2022/12/26

アナグマの溜め糞で吸汁するクロヒカゲ♂と肉食性ハネカクシの攻防

 

2022年8月中旬・午前10:25頃・晴れ・気温25℃
▼関連記事(前夜および前前夜の撮影) 
夜の溜め糞場に通い、排便およびスクワットマーキングするニホンアナグマ♂【トレイルカメラ:暗視映像】
ニホンアナグマMeles anakuma)が里山のスギ林道に残した溜め糞sを観察していると、クロヒカゲ♂(Lethe diana)が飛び回っていました。 
飛来シーンをまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 

左のやや軟便の小糞塊に着陸すると、クロヒカゲ♂は翅をしっかり閉じたまま、すぐに口吻を伸ばして一心不乱に吸汁し始めました。 
クロヒカゲが土を舐めてミネラル摂取するシーンは過去に何度も見ていますが、獣糞に来たのは初見です。
関連記事(1、2年前の撮影)▶  
土を舐めてミネラル摂取するヒカゲチョウの群れ【HD動画&ハイスピード動画】 
砂利道の土を舐めるクロヒカゲ♂

蝶が飛来したら、先客のキンバエは飛び去ってしまいました。 

やがて、溜め糞の右奥のスギ落ち葉の下から肉食性のアカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)が忍び寄りました。(@1:17〜) 
ハネカクシに襲われそうになった寸前に、クロヒカゲは翅を素早く開閉して撃退しました。(@1:38〜) 
1/5倍速のスローモーションでまずはご覧ください。 
一瞬だけ全開したクロヒカゲの翅表を見ると、前翅の白帯が不明瞭なので♂と判明。

右隣の糞塊(しっかりした一本糞×3)にカメラをパンすると、別個体のアカバトガリオオズハネカクシに襲われかけたキンバエの一種が逃げていました。 

しばらくすると、クロヒカゲ♂は右の大きなアナグマ糞塊に移動して、吸汁を続けています。 
溜め糞で待ち伏せしていたサビハネカクシOntholestes gracilis)がクロヒカゲ♂に襲いかかろうとすると、蝶は素早く飛び退きました。(@3:16〜) 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 
狩りに失敗したサビハネカクシはすごすごと右へ立ち去りました。 

私は未だ肉食性ハネカクシの狩りが成功したシーンを見たことがありません。 
周囲の山林ではエゾゼミ♂とミンミンゼミ♂がやかましく鳴いています。 

クロヒカゲ♂は充分に吸汁して満足したらしく、私が他の昆虫を撮影している間にいつの間にかアナグマの溜め糞から飛び去り、二度と戻って来ませんでした。
糞塊の右下にサビハネカクシ
アナグマ溜め糞の全景

2022/12/25

山の泉で育つトウホクサンショウウオ幼生をすくって見る

 

2022年8月下旬・午後12:35頃・晴れ 

夏でも冷たい湧き水(地下水)が流れ込む山中の泉で、珍しい水生動物を見つけました。 
これまでアズマヒキガエル幼生(オタマジャクシ)の大群を定点観察していたのですが、変態が完了して池から全て居なくなるまでサンショウウオ幼生の存在に気づきませんでした。 
岸辺の浅いところに居たのを咄嗟に素手で掴み取りました。 
小魚のように逃げるかと思いきや、その動きは鈍かったです。 
透明プラスチックのお魚観察ケース(13.5×3.5×7.0cm)に移してから、じっくり観察してみましょう。 
(映像はここから) 

後で図鑑などで調べると、トウホクサンショウウオHynobius lichenatus)の幼生でした。
生まれて初めての出会いです。 
山中を流れる沢の源流となる、こんな池に居るとは知りませんでした。
尻尾に黒い斑点模様があります。 
四肢が伸びていて、胸部の横に外鰓が張り出しています。 

山渓ハンディ図鑑9『日本のカエル+サンショウウオ類』でトウホクサンショウウオを調べると、
幼生は、秋までに変態して上陸する。(p167より引用)
wikipedia:トウホクサンショウウオによれば、
幼生ははじめは12-14mm程度の大きさで、動物性プランクトンや川エビ、水棲昆虫などを捕食する[4][5][2][3]。共食いをすることもある[2]。 多くの個体は生まれた年の秋までに40mmほどになって成体へ変態するが、なかには越冬して翌春まで幼体のものもいる[4][5]。

容器の底でじっと静止していて、容器を揺らしても無反応。
私が指を水中に突っ込んでしつこく触れると、ようやく泳いで逃げました。 
尻尾を左右にくねらせて小魚のように泳ぎます。 

容器の側面には定規の目盛が刻んであるので、容器越しに採寸することができます。 
真夏でも湧き水の水温が低いために、プラスチック容器の表面がすぐに曇ってしまいます。 
邪魔な結露を布で何度も拭き取りながら撮影しました。 
この日は温度計を持参せず、池の水温を測れませんでした。 

観察した後はトウホクサンショウウオ幼生を池に戻してやりました。(再放流) 
いつか飼育してみたいものです。 
安易に採集しても、真夏に生かしたまま険しい山道を下山して家まで無事に持ち帰れる気がしません。







ミズナラの幹を登るトゲアリ♀の行列:仲間の成虫を運んで引っ越し

 

2022年8月中旬・午後13:10頃・くもり 

里山の尾根道の横に立つ朽ちかけたミズナラの幹にトゲアリPolyrhachis lamellidens)の行列ができていました。 
仲間の成虫を大顎で咥えて運んでいるワーカー♀が居たので、新しい巣へ引っ越し中なのだと分かりました。 
アリの死骸を餌として巣に運んでいるだけかと初めは思いましたが、運ばれているアリの胸から赤い棘が生えているのが見えたので、同種の成虫と分かります。 
運んでいるのは羽化直後の若い成虫だと思います。 
女王アリなら体長がもっと大きいはずです。 
互いに向かい合って大顎で噛み合い、怪力で持ち上げると前進で木登りしてます。 
荷物が樹皮にひっかかって登りにくいときは、少し登る向きを変えて角度をずらして障害を乗り越えます。 
空荷で登る後続の個体に追い越されたり、上から降りてくる個体とすれ違ったりしています。 
追い越す際には触角で触れて同じコロニーの仲間だと確認していました。 
コロニー引っ越し作業の序盤なのか終盤なのか分かりませんが、他に卵や幼虫・蛹を運んでいるワーカーは居ませんでした。 
ムネアカオオアリの引っ越しは過去によく見かけたのですけど、トゲアリでは初見です。
▼関連記事(0、11年前の撮影) 
仲間を運んで引っ越すムネアカオオアリ♀の行列 
仲間の成虫を咥えて引越しするムネアカオオアリ

トゲアリの行列は朽ちかけたミズナラの幹の洞を通り過ぎて更に登っていました。
新しい営巣地を突き止められませんでしたが、樹洞内にあるはずです。 
辺りでミンミンゼミ♂が鳴いています♪ 

マクロレンズを装着しようか迷いました。
もたもたしている間に成虫を運搬する個体が私の届かない高さまで登ってしまいそうだったので、通常のマクロモードで接写しました。 
レンズをあまり近づけ過ぎると、肝心の被写体が影になってしまいます。 

営巣には洞の出来るようなある程度太い、一定の樹齢のある樹木が必要なため、あまり若く細い樹木ばかりの林にはほとんど生息していない。 営巣 ある程度太い、樹齢のある樹木の根元近くにある洞等を巣に利用していることが多い。樹種はコナラを筆頭に、クヌギ、スダジイ、サクラ等が多い。原則としてこれらは即ち、後述の寄生対象である宿主アリが営巣していた場所ということになる。ただ、何らかの理由で環境が悪化すると、一旦乗っ取りに成功して繁栄した巣穴を捨てて、近距離の別所に引っ越す場合もある。 本種は他のアリのコロニーに一時的に寄生する一時的社会寄生を行う。wikipedia:トゲアリより引用)



関連記事(1年後の撮影)▶ 幼虫を運んで引っ越しをするトゲアリ♀の行列 

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