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2015/12/26

円網にかかったナツアカネ♀を捕食するアカオニグモ♀(蜘蛛)



2015年9月下旬・午前10:28

アカオニグモ♀の定点観察#11


近くで生け捕りにしたナツアカネ♀(Sympetrum darwinianum)をアカオニグモ♀(Araneus pinguis)の垂直円網に給餌してみました。
あまり暴れ過ぎないようにトンボの後翅を毟り取ってから網に投げつけると、意外にも暴れずにじっとしています(擬死?)。



隠れ家のクモは無視しています。
つい先程行った異物除去実験で糠喜びさせてしまったので、
「きっとまた狼少年だ…」「疑似餌にはもう騙されないぞ!」と警戒しているのでしょうか?
草の葉でトンボをつついてみてもおとなしくしています。
諦めて一旦トンボを網から引き剥がしてから再び網に投げつけると、今度はトンボが激しく暴れました。(映像はここから)
クモが隠れ家から信号糸を伝って網の中心部へ直行し、獲物に噛み付きました。
毒の回りが遅く、赤トンボはしばらく暴れています。
ナツアカネ♀が暴れても構わずアカオニグモ♀は捕帯で軽くラッピングしながら周囲の網を噛み切ります。
明るい昼間に見ているせいか、捕帯に使う糸の量は少ない印象です。
獲物を咥えながら円網の甑を経由すると、信号糸伝いに一気に隠れ家へ戻りました。
隠れ家に吊り下げた獲物を手元に引き寄せ、ゆっくり捕食します。

つづく→#12:破網後に隠れ家で休む夜のアカオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】



2015/10/12

クロイトトンボ♀♂の交尾



2015年7月下旬

雨上がりの山道を尾繋がりで飛んで来た(やや低空飛行)クロイトトンボParacercion calamorum calamorum)の♀♂ペアが道端の草むらに止まりました。
尾繋がり状態のまま、前にいる♂がまず副性器に移精しました。
つづいて後ろで首根っこを掴まれた♀が腹部を前に曲げ、♂の副性器と結合しました。
これでペアがハート型の交尾姿勢になりました。
胴体をくねらせています。
背面および側面から撮影。
先を急ぐ用事があった私は、連結解除まで見届けられませんでした。
(尾繋がりのままで産卵行動に移行するのかな?)



トンボ類を見分けるのは苦手なのでなんとか採集したかったのですが、茂みの奥に居るため踏み込んで近づいたら逃げられそうに思い断念しました。
どうにか写真鑑定でクロイトトンボだろうと同定できました。
その際に「神戸のトンボ」サイトに掲載されたクロイトトンボ属の検索表を参考にしました。
個人的にクロイトトンボは初見です。
東北地方では希な種類らしい。
近くにある溜池をいつか重点的に調べないといけません。



【追記】
上村佳孝『昆虫の交尾は、味わい深い…。 (岩波科学ライブラリー)』によれば、
♂副性器を拡大すると、ライバル♂の精子を掻き出すためのするどいトゲが並ぶ。(精子競争に勝つための「攻め」の適応 p20より引用) 
・トンボの交尾後ガードは、精子競争に対する「守り」の進化だ。 
・(ギフチョウやウスバシロチョウで見られるような)「貞操帯」はトンボでは進化し得ないだろう。トンボを含む多くの昆虫の♀では、精子が入ってくる「入り口」は受精した卵が体の外に出て行く「出口」を兼ねている。つまり、巨大な交尾栓をつけられた♀は、産卵できなくなる可能性が高いのだ。



2015/09/09

蛾を捕食するシオカラトンボ♂



2015年7月中旬

河川敷で何か大きな獲物を抱えたトンボが飛び回っていました。
砂利道の雑草に着陸してようやく落ち着いて食べ始めたところを撮影すると、シオカラトンボ♂(Orthetrum albistylum speciosum)でした。
トンボに疎い私は、シオカラトンボ♂にしては側面から見た黒紋が違う気がしたのですけど、腹部が上下に平べったいのはシオカラトンボの特徴なのだそうです。

風が吹いてイネ科の草が大きく揺れても必死にしがみ付き、食餌を続けます。
餌食となった蛾はなんとなくマイマイガですかね?(自信なし)
獲物の頭部から食べています。
大顎で咀嚼する動きが恐ろしや。
横を歩行者が通り過ぎたときは警戒して咀嚼を中断しました。
撮りながら少しずつ近づいたら、最後は獲物を抱えたまま飛んで逃げられました。
土手の茂みの上へ飛んで行き、見失ってしまいました。

後で思うと、食べ終わるまでじっくり長撮りすべきでしたね。
忍び寄って採集できるかな?と途中から欲が出てしまいました。
獲物の翅は食べ残して捨てるはずなので、慌てなくても同定できたのに…。
トンボを撮り慣れていないのです。



2015/08/29

川沿いで捕食活動するハグロトンボ♀♂の群れII【HD動画&ハイスピード動画】



2015年7月中旬

▼前回の記事
川沿いで捕食活動するハグロトンボ♀♂の群れ【HD動画&ハイスピード動画】

郊外を流れる川のコンクリート護岸に並ぶハグロトンボ♀♂(Calopteryx atrata)が飛び立ち空中で虫を捕らえては岸に戻る様子を、今度は少し引きの絵(広角)で撮ってみました。
縄張り争いにしては変だし、どうして求愛行動に発展しないのだろう?と思いながら初めは見ていました。
後半は240-fpsハイスピード動画です。(@〜1:35)



2015/08/18

川沿いで捕食活動するハグロトンボ♀♂の群れ【HD動画&ハイスピード動画】



2015年7月中旬

郊外を流れる川のコンクリート護岸にハグロトンボCalopteryx atrata)が集まっていました。
必ず顔を川に向け、水際でほぼ一列に止まっています。
ときどき飛び立って水面の上を飛び、すぐに舞い戻る、という謎の行動を繰り返しているのが気になりました。

幸いハグロトンボの性別を見分けるのは簡単で、♀は胴体が黒く、♂の腹部は金属光沢のある緑色です。
♀も♂も両方混在しているのに、なぜか求愛や交尾行動は見られません。
ハグロトンボは「ほかのカワトンボ類のような儀式ばった配偶行動はない。」(ヤマケイポケットガイド18『水辺の昆虫』p48より)

wikipediaによれば、ハグロトンボの

羽化後の若い個体は薄暗いところを好み、水域から離れて林の中で生活するが、成熟すると再び水域に戻り、明るい水辺の石や植物などに止まり縄張りを張る。

地上で止まっている時に黒い翅を勢い良く開閉して誇示しているのは以前も見たことがあります。
▼関連記事 
ハグロトンボ♀の翅紋誇示 
ハグロトンボ♂が翅を開閉
『昆虫の研究:トンボの楽園』p8によると、
ハグロトンボは、ふだん羽をとじてとまる。羽を開くのは、近づくなという縄張り争いの信号だ。
もし単純な縄張り争いだとしたら、領空侵犯されても迎撃して追い払わないのは解せません。
隣接個体とのパーソナルスペースを守るためだけに飛び上がっては止まり直し、川岸での居場所を変えているのでしょうか?

京都鴨川の名物となっている堤防に等間隔で座るヒトのカップル※のように、ハグロトンボも川岸で自然に等間隔で並ぶようになるのかな?
※ 興味のある方のためへのリンク集



回転寿司のように水面を流れてくる餌を待って捕食しているのでしょうか?
群れの様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみたら(@1:41〜)、飛び上がる謎が解けました。
飛びながら巧みに身を翻して小さな昆虫を空中で狩り、捕食していたのです。

皆が川の方を向いて止まっていた理由もこれで分かりました。
♀♂が集まっていたのに交尾しなかったのは、色気よりも食い気だったようです。
脚で捕らえた獲物を口元に持って行ってから着陸しました。
飛んでる獲物が小さ過ぎて見えないのが残念です。
ただし目の前の水面をアメンボが横切ってもハグロトンボは無反応です。
アメンボは肉食性の水生昆虫だから捕食の対象にはならないのでしょう。

着陸地点は元の位置とは限らず、右に左に移動します。


つづく→引きの絵で撮影


2015/06/11

クロスジギンヤンマ♀の単独産卵



2015年6月上旬

溜池の岸辺でクロスジギンヤンマ♀(Anax nigrofasciatus nigrofasciatus)が産卵していました。
私が気づかずに池の畔を歩いていたら驚いて飛び立つも、場所を変えてすぐ産卵を再開してくれました。

岸辺の水面に浮いた抽水植物の枯れた茎に止まって卵を産み付けています。
ときどき軽く飛び上がり、産卵場所を変えていました。
産卵法に関する図鑑の記述がことごとく的中していて、感嘆しました。

夕方、単独で産卵する。浮遊植物などの水面に近い部分の組織内に産卵。
『ヤマケイポケットガイド18:水辺の昆虫』p97より


♂と尾繋がりしないで♀が単独産卵する種類のトンボがいるという知識はあったものの、実際に見るのはこれが初めてでした。(追記:そんなことはなかった)
辺りを見回しても、産卵中の♀を警護する♂は居ませんでした。

途中からは取り出した三脚にカメラを固定し、じっくり撮らせてもらう余裕がありました。(映像では順番を逆にしてあります。)
この溜池は今年水量が激減し、水質が悪化したので心配です。
同じ場所で以前ギンヤンマ♂♀の連結産卵を観察していますが、クロスジギンヤンマは初見です。





2015/05/03

ニホンカワトンボの縄張り争い?求愛未遂?【ハイスピード動画】




2014年6月下旬

登山道入り口近くを流れる沢の横の薄暗い草むらで無色翅型のニホンカワトンボMnais costalis)が2匹争っていました。
東日本に分布するニホンカワトンボの♂には橙色翅と無色翅の二型があり(種内多形)、♀の翅は無色です。



冒頭、フキの葉で2匹のニホンカワトンボが休んでいます。
正面を向いた右側の個体Rは縁紋が白色なので♀のようです。(あるいは未熟な♂?) 
左側の個体Lは縁紋が褐色なので♂のようです。 互いに至近距離に止まっているのに、しばらく動きがありません。 
成熟♂同士なら縄張り争いで互いに闘争・排斥するはずなのに…と不思議に思いました。
縄張り争いの膠着状態なのかな? 
240-fpsのハイスピード動画に切り替えると、先に♀Rが飛び立ちました。 
それに反応して♂Lも離陸。 
低空でホバリング(停空飛翔)しつつ互いに向かい合い、軽い空中戦になりました。 
ところが激しい闘争や排斥行動にはならず、右手のフキの葉に双方が縦列で着陸しました。
♂が♀の背後にぴたりと付けました。 
♀に求愛したのに交尾には至らず、ふられたのですかね?
♀はどのように連結拒否の合図を♂に伝えたのでしょう?

wikipediaの解説によれば、ニホンカワトンボの
オスは水辺の植物や石に留まって縄張りを作り、近付いて来た他のオスを追い払う。メスが現れるとホバリングして求愛行動をする[2]。

後半は(@1:02〜)近くの葉に単独で止まっていた♂個体が飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。




【追記】
『トンボの繁殖システムと社会構造』の第一章「異なる繁殖戦略の共存と種内多形―カワトンボ―」を読んで今後の観察のためにお勉強。
ただし本書はカワトンボの分類が未だ混乱していた時期に執筆されているため、旧名のヒガシカワトンボが使われています。
以下、ポイントを抜き書き。

  • 透明♂は、橙色♂のように縄張りを占有することはなく、橙色♂の縄張りに侵入しては追い出される。また、一つの縄張りの周辺に長く止まることはなく、渓流に沿って少しずつ移動してはとどまる。(p4)
  • 橙色♂の方が透明♂よりも縄張りを占有するうえで優位にある。(p5)
  • 透明♂は橙色♂がいなければ、縄張りを占有する性質を持っている。(橙色♂の除去実験;p13)
  • ヒガシカワトンボの闘争行動は、水平追尾、上昇追尾、ラセン追尾、対峙飛翔にわけられる。(p13)
  • ヒガシカワトンボの橙色♂も♀を縄張りで発見すると、静止した♀の前で1、2秒間停止飛翔(求愛行動)してから、♀の胸部背面に乗りかかって連結になり、縄張り内で交尾する。(p18)
  • 透明♂は縄張りの周辺部に静止していて、時どきスニーキングによって♀の獲得を試みる。それが成功して♀と交尾する場合、透明♂が♀の前で停止飛翔せず、いきなり乗りかかる。(p18)
  • ヒガシカワトンボ♀が産卵基質としてしばしば利用する倒れた朽ち木などは、集中分布している。(p23)
  • 透明♂は橙色♂がいなければ、潜在的に縄張り占有の性質をもつが、実際には、橙色♂に縄張りを予め専有されるか、あるいは、奪い取られたりするために、自然状態では非縄張りになっている。透明♂は橙色♂の縄張りの周辺にスニーカーとしてとどまったり、より広い範囲を探索する傾向をもっている。(p24)
  • 透明♂は、通常、交尾後♀の産卵警護をしない。(p25)
  • 透明♂が個体群中で占める割合は、むしろ透明♂が多い。(p25)
  • 透明♂は求愛行動なしに交尾を試み、そのほとんどが成功する。(p25)
  • 透明♂の戦略は、橙色♂よりも劣位にあるため縄張りの維持ができず、スニーキング、または探索によって♀を獲得する。このようなスニーキング戦略は、透明の翅をもち、♀に外見が似ている透明型にはむしろ適している。(p27)

2015/04/17

稲穂に離着陸するナツアカネ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2014年9月中旬

黄金色の稲穂が実った田んぼで赤トンボが飛んでいます。
農道から秋の風物詩を撮影しました。

写真鑑定でナツアカネ成熟♂(Sympetrum darwinianum)と判明。
顔色が赤いです。

ある稲穂に止まって休んでいるナツアカネ♂に注目すると、ときどきパッと飛び立っては近くを一回りしてから元の稲穂に戻る、という行動を繰り返していました。
トンボでよく見られるこの行動は「縄張りを張っている」と表現して良いのでしょうか?

稲穂を中心とした縄張りのパトロール飛行を休み休み行っているのでしょうか?
どうも交尾相手の♀または獲物の昆虫が飛来するのを待ち伏せしているようです。
後半は240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮ってみました。(@0:32〜)

スローモーション映像で分かったこと。

  • 飛び立つ直前に首をひねって巨大な複眼の視線を変えることがよくありました。スクランブル発進したものの、再着陸した際に獲物を捕らえていないので狩りには失敗したのでしょう。
  • 離陸直後に空中で急旋回したりフェイントのような変な(複雑な)動きをすることがありました。獲物と空中戦の追いかけっこをしているのでしょう。しかし引きの絵にすると、獲物の虫は小さ過ぎるのか映像に写っていませんでした。
  • 飛行中は着陸の直前まで脚を胴体に引きつけていました。空気抵抗を減じるためでしょう。



2015/03/06

アキアカネ♀♂の連結打水産卵【HD動画&ハイスピード動画】



2014年9月中旬

農道の水たまりで尾繋がりの赤トンボ♀♂が連結打水産卵していました。
その様子を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
雌雄どちらが連結飛翔の主導権を握っているのですかね?
たまに♂♀のタイミングが合わず、♀が空振りしていました。

同定のため連写モードで写真に撮ると、アキアカネSympetrum frequens)と判明。



2015/02/22

ヒメジョオンの茎にぶら下がるオニヤンマ♀



2014年6月下旬

田園地帯の道端(ガードレール横)に生えたヒメジョオンの茎にオニヤンマ♀(Anotogaster sieboldii)がしがみ付いていました。
羽化直後かと思ったのですけど、近くに羽化殻は見当たりません。
風が強い日でした。





2015/02/02

モノサシトンボ♂奇形個体が狩りに失敗【ハイスピード動画】



2014年8月中旬


▼前回の記事
モノサシトンボ♂奇形個体の飛翔【ハイスピード動画】

山中の池の畔で見つけたモノサシトンボ♂(Copera annulata)は、長い胴体が途中で曲がっている奇形の個体でした。
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮っていると、狩りのシーンが偶然記録されていました。

木の葉に乗って休んでいる奇形モノサシトンボ♂は、前脚を擦り合わせ身繕いしています。
その目の前を小さな昆虫が飛んで来ました。
すかさず飛び立つと、空中で獲物をトゲだらけの脚で鷲掴みしようとしています。
獲物はヤブ蚊ですかね?
一度目は狩りに失敗し、更に追いかけて二度目は画面から外れてしまいました。
同じ葉に舞い戻って来た際に獲物を抱えていなかったので、おそらく取り逃がしたのでしょう。
奇形のせいで狩りに失敗したかどうかは分かりません。
腹部の異常ですから、影響があるとしたら繁殖行動(♀との尾繋がりなど)に支障を来すかもしれません。
比較対象として正常個体の狩りの瞬間を同じようにハイスピード動画に撮らないといけませんが、未だものにできていません。


▼関連記事(正常個体の捕食成功例)
蚊取りモノサシトンボ♂



2015/01/25

モノサシトンボ♂奇形個体の飛翔【ハイスピード動画】



2014年8月中旬

山中の池の茂みで奇形のモノサシトンボ♂(Copera annulata)を見つけました。
長い胴体が途中で曲がっている個体です。
原因不明ですが、羽化不全とか水質汚染の影響なのでしょうか?
葉から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
飛び立ってもすぐ近くの葉に再着陸するので、同一個体を追いかけて撮影を続けました。
腹部が曲がっていても飛翔には特に支障がないようです。
(厳密には空気抵抗が不均等になりそうですけど、飛行姿勢を制御できる範囲内なのでしょう。)
最後は採寸代わりに人差し指を写し込みました。
そのついでにトンボの腹端に軽く触れると驚いてつんのめるように緊急発進しました。
揚力よりも前への推進力を優先して避難したようです。
映像後半は1/5倍速のスローモーションでリプレイ。


▼つづく
モノサシトンボ♂奇形個体が狩りに失敗【ハイスピード動画】


▼関連記事
飛べ!モノサシトンボ(未成熟個体)【ハイスピード動画】



2015/01/12

ノシメトンボの連結打空産卵



2014年9月下旬

稲刈りが進行中の田んぼで、尾繋がりのトンボが飛びながら産卵していました。
黄金色の稲穂のすぐ上から連結打空産卵しています。
ハイスピード動画や同定用の写真を撮る前に♀♂ペアは飛び去り、見失ってしまいました。
映像を見る限り、おそらくノシメトンボSympetrum infuscatum)だと思います。
『ヤマケイポケットガイド18:水辺の昆虫』p152でノシメトンボの項目を参照すると、

♀♂が連結。挺水植物の生えているところで打空産卵
とあります。


水抜きされた田んぼに卵を産みつけても孵化できるのか、という疑問が湧きます。
調べてみると、本種は卵で越冬するらしい。
【参考サイト】:保存版 ノシメトンボの見分けと産卵によると、

春まで卵のままで越冬し、春先に水が田んぼに張られると孵化して幼虫になります。



2014/12/08

飛べ!ハグロトンボ♂【HD動画&ハイスピード動画】



2014年8月上旬


▼前回の記事
ハグロトンボ♀の翅紋誇示

民家の庭でハグロトンボ♂(Calopteryx atrata)が何匹も集まっていました。
草木の葉っぱや地面に止まり、独特のリズムで翅を開閉しています。(縄張り争いの誇示行動)
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
複数個体を撮影。



2014/10/30

ハグロトンボ♀の翅紋誇示



2014年8月上旬

庭で見つけたハグロトンボ♀(Calopteryx atrata)。
本種の♀は胴体も黒いのですが(♂の腹部は緑色)、個人的に♀は初見かもしれません。

葉や地面に止まっている間も漆黒の翅を独特のリズムで開閉し続けています。
ごく短い距離を飛んであちこち移動し、一箇所に落ち着かない様子でした。
複数個体の♀を撮影。
♂との求愛交尾行動は見られず残念。
翅の開閉はてっきり、交尾相手の♂を呼び寄せる誇示行動なのかと思ったのですが、どうも違うようです。
『昆虫の研究:トンボの楽園』p8によると、

ハグロトンボは、ふだん羽をとじてとまる。羽を開くのは、近づくなという縄張り争いの信号だ。
確かにハグロトンボの生息密度が高い環境だったかもしれません。
もしライバルを捕獲しまくれば、翅を閉じて止まる姿が観察できたでしょうか(除去実験)。




4年前に撮った映像を見直すと、♂も同様の行動をしていました。
▼関連記事
ハグロトンボ♂が翅を開閉


2014/10/20

キイトトンボ♂



2014年8月上旬

山麓を走る農業用水路の脇の草地で見つけた黄色いイトトンボです。
あまり落ち着きがなく、少し飛んでは止まる場所を変えています。
複数個体を撮影。

全く初めて見る種類なので、同定のため撮影後に1匹採集しました。
図鑑で調べると、その名もずばりキイトトンボCeriagrion melanurum)の♂でした。
腹端の黒い縦筋がお洒落ですね。
体色が性的二形で、♀の体は黄緑色らしい。

成虫は羽化した後も、水辺から離れない。(『ヤマケイポケットガイド18:水辺の昆虫』p29)
との記述もその通りでした。



以下は標本写真。


副性器

2014/09/10

モノサシトンボ♀【猟奇的な彼女?】



2014年7月上旬

溜池に近い平地の林縁でモノサシトンボ♀(Copera annulata)がウコギの葉に止まって休んでいました。
平和な光景もよく見ると、実は恐ろしい惨劇の直後だったようです。
交尾しようとした♂が♀の頭部を腹端の把握器で捕まえたまま天敵に捕食されてしまい、腹部の一部しか残っていません。
♀だけが命からがら逃げ延びたのでしょう。
ちぎり取られて残された♂の腹部がときどき自発的に屈曲する様がなんとも不気味です。
トンボの♂は副性器(交接器)に移精してから♀と交尾します。

(トンボの交尾がハート型の体勢になるのはそのためです。)
したがって、カマキリの性的共食いとは異なり、腹端だけ残っていても♂はもはや交尾不能です。
静止している♀は頭部を脚で拭って身繕い。

おそらく♀は自力で♂の把握器を外したり振り解いたり出来ませんから、もはや次の♂と新たに交尾することも難しいでしょう。
そうなると♂は身を犠牲にしつつも究極の貞操帯を♀に付けて死んだことになりますね。(配偶者ガード)

♀にしたら良い迷惑かもしれません。



【追記】
井上清、谷幸三『トンボのすべて(第2改訂版)』という本に「連結中に♂が襲われ、腹端だけ♀の頭に残ったクロイトトンボ」と題した生態写真が掲載されていました。
 イトトンボの仲間は♀の産卵中♂が尾部付属器で♀の前胸を挟んで直立し、警護することが多いのですが、そのとき♂が鳥などに襲われ、残った腹端を前胸につけたままの♀を見かけることがあります。(p87より引用)



2014/09/06

飛べ!モノサシトンボ【ハイスピード動画】




2014年7月上旬

平地にある溜池の横にちょっとした林があり、薄暗い林縁の下草(笹薮)にトンボが止まっていました。
未成熟なモノサシトンボCopera annulata)だと思うのですがどうでしょうか?
性別は?

飛び立ちの瞬間を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
余りにも薄暗いので、カメラの設定でゲインを上げてから撮影開始。
光量不足で画質が粗く、薄い翅の羽ばたきがあまりよく写っていませんね…。



2014/07/19

飛べ!シオヤトンボ♂【ハイスピード動画】



2014年6月中旬

堤防の階段に止まっていたトンボです。
シオカラトンボ成熟♂かと思いきや、よくよく調べてみたらシオヤトンボ♂(Orthetrum japonicum japonicum)でした。
ときどき自発的に飛び立って、横の湿地帯の決まった一角の上空をパトロールしてから同じ階段に戻ります。
離着陸の羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画で撮影してみました。



2014/05/28

飛べ!オツネントンボ【ハイスピード動画】



2014年4月下旬

用水路で見つけたオツネントンボSympecma paedisca)が飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。

涸れた用水路内に捨てられた肥料の空き袋に初めは止まっていました。
休んでいる間は長い腹部を上下しています。
パラパラと羽ばたく飛翔シーンのシルエット(影)も美しいですね。
飛び立ってもすぐに同じ場所に舞い戻ります。
しばらくすると水路のコンクリート岸壁に移動して静止(たぶん同一個体)。

性別は?



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