2015/06/16

ヒオドシチョウ終齢幼虫が足場糸を張り下垂して前蛹になるまで【微速度撮影】



ヒオドシチョウの飼育記録#5

2015年6月上旬

採集してきた4頭のヒオドシチョウNymphalis xanthomelas japonica)幼虫は全て終齢(=5齢)だったようで、次々に蛹化しました。
蛹化する前兆として食欲が無くなり、しばらくじっとするみんの時期を過ごします。
眠から醒めた終齢幼虫が激しく徘徊して垂蛹を固定する場所を選んで足場糸をかがる過程を記録するのが一番難しく、いつも見逃してしまいました。
4頭目の個体d(白インクでマーキング)でようやく撮影に成功しました。
朝8:46:42〜午後17:00:10まで10秒間隔で撮り続けた連続写真(インターバル撮影)を元に、早回し映像を制作しました。

水差しに斜めに立てた柳の若い枝(樹種不明:ひこばえなので枝が木質ではない)に幼虫はしがみつきながら頭を回しこむように動かし始めました。
口から吐いた白い絹糸を枝の表面の一箇所に丹念に塗り付け始め、腹端を固定するためのクッションを作っています。(体は上向き)
ときどき中休みを挟むのは、空になった絹糸腺の合成能力が回復するのを待っているのですかね?

足場糸を張り終えると、枝でUターンして下向きになりました。

しかし、すぐに腹端を固定せずその少し上で休息するのは何故でしょうか?
このせいで、蛹化する場所を直前まで勘違いしていました。
単に体力を使い果たして休んでいただけですかね?
もしかすると糸で作ったクッションは接着剤のようなもので、密着する前にしばらく空気に晒す必要があるのだろうか?と想像を逞しくしてみました。

うろ覚えですけど、「垂蛹の腹端はフック状の細かい突起が幾つもあって、足場糸にひっかけているだけ」と読んだような気がします。(ヒオドシチョウかどうか覚えてませんが、走査型電子顕微鏡の写真を見た記憶が…?)※
14:18:02 pm、遂に幼虫は少し前進して腹端を足場糸に押し付けて固定しました。(下向き)


その後しばらくは枝にしがみついていますが、腹脚の後方から順に枝から離れました。
握力が失われるのか、それとも腹脚が縮んで枝に届かなくなるのかな?
15:43:00 pm、遂に耐え切れなくなり、だらんと下垂しました。
腹端で全体重を支えてぶら下がります。
下垂した前蛹は断続的に蠕動しています。
これから脱皮して垂蛹になります。

つづく→#6:蛹化の微速度撮影


※【追記】
『岩波生物学辞典第4版』によると、
垂蛹[pupa suspensa]()被蛹のうち,糸で樹枝などから垂下しているもの.多くは尾端にある鉤状突起(cremasterという)に糸をかける.チョウ類のタテハチョウ科・ジャノメチョウ科・マダラチョウ科などの蛹はこれである.





【おまけの動画】
同じ素材で再生速度を倍に上げた早回し映像をブログ限定公開します。


芋虫を捕食するスズメ(野鳥)



2015年6月上旬

溜池の畔に並ぶ桜(ソメイヨシノ)の樹上でスズメPasser montanus)が何かの幼虫を捕食していました。
撮り始めるのが少し遅れてしまったので、冒頭は1/4倍速のスローモーションにしました。
食後は嘴を枝に擦りつけて拭い、飛び去りました。

桜の葉は虫喰い穴だらけですが、野鳥が芋虫・毛虫を大量に食べてくれるおかげで生態系のバランスが保たれています。



2015/06/15

マイマイガ(蛾)幼虫=ブランコケムシの懸垂下降



2015年6月上旬

害虫として嫌われるマイマイガLymantria dispar japonica)の幼虫が今年も大発生しそうで、戦々恐々としています。

糸を吐いて木からぶら下がっている様子から、別名ブランコケムシと呼ばれており、風に吹かれるなどしてこの状態でかなり広域を移動できる。(wikipediaより)

雑木林の木の枝から長い糸を伸ばして懸垂下降した毛虫が風で揺れています。
舗装路(車道)に軟着陸すると、新天地を目指して元気に前進します。



映像後半は同じ日に別の場所で撮影したものです。
カキノキの枝から長い糸を吐いてぶら下がっていました。



アルプスの少女ハイジが乗って遊んでいる長いブランコを連想しますが、そんなのどかで微笑ましいものではありません。
振動や風で枝葉から落ちてしまったときの命綱の役割を果たしているのかもしれません。
分散のための行動だとしたら、クモ類のバルーニング(遊糸飛行)と似ていますね。
糸を吐いて懸垂下降する技はマイマイガ幼虫(ブランコケムシ)の専売特許という訳ではなく、様々な種類の鱗翅目幼虫も行います。


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