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2018/01/22

コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その3】



2016年10月下旬・午後15:27〜15:57
▼前回の記事
コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その2】


コンクリート壁面に3匹で集合していた、おそらくオオナミザトウムシNelima genufusca)と思われる第2群のうち1匹(小型の♂?d)が群れを離脱して移動を始めました。
右側の第2および第4歩脚が根元から欠損した個体です。(-R2,4)

壁面をいったん右に移動してから下に向かい、地面に到達すると砂利の上で静止。
その間、コンクリート壁面では2匹efが静止したまま居残っています。


e,f


もしこの集合が配偶行動なら、ライバル♂に対して劣位の♂が諦めて♀から離れたのか?と解釈するのですが、ザトウムシのことをよく知らない私にはなんだかよく分かりません。
そもそも、♀を巡って♂同士の争いがあったようには見えませんでした。

少し目を離した隙に、いつのまにか♂?d-R2,4が壁面に戻っていました。
幸い、カラーペンなどでマーキングを施さなくても歩脚の欠損具合から個体識別が可能です。
地上から高さ80cmのところにあるコンクリートの庇に逆さまにぶら下がった体勢で縦溝を乗り越えました。
一休みしてから、更に壁面を右へ右へと移動を続けます。
立ち止まっているときも長い歩脚で辺りを探っています。

しばらくすると、いつの間にかコンクリート壁を登り切り、上の資材置き場を歩き回っていました。
雪囲い用に保管された丸太の上を徘徊し、木造家屋の板壁を登り始めました。

一匹狼の個体♂?d-R2,4がこの後どこに行ったのか、残念ながら見届けていません。
集団越冬に適した場所を探しているのだとしたら、軒下の隙間などを調べたのかもしれません。

それにしても、恐ろしく長い歩脚による滑らかな走破能力は見ていて惚れ惚れしますね。
複数の歩脚が同時に欠損しても支障なく歩行(移動運動)を続けられる冗長性が素晴らしいです。
次世代の惑星探査ロボットは、車輪やキャタピラを移動手段とするのではなく、ザトウムシ型の八足歩行ロボットにしてはどうでしょう?

つづく→その4




【追記】
今回注目した個体は、特に長い第2歩脚の右側を根元から欠損しているのに支障なく歩行運動できたことが興味深いです。
昆虫で言えば、触角の片方を失った状態です。

ザトウムシは昆虫のように触角をもっておらず、歩行器官である歩脚、特に前から2番目の一対を触覚センサとして用いることでその行動を可能にしているとされている。」
門脇廉; 野原拓也; 菊地吉郎. 221 ザトウムシのセンサとしての歩脚 (OS3-3: 生物遊泳・飛翔とバイオミメティクス (3), OS3: 生物遊泳・飛翔とバイオミメティクス). In: バイオエンジニアリング講演会講演論文集 2007.20. 一般社団法人 日本機械学会, 2008. p. 279-280.

2018/01/21

コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その2】



2016年10月下旬・午後15:06〜15:14


▼前回の記事
コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その1】

横に長いコンクリート壁(建物の土台の西面)で、先程見つけた第一群の右側には、更に別の3匹が集まっていました。(第二群:左から順にd,e,f)
これらもオオナミザトウムシNelima genufusca)と似ています。
雨を凌げる庇(地上からの高さ80cm)の下にひっそりと潜んでいます。
中央の個体eは大型なので♀なのかな?
横から見ると、胴体の下面(腹側)が白く、背側から見るよりも腹部の体節構造が明瞭に分かります。

大型のeを左右から挟んでいる小型の個体d,fは♂なのか、それとも幼体なのかな?
しかし♀♂の配偶行動は見られず、ただじっとしています。

♀が性成熟するまで♂が交尾前ガードしているようにも見えますけど、そもそもザトウムシの繁殖期が秋なのかどうか知識がありません。

互いにかなり接近した状態で静止しており、長い歩脚が絡み合っています。(個々の歩脚を数えるのも一苦労)
歩脚が何本か欠損している個体がいます。

強い横風に吹かれて、胴体が上下に揺れています。
横から見ると、長い歩脚のサスペンションで胴体が支えられていることがよく分かります。


つづく→群れから一匹が離脱


d,e,f
d,e,f
d,e,f:側面
d
e
e
e:側面
f

2018/01/20

コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その1】



2016年10月下旬・午後15:04〜15:12

里山の麓にある建物の土台(基礎)となるコンクリートの壁面(西面)にザトウムシの仲間が群がっていました。
おそらく地面から歩いて登ってきたのでしょう。
壁面の数カ所に別れて集結しています。
初めは交尾や求愛行動なのかと思ったのですが、垂直の壁にへばり付くように、じっと静止していました。
ザトウムシの配偶行動(※)は未見ですけど、秋に行うのですかね? (確かザトウムシの繁殖期は秋ではない…はず?)
おそらく集団越冬する場所を探している途中なのでしょう。

まず、3匹(a,b,c)の群れに注目しました。
素人目には同種に見えるのですけど、真相は分かりません(種名不詳)。
日本産ザトウムシを見分けられる実用的な図鑑がいつになっても刊行されないので、在野のナチュラリストは困ってしまいます。
形態分類が困難なのであれば、DNAバーコーディングによる簡便かつ確実な同定が早く普及して欲しいものです。
ザトウムシを殺さなくても歩脚の先端を切除すればDNAを採取する試料になるはずです。

全くの当てずっぽうですが、私の写真と見比べると素人目にはオオナミザトウムシNelima genufusca)と似ています。
胴体の大きさ(体長)は、まちまちです。(未採寸)
成体だと体長は♀>♂らしく、更に幼体が混じっているのかもしれません。(私は性別の見分け方も知りません)
ちなみに、英語版wikipediaによるとNelima genufuscaはカワザトウムシ科に属するらしい。

日本語のサイトではマザトウムシ科らしいのですが、一体どちらが正しいの?

3匹とも動きがありません。
左から順によく観察すると、

a:計4対(8本)あるはずの歩脚が6本しか無くて、根元から欠損しています。
b:歩脚を1本欠損(-L1)
c:五体満足の個体。

この歩脚の欠損状態で個体識別が可能です。
bとcは互いに長い歩脚で恐る恐る(?)触れ合った結果、この微妙な距離を保っているように思います。

やがて、左下に居た個体aがコンクリート壁をどんどん登り始め、仲間(b,c)に接近します。
長い歩脚で触れられても、先客の2匹(b,c)は逃げたり威嚇したりせず無反応でした。
胴体を跨いですれ違う際に触れたものの、交尾行動は見られませんでした。
庇の下に達したaが静止すると、今度はbが登り始めました。
aに接近すると、互いに身を寄せ合います。
おそろしく長い歩脚同士が互いによく絡み合わないものだと感心します。
しばらくすると、個体aは一番長い歩脚R2だけ動かして、右隣の個体cの様子を探っています。

話には聞いていましたが、実際にザトウムシの大集合を観察するのはこれが初めてです。
カメムシのように、個々のザトウムシが集合フェロモンを放出しているのでしょうか?
今回の3匹は、少なくとも歩脚の触覚を介して互いの存在を認識していることは間違いありません。

越冬適地を各自が自由に探索していると、自然に(結果的に)同種が集まってしまうのかもしれません。
 ザトウムシが群がる壁面を一日中、微速度撮影すれば分布や集合の変化(離合集散)を追跡できて面白い映像になりそうです。

しかし、あいにくカメラの三脚を持参しておらず断念。
コンクリート壁面の上部には庇があって(地上からの高さ80cm)、このまま壁面にへばりついていても雨は凌げるのですが、本格的な冬になればこの高さだと根雪に埋もれてしまいます。
したがって、このままこの壁面で集団越冬する訳ではないでしょう。

実際、後日に現場を再訪したらザトウムシの群れは一匹も居なくなっていました。

つづく→別の小群の行動


※ 『クモのはなしI:小さな狩人たちの進化のなぞを探る』によると、

ザトウムシはクモ形類中、一部のダニを除くと唯一、直接的な交尾を行なう動物ですが、多くの種類では交尾に際して特別な求愛行動のようなものが見られません。ザトウムシの交尾は二個体が出会い、♂にその気さえあればたいていすぐに成立します。♀は、はたから見るかぎりでは、まったく受動的です。 (p132より引用)



【追記】

クモと違ってザトウムシは歩脚が欠損しても再生能力をもたないのだそうです。

ザトウムシの欠損した脚は脱皮で再生しないため、これは頻繫に使われるほどコストがかかる防御手段であり、脚の減少により機動性・感覚能力・代謝率などが低下することが知られている[58][59][60][61][62][63]。一方、脚の欠損は知られる限り交尾の成功率に顕著な悪影響を与えていない[64]。  (wikipedia:ザトウムシより引用)


a,b,c
b,a,c
b,a,c
aがbを跨ぐ
b,a
b
c




2017/07/28

カタオカハエトリ♂の誇示行動(蜘蛛)



2017年5月中旬

水路に近い湿地帯の遊歩道で私が縁石に腰を下ろして食事をしていたら、足元の草に気になる虫を発見。
オレンジ色のタカラダニかと思ったら、とても小さな美しいハエトリグモでした。
カタオカハエトリ♂(Euophrys kataokai)は初見です。

頭胸部と腹部こそ地味な灰色ですけど、とにかく歩脚と触肢がド派手です。
枯れ草の間を徘徊しながら濃紺の第一脚を振り上げて誇示行動を披露してくれました。
他の歩脚および触肢は派手な朱色です。
歩きながら立ち止まると、目立つ第一脚を左右交互にあるいは左右同時に広げてみせます。
注意深く見ると、第一脚の先端だけが白いです。
細い枯れ草の茎を下向きに伝い歩くので、腹面しか見えず残念でした。
第一脚が視覚的に目立つ工夫を凝らしているのは、きっとこれを使って同種に対するコミュニケーションがあるのでしょう。
いつか求愛行動や♂同士の喧嘩を見てみたいものです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

撮影後は枯れ草や草むらをかき分けて必死で探し、ありあわせのビニール袋に採集しました。
後で思い返すと、住居網に潜んでいたようにも思いました。
クモ生理生態事典 2016』でカタオカハエトリの項目を参照すると、

石の下のへこみに白色の小さな袋状住居を作り,その中に潜んでいることが多い


2017/06/22

マミジロハエトリ♂の跳躍【蜘蛛:ハイスピード動画】



2016年6月上旬

山麓の道端の草むらで見つけたマミジロハエトリ♂(Evarcha albaria)が跳ぶ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
後半は更に1/5倍速のスローモーションでリプレイ。


2017/04/19

水平円網の横糸を張るアシナガグモ(蜘蛛)幼体

昔(10年前!)に撮った動画の再投稿です。
シリーズ物なのに、これだけブログに移行し忘れていました。



2007年7月中旬~下旬


卓上蛍光灯の直下に店開きして夜な夜なライトトラップに励むアシナガグモTetragnatha praedonia)の幼体(体長3mm)の造網シーンを動画で記録しました。
粘着性のある横糸を螺旋状に張り進めます。

最後は甑に集中した糸を食い破り、円形の穴を開けます。
完成した水平円網の下面の甑に占座します。



横糸を張る行動を1/5倍速のスローモーションに加工してみました。

2016/12/31

網に給餌したアキアカネ♀を捕食するアカオニグモ♀亜成体(蜘蛛)



2016年9月上旬
▼前回の記事
交尾前ガード中のアカオニグモ♀♂(蜘蛛)の網にムラサキツメクサの花を給餌すると…?


イヌタデを糸で綴った隠れ家に潜んでいるアカオニグモ♀♂(Araneus pinguis)が本当に食欲が無いのか確かめるために、近くで採集したアキアカネ♀(Sympetrum frequens)を給餌してみました。
なぜか昆虫の数がひどく少なくなっていて、捕虫網を持参しなかった私は生け捕りにするのに苦労しました。
(コオロギの幼虫、キタキチョウには逃げられました。)
もしかすると近くの水田で農薬散布された影響かもしれない、と疑ってしまいます。(未確認)




暴れすぎて網を壊したり逃げたりしないようにアキアカネ♀の前翅を半分毟り取っておきます。
垂直円網に付けた瞬間、トンボは擬死状態になり(死んだふり)、隠れ家のクモも無反応でした。
しばらくして網で獲物が暴れた途端に隠れ家からアカオニグモ♀が駆けつけました。
その一方で、近くに居たアカオニグモ♂は無反応でした。
交接前ガード中の♂はもう食欲が無いのでしょう。
先ほど試しに給餌してみたムラサキツメクサの花が未だ網に付着したままぶら下がっています。

アカオニグモ♀は必死に暴れる獲物に噛み付き、毒液を注入しました。
アカオニグモ♀の腹背は薄い黄色で(未だ赤くない)腹面の外雌器に垂体が残っているので、性的に未成熟な亜成体だろうと判明。
獲物が麻痺すると、未だ少し暴れるのも構わずにアカオニグモ♀は捕帯でラッピングを開始。
次に、網に付着したトンボの翅の周囲の糸を噛み切っています。
網のこしきを経由して、隠れ家に素早く獲物を持ち帰りました。
糸で吊り下げた獲物を引き上げ、捕食開始。
♀に食欲があるということは、脱皮するにはまだ早いということになります。

その間、アカオニグモ♂に全く動きはありませんでした。
♀が捕食中なら性的共食いのリスクを避けつつ♂は忍び寄って♀と交接するかな?と期待したのですが、♂は無反応でした。
♀が脱皮して成体になるまで♂は傍らでひたすら絶食・待機するのでしょう。

クモにずっと無視されていたムラサキツメクサの花はいつの間にか網から落ちていました。
自然に落ちたのか、それともクモが網から外して捨てたのか、見落としてしまいました。

※ 後半だけ(@4.13〜)動画編集時に自動色調補正を施しています。

ここまでが、アカオニグモ♀♂を見つけた初日の観察記録でした。

つづく



2016/12/28

交尾前ガード中のアカオニグモ♀♂(蜘蛛)の網にムラサキツメクサの花を給餌すると…?



2016年9月上旬・午後16:07〜16:09

▼前回の記事
アカオニグモ(蜘蛛)の交接前ガード

造網性クモが花を食べるという再現性に乏しい奇妙な食性がずっと気になっていて、機会がある度に調べています。

▼まとめ記事(リンク集)
花を食べる造網性クモの謎
営巣地の近くに咲いていたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の花を採取してアカオニグモAraneus pinguis)の垂直円網に投げつけてみました。
1投目は花が網を素通りしてしまい、失敗です。
網が揺れたのに隠れ家に潜むクモは♀♂共に無反応でした。
(映像はここから)

2投目で花が網に付着しました。
それでも意外なことに、隠れ家(画面左のイヌタデ)のクモは♀♂共に無視したままです。

そこで花に振動を与えるために、音叉を鳴らして花や網に触れてみました。
この振動数(A-440Hz)は網にかかった昆虫が暴れる羽ばたきとほぼ同じらしく、クモを騙せることが知られています。
ところが繰り返しやっても今回のクモは無反応でした。
♀を交接前ガードしているだけの♂成体の食欲が無いのは当然というかよく分かります。
しかし、♀は色気より食い気なのが普通です。
つい先程、隠れ家の♀が歩脚の先で網から伸びる信号糸に触れていることを確認したばかりです。
網にかかった花や音叉の振動を気づいているはずなのに、無反応なのは不思議です。
食欲がなくても網にかかった異物を取り除くために隠れ家から出てきても良さそうなものです。
♀は脱皮前の眠なのかな?

後で思うと、もう少し小さな花を給餌していれば結果は変わっていたかもしれません。
巨大な虫が網にかかったのかと思い、アカオニグモはすっかり怖がってしまったのかな?
以前、造網性クモが食べてくれたアメリカセンダングサの花は未だ咲いていませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

しつこい私はそれでも懲りずに、生きた昆虫を網に給餌してみることにしました。


つづく→網に給餌したアキアカネ♀を捕食するアカオニグモ♀亜成体(蜘蛛)





2016/12/25

アカオニグモ(蜘蛛)の交接前ガード



2016年9月上旬

用水路近くの道端でアカオニグモAraneus pinguis)の垂直円網を見つけました。
昼間なのに造網済みで、網の作り主である♀はイヌタデの穂先を糸でゆるく綴り合わせた隠れ家(地上からの高さ70cm)に潜んでいました。
アカマンマとアカオニグモの組み合わせがちょっと面白く思いました。
よく見ると、♀は歩脚の先で信号糸に触れています。
網に獲物がかかればその振動をいち早く感知して駆けつけ、捕食するのです。

♀はおそらく最終脱皮前の亜成体なのでしょう。
♀のすぐ近くに小柄な♂も居ました。
♀♂ペアで居るアカオニグモを見たのは初めてです♪
♂の触肢がおそろしく複雑な形状に発達していることから、♂は成体であることが分かります。
この♂は、♀が脱皮して成体となり交接のチャンスが来るまでひたすら待っているのでしょう(交接前ガード)。
もしもう一匹のアカオニグモ♂が網に侵入したら、♂同士の争いが見られるはず。

定点観察に通って♀の脱皮からの求愛、交接を観察したいものです。
アカオニグモの交接は♀の網上で一瞬のうちに終わるらしいので、よほどの幸運に恵まれないと野外で観察するのは難しそうです。
オニグモ類を飼育するスキルが未だ私には無いので、採集して飼育に挑戦すべきかどうか悩みます…。


参考:『クモの親と子』p44〜57


『クモのはなしII:糸と織りなす不思議な世界への旅』p8によると

造網性クモ類では♂は成体になると、♀の網に寄生生活をするようになり、自分では餌をとれません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→交尾前ガード中のアカオニグモ♀♂(蜘蛛)の網にムラサキツメクサの花を給餌すると…?



2016/12/23

隠れ家から出て散歩するヤハズハエトリ♂(蜘蛛)



2016年9月上旬

用水路や湿地帯に近い道端の茂みでヤハズハエトリ♂(Mendoza elongata)を発見。
笹の葉が緩く巻いた中に潜り込みました。
すぐにまた外に出てくると、辺りの草むらを徘徊します。
レンズを見上げる仕草が可愛らしい。
触肢で葉をリズミカルに叩いているのは何か意味があるのですかね?
近くに居るかもしれない♀に求愛信号を送っているのでしょうか?

後半は跳躍シーンを240-fpsのハイスピード動画で撮ろうとしたのですが、途端に跳んでくれなくなりました…。
最後に同じ隠れ家へ帰還する様子を意味なくハイスピード動画で記録しました。(@3:28〜)
中に筒状住居(巣)があるのかもしれません。
外から葉巻を軽く叩いたり押したりしてクモを追い出しても、しばらくすると戻って来ます。
もしかすると、最終脱皮前の♀が脱皮室に潜んでいて♂が交接前ガードしていた可能性も考えられます。
♂が中に潜り込んだ状態で笹の葉ごと採集しようとナイフで茎をそっと切りかけたら、脱出して逃げられてしまいました…。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

7年ぶりの嬉しい遭遇でした。

▼関連記事 @2009年9月上旬
ヤハズハエトリ♂(蜘蛛)



2016/12/18

夜のオオトリノフンダマシ♀(蜘蛛)と卵嚢【暗視映像】

2016年9月上旬

平地の用水路沿いに生えたノリウツギの灌木でオオトリノフンダマシCyrtarachne inaequalis)の卵嚢を見つけました。
紡錘形で褐色の卵嚢が1つ吊り下げられています。
卵嚢の近くを探すと、葉に成体♀も発見。
少し離れているので、これを「卵嚢ガード」と称して良いものやら迷います。





夜になってから現場を再訪して、赤外線の暗視動画で撮影しました。
オオトリノフンダマシ♀はノリウツギ花穂の近くの葉表に静止していました。
辺りを夜蛾が飛び回っているのに、未だ造網を始めていません。
周囲に枠糸なども見当たりませんでした。
後半、白色LEDを点灯してもクモは逃げたりしませんでした。
おそらく夜も更けてから水平円網を張り始めるはずですが、この日の私はひどく疲れていたので夜間観察は諦めて帰りました。

いつか機会があれば、トリノフンダマシ類の室内飼育にも挑戦してみたいものです。
その場合は、生餌の蛾を調達する算段を整えないといけません。
貯穀害虫のカシノシマメイガなどが良いかもしれません。




2016/12/02

桑の葉の隠れ家に潜むヤマシロオニグモ♀(蜘蛛)


2016年8月中旬・午後18:00

用水路沿いに生えたクワの葉裏にヤマシロオニグモ♀(Neoscona scylla)を見つけました。
触肢は発達していないので、♀または幼体だと思います。



フラッシュを焚いて写真を撮っていたらクモは閃光を嫌ったのか、移動を始めました。
葉表に回り込んで葉柄近くに移動しました。
葉を軽く糸で綴って隠れ家になっているようです。

これから暗くなると造網を始めるのかと期待しましたが、辺りに枠糸などは見当たりませんでした。

あまり見かけない種類ですけど、この近くで前年にも見ているので、ほそぼそと生息しているようです。

▼関連記事
ヤマシロオニグモ♀アトグロ型(蜘蛛)が垂直円網で身繕い



2016/11/21

夜の自販機で円網に横糸を張るズグロオニグモ(蜘蛛)



2016年7月下旬・午後20:05頃

道端に設置されたコカコーラの自動販売機で夜、ズグロオニグモYaginumia sia)が造網中でした。
ちょうど粘着性の横糸を螺旋状に張っているところでした。
垂直円網が完成するとクモは甑を噛み切り、下向きに占座しました。
触肢をよく見ると、成体♂ではありませんね。
同じ自販機のあちこちに複数のズグロオニグモが造網していました。
サイズや発育段階はまちまちです。

日が暮れると自販機パネルのバックライトが点灯します。
照明に誘引される夜行性昆虫を捕食するために造網性クモはここで店開きするのでしょう。
動画に撮るとその蛍光灯がちらついて見難いですね。
次回は造網の一部始終をじっくり撮影してみたいものです。



2016/11/17

イエユウレイグモ♀(蜘蛛)の卵嚢ガード



2016年7月下旬

物置部屋の扉の陰の床上でイエユウレイグモ♀(Pholcus phalangioides)が不規則網を張り卵塊を抱えて守っていました。
照明で照らしながらマクロ動画に記録しました。

眩しい光を浴びてもクモに動きは無く、逃げたりしませんでした。

母クモを刺激すると卵嚢を抱えたまま網を揺する振身威嚇するかどうか、試してみればよかったですね。
私が下手に手を出すと♀はこの営巣地から逃去しそうな気がして、躊躇してしまいました。

もうひとつ心残りは、卵嚢ガード中に給餌したときの母クモの行動を観察できなかったことです。(卵嚢を一時的に保管して獲物を捕食するらしい。)
これは来期以降の宿題になります。

幼体が孵化する様子を観察したかったのですが、この時期は他に色々と手を広げ過ぎてしまい余力がありませんでした。
(カメラがもう一台あれば…。)



2016/10/28

キレワハエトリ♀(蜘蛛)がウラジロイチゴの果実を食べた?!



2016年7月下旬

山間部の道端の藪でウラジロイチゴ(=エビガライチゴ)の赤く熟した果実を摘んで食べていると、見慣れないハエトリグモを見つけました。
前脚(第1脚)がやや太く、おそらくキレワハエトリ♀(Sibianor pullus)と思われます。

完熟した赤いウラジロイチゴの果実に長時間居座っているのが気になります。
純肉食性とされるクモがイチゴの実を食べたり果汁を飲んだりしているとしたら非常に興味深いので、胸が高鳴りました。
昨年、花を食べる造網性クモを調べていたこともあり、「クモの植物食」という珍しい習性についてアンテナが敏感になっています。

▼関連記事
花を食べる造網性クモの謎:2015年
本当に果実を噛んでいるかどうか口器をじっくり接写したくても、残念ながら撮影アングルを確保できませんでした。
(私が下手に藪に踏み込むとクモは逃げ出してしまうでしょう。)

もしクモがウラジロイチゴの実を噛んで吸汁しているとしたら、噛み跡から果汁が滲む気がします。
しかしマクロレンズで接写しても、そのような噛み跡は見つけられませんでした。


葉の裏面が白く見えるのでウラジロイチゴ。

後半は引きの絵で撮ってみると、ハエトリグモが陣取っているのは見るからに周囲で最も熟れた果実でした。
これは果たして偶然でしょうか?

吸汁目的ではなく、甘いキイチゴに来る虫を捕食するため待ち伏せしていた可能性も考えられます。
そのような獲物はカメムシぐらいしか思いつかないのですが、ハエトリグモがカメムシを捕食しているのは一度も見たことがありません。

▼関連記事
クマイチゴの果実を吸汁するツマジロカメムシ
クマイチゴの果実を吸汁するトゲカメムシ

『クモの科学最前線:進化から環境まで』で植物食を扱った章を読み返しても木苺の実を食べたり吸汁したりする記述はありませんでした。
勿論、徘徊中のハエトリグモがたまたま木苺の実に居ただけかもしれません(例:写真素材 - ハエトリグモは、小さな野生のイチゴのようなフルーツの上に腰掛けています)。
クモがイチゴの果実を食べたことをどのように証明すれば良いでしょうか?
クモを解剖して吸胃の内容物に木苺由来の果糖(フルクトース)が含まれるかどうか分析するのが確実ですけど、素人には無理な実験です。
飼育下でイチゴの果実を給餌したら、飲み水を一切与えなくてもイチゴを吸汁して生き延びられるでしょうか?
(ハエトリグモの飼育では霧吹きするなどして飲水を必ず与えないと、死んでしまいます。)
体が半透明な種類のハエトリグモを材料にすれば、吸胃がイチゴの果汁で赤く染まるのが透けて見えるかもしれません。

店で売っている食用のイチゴは農薬(殺虫剤)が残留していそうなので、実験するなら野生の木苺の実を使わないといけませんね。※

クモを採集しようか迷いながら動画を撮っていると、まるで私の殺気を感じたかのようにハエトリグモは滑落/懸垂下降し、藪の奥に見失ってしまいました。

カメムシ(おそらくトゲカメムシ)も近くでウラジロイチゴの果実を吸汁しに来ていたのですが、撮り損ねました。


逃げて行くカメムシの後ろ姿
※ もう一つの実験アイデアとしては、造網性クモの網に木苺の実を投げつけてみるのも面白そうです
ほとんどのクモは迷惑な異物として捨てるでしょうけど、中には味見してみて気に入り、イチゴを食べてくれる個体もいるかもしれません。




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