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2018/06/27

エゴノキの花で採餌するヒゲナガハナバチの仲間♀?



2017年6月上旬

農業用水路沿いで満開に咲いたエゴノキで、ちょっと見慣れないハナバチの仲間が何匹も訪花していました。

後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を付けています。
花の手前で見事なホバリング(停空飛翔)を披露してくれましたが、その際に長い舌が見えました。
吸蜜後、花にぶら下がりつつ身繕いしている個体がいました。

胸背に白い花粉の塊が付着している個体もいました。
エゴノキの花粉とは違うようですが、その植物の正体が気になります。

ハチを採集できなかったので名前ははっきり分かりませんでした。
なんとなくハイイロヒゲナガハナバチ♀などの仲間ではないかと思います。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/06/20

タラノキの葉裏で初期巣を増築するキボシアシナガバチ創設女王



2016年6月上旬


▼前回の記事
初期巣にアリ避けを塗布するキボシアシナガバチ創設女王

同じ日に撮った続きです。
巣材を持ち帰ったキボシアシナガバチPolistes nipponensis)の創設女王が帰巣したシーンは撮り損ねてしまいました。
育房の壁に新しい巣材を付け足して薄く伸ばしています。
巣盤が真っ白に見えるので、何を巣材にしているのか気になります。

初期巣の拡張を終えた女王蜂は身繕い。
次は育房全体を点検しながら巣盤の下面に腹部腹面を擦り付けてアリ避け物質を念入りに塗り付けました。
巣盤の上面に登ると、一休み。



2018/06/13

越冬中のツマグロオオヨコバイ成虫を室内で見つけた!



2018年2月上旬

深夜、台所の天井隅に色鮮やかな(黄緑色の)1匹のツマグロオオヨコバイBothrogonia ferruginea)が止まっていました。

ツマグロオオヨコバイはありふれた昆虫ですが、成虫で冬越しするとは知りませんでした。
極寒の屋外から暖かい室内に迷い込んだのか、それとも室内のどこかで休眠越冬中に目覚めてしまって天井隅に移動してきたのかもしれません。
室温を測るべきだったのに、忘れてしまいました。

ビデオカメラで撮りながらツマグロオオヨコバイの体に箸の先で触れると反射的に擬死落下したので、生きていることが分かりました。
床に落ちた後はどこに紛れ込んだのか、見失ってしまいました。
(受け皿を用意しておけばよかった…。)


3日後の午後、同じ台所の窓際で緩慢に徘徊していたツマグロオオヨコバイを発見。
おそらく同一個体だと思います。
(それとも台所のどこかで集団越冬しているのか?!)
採取して1mm方眼紙に載せると、ゆっくり歩き回りました。

静止すると、前脚で触角を交互に擦りました。
この化粧(身繕い)の様子がなんとも可愛らしいですね。
近くに置いてあった黄色のプラスチックケースに登ったところを指で触れると、翅を広げジャンプ(跳躍)しながら飛び立ちました。
このときの室温は25℃。

真冬の雪国で生きた昆虫(しかも成虫)に出会えたのは、ささやかな喜びでした。


【追記】
ツマグロオオヨコバイは成虫で越冬する。葉っぱの裏側などをのぞくと、冬に群れになって寒さをしのいでいる様子が観察できる。(p49より引用)

そこに掲載されている生態写真がとても見事で説得力がありました。 

ここ雪国でも常緑植物の葉裏に集団越冬しているのでしょうか?

私は未だ見つけたことがありません。

凍死を免れたとしても、厳しい冬の間に腹を空かせた鳥に捕食されてしまうのではないかと思ってしまいます。





ツマグロオオヨコバイ越冬@天井
ツマグロオオヨコバイ越冬@天井
ツマグロオオヨコバイ越冬@方眼紙

2018/06/11

衰退したヒメスズメバチのコロニー



柳の根際に営巣したヒメスズメバチの記録#6



前回の記事#5


2017年9月中旬・午後15:45〜15:50

4日ぶりの昼間に様子を見に来てみると、コロニー活動の衰えを感じます。
巣に出入りするハチの数が激減していました。
巣を壊されたという理由だけでなく、時期的にコロニーの解散が間近なのかもしれません。

ヒメスズメバチ♀(Vespa ducalis)がワーカーなのか新女王なのか見分けられないのが、もどかしいところです。
今思うと、長いピンセットを使って巣前庭に1円玉をそっと置けばよかったですね。
大きさの比較対象となり、居残っている蜂を採寸できたことでしょう。

巣前庭で2匹の♀α、βが日光浴しながらのんびり化粧(身繕い)していました。
巣を背後にした2匹は別々の方角を向いています。
奥の巣穴から3匹目の♀γが前庭に歩いて現れ、飛び去りました。

しばらくすると突然、巣穴の上部から出巣しようと4匹目の♀δが前庭に滑落しました。
日光浴中に突然ぶつかってこられた♀個体は反射的に反撃しても良さそうなものなのに、喧嘩にはなりませんでした。
(やはりワーカーよりも性格が穏健な新女王なのかな?)
落ちてきた個体♀δはそのまま前庭を少し歩いてからから羽ばたいて出巣しました。
次は巣穴の右奥から更に5匹目の♀εが歩いて出て来て、同様に出巣。
前庭に居残った♀α、βのうち左側の個体が身繕い。
門衛として巣を守っているつもりなのか、触角は油断なく動かしています。

恐れ知らずのオツネントンボが飛来し、巣口に上から垂れ下がっていた柳?の細根に止まりました。
コロニーに勢いがある時期なら追い払うか獲物として狩る瞬間が見れたかもしれませんが、前庭で油を売っているヒメスズメバチからは死角になって見えないようです。
このオツネントンボは虎口で休んでも狩られることなく、いつの間にか飛び去りました。

蝿(ニクバエの一種)が一匹、巣前庭に止まっても、ヒメスズメバチは無関心でした。
私がハエに気を取られている間に、一匹の♀(?)が帰巣し、巣穴の右奥に姿を消しました。



つづく→#7



2018/06/08

八木式アンテナで相互羽繕いするハシボソガラスのつがい(冬の野鳥)



2018年1月中旬

民家の屋根でハシボソガラスCorvus corone)が八木・宇田アンテナと呼ばれる旧式のテレビアンテナに止まって翼を休めていました。
初めは一羽が妙な姿勢で止まっているように見えたのですが、途中から一羽が向きを変えてくれたおかげで、並んでいる2羽が重なって見えていたと判明。
仲睦まじく嘴で相互羽繕い(対他羽繕い)していたので、おそらく♀♂のつがいなのでしょう。
隣の個体の頭部付近の羽毛を嘴で逆撫でるように優しく撫でていました。
羽繕いされた個体はお返しすることなく、2羽はアンテナ上で少し離れてしまいました。

地デジに移行するとともにパラボラアンテナばかりになって早7年、昔懐かしい八木式アンテナが屋根に設置したままの民家は珍しいですね。
アンテナに対して今回のカラスは特に悪戯していませんでした。

参考:テレビアンテナの天敵とは?(アンテナ工事業社のサイトより引用↓)


従来の八木式アンテナ   魚の骨状のアンテナは   カラスや ハトが 非常に   とまりやすく  嘴による損傷  フンによる腐食  飛び立つときの  衝撃による  素子の破損・・・・・耐用年数が短くなる  最大の原因です

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ハシボソガラス2(野鳥)@八木式アンテナ

2018/05/30

川の水を飲み羽繕いするコハクチョウのペア(冬の野鳥)



2016年11月上旬・午後15:39〜16:09(日の入り時刻は16:35)

川面に浮かぶ2羽のコハクチョウCygnus columbianus bewickii)を撮影。
塒入りが始まる時間には未だ早いようで、川にはこの2羽しかいませんでした。
元々は岸辺に近い浅瀬に居たのですが、私が撮り始めると警戒して川の中央部に移動しました。
長い首を曲げて丹念に羽繕いしています。

岩波科学ライブラリー:藤田祐樹『ハトはなぜ首を振って歩くのか』によれば、

鳥の世界では(中略)首の骨の数が種によって異なっている。12個~13個が一般的だが、ハクチョウでは23個もある。これだけ首が多いと、首をかなり自由自在に動かすことができる。
 鳥たちの首がどれほどよく動くのかは、羽づくろいの様子を見ればわかる。彼らは、首をぐいっと曲げて、くちばしを尾の付け根にある皮脂腺までもっていき、そこから分泌される油をくちばしにつけ、さらに体中の羽毛にぬりつつ羽根の乱れを整える。首が長くて本当によく動くから、尾の付け根にもくちばしがとどくし、全身の羽毛を整えることができるのだ。 (p54-55より引用)


この2羽はつがいなのか、付かず離れず川面を移動しています。
互いの行動をすぐに真似するのは番が親愛の情を示しているのか、微笑ましく思いました。
西日を浴びた白鳥の姿は美しく、なかなか絵になりますね(フォトジェニック)。
カルガモの群れがコハクチョウの近くに来て水浴を始めても、互いに無関心でした。

日陰の岸辺近くに来ると、コハクチョウは川の水を飲み始めました。(@3:50〜)
嘴で川の水を救うと頭を挙げて喉に水を流し込んでいます。
それまでにも嘴を水面に浸すことはありましたが、水を飲んではいませんでした。
体を掻いた時に黒い足が見えました。

※ 日陰のシーンのみ自動色調補正を施しています。(@3.51-5.29, 7.12-8.56)



2018/05/08

アキノノゲシの花蜜を舐めるオオハナアブ♀



2017年10月下旬

稲刈りが済んだ刈田の畦道に咲いたアキノノゲシの群落でオオハナアブ♀(Phytomia zonata)が訪花していました。
左右の複眼がやや離れているので♀ですね。
伸ばした口吻で花蜜や花粉を舐めています。
少し飛んで隣の株へ移動すると、食事の合間に身繕いして体に付着した花粉を落として(食べて)います。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


オオハナアブ♀@アキノノゲシ訪花吸蜜
オオハナアブ♀@アキノノゲシ訪花吸蜜

2018/05/06

アシナガオトシブミ♀の身繕い



2016年6月上旬

山麓の道端の草むらで見慣れない甲虫を見つけました。
甲虫にあまり詳しくない私は、オトシブミなのかハムシの仲間なのか、よく分かりませんでした。
この個体は腹部が膨満していて鞘翅が閉まらないようです。
鞘翅が半開きのままなのでこれから羽ばたいて飛び立つのかと期待して接写してみました。
ところが、葉上をウロウロと歩きまわるだけでした。
葉の上で立ち止まり、足先を互いに擦り合わせています。

図鑑やネットで探し回ったところ、ホソクビナガハムシと似ているかな?と迷ったりしたものの、ようやくアシナガオトシブミ♀(Phialodes rufipennis)だろうと見当がつきました。


(アシナガオトシブミ)♀の前脚、口吻、触角は長くならない。(『オトシブミハンドブック』p24より)
次に機会があれば揺籃作りを観察してみたいものです。



2018/05/05

ネジレバネに寄生されたキイロスズメバチ♂の身繕い



2017年10月上旬

庭に植栽されたイチジク(無花果)の果樹の葉に
キイロスズメバチ♂(Vespa simillima xanthoptera)が止まって身繕いしていました。
触角が長く、腹部が7節あるので雄蜂♂ですね。

他のスズメバチ類のようにイチジクの熟果を食害したり吸汁したりしないのが不思議です。
満腹したのか、それとも交尾相手の新女王を待ち構えているのですかね?

ところでこの個体の写真で腹部末端付近の黒い縞模様に注目すると、寄生したスズメバチネジレバネXenos moutoni)が腹節の間から顔を覗かせているように見えます。
左右対称ならキイロスズメバチに固有の黒紋だと思うのですが、右側にしか黒い出っ張りがありません。
1年前に山中で捕獲した寄主個体は飛べなかったので、この個体も弱っているのかもしれません。

▼関連記事
ネジレバネに寄生され飛べないキイロスズメバチ♂
ネジレバネに寄生されたキイロスズメバチ♂は飛べなくなる?


キイロスズメバチ♂+スズメバチネジレバネ寄生?@イチジク葉+身繕い
キイロスズメバチ♂+スズメバチネジレバネ寄生?@イチジク葉+身繕い
キイロスズメバチ♂+スズメバチネジレバネ寄生?@イチジク葉+身繕い

2018/04/26

リンゴの果実を食害するモンスズメバチ♀と待ち伏せるニホンアマガエル



2017年10月上旬

山麓のリンゴ園の樹上で赤く熟した果実に大きな食痕があり、そこに一匹のモンスズメバチVespa crabro)のワーカー♀が止まっていました。
大顎で果肉を噛んでいます。
白い果肉の塊をかじり取っても、獲物の肉団子のように巣へ持ち帰るのではなく、しばらくするとその場に吐き捨てました。
果肉を咀嚼してリンゴの果汁を絞りとるように飲んでいるだけと判明。
食事の合間に身繕いしています。

モンスズメバチ♀が食べたリンゴの切り口が茶色く変色していないので(白いまま)、新鮮な食痕なのでしょう。

リンゴ果実中心付近の糖度の高い部分(俗に言う蜜が入った部分)には到達していませんでした。(蜜が入らない品種なのかな?)
モンスズメバチ♀は赤い果皮も齧って、丸い食痕をどんどん大きくしています。
果樹園にとっては、もしかすると野鳥による食害よりもスズメバチの方が深刻かもしれません。
しかしスズメバチ類はリンゴの葉を食害する害虫(イモムシ、毛虫に限らず甲虫も)を大量に捕食してくれる益虫でもあります。
特にモンスズメバチは、リンゴの幹から吸汁するセミもよく狩るはずです。
したがって、果樹園でスズメバチを安易に駆除すると必ずや酷いしっぺ返しに会うでしょう。
枝に生ったリンゴ果実を直接食害するスズメバチは今回初めて見ましたし、近くのリンゴの木を見て回っても他にはいませんでした。
果樹園の中には入らず周囲の道から見て回っただけですが、リンゴ園の地面に散乱する落果には意外にも昆虫は来ていませんでした。



▼関連記事
飼育チャイロスズメバチ♀にリンゴを与えてみる
剥いたリンゴの皮や芯を吸汁するシダクロスズメバチ♀ 
剥いたリンゴの皮や芯を吸汁するクロスズメバチ♀ 

撮影していると、上の枝からニホンアマガエルHyla japonica)がのっそりと降りて来ました。(@2:20)
喉をヒクヒクさせながら蜂を見下ろしています。
リンゴ熟果に誘引された昆虫を待ち伏せして捕食するのでしょう。
モンスズメバチを捕食する狩りの瞬間が見れるか?と期待しつつ固唾を飲んで見守りました。
しかし、ニホンアマガエルの舌が届く射程距離まで獲物が近づきませんでした。
強力な毒針を持つスズメバチは手出しするべきではない危険な獲物だとアマガエルは認識しているのでしょうか?
だとすればモンスズメバチの黄色と黒の縞模様は、捕食者に対する警告色(警戒色)として見事に機能したことになります。(ミューラー型擬態)
やがて諦めたカエルが枝を登って居なくなってしまいました。
普段このニホンアマガエルはリンゴ熟果で待ち伏せしてハエなどを捕食しているのでしょう。
単に今回のアマガエルは空腹ではなかったのか、獲物としてモンスズメバチは大き過ぎたのかもしれません。



【追記】
松浦誠、山根正気『スズメバチ類の比較行動学』という専門書の第12-3章で、「果樹害虫としてのスズメバチ」についてまとめてありました。
 (リンゴ果樹の)被害の発生は年によって差がある。渡辺(1949)は北海道におけるリンゴの被害について、200品種以上の植栽された園で'シキシマ’が9月中旬頃からV. crabroV. mandariniaの(モンスズメバチとオオスズメバチ:しぐま註)集中加害を受け、30%の果実が表皮と果芯を残しことごとく食害されたと報告している。この品種は表皮は比較的薄く、果実は軟質で酸味がやや強く9月下旬頃成熟する。しかし、表皮が厚く、果肉の硬い晩生品種にはまったく被害がみられなかったという。(p325より引用)



モンスズメバチ♀@リンゴ果実+食害吸汁+ニホンアマガエル@待ち伏せ

2018/04/18

昼塒で休むユビナガコウモリの群塊と鳴き声♪【暗視映像と声紋解析】



2017年9月中旬・午後16:55頃(日の入り時刻は午後17:43)

コウモリが昼塒としているトンネルの探検を続けます。
山麓に埋設されたボックスカルバート@山形県には水が浅く流れていました。
入口近くでは一匹ずつバラバラに天井や壁からぶら下がっていました。
群れで互いに身を寄せ合わせたくても、コンクリートの天井からぶら下がるための足掛かりとなる裂け目が足りないのだろうか?と想像したりしました。
コウモリ保全のためのコウモリピットが天井に設置されているようには見えません。(†追記参照)


しかし真っ暗なトンネルの中ほどまで進むと、ようやくコウモリの群塊を見つけました。
侵入者に驚いて飛び回っている個体もいます。

天井の中央部から数十頭のコウモリがぶら下がっています。
私がそっと近づくとコウモリ達は覚醒しており、毛繕いしている個体もいました。
キュキュキュ♪、キキキキ♪、もしくはキャキャキャ♪という鳴き声をひっきり無しに発しています。
昼塒に侵入した私に対する警戒声なのでしょう。
トンネル内でずっと反響していた謎の鳴き声の正体がようやく分かりました。
コウモリの鳴き声といえば超音波なのに、どうして私の耳に聞こえるのか不思議でした。
音響学について私は勉強不足なのですが、まさか超音波が閉鎖空間で反響すると周波数が下がってヒトの耳に聞こえるようになるのですかね? (そんな馬鹿な)
コウモリ幼獣の鳴き声は声変わりしていない可聴域なのか?と無知な私は妄想したりしました。
しかしコウモリの子育てが終わる時期を見計らって入洞したので、はっきりと幼獣と分かるコウモリの姿は見つかりませんでした。(無事に乳離れした?)

大沢夕志、大沢啓子『身近で観察するコウモリの世界―町を飛ぶ不思議な野生動物 (子供の科学★サイエンスブックス)』という本によると、コウモリが超音波を発するのは飛びながら獲物を捕るためのエコロケーションのためだけではないそうです。

ほかの動物と同じように、コウモリどうしのおしゃべり、親子で確認し合ったり、おこったり、プロポーズしたり、にも使う。
この時は、わりと低い声を使うので、例えばアブラコウモリでも人間の耳に聞こえることがある。 (p71より引用)

『コウモリ識別ハンドブック』の解説編にもう少し専門的なことが書いてありました、


 コウモリが発する音声は、障害物や餌の認識以外にも利用される。その中でも重要な役割が個体同士のコミュニケーションで、その際に発せられる声はソーシャル・コールコミュニケーション・コールといわれる。日本産のコウモリでは研究がほとんど進んでいないが、これらの音声は、餌を探索する際のものとは異なるパルスタイプを持ち、バリエーションもさまざまである。アブラコウモリの場合、少なくとも9タイプのコミュニケーション・コールを発し、中にはわれわれの可聴域の超音波の声も確認されている。 (p79より引用)

最後に赤色LED懐中電灯を点灯し、ハンディカムの暗視モードではなく通常のHD動画で撮影してみました。
(赤色の照明はコウモリの目にはあまり見えないとされています。)


こちらのカメラの方が内蔵マイクが高音質のようで、コウモリの鳴き声が明瞭に録音されていました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



赤色LEDで照らしながら撮った短い(6秒間)動画から音声をWAVファイルに抽出し、スペクトログラムを描いてみました。
カメラの仕様により16kHz以上の高音(および超音波)は録音されていませんが、可聴域に明らかに声紋が認められました。

トンネル内の気温を測るべきでしたね。
おそらく外気温よりも安定していて湿度も高いはずです。


昼塒で寝ていた野生コウモリをなるべく驚かさないように、ここまでかなり気を使って探検してきました。(赤外線の暗視カメラや赤色LED懐中電灯の使用など)
ここで初めてストロボを焚いて群塊の写真を撮ってみました。
私には未だコウモリの種類を自信を持って見分けられないのですが、写真同定できる方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えて下さい。
ユビナガコウモリMiniopterus fuliginosus)ですかね? (あまり自信がありません)
洞窟の塒では複数種のコウモリが混群(混棲群塊)を形成している場合もあるのだそうです。

鳴き騒いでいるコウモリの群塊の下をくぐってトンネルをそのまま通り抜けるのは躊躇われたため、何枚か必要最低限の写真を撮ってからトンネルを引き返すことにしました。


群塊の奥には離れ離れでぶら下がる個体も写っている。

コウモリ群塊の写真を拡大すると、とても興味深いものが写っていました。

つづく→ユビナガコウモリの体表に寄生するクモバエの一種 (名前を教えて)



†【追記】
谷本雄治『コウモリたちのひっこし大計画 (地球ふしぎはっけんシリーズ)』によると、

山形県のトンネル式用水路では、山をくり抜いただけの穴がコンクリート製に変わり、ユビナガコウモリやモモジロコウモリがぶら下がれない恐れが出てきた。
 向山さんはそこで、モモジロコウモリのために50cm四方のバットボックスを考えた。(中略)ユビナガコウモリ用にはすきまのない、浅い箱型のバットボックスを用意した。うれしいことに、約30匹のモモジロコウモリがすぐさま利用を始めた。
(p77-78より引用)

国交省のサイトで公開している『計画段階を含むコウモリ類の保全対策事例』というPDF文書に事例8「コウモリピットによるコウモリの保全の試み」と題した写真を見つけました。
山形県の導水路内に設置され、保全対象種はユビナガコウモリとモモジロコウモリ。




↑【おまけの映像】
“How artificial intelligence is helping scientists talk to animals - BBC News”

コウモリが超音波で鳴き交わす音声データとそれに伴う行動の映像を大量に機械学習させて、AIに鳴き声の意味を翻訳させる研究が進んでいるそうです。

2018/04/14

ガードレールの枯れ蔓に初期巣を作るキアシナガバチ創設女王



2016年5月上旬・午前8:48〜9:01

平地の池に近いガードレールを前の年に覆い尽くしたクズの蔓が枯れたまま残っていました。
そこにキアシナガバチPolistes rothneyi)の創設女王が営巣していました。
巣盤の外縁部に新しい巣材(天然パルプ)を大顎で薄く引き伸ばしながら付け足して育房を増設しています。
ガードレールの南東面に営巣していたのは、やはり日当たり良好な物件を作っているのでしょう。

巣材を使い切って一仕事を終えると、女王様は巣盤の天井部に登り身繕い。
少し休んだだけでもう巣から飛び立ち、次の巣材を集めに出かけました。

しばらくすると、女王蜂が巣材集めから帰巣しました。
巣材をどこで採取してきたのかは不明です。
黒っぽいパルプの団子を噛みほぐすと、前回とは違う育房をせっせとこしらえています。
ガードレールに絡み合ったクズの蔓が邪魔で、思うように撮影アングルを確保できず、苦労しました。
育房内に産卵済みだと思われますが、その写真も撮れませんでした。
(こういうときは手鏡があれば便利なのですけど、あいにく持っていませんでした。)


このガードレールには他にも別の種類のアシナガバチ創設女王が営巣していました。(コアシナガバチフタモンアシナガバチ



キアシナガバチ創設女王@初期巣:ガードレール枯蔓+育房増設
キアシナガバチ創設女王@初期巣:ガードレール枯蔓+育房増設
キアシナガバチ創設女王@初期巣:ガードレール枯蔓+育房増設
キアシナガバチ創設女王@初期巣:ガードレール枯蔓+休息
キアシナガバチ初期巣:ガードレール枯蔓
キアシナガバチ初期巣:ガードレール枯蔓・全景
キアシナガバチ初期巣:ガードレール枯蔓・全景

2018/04/12

昼塒のトンネル天井で身繕いするコウモリ【暗視映像】(名前を教えて)



2017年9月中旬・午後17:46(日の入り時刻は午後17:43)

水が流れるトンネル(山麓に埋設されたボックスカルバート@山形県)を更に奥へ進むと、天井でバラバラに(少し間隔を開けて)ぶら下がっていたコウモリが次々に飛び立ちました。
ところが一頭だけ逃げずに身繕いしている個体wがいます。
こちらに背を向け、片足(右後脚)で天井からぶら下がっていました。
私が赤外線の暗視動画を撮りながら回り込んでも、なぜか全く怖がりません。
尾膜や翼を一心不乱に舐めて身だしなみを整えているようです(甘噛みしてる?)

なにしろ生きた野生コウモリを観察するのが初めての私は、何がどうなっているのかよく分からずに色々と想像しました。
・もしかすると、しがみついている幼獣を母親が舐めているのですかね?
・左の後脚を怪我していて、舐めて治そうとしているのかな?

後半にようやく顔をしっかり拝めたものの、私には何という種類のコウモリか分かりませんでした。
どなたか見分けられる方がいらっしゃいましたら、是非教えて下さい。
この個体wの性別も不明です。(陰茎は確認できず)

そろそろ日没後の採餌活動時刻が始まるはずですが、最後まで逃げなかったので飛び立つ瞬間の映像も撮れませんでした。
野生のコウモリに手で触れて強引に飛び立たせる訳にもいきません。(コウモリに触れるのは法律で禁じられていますし、病原菌に感染する恐れもあります)
この個体wと別れ、私はトンネルの探検を続けます。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2018/04/09

イチジクの未熟果を舐める謎の黒い蝿 【名前を教えて】



2017年9月上旬

平地の民家の庭に植栽されたイチジク(無花果)の木に未熟な果実がなっていて、そこから早くも甘い匂いが辺りに漂っていました。

このイチジクの匂いに誘われたのか、黒くて小さな見慣れないハエが1匹、イチジクの青い実の表面を頻りに舐めていました。
その合間に、手足を擦り合わせて身繕い。

最後は少し飛んでイチジクの葉に止まり直しました。

同定のため接写よりも採集を優先したら失敗し、残念ながら飛んで逃げられてしまいました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。




イチジクと共生して授粉を助けるイチジクコバチの話は蜂好きの教養として知っていました。
しかし日本ではイチジクコバチは生息しておらず、

日本で栽培されているイチジクはほとんどが果実肥大に日本に分布しないイチジクコバチによる受粉を必要としない単為結果性品種である。(wikipediaより引用)



コバチ以外でイチジクの授粉に関与する微小のハエはいなかったっけかな?とうろ覚えの私は気になり、念の為に動画で記録してみたのでした。


私にはこのハエが所属する科も見分けられないので、邪道ですがとりあえず周辺情報からインターネット検索に頼ります。
大森直樹『一年中楽しめるコンテナ果樹の育て方』という栽培マニュアル本の内容がヒットしました。

ヨーロッパではドライフルーツに向く、大玉のスミルナ種といわれる系統の品種が主に栽培されています。この系統の品種はすべて、雄花の授粉がされないと結実しません。雄花の咲く品種群をカプリ系といいますが、この花粉をもったイチジクの受粉のために生きているといっても過言ではないのが、ブラストファーガという極小のハエ。ミルナ種のお尻の小さな穴から侵入し、受粉が行われます。ハエは、一度中に入ったら外には飛び立てず、すぐに死んでしまいます。
このハエはほとんど人の目には見えない大きさなので、食べてもわかりません。また、ドライにする過程で自然殺虫殺菌されているので、体への害はありません。
残念ながら日本国内にこのハエは存在せず、果実を実らせることは不可能です。(p92より引用)

ところが更に調べてみると呆れたことに、ブラストファーガなる昆虫はハエではなく、イチジクコバチ類Blastophaga spp.)の属名でした。
つまり、この書籍の記述は昆虫学的に不正確であることが分かりました。


「イチジク 黒いハエ」のキーワードで検索し直してみると、「イチジク属植物とイチジクコバチの共生関係を脅かすハエ類」と題した生物学者による興味深い読み物がヒットしました。
沖縄で野生のイヌビワ(イチジク属の植物)の実を調べた結果、

タマバエに寄生される花嚢は種子も作れなければコバチも育ちません。クロツヤバエに寄生される花嚢はコバチが食べられてしまいます。

同じ研究グループによって「イチジクコバチを専食するクロツヤバエがイチジクに与える影響」という研究成果も学会で報告されているようです。

日本生態学会大会講演要旨集 巻:58th ページ:457 発行年:2011年03月08日
残念ながらこの要旨の内容は一般に公開されておらず、未読です。


タマバエは明らかに動画の個体と形態が異なるので除外しました。

クロツヤバエに注目して、もう少し深堀りしてみます。
素人目にはクロツヤバエ類のずんぐりむっくりした体型は、私の動画に登場する個体と似ているような気がします。
しかし私が見た個体は体色が黒いものの、黒光りしているという印象はありませんでした。
曇っていたので光沢(つや)が無かったのですかね?
前述のように、私が出歩くフィールドにイチジクコバチは生息していないはずなので、それを専門に捕食寄生するクロツヤバエも居ないはずです。
ただし、クロツヤバエ科には何種類もいるそうなので、未だ望みはありそうです。


「知られざる双翅目のために」というサイトによると、

クロツヤバエ科(LONCHAEIDAE)は、世界に9属約520種を擁する比較的小さな分類群。幼虫が果実を食害するため、害虫としても扱われる。
日本では2013年時点で7種が記録されているが、まだ数種類の未記載種や未記録種が残っていると推定される。
wikipediaによれば、
(クロツヤバエ科の)幼虫の大部分は植食性で、葉に食害をもたらすことが知られているが、腐食性、捕食性などの種も知られている。
一方、英語版wikipediaを参照すると更に気になる記述がありました。
The black fig-fly Silba adipata McAlpine is a pest of figs.
しかし、イチジクの害虫として知られるこの学名(Silba adipata)のハエは(今のところ)日本に分布していないようです。

私が見た個体はクロツヤバエの一種ではないか?と思ったのは素人の勝手な妄想・願望でしかありません。
もし写真や動画からこのハエの名前が分かる方がいらっしゃいましたら(科だけでも)、ぜひご教示願います。
ここまで長々と書いてきても結局、私が見たハエはクロツヤバエ科ではなかったというオチかも知れません。
たとえ関係なくても、この機会に調べものしたら面白く勉強になったので、ブログに書き残しておきます。

もしこのハエが私の予想通りクロツヤバエ科でしかも♀なら、もう少し粘って観察すればイチジクの未熟果に産卵したかもしれませんね。

また、このイチジクの木がもし自分の庭に植えられたものなら、実を収穫してハエの幼虫(ウジ虫)が中に居ないかどうか調べてみたいところです。
市販されているイチジクの果実を口にする機会も滅多にありませんが、ハエの幼虫が潜んでいたという記憶はありません。

ウジ虫が中から食害したイチジクの果実は腐ったように変色するらしく、普通はヒトが食べる前に廃棄処分されてしまうのでしょう。


【追記】
調べ物でいつもお世話になっている「みんなで作る双翅目図鑑」サイトの画像一括閲覧ページ を眺めていたら、とてもよく似たハエの写真を見つけました。
Lauxanioideaシマバエ上科,Lauxaniidaeシマバエ科Minettia sp.  画像提供 Mbc様

シマバエ科という分類群は初耳です。
シマバエ科Lauxaniidaeは腐敗植物質、鳥の巣の汚物で繁殖する他、生きた植物に寄生するものも知られる。(wikipediaより引用)

『マグローヒル科学技術用語大辞典 第3版』によれば、
シマバエ科 Lauxaniidae無脊動 双翅目,環縫亜目,無弁亜区の昆虫の一科.幼虫は葉肉に穿孔する.
Minettia属については英語版wikipediaを参照。
謎のハエが今回イチジクに来ていたのは偶然なのか、それとも何か深い関係があるのか、興味深いところです。
幼虫はイチジクの葉で育つリーフマイナーなのでしょうか?




2018/04/06

フェンネルの蕾に群がり吸汁、身繕いするアカスジカメムシ



2017年8月下旬

雨上がりの夕方、民家の庭に生えたフェンネル(=ウイキョウ)アカスジカメムシGraphosoma rubrolineatum)が群らがっていました。
蕾にじっとしているだけで、映像としてはあまり面白くありません。
おそらく花芽から吸汁していると思われますが、マクロレンズで口元を接写して口吻を植物体に突き刺しているかどうか確かめるべきでしたね。
近くに黄色の花が咲き始めているのに、花よりも蕾の部分が好みのようです。

他にも細い花柄をよじ登っている個体や、前脚を互いに擦り合わせ触角をしごいている個体がいました。


▼関連記事 (前年の映像ではアカスジカメムシを1匹しか撮れていません)
フェンネルとアカスジカメムシとコアシナガバチ♀


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/03/25

キリのつぼみの萼から吸汁し身繕いするツマジロカメムシ



2017年5月中旬

河原の橋の下に立つキリ(桐)の高木で、開花前の蕾なのに多数のツマジロカメムシMenida violacea)が集まっていました。

今回はそのうちの一匹cに注目して撮りました。
せかせかと歩いて枝をてっぺんまで登り、蕾の萼に静止しました。
クロアリとの遭遇をきっかけに少し枝を降り、花柄で立ち止まると身繕いを始めました。
口吻や触角を左右の前脚で挟んで拭っています。
再び花柄を少し登って蕾の萼に静止し、吸汁しているようです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


▼関連記事(同じ日に続けて撮影した別個体)
桐の花の萼から吸汁し飛ぶツマジロカメムシ
桐の萼で吸汁しながら交尾するツマジロカメムシ♀♂
キリの枝を登り身繕いするツマジロカメムシ


2018/02/09

ユリズイセンの花で盗蜜するオオフタオビドロバチ



2017年8月下旬

平地の花壇に咲いたユリズイセン(アルストロメリア)の群落でオオフタオビドロバチAnterhynchium flavomarginatum)が訪花していました。
吸蜜シーンをよく観察すると、正当訪花せずに花筒の根元の隙間から頭を突っ込んで蜜腺を直接舐めています。
雄しべに体が全く触れませんから、ユリズイセンの受粉を媒介しません。
これは盗蜜行動の一種ですね。
「花弁(花びら)や蕚(がく・花被片)の間から蜜を吸い取る。」タイプの盗蜜です。


茎を登り降りしているのは、獲物のイモムシを探索しているのかな?
(オオフタオビドロバチの性別の見分け方を知りません。)
後半は、葉に止まって身繕いを始めました。
実は、正当訪花っぽいシーンも稀にあったのですが、撮り損ねてしまいました。


ユリズイセンを園芸植物としてヒトが品種改良する間に、花筒が隙間だらけになってしまった、言わばセキュリティがユルユル、ガバガバになってしまったのではないかと思います。
ユリズイセンの原種にはこんな隙間は無かったのではないかと私は予想しています。
しかし、もしユリズイセンが主に球根で増えるのだとしたら、盗蜜されても大した損失は無くて、隙間の無い花筒を進化させて送粉者を限定する(花と虫の共進化)必要があまりないのかもしれません。

あるいは、ユリズイセンの花の形状と長い雄しべ、雌しべから考えると、想定している送粉者はハナバチではなく、大型のアゲハチョウの仲間なのかもしれません。
▼関連記事 
ユリズイセンの花蜜を吸うキアゲハ



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ユリズイセンの花から盗蜜する狩蜂を新たに見つけることができて、とても興奮しました!
(今までのリストは、フタモンアシナガバチ♀エントツドロバチ♀。)
この日は更にもう一種類の狩蜂が盗蜜していました。(映像公開予定


【追記】
花が赤い品種のユリズイセンに正当訪花して吸蜜する個体を観察しました。



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