2016年11月上旬
早朝の川でオナガガモ(Anas acuta)の大群が岸辺近くに密集しています。
一緒に採食しているコハクチョウからいじめられるだけでなく、オナガガモ同士でも喧嘩が頻発します。
鴨は川面に浮かんでいるだけでほとんど採食はしていないのですが、一体何が気に入らないのか、目の前の相手をいきなり嘴で突いて追い回します。
振り向きざまに相手を嘴で突いたり、嘴で噛み合って激しく争うこともありました。
♂vs♂、♀vs♀、♂vs♀と性別を問わず攻撃しています。
本種は性的二型なので、性別を見わけるのが容易です。
白黒のツートンカラーが♂で、地味な茶色が♀です。
川岸近くは水鳥(オナガガモとコハクチョウ)でかなり混み合っています。
まるで芋を洗うような混雑で、そんなに苛々カリカリするぐらいなら、群れから離れれば良いのに…と他人事ながら思ってしまいます。
都会の朝の満員電車で殺気立つヒトの行動を連想し、身につまされますね。
八木力『冬鳥の行動記 Ethology of Wild Ducks』p50によると、
争いは♀をめぐる♂同士であったり、同種や異種間での場所の取り合い、その他何が気に入らないのか、私には理解不能の争いが数多くあります。
この際、逃げた側は高確率で転位行動を行ない、勝者もまれに行ない、闘争は終結します。(p50より引用)
争いや突然何かに驚いたとき、どう対処したら良いのか迷ったりパニックに陥ると、もうヤーメタとばかりに儀式的水浴びをし、次いで転移性羽ばたきを行なって、その後は何事もなかったかのように全く別の行動へと移っていきます。この一連の行動を転位行動と呼びます。 この行動は交尾の後にも行なわれ、要は気分転換をはかり、精神的混乱や性衝動の回避をしているようです。また、羽ばたきの代わりに体振りをすることがあり、儀式的水浴びを省略することもあります。(p37より)
闘争後の転位行動に注目して改めて映像を見直すと一層面白いですね。
世界平和のためにはヒトも喧嘩の後に(特に負けた後に)根に持たないように口惜しさを発散する工夫が必要かもしれません。(ノーサイドの精神、グッドルーザー)
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
闘争は予測不能なので、コハクチョウを長撮りした映像素材から編集で抜き出しました。
2016年11月上旬・午前6:40頃
▼前回の記事
コハクチョウ:川での採食法(冬の野鳥)
早朝に川岸近くでコハクチョウ(Cygnus columbianus)の小群(成鳥3羽および幼鳥2羽の計5羽)を撮影していると、一緒に採食しているオナガガモ(Anas acuta)の大群を邪険に追い払う行動が繰り返し見られました。
邪魔な(目障りな)鴨を追い払って空いたスペースで採食するのです。
コハクチョウの成鳥も幼鳥も長い首を前方に伸ばして目障りな鴨たちを嘴で突いたり威嚇したりして、激しく追い立てています。
コハクチョウ自身が岸に上陸したい訳ではないのに、ただの意地悪というか、面白がって鴨を追い立てているだけにも見えます。
空腹で気が立っているのですかね?
性格悪いなーと思いますけど、ヒトの幼児も公園で走り回りハトの群れを無邪気に追い散らして遊んだりするので、五十歩百歩でしょう。
「オナガガモ、そこのけそこのけ、コハクチョウが通る。」字余り
今季は鳥インフルエンザの流行を恐れて、この川で白鳥への給餌を中止したらしいので、餌不足なのでしょう。
(昼間は他の餌場まで飛んで行き、夕方になるとこの川に帰って来て塒入りするのです。)
同じカモ科とは言え、オナガガモよりも体格に断然勝るコハクチョウが喧嘩に強いのは当然です。
(正確に言えば喧嘩らしい喧嘩にもならず、オナガガモはただ逃げ惑うだけで一切反撃しません。)
白鳥はその見た目から「聖なる鳥」のような印象を持たれていますが、実像は普通に性格が悪い(意地悪)と知り、なんだか安心しました。
白鳥に抱く「清純で無垢な鳥」というイメージが一変する衝撃映像かもしれません。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
この種間闘争はいつ起きるのか予測不能なので、長撮りした映像素材から編集で抜き出しました。
2016年11月上旬・ 午前6:54~7:05(日の出時刻は午前6:11)
▼前回の記事
早朝に集団塒の川から飛び立つコハクチョウの群れ:ハイライト映像(冬の野鳥)
集団塒の川からコハクチョウ(Cygnus columbianus)の第一陣が飛び立つまでの一部始終をノーカットでお届けします。
朝焼けで赤く染まった川面に霧が流れています。
第一陣の内訳は黒っぽい幼鳥が3羽、成鳥が18羽の計21羽。
初めは上流(画面右)を向いて川の中央に並び、長い首を上下しながら互いに鳴き交わしています。
手前の岸辺には5羽の小群(これが第二陣になる)が居残って、カモ類と一緒にのんびり羽繕いしたりしています。
やがて群れは下流へ(画面左)向かって川面を移動し始めました。
朝の身支度(水浴と羽繕い)をする個体もときどきいます。
途中で画面を横切り単独で飛び去った白い鳥は(@5:27)、同じ川を塒としていた白鷺(おそらく冬鳥のダイサギ)です。
ようやくコハクチョウの群れが離陸のための助走のスタートラインに付いたようです。(@7:35)
このとき、隣り合う成鳥2羽が噛み付き合う小競り合いが勃発しました。(@8:15)
スタート位置や陣形を決めるポールポジションの位置取り争いがあるのでしょうか?
群れ全体で鳴き声が一層高まりました。(@9:15)
遂に中央の成鳥一羽が背伸びをして大きく羽ばたき、助走を開始。(@9:25)
連鎖反応のように群れが鳴きながら直線の川で助走を始めます。
走りながら初めは水面を翼でバシバシ叩きますが、徐々に高度を上げ上流へ向かって飛んで行きました。
おそらく風上に向かって飛び立ったはずですが、撮影に夢中の私はそこまで気が回らず、風向きを確認していません。
離陸した群れは右へ旋回し、下流へ飛び去りました。
昼間の採餌場がどこにあるのか、いつか突き止めたいものです。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→第二陣の離塒
2017年1月上旬
▼前回の記事
川で足踏みしながら魚を探し回るダイサギc(冬の野鳥)
獲物を探しながら渡渉していた冬鳥ダイサギ(Ardea alba)cが川の中央で脚を屈めると、その反動を利用して飛び立ちました。
上流へ少し飛ぶと、コンクリート護岸の縁に着陸。
鳥の目から丸見えの状態で私が撮り続けているので、しつこいパパラッチを嫌ったのかもしれません。
その場でしばらく羽繕いしてから尻を川に向けて少し脚を屈みながら脱糞(@2:03)。
白っぽい液状便が岸壁に付着しました。
同じ日にダイサギによる陸上での排泄シーンを続けて2回(別個体)、撮影することができました。
▼関連記事
屋根で脱糞するダイサギa(冬の野鳥)
いずれも飛んで逃げて着陸した直後に排便しました。
私のこれまでの経験ではダイサギ以外の野鳥では飛び立つ直前に体重を軽くするために脱糞することが多いので、違いが興味深く思いました。
ダイサギのような大型の鳥では飛ぶための軽量化をあまり追求しなくても良いのかもしれません。
川の安全を確認できたダイサギcは、下の川に飛び降りました。(@2:20)
岸壁に沿って下流に歩き、魚を探索しています。
急に空を見上げて身構え、三度(みたび)飛び立ったので何事かと思いきや、もう一羽のダイサギdが飛来しました。(@3:11)
軽い小競り合いのような空中戦になり、すれ違いました。
先住者のダイサギcが迎撃に飛び立ったのに、結局は争いを避けるように上流へ飛び去りました。
後から来たダイサギdが入れ替わりで川岸の雪の上に着陸しました。
川の漁場を巡る縄張り争いなのかな?
生物の縄張り防衛でよく見られる「先住効果」(先住者が勝ち新来者を追い払うことが多い)が今回は無くて後から来た個体(新来者)が勝ったのは、体格の違いがあったのかもしれません。
しかし、映像を見直しても体格差はよく分かりませんでした。
あるいは、先住者ダイサギcがあっさり引き下がった理由は、それまで散々探し回ってこの辺りには魚があまりいないということを知っていたからかもしれません。
日高敏隆『群となわばりの経済学』によると、
・なわばりをめぐる争いは、資源が一様に分布している場合より、固まって分布している場合のほうがおこりやすい。資源のあるところをなわばりとして確保するほうが利益が大きいからである。そういうところに生活する動物は、群をつくるかわりになわばりを守る。(p48より)
・一般的にいって、動物がなわばりを持つのは、なわばりの収支計算が黒になる場合である。(p56より)
川で出会ったダイサギ同士が小競り合いする結果としてダイサギの群れが川に沿って点々と棲み分けるようになり、各自である区画の縄張りをもっていそうな印象を受けました。
街中を流れるこの川は餌となる魚の量がそれほど豊かではないので、1羽当たりの縄張り流域は長くなることが予想されます。
また、この川で通年見られる顔馴染みのアオサギがこの日は1羽も居なくなっていた点も気になりました。
おそらく冬鳥として渡来したダイサギの群れがアオサギに縄張り争いで勝ち、川を占拠したのだろう、と想像しました。
つづく→川岸で羽繕いし片足で立つダイサギd(冬の野鳥)
(記事を書く順序が逆になりましたけど、フィールドで観察した順序としてはこうなります。)
せっかく縄張り争いで勝ったのに、すぐに魚を探し始めるかと思いきや、川岸でじっと佇んでいるだけでした。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
【追記】
野上宏『小鳥:飛翔の科学』を読むと、「争い飛翔」について一章を割いて詳しく解説していました。
その中で繰り返し書いてあった記述が興味深いので引用します。
先に高度をとって速度をつけて襲った側が優位なのは戦闘機と同じ。(p89より)
ダイサギは小鳥とは呼べませんが、今回の映像を見直すと空中ですれ違った瞬間は確かに新来者が相手よりも高度をとり勝っていました。
先住者は空中戦に負けるべくして負けただけかもしれません。
▼前回の記事
脱皮殻を食べるウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫【60倍速映像】
ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#9
2016年9月中旬
ウスムラサキイラガ(Austrapoda hepatica)の終齢幼虫は旺盛な食欲で育ち、かなり丸々と太りました。
枝豆(ひと粒)よりも大きなサイズで、大き目のピーナッツぐらいになりました。
面倒なのでイラガ(Monema flavescens)幼虫たちと一緒に飼っています。
ともに広食性で、食樹植物の調達が楽なのは助かります。
芋虫のことをあまり知らない人が見れば、幼虫の時期はとても同じイラガ科とは思えないほど外見が大きく異なります。
ミズナラの同じ葉でウスムラサキイラガ幼虫がイラガ幼虫とニアミスすると、互いに嫌がって逃げ出します。
ウスムラサキイラガ幼虫は体を左右に大きく揺すって威嚇しています。
イラガ幼虫が近くに来るとウスムラサキイラガ幼虫が上半身を上下させて腕立て伏せのような威嚇をすることもありました。
イラガ幼虫とは異なり、ウスムラサキイラガ幼虫が口で相手に噛みつく行動は見られませんでした。
イラガ幼虫の方が運動性が高く、接触を嫌って離れて行きます。
ウスムラサキイラガ幼虫の疎らに生えた毛に毒があるのか分かりませんが、小競り合いになってもさほど防御効果は無さそうです。
同じ餌資源をめぐって縄張り争いのような感じになりますが、互いに接触を嫌って離れることで自然に分散して平和が保たれます。
▼関連記事
イラガ(蛾)幼虫同士の喧嘩
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→#10:ウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫が営繭前に下痢便を排泄
2016年9月上旬
▼前回の記事
ハンノキで見つけたイラガ(蛾)の幼虫
イラガ(蛾)の飼育記録#2016-2
採集してきたイラガ(Monema flavescens)の幼虫5頭を飼育するために、カキノキの葉を枝ごと切って与えてみました。
食樹植物をハンノキから入手し易いカキノキに突然変えたので、幼虫は少し戸惑っているようです。
3頭は活発に徘徊しています。
互いに出会うと体を横に激しく振って威嚇しています。
小競り合いがエスカレートして、口器で噛み付き合うこともありました。
防御としては頭部をフード(正式名称は?)の中に引っ込めて隠します。
大小2頭の幼虫が出会い頭に小競り合いを始め、最後にキスをして終わるのがダチョウ倶楽部のお約束を見ているようで思わず笑ってしまいました。
イラガ幼虫を高密度の条件で飼育すると、見るからに苛々してストレスが多そうです。
一連の排斥行動の結果として、分散が促進されるのでしょう。
棘だらけのイラガ幼虫の喧嘩を見ていると、「ヤマアラシのジレンマ」を連想しました。
幼虫の毒毛はあくまでも捕食者(天敵)に対するもので、同種には危害を及ぼさない(効果がない)と思うのですが、どうでしょうか。(調べた人はいるのかな?)
つまり、幼虫同士が触れると互いに激痛を感じているのでしょうか?
幼虫の目ははっきり見えていなくても、毛にはアンテナのような感覚器としての働きもあるはずで、互いに接触を回避する方向に動きます。
夜の内にイラガの幼虫は互いに離れて別々のカキノキの葉に分散して落ち着きを取り戻しました。
大食漢ですから、各自が縄張りのように餌資源を確保しなければいけません。
1頭がカキノキの葉に食いついてくれたのを見届けて一安心。
※ 採集当日および翌日に撮った映像から闘争シーンをまとめました。
動画編集時に自動色調補正を施しています。
一方、残る2頭は採集容器内で静止していました。
不活発な個体は眠なのかと思っていたら案の定、翌朝になると一頭が脱皮していました。
脱皮の瞬間は見逃しましたが、また次のチャンスがあるでしょう。
その後いつの間にか自分の抜け殻を硬い頭楯だけ残して完食していました。
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背景は1mm方眼紙 |
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赤っぽい脱皮殻(抜け殻) |
つづく→#3:ミズナラの葉を蚕食するイラガ(蛾)幼虫【60倍速映像】
2016年8月下旬
▼前回の記事
鳥糞を舐めつつ排尿するルリシジミ♂
路上の小石に付いた鳥の糞を舐めてミネラル摂取していた3頭のルリシジミ♂(Celastrina argiolus)は、翅表の紋様から♂と判明しました。
ムネアカオオアリ(Camponotus obscuripes)のワーカー♀も近くに群がっています。
ルリシジミが排泄するおしっこをアリが舐めに来ているのか?と頭によぎったのですが、違うようです。
ムネアカオオアリが集まっている辺りにはおそらく獣糞や死骸があったのだろうと推測しましたが、よく分かりません。
ムネアカオオアリのワーカー♀がときどきルリシジミの体に噛み付いて攻撃しているのが興味深く思いました。
獲物として狩るのではなく、餌場から追い払う占有行動のようです。
飛んで逃げたルリシジミ♂は懲りずにすぐ舞い戻って来て、仲間の近くに再着陸します。
ムネアカオオアリが接近しただけでルリシジミが飛んで逃げ出すこともありました。
240-fpsで撮ったハイスピード動画にも占有行動が写っていました。(@0:27〜2:01)
ルリシジミがときどき飛び立つのは自発的ではなく、アリに噛まれたからだということがスローモーションで明確になりました。
ムネアカオオアリにとって、ライバルのルリシジミを追い出してでも独占したいぐらい魅力的な餌場なのでしょう。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2016年8月下旬・午前11:44
低い山地の上空を3羽の猛禽類が帆翔しています。
遠いのにこのときは望遠レンズを使えず、姿形で鳥を見分けるのは無理そうです。
しかしピーヒョロロ♪という鳴き声が聞こえるので、トビ(Milvus migrans)ですかね?
直前に一羽の猛禽類が道端の法面の灌木から飛び立ったのが気になります。(撮り損ね)
一月前にサシバを目撃した地点に近いので、この空域はサシバの縄張りだったりして?
カラスにモビングされてるのかと一瞬思ったのですが、そうではありません。
猛禽類同士で空中戦を繰り広げている光景は初めて見ました。
巣立ったばかりの幼鳥同士で遊んだり空中戦の練習したりしているのか、それとも縄張り争いや子別れなのかな?
サシバの縄張りに侵入したトビを番が協力して追い払っているところ?
2016年8月中旬・午前4:44〜5:00(日の出時刻は午前4:57)
早朝の溜池に集結している水鳥の中でアオサギ(Ardea cinerea jouyi)に注目しました。
動きのある部分を編集でまとめましたが、実際はじっと佇んでいる時間が長かったです。
浅い池の中で生じる小競り合いはゴイサギ幼鳥同士だけではなく、アオサギもときどき周囲の鳥(ゴイサギおよびアオサギ)に喧嘩を売って追い払っています。
▼関連記事
ゴイサギ幼鳥同士の喧嘩と威嚇誇示
互いに適度なパーソナルスペースを確保するための争いなのでしょう。
小競り合いの際は低く下げた頭部の羽根が逆立っています。(威嚇誇示の姿勢?)
羽ばたきながら突進すると、どちらかがすぐ逃げ出して決着がつきます。
一羽のダイサギが池に飛来したときは、近くのゴイサギ幼鳥が慌てて飛び退きました。
連鎖反応で次々と喧嘩になり近くのアオサギが怒ってダイサギに向かって行くと、対決を避けるようにダイサギは慌てて空いてる場所に歩き去りました。
ブラインドの陰から見える範囲で数えると、池には最大で計8羽のアオサギが居ました。
ゴイサギ幼鳥が自分より大きなアオサギに喧嘩を売ることは一度もありませんでした。
カルガモが喧嘩に巻き込まれるシーンも見られませんでした。
たまにアオサギは嘴を水に突き刺していますが、獲物は捕食できていないようです。
この池は水深も浅くてドブ臭い状態です。
水鳥の数が多過ぎて、小魚や水生昆虫などの獲物はほとんど獲り尽くされて残っていない気がします。
(餌場としてこれだけ多数の水鳥を養えるのか疑問です。)
朝の水浴びをしに来た訳でもないですし、池に集まる理由が掴めていません。
コロニー(鷺山)が近くにあるので、この池は顔見知りに朝の挨拶をする社交場なのですかね?
2016年8月中旬・午前4:55〜5:03(日の出時刻は4:57)
▼前回の記事
朝、池の水を飲むゴイサギの幼鳥(野鳥)
浅い溜池に散開してのんびり採食中のゴイサギ(Nycticorax nycticorax)幼鳥群で、早朝からときどき小競り合いが勃発します。
背中の羽毛を逆立てて体を大きく見せながら頭を低く下げ相手と対峙するのが威嚇の誇示行動なのでしょう。
その姿勢で近くの個体へ急に歩み寄って跳びかかり、追い払います。
このときグワッ♪という鳴き声が響きましたが、喧嘩中の個体の鳴き声かどうか不明です。(カルガモかも?)
決して嘴による突付き合いとか本格的な激しい喧嘩には発展せずに離れて終わります。
縄張り争いというほどではありませんが、池の中で互いに適度なパーソナルスペースを確保するための争いではないかと思います。
個体間距離が近過ぎると緊張が高まるのでしょう。
池全体を上から見下ろすアングルで微速度撮影してみたら、ゴイサギ幼鳥群の分布の時間的変化を可視化できそうです。
先日、同じ池でちらっと見かけた小競り合いと同じ行動が繰り返されたので、様式化された誇示行動なのでしょう。
▼関連記事
ゴイサギ幼鳥間の小競り合い
つづく→枯れたハンノキを登り実を甘噛みするゴイサギ幼鳥(野鳥)
【追記】
日高敏隆『群となわばりの経済学』p39によると、
餌をとるときになると、群は散開体勢をとってひろがる。争いの発生を避け、しかも獲物を脅かさずに近づける。群をつくる個体間の距離は、そのときどきでの彼らの収支のバランスを示しているのである。
この記述は「餌をとるフラミンゴの群」と題した見開き写真に付いた解説文なのですが、フラミンゴは塩湖の藻を食べる草食性なので、下線部については少しズレていますね。
むしろゴイサギのような肉食性の鳥に当てはまることだと思います。
2016年8月中旬
ゴイサギ(Nycticorax nycticorax)は本当に夜行性なのかこの目で確かめようと、定点観察している溜池で深夜から朝まで徹夜の観察をしてみました。
ちなみに、この日は月齢16.3の満月が夜通し照らしていて、月の入り時刻は午前5:31。
日の出時刻は午前4:57。
我々ヒトの肉眼はなかなか暗視性能に優れていて、深夜の月明かりだけでも水鳥のシルエットは充分に見えます。
しかし、普通のカメラでは暗過ぎて闇しか写りません。
ストロボを焚いて写真に撮っても光が届かなそうですし、鳥がたちまち驚いて逃げてしまいそうな気がしたので、使いたくありません。
暗視カメラの赤外線投光機も非力で広い池では届かず、使い物になりません。
仕方がないので夜が明けるまでは池の畔にじっと座り込み、とにかく観察に専念しました。
蒸し暑い夜で、藪蚊の襲来に悩まされました。
溜池の北西より忍び寄ってみて分かったのは、夜でも水鳥の群れに近づくのは至難の業でした。
同じ池を集団塒としているカルガモ(Anas zonorhyncha)の警戒心がとにかく強く、すぐに私に気づくと大騒ぎして次々に飛び去ってしまいました。
新月の晩に忍者のような黒い服を着て行くべきかもしれません。
あるいは日中からブラインドを張って隠れ、夜の水鳥を待ち構えるしかなさそうです。
そのまま私がひたすらじっとしていると、逃げたゴイサギがときどき戻って来て、溜池の上空を偵察飛行しました。
池の畔に座っている私の姿を認めると、旋回してまた飛び去ってしまいます。
わざわざ私の様子を見に来て、その正体や危険性を確かめようとしているようです。
満月を背景にに飛ぶゴイサギのシルエットはとてもフォトジェニックでした。
これだけでも動画に撮りたかったです。
夜間、飛翔中に「クワッ」とカラスのような大きな声で鳴くことから「ヨガラス(夜烏)」と呼ぶ地方がある。昼も夜も周回飛翔をして、水辺の茂みに潜む。(wikipediaより)
夜も自由自在に飛べるゴイサギは、いわゆる鳥目(夜盲症)ではないことは明らかです。
ゴイサギの目に夜行性を実現するための解剖学的な秘密が隠されているのでしょうか?
ネット検索すると、やはりゴイサギはタペータム(輝板)を持っているようです。(参考ブログ:Backyard Biology)
徐々に水鳥が池に戻って来て、私から離れた池の中央または対岸近くに集まり始めました。
長時間粘って池を見張ってみたところ、本で読んだようなゴイサギの漁り火漁はここでは行われていませんでした。
この池には、水面を照らし魚が集まるような強い照明が無いのです。
そもそも池の状態に問題がありそうです。
雨が少ないせいか溜池の水位がかなり下がり、ほとんど泥沼の状態でした。
かなりドブ臭く、お世辞にも水質が良いとは言えません。
ここに集結する多数の水鳥(カルガモ、ゴイサギ、アオサギ、チュウサギなど)を養えるほど多数の餌や獲物(魚など)がこの池に生息するとはとても思えません。
水鳥がこの池に集まる理由が不思議でなりませんが、餌場というよりも比較的安全な集団塒として利用しているだけかもしれません。
午前2:40、明け方の撮影に備えて私は池の畔を東岸に移動しました。
すると池の水鳥は警戒して一羽残らず飛び去ってしまいました。
その間に柳の大木の下にブラインドを張って隠れました。(詳細は記事を改めて書きます。)
しばらくすると、逃げた水鳥が日の出前に続々と池に戻って来てくれました。
勇敢な初めの一羽が着水すると、それを見た後続の水鳥が安心して次々に飛来します。
動画の撮影時刻は午前4:34〜5:40。
ちなみに、この日の公式な日の出時刻は午前4:57、月の入り時刻は午前5:31。
ようやく夜が明けてきて水鳥が見分けられるほど明るくなると、未だかつて無いくらい多数のゴイサギ幼鳥を一度に観察することが出来ました。
初めて使ってみたブラインドの効果は抜群です。
昼間の定点観察で見ていたゴイサギの群れは氷山の一角でした。
優占種はゴイサギで、他にはアオサギ、チュウサギ、カルガモが居ました。
以前この池で営巣していたヨシゴイの姿は見当たりません。
ゴイサギの群れは幼鳥ばかりで、成鳥は一羽も居ないことが判明しました。
繁殖期を終えたゴイサギ成鳥は幼鳥を残して一足早く暖かい地域に渡りをするのですかね?
ゴイサギは留鳥とされていますが、寒い地域では冬に暖かい地域へ移動するらしい。
池の中を少し歩き回るゴイサギ幼鳥もいるものの、ほとんどの個体が呆然と佇んでいるだけです。
ゴイサギ幼鳥同士の小競り合いがときどき勃発します。
これだけ数が多いと、どの個体を撮るべきか目移りしてしまいます。
ゲッゲッ、ガッガッガッなどの鳴き声が聞こえますけど、どの鳥が鳴いているかよく分かりません。
後半になると水鳥の数がどんどん減っていくのは、池からどんどん飛び立って行くからです。
朝になって集団塒からの自然な離塒なのか、それとも私の存在に気づいて逃げて行ったのか、不明です。
苦しい体勢での長時間撮影に堪りかねて私がブラインドの陰で立ち上がったりしたからです。
つづく→池に飛来し、飛び去るゴイサギ幼鳥
2016年8月中旬・午後17:23
▼前回の記事
池の岸辺で羽繕いや採食するゴイサギの幼鳥群
溜池の岸辺付近で採食していたゴイサギ(Nycticorax nycticorax)の幼鳥2羽が突然なぜか小競り合いを始めました。
翼を広げて威嚇誇示すると、対峙して睨み合います。
頭を下げ、羽根を逆立てて自らの体を大きく見せています。
このとき鳴き声を発しているかどうか興味があるのですけど、遠い上に風切り音が耳障りで聞き取れませんでした。
本格的な喧嘩にはならず、目を逸らした右の個体がその場を離れました。
兄弟喧嘩の原因は不明です。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2016年8月上旬・午前7:44
朝、溜池の岸辺に広がるヨシ原で2羽のオオヨシキリ(Acrocephalus arundinaceus)が喧嘩していました。
縄張り争いなのかな?
あわや接近戦というときにジュジュッ♪と鳴きました。
喧嘩に負けた方が飛び去り、勝者が居残って獲物の探索を始めました。
やがて水面の獲物(水生昆虫?)を素早く捕食しました!(@0:59)
巣で待つ雛鳥に給餌するのではなく、すぐその場で自分で食べました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2016年7月下旬・午後18:26
街中に聳え立つ高圧線鉄塔A#30のてっぺんから2羽のハシボソガラス(Corvus corone)がもつれあうように落ちてきました。
喧嘩の原因は不明です。
シリアスな喧嘩とは限らず、遊びでふざけているのですかね?
鉄塔に残ったもう一羽が鳴いています。
しばらくすると喧嘩に勝った(?)個体が鉄塔に戻りました。
映像の後半は、激しい喧嘩シーンを1/4倍速のスローモーションでリプレイ。
この鉄塔は、定点観察していたカラスの営巣地ではありません。
2016年7月上旬・午後18:49
堤防の階段にいつも残されているホンドタヌキの溜め糞でカメムシが二匹、激しく争っていました。
成虫なら♀を待つ間に♂同士が縄張り争いをしていると予想されます。
しかし幼虫なら、餌場を巡る喧嘩になります。
糞そのものを吸汁しに来たのか、それとも溜め糞に含まれる植物の種子から吸汁するのか、興味があるのですけどしっかり観察できませんでした。
映像を見直すと、昔観察した喧嘩カメムシと似ている気がしました。
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ヘビイチゴの果実で争うナガカメムシ科幼虫の群れ
今回もアムールシロヘリナガカメムシの幼虫ですかね?(当てずっぽうです)
動画の画質が粗いのは、夕方でかなり薄暗いためです。
あいにく赤外線の暗視カメラを持参していませんでした。
未採集、未採寸。
カメムシを同定するために採集すればよかったですね。
ビニール袋や手袋が無かったので、汚物に触れるのを躊躇してしまいました。(まだまだ修行が足りません。)
動画の次にストロボ写真を撮ろうとしたときには溜め糞に潜り込んで見失ってしまいました。
ちなみに、鳥獣の糞に集まり吸汁するカメムシを観察したのはこれが四度目です。
初回は意外で衝撃を受けましたけど、フィールドで注意しながら見て歩けば、実はそれほど珍しくないのかも?と思うようになりました。
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2016年7月上旬
町外れでハシボソガラス(Corvus corone)同士が小競り合いになり、喧しく鳴き交わしていました。
電線に止まった一羽に注目して撮影すると、口の中が黒いので成鳥でした。
鳴きながら車道の反対側の電柱のてっぺんのワイヤーに止まり直しました。
左右の翼を同時に持ち上げ、肩をすくめるような姿勢で鳴き騒いでいます。
この行動はおそらく威嚇誇示なのでしょう。
足元の電線に嘴を擦り付けて、攻撃性の捌け口としています。
どうやら近くに居る別個体と口論になっているようです。
2羽を同時にカメラの画角に収めることは無理でした。
私が通りかかる前から騒いでいたので、私に対する威嚇や攻撃性ではありません。
2016年7月上旬
峠道の横に生えたクリの灌木で2匹のマメコガネ(Popillia japonica)が訪花していました。
なぜか枯れかけ(終わりかけ)の花に集まって、花蜜や花粉を食べているようです。
互いに近接しているので、初めは交尾中なのかと思いました。
(直前までマウントしていたのかも?)
互いに牽制するために後脚を大きく広げました。
片足ずつゆっくり伸ばすことが多いようです。
餌場での個体間距離を調節しているのでしょう。
直接的に相手を強く蹴る攻撃は見られませんでした。(おそらく、やらないのでは?)
私がカメラを近づけた時も同じポーズで威嚇しました。
これはマメコガネではよく知られた行動です。
人が近づいたり植物が揺れたりすると後脚を斜めに挙げる動作をとる。(wikipediaより)
2016年7月上旬
峠の道端に見慣れない幼木の群落が自生していました。
黄色の花が咲いています。
帰ってから調べてみると、アブラギリと迷ったのですが帰化植物のキササゲのようです。
(秋になって細長い実がついたことからキササゲで確定しました。)※追記参照
イブキヒメギス♀(Eobiana japonica)がキササゲの花弁(花びら)をむしゃむしゃ食べていました。
ところが同じ花にクロオオアリ(Camponotus japonicus)のワーカー♀がやって来て、イブキヒメギス♀の足の先にあちこち噛み付き始めました。
アリの攻撃に堪らず花から退散しました。
横を向いた瞬間に腹端の産卵管と丸い翅先が見えたことから、イブキヒメギス♀と判明。
アリはキササゲの花でパトロールを続けます。
しばらく待ってもイブキヒメギス♀は花に戻って来ませんでした。
このアリの行動はとても興味深く思いました。
獲物になるかどうか、試しに攻撃してみたのですかね?
もしかすると、アリと共生関係にあるアブラムシのコロニーがあり、この花を食害する草食性昆虫から防衛したのでしょうか?
それとも、キササゲの葉の根元付近には花外蜜腺があるそうなので(参考サイト:松江の花図鑑)、だからアリはキササゲのボディーガードを務めたのかな?
いずれの可能性も後で思いついたことで、現場では確かめていません。
その代わりせっかくなのでキササゲの送粉者を突き止めようと、傍らでしばらく粘って待機したのですけど、訪花するハナバチ類は現れませんでした。
【追記】
9月上旬に同じ場所で撮影した実の写真。
更に2ヶ月後(11月中旬)、葉が枯れた後の実の写真。
2016年6月中旬・午前4:12〜4:18
早朝に郊外のだだっ広い駐車場で、ハシボソガラス(Corvus corone)の群れが遊んでいました。
割れたクルミの殻の欠片を幼鳥同士で奪い合っています。
食べられる中身(実)は入っていないため、食料の真剣な争奪戦というよりも遊びなのでしょう。
クルミを奪われそうになると相手をヒョイと飛び越え、かわしました。
近くの電線に止まって居たもう一羽が途中から舞い降りて参戦。
クルミの実を持って仲間から遠ざかる途中で嘴から落としてしまい、慌てて拾い上げる様が微笑ましいです。
残る2羽も左手で別な欠片(小石?)で遊んでいます。
ガラガラ声の甘えたような鳴き声がガランとした屋外駐車場に響き渡ります。
更に2羽のカラスが飛来しました。
そのうちの一羽が明らかに大型で、おそらく親鳥なのでしょう。
計5羽の家族群になりました。
親鳥が右に移動すると、幼鳥たちがついて歩きます。
幼鳥が親鳥に向かって翼を持ち上げ、餌乞いの姿勢になりました。
家族水入らずで遊んでいたのに、鳴き声を聞きつけた茶トラのネコ(Felis silvestris catus)が奥の民家から登場しました。(@2:17)
親鳥が真っ先に猫の存在に気づき、左へ小走りで逃げました。
危険を回避して、さり気なく幼鳥を誘導します。
逃げ遅れた2羽に向かって猫が近づくと、ガー♪と警戒声を発して一斉に飛び立ちました。
画面の左では一羽だけ駐車場に居残っています。
一方、飛び立ったカラスは猫を馬鹿にしたように威嚇するようにグヮー、ガー♪と鳴きながら低空で旋回します。
挑発的にわざと猫の近くに2羽が舞い降りました。
(逃げ遅れた子ガラスと猫の間に親ガラスが立ちはだかったのかな?)
天敵の猫をカラスが集団でモビング(擬攻撃)するかと思いきや、座っていた猫が小走りで左へ逃げ始めました。
たまたま新聞配達のバイクが来たことも影響したようです。
それまで私は気づかなかったのですが、植え込みの陰に潜んでいた黒猫も茶トラと一緒に走り去りました。
平和が戻った駐車場でカラスの家族群は各々で採食を始めました。
幼鳥は親鳥に駆け寄り、催促しています。
駐車場の境界で車止めの柵に親子のカラスが相次いでひょいと飛び乗りました。
幼鳥はすぐに地面へ降りたり、また柵に飛び乗ったりと、落ち着きません。
最後は親鳥が飛び立つと近くの電線に止まって鳴きました。
明らかに家族群という印象を受けました。