2015年7月下旬
山間部の路上をアカヤマアリ(Formica sanguinea)のワーカー♀が虫の死骸の断片を足早に巣へ運んでいました。
運んでいるのはおそらく死んだヒメギスまたはヒナバッタの後脚ではないかと思いますが、真面目に種類を検討していません。
(お分かりの方は教えて下さい。)
途中で出会った仲間が死骸に興味を示すものの、結局は運搬を手伝いませんでした。
次に遭遇したクロオオアリ♀(Camponotus japonicus)も、すぐに逃げて行きました。
草刈りされた後の枯れ草に行く手を阻まれ、それを乗り越えようと悪戦苦闘しています。
ヒメギス?死骸の後脚脛節の上端を咥えて、後ろ向きに運搬。
次は後脚腿節の下端を咥え、後ろ向きに引き摺って歩きました。
奴隷アリに働かせるばかりでなく、自分でも採餌するのですね。
深刻な人手不足なのでしょうか?
なお、この路上でアカヤマアリ♀が多数、採餌活動していました。(@2:25〜)
近くに巣がありそうですけど、突き止められませんでした。
本種は夏に奴隷狩りをするらしく、いつか是非その光景を観察してみたいものです。
もしかすると奴隷狩りの標的となるアリの巣を物色しているのかもしれません。
撮影後に採集しました。
以下は標本写真
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頭部の後縁があまり凹まない |
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頭楯前縁の中央部が凹む |
2015年7月下旬
山間部の道端に生えたヒメジョオン※の群落でイブキヒメギス♀(Eobiana japonica)が綿毛のような種子をモグモグ食べていました。
すぐ横に花も咲いているのに、種子を好むのですね。
食事中に突然、何かに驚いて跳んで逃げました。
下の茂みに落下して見失いました。
翅の先端が丸いのでイブキヒメギスだと思うのですが、どうでしょう?
前胸後端部に白線がありません。
上向きに湾曲した産卵管があります。
※ 撮影後に茎をカットし、白い髄を確認しました。
葉は茎を抱きません。
2015年7月下旬
山間部の道端に生えたタラノキの灌木でヤブキリ♀(Tettigonia orientalis)を見つけました。
葉から葉へ歩き回ったり軽く跳んだりして移動すると、葉の根本(葉柄の付近)を貪るように食べ始めました。
やがて食べ飽きたのか、再び移動。
2015年7月中旬
山間部の車道でロードキルと思われるフキバッタの一種の死骸にクロオオアリ(Camponotus japonicus)のワーカー♀が群がっていました。
死骸を噛み千切って解体しようとしています。
もはや残っているのはフキバッタの胸部、頭部の一部と左後脚だけです。
時間に余裕があれば解体ショーを微速度撮影で記録したかったのですが、先を急ぎます。
更に下山する道中で車に轢かれたフキバッタを何匹も見かけました。
2015年7月下旬
三脚を立てて別の虫を撮影していたら、いつの間にかフキバッタの仲間(種名不詳)が登って来ていて(飛んで来た?)カメラのストラップの先端を一心不乱に齧っていました。
長年染み込んだ雨や汗の塩分・ミネラルを摂取しているのでしょう。
この黒いストラップがもし天然の植物繊維で作られていれば、セルロースを含んでいるのでバッタが食べても不思議ではありません。
しかし実際は化繊ですから、さすがにゲテモノ好きのフキバッタ※も消化できないでしょう。
そもそも噛み切れない気がします。
食事シーンを間近で接写しても、補助照明の白色LEDの光を照射しても逃げませんでした。
せめて性別を知りたいところです。
※ ▼関連記事
・角材を食べて面取りするフキバッタ
・死んだ猿の毛を食すフキバッタ♀
・木の柱を食害するフキバッタ
・獣糞を食べつつ脱糞するフキバッタ
2015年7月下旬
草刈りされた山麓の土手でヤブキリ♀(Tettigonia orientalis)が長い真っ直ぐの産卵管を地面のあちこちに突き刺して感触を確かめていました。
腐葉土になる前の枯葉が堆積してフカフカ(スカスカ)の状態です。
ヤブキリは植物の茎に産卵するかと勝手に想像していたので、地中に産卵するとは意外でした。
餌植物の豊富な藪の中ではなく、やや日当たりの良い開けた空き地を選んでいるのも不思議です。
卵が孵化するまでの胚発生を太陽光で早めるためかもしれない、と想像しました。
しかし調べてみるとヤブキリは卵で越冬するらしい。
ようやく産卵適地を見つけると、地中に産卵管を深く差し込んでじっとしています。
産卵中に小さなアリが脚などに這い上がってきそうになると、ピクッと動いて嫌がりました。
ただし産卵管から這い登ってきそうになっても無反応でした。
周囲でときどき聞こえるシリリリリ…♪という鳴き声もヤブキリ♂のようです。
2014年9月中旬
砂利が敷かれた農道でショウリョウバッタ♀(Acrida cinerea)の死骸にクロヤマアリ(Formica japonica)のワーカー♀が群がっていました。
おそらく車に轢かれたのでしょう(ロードキル)。
ショウリョウバッタ成体♀の破裂した腹部から黄色い卵が漏れ出ています。
解体しないと運べない大きさです。
1匹のアリが内臓を咥えて力任せに引っ張るとゴムのように伸びました。
そのまま引きちぎって巣に運搬開始。
時間があれば解体ショーを微速度撮影してみたかったのですが、先を急ぎます。
それにしても、立派なショウリョウバッタを見るのはすごい久しぶりでした。
子供の頃は原っぱでよく見かけたのですけど。
2014年8月下旬
深夜(23:01 pm)の農道を歩いていたらエンマコオロギ♀(Teleogryllus emma)が人懐こくズボンの裾に乗って来ました。
靴からなかなか降りてくれません。
人肌恋しい(温もりが気に入った)のかな?
最後はようやく道端の草むらに逃げ込みました。
2014年8月下旬
里山のキャンプ場の東屋(休憩所)で軒下にフキバッタの一種がぶら下がっていました。
梁の太い角材の角をまるで面取りをするように線状の食痕が残っています。
顔を接写してみると、確かに大顎で材木の表面を齧り取っていました。
軒下は薄暗いので、後半は補助照明としてビデオカメラの白色LEDを点灯しました。
それでもフキバッタは逃げようとしません。
警戒して角材にしばらく身を伏せていましたが、すぐに食事を再開してくれました。
撮影後は、しばらく目を離した隙にいつの間にか居なくなっていました。
周囲には食草となりそうな草や灌木は幾らでも生えているのに、何を好き好んで栄養価の低そうな材木を食べているのでしょう?
便秘を解消するために植物繊維を重点的に摂取している…なんてね。
角材の表面を処理した化学薬品(防腐剤や塗装)の味が気に入ったのかな?
草食のフキバッタが木造家屋の建材を食害するという衝撃的な事件を見るのはこれが初めてではありません。
実は4年前の夏にも観察しています。
▼関連記事
木の柱を食害するフキバッタ
これは異常行動(異食行動)などではなく、フキバッタの習性なのでしょう。
前回見たフキバッタの食べ方は面取りになっていませんでした。
不思議なことに必ずしも死んだ材木が好きな訳でもなさそうで、自然界の朽木や倒木を食べているフキバッタは未だ一度も見たことが無いのです。
飼育してみれば何かヒントが掴めるでしょうか。
私にはフキバッタの種類を見分けられないのですけど、せめて性別ぐらいは知りたいところです。
どなたか教えて下さい。
2014年8月中旬
買ってきたビデオカメラの暗視機能をテストするために、深夜(23:24 pm)の庭に出てみました。
どこか近くでハヤシノウマオイ♂(Hexacentrus hareyamai)がスイーッチョン♪と繰り返し鳴いています。
ビデオカメラを暗視モードにして液晶画面を見ながら、強い鳴き声を頼りに探すと声の主はすぐに見つかりました。
庭に放置された手押し一輪車の鉄パイプ部分に乗っています。
虫の目は赤外線を感知できないので、間近から接写しても逃げません。
明るい昼間ならすぐ逃げられてしまうでしょう。
逆に近過ぎて、録音した鳴き声が割れてしまうぐらいです。
最後は突然逆に向き直ってから飛んで逃げました。
長い触角にカメラが触れてしまったのでしょうか。
あるいは、鳴き終わりの自発的な徘徊(場所移動)なのかもしれません。
3年前に飼育した時もそのような行動が見られたのを思い出しました。
▼関連記事
身繕いしながら鳴くハヤシノウマオイ♂(動画と声紋解析)
気温を測り忘れました。
同定用の写真も撮れていないのですけど、鳴き声の特徴からハヤシノウマオイとしてしまいます。
▼関連記事
ハヤシノウマオイ♂の鳴き声♪(HD動画)
ハヤシノウマオイ♂の鳴き声を声紋解析してみる
コオロギなど他の昆虫の鳴き声も混入していますが、オリジナルのMOV動画ファイルから音声部をWAVファイルにデコードし、適当に切り出してからスペクトログラムを描いてみました。
これまでの私の使っていたカメラとは違って高音域が不自然にカットされていないのは朗報です。
このビデオカメラは声紋解析に向いていますね。
図鑑『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』のCD音源とあまり遜色ないかもしれません。
ビデオカメラをちょっと使ってみた感想
2万円を切る値段だけあって、HD映像の画質は正直言うと少し落ちます。
それでも赤外線LED内蔵で暗視可能であること、高音部の音声周波数をカットしていないこと、の特長二点は非常に満足しています。
(音声コーデックはDVI ADPCM, Stereo, 48000 Hz。)
決定的瞬間を逃さないために、録画開始ボタンを押す10秒前から記録される(プレ録画)点も気に入りました。
欲を言えば、外付けマイクを接続できるようにして欲しかったです。(入力端子が無い)
ズーム倍率や手ブレ補正機能も弱いので、用途を割り切って使い分けるつもりです。
2014年8月中旬
夜の雑木林で(21:30 pm)樹液が滲むミズナラの木にマダラカマドウマ♀(Diestrammena japonica)が来ていました。
産卵管があるので♀ですね。
かなり巨大な印象でした。
樹皮に口を付けて樹液を吸汁しているようです。
背側も動画に撮ろうと長い触角に触れて幹を回り込ませようとしたのですが、上手く行かず逃げられました。
採集も失敗。
2014年8月中旬
農村部の道端で半分に割れかけているスイカが捨てられていました。
何気なく横を通り過ぎようとしたら、キリギリスがスイカから動きました。
ヒガシキリギリス(Gampsocleis mikado)で産卵管が伸びた成虫♀です。
それまで果肉を吸汁していたようです。
じっと待てば警戒を解いて食事に戻ってくれたかもしれませんが、暑いし先を急ぐので断念。
映像として面白味はありませんけど、西瓜とキリギリスはちょっと意外な組み合わせでした。
飼育してみれば良かったですね。
2014年7月中旬
山間部の路上におそらくニホンザルの物と思われる新鮮な糞が落ちていました。
ハエ類の他にフキバッタの一種(種名不詳)も集まっていました。
フキバッタが糞を食べるとは意外でした。
死んだ獣の毛を食べたり(リンク1、2)材木を齧ったり(リンク)、知れば知るほどフキバッタの食性はゲテモノ好きなようです。
せめてフキバッタの性別ぐらいは知りたいところです。
最後にフキバッタの排便シーンが偶然撮れていました。(@2:00〜2:12)
食事中にときどき後脚を同時に持ち上げる謎の運動を繰り返していたのは排泄の前兆だったのかな?
排泄した瞬間に糞を右後脚で蹴飛ばしています!
1/4倍速のスロー再生でリプレイ。
機会があればハイスピード動画に撮ってみたいものです。
ちなみに自分の糞を蹴り飛ばす行動は、以前アシグロツユムシの幼虫でも動画に撮っています。(リンク)
獣糞を食べるフキバッタの口元を接写しようとマクロレンズを取りに離れたら、その間に逃げられてしまいました…。
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定規を並べて置いて採寸。 |
2014年6月下旬
平地(郊外)の舗装路でスズメ(Passer montanus saturatus)が何か褐色のバッタ(種名不詳)を捕食していました。
じっくり観察する間もなく車が来てしまいました。
慌てたスズメは獲物を咥えホッピングして去りました。
【追記】
佐野昌男『わたしのスズメ研究 (やさしい科学)』p34に
脚や羽を撮って食べやすくしたバッタを、雛に運ぶ。(長野県東御市)
と題した生態写真が掲載されていました。
もし車に邪魔されなかったら私も同様の前処理が観察できたかもしれません。
2014年6月上旬
低山の草むらでススキの葉裏に止まり脱皮中のヒメギス(Eobiana engelhardti subtropica)幼虫を発見。
刺激しないよう少し離れた位置に三脚を慌てて立て、ジオラマモードで10倍速の微速度撮影を行いました。
撮影アングルの調節などでタイムロス。
褐色の幼虫が抜け殻から長い触角を抜こうとしています。
前胸後端部にある白線と抜け殻が黒いことからヒメギスだろうと予想しました。
未だ翅が無いので、成虫ではありません。
齢数は不明ですが、腹端に産卵管があるので幼虫後期の♀でした。
ようやく抜け殻から長い触角が抜けました。
しばらく抜け殻からぶら下がって休んでいます。
やがて腹筋で起き上がり、次は抜け殻から腹端を抜き始めます。
腹端が抜けるとススキの葉裏にしがみつき抜け殻の横で休息。
体が固まり葉表に移動したところで撮影終了。
次に機会があれば、脱皮の初めから観察してみたいものです。
ところで撮影中に辺りを探索すると、すぐ近くのススキの葉でも別個体のヒメギスが脱皮していました(映像なし)。
たまたま脱皮に適した時間帯だったのか、脱皮の同調を興味深く思いました。
脱皮殻と一緒に幼虫を捕獲して持ち帰りました。
翌日まで放っておいたら、容器内で抜け殻を完食していました。
虫の抜け殻をコレクションしているのですけど、これは痛恨のミス…。
幼虫の体が黒くなり、確かにヒメギスの幼虫だと確認できました。
2013年9月下旬
道端の畑でエンマコオロギ♀(Teleogryllus emma)がカボチャの花に来ていました。
腹部が大きく膨らんだ中には卵が一杯に詰まっていそうです。
以前、エンマコオロギを飼っていたときは南瓜の実の切れ端を給餌していたことを思い出しました。
▼関連記事▼
カボチャを食べながら鳴く♪エンマコオロギ♂
野生のコオロギがカボチャの花弁や花蜜を採食するのかどうか興味があって撮り始めたのですが、ただウロウロしていただけでした。
隠れ家として花筒に侵入することもありませんでした。
もう少し粘ればよかったかな?
2012年9月下旬
飼育していたアシグロツユムシ(Phaneroptera nigroantennata)の♀♂ペアが、尾繋がり状態のまま容器内を歩き回っていました。
慌てて撮影開始。
交尾器の結合部に注目して接写してみました。
容器の蓋を開けて観察していると、逃げ出そうとした♀が容器の縁に乗りました。
前屈した♂は♀の産卵器を「やっとこ」のような把握器(?)で挟み込もうとしています。
どうも上手くフィットせず、外れてしまいました。
♂は再び腹端を♀の交尾器に近づけると、連結しようと悪戦苦闘しています。
やがて下手糞な♂に痺れを切らした♀が動き始め、♂を足蹴にして離れました。
求愛シーンを見逃したのが残念です。
『里山昆虫ガイドブック』p29によれば、アシグロツユムシの♂は翅を反り上げ、腹部を見せるようにして後ろ向きに求愛するらしい。
wikipediaによると、
(アシグロツユムシの)オスはメスに背中を向けながら交尾を促す。メスの尾端に精球が渡されると交尾は完了する。
薄暗い照明下での撮影でしたが、精球を確認できなかったことから交尾未遂と判断しました。
(暗い映像ですけど、もしかしてこれ、交尾に成功してますかね?)
結局、その後も交尾の成功例は観察できていません。
中途半端な結果に終わったので、今までお蔵入りになっていた映像です。
機会があれば再挑戦してみるつもりです。
2013年7月中旬
ヤブキリ(Tettigonia orientalis)の♂成虫だと思います。
産卵管が無いので♂ですね。
山間部の舗装路を横断すると、クズの草むらに逃げ込みました。
慌てていたようで、3回連続で羽ばたいて短く飛びました。
ハイスピード動画に切り替える余裕はなかったのですけど、飛翔シーンを1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみます。
今思うと、採集・飼育して鳴き声を録音すればよかったですね
2013年7月下旬
里山で見慣れない直翅目の小さな虫がノブドウの葉に乗っていました。
葉の上で静止しており、カメラを近づけても逃げません。
指を近づけたらようやく逃げました。
あまりの暑さでマクロレンズを装着するのも億劫でした。
未採集、未採寸。
帰ってから調べると、マダラスズ(Dianemobius nigrofasciatus)の幼虫ですかね?
翅が見えないので成虫では無いと思います。