2018/04/27

セイタカアワダチソウの花蜜を吸うオオバコヤガ(蛾)



2017年10月下旬

農道沿いに咲いたセイタカアワダチソウの群落で地味な蛾が訪花していました。
近くで吸蜜していたハナアブ(種名不詳)がバランスを崩して大きく動いたせいで、驚いた蛾が転がり落ちるように飛び立ちました。

同一個体を追いかけて、吸蜜シーンの撮影を続けます。
側面からのアングルだと口吻の動きがよく分かります。
花序の上を歩き回りながら口吻と触角を激しく動かし、かなりがっついて吸蜜していました。

同定してもらうために写真を撮ったら、おそらくストロボの閃光に驚いたのでしょう。
セイタカアワダチソウの花から少し飛んで近くの葉に移動しました。
やがて翅を細かく震わせて本格的に飛び立つ前の準備運動を始めました。
残念ながら飛び立つ瞬間は撮り損ねてしまいました。
どうやらこの蛾は暖かい昼間でも急には飛び立てず、準備運動で体温を上げる必要がある種類のようです。
(気温を測るべきでしたね…)

さて、問題はこの蛾の名前です。
ヤガ科だと思うものの、それ以上は私には分かりませんでした。
いつもお世話になっている「新・蛾像掲示板」に投稿して問い合わせたところ、ニセタマナヤガも候補に挙がったのですが、川北和倫さんよりオオバコヤガDiarsia canescens)ではないかとご教示を頂きました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


オオバコヤガ?(蛾)@セイタカアワダチソウ訪花吸蜜
フラッシュを焚かない方が翅の模様がよく写りました。(色調補正後)
オオバコヤガ?(蛾)@セイタカアワダチソウ葉(色調補正後)

2018/04/26

ガードレールの枯れ蔓に初期巣を作るフタモンアシナガバチ創設女王



2016年5月上旬・午前9:08〜9:24

平地の池に近いガードレールを前の年に覆い尽くしたクズの蔓が枯れたまま残っていました。
そこにフタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)の創設女王も営巣していました。

帰巣した女王蜂が口元に咥えた巣材(パルプ)の団子を更に噛みほぐし薄く引き伸ばして育房を増設します。
育房壁を伸長する造巣作業が一段落すると、巣盤の天井部で小休止。
作ったばかりの育房は唾液で濡れて黒っぽく見えます。
やがて出巣して次の巣材を集めに行きました。

ガードレールの南東面に営巣していたのは、やはり日当たり良好な物件を作っているのでしょう。
育房内に産卵済みだと思われますが、ガードレールに絡み合ったクズの蔓が邪魔で撮影アングルが確保できず、写真に撮れませんでした。


フタモンアシナガバチ初期巣:ガードレール枯蔓
フタモンアシナガバチ創設女王@初期巣:ガードレール枯蔓+育房増設
フタモンアシナガバチ創設女王@初期巣:ガードレール枯蔓+育房増設
フタモンアシナガバチ創設女王@初期巣:ガードレール枯蔓・全景

リンゴの果実を食害するモンスズメバチ♀と待ち伏せるニホンアマガエル



2017年10月上旬

山麓のリンゴ園の樹上で赤く熟した果実に大きな食痕があり、そこに一匹のモンスズメバチVespa crabro)のワーカー♀が止まっていました。
大顎で果肉を噛んでいます。
白い果肉の塊をかじり取っても、獲物の肉団子のように巣へ持ち帰るのではなく、しばらくするとその場に吐き捨てました。
果肉を咀嚼してリンゴの果汁を絞りとるように飲んでいるだけと判明。
食事の合間に身繕いしています。

モンスズメバチ♀が食べたリンゴの切り口が茶色く変色していないので(白いまま)、新鮮な食痕なのでしょう。

リンゴ果実中心付近の糖度の高い部分(俗に言う蜜が入った部分)には到達していませんでした。(蜜が入らない品種なのかな?)
モンスズメバチ♀は赤い果皮も齧って、丸い食痕をどんどん大きくしています。
果樹園にとっては、もしかすると野鳥による食害よりもスズメバチの方が深刻かもしれません。
しかしスズメバチ類はリンゴの葉を食害する害虫(イモムシ、毛虫に限らず甲虫も)を大量に捕食してくれる益虫でもあります。
特にモンスズメバチは、リンゴの幹から吸汁するセミもよく狩るはずです。
したがって、果樹園でスズメバチを安易に駆除すると必ずや酷いしっぺ返しに会うでしょう。
枝に生ったリンゴ果実を直接食害するスズメバチは今回初めて見ましたし、近くのリンゴの木を見て回っても他にはいませんでした。
果樹園の中には入らず周囲の道から見て回っただけですが、リンゴ園の地面に散乱する落果には意外にも昆虫は来ていませんでした。



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撮影していると、上の枝からニホンアマガエルHyla japonica)がのっそりと降りて来ました。(@2:20)
喉をヒクヒクさせながら蜂を見下ろしています。
リンゴ熟果に誘引された昆虫を待ち伏せして捕食するのでしょう。
モンスズメバチを捕食する狩りの瞬間が見れるか?と期待しつつ固唾を飲んで見守りました。
しかし、ニホンアマガエルの舌が届く射程距離まで獲物が近づきませんでした。
強力な毒針を持つスズメバチは手出しするべきではない危険な獲物だとアマガエルは認識しているのでしょうか?
だとすればモンスズメバチの黄色と黒の縞模様は、捕食者に対する警告色(警戒色)として見事に機能したことになります。(ミューラー型擬態)
やがて諦めたカエルが枝を登って居なくなってしまいました。
普段このニホンアマガエルはリンゴ熟果で待ち伏せしてハエなどを捕食しているのでしょう。
単に今回のアマガエルは空腹ではなかったのか、獲物としてモンスズメバチは大き過ぎたのかもしれません。



【追記】
松浦誠、山根正気『スズメバチ類の比較行動学』という専門書の第12-3章で、「果樹害虫としてのスズメバチ」についてまとめてありました。
 (リンゴ果樹の)被害の発生は年によって差がある。渡辺(1949)は北海道におけるリンゴの被害について、200品種以上の植栽された園で'シキシマ’が9月中旬頃からV. crabroV. mandariniaの(モンスズメバチとオオスズメバチ:しぐま註)集中加害を受け、30%の果実が表皮と果芯を残しことごとく食害されたと報告している。この品種は表皮は比較的薄く、果実は軟質で酸味がやや強く9月下旬頃成熟する。しかし、表皮が厚く、果肉の硬い晩生品種にはまったく被害がみられなかったという。(p325より引用)



モンスズメバチ♀@リンゴ果実+食害吸汁+ニホンアマガエル@待ち伏せ

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