2021/01/27

柿泥棒の野生ニホンザル♀が逃げた先は…【猿は渋柿を食べる?】

 

2020年10月上旬・午後15:20頃・くもり 

山里に出没した野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)と遭遇したのでそっと追いかけると、某施設の駐車場(グランド?)に猿の群れが散開していました。 
私の接近に気づいた猿が一斉に走って逃げ出しました。 
その中で何かオレンジ色の果実を抱えて逃げる個体が気になりました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、どうやら近くの集落でカキノキの未熟果を失敬してきたようです。 

逃げた先を見やると、口に餌を咥えたニホンザル♀が山の急斜面に張り渡さられた電線を伝ってスイスイ登って行きます。 
平行に並んで張られた複数の電線に四足を掛けて登るため、ケーブル1本の綱渡りよりも安定しています。 
ここは、山の急斜面の高低差を利用した小規模な水力発電所なのでした。 
こんな秘密基地みたいな施設があるとは知りませんでした。 

電線を張り渡す鉄塔に到達した猿は、「ここなら安全」とばかりに、鉄塔の天辺に腰を下ろして持ってきた柿の実を食べ始めました。 
背後はスギ林です。 
果実に付いていた葉の形状から、リンゴではなく柿の実と確定しました。 
完熟しておらず、黄緑色〜黄色の固い果実をボリボリと食べています。 
未熟な柿の実はタンニンを含み強烈に渋くて食べられないはずなのに、猿は気にしないようです。
ニホンザルが渋柿を平気で食べる様子に私は驚いてしまいました。 
あまり渋くない品種なのかな? 

▼関連記事(8年前の冬に撮影)

胸の正面にピンク色の乳首が1対見えたので♀成獣のようです。 
実りの秋、食欲の秋を満喫しているようで、丸々と太って見えます。 
この個体は黒いGPS付きの首輪を装着していました。 
緑色のラベルが首輪に張られているものの、遠くてラベルの文字を読み取れませんでした。 

完食してないのに、食べかけの柿の実の欠片を惜しげもなく捨ててしまいました。
 

食後のニホンザル♀は鉄塔で立ち上がると、再び電線を伝って更に上へ登り始めました。 
股間に睾丸が見えないので、やはり♀で間違いないでしょう。 
黄色いケーブルに手を掛けると右へ勢い良くジャンプして、鉄製の階段に飛び移りました。
見事な跳躍を1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 

発電所の作業員が使う階段を野生ニホンザルも普段から使い慣れているようで、少し登ると途中で座り込みました。 
カメラを上にパンすると、階段を登り切った地点のコンクリートから別個体のニホンザルが見下ろしていました。 
コンクリートの縁に腰掛けているこの個体も、GPSの首輪を装着していてます。 

柿泥棒の個体に注目して撮影したので、一緒に逃げた群れの行方をほとんど見失ってしまいました。 

砂利道で吸水およびミネラル摂取するヤマトスジグロシロチョウ♂

 

2020年10月上旬・午前11:50頃・晴れ 

林道の入山口に沢の水が流れ出して濡れていました。 
その濡れた砂利道でヤマトスジグロシロチョウ♂(Pieris nesis)が秋の日差しを浴びながら吸水していました。 
翅を半開きのまま口吻を伸ばして地面を頻りに舐めています。 
土壌に含まれるナトリウムなどのミネラル成分を摂取しているのでしょう。 
秋風が強く吹いて翅が煽られても必死に踏ん張り、吸水を止めません。 
ときどき自発的に飛び立つものの、少し飛んで水場の吸水ポイントを変更するだけでした。 
地面に適度な湿り気があれば良いらしく、水たまりの深みには近づかないようにしているようです。 

何度か離着陸を繰り返した後で、後半は濡れ落ち葉(大きいのでホオノキ?)の上に乗って舐め始めました。 (@2:36)

かなり長時間吸水していたのですが、映像を見直してもヤマトスジグロシロチョウ♂が腹端から排尿するシーンは撮れていませんでした。
白飛びして見逃したのかもしれませんが、口吻に注目して横から撮ると腹端は翅に隠れて見えないことが多いです。

平凡社『日本動物大百科9昆虫II』によると、
(シロチョウ類が)なぜ吸水するのかという疑問に関して、いくつかの説があるが、♂の性成熟を促進するためにミネラルを採り入れることが必要なのだ、という説が有力である。(p37より引用)
 

『フィールドガイド日本のチョウ』によれば、
(ヤマトスジグロシロチョウの)♂は吸水性が強く、林道沿いなどで吸水集団がよく見られる。(p91より引用)


 

▼関連記事(12年前の撮影) 
スジグロシロチョウ♂の吸水
ヤマトスジグロシロチョウかどうか、要再確認

2021/01/26

ナギナタコウジュの花で採餌するトラマルハナバチ♀

 

2020年10月上旬・午後14:35頃・くもり 

山麓の道端に咲いたナギナタコウジュの群落でトラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が忙しなく訪花していました。 
マルハナバチ類の中でも長舌種のトラマルハナバチは、ナギナタコウジュに正当訪花で吸蜜するには持て余すほど舌が長いです。 
そのため、花弁が次から次に落ちてしまいます。(落花) 
後脚の花粉籠に黄土色/黄色の花粉団子を大量に付けています。 
現場は薄暗い林縁でした。
▼関連記事(6年前の撮影) 
ナギナタコウジュの花蜜を吸うトラマルハナバチ♀

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