM)から見に行くと、真っ黒なハネカクシの一種が幹を上から歩いて来ました。
躊躇いもなくそのまま樹洞に侵入しようとしています。
一度は樹洞から離れたものの、遂に正面突破を試みました。
ハネカクシの仲間について全く疎いのですけど、スズメバチの巣に寄生する種類がいるのかな?
腹端を持ち上げサソリのような攻撃態勢?になったものの、巣口を守っていたモンスズメバチ門衛にあっさり噛み殺されました。
寄生者の侵入を瀬戸際で防いだ門衛はやれやれ!とばかりに身繕い。
モンスズメバチが外被状の被膜で樹洞の入り口を狭くしているのは、巣の保温だけでなく、巣の防衛にも役立っているようです。

ネット検索で調べてみると、重要なヒントが得られました。
モンスズメバチ巣より得られたナミクシヒゲハネカクシの記録」と題した記録が報告されているようです。(要旨なし)

さやばね. ニューシリーズ = Sayabane. N.S. 1, 16-17, 2011-03-30

ナミクシヒゲハネカクシVelleius dilatatus)の学名で検索し直すと、英語版wikipediaに詳しい解説が載っていて助かりました。
短いので全訳してみます。

ナミクシヒゲハネカクシは欧州産モンスズメバチ(Vespa crabro crabro)と同居する。成虫の?体長は26mm以下。スズメバチの食べ滓や死体などの有機物を食べて暮らし、片利共生の一例。食料だけ充分にあってもスズメバチが居ないとナミクシヒゲハネカクシは生存できない。優れた嗅覚でスズメバチの巣を探索する。モンスズメバチの巣には平均10匹のナミクシヒゲハネカクシが居る。

図鑑『くらべてわかる甲虫1062種』で
ナミクシヒゲハネカクシを調べると、
触角が櫛状のクシヒゲハネカクシ属では最大、モンスズメバチなどの巣に潜入して食べカスや死がいを食べる。(p35より引用)

 


 形態的に映像の個体がナミクシヒゲハネカクシで合っているのかどうか、甲虫に疎い私には判断できません。
しかし生態的な特徴があまりにも合致するので、乱暴ですけど一応ナミクシヒゲハネカクシ?としておきます。
もし違っていたらご指摘願います。
たとえばオオスズメバチの巣下土壌を詳細に調査した結果、なんと7種ものハネカクシ科が見つかったそうです。
その代表的な種としてナミクシヒゲハネカクシが挙げられていました。
巣盤の中に食い入り内部の幼虫や蛹にダメージを与えることもある、とのこと。
(『スズメバチの科学』p139より)


偶然にも非常に興味深い瞬間が撮れてラッキーでした。
ハネカクシは樹洞内への侵入に成功しさえすれば、あとはなんとか暗闇の巣内で寄主モンスズメバチから逃げ隠れしつつ生き延びられるのでしょう。
まさに「虎穴に入らずんば虎子を得ず」。
ナミクシヒゲハネカクシはモンスズメバチのコロニーに紛れ込むために体表を化学擬態していないのかな?
今回は侵入に失敗しましたけど、ハネカクシが土壇場で示したサソリのような姿勢はもしかすると寄主を撹乱するフェロモンを分泌しようとしていたのかもしれない…と勝手に妄想してみました。

本に書いてあった通り、モンスズメバチの巣がムツボシベッコウハナアブやナミクシヒゲハネカクシといった寄生者の攻撃に晒されている現場を続けざまに観察できました。


『スズメバチの科学』p64-65によると、

秋になって成熟した巣を採集すると、特にオオスズメバチやモンスズメバチのように外被が釣り鐘型になっている種の巣下には、ベッコウハナアブの幼虫やナミクシヒゲハネカクシの幼虫が多数生息し、排泄物などを食べて、掃除屋として君臨している。

つづく→シリーズ#8:夜の巣に忍び寄る寄生蛾?

【追記】
「蜂が好き」サイトの青蜂@管理人さんより以下のコメントを頂きました。
このハネカクシは、スズメバチと共生(居候?)するんですね。
動画では、スズメバチに襲われかけていますが、殺される場面は撮られていないんですね。
ということは、まんまと侵入に成功しているかも?
そこで対決の瞬間だけを切り取って、1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみました。
冷静になって見直してみると、門衛の懐に潜り込み侵入に成功してるかなぁ…?
確かに「物言い」が付くほど微妙な判定で、門衛がハネカクシを噛み殺したように見えたのは私の思い込みかもしれません。
侵入の瞬間、ハネカクシの腹端に何か白い水滴のようなもの(排泄物?)が気になります。







2014/11/25

寄主モンスズメバチの巣の近くに産卵するムツボシベッコウハナアブ♀



2014年8月中旬

▼前回の記事
巣の裏のクヌギ樹洞を物色するモンスズメバチ♀

モンスズメバチの巣の定点観察4

クヌギの樹洞に営巣したモンスズメバチVespa crabro flavofasciata)のコロニーを観察していると、不審な訪問者が繰り返し現れました。
ムツボシベッコウハナアブ♀(Volucella nigropicta)です。
左右の複眼が離れているので♀と判明。
同じ日にすぐ近くのミズナラ樹液酒場で♀♂共に樹液を舐めに来ていました。

▼関連記事
ミズナラ樹液を吸いつつ排泄するムツボシベッコウハナアブ♂
ミズナラの樹液を舐めるムツボシベッコウハナアブ♀
そのときの個体と比べて今回は黄色い腹部の体色がくすんでいる(薄い)ように見えますが、個体差でしょうか。
(もしかすると別種の可能性は?)
観察したドラマを紹介する前に、生態について少し予備知識が必要になります。

京都府レッドデータブックでムツボシベッコウハナアブの項目を参照すると、

生態は不明であるが、成虫はクヌギの樹液に集まることが知られている。一般にこの属の種の幼虫はスズメバチ等の巣内に生息し、日本産の種の多くがそうであるが、海外では樹液で生育する種も知られている。本種の幼虫もクヌギの樹液に生息しているか不明だが、いずれにしてもクヌギへの依存度は高い。

『日本動物大百科9昆虫II』p133によると、

ベッコウハナアブの仲間の幼虫はスズメバチ類とマルハナバチ類の巣内に入り、巣の下の土中にいて、ハチの食物の残りや、ハチの幼虫、蛹、成虫の死骸などが棄てられるのを食べているらしい。巣の活動が終わりに近づくと、巣盤まで入り込んで幼虫や蛹などを食べることもある。しかし、かなり早い時期から巣盤などに入り込んで幼虫などを食べることもあるようで、単なる掃除者ではなく、捕食寄生者に変身することもあるようである。

ちなみに『スズメバチの科学』p64-65によれば、同属のニトベベッコウハナアブはモンスズメバチの巣房内に白い卵塊を産みつけることが報告されています。

オオスズメバチやモンスズメバチのように外被が釣り鐘型になっている種の巣下には、ベッコウハナアブの幼虫やナミクシヒゲハネカクシの幼虫が多数生息し、排泄物などを食べて、掃除屋として君臨している。

堅苦しいお勉強(予習)はこのぐらいにしておいて、映像をご覧ください。
ムツボシベッコウハナアブ♀がクヌギの幹を登ったり下りたりして樹洞の横を通り過ぎました。
初めは巣内のモンスズメバチに気づかれていません。
ムツボシベッコウハナアブ♀がときどき腹端を幹に付けているのは産卵でしょうか。
(卵を確認していないので、確証はありません。)
必ずしもムツボシベッコウハナアブの成虫♀がモンスズメバチの巣内に侵入できなくても、樹洞の近くに産卵できれば孵化した幼虫が自力で這って寄主の巣に侵入するのかもしれません。

再び同じクヌギの幹に飛来したムツボシベッコウハナアブ♀(腹部の黄色が濃い別個体?)が歩いたり飛んだりして寄主の巣に接近を試みるも、今度はモンスズメバチのワーカー♀に追い払われました。
同様のシーンが何度も繰り返されています。
寄主モンスズメバチに追い払われる瞬間を1/2倍速のスローモーションでリプレイしてみました。

ちなみに、このクヌギの木は昆虫が集まる樹液を分泌していませんでした。
したがって、ムツボシベッコウハナアブ♀が繰り返し来たのは樹液目当てではなく、モンスズメバチの巣に寄生産卵することが目的でしょう。

クヌギの木で私が見かけたムツボシベッコウハナアブは♀だけでした。
すぐ隣のミズナラ樹液酒場ではムツボシベッコウハナアブ♀の産卵行動は見ていません。
ムツボシベッコウハナアブの幼虫は樹液を摂取するのではないか、という上記レッドデータブックが示唆する可能性に私は否定的です。
やはりスズメバチの巣内で掃除屋(スカベンジャー)として育つのではないか、と推理するのが自然な気がします。

どうやらムツボシベッコウハナアブ♀は、寄主の巣内に産卵する機会を虎視眈々と狙っている印象を受けました。
しかし樹洞への侵入に成功した例は見ていません。
いつもモンスズメバチが気づいて飛びかかり、巣の近くから排除しています。
ムツボシベッコウハナアブのことを無害な掃除屋あるいは共生者ではなく、明らかに厄介な捕食寄生者(=天敵)とみなしているのでしょうか。
モンスズメバチの巣を初めて見つけたこの日、どうして蜂がこれほど興奮したように巣の回りを飛び回り忙しなく巣に出入りしているのか、不思議でなりませんでした。※
味方同士の空中戦が頻発しています。
この状態が普通なのかな?
そうでなければ考えられる理由の一つとして、オオスズメバチなどの外敵に対してコロニー全体が警戒レベルを上げているのかもしれません。
この日は実際にクヌギの木の近くで飛ぶオオスズメバチを一度だけ目撃しました。(映像なし)
ただし、オオスズメバチが他の社会性ハチ(ミツバチやスズメバチ類)の巣を襲い始めるのは晩秋になってからのはずです。
ムツボシベッコウハナアブ♀の接近を深刻な脅威と捉え、コロニー全体が最大限に警戒しているのでしょうか。
スズメバチよりもアブの方が動きが敏捷なので、殺される前に飛んで逃げてしまい、しばらくするとムツボシベッコウハナアブはクヌギの木に戻って来ます。
(※ 実は引っ越してきたばかりの移動巣ではないか?というまた別な解釈も抱いているのですけど、続報の記事で詳しく述べることにします。)

ムツボシベッコウハナアブの体色は黄色と黒の配色であり、モンスズメバチと少し似ていなくもありません。
アブ自身が捕食されないよう毒針を持ったスズメバチに似せたベーツ型擬態なのかもしれません。
また、体色を寄主に似せて油断させて巣に近づき産卵するという戦略が考えられますけど、実際は攻撃的擬態と呼べるほどの効果を果たしているかどうか、甚だ疑問です。
警戒中のモンスズメバチは巣に近づく者には同じ巣の仲間に対してもとりあえず迎撃する方針のようです(味方への誤認攻撃をも辞さず)。
敵味方を視覚ではしっかり識別していませんでした。(シリーズ12のブログ記事を参照)
社会性昆虫を騙しの標的とするのであれば、体表の化学成分を似せる(化学擬態)ことが先決でしょう。

以上はあくまでも短い観察(午後の数時間)にもとづく個人的な仮説ですので、今後の定点観察が楽しみです。

つづく→シリーズ#5:扇風行動



【追記】
『マルハナバチの謎〈下巻〉 (ハリフマンの昆虫ウオッチング・社会性昆虫記)』p38によると、
寄生するものの外見は寄主の特徴にどこか似ています。(中略)ベッコウハナアブは殺されても、死後卵を排せつして自分たち一族の繁栄をはかります。粘っこい卵はすぐに産みつけられた場所にくっつき、卵からかえった幼虫は巣の古い繭に向かって突進します。



2014/09/28

寄主オビガ(蛾)の繭から脱出するヤドリバエ幼虫



2014年7月中旬・室温26℃
▼前回の記事
繭を紡ぐ白毛のオビガ(蛾)終齢幼虫【早回し映像】
オビガApha aequalis)終齢幼虫bが飼育下で繭を紡いでから7日後、繭の内側でウジ虫が蠢いていることに気づきました。
どうやらオビガ終齢幼虫を野山で採集してきた時点で寄生ハエ(ヤドリバエ科?)に体内寄生されていたようです。
慌ててカメラを取り出し、ヤドリバエの一種(種名不詳)の終齢幼虫が寄主の蛹を食い破って繭から脱出する様子を動画に撮り始めました。
ウジ虫は繭の端から脱出すると、這い回った跡が粘液で濡れています。
昨年観察したヨシカレハの繭からヤドリバエの幼虫が脱出したときよりも、粘液の分泌量は少ない気がしました。

▼関連記事
寄主ヨシカレハ(蛾)の繭から脱出するヤドリバエ幼虫
毎回気になる点として、ヤドリバエ幼虫はコクナーゼなどの酵素を自ら分泌して繭の絹糸を溶かしながら脱出するのですかね?
寄主のオビガ幼虫が羽化に備えて繭に脱出口を予めこしらえていたのでしょうか?

『繭ハンドブック』p36によれば、オビガの繭には成虫の出口となる上部にあらかじめ穴が開いており、下部にも小さな穴が開いているそうです。
私もいつか飼育に再挑戦してオビガの成虫が羽化するまで見届けたいものです。

ウジ虫はプラスチックの垂直壁面を登れず、蛹化する場所を探して徘徊を続けます。(ワンダリング)
映像に登場するウジ虫は1匹だけですが、このオビガ繭から計3匹のウジ虫が続々と脱出しました。(多寄生)
プラスチック円筒容器は綿棒の入れ物を再利用しました。
容器の底に開けられた通気孔の円の直径は15mm。(大きさの比較対象にして下さい。)



本来ヤドリバエの幼虫は土に潜って蛹化するらしいのですが、しばらくすると容器内で囲蛹殻形成し黒い囲蛹になりました。


大きさはまちまち。

寄主の繭を切り開いてみると、捕食寄生されたオビガ前蛹の死骸が残されていました。

脱皮して蛹になる前に死んだようです。
繭を紡ぎながら自らの長毛を絹糸に編み込んだために、毛虫の毛がほとんど抜け落ちています。



その後、残念ながらヤドリバエの成虫は3匹とも羽化してくれませんでした。
したがって、ヤドリバエの種類も分からず仕舞いです。
原因が分からず悩んだ末にハエ関係の掲示板(一寸のハエにも五分の大和魂)で相談したところ、飼育するにはヤドリバエの囲蛹を動かしたり向きを変えたりするのは御法度らしく、殺菌した土を入れてやらないと羽化率が悪いのだそうです。

実は昨年、オビガを寄主とするヤドリバエ成虫を得ています。
オビガ終齢幼虫を採集してきて飼育を始めたものの、忙しくてろくに観察できないまま繭を放置していました。
いつの間にか2匹のヤドリバエ成虫が羽化して容器内で死んでいました。
このときも容器内に土を入れてなかったものの、ウジ虫の脱出に私が全く気づかず囲蛹に全く手を触れなかったことが結果的に良かったようです。

ブランコヤドリバエですかね?(自信なし)
ただし寄主が同じオビガであっても、同種のヤドリバエであるとは限りません。



2匹目は羽化不全個体

ヤドリバエ老熟幼虫が脱出後の寄主オビガ繭

2014/09/15

体内寄生されたマイマイガ前蛹c(蛾)の生命力



2014年7月上旬


▼前回の記事
マイマイガ(蛾)を寄主とするヤドリバエ終齢幼虫が囲蛹になるまで【50倍速映像】

ヤドリバエ(種名不詳)幼虫が脱出してから5日後、体内寄生されていたマイマイガLymantria dispar japonica)前蛹cが仰向けに静止したので斃死したかと思いきや、飲まず食わずで生きていました。(生ける屍)
ピンセットで刺激すると、蠕動というよりも身を攀じって(回して)暴れます。
脱出したヤドリバエの幼虫は結局1匹だけでした。(単寄生)
その後は私が興味を失ってしまい、いつ死んだのかは確認していません。
脱皮・蛹化しないまま、夏に死んでいました。



2014/09/14

マイマイガ(蛾)を寄主とするヤドリバエ終齢幼虫が囲蛹になるまで【50倍速映像】



2014年7月上旬

▼前回の記事
マイマイガ(蛾)前蛹cから脱出するヤドリバエの終齢幼虫【微速度撮影】

マイマイガLymantria dispar japonica)前蛹cの体内から脱出したヤドリバエ(種名不詳)の終齢幼虫が容器内で蛹化するまで微速度撮影してみました。
50倍速の早回し映像をご覧ください。
自然環境であればヤドリバエ幼虫は地中に潜って蛹化するはずですが、プラスチック容器内に閉じ込められランダムウォークするウジ虫に遭遇する度に寄主のマイマイガ前蛹cは嫌がって逃げ回ります。

やがてウジ虫が運動性を失い、蛹化を開始しました。

終齢幼虫の外皮中で蛹化し、囲蛹を形成します。
従って脱皮殻(抜け殻)を残しません。
少しずつ囲蛹の黒化(色素沈着)が進みます。



寄生ハエ囲蛹の飼育法について

5日後に撮ったヤドリバエ囲蛹の写真↑です。
その後は残念ながら、待てど暮らせど成虫が羽化してくれません。
成虫が得られないと名前も分からないので困りました。(ブランコヤドリバエ?)
ヤドリバエの羽化には湿り気が必須なのかな?
囲蛹を裸で飼うと、乾季だと思って休眠状態に入ってしまうのでしょうか?
暗所に置かないといけないのか?など色々と悩みます。
ちなみにドロバチの巣を発掘した際に採集した寄生ハエ(ドロバチヤドリニクバエ?)の囲蛹からは、過去に同様の飼育法(乾燥条件)で問題なく羽化しているので不思議で仕方がありません。

やはり今からでも容器に土を入れてやる(囲蛹を土に埋めてやる)べきでしょうか?
恥ずかしながらこれまで私の虫の飼育の失敗の多くはカビが原因です。
霧吹きしたり土を入れたりすると、特に梅雨時や夏はあっという間にカビが発生蔓延してしまい他の飼育容器までもが全滅してしまった苦い過去があり躊躇しています。

いつもお世話になっているハエ関係の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」で質問してみると、アノニモミイアさんから以下の回答を頂きました。

本科に最も詳しい研究者に以前お聞きしたところ,ヤドリバエの囲蛹は囲蛹化した位置に置かないと羽化しにくい,囲蛹を動かすとまずい,と言う話をお聞きしたことがあります。ヤドリバエ科の多くの幼虫は寄主から脱出した後は当然地上に落ちるでしょうから,常識的に考えれば地中に潜り込んでそこで囲蛹化するのではないでしょうか。
このような見解を元に考えますと,寄主から脱出してまだ囲蛹化していない蛆は湿り気のある清潔な土を入れた容器に移すことが適当かとおもいます。また容器内(裸出した状態)で囲蛹化してしまったものは,そのまま動かさないで,上記のような湿った清潔な土(電子レンジなどで蒸気消毒したもの)をやさしく掛けるということも考えられます。
園芸用の赤玉土の細粒(小粒より小さい)と言うのがあります。私はこれを十分に湿らせたうえで電子レンジで蒸気消毒したものを長期休眠(初冬から翌年晩秋まで)するハエの幼虫に使ったことがあります。好成績でした。数か月以上に亘ってカビなどが生じなかったです。ご参考までに。
土を昆虫の飼育に長期に使うときは,庭の土などはかなり用心して用いないと,中に捕食者の卵や幼虫などが含まれていることがあります。また,トビムシ類もかなり入っていて,繁殖します。土はポリ袋に入れて(密閉しないで)電子レンジで内部が高温になり熱い蒸気で滅菌,殺虫して使うのが安全です。

確かに数少ない成功例を思い返してみると、完全に忘れていて放置していたらいつの間にか寄生ハエが羽化して死んでいたことがありました。(寄主イラガ、オビガ、タケカレハ)
撮影のために蛹を転がしたりいじくり回すことが致命的だったようです。
まさかヤドリバエの囲蛹がそんなに繊細だとは知りませんでした。
自力でこれを突き止めるのは無理でした。
次回からは殺菌した土を入れてみようと思います。

つづく


2014/09/13

マイマイガ(蛾)前蛹cから脱出するヤドリバエの終齢幼虫【微速度撮影】



2014年7月上旬


▼前回の記事
体内寄生で歩行障害を呈したマイマイガ(蛾)前蛹c

繭を紡いで以来ずっと様子のおかしいマイマイガLymantria dispar japonica)の前蛹cは歩き疲れたのか、ようやく落ち着きました。
10秒間隔のインターバル撮影で監視記録してみます。
私が寝ている間に前蛹が脱皮・蛹化する瞬間を監視記録するつもりでした。
徘徊運動で繊細な繭を壊されないように、作品を取り除いてあります。
(繭コレクションに加わりました♪)
繭の外を散々徘徊した挙句に疲れて横たわる前蛹がときどき蠕動運動しています。

ところが、明け方に腹部右側面より白いウジ虫が1匹脱出しました。(@4:12 AM)
やはり予想していた通り、この異常行動をするマイマイガcはヤドリバエの仲間に体内寄生されていたのです。
ブランコケムシ(マイマイガの幼虫)に寄生するハエとしてはブランコヤドリバエが有名です。
ただし他にも種類が多いので、ハエの成虫が羽化しないとブランコヤドリバエかどうかもちろん確定できません。

【参考文献】 
南智子, 石井実, and 天満和久. "大阪の里山と都市緑地におけるマイマイガの寄生性天敵相." 日本応用動物昆虫学会誌 43.4 (1999): 169-174.全文PDF
寄主から脱出したウジ虫は容器内を盛んに徘徊しますが、壁面を登れないので脱走する恐れはありません。
ランダムウォークするウジ虫に遭遇する度に毛虫は嫌がって逃げ回ります。

寄主に傷口からの出血は見られませんが、ウジ虫の脱出と同時に寄主の前蛹も徘徊を始め画面から消えました。
体内を食い荒らして育ったウジ虫が表皮を食い破って脱出する際には痛みが伴うのでしょうか(生まれいづる痛み?)。

今回野外で採集したマイマイガ終齢幼虫3匹の中で、無事に蛹化したのは2匹でした。
サンプル数が少な過ぎますけど、寄生率は1/3になります。

ヤドリバエによる行動操作?
このマイマイガ前蛹は寄生されていたということで、一連の異常行動の謎がようやく解けました。
寄主から脱出したウジ虫は地中に潜って蛹化します。
ヤドリバエが寄主の行動を操作して繭から外に移動させたとしたら、面白いですね。
ただしマイマイガの紡ぐ繭は粗末で非常に目が粗いので、脱出したウジ虫が繭に閉じ込められる心配は無さそうです。
単に体内を食い荒らされる痛みで暴れていた可能性も充分あります。
少なくとも寄主の内分泌系(脱皮変態ホルモン)は完全に撹乱されているようで、もはや脱皮・蛹化できません。(体力が残っていないだけ?)

つづく





↑【おまけの映像】

インターバル撮影を始める前に、微速度撮影で監視記録していた映像をブログ限定で公開します。
50倍速の早回し映像でご覧ください。
繭の外で静止している前蛹がときどき蠕動するのは断末魔の苦しみなのでしょうか。
初めのうちは営繭の名残のような行動も見られました。
脱出直前のヤドリバエ幼虫が寄主の皮下で蠢いている様子が見て取れます。


マイマイガの繭
マイマイガの繭がコレクションに加わりました♪

2014/09/12

体内寄生で歩行障害を呈したマイマイガ(蛾)前蛹c



2014年7月上旬


▼前回の記事
寄生されたマイマイガ(蛾)前蛹cが繭から脱出【微速度撮影】

前日に紡いだ繭からなぜか脱出したマイマイガLymantria dispar japonica)前蛹cはプラスチック容器内を徘徊し始めました。

幼虫時代とは異なり体を波打たせる動きがぎこちなく、正常に前進できません。
脚の握力が失われているのか、垂直壁面を登れなくなっていました(紙箱でもプラスチック容器でも)。
そのため脱走する恐れは無さそうです。
飼育部屋で蚊取り線香はもちろん焚いていませんので、殺虫剤による神経症状ではありません。
前蛹として変態が進み、運動能力が奪われつつあるのでしょうか?(筋肉細胞や運動神経の細胞死など)

紙箱の隅でようやく落ち着きました。
しかし再び繭を紡ぎ始めることはありませんでした。
ひょっとすると空腹なのかな?
もし食草を与えたら食べたでしょうか?
無秩序な徘徊を続けても繭の中に自力で戻る気配はありません。

実はこの個体cは寄生バエ(ヤドリバエの仲間?)に体内寄生されていることが後に判明します。
マイマイガの内分泌系(脱皮変態ホルモン)が撹乱されていて、もはや脱皮できないようです。
筋肉や運動神経を食い荒らされてもがき苦しんでいる断末魔の状態なのかもしれません。
放送大学特別講義『ヤドリバエの世界』によれば、ヤドリバエの幼虫は寄主体内の細胞性免疫応答をかわすために神経節や絹糸腺に潜り込む例が知られているらしい。
今回観察した一連の異常行動がヤドリバエによる寄主操作だったら面白いですね。

水平に置いた容器を真上から見下ろすように撮りました。
採寸のため一円玉を並べて置いています。

▼つづく
マイマイガ(蛾)前蛹cから脱出するヤドリバエの終齢幼虫【微速度撮影】


2014/09/11

寄生されたマイマイガ(蛾)前蛹cが繭から脱出【微速度撮影】



2014年7月上旬


▼前回の記事
マイマイガ(蛾)終齢幼虫cの繭作り【50倍速映像】

前日、紙箱内に繭を紡いだマイマイガLymantria dispar japonica)飼育個体cの観察記録です。

蛹化脱皮するまで10秒間隔のインターバル撮影で監視することにしました。
採寸の代わりに、一円玉を並べて置いて写し込みました。
前蛹は脱皮に備えて眠(みん)の状態と思われますが、粗く紡いだ粗末な繭の中でときどき蠕動したり寝返りを打ったりしています。



ところが突然、前蛹が反転を始め(22:07 pm)、遂に繭から脱出した(22:21 pm)ので仰天しました。
これは全く予想外の行動でした。
一体全体、何事でしょう?!
脱皮は繭の外で行うのだとしたら、わざわざ苦労して繭を作る意味が分かりません。
無防備な前蛹のときだけ身を守れれば良いのかな?
微速度撮影のため照明を一日中照らし続けているのがストレスなのでしょうか?
室内で撮ったので、寄生蜂の飛来など何か脱走するきっかけがあったとは考えにくいです。
もちろん蚊取り線香(殺虫剤)などは焚いていません。
実はこの個体は寄生バエに体内寄生されていることが後に判明します。
今回観察した前蛹の異常行動がヤドリバエによる寄主操作の一種だったら面白いですね。
マイマイガの内分泌系(脱皮変態ホルモン)が撹乱されていて、もはや脱皮できないようです。
筋肉や運動神経系を食い荒らされている断末魔なのかもしれません。



微速度撮影の早回し映像というのは、見て心地よいスピードが人それぞれ違うようです。
更に2倍速くしたバージョン↑もブログ限定で公開しますので、宜しければご覧ください。

つづく


2014/04/09

ナミツチスガリの巣穴を訪れる寄生ハエ



2013年8月中旬

ナミツチスガリCerceris hortivaga)の集団営巣地で一つの巣口を観察していると、おそらく♀の寄生ハエ(種名不詳、ニクバエ科?)が何匹も集まって来ました。
入り口で巣坑を覗き込むもすぐに飛んで逃げる…という行動を繰り返しています。
あるいは入れ替わり立ち代り複数の寄生ハエ♀が訪れているのかもしれません。
一瞬の間に幼虫を産仔しているのでしょうか?
素人目にはそのように見えないのですが、ハエが侵入して幼虫を産仔していないのであれば、穴の奥でナミツチスガリ♀が巣を守っているのかもしれません(在巣かどうか未確認)。

巣穴の上空をハエが激しく飛び回っています。
互いに空中戦のようになることもありました。



2014/03/12

野菊の花蜜を吸うナカグロヒラタヤドリバエ暗色型



2013年11月上旬

農村部の道端に咲いた野菊の群落でヤドリバエの一種と思われる見慣れないハエ(寄生蝿)が花蜜を吸っていました。



撮影後に採集しました。
腹部の中央が黒色、その両脇が銀色に光っています。
翅の斑紋も特徴的ですね。

いつもお世話になっている「一寸のハエにも五分の大和魂」に投稿したところ、茨城@市毛さんより以下のようにご教示頂きました。

恐らく,Ectophasia crassipennisナカグロヒラタヤドリバエの暗色型だと思います.
インターネットで調べてみると、和名にはナカグロヒラタハナバエという別名もあるようです。(参考リンク12
本種はカメムシに寄生するらしい(英語版wikipediaより)。


2014/01/02

ダニ付きのヤミイロカニグモ♂(蜘蛛)



2013年6月中旬

山間部の道端の草むらでヤミイロカニグモ♂(Xysticus croceus)らしき小さな徘徊性クモ(カニグモ科)を発見。
黒い体色から♂だと思うのですけど、触肢の形状を確認する前に素早く逃げられてしまいました。
腹部の縁にオレンジ色のダニが2匹付着(寄生?)しています。



2013/10/22

ヤドリバエ(寄主ヨシカレハ)の蛹化【微速度撮影】



2013年8月中旬

前回の記事はこちら→「寄主ヨシカレハ(蛾)の繭から脱出するヤドリバエ幼虫

寄主ヨシカレハの繭から脱出した4匹の蛆虫を別の密閉容器に隔離しました。
円筒容器の直径は5cm。
自然環境下では土に潜って蛹化するはずですが、観察の都合上、土は入れていません。
インターバル撮影やジオラマモードによる動画撮影で、カメラのバッテリーが切れるまで長時間の変化を記録しました(微速度撮影)。

ハエ類のさなぎ形成の際は、終齢幼虫が脱皮せずに、幼虫の体が短縮してコメの様な形になり、そのまま幼虫の外皮が硬化するのが特徴である。硬化した外皮の内側で、真のさなぎがさらに一回り小さく収縮して形成される。こうした二重構造の蛹(さなぎ)を囲蛹(いよう)と呼ぶ。(wikipediaより)

しばらくの間、蛆虫は活発に容器内を徘徊しています。
垂直な壁にも途中まで登れます。
蛆虫の後端に見える1対の黒い点は呼吸のための気門ですかね?

やがて蛆虫の運動性が低下してくると容器の底で蛹化が始まります。
蠕動しても自由な歩行移動ができなくなり、のた打ち回っても不器用に後退するだけになります。
幼虫の時よりも体長は縮み、時間経過と共に褐色が濃くなりました。
寄主から脱出して蛹化するまで同じ日に起こりました。



8日後に撮った囲蛹の写真↓です。



成虫が羽化してくれないと、ヤドリバエの名前が分かりません。
夏の間に羽化するかと思いきや、このまま蛹で越冬する予感…。
もしかすると、土を入れてやらないと蛹が乾燥し過ぎて死んでしまうのでしょうか?(※)

つづく

ついでに、微速度撮影した同じ素材でスピードを落とした早回し映像↓もブログ限定で公開します。



【追記】
※ 蛹化から丸一年経ってもヤドリバエ成虫が羽化してくれません。
困り果てて「一寸のハエにも五分の大和魂・改」掲示板にて質問してみました。


Q: 野外で採集した蛾の幼虫を飼育すると、営繭後に寄生ハエの幼虫が脱出してくることがあります。
現在はヨシカレハ、オビガ、マイマイガを寄主とするヤドリバエ?の囲蛹が手元にあります。(プラスチック容器の底に数個ずつ転がっています)
私は寄生現象にも興味があるので、ウジ虫が出ても別に嫌悪感を抱くことも無く気持ちを切り替えているのに、待てど暮らせどハエが羽化してくれません。
ヨシカレハから脱出したのは去年の8月なので、いくら蛹越冬だとしても羽化が遅れてますよね。
成虫が羽化してくれないと名前も分からず困っています。
囲蛹の飼育には湿り気が必須なのですか?
囲蛹を裸で飼うと、乾季だと思って休眠状態に入ってしまうのでしょうか?
暗所に置かないといけないのか?など色々と悩みます。
やはり今からでも容器に土を入れてやる(囲蛹を土に埋めてやる)べきでしょうか?
まさか蛹のまま何年間も地中で過ごすのが普通なのですか?

恥ずかしながらこれまで私の虫の飼育の失敗の多くはカビが原因です。
霧吹きしたり土を入れたりすると、特に梅雨時や夏はあっという間にカビが発生蔓延してしまい他の飼育容器までもが全滅してしまった苦い過去がトラウマになっていて躊躇しています。
何かアドバイスがありましたら、よろしくお願いします。

ちなみにドロバチの巣を発掘した際に採集した寄生ハエ(ドロバチヤドリニクバエ?)の囲蛹からは、過去に同様の飼育法(プラスチック容器に裸で置いただけの乾燥条件)で室内越冬し問題なく羽化しています。

するとアノニモミイアさんより以下の回答を頂きました。

A: 私はヤドリバエ科の生態に詳しい者ではありません。しかし,本科に最も詳しい研究者に以前お聞きしたところ,ヤドリバエの囲蛹は囲蛹化した位置に置かないと羽化しにくい,囲蛹を動かすとまずい,と言う話をお聞きしたことがあります。ヤドリバエ科の多くの幼虫は寄主から脱出した後は当然地上に落ちるでしょうから,常識的に考えれば地中に潜り込んでそこで囲蛹化するのではないでしょうか。

このような見解を元に考えますと,寄主から脱出してまだ囲蛹化していない蛆は湿り気のある清潔な土を入れた容器に移すことが適当かとおもいます。また容器内(裸出した状態)で囲蛹化してしまったものは,そのまま動かさないで,上記のような湿った清潔な土(電子レンジなどで蒸気消毒したもの)をやさしく掛けるということも考えられます。

一方,オオミノガヤドリバエ等ミノガ科の幼虫に寄生するヤドリバエは,ミノの中で蛹化する場合が一般的のようです。この場合はそのままにしておくと,羽化して,ミノの下口部から脱出してきます。

園芸用の赤玉土の細粒(小粒より小さい)と言うのがあります。私はこれを十分に湿らせたうえで電子レンジで蒸気消毒したものを長期休眠(初冬から翌年晩秋まで)するハエの幼虫に使ったことがあります。好成績でした。数か月以上に亘ってカビなどが生じなかったです。

土を昆虫の飼育に長期に使うときは,庭の土などはかなり用心して用いないと,中に捕食者の卵や幼虫などが含まれていることがあります。また,トビムシ類もかなり入っていて,繁殖します。土はポリ袋に入れて(密閉しないで)電子レンジで内部が高温になり熱い蒸気で滅菌,殺虫して使うのが安全です。

ヤドリバエ科の事を勉強したいとのこと。参考文献で手ごろなものは,東海大学出版会の「ハエ学」にヤドリバエの生態がかなり詳しく記述されています。また,同書の参考文献にもあげてありますが,嶌 洪,1989.寄生生活への道―ヤドリバエの場合ー.インセクタリゥム,26号,100-126 にも詳しく記述されているはずです。嶌博士は舘卓司博士と共に我が国のヤドリバエ科の分類学者です。インセクタリゥムは現在は廃刊ですから,図書館などで蔵書しているところで見たらいかがですか。

まさかヤドリバエの囲蛹がそんなに繊細だとは知りませんでした。
確かに数少ない成功例を思い返してみると、完全に忘れていて放置していたら(つまり、囲蛹に全く手を触れなかったら)いつの間にか寄生ハエが羽化して死んでいたことがありました。(寄主イラガ、オビガ)
じっくり観察しようと囲蛹を転がしたりいじくり回すことが致命的なのですね。
この反省を活かして、次回からは殺菌した土を入れてみようと思います。


【追記】
『ハエ学:多様な生活と謎を探る』p298-299より用語の解説を引用します。
(センチニクバエの研究での文脈なので、もしかするとヤドリバエ科ではまた用語が違う可能性もあります。)

十分に摂食した幼虫はこの時点で餌から離れ蛹になる場所を求めて這い回る。この時期の幼虫をワンダリングステージの幼虫といい、前蛹という。この幼虫はほどなく蛹になるが、ハエでは幼虫時の表皮が固まってその中で蛹ができるのでそのことを囲蛹化、または囲蛹殻形成という。幼虫の表皮は硬くなり囲蛹殻となり幼虫は白い俵状の形をとり動かなくなる。このものをWhite pupa “白い蛹”とよぶ。その後は時間とともに囲蛹殻は硬化し、赤茶色から茶褐色になってゆく(白い蛹から蛹になるまでを潜蛹という)。この囲蛹殻の中で蛹となり成虫羽化までじっとしている。

2013/10/21

寄主ヨシカレハ(蛾)の繭から脱出するヤドリバエ幼虫



2013年8月中旬・室温24℃

ヨシカレハの飼育記録2

繭を紡いでから3日後の早朝、ヨシカレハEuthrix potatoria bergmani)の繭から蛆虫が脱出しかけていることに気づき、仰天しました。
ヤドリバエの仲間が寄主を捕食寄生して十分に育った後に寄主の体外へ脱出し、これから蛹化するものと思われます。

繭の先端部が濡れており、そこからヤドリバエの幼虫が脱出しています。
繭の狭い脱出口に体が閊えている蛆虫もいます。
脱出した蛆虫が這い回った跡は大量の液体で濡れています。
この液体は蛆虫の分泌した潤滑液なのでしょうか?
それとも蛆虫の唾液に繭の絹糸を溶かすタンパク質分解酵素(コクナーゼ※)が含まれているのでしょうか?
寄主のヨシカレハの体液である可能性は?

※ コクナーゼとは

[英cocoonase]
鱗翅目の一部の昆虫の蛹が分泌する蛋白質分解酵素で,孵化酵素の一種.繭(cocoon)のセリシンを分解しフィブロインだけにすることによって,繭からの成虫の脱出を容易にする.
(『岩波生物学辞典第4版』より)

白くて丸々と太った蛆虫の体表に付着している黒い毛は、寄主ヨシカレハの毛虫が繭に植えた毛です。

野外で採集したヨシカレハ終齢幼虫が異常なほど巨大化していた謎がこれで解けました。
体内寄生者が自らの発生に都合の良いように寄主の内分泌系(脱皮ホルモン・幼若ホルモン)を撹乱制御していたのかもしれません。
安全な隠れ家となる繭を作らせてから寄主を体内から食い尽くして殺したのでしょう。

計4匹の蛆虫が続々と脱出する様子をジオラマ・モードで撮影した10倍速の早回し映像をご覧ください。
(私が気付く前に脱走した個体もいるかもしれないので、4匹以上ですね。)
ある蛆虫は繭の左端から脱出を試みてから一旦諦めて繭の中を右往左往し、ようやく繭の右端から脱出に成功しました。

元気な蛆虫はプラスチック容器の垂直な壁面も登れます。
容器内を徘徊する蛆虫が繭の付いたボール紙(ティッシュの紙箱)の裏側に潜りこもうとするため、ボール紙が一緒に動いてしまい、微速度撮影の邪魔になります。

次は蛆虫の蛹化が始まります。→つづく(蛹化の微速度撮影

ヤドリバエに捕食寄生を受けたのでヨシカレハは殺され、成虫が羽化することは無くなりました。
毒毛に刺されないようゴム手袋を着用してから繭を切り裂いてみると、ヨシカレハ前蛹の干からびた死骸が見つかりました。
繭を紡いだ後で蛹化(脱皮)する前にヤドリバエ幼虫が食い殺したようです。



2013/09/14

蜂蜜を舐めるアゲハヒメバチ♀




2013年7月下旬

キアゲハ(Papilio machaon)の帯蛹bから羽化した直後のアゲハヒメバチ♀(Holcojoppa mactator)に餌として蜂蜜を与えてみました。
蜜滴が大きすぎて、口器の動きが余りよく観察できませんでした。
吸蜜中は口髭をリズミカルに動かしています。
顔の正面から接写すると、頭楯の中央に縦の黒条が目立ちます。
満腹したら落ち着いてくれました。

映像の後半は自動色調補正を施してあります。








採寸替わりに1円玉を並べてみる。

以下は標本写真。


翅脈





腹端を接写しても産卵管は見えず。

【追記】
蜂類情報交換BBSにてBacon.Lさんより以下のコメントを頂きました。

しぐま様のブログのアゲハヒメバチは♀です。この種では、♂の触角はより鋸歯状になっていることからも判別できます。見かけ上の腹部の露出している背板の数は、ヒメバチ亜科では属により様々ですが、♂のほうが1つ多く見えます。


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