2015/01/22

チャイロスズメバチの巣を安全に撮影するには?



2014年9月下旬

斜面に営巣したチャイロスズメバチの定点観察#3

▼前回の記事
斜面の巣に出入りするチャイロスズメバチ♀の羽ばたき【ハイスピード動画】

山中で見つけたチャイロスズメバチVespa dybowskii)営巣地の環境は、急な南西斜面のスギ植林地です。
スギは未だ若く、植林後の手入れがされていないためミズナラやコナラなどの灌木が密生して藪になっています。
林道から2〜3m下の崖の途中に穴を掘って営巣しているようです。
斜面の上から見下ろしても全く巣は見えません。
前回は斜面の横から近づこうとするも、警戒した蜂にまとわりつかれ危なくて撮影どころではありませんでした。

高価な防護服を買わなくても安全に巣を撮影する方法は無いものか、一週間かけて作戦をあれこれ考えました。
なるべく手持ちの機材を組み合わせて工夫します。

  1. ビデオカメラに一脚を取り付けて林道から巣口に差し出せば映像が撮れるか?
  2. 釣り竿でカメラを吊り下げれば映像が撮れるか?(操作が難しそう)
  3. カメラ搭載のラジコンヘリ(ドローン)を巣まで飛ばす?(茂みが邪魔で上手く飛ばせないかも)
  4. 蜂が飛ばない夜なら安全に近づけるか?(赤外線の暗視カメラで撮影)

とりあえず作戦其壱を決行してみます。
日本のスズメバチ類は巣の近くで動く黒い物体に対して攻撃性を示すので、刺激しないようにまず黒い一脚に白いビニール袋を巻いて覆いました。
次にビデオカメラの黒い部分(液晶画面裏側とハンドグリップ)や一脚のクイックシューにも白いビニールテープを貼ってマスキングしました。
これはかなり奏功しました。
どうせならカメラ全体を白いビニール袋で包み、レンズ部分だけ丸い窓を開ければ準備が簡単だったかもしれません。
(私の場合はあくまでも撮影が目的なのですが、巣の様子を「見る」だけなら一脚に鏡を取り付けても良かったかもしれません。)

蜂が素早く一脚を伝って来て手を刺される危険性が怖いので、手袋は白いゴム手袋と軍手を二重に装着しました。
手首の隙間から肌が露出しないように注意します。(ビニールテープを手首に巻いて密着すべき)
安全第一で、いざとなれば咄嗟に機材を投げ捨てる覚悟を決めました。
他の服装についてもスズメバチの本を参考に対策しました。
フルフェイスのヘルメットは大袈裟かもしれませんが、必ず頭髪を覆い隠さないといけません。
暑くても我慢、我慢。



一脚を目一杯伸ばし、林道からビデオカメラを巣まで慎重に下ろして巣のありそうな辺りの崖を山勘で撮ってみます。
カメラをゆっくり引き上げ、撮れた映像を直後に確認。
撮影アングルは試行錯誤するしかありません。
映像の天地が逆転しているので難しいです…。
GoProに代表される今時のアクションカメラがあれば、携帯電話と連動したライブプレビュー機能も搭載されているみたいなので、撮影中の画角を確認するのも容易でしょう。
無い物ねだりしても仕方がないので、手持ちの機材で頑張ります。

かなり緊張したものの、案ずるより産むが易しでなんとか無事に上手く行きました。
やはり撮影を繰り返すとワーカー♀が益々攻撃的になりました。
引き上げるビデオカメラにしがみつく個体もいました。
機材に噛み付くほどではないものの、油断できません。
蜂を手荒に振り落としたりせずに、巣から離れ偵察機材を放っておけば蜂は自然に離れてくれます。

さて苦心して偵察した結果、意外に小さな巣と判明。
崖の木の根の下に営巣しているようです。
地中ではなく外被が剥き出しになっているのが不思議でした。
残念ながら巣はかなり壊されているようで、巣盤も剥き出しになっています。

この撮影法ではもどかしいので意を決して巣に近づき、直接撮影してみることにしました。

つづく→シリーズ#4:破壊された巣に残るチャイロスズメバチ♀



昆虫ゼリーを舐めるカブトムシ♂



2014年10月上旬

玄関のポーチを登っているカブトムシ♂(Trypoxylus dichotomus)を見つけて採集しました。
体格も角の発達もかなり立派な個体です。
昼間なのに活発に動き回っていました。

100円ショップで買ってきた昆虫ゼリー(3個入りで¥108)を給餌したら、ようやく落ち着いてくれました。
ブラシ状の口吻を伸縮させて吸汁するシーンを動画に撮りました。

昆虫ゼリーを固定するプラスチックケースの側面が滑り易いようで、登るのに苦労しています。
背伸びしてなんとか口吻がゼリーの縁に届きました。
後に、滑り止めの輪ゴムをケース側面に巻いてやることにしました。

昆虫ゼリーの包装に印刷された成分表によると、

天然樹液入り昆虫用栄養ゼリー日本製。
原材料 ゼリー:果糖、ぶどう糖、果汁、ステビア、ゲル化剤(増粘多糖類)、pH調整剤、乳酸Ca、酸味料


2015/01/21

カエデの葉を食すスジエグリシャチホコ幼虫(蛾)



2014年9月下旬

つづら折りの山道でカエデの葉にイモムシを見つけました。
紅葉するには未だ早く、緑色の葉でした。
樹種はイロハカエデ(=イロハモミジ)ですかね?(自信なし)

帰って調べてみると、かなり特徴的な色彩と模様からスジエグリシャチホコPtilodon hoegei)の幼虫と判明。
カエデ類を食害する森林害虫として有名らしい。

初めは擬死していたものの、やがて警戒を解いて食事を再開。
楓の葉を蚕食する様子をマクロレンズで接写してみました。
少しの風でも葉が揺れるので撮り難い…。
顔部は真っ黒でした。
尾角のような橙色の瘤が一対あります。
葉縁・葉脈にしがみついてモリモリ食べ進んでいます。
黄色と黒の縦縞模様が警告色なのであれば堂々と葉表で食事をすれば良さそうなものですが、目立つ体はなるべく葉裏に隠れようとしています。

※ YouTubeの動画編集時に自動色調補正を施してあります。

現場で三脚を立てて微速度撮影も試みたのですが、枝を引き寄せて固定したら幼虫は擬死してしまい、企画倒れに終わりました。
仕方がないので枝葉ごと採集して持ち帰り、飼育することにしました。

『樹と生きる虫たち:シャチホコ蛾の生態』p211によると、スジエグリシャチホコ幼虫は終齢まで群棲し、終齢まで体を密着して摂食するそうです。
今回、単独で見つけたことが少し不思議です。
仲間は天敵や捕食者にやられてしまったのでしょうか?
上記の本の表8で「終齢単棲のstrainあり」と注釈が付いているので、そのような特例なのかもしれません。


葉裏に隠れて食事
枝の下に潜り込んで葉裏を見上げる
頭部
背面
側面

樹種は?

斜面の巣に出入りするチャイロスズメバチ♀の羽ばたき【ハイスピード動画】




▼前回の記事
チャイロスズメバチ♀の巣を山道で見つけた!

2014年9月下旬

斜面に営巣したチャイロスズメバチの定点観察#2

1週間後に色々と装備を整えてからチャイロスズメバチVespa dybowskii)の営巣地を再訪しました。
林道の路肩から斜面を見下ろしながら、巣に出入りする蜂を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
巣の手前でホバリング(停空飛翔)する個体も見られます。

巣がどうなっているのか、観察しないことには埒が明きません。
次はいよいよ意を決して巣を撮る作戦に挑みます。


つづく→シリーズ#3:チャイロスズメバチの巣を安全に撮影するには?


カボチャ泥棒のニホンザル♂



2014年9月下旬

山麓の杉林でニホンザルの群れの気配を感じました。
耳を澄ませて鳴き声を探っていると、用水路沿いの柵で1頭の野生ニホンザルMacaca fuscata)を発見。
口にカボチャの実を咥え、四足でフェンスの上を歩いて来ます。
背を向けて鉄パイプに腰掛けました。
ふと振り返った瞬間に私の姿を認め、ギョッとしたように慌てて下に降りました。
右腕に南瓜を抱えながら林縁の地面を走り去り、ときどき立ち止まっては暗い杉木立の隙間から何度も振り返ってこちらを覗き見ています。

近くの畑を荒らしてカボチャの実を盗んできたのでしょうか?
必ずしもそうとは言い切れません。
実はこの近くに猿を捕獲する罠が仕掛けられており(猿害対策)、誘き寄せるために撒かれた餌だけを失敬してきた可能性もあるのです。
盗みの犯行現場を見ていないので、いずれにせよ想像でしかありません。
カボチャは山野に自生しない農作物ですから、人間界との関わりで得た食料であることは確かです。

撮影アングルを求めて私がそっと追いかけると、猿は再びフェンスの上に登りこちらを頻りに気にしていました。
この立派なフェンスは農地を囲う物ではなく、用水路にヒトが落ちないよう設置された安全柵です。
四足で柵の上を歩き去る猿の後ろ姿を撮り続けました。
股間に赤い睾丸の発達した♂成獣のようです。
口に咥えて運んでいる丸い緑色の物体が何なのか、初め分かりませんでした。
チラッと一瞬見えた切り口が黄色かったので、ようやくカボチャと判明しました。
猿は座り込んでこちらを凝視しています。
警戒声を発しているのかもしれませんが、遠くて全く聞こえませんでした。
最後はフェンスから下りて雑木林の奥に姿を消しました。
おそらく群れの仲間を追って行ったのだと思いますが、他の個体は見かけませんでした。
いわゆる「離れ猿」だったのかもしれません。

※ YouTubeの動画編集時に自動色調補正を施してあります。



2015/01/20

コカマキリ♂がジョロウグモ(蜘蛛)の網から脱出



2014年9月下旬

山裾のお寺の境内でジョロウグモNephila clavata)があちこちに網を張っていました。
どういう訳か、その一つにコカマキリ♂(Statilia maculata)が引っかかっていました。
地上からの高さは目測で約2m。
死んでいるのかと思いきや、動きました。
クモに悟られないよう擬死しているのかな?
枠糸に近い部分なので、糸に粘着性がないようです。

一体どうしてコカマキリはこんな窮地に陥ったのでしょう?
決して私がジョロウグモに給餌するためにコカマキリをクモの巣に投げつけた訳ではありません。
ジョロウグモの網にかかった獲物を横取りしようと自分の意志でやって来たとしたら非常に興味深いのですが、わざわざ屋根から枠糸を伝い歩きして辿り着いたとは思えません。
おそらく単に屋根から飛び降りようとして網に引っかかったのでしょう。

一方、網が振動しているのに左上に占座したジョロウグモ♀もなぜか反応しません。
獲物としては危険過ぎると察知しているのでしょうか?

しばらくするとコカマキリ♂は恐る恐る(?)網から脱出を始めました。
糸に粘着力はあまり無さそうですが、上手く歩けない様子。
なんとか苦心して方向転換すると不安定な足場で体勢を立て直しました。
羽ばたいて下の草むらに飛び降り、無事に生還。

※ 白飛び気味の前半だけYouTubeの動画編集時に自動色調補正を施してあります。

細いクモの糸も少し強調されました。



【追記】
初め私はこのコカマキリをなぜか♀だと思い込んでいたのですけど、YouTubeのコメント欄でバナナ王国の王バナナイズジャッチメントさんから♂だとご指摘を頂きました。
触角が長いとオスでメスはオスより短いです後は腹が細いほうがオスでメスはやや太ってますあとオスは遠くまで飛べてメスはそんなに飛べません
という訳で、性別を♀から♂に訂正しておきます。


ミゾソバと野菊の花蜜を吸うセスジハリバエ



2014年9月下旬

里山の草地でセスジハリバエTachina nupta)が花蜜(と花粉)を舐めていました。
初めはミゾソバの群落で訪花していましたが、隣に咲いた野菊(種名不詳)の群落にも飛んで行き、吸蜜しています。



複数個体を撮影した後、1匹だけ採集できました。
以下は標本写真。




2015/01/19

チャイロスズメバチ♀の巣を山道で見つけた!



2014年9月中旬

斜面に営巣したチャイロスズメバチの定点観察#1

里山でスギ植林地の南西斜面をトラバースする林道を歩いていると、道端の斜面の穴に数匹のチャイロスズメバチVespa dybowskii)が盛んに出入りしていることに気づきました。
茂みに隠れてよく見えませんが、おそらく崖の地中に穴を掘って営巣しているようです。

本種は社会寄生性のスズメバチとして有名です。
地中に営巣したということで、乗っ取りのホストはモンスズメバチまたはキイロスズメバチのどちらですかね?
共に地中営巣性というイメージは無く、ピンと来ません。
引っ越しする前の母巣は地中に創設することもあるのかな?
ちなみに、前年にこの近くで同じ林道の真ん中に穴を掘って営巣していたヒメスズメバチを定点観察しています。
ただし、チャイロスズメバチの女王がヒメスズメバチの巣を乗っ取る例は知られていません。(ヒメスズメバチの営巣習性は特殊なので考えにくいです。)

林道から崖を見下ろしても巣口が見えないので、斜面を回り込んで近づこうと試みました。
しかし蜂にすぐ気づかれてしまい、数匹にまとわりつかれました。
身の危険を感じ、撮影を諦めてすごすごと撤退しました。
やはり、防護服が欲しいなー。



山中でチャイロスズメバチの巣を見つけたのは初めてです。
千載一遇のチャンスに感謝して定点観察に通うことに決めました。
高価な防護服を着用しなくてもなんとか安全に巣を撮影する方法は無いものか、知恵を絞ります。

つづく→シリーズ#2




クルミを食べ損ねたハシボソガラス(野鳥)



2014年9月下旬

クルミを咥えたハシボソガラスCorvus corone)が飛んで来て電柱の天辺に止まりました。
クルミの実を足で押さえつけながら嘴でコツコツ啄んでいる途中で、うっかり落としてしまいました。
空中から路上に投げ落として割る行動を習得していない、若くて未熟な個体なのでしょうか?
ヘマをしたのは初めて見ます(失敗例)。
(改めて映像を見直すと、既に殻を割った後のクルミを食べている途中だったかもしれません。)
カラスは慌てて飛び降りるも、電柱の根元に生い茂ったエノコログサなどの雑草に紛れて見失った模様。
電柱の周りを何度も探しても落とし物は見つからず、諦めました。
カラスに「何か失敗して、それを見られてバツが悪い」という恥の感情はあるのかな?

ハシボソガラスはそのまま歩きながら車道にこびり付いた何かをこそげ取るように拾い食いし始めました。
車が通り過ぎると飛び立つも、すぐに路上へ舞い戻って来ます。
車に轢かれてペシャンコに干からびた死骸(ロードキル)のようです。
おそらくカエルだと思います。
死骸を始末してくれる掃除屋(scavenger)の面目躍如。
歩道の縁石に登ると、飛び去りました。
随分と人馴れした個体で、最後はかなり近くまで来てくれました。
田んぼ上空を旋回して、遠くの木に着陸。


ロードキル採食

2015/01/18

羊歯の葉から飛び立つコアシナガバチ♂



2014年9月下旬

里山の草地でコアシナガバチ♂(Polistes snelleni)がシダの葉に乗って翅を休めていました。
触角の先がカールし頭楯が白いのが♂雄蜂の特徴です。
日光浴なのかと思いきや、シダの葉から葉へ忙しなく飛び回り始めました。



夜のネコ【暗視映像】



2014年9月下旬

住宅地の道端でいつも同じ場所に座っているネコFelis silvestris catus)が居ます。
飼い猫か野良猫か不明です。
コンクリートの段に座っています。
きっと日中の余熱で暖かいのでしょう。

赤外線の暗視ビデオカメラで夜に撮影してみました。(18:28 pm)
暗いところではネコの瞳孔が丸く開いています。
途中から赤外線投光機を点灯してみても、ネコは無反応でした。※

ネコは香箱座りをしかけたものの、やや警戒しているのか前脚を揃えただけで、こちらをじっと見据えています。
車が横を通り過ぎると目で追います。
最後は私もゆっくり歩いてネコの目の前を通り過ぎようとしたら、奥の草むらに逃げ込みました。


※ 【追記】
文春新書『ネコの秘密』によると、ねこの視覚は
色についても、人間ほど景色が色鮮やかには見えていないようです。(中略)また色の中でも赤色は特に見えないようです。(p109)暗闇でねこの眼が光って見えるのは、タペタムが光を反射しているからです。(p111)

アオゲラ♀(野鳥)



2014年9月下旬

里山の雑木林でアオゲラ♀(Picus awokera awokera)が立ち枯れした木にいました。
(直前に数羽で群れていたかもしれません。)
頭部の後半だけが赤いので♀ですね。
斜めに伸びた幹を登り、少しつついてから飛び去りました。
余りにも短い出会いだったので、1/4倍速のスローモーションでリプレイして水増し。





2015/01/17

コガタスズメバチの廃巣で休むキアシナガバチ♂



2014年9月下旬


▼前回の記事
コガタスズメバチの古巣で休むキアシナガバチ♀
コガタスズメバチ巣の定点観察#2014-7

軒下にあるコガタスズメバチVespa analis insuralis)の廃巣に今度はキアシナガバチ♂(Polistes rothneyi)が巣の外被に止まっていました。
コガタスズメバチの巣内に侵入するでもなく、じっと見下ろしています。
スズメバチの古巣にアシナガバチが集まるのは、パルプ製の構造物が安心するのですかね?
新女王との交尾シーンは残念ながら見られませんでした。

辺りをキアシナガバチ♂やキボシアシナガバチ♂などのアシナガバチ類が複数飛び回っていました。
雄蜂が群飛するシーズンですね。


コガタスズメバチ廃巣の採集調査

外被の根元をナイフで削り取り(地上からの高さ239cm)、プラスチック容器で受けて持ち帰りました。
外被を解体して内部を調べてみると、巣盤は1層しか作られておらず、育房数は14室でした。
(一部スズメバチ自身によって取り壊された育房があるかもしれません。)
育房は一辺5mmの正六角形でした。
育房の奥に白いクモの巣のようなゴミが残されていました。
これは蜂の子が育ち羽化した跡なのか、白い繭キャップや前蛹が脱糞した跡なのかな?
初期巣の徳利状の細長い入り口構造はコガタスズメバチ自身によって取り壊されたので、少なくとも1匹のワーカーは羽化したはずです。


採集した巣の下に15cm定規を並べてみる。
外被の底部中央に巣口
小さな巣盤が一層のみ
空の育房
巣盤の裏面(天井部)。中央に切り落とした巣柄の跡

私がこれまでコガタスズメバチのコロニー規模を自力で調べたのは、未だ2例しかありません。

  1. 2008年にコロニー活動を全うし12月中旬に採集した巣では、巣盤が1層、育房数は68室で全て羽化済みでした。(→関連記事
  2. 2010年6月中旬に採集した初期巣では、廃巣の巣盤は1層、育房数は18室で卵と幼虫を確認。(→関連記事

3例目の今回はワーカーが羽化する前の初期巣と同程度の規模しか無く、明らかに異常です。

営巣初期に誰かが殺虫剤で駆除したのであれば、巣ごと破壊されそうなものです。
外被がほぼ無傷で残っていたので、その可能性は一応除外しておきます。
おそらく、この巣を創設した女王蜂の生殖能力に問題があったと思われます。
コガタスズメバチ事典」サイトによると、

秋口になっても1層や2層の小さな巣も見られます.この原因としては女王バチの早期死亡やネジレバネの寄生が考えられます.
スズメバチネジレバネについてはこちらのサイトに詳しい解説があります。

シリーズ完。


巣材を持ち帰るオオフタオビドロバチ♀の定位飛行【ハイスピード動画】



2014年9月下旬

里山の頂上付近でオオフタオビドロバチ♀(Anterhynchium flavomarginatum)が巣材集めにせっせと通っていました。
個体標識していませんが、おそらく同一個体の♀と思われます。
かなり太った(体格の良い)♀個体です。

赤土を掘って泥玉を作り終えると、帰巣します。
泥玉を抱えて飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
巣に戻る直前には扇状の定位飛行ではなく、低空飛行でぐるぐる旋回していました。
採土場をピンポイントに記憶する必要がないため、大雑把に全体的な風景を覚えるのでしょう。
あるいは太陽コンパスで巣の方角を見定めているのかもしれません。


▼関連記事(同一個体をHD動画にて撮影)
巣材を採土するオオフタオビドロバチ♀



川底でクルミを拾うハシボソガラス(野鳥)



2014年9月下旬

街中を流れる川にかかる橋で欄干に止まっていたハシボソガラスCorvus corone)にカメラを向けたら飛んで下流へ逃げ、川の浅瀬に着陸しました。
(映像はここから)

カラスは浅瀬の泥からクルミの実らしき物体を拾い上げました。
望遠レンズでもやや遠く、手前に生えた雑草も邪魔でよく見えません。
ただの丸い小石なのかクルミの実なのか、定かではありません。
これまで何度か動画に撮って紹介したように、この辺りのハシボソガラスはクルミの実を食べるためによく舗装路に投げ落として硬い殻を割っています。

▼関連記事
ハシボソガラスのクルミ割り行動:Ⅳ投げ落としと貯蔵【野鳥】
なので、今回の丸い物体もクルミの実ではないかと推測しました。
カラスがどこからクルミの実を採ってくるのか、いつも不思議でした。
上流から漂着したクルミをたまたま見つけたのか、ひょっとすると予めここに隠していた(貯食)のかもしれません。
ところがなぜかクルミの実をその場に残して(埋め戻して)、水際へ歩み寄りました。
今度は川底から泥だらけのクルミ?をもう一つ拾い上げました。
水に漬けて泥を落とすと、岸辺の浅瀬に戻り泥の中に埋め戻しました。
なんとなく、貯食行動のようにも見えます。
こんな場所に食料を隠しても川が増水したら一巻の終わりです。
賢いカラスがそんな馬鹿なことするかな〜?と首をひねりつつ撮影していました。

私にずっと見られていることに気づいてバツが悪くなったのか、ハシボソガラスは貯食を中止してしまいました。
嘴にクルミを一つ咥えて飛び立つと、川岸の住宅地の方へ持ち去りました。
どこか安全な場所で投げ落とし行動に勤しみ、殻を割って仁を食すのでしょう。

私は未経験ですが、我々ヒトがオニグルミの実を食べようとすると、おそろしく手間暇がかかるらしいです。

関連記事(8年後の撮影)▶ オニグルミの落果を採集(クルミ拾い)

先ず必要な工程として、クルミの落果を水に浸したり土に埋めたりして外果(果肉)を腐食させ、同時に灰汁(アク)を抜くそうです。
今回観察したカラスも同じことをしていたのかもしれませんね!
実は縄文時代の日本人はカラスにクルミの食べ方を教えてもらったのでは?などと想像を逞しくしてしまいます。
しかしカラスは頑強で器用な嘴を持っているので、わざわざそんな面倒臭いことしなくても果肉をつついて取り除くぐらい朝飯前のような気もします。(生の果肉に含まれる灰汁が嫌いなのかな?)


【参考動画】
野性を食べよう「オニグルミ」by ktbktshさん



さて、今回撮った映像にタイトルをどのように付けたら良いでしょう?
貯食未遂行動と呼ぶべきか、クルミを拾いに来たカラスの気まぐれな採食行動なのか、川底の泥にクルミの実を埋め果肉が腐食するのを待っていたのか、解釈に悩みます。

断片的で不完全な映像記録ながらも、もしかすると重要なミッシングリンクかもしれない!と密かに興奮しました。


【追記】
2015年5月中旬、ハシボソガラスがクルミの樹の下から実を咥えて飛び去る姿を目撃しました(映像なし)。


【追記2】
水辺に好んで生えるクルミは水流で種子を散布する植物なのだそうです。
てっきり私は動物散布の中でもリスによる貯食散布に頼る戦略なのかと思っていました。
水流散布も水を利用するのは同じだが、こちらは川の流れにのって散布される。クルミがその代表的なもので、こちらの種子の内部にもすき間がある。
(直江将司『わたしの森林研究―鳥のタネまき​に注目して』p28より)

どちらが正しいという訳ではなく、クルミは2つの戦略を併用しているのだと思います。


水辺林の生態学』によれば、
(オニグルミの:しぐま註)核果状の堅果は落下後、齧歯類やリスによって運ばれるほか、流水によっても移動し、分布を拡大する。(p51より引用)


【追記3】
斎藤新一郎『リスやカケスが森をつくる:樹木種子の貯食型散布と樹木の貯食への適応』によると、
オニグルミJuglans ailanthifoliaのタネは、形態的には、多肉の偽果(fleshly false fruit)であり、成熟すれば、そのまま落果する。しかし、恐竜ならともかく、今日では、そのまま飲み込んで、被食型の散布をする動物は見られない。(中略)この多肉偽果は、土埋されれば、外側の果肉部分が腐って、殻果となる。このナッツを食べる動物は、この果肉部分を食い捨てて、殻果にしてから、地下に貯蔵する。(『種子散布―助けあいの進化論〈2〉動物たちがつくる森』p91-92より引用)
ちなみにこの文脈で、北海道でオニグルミの殻果を貯食する動物としては、エゾリスおよびエゾアカネズミを想定しています。 




2015/01/16

コガタスズメバチの古巣で休むキアシナガバチ♀



▼前回の記事
逃去した?コガタスズメバチの巣
2014年9月下旬

コガタスズメバチ巣の定点観察#2014-6

軒下に営巣したコガタスズメバチVespa analis insuralis)の巣を久しぶりに見に来ると、珍客がいました。
キアシナガバチ♀(Polistes rothneyi)が巣の外被に止まっていました。
時期的に新女王の可能性もありますが、ワーカー♀との違いが私には見分けられません。
巣口のすぐ横に堂々と居座っているのに、主のコガタスズメバチが巣から出てきて追い払ったりしません。
外被の大きさも全く成長していませんし、細かな穴も前回より増えています(破損?)。

やはり空き巣なのでしょう。
コガタスズメバチの巣内にキアシナガバチ♀が侵入したり巣材を再利用すれば面白いのにな…と内心期待したのですけど、何事もなくやがて飛び去りました。(映像なし)
廃巣になったと確信できたので、次回こそは巣を採集して巣盤を調べてみるつもりです。

つづく→シリーズ#7(最終回):廃巣の採集



オトコエシの花蜜を吸うイカリモンガ(蛾)



2014年9月下旬

薄暗いスギ植林地の林床に咲いたオトコエシイカリモンガPterodecta felderi)が吸蜜していました。
少し飛んで隣の集合花に移動しました。

草刈りで茎の上部がカットされており、花の自然な全体像が分かりません。
何となく、ヒヨドリバナですかね?(それともフジバカマ?)


実は初めイカリモンガは群れで訪花していたのですけど、私が通りかかると殆どが飛んで逃げてしまいました。
先を急ぐ用事があったため、蛾が戻ってくるのを待つ余裕はありませんでした。



2015/01/15

ヌルデの花で探餌飛行するキイロスズメバチ♀



2014年8月下旬

里山の林道脇に生えたヌルデの灌木で訪花する昆虫(ニトベハラボソツリアブ?)を撮っていたら、キイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が飛来しました。
吸蜜が目的なら花に着陸するはずですが、ゆっくりホバリング(停空飛翔)しながら獲物を探索していました。
映像の最後で、花に飛びついて何か獲物を狩ったようです。
引き続き肉団子作りを撮ろうとしたものの、残念ながら茂みに阻まれてアングルを確保できませんでした。



トノサマガエルの死骸を食すハシボソガラス(野鳥)



2014年9月下旬

電柱の天辺に止まったハシボソガラスCorvus corone)が足で押さえつけながらトノサマガエルPelophylax nigromaculatus)の死骸を啄んでいました。
周囲の環境は、稲刈りが進む田園地帯です。
カエルは干からびて見え、自分で狩りをした新鮮な獲物では無さそうです。
車に轢かれたロードキルなのか、稲刈りに巻き込まれた死骸でしょうか。
まさにcarrion crow(ハシボソガラスの英名:死肉を食うカラス)の面目躍如。

カラスaはときどき向きを変えたり、電柱の横棒(金属製)に移動して食事を続けています。
途中で食事を中断すると、獲物を咥えて警戒しています。
何事かと思いきや別個体bが飛来し、すぐ横の横木に止まりました。(@1:38)
獲物を横取りに来たのでしょうか?

カラスbは電線にへばり付いた別の獲物を啄み始めました。
カエルなど小動物が感電死したものか、カラスが貯食していたものか、あるいはモズの速贄かもしれません。

やがてカラスaが獲物を咥えたまま飛び立ち(@1:57)、一つ隣の電柱に止まり直しました。
するとすぐにもう一羽(b?)が追いかけてきて(@2:25)電柱の横棒に止まりました。
その奥に実は先客(3羽目の個体c)が居ました。
カラスaは一番上の電線に止まったまま油断なく食事を再開。

ここで私も撮影を中断し、距離を詰めてから撮影再開。(@2:58)
ハシボソガラスaはトノサマガエルの肉片を小さく千切って食べ、汚れた嘴を頻繁に電線に擦りつけて拭っています。
食事風景を見ていると、カエルの干物もなんだか美味しそうです。
獲物を咥え、不安定な電線から電柱の横棒(狭いが平坦)へ移動しました。
電柱の天辺に登り辺りを見渡してから、すぐ横棒に戻りました。
私がしつこくカメラを向けていることを嫌ったのか、遂に獲物を咥えたまま飛び去りました。(@5:45)
田んぼを横切り遠くの樹上(山麓の民家の庭木?)に着陸しました。



2015/01/14

涼しい夜も巣口で扇風行動するモンスズメバチ♀【暗視映像】



2014年9月中旬
▼前回の記事
モンスズメバチ♀の夜間飛行【暗視映像】

モンスズメバチの巣の定点観察12

モンスズメバチVespa crabro flavofasciata)の門衛はこの日の夜も巣口で扇風行動を続けていました。
赤外線の暗視ビデオカメラを手に持ち巣にそっと近づいて撮った時刻は18:22および18:42 pm。

巣口の左右で2匹の門衛が同時に扇風しています。
以前見かけた直列二連の扇風行動とは違い、今回は並列ですね。

少し時間をあけてから(20分後に)再び撮影しても、同時に2〜3匹の扇風役が巣口で踏ん張り懸命に羽ばたいていました。
寝苦しい熱帯夜ではなく、むしろ少し肌寒いぐらいでした。

外気温を測ると16℃。
同じ日の昼間に観察したときよりも涼しい夜の方が扇風役が多いのは不思議でなりません。
果たして本当に巣を冷やすための行動なのか、ますます疑念が強まりました。

蜂の観察をアシナガバチから始めた私の目にはとても奇異に映ります。
同じスズメバチ科でもアシナガバチ類の巣盤は外被がなく開放型なので、外気温が下がると扇風行動は不要になります。
やや肌寒いぐらいの気温16℃で扇風行動するなんて、アシナガバチではとても考えられません。
保温のために巣盤を外被で覆うスズメバチ属で同様の扇風行動を観察したのは、このモンスズメバチ以外では未だ一度しかありません。
昔にコガタスズメバチの巣で扇風行動を観察したときは、気温29℃の暑さでした。

したがって今回も普通に考えたら、樹洞内が夜でも30℃近くないといけません。(測ってみなければ分かりませんが、そんなことあり得ますかね?)
むしろ樹洞内が酸欠になりがち(二酸化炭素濃度が高い)なので換気が必要だ、という解釈の方が未だ自然な気がします。

赤外線投光機を近くから照射したせいでモンスズメバチが暑さを感じて扇風行動を始めたのでしょうか?
観察行為自体が対象生物の行動を変えてしまった可能性(観測問題)は否定できると思います。
その理由は、


  1. 赤外線を照射しても巣口にいる門衛のごく少数しか扇風していない。
  2. 少し時間をあけてから(20分後に)再び撮影しても変わらず扇風行動を続けていた。

樹洞内がそんなに暑いのか、温度や二酸化炭素濃度を測ってみたいのですけど、高価な防護服を持っていないのでさすがに危険なことはできません。(測定器も値が張りますし。) 
もしミニ扇風機を持参して樹洞に送風したら、加勢された扇風役の蜂はどんな反応をするでしょうね? 
ヘアドライヤーの熱風を送り込んだら? 
冷たいドライアイス(固体CO2)を樹洞に放り込んだら? 
防護服が無いと出来ることは限られてしまうのですが、実験のアイデアだけなら幾つも思いつきます。

【追記】
蜂の防護服は高価ですが、レンタルしてくれる会社を幾つかインターネット上で見つけました。¥9,800/日


扇風行動の羽音を声紋解析してみる 

扇風行動が始まるとブブブブ♪という重低音が長時間響くのですぐ分かります。 
樹洞内で反響しているのでしょう。 
本種はスズメバチ属では珍しい夜行性です。(正確には両行性) 
暗い森を飛んで帰巣する外役ワーカーに対して灯台のように巣の位置を知らせるために門衛が羽音を立てているのではないか?という大胆な仮説を思いつきました。 
コロニー毎に微妙に異なる周波数を発していたりして…。 
録音した扇風行動の羽音を別の木からスピーカーで流し(プレイバック実験)、外役ワーカーの帰巣能力を撹乱できるか調べたら面白そうです。
先走った法螺話はさておき、とりあえず扇風行動の羽音を声紋解析してみることにしました。
扇風行動と飛翔時の羽音とを区別しないといけません。
飛んで出入りする蜂が途絶えた映像後半部のオリジナルMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてからスペクトログラムを描いてみました。


20kHz以上の高音域に見られる断続的で思わせぶりな声紋は、背景で鳴いている直翅目(コオロギ?)の声かもしれません。
16kHz付近に持続する強い波形があり、その半分の8kHzでは逆にすっぽりと波形が抜けている現象が不思議ですね。 
これら低音域の波形が扇風行動によるものだと思うのですが、音響学の専門家に解説してもらいたいものです。 
樹洞に反響しているとか扇風役2匹の羽音が一部打ち消し合っているとか、複雑な現象なのでしょうか?
【追記】翌年、全く別の被写体を撮っても8, 16 kHzの持続する信号のパターンが再現されました。これはビデオカメラ特有のノイズかもしれません。

一方、巣に出入りする蜂が何度か飛び回る映像前半部の音声からも同様にスペクトログラムを描いてみましょう。 
二つのグラフを見比べると、飛翔時の羽ばたき成分がどれか分かってきました。(低音域の波形でムラのある部分)

扇風行動の羽音のような低音は、障害物を越えて遠くまで届くものの指向性が弱いという性質があります。
巣の位置や方角を正確に知らせたいのであれば、直翅類♂の鳴き声のように指向性の強い高音を使うべきなので、仮説としては弱いかもしれません。



つづく→シリーズ#13



【追記2】
スズメバチではありませんが、同じく真社会性昆虫であるマルハナバチに関する本を読んでいたら、似たような習性が書いてあって興味深く思いました。
『マルハナバチの謎〈上巻〉 (ハリフマンの昆虫ウオッチング・社会性昆虫記)』で第5章「マルハナバチにラッパ手がいるのか」(p121-135)まるまる割いてこの不思議な行動について論じています。
この問題は、300年以上前にオランダの学者ヨハン・ゲダルトが、にわかには信じ難い奇妙な観察記録を残したことから始まりました。
マルハナバチの巣で毎朝起床を知らせる「鼓手」のハチがいるというのです。
その後、何人もの昆虫学者が研究を進め、そのようなハチは「ラッパ手」と呼ばれるようになりました。
ラッパ手マルハナバチの仕事について三つの意見がでたことになります。第一は起床ラッパだという意見。ラッパの音自体には何の目的もなく、若いハチがはねをトレーニングしているためにおきる羽音なのだという第二の意見、そして、第三は、はねをふるわせて巣の中の換気をしているのだという意見です。(p127より引用)

  • ラッパ手が巣から出てくるのは夜中とか夜明けが多い。(p126)
  • ラッパ手は見張り番だったのです。(中略)ラッパ手は餌の採集には出ません。(p130)
  • 六月末から夏の終わりまで毎朝同じマルハナバチがラッパを吹きました。(p130)
  • ラッパ手を取り除くと、それに代わって必ず別のラッパ手がでてくる。(p135)

夕暮れ時にホバリング吸蜜するホシヒメホウジャク【蛾:暗視映像】



2014年9月下旬
▼前回の記事
ホシヒメホウジャク(蛾)の停空飛翔【ハイスピード動画】

用水路沿いに咲いたアザミ(種名不詳)の群落で訪花するホシヒメホウジャクNeogurelca himachala sangaica)を通常のHD動画でも撮ってみました。
ホバリング(停空飛翔)で一つの頭花を回りながら長い口吻を伸ばして吸蜜しています。
夕暮れ時で薄暗いので、AFのピントが合わせ難くなりました。
釣瓶落としに日が落ちて急激に薄暗くなり、HD動画の撮影はすぐ限界に達しました.
薄暗い時の写真撮影はストロボを焚くだけで済みますけど、動画で記録するのは困難な挑戦になります。(強い照明を使うと蛾の自然な行動に影響を及ぼしてしまうでしょう。)

赤外線の暗視ビデオカメラに切り替えました。
補助照明の赤外線投光機も点灯。
するとアザミの桃色、ホシヒメホウジャクの後翅の橙色もしっかり写っています。
しかし暗闇ではないので、太陽の残光で画面全体がピンク色になってしまいました。

※ 光量不足の映像前半だけ動画編集時に自動色調補正を施してあります。



2015/01/13

夜もミズナラ樹液酒場に通うモンスズメバチ♀【暗視映像】



2014年9月中旬

定点観察しているミズナラの樹液酒場は夜になるとモンスズメバチVespa crabro flavofasciata)の天下になりました。
昼間ここを我が物顔で占有していたオオスズメバチやチャイロスズメバチは日が暮れると姿を見せなくなります。
昼と夜の時間帯によってうまくニッチを棲み分けているなーと感心します。
むしろモンスズメバチが昼も夜も貪欲に(疲れ知らずに)活動しているのが印象的です。

赤外線の暗視カメラで撮っていると(時刻は18:30 pm)、同じ巣の出身と思われる2匹のワーカー♀が来ていました。
前回の観察では2匹が餌場で出会うと口移しで挨拶していましたが、今回は栄養交換は見られませんでした。

▼関連記事
夜のミズナラ樹液酒場で栄養交換するモンスズメバチ♀【暗視映像】
クロオオアリとムナビロオオキスイも樹液酒場に集まって来ています。
モンスズメバチは暗くなっても自在に飛び回ることから、闇夜でも目が見えているはずです。
しかし夜の樹液酒場で他の昆虫とニアミスしても追い払う素振り(占有行動)を示さないので、実はよく見えていないのでは?という気もしてきます。
樹液を独り占めせずに寛容なのかしらん?
一方、クロオオアリは触角でモンスズメバチの存在を探知して避けている(遠慮している)ことが映像から窺い知れます。
モンスズメバチは幹で念入りに身繕いしてから飛び去りました。


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