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2015/10/02

ヒメギス♂の鳴き方♪【HD動画&ハイスピード動画】



2015年7月下旬

山間部の道端に生えたタラノキの灌木でヒメギス♂(Eobiana engelhardti subtropica)がシリリリッシリリリッ…♪と乾いた声で鳴いていました。
落葉せず枝に残った枯葉に止まり、翅を震わせ鳴いています。
気温を測り忘れました。

後半は(@1:23〜)発音器の動かし方を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
1/8倍速のスローモーションで見ると、タンタタン♪という独特のリズムの繰り返しで翅を開閉して擦り合わせていました。




ヒメギス♂の鳴き声を声紋解析してみる

オリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから、安定して鳴いている部分を適当に切り出して、スペクトログラムを描いてみました。
16kHz以上の非可聴域が不自然にカットされているのは、カメラ内蔵マイクで録音する際の仕様です。



2015/08/14

夜の森から聞こえるトラツグミ♂(野鳥)のさえずり♪



2015年6月下旬・夜22:24

夜の山中から甲高い謎の鳴き声がずっと聞こえています。
姿は撮れなくても、気になる鳴き声を録音してみました。
音量をかなり上げて再生すれば聞こえるはずです。(ヘッドフォン推奨)
森を写しても真っ暗なので、半月(月齢12.5)にカメラを向けました。
単調で甲高い二音階を繰り返しているのですけど、悲しいかな絶対音感の無い私には書き表せません。
2羽が鳴き交わしているのか?と思ったり…。
帰ってから調べてみると、トラツグミ♂(Zoothera dauma aurea)の鳴き声(囀りさえずり)らしい。
夜中にこんなか細い声で鳴くので、昔から「ぬえ」と呼ばれて気味悪がられていたのも納得です。

▼関連記事(2012年10月中旬撮影) 
樹上のトラツグミ?【野鳥】


トラツグミのさえずりを声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMOV動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてからスペクトログラムを描いてみました。
音量が小さくてノイズばかりが目立ちます。
16kHz付近に持続するシグナルと8kHz付近ですっぽり抜け落ちているのは、このビデオカメラ特有のノイズです。
24kHz付近に持続するシグナルも関係無さそうです。
何箇所か縦に走る線がトラツグミの鳴き声じゃないかと思うのですが、あまり自信がありません。


こういうとき、パラボラの集音器を使えば少しは改善するのでしょうか?



2015/07/20

オオヨシキリ♂(野鳥)夜のさえずり♪【暗視映像と声紋解析】



2015年6月中旬・夜22:50頃

オオヨシキリ♂(Acrocephalus arundinaceus)は「一晩中さえずり続けることもある」そうです。(『山渓フィールドブックス4野鳥』p317より)


湿地帯のアシ原に夜出かけると、確かに大声でギョギョシ、ギョギョシ(行行子)♪と鳴いていました。
姿は見えませんが、鳴いているのは一羽だけのようです。
赤外線の暗視動画に撮りながら、足音を忍ばせて鳴き声に接近します。
昼間だったら柳の梢など目立つ場所で縄張り宣言しています。

▼関連記事
柳の梢でさえずる♪オオヨシキリ♂(野鳥)
暗闇で赤外線投光機が届く範囲を探してみても樹上には見つけられませんでした。
夜の塒(ねぐら)はどこかアシ原の茂みに潜んでいるのでしょう。
最後は鳴いているすぐ近くまで行けました。
大声過ぎて、ビデオカメラの内蔵マイクがやや音割れするぐらいです。

明るい昼間なら警戒されてここまで近づくことは出来ないでしょう。
昼も夜も鳴き続けるなんで、おそるべきスタミナです。
そこまでしないと縄張りを守れないのでしょうか?
本当に徹夜するのか、睡眠時間はどれぐらいなのでしょう?

オオヨシキリ♂夜の囀りを声紋解析してみる

背後の用水路の水音がうるさいかも。
背後の水田からカエルの合唱も聞こえます。
いつものように、オリジナルのMOV動画ファイル(映像では一番最後)から音声をWAVファイルにデコードしました。
1分間に7小節鳴いていたので、それぞれ切り出してから、スペクトログラムを描いてみました。
あまりきれいな声紋が得られなかったのは、やはり録音距離が近過ぎて音が割れているのですかね?
それでも特徴的な節回しであることは見て分かります。


7小節鳴いている(全体)

【追記】
ミゾゴイに限らず夏鳥のホトトギス、ヤブサメ、オオヨシキリ、ヒクイナなども渡来初期の夜間に囀ることが知られている。これらの鳥たちは夜間に囀りを行っても夜行性の鳥とは呼ばれない。(『ミゾゴイ:その生態と習性』p137より)


2015/04/23

雪原を歩いて鳴く♪ハシボソガラス【冬の野鳥】



2015年2月下旬

よく晴れた雪原でハシボソガラスCorvus corone)が鳴いています。
グヮーガァー♪と濁った声で鳴く度にお辞儀をするのがハシボソガラスの特徴です。
雪原をトコトコ歩きながら鳴くこともありました。



ハシボソガラスの鳴き声を声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから、カラスが鳴いている部分を適当に2箇所切り出し、スペクトログラムを描いてみました。


2015/04/10

アオサギ(野鳥)の旋回飛翔♪と着陸



2014年11月下旬

アオサギArdea cinerea jouyi)が上空を旋回飛翔してから、水辺に着陸しました。

羽ばたきと滑空を交互にやって飛んでいます。
着陸できるかどうか周辺の安全を確認しているのでしょう。
飛びながらギャー♪と大声で鳴くことがあります。
私の存在に気づいている筈ですが、警戒声なのですかね?

怪しい奴がカメラを構えて突っ立っているせいでお気に入りの場所に着陸できず腹立ちまぎれに鳴いたのかもしれない、と想像したりもします。
複数個体を撮影。




アオサギの鳴き声を声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから鳴いている部分を適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。

映像冒頭(@0:02)の連続発声
映像後半(@1:37)の鳴き声

2015/03/08

樹上で鳴き交わす♪エナガの群れ(野鳥)



2014年11月中旬

郊外の民家の庭木にエナガAegithalos caudatus)が群れていました。
せっかく鳴き交わしているのに、車の通過音が邪魔ですね…。



エナガの鳴き交わしを声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから、ピーピーピー♪と鋭い鳴き声を発している部分を切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
車が通り過ぎた後の部分です。


映像の個体の鳴き声かどうかはっきりしない※上に、声紋もいまいち不明瞭でした。
(※ リップシンクロしているかどうかよく分かりませんでした。)

ピーピーピー♪という似た鳴き声でも、2年前にサンプリングした鳴き声から得た声紋の方がずっと綺麗です。

▼関連記事
エナガの樹上採食と鳴き声の声紋解析(野鳥)

2015/03/03

樹上で鳴く♪ウソ♀♂(野鳥)の群れ



2014年11月中旬

山間部の道端の斜面から心安らぐ美声が聞こえてきます。
落葉した灌木の枝にウソPyrrhula pyrrhula)の群れが止まり、ときどき静かに鳴き交わしていました。

撮り初めは2羽の♀でしたが、途中で1羽の♀が飛び去りました。
死角になっていた左手の茂みから♂(頬が紅色)が登場。
♀が嘴を足元の枝に擦りつけ、飛び去りました。
独り残された♂にズームしても嘴を閉じたままなので、鳴き声とのリップシンクロを確認できませんでした。
聞こえているのは別個体の鳴き声なのか、それともウソは腹話術のように嘴を動かさずに鳴くのか(まさに嘘泣き?)、不明です。
ヘッドフォンを使用し、かなりボリュームを上げないと鳴き声が聞こえません。(必然的にノイズも多くなります。)

ウソ♂は枝の冬芽を採食するでもなく、枝から枝へ飛び移りキョロキョロと辺りを見渡しています。
頭を枝に擦り付け、ようやく飛び去りました。

wikipediaによると、ウソの

囀声は「フィー、フィー」と口笛のような澄んだ声で[4]、単調な節を交え、雄だけでなく雌も囀る。(中略)地鳴きは「ヒー」、「フィッ」など[3]。また、囀る時に、左右の脚を交互に持ち上げることから別名「弾琴鳥」とも呼ばれる。

この記述を額面通りに受け取るならば、映像後半に聞こえるさえずりは注目していた♂個体の鳴き声ではなかったようです。


【追記】
日本野鳥の会『みる野鳥記3:カワラヒワのなかまたち』によると、
(ウソの)名前がついたのは、声が口ぶえに似ているから…「うそ」とは、むかしのことばで、口ぶえの意味なのです。 (p57より引用)



ウソ♂
ウソ♂

ウソ鳴きを声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてからフィーフィー♪と鳴いている部分を切り出し(@1:50〜1:56)、スペクトログラムを描いてみました。
3kHzに単調かつ微弱なシグナルが辛うじて見えます。



2015/02/28

秋の刈田で採食するキジ♂(野鳥)



2014年11月中旬・午前10時前後

農道に佇むキジ♂(Phasianus versicolor)を見つけて、そっと後をつけました。
用水路を飛び越える際に軽くケーン♪と一声鳴きました。(@0:40)※※
少しだけ飛ぶということが出来ないのか、結構な距離を飛んで隣の農地に着地しました。
いつ見てもキジ科の鳥は飛翔能力が不器用な印象です。
いずれにせよ、どうやら私に気付いた雄雉が警戒して逃げ出したようです。

その後は稲刈りの済んだ田んぼ(刈田)を歩きながら何か食べ物を啄んでいます。

イネの落ち穂を食べに来たのでしょうか。
どんどん遠ざかるので、私も追いかけて撮影を続けます。
こちらは用水路沿いの農道を歩くため、常に水音が手前から聞こえます。
キジ♂は田んぼを横切り畦道に登ると辺りを見渡しました。
最後は林縁の草むら(枯れ草)に姿を消しました。
奥に見えるのは杉林です。

※ 望遠レンズで撮ったやや不鮮明な映像をYouTube上で編集する際に自動色調補正を施してあります。



※※ キジ♂の飛び立ちの鳴き声を声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから鳴き声+羽ばたきの部分を切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
素人目には縄張り宣言の母衣打ちとの違いは、最後に飛ぶ飛ばないという点だけですけど、声紋上でも似ていますかね?


▼関連記事キジ♂の縄張り宣言と母衣打ち♪を声紋解析してみる【野鳥】


2015/02/22

モズ♂(野鳥)の高鳴き♪を声紋解析してみる



2014年11月上旬

朝から(午前7:03)けたたましい鳴き声がするので辺りを探すと、剪定されたケヤキの枝に止まっているモズ♂(Lanius bucephalus)の後ろ姿を発見。
尾羽を振り立てながら元気に縄張り宣言しています。
嘴の動きと鳴き声の同期(リップシンクロ)を確認できたので、この個体の鳴き声に間違いありません。

カメラに気づいたのか、すぐにギーギーギー♪と激しく鳴きながら前方へ飛び去ってしまいました。
柿の木の向こうに姿が見えなくなってもしばらく鳴き声を録音しています。

※ YouTubeの動画編集時に自動色調補正を施してあります。

ちなみに前回観察したのは夕方の高鳴きでした。

▼関連記事
モズ♂(野鳥)の高鳴き♪


モズ♂の高鳴きを声紋解析してみる
いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声部をWAVファイルにデコードしてから適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。


前半:ギーギー♪クレッシェンド@枝上
中盤:キキッ、キキッ♪
後半:キキキキ…♪

2015/02/07

パンパスグラスで鳴く♪アオジ♀(野鳥)



2014年10月下旬

山際の民家の庭に背高く生えた(目測で>3m)パンパスグラス(=シロガネヨシ)に野鳥が止まっています。
垂直な茎に掴まり、高音でチュッチュ♪と繰り返し鳴き続けています。
鳴きながら尾羽を左右に素早く振っています。
鳴き声に同期して嘴が動いたので(リップシンクロ)、この個体の鳴き声に間違いありません
全体的に黄色っぽいので初めはカワラヒワや冬羽のホオアカかと思ったのですけど、違いますね。
腹側しか見せてくれず、ホオジロのような冠羽が見えるのが悩ましいです…。
途中からせっかく望遠レンズを装着したのに、途端に山の方へ飛び去ってしまいました。


いつもお世話になっている「日本野鳥の会 宮城県支部・山形県画像掲示板」にて問い合わせたところ、Toshiboさんより以下の回答を頂きました。
色がうすい緑色ですが、アオジです。メスです。どちらかというと藪の近くの地面で餌を食べ、すぐに藪に逃げ込んでしまいます。こんなにもサービスしてくれてよかったですね。
アオジEmberiza spodocephala personata)はこれが初対面になります♪
山形県でアオジはレッドリストの準絶滅危惧(NT)に指定されているらしい。 



アオジ♀の地鳴きを声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから鳴いている部分を2箇所適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
8〜9kHZ付近に明瞭な声紋が見えます。



2015/01/27

ビンズイ(野鳥)の鳴く声♪を声紋解析してみる



2014年10月上旬

山間部の道端でビンズイAnthus hodgsoni)が木の横枝に止まって辺りをキョロキョロしていました。
いかにもセキレイ科らしく、尾羽を上下に振っています。
急にすぐ横の蔓を啄み、おそらく何か虫を捕食しました。(@1:25)
つづいて羽繕いを開始。
嘴で胸元の羽根を念入りに整えています。
脚の爪で肩や頭の辺りを掻きました。

長撮りの最中にカメラのトラブルが発生。
強制再起動で撮影再開するまで手間取ったものの、奇跡的にビンズイは逃げずに居てくれました。
それまでずっと黙っていたのに、やがて警戒を解いてくれたのか甲高い声で鳴き始めました。(@5:53〜)
嘴の動きと鳴き声が同期した(リップシンクロ)ので、この個体の鳴き声に間違いありません。
横枝を歩いて移動すると、飛び立ちました。
少し上の枝に止まり直すと、鳴きながら枝から枝へ飛んで移動。
最後は森の方へ飛び去りました。



ビンズイが止まっていた木の葉を写真に記録しておきます。
虫喰い穴だらけで分かりにくいのですが、この樹種はマンサクですかね?(全く自信なし)



▼関連記事(丁度2年前にも同様のシーンを撮っています。)
樹上で虫を捕るビンズイ(野鳥)



木の横枝を平均台のようにのこのこ歩くなんて、そういえば、ほかの鳥ではあまり見かけないこと。(『森の野鳥観察図鑑:鳥のおもしろ私生活』p151より)
という記述が本にあるのですが、独特とされる歩き方がいまいちイメージできません。
横歩きしたシーン(@6:04-6:10)も撮れましたが、そんなにユニークかな?

ビンズイの鳴き声を声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから鳴いている部分を3箇所切り出し、スペクトログラムを描いてみました。




2015/01/26

ヒマワリの種子を口移しで給餌♪するカワラヒワ(野鳥)の親子?



2014年10月上旬


▼前回の記事
ヒマワリの花から種子を啄むカワラヒワ(野鳥)

民家の庭で枯れたヒマワリの花から種子を採食するカワラヒワCarduelis sinica minor)の群れを撮っていると、気になる行動が見られました。
花の上で餌をねだる個体はなぜ自力で採食しないのでしょう?
翼を羽ばたかせながらヒヨヒヨヒヨ♪と甘えるような鳴き声を発しています。(通常の鳴き方とは異なります。)
もはや繁殖期ではないので、つがいの♂から♀への求愛給餌ではないと思います。
おそらく巣立ち雛が親鳥に餌をねだっているのでしょう。
幼鳥なのか成鳥♀なのか私には外見で見分けられません。
『森の野鳥観察図鑑:鳥のおもしろ私生活』p78によると、

(カワラヒワは)♂の方が緑色味・黄色味が強い。



ヒマワリの花や葉はすっかり枯れており、大量の種子がぎっしり詰まった重みで大きな花は下を向いています。
採食中のカワラヒワは花の縁から逆さまにぶら下がるアクロバティックな体勢で種子を啄んでいます。
花の外側から種子を採食していくので、もはや花の中央部しか種子は残っていません。
したがって次第に採食が難しくなり、経験が必要だったり若鳥は小さくて嘴が届かないのかもしれません。
(最終段階ではホバリングしながら採食するのかな?)
しかし2羽の体長は同じぐらいに見えます。
もし仮に若鳥?が自力で採食可能なように、ヒマワリの花を切り落とし上向きにひっくり返して置いたとしても、同様の給餌行動は見られるのでしょうか?

実際に口移しで給餌を受けているのかどうか非常に気になるのですが、後ろ姿のためなかなか見せてくれません。
「頼む!こっちを向いてくれ〜!」と念じて待つと、願いが通じたのか、なんとか決定的瞬間が撮れました。
やったね!

※ YouTubeの動画編集時に自動色調補正を施してあります。

▼関連記事
カワラヒワ(野鳥)の求愛給餌?/巣立ち雛への給餌?

給餌をねだる鳴き声を声紋解析してみる

秋風でザワザワなびく草の音がある上に、すぐ横が交通量の多い車道なので、ノイズ(騒音)が酷いです。
それでもなんとかノイズの少ない部分を3箇所切り出してスペクトログラムを描いてみました。
ちなみに外付けマイクを忘れたので、カメラ内蔵のマイクで録音したものです。




2015/01/14

涼しい夜も巣口で扇風行動するモンスズメバチ♀【暗視映像】



2014年9月中旬
▼前回の記事
モンスズメバチ♀の夜間飛行【暗視映像】

モンスズメバチの巣の定点観察12

モンスズメバチVespa crabro flavofasciata)の門衛はこの日の夜も巣口で扇風行動を続けていました。
赤外線の暗視ビデオカメラを手に持ち巣にそっと近づいて撮った時刻は18:22および18:42 pm。

巣口の左右で2匹の門衛が同時に扇風しています。
以前見かけた直列二連の扇風行動とは違い、今回は並列ですね。

少し時間をあけてから(20分後に)再び撮影しても、同時に2〜3匹の扇風役が巣口で踏ん張り懸命に羽ばたいていました。
寝苦しい熱帯夜ではなく、むしろ少し肌寒いぐらいでした。

外気温を測ると16℃。
同じ日の昼間に観察したときよりも涼しい夜の方が扇風役が多いのは不思議でなりません。
果たして本当に巣を冷やすための行動なのか、ますます疑念が強まりました。

蜂の観察をアシナガバチから始めた私の目にはとても奇異に映ります。
同じスズメバチ科でもアシナガバチ類の巣盤は外被がなく開放型なので、外気温が下がると扇風行動は不要になります。
やや肌寒いぐらいの気温16℃で扇風行動するなんて、アシナガバチではとても考えられません。
保温のために巣盤を外被で覆うスズメバチ属で同様の扇風行動を観察したのは、このモンスズメバチ以外では未だ一度しかありません。
昔にコガタスズメバチの巣で扇風行動を観察したときは、気温29℃の暑さでした。

したがって今回も普通に考えたら、樹洞内が夜でも30℃近くないといけません。(測ってみなければ分かりませんが、そんなことあり得ますかね?)
むしろ樹洞内が酸欠になりがち(二酸化炭素濃度が高い)なので換気が必要だ、という解釈の方が未だ自然な気がします。

赤外線投光機を近くから照射したせいでモンスズメバチが暑さを感じて扇風行動を始めたのでしょうか?
観察行為自体が対象生物の行動を変えてしまった可能性(観測問題)は否定できると思います。
その理由は、


  1. 赤外線を照射しても巣口にいる門衛のごく少数しか扇風していない。
  2. 少し時間をあけてから(20分後に)再び撮影しても変わらず扇風行動を続けていた。

樹洞内がそんなに暑いのか、温度や二酸化炭素濃度を測ってみたいのですけど、高価な防護服を持っていないのでさすがに危険なことはできません。(測定器も値が張りますし。) 
もしミニ扇風機を持参して樹洞に送風したら、加勢された扇風役の蜂はどんな反応をするでしょうね? 
ヘアドライヤーの熱風を送り込んだら? 
冷たいドライアイス(固体CO2)を樹洞に放り込んだら? 
防護服が無いと出来ることは限られてしまうのですが、実験のアイデアだけなら幾つも思いつきます。

【追記】
蜂の防護服は高価ですが、レンタルしてくれる会社を幾つかインターネット上で見つけました。¥9,800/日


扇風行動の羽音を声紋解析してみる 

扇風行動が始まるとブブブブ♪という重低音が長時間響くのですぐ分かります。 
樹洞内で反響しているのでしょう。 
本種はスズメバチ属では珍しい夜行性です。(正確には両行性) 
暗い森を飛んで帰巣する外役ワーカーに対して灯台のように巣の位置を知らせるために門衛が羽音を立てているのではないか?という大胆な仮説を思いつきました。 
コロニー毎に微妙に異なる周波数を発していたりして…。 
録音した扇風行動の羽音を別の木からスピーカーで流し(プレイバック実験)、外役ワーカーの帰巣能力を撹乱できるか調べたら面白そうです。
先走った法螺話はさておき、とりあえず扇風行動の羽音を声紋解析してみることにしました。
扇風行動と飛翔時の羽音とを区別しないといけません。
飛んで出入りする蜂が途絶えた映像後半部のオリジナルMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてからスペクトログラムを描いてみました。


20kHz以上の高音域に見られる断続的で思わせぶりな声紋は、背景で鳴いている直翅目(コオロギ?)の声かもしれません。
16kHz付近に持続する強い波形があり、その半分の8kHzでは逆にすっぽりと波形が抜けている現象が不思議ですね。 
これら低音域の波形が扇風行動によるものだと思うのですが、音響学の専門家に解説してもらいたいものです。 
樹洞に反響しているとか扇風役2匹の羽音が一部打ち消し合っているとか、複雑な現象なのでしょうか?
【追記】翌年、全く別の被写体を撮っても8, 16 kHzの持続する信号のパターンが再現されました。これはビデオカメラ特有のノイズかもしれません。

一方、巣に出入りする蜂が何度か飛び回る映像前半部の音声からも同様にスペクトログラムを描いてみましょう。 
二つのグラフを見比べると、飛翔時の羽ばたき成分がどれか分かってきました。(低音域の波形でムラのある部分)

扇風行動の羽音のような低音は、障害物を越えて遠くまで届くものの指向性が弱いという性質があります。
巣の位置や方角を正確に知らせたいのであれば、直翅類♂の鳴き声のように指向性の強い高音を使うべきなので、仮説としては弱いかもしれません。



つづく→シリーズ#13



【追記2】
スズメバチではありませんが、同じく真社会性昆虫であるマルハナバチに関する本を読んでいたら、似たような習性が書いてあって興味深く思いました。
『マルハナバチの謎〈上巻〉 (ハリフマンの昆虫ウオッチング・社会性昆虫記)』で第5章「マルハナバチにラッパ手がいるのか」(p121-135)まるまる割いてこの不思議な行動について論じています。
この問題は、300年以上前にオランダの学者ヨハン・ゲダルトが、にわかには信じ難い奇妙な観察記録を残したことから始まりました。
マルハナバチの巣で毎朝起床を知らせる「鼓手」のハチがいるというのです。
その後、何人もの昆虫学者が研究を進め、そのようなハチは「ラッパ手」と呼ばれるようになりました。
ラッパ手マルハナバチの仕事について三つの意見がでたことになります。第一は起床ラッパだという意見。ラッパの音自体には何の目的もなく、若いハチがはねをトレーニングしているためにおきる羽音なのだという第二の意見、そして、第三は、はねをふるわせて巣の中の換気をしているのだという意見です。(p127より引用)

  • ラッパ手が巣から出てくるのは夜中とか夜明けが多い。(p126)
  • ラッパ手は見張り番だったのです。(中略)ラッパ手は餌の採集には出ません。(p130)
  • 六月末から夏の終わりまで毎朝同じマルハナバチがラッパを吹きました。(p130)
  • ラッパ手を取り除くと、それに代わって必ず別のラッパ手がでてくる。(p135)

2015/01/03

屋根に片足立ちで佇むアオサギ(野鳥)



2014年9月下旬

街中を流れる川沿いに建つ民家の屋根に大きなアオサギArdea cinerea jouyi)の成鳥が一羽佇んでいました。
屋根に止まる姿は初見です。
冠羽が無いのは非繁殖期だから?
川をじっと見下ろしているので、てっきり魚影を探しているのかと思いしばらく粘って観察してみました。
おそらくただの休息らしいと分かってきました。
西日を浴びて黄昏れています。
のんびりと羽繕いを始めました。(@0:28〜)
嘴で首の根元を掻くように撫で付けています。
次に翼の付け根を嘴で羽繕いしています。
左足の爪で首を掻いています。(@2:09)

屋根の縁まで歩いて移動しました。
川面を見下ろすも、予想に反して飛んでくれません。
なんとも哀愁のある立ち姿です。
空を飛んでいるトンボには見向きもくれません。
やがてリラックスすると片足を上げた姿勢になりました。(@3:38)
フラミンゴの一本足を連想しましたが、疲れた筋肉を片足ずつ休ませているのでしょうか。
トタン屋根が西日で熱いのであれば、もっと頻繁に足を踏み変えるはずです。

首をすくめていたアオサギが片足立ちのまま急に首を伸ばして遠くを眺めました。
何事もなかったようで再び首をすくめた姿勢に戻ります。
長撮りに疲れた私が川の対岸を歩いて少しずつ近づくと、警戒したアオサギは屋根を歩いて死角に隠れてしまいました。
更にしつこく対岸を歩いて回り込み、撮影続行。
夕陽を浴びたアオサギの横顔が美しいですね。
急に身を屈めると飛び立ち、下流方向へ飛び去りました。
飛びながら腹立たし気にグワーッ♪と一声鳴きました。
近くの鎮守の森のスギの梢に着陸しました。
枝葉に隠れて姿は見えませんが、ここを夜の塒とするのでしょうか。



アオサギの鳴き声を声紋解析してみる
いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから鳴いている部分を切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
やや遠いせいか、低周波成分の多い不鮮明な声紋ですね。



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