2017/05/06

ソヨゴの赤い実を採食するツグミ(冬の野鳥)



2017年2月上旬・夕方16:40~17:00頃

雪道の路肩で何やら採食している冬鳥のツグミTurdus eunomus)が気になって、通りを見下ろす向かい側の建物内から動画を撮り始めました。
ここ雪国では除雪車のおかげで車道の両側に雪の壁が高く形成されます。
雪の壁に埋まっていた赤い実を1羽のツグミが探しては啄んでいました。
その辺りは実はちょうどタクシー乗り場になっていて、客待ちのタクシーが並んでいます。
見ている私は初め、ツグミの採食メニューが何か分かりませんでした。
タクシーの運転手が暇つぶしで野鳥に何かを給餌しているのか、それとも赤いジュースを雪にこぼしたのか?と一瞬疑いました。
しばらく観察を続けると、歩道に植樹された常緑樹に赤い実がなっていて、その一部が下に落ちて雪に埋まっているのだと状況が飲み込めました。

この見知らぬ街路樹を後で調べてみると、現時点ではおそらくソヨゴ(別名フクラシバ)の雌株だと思います。
花が咲く季節まで定点観察に通い、樹種をしっかり確かめるつもりです。(※追記参照)
ソヨゴは分布の北限が新潟県と宮城県らしいので、寒冷な山形県で生育可能なのか微妙なところです。

車道を車がひっきりなしに通っても、このツグミはあまり恐れません。
ツグミは路肩から雪の壁を見上げると雪に埋まっていた赤い実を目がけて飛び上がり、ほじくり出して食べる、という行動を繰り返しています。
食後は雪に嘴を擦り付けて拭うこともありました。

ツグミは雪道を2本足でぴょんぴょん跳ねて元気に移動します。
エンジンを掛けたままアイドリングしているタクシーの排気ガスがかかってもツグミは全く気にせず、車の周囲を平気で歩き回っています。

日本の野鳥は一般に嗅覚が鈍いとされているので、排気ガスの匂いを嫌わなくても不思議ではありません。
むしろ排気ガスの温もりが気に入り、積極的に近づいているのかな?と思ったりしました。




落果を食べ終えたツグミは後半になると冠雪したソヨゴの樹上に止まり、枝先に残った赤い実を直接採食するようになりました。

このツグミは通行人も車もほとんど恐れず、かなり大胆というか人馴れした個体だという印象を受けました。
食糧の乏しい厳冬期には食べることで必死なのかもしれません。
歩道を下校中の学童に見つかったときだけツグミは警戒して少し逃げました。
一方、大人は野鳥の営みに全く気付かず無関心に雪道を行き交います。
客待ちのタクシー運転手が車外に出て煙草を吸っている間もソヨゴ樹上のツグミ(約3mの至近距離)は逃げませんでした。(映像なし)




日が暮れると、ツグミはこのまま葉の茂った街路樹ソヨゴの枝を塒(ねぐら)にするかと期待したものの、暗くなるとやがて姿が見えなくなりました。(午後17:20頃)
おそらく塒は別の場所にあるのでしょう。
ちなみに、この日の日の入り時刻は午後17:10。


※ ガラス窓越しに撮った映像はやや不鮮明だったので、動画編集時に自動色調補正を施しています。



以下は2日後に改めて現場を再訪して撮った街路樹ソヨゴ?の写真。
残念ながら赤い実はもう鳥に食べ尽くされて残っていませんでした。

『野鳥と木の実ハンドブック』p22によると、ソヨゴの赤い実を
近くに鳥がいても鳥が食べているところを私は見たことはない。


※【追記】
花を見逃すまいと定点観察に通い続けて6月中旬、ようやくこの街路樹が開花しました。
小さくて白い花はまったく地味です。
どうやらソヨゴで間違いなさそうです。
ソヨゴは雌雄異株です。
この個体は実がなる雌株ですし、花を接写してみると雌しべしか無いことが確認できます。
ちなみに、同じ通り沿いで少し離れたところにソヨゴの雄株と思われる街路樹も見つけることができました。



更に定点観察を続け、2018年1月上旬に撮った赤い実の写真を追加しておきます。



2017/04/19

水平円網の横糸を張るアシナガグモ(蜘蛛)幼体

昔(10年前!)に撮った動画の再投稿です。
シリーズ物なのに、これだけブログに移行し忘れていました。



2007年7月中旬~下旬


卓上蛍光灯の直下に店開きして夜な夜なライトトラップに励むアシナガグモTetragnatha praedonia)の幼体(体長3mm)の造網シーンを動画で記録しました。
粘着性のある横糸を螺旋状に張り進めます。

最後は甑に集中した糸を食い破り、円形の穴を開けます。
完成した水平円網の下面の甑に占座します。



横糸を張る行動を1/5倍速のスローモーションに加工してみました。

2017/01/21

ヤブガラシの花蜜を吸うホソサビキコリとキイロスズメバチ♀の襲撃



2016年9月下旬

川の堤防に咲いたヤブガラシの群落でおそらくホソサビキコリ(Agrypnus fuliginosus)と思われる甲虫が訪花していました。
吸蜜シーンを撮っていたら、突然キイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が飛来しました。(@0:55)
襲撃は一瞬の出来事なので、先ずは1/4倍速のスローモーションで御覧ください。
キイロスズメバチは花上の獲物に飛びついたものの、硬い鞘翅に身を包むホソサビキコリには歯が立たないと判断したようで、すぐに諦めて飛び去りました。
大型で頑強な大顎を有するオオスズメバチなら小型の甲虫もお構いなしにバリバリと噛み砕いたと思います。
サビキコリの仲間が天敵から身を守る毒液やガスを放出するという話は聞いたことがないのですけど、その可能性もひょっとしてありますかね?(毒があるのなら派手な警告色になっていそうなものです。)



2017/01/11

餌付けされたハシボソガラス(野鳥)



2016年9月下旬

街中の交差点で信号待ちをしていたら、前方の路上にハシボソガラスCorvus corone)が一羽立っていました。
車の交通量が結構多い通りですが、赤信号で車が来ないタイミングをカラスは理解しているようです。
クルミ割り行動ではないので不思議に思って撮り始めると、左手の豆腐屋から急に食物が投げられました。
カラスは転がった餌を走って取りに行くと、その場では食べず、嘴に咥えて飛び去りました。
繁殖期は終わっているはずなので、巣に帰って雛に給餌するのではなく、どこか落ち着いた場所で自分が食べるのか、あるいは貯食しに行ったと思われます。
どうやら店の主人がカラスに餌付けしているようです。
餌は茶色の塊でしたから、おそらく「油揚げ」または「がんもどき」でしょう。
「鳶に油揚げをさらわれる」という諺がありますけど、「烏に油揚げをさしあげる」のは初めて見ました。



【追記】
 柴田佳秀『わたしのカラス研究(やさしい科学)』によると、
実験の結果から、カラス(ハシブトガラス)は生肉が一番好きで、次に魚肉ソーセージと油あげが好きだということがわかりました。反対に野菜やめざしはきらいなようです。 
・カラス(ハシブトガラス)を飼育している人から聞いた話では、パンにバターをぬると、その部分だけを食べるといいます。とにかくカラスは「あぶら」が大好きなのです。(p19より引用)

地中で繭を紡ぐウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫【100倍速映像】




▼前回の記事
繭作りのため地中に潜るウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫【60倍速映像】


ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#13


2016年9月中旬・午後21:09〜午前11:06

飼育下で営繭を観察するのは無理かと諦めかけていたら、ウスムラサキイラガAustrapoda hepatica)の終齢幼虫はプラスチック円形容器の縁と接する地表の窪みに落ち着き、口から絹糸を吐いて繭を紡ぎ始めました。
微速度撮影で記録したので、100倍速の早回し映像をご覧下さい。
ちなみに、丸皿容器の直径は30mm(内径)。

繭室の底となる土に絹糸を敷き詰めて裏打ちしています。
幼虫は地中に完全には潜れなかったため、繭室の上はがら空きで足場がありません。
これからどうするのでしょうか?
砂粒を綴った塊が天井中央まで細長く伸びて、絹糸を架ける足場となる橋頭堡が出来ました。
これ以降は一気に営繭が進みます。
ときどき休む静止時にも背脈管(昆虫の心臓)の拍動がよく見えます。
初め白っぽかった繭が、次第に褐色に変化しました。
本種は毛虫ではないので、繭に抜け毛を織り込んでいるのではなく、絹糸の色が褐色なのでしょう。

同じイラガ科でもイラガ(Monema flavescens)の繭とは似ても似つかない繭が完成しました。
むしろイラガの硬い繭が異例なのでしょう。
完成した繭の中でウスムラサキイラガは前蛹越冬するそうです。
夏になったら成虫が無事に羽化してくれるでしょうか?

21:08 pm
00:40 am
04:03 am
11:50 am
11:50 am
11:51 am
16:08 pm
16:09 pm
16:10 pm





【おまけの動画】
同じ素材で早送り速度を落とした10倍速映像(これがオリジナル)および60倍速映像をブログ限定で公開しておきます。


つづく→#14



【追記】
2020年9月下旬

里山の林道横の法面に自生するアカメガシワ幼木の若葉に黄緑色の懐かしいウスムラサキイラガの幼虫を見つけました。
フィールドで見かけるのはこれが2回目です。
葉の表側に堂々と静止していました。
採集してもう一度飼育しようか迷ったのですけど、この時期は色々と忙しかったので、写真に撮っただけで済ませました。










2017/01/10

ナガボノシロワレモコウの花蜜を吸うクロオオアリ♀



2016年9月中旬

線路沿いに咲いたナガボノシロワレモコウの群落でクロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀が何匹も訪花していました。
おそらく吸蜜しに来たのでしょう。
この日は先を急ぐ用事が合ったので、蟻をマクロレンズでじっくり接写できていません。
(後で思うと、ナガボノシロワレモコウの花にアブラムシが集っていて蟻はその甘露を舐めに来た可能性も考えられますけど、現場ではそのようなアブラムシには気づきませんでした。)

風媒花とされているヘラオオバコも実は蜜腺をもつ虫媒花ではないか?という疑惑がこれでますます強まりました。
詳しくはこちらのまとめ記事(リンク集)をご覧下さい。



【追記】

私は初めこの花をヘラオオバコかと思い込んでいたのですが、訂正しておきます。


繭作りのため地中に潜るウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫【60倍速映像】




▼前回の記事
脚が退化したウスムラサキイラガ(蛾)幼虫の歩行の秘密


ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#12


2016年9月中旬

調べてみるとウスムラサキイラガAustrapoda hepatica)の終齢幼虫は地中に潜って繭を紡ぐのだそうです。
外は雨が降っていたので、軒下から乾いた土を採取してきました。
大き目の砂粒をピンセットで取り除きましたが、土を細かくふるいにかけるべきでした。
直径35mmのプラスチックの皿に土を入れ、その上に幼虫を乗せてみました。
微速度撮影で記録したので、60倍速の早回し映像をご覧下さい。

幼虫はシャーレ側面の円周に沿って徘徊すると、縁から地中に潜り込み始めました。
入れた土の量が浅過ぎたのか、幼虫はすぐに地表に出てきてしまいました。
あまり土を深くすると営繭を撮影できなくなりそうで、量を加減したのです。
容器の外に這い出そうとした幼虫をもう一度地表に戻してみます。

仰向けの状態から起き上がるかと思いきや、横向きの状態で何か作業をしています。
土粒を次々に絹糸で綴って、営繭の足場となる塊を作っているのかもしれません。
自分の体の周囲に土塊の土手を作っています。
排泄した下痢便または口から吐き戻した水分で土を濡らして塊にしている可能性は?

少しずつ前進して容器の縁に達すると、また地面を掘り始めました。
画角から外れないように容器を少し動かすと幼虫は擬死(死んだふり)します。
背脈管(昆虫の心臓)の拍動が見えますね。
しばらくすると警戒を解いて活動を再開。



【おまけの動画】
同じ素材で早送り速度を落とした10倍速映像(これがオリジナル)をブログ限定で公開しておきます。

つづく→#13:地中で繭を紡ぐウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫【100倍速映像】







2017/01/09

ニラの花蜜を吸うミドリヒョウモン♂



2016年9月下旬

道端に咲いたニラの群落でミドリヒョウモン♂(Argynnis paphia)が訪花していました。
風が吹いて花が揺れ、非常に撮り難い条件でした。





脚が退化したウスムラサキイラガ(蛾)幼虫の歩行の秘密




▼前回の記事
ウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫が営繭前に下痢便を排泄


ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#11


2016年9月中旬

いよいよウスムラサキイラガAustrapoda hepatica)の終齢幼虫が営繭場所を探索するワンダリング(徘徊)を始めました。
一緒に飼っているイラガ幼虫のワンダリングに比べると移動速度が遅い印象です。
ミズナラ(食樹植物)の枝を差していたペットボトルの口まで降りて来てウロウロした挙句、自発的に落ちました。

繭作りを観察しやすいように、蚕の繭棚を模したミニシャーレに幼虫を閉じ込めてみました。
糸を紡ぐ足場として細長い紙を丸めて中に終齢幼虫を入れます。
これはヒメクモバチの飼育で上手くいった方法です。

透明なプラスチック容器の蓋越しに、徘徊中の幼虫の腹面の蠕動運動を接写することができました。
本で読んだ通り、確かに腹脚は完全に退化しています。
腹面全体を波打たせるように蠕動して、ナメクジのように前進します。
名著『わたしの研究:イラガのマユのなぞ』p57によると、

イラガの幼虫には、あるくための足がありません(とくに、腹の足は、ほとんどみえません。胸の足は、すこしあとがのこっています)。どうしてあるくかというと、ちょうどナメクジがはうように、からだをうしろからまえへ、波のようにうごかしてすすみます。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

どうやらウスムラサキイラガ終齢幼虫はこの場所が気に入らなかったようです。
繭を作り始めるどころか、紙を丸めた足場用の小部屋を引きずって歩き回り、隙間からの脱出を試みています。
営繭前に消耗しそうで心配になり、この方法は中止しました。


つづく→#12:繭作りのため地中に潜るウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫【60倍速映像】



2017/01/08

ナガボノシロワレモコウの花蜜を吸うキイロスズメバチ♀



2016年9月下旬

用水路沿いに咲いたナガボノシロワレモコウの群落でキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が訪花していました。
花穂をぐるぐる回りながら吸蜜しています。

先客のハナグモ♂Ebrechtella tricuspidata)?とニアミスしても、体格差があり過ぎて(蜂>蜘蛛)勝負になりません。
2匹居たクモのうち1匹が花から慌てて落ちて逃げました。
もしかするとハナグモは縄張り争い中または求愛行動中だったのかも?と思ったものの、スズメバチが邪魔したせいで分からず仕舞いです。



風媒花とされているヘラオオバコも実は蜜腺をもつ虫媒花ではないか?という疑惑がこれでますます強まりました。
詳しくはこちらのまとめ記事(リンク集)をご覧下さい。
今季だけでもスズメバチ科のPolistesおよびVespaの各種が訪花していました。
カリバチは花粉目当てに訪花することはありません。


徘徊性クモが待ち伏せしている時点で、ナガボノシロワレモコウに訪花する昆虫が多いことを示唆しています。



【追記】

私は初めこの花をヘラオオバコかと思い込んでいたのですが、訂正しておきます。


ウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫が営繭前に下痢便を排泄



▼前回の記事
ウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫とイラガ幼虫の小競り合い・威嚇


ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#10


2016年9月中旬

最後の脱皮から6日後、食べて育ったウスムラサキイラガAustrapoda hepatica)の終齢幼虫ミズナラの葉裏で主脈に沿って乗り、静止しています。
従来のような黒い固形の糞ではなく白っぽい液状の下痢便を排泄していました。
いよいよ繭を作り始める準備(前兆)でしょう。
泥水のような糞の雫にズームインしてみます。
ついでに、体表の黒い体毛が根元だけ太いことが分かります。
これはウスムラサキイラガ幼虫の特徴で、同属近縁種ムラサキイラガ(Austrapoda dentata)との識別点らしい。

そのまま動かない幼虫(営繭前の眠)を微速度撮影してみました。(@0:37〜)
10倍速の早回し映像で見ると、蠕動していることがよく分かります。
腹端の肛門がヒクヒクしています。
昆虫の心臓である背脈管が背中の中央に沿った表皮の下で激しく拍動しています。

透明な液体を大量に繰り返し排泄しました。
飼育中に私は食樹の葉に霧吹きしていなかったのに、幼虫がこれほど多量の水分を摂取していたことに驚かされます。
初めに見た泥状の糞(軟便)は、もしかするといつもの固形の糞を排便した後に透明の液体で濡れて溶けたのかもしれません。
幼虫が乗っている葉が斜めになっている(水平ではない)ために、下痢便が流れ落ちました。

最後に幼虫は徘徊を始め、隣の葉に移ると営繭場所を探索する長い旅に出かけました。
もう食欲はありません。

つづく→#11


この写真は自動色調補正済み。体表の剛毛は根元だけ太い。



2017/01/07

フキバッタの幼虫を捕食するニホンカナヘビ【ハイスピード動画】




▼前回の記事
巣口周辺の雑草を避けて飛ぶクロマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】


クロマルハナバチの巣:定点観察#8


2016年7月上旬

クロマルハナバチBombus ignitus)の巣穴に出入りする蜂を240-fpsのハイスピード動画で記録するために長撮りを繰り返していたら、非常に興味深いスクープ映像が撮れてしまいました。
峠道の側溝に繁茂した雑草(ハナタデ??)が伸びて巣穴をすっかり覆い隠しています。




画面右上隅からフキバッタの一種の幼虫が雑草の葉に飛び降りて来ました。
やがて、コンクリート壁面の排水口から出巣してきたクロマルハナバチのワーカー♀が雑草を避けつつ、フキバッタの頭上を通過して外役に飛び去りました。
それに驚いたフキバッタは、葉上を少しだけ前進。
またしばらくすると、フキバッタは壁に向かって自発的に跳び付きました。
その後はじっと休んでいます。

コンクリート壁面を覆う雑草が突然、不自然に揺れたと思ったら小動物が駆け上がってフキバッタを捕食しました。
スローモーションで見直すと、捕食者の正体はニホンカナヘビTakydromus tachydromoides)でした。
茂みに覆われて私は気づかなかったのですが、クロマルハナバチの巣穴の右横下にカナヘビがずっと潜んでいたようです。

コンクリート壁面に止まっていたフキバッタの幼虫を目がけてニホンカナヘビが垂直の壁を一気に走って登り、見事に口で咥えました。
バッタが跳んで逃げる暇を与えませんでした。
カナヘビは獲物を咥えたまま側溝に落下。
狩りの瞬間だけリアルタイム映像に加工してリプレイすると、電光石火の早業であることが実感できます。

もしかするとカナヘビは、巣穴に出入りする蜂を狩ろうと待ち伏せしていたのかもしれません。
巣口近辺の草むらがそれまでにもときどき不自然に揺れているのが気になっていたのですが、その理由がようやく分かりました。
もしカナヘビが巣穴に押し入ったら、クロマルハナバチは集団で防衛・撃退したでしょうか?

ニホンカナヘビが狩りをする瞬間を運良く観察できたのはもちろん初めてで、この日一番嬉しい収穫でした。
偶然撮れた映像ですので、画角の不満はご勘弁願います。

▼関連記事
ハチを捕食するニホンカナヘビ
カメムシの幼虫を捕食するニホンカナヘビ


つづく→#9:帰巣時に渋滞・追突するクロマルハナバチ♀【ハイスピード動画】







ウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫とイラガ幼虫の小競り合い・威嚇



▼前回の記事
脱皮殻を食べるウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫【60倍速映像】


ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#9


2016年9月中旬

ウスムラサキイラガ
Austrapoda hepatica)の終齢幼虫は旺盛な食欲で育ち、かなり丸々と太りました。
枝豆(ひと粒)よりも大きなサイズで、大き目のピーナッツぐらいになりました。

面倒なのでイラガMonema flavescens)幼虫たちと一緒に飼っています。
ともに広食性で、食樹植物の調達が楽なのは助かります。
芋虫のことをあまり知らない人が見れば、幼虫の時期はとても同じイラガ科とは思えないほど外見が大きく異なります。
ミズナラの同じ葉でウスムラサキイラガ幼虫がイラガ幼虫とニアミスすると、互いに嫌がって逃げ出します。
ウスムラサキイラガ幼虫は体を左右に大きく揺すって威嚇しています。
イラガ幼虫が近くに来るとウスムラサキイラガ幼虫が上半身を上下させて腕立て伏せのような威嚇をすることもありました。
イラガ幼虫とは異なり、ウスムラサキイラガ幼虫が口で相手に噛みつく行動は見られませんでした。
イラガ幼虫の方が運動性が高く、接触を嫌って離れて行きます。
ウスムラサキイラガ幼虫の疎らに生えた毛に毒があるのか分かりませんが、小競り合いになってもさほど防御効果は無さそうです。

同じ餌資源をめぐって縄張り争いのような感じになりますが、互いに接触を嫌って離れることで自然に分散して平和が保たれます。

▼関連記事
イラガ(蛾)幼虫同士の喧嘩

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#10:ウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫が営繭前に下痢便を排泄



2017/01/06

ニラの花で獲物を探して飛ぶキイロスズメバチ♀



2016年9月下旬

ニラ畑というほどではありませんが、川沿いの原っぱで半野生化したニラの群落でキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が訪花していました。
吸蜜するかと期待したのですが、他の訪花昆虫を狩ろうとして獲物を探索して飛び回っていました。





脱皮後に抜け殻を食すイラガ(蛾)若齢幼虫【60倍速映像】




▼前回の記事
イラガ(蛾)若齢幼虫の脱皮


イラガ(蛾)の飼育記録#2016-7


2016年9月中旬

脱皮したイラガMonema flavescens)の若齢幼虫は全身のクチクラが固まるまでなかなか食事を再開しません。
脱皮殻の傍らで休みつつ、ときどき蠕動運動しています。
頭部がペコペコと伸縮するのが面白く思いました。

夜になると、ようやく抜け殻を食べ始めました。
少しずつ前進しながら脱皮殻を食べ進みます。
刺毛の生えた肉角の抜け殻も平気で食べてしまうのは驚きです。
そんなものを口にしたら激痛が走りそうですけど、毒棘の抜け殻に毒は含まれていないのでしょうか?
自身の毒には耐性があるのかな?

普段は草食性ですが、脱皮直後だけは抜け殻を食べてタンパク質を補給するのでしょう。
もし抜け殻を取り上げてしまうと、発育が著しく遅れたりするのかな?
完食してもその場でしばらく静止しています(蠕動あり)。



【おまけの動画】
同じ素材で早送り速度を落とした10倍速映像をブログ限定で公開しておきます。

つづく→#8:糸を吐いてぶら下がるイラガ(蛾)幼虫




2017/01/05

アズキの花外蜜腺を舐めるクロヤマアリ♀



2016年9月中旬

家庭菜園の畑でおそらくアズキと思われる花にクロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀を見つけました。
アリの行動を見る限り、蕾の中には入らず花外蜜腺を舐めているようです。



私は作物関係の植物にも疎いのですが、これはアズキ(小豆)ですよね?
初めは細長い実の形からインゲンマメかと思ったのですが、インゲンマメの花は黄色くないようなので除外しました。


「アズキの特性:3.花外蜜腺」と題したPDF資料をインターネット検索で見つけました。

アズキの花が咲く頃、アズキの花梗をよくみていると、数頭の蟻が徘徊し地面と花梗の間を忙しなく動き回っています。なぜでしょうか。このような蟻の行動は、ダイズやインゲンマメの茎ではアブラムシが寄生したとき以外は見られません。(中略)インゲンマメは花外蜜腺が欠如している。



イラガ(蛾)若齢幼虫の脱皮



▼前回の記事
脱皮前の眠で微動だにするイラガ(蛾)若齢幼虫【100倍速映像】


イラガ(蛾)の飼育記録#2016-6


2016年9月中旬・午後15:39〜15:43・室温24.7℃、湿度59%

カキノキの葉表で眠状態のイラガMonema flavescens)の若齢幼虫をせっかく微速度撮影で監視していたのに、肝心の脱皮を開始する瞬間は油断して見逃してしまいました。
素人目には外見が干からびてきて生気が失われ、ただ発育不全で死に行く個体なのかと勘違いしてしまったのです。
カメラが一台しか無い上に、発育段階の異なる複数個体を飼っていると、どうしても他に目移りしてしまうという事情もあります。

気づいた時には体の前半部は既に脱げかけていて、仰天しました。
三脚を用意する余裕もなく、慌てて手持ちカメラで動画を撮り始めました。
今回はリアルタイムのHD動画です。
微速度撮影しなくても意外に早く脱皮することが分かりました。
下半身の抜け殻は白っぽい。
全身が抜け出るにつれて白く細長い気管の抜け殻も伸びていきます。
肉角や刺毛など複雑な形状なのにきれいに脱げるのが面白いですね。

抜け出てすぐに方向転換し、抜け殻の方に向き直りました。
直後は脱皮殻を食べません。

つづく→#7:脱皮後に抜け殻を食すイラガ(蛾)若齢幼虫【60倍速映像】



2017/01/04

ショウリョウバッタ♀の跳躍と飛翔【ハイスピード動画】



2016年9月中旬
▼前回の記事
ショウリョウバッタ♀を捕まえた!

住宅街の路地で採集した褐色型のショウリョウバッタ♀(Acrida cinerea)を手に持ったまま近くの田んぼまでやって来ました。
ここなら車の往来も無く、邪魔されずに落ち着いて安全に撮影することができます。
飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
音声が録音されず無音なのはカメラの仕様です。

農道の地面に解放すると、すかさず跳んで逃げ出しました。
砂利の敷かれた農道では褐色型のショウリョウバッタ♀は見事な保護色になっています。
跳躍(ジャンプ)するだけのときと、力強く跳んでから素早く羽ばたいて飛ぶときがあります。
疲れたらしばらく飛ばなくなるのかな?
飛んで逃げるのは体力を消耗するようで、可能な限りカモフラージュに頼って農道にじっとしています。
繰り返し撮影するとなかなか飛んでくれなくなりました。
少しずつゆっくり歩いて立ち去ろうとします。

後半(@1:36〜)は更に1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
これでようやく羽ばたく際の黄色っぽい後翅が見えるようになりました。

ハイスピード動画(無音)を優先して通常のHD動画(音声あり)では一度も撮らなかったため、ショウリョウバッタの♀が♂とは異なり羽ばたきながらチキチキ…♪と鳴かないことを示す記録が残せませんでした。


脱皮前の眠で微動だにするイラガ(蛾)若齢幼虫【100倍速映像】


▼前回の記事
脚が退化したイラガ(蛾)幼虫の歩行のひみつ


イラガ(蛾)の飼育記録#2016-5


2016年9月中旬・午前00:39〜10:36

イラガMonema flavescens)の若齢幼虫が食事もせずにカキノキの葉表に静止しています。
脱皮前のみん状態は、肉眼で見る限り完全に静止して死んでいるようです。
しかし微速度撮影してみれば、ときどき微かに蠕動運動していることが分かります。
100倍速の早送り映像をご覧下さい。
体内では様々な変化が進行中なのでしょう。
大道芸人の彫刻芸(statue)も早回し映像にすると粗が見えてくるのと似てますね。

ワンダリング(営繭前の徘徊)中の別個体(終齢幼虫)と接触すると入眠中の個体は少しだけ身動きしました。(威嚇?)
移動したり回避したりする能力は無いようです。
ピンセットで棘状突起に触れても、身をよじるだけで逃避のために移動しませんでした。(映像無し)
全身から水分が失われた印象で、棘状突起がやや褐色に変わりました。

要するに、脱皮するまでひたすら愚直に長撮りしている訳です。
初めにセッティングすれば後はカメラに任せるだけなので、別にしんどい作業ではありません。
いよいよ脱皮が近づくにつれて、この自発的な蠕動運動の間隔が短くなります。

つづく→#6:イラガ(蛾)若齢幼虫の脱皮




2017/01/03

ショウリョウバッタ♀を捕まえた!



2016年9月中旬

住宅街の路地で褐色型のショウリョウバッタ♀(Acrida cinerea)を見つけました。
子供の頃はよく見かけて珍しくもなかったバッタですが、最近では久しぶりの嬉しい遭遇でした。
動画で撮りながら少し近づいても予想に反して飛んで逃げることはありませんでした。
靴の先で触れると跳躍してから羽ばたいて逃げました。(飛翔シーンは次回紹介します。)
しかし飛んだ先は民家のブロック塀でした。
歩いて少し登ったところを手掴みで捕獲。
口から醤油状の液体を吐き戻すかと期待したのですが、おとなしくしています。

この路地はいつ車が来るか分からないので、飛翔シーンを落ち着いて撮影できる場所までウキウキと持って行きました。


つづく→ショウリョウバッタ♀の跳躍と飛翔【ハイスピード動画】





脚が退化したイラガ(蛾)幼虫の歩行のひみつ



▼前回の記事
ミズナラの葉を蚕食するイラガ(蛾)幼虫【60倍速映像】


イラガ(蛾)の飼育記録#2016-4


2016年9月中旬〜下旬

イラガMonema flavescens)の幼虫は英語でslug caterpillarと呼ばれるらしく、確かに動き方がナメクジのようです。
まずは側面から接写してみます。
腹脚が退化していて、腹面全体の粘着力を使った蠕動により前進しています。
胸脚も小さく、痕跡程度しかありません。

次は透明プラスチックの飼育容器越しに腹面を接写してみました。
内臓器官が透けて見えます。
その中でも白い顆粒の連なりが目に付きます。
これは何でしょう?
解剖して調べた訳ではありませんが、終齢幼虫だとすれば、繭作りに備えて発達した絹糸腺あるいはシュウ酸カルシウムを貯めこんだマルピーギ管なのかな?
若齢の時期から発達段階を追って腹面の内臓を観察するのも面白いかもしれません。

やがて幼虫は徘徊運動を始めました。
腹面全体が波打ち、前進します。
カタツムリやナメクジとは異なり、這った後に粘液は付いていないようです。

【参考】
カタツムリの腹足の蠕動運動との比較(ヒダリマキマイマイの映像)

前進するヒダリマキマイマイ腹足の蠕動【早回し映像あり】


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。




名著『わたしの研究:イラガのマユの謎』p57によれば、

イラガの幼虫には、あるくための足がありません(とくに、腹の足は、ほとんどみえません。胸の足は、すこしあとがのこっています)。どうしてあるくかというと、ちょうどナメクジがはうように、からだをうしろからまえへ、波のようにうごかしてすすみます。



つづく→#5:脱皮前の眠で微動だにするイラガ(蛾)若齢幼虫【100倍速映像】



2017/01/02

マリーゴールドの花壇で飛ぶコカマキリ♀



2016年9月中旬

平地で車道の端を歩いていたら目の前でコカマキリ♀(Statilia maculata)が少し飛んで逃げたので存在に気づきました。
(映像はここから。)
もうこの時期は幼虫ではなく、有翅の成虫になっています。

マリーゴールドの咲き乱れる道端の花壇でこちらを警戒しながらゆっくり歩き回ります。
訪花する昆虫を待ち伏せして狩らないかな?と期待していると急に飛び立ち、見失ってしまいました。
引きの絵にすれば飛翔シーンがしっかり撮れたのに残念でした…。



ミズナラの葉を蚕食するイラガ(蛾)幼虫【60倍速映像】



▼前回の記事
イラガ(蛾)幼虫同士の喧嘩


イラガ(蛾)の飼育記録#2016-3


2016年9月中旬

イラガMonema flavescens)の幼虫に食樹植物としてカキノキとミズナラの枝を水差しで与えてみました。
ミズナラの葉を好む個体に注目して、食餌のシーンを撮影してみました。
葉表(照明の当たらない裏側)に止まって見事な食べっぷりを披露しています。
葉縁に顔だけ出して蚕食するのですが、胸部のフードに頭部が覆われて肝心の口器の動きが全く見えません。
口元を隠すお上品な食事マナーです。
イラガ科幼虫に特有なこのフードの正式名称をご存じの方は教えて下さい。
名著『わたしの研究:イラガのマユの謎』p29に「イラガの幼虫の口」と題した頭部の細密画が掲載されています。
「頭部は、胸部にもぐりこんでます」と記されているものの、特に名称ば付いていませんでした。

後半は微速度撮影に切り替えたので、60倍速映像をご覧下さい。(@2:50〜)

※ リアルタイムの動きを記録した前半部のみ動画編集時に自動色調補正を施しています。





【おまけの映像】
同じ素材で早回し速度を落とした10倍速映像をブログ限定で公開しておきます。

つづく→#4:脚が退化したイラガ(蛾)幼虫の歩行のひみつ





スズメ(野鳥)がケヤキ並木に集団就塒♪



2016年9月下旬・午後17:33〜17:37

住宅地のケヤキ並木にスズメPasser montanus)の群れが塒入りしていました。
ここは最近新たに見つけた集団塒なのですが、夕方に何度も通ってようやく動画で記録することができました。

駐車場に隣接するケヤキ並木の中で、建物に一番近い所に立ってる木を中心に就塒しています。
ここのスズメは就塒前集合はしていないようです。
少なくとも私には見つけられませんでした。

集団でチュンチュン鳴く声が喧しく響いています♪。
続々と飛来する小群が梢に降り立つ瞬間が何度も撮れました。
まるで木の葉落としのように直接枝葉へ飛び込みます。
ときどき枝から枝へ飛び回って塒内を移動しています。

後半は少しケヤキの木に近づいてから続きを撮りました。
するとスズメが警戒し、次々と飛び上がって上の枝葉に移動しました。
しかし横の車道を車が通ってもスズメは気にしません。

この日の公式な日の入り時刻は午後17:37。
スズメの塒入りがまさに日没時刻と一致していたことに、ちょっとした感動を覚えます。

※ かなり薄暗い映像だったので、動画編集時にHDR-ishのエフェクトを施しています。





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