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2018/09/15

川の水で喉を潤すハシボソガラス【HD動画&ハイスピード動画】(野鳥)



2018年6月下旬

河原の岸でハシボソガラスCorvus corone)が何度も水を飲んでいました。
なんとなくこの個体は水浴したいのにカメラを警戒して川岸をウロウロしているような印象を受けました。

別個体のハシボソガラスが同様に川の水を飲む様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:10〜)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ハシボソガラス(野鳥)@川岸+飲水

2018/09/14

翔べ!ツメクサガ(蛾)【HD動画&ハイスピード動画】



2018年7月上旬

川沿いの農道の草むらでツメクサガHeliothis maritima adaucta)が休んでいました。
この辺りには幼虫の食草であるムラサキツメクサ(=アカツメクサ)やシロツメクサの群落に事欠きません。

私が近づくと準備運動なしに飛んで逃げるものの、あまり長距離は飛びませんでした。
ギシギシの葉からツメクサガが飛び立つ瞬間を狙って、物を投げつけながら240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
とばっちりで、近くに潜んでいたらしいベニシジミLycaena phlaeas daimio)(春型)もツメクサガの後を追うように飛び去る様子が写っていました。


▼関連記事(5年前の撮影)
シロツメクサの花蜜を吸うツメクサガ(蛾)


ツメクサガ(蛾)@ギシギシ葉

2018/09/08

ハシブトガラスの河原での活動あれこれ【ハイスピード動画:野鳥】



2018年6月下旬

河原に居たハシブトガラスCorvus macrorhynchos)を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみたら、色々な行動が記録できました。

シーン1:

岸辺で川の水を飲んでいました。
一口ずつ水を嘴ですくい上げて、喉に流し込みます。

シーン2:

飲水後に岩の上に白い糞をポトリと排泄しました(@0:28)。
鳥類の糞の場合、白いのは実際には尿なのだそうです。
水を飲んだり水浴したりする川を排泄物で汚しても平気なのは、賢いカラスにしては衛生観念が無いですね。
他の個体もやっていました。

シーン3:

岩から岩へ連続で跳躍(@0:34)。
ピョンピョン跳んで、近くで採食していたハシボソガラスCorvus corone)に近づくと、争奪戦にはならずハシボソガラスは慌てて逃げて行きました。

以前は逆にハシボソがハシブトの餌を横取りしていたので、餌場における二種の力関係はどちらが強いのか、よく分からなくなりました。

▼関連記事
河原で採食していたハシブトガラスの餌を横取りするハシボソガラス(野鳥)


シーン4:

川の中の岩に乗って足元に嘴を差し込み、何か白い物を食べています。
気になるメニューは不明です。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2018/09/01

飛べ!オオシオカラトンボ♂【HD動画&ハイスピード動画】



2018年7月上旬

オオシオカラトンボ♂(Orthetrum triangulare melania)が水たまりのある農道脇の草むら(枯れ茎など)に止まっていました。
枯れ茎のてっぺん付近に止まり、翅を深く下げて休んでいます。
大きな複眼の付いた頭部が時々ぐりぐりと動いています。

飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@0:15〜)

井上清、谷幸三『トンボのすべて(第2改訂版)』によれば、

トンボは前翅と後翅を互い違いに上げ下げできるので、真っ直ぐに飛べるし、またヘリコプターのように空中の同じところでじっと飛び続けること(ホバリングといいます)もできます。止まっていて急に飛び立つときには、両方の翅を一緒に打ち下ろし、高速度で逃げたり餌を追いかけたりもできます。(p90より引用)


飛び立っても大体同じ場所に止まるので、縄張りがありそうです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


▼関連記事
止まり木から飛び立つ未成熟オオシオカラトンボ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】


オオシオカラトンボ♂@枯茎

2018/08/29

用水路の岸から飛ぶノスリの羽ばたき(野鳥)



2018年7月上旬

山麓を流れる農業用水路の中から猛禽類が岸に飛び上がりました。
気づかずに近づいて来る私を警戒したのでしょう。
もしかすると、それまで水路の中で水浴びしたり水を飲んだりしていたのかもしれませんが、撮り損ねて残念でした。
黒っぽい鳥なので、遠目からでは初めカラスかと勘違いしました。
セキレイ類の群れがなぜか猛禽類を恐れずにコンクリートの護岸と水辺を飛んで往復しています。
(ハクセキレイか、それともキセキレイか、遠くて見分けられません。)

慌てて望遠レンズを装着すると(@0:28〜)、猛禽類は用水路の護岸で用心深く辺りをキョロキョロ見回し足で顔を掻きました。
その間にキセキレイ?の小群は飛び去りました。
猛禽類が身を屈めて地面を蹴ると力強く羽ばたいて幅〜250cmの水路を飛び越え対岸へ移動しました。(@1:05)
このとき翼の下面の斑紋からノスリButeo japonicus)とようやく判明しました。

地上に降りているノスリを見るのは珍しいです。
しばらくこちらを見ていたノスリが再び飛び上がり、用水路沿いに生えたアカマツの横枝に止まり直し、身を隠してしまいました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
飛翔シーンだけ1/5倍速のスローモーションに加工してみたら、なかなかドラマチックな映像になりました。


ノスリ(野鳥)@用水路岸+飛翔
ノスリ(野鳥)@用水路岸

2018/08/26

ゼフィルス♂の卍巴飛翔【HD動画&ハイスピード動画】



2018年7月上旬・午後16:50〜16:57

用水路沿いの林縁で翅が青緑色の金属光沢(メタリック)に輝く2頭の小さな蝶が高速で互いに円を描くように激しく飛び回っていました。
林縁のやや高い位置から降りてきて用水路沿いの草むらのすぐ上で乱舞したり、再びもつれ合うように樹冠レベルまで高く舞い上がったりしています。
こんな平地でゼフィルスと出会い、卍巴飛翔が見れるとは全くの予想外で、嬉しい驚きでした。


▼関連記事(6年前の撮影)
ゼフィルスの卍巴飛行@渓流上

田中蕃『森の蝶・ゼフィルス』によれば、
高等なミドリシジミ類は、その活動中に、♂どうしが風車の回転をみるようなからみ合いを行なう。これを卍巴まんじともえ飛翔と呼んでいる。 (p28より引用)


薄暗い夕暮れ時だったと記憶しているのですが、実際の撮影時刻はそうでもありませんね。
ちなみに、この日の日の入り時刻は午後19:06。
空が厚い雲で覆われていたのかもしれません。

動きが速過ぎて肉眼では残像しか見えないので、ゼフィルス♂の猛烈な卍巴飛翔を、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:49〜)
2頭ともに前翅表が鮮やかなコバルトグリーンなので、ミドリシジミ類の♂と思われます。
ミドリシジミ類の♀の翅色はもっと地味です。
やや引きの絵で撮った方が、ピントが甘くても見栄えが良いですね。
背後の林縁をトンボエダシャク?らしき蛾が飛び回っています。(@15:25)

栗田貞多男『ゼフィルスの森―日本の森とミドリシジミ族』によると、

 2頭の♂は互いに相手を追いながらループ状に飛翔し、高度を下げ枝先から離れていく。一方の♂は相手を押し下げ、少しでもテリトリー位置から引き離そうとしている。もう一方はそうはさせじと相手を押し上げ、時には8の字型の飛翔パターンを織り交ぜながら対抗する。
 卍どもえ飛翔はテリトリーをめぐる♂どうしの争いである。おもしろいのは種によって水平・垂直方向の重要性があるらしい(p54より引用)


ゼフィルスの専門家なら、この映像で動きを見るだけで、種類を絞りこめるのかもしれません。
かなり近くまで来てくれたのに、同定用のストロボ写真は全く上手く撮れませんでした。
私はいつも動画撮影を優先するので、練習量が足りないのでしょう。
しかし、これだけ動きが速いと、とてもピントを瞬時に合わせる余裕が無く、写真に撮れる気がしません…。

平地の広大な畑の周囲を雑木林が取り囲んでいる環境です。
特に多いハンノキをホストとするミドリシジミ♂(Neozephyrus japonicus japonicus)ではないか?となんとなく予想しているのですが、どうでしょう。
ミズナラやクヌギの木も少し生えているので、別種のゼフィルスである可能性もあります。



2018/08/25

モズ♂の飛び立ちと急旋回【ハイスピード映像】(野鳥)



2018年7月上旬

電線に止まったモズ♀(Lanius bucephalus)が川を見下ろしながら尾羽根を上下に動かし、「キチキチキチ♪」と鋭く鳴いていました。

近くの川沿いの葦原でオオヨシキリAcrocephalus arundinaceus orientalis)が鳴いているので、それを聞いたモズ♂も得意の鳴き真似を披露するかと期待したのですが、やりませんでした。
モス♂は鳴く合間に足で顔を掻きました。

電線から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@1:08〜)
力強く羽ばたいて川の方へ飛び立った直後に左へ急旋回し、川とは反対側の民家の屋根を飛び越え姿が見えなくなりました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



モズ♂(野鳥)@電線
モズ♂(野鳥)@電線+頭掻き

2018/08/13

ウワミズザクラ訪花中にビロウドツリアブを襲うハナアブの謎【HD動画&ハイスピード動画】



2018年5月中旬


▼前回の記事
ウワミズザクラの花で吸蜜ホバリングするビロウドツリアブ【HD動画&ハイスピード動画】

里山のウワミズザクラ老木で満開に咲いた花を訪れて吸蜜しているビロウドツリアブ(=ビロードツリアブ;Bombylius major)を動画に撮っていると、ときどき別種のハナアブ類が飛来して追い払われることが何度もありました。
240-fpsのハイスピード動画でも異種間のニアミスが撮れています。(@0:05〜)

このハナアブの種類や性別を私は見分けられないのですが、そそっかしい♂が訪花中のビロウドツリアブを交尾相手の♀と誤認して飛びつこうとしたのでしょうか?(誤認求愛)

▼関連記事
ウワミズザクラの花蜜を吸うアカタテハにサカハチチョウが誤認求愛?

それとも、ハナアブ類の間にあると言われている順位制を反映しているのですかね?
これは最近、田中肇『花と昆虫、不思議なだましあい発見記』という本で読んで初めて知った話です。

優位の昆虫が来たら席をゆずる。それが昆虫社会の食事のマナー。
ハナアブ類のあいだには、種類により花を利用するさいの優劣関係がある。
こうしたマナーが、蜜の多い大きな花には大きな昆虫が、蜜の少ない小さな花には小さな昆虫が訪れる要因の一つになっているのだ。(p113〜114より引用)


夏の雑木林で樹液酒場に集まる様々な昆虫の間に力関係の序列があるのと似ています。
しかし今回の映像をよく見ると、後から飛来したハナアブも先客のビロウドツリアブを追い払った後に蜜源の花を奪い取ってはおらず、共に飛び去ってしまっています。
つまり勝者も敗者も居ないのです。
また、ウワミズザクラの花は満開ですから、先客に占領されていない花も近くに幾らでも咲いています。
したがって、ハナアブ類がわざわざコストを掛けて(ギスギス、ピリピリしてヘトヘト、腹ぺこになる)縄張り争いするというのは、にわかには信じ難い話です。

ハナアブ類の配偶行動について何も知らないのですけど、もしかすると交尾相手の♀が来てもらえるように魅力的な餌場(蜜源)を♂が確保しておく必要があって、縄張りの占有行動をするのかもしれません。

2018/08/07

「カラスの行水」は短くない: 川で水浴びするハシボソガラスの群れ【HD動画&ハイスピード動画:野鳥】



2018年6月下旬・17:08〜17:45・気温25℃(@17:06)


▼関連記事
「カラスの行水」は短くない: 川で水浴びするハシブトガラスの群れ#1【HD動画&ハイスピード動画:野鳥】

暑かった午後の河原も気温が少し下がり、過ごしやすくなりました。
ハシブトガラスと入れ替わるようにハシボソガラスCorvus corone)の群れが続々と集まり、川で水浴していました。
「カラスの行水」と言えば、短い水浴(入浴)を表す有名な慣用句です。
しかし、実際の水浴行動は決して短時間ではなくて、何度も念入りに行うことが分かりました。


水浴シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@4:11〜)

今回観察したハシボソガラスの行水の作法は次の通りで、ハシブトガラスとの違いは特に見出せませんでした。
川岸近くの浅い所に歩いて入ると、水面に嘴を差し込んで首を左右に激しく回し、顔を濡らします。
次は、それと同時に翼を水面に強く叩きつけるようになり、バシャバシャと水を跳ね上げて体を濡らします。
全身を濡らしたいのならもっと川の深い所に入って行ってザブンと水に潜れば手っ取り早いと思うのですが、カワガラスのように泳いだり(潜水)はしませんでした。


カラスは水鳥ではないので、お腹が水に浸る程度の水深までしか入りません。 (中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』p16より引用)


水浴が一段落するとピョンと跳んで近くの岩に上がり、大きく身震いして羽から水を切り、濡れた羽根を嘴で手入れします。
(飲水→)水浴→身震い、水切り→羽繕いと順番にやる行動が1セットらしく、このルーチンを何度も繰り返していました。
せっかく羽繕いまでしたのに、どうして再び水浴するのか、ちょっと不思議です。

スーパースローの最後に登場する個体は、水浴後に水切りしただけで羽繕いをせずに飛び去りました。

余談ですが、

濡烏(ぬれがらす・濡れ烏)とは、女性の髪の色彩を形容する言葉。また、その髪のもつ黒の色名。
日本人女性の理想美であり、もっと一般的には烏羽色、濡れ羽色、烏の濡れ羽色とも言う。青みを帯びた黒を指す。(wikipediaより引用)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

2羽が仲良く並んで行水しているシーン(@3:43〜4:10)は、もしかするとハシブトの幼鳥だったりしますかね?
普通種なのにカラスの近縁二種を見分けるのがときどき自信がなくなるのが困りものです。


ハシボソガラス(野鳥)@川+水浴
ハシボソガラス(野鳥)@川+水浴

2018/07/30

ホウチャクソウの花で吸蜜するトラマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】



2018年5月中旬

里山の山道沿いに咲いたホウチャクソウの群落でトラマルハナバチ♀(Bombus diversus diversus)が訪花していました。
創設女王なのか、それともワーカー♀なのか、微妙な時期です。
少なくとも2匹が来ていました。(複数個体を撮影)
ホウチャクソウの白い花から花へ忙しなく飛び回り、毎回、花筒の入口から潜り込んで正当訪花しています。
それなのに、後脚の花粉籠は空荷でした。
(足先に黄色い花粉を少量付けた個体がいました。)
白い花筒の中で黒くて長い舌を伸縮させて吸蜜する様子が薄い花弁を通して透けて見えることがあります。(@1:33〜1:44)

240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:09〜)
スーパースローで見ると、トラマルハナバチ♀は花にぶら下がり吸蜜しながらゆっくり回転しています。
複数の蜜腺を探り当てながら順に吸蜜しているのでしょう。
体に付いていた花粉がたまに落ちる様子もスローモーションだと無駄にドラマチックで見応えがあります。
花から飛び去る時も長い舌を伸ばしたままでした。
次の花に着地する瞬間を撮ろうとして、苦労しました。
群落で次はこの花に来るであろうと待ち構えて撮り始めても予想が何度も外れ、ようやく成功!


▼関連記事(10年前に撮った動画はやはり画質が見劣りしますね。)
トラマルハナバチ♀がホウチャクソウを訪花


トラマルハナバチ♀@ホウチャクソウ訪花吸蜜
トラマルハナバチ♀@ホウチャクソウ訪花吸蜜

2018/07/28

「カラスの行水」は短くない: 川で水浴びするハシブトガラスの群れ#1【HD動画&ハイスピード動画:野鳥】



2018年6月下旬・午後16:01〜16:21・くもり・気温30℃→29℃

暑中見舞い申し上げます。
酷暑が続くので、予定を変更してカラスの納涼動画を紹介します。

夕方の川でハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の群れが集まり、水浴していました。
普段私のフィールドでは北方系のハシボソガラスが優占種なので、これほど多数のハシブトガラスを見たのは、これが初めてかもしれません。
この映像にはハシボソガラスも少し登場しますが、ハシブトガラスが近くに居る間は少し遠慮しているような印象を受けました。
河原に散開した群れのどの個体を撮るべきか、目移りしてしまいました。

「カラスの行水」と言えば、短い水浴(入浴)を表す有名な慣用句です。

○烏の行水ぎようずい
入浴をあわててすますこと、また、入浴時間の短いことのたとえ。(『広辞苑・第5版』より引用)
烏の行水ギヨウズイ〔=カラスの水浴びのように、入ったかと思うとすぐ出る入浴の仕方〕 (『新明解国語辞典・第5版』より引用)
からすのぎょうずい【烏の行水】
《慣用句・ことわざなど》〔からすが水浴びをするときのようすから〕入浴している時間が短いことのたとえ。 (『Super日本語大辞典』より引用)

しかし、実際の水浴行動は決して短時間ではなくて、何度も念入りに行うことが分かりました。
この日は暑かったせいでしょうか?(撮影時の気温は、30℃→29℃)



今回観察したハシブトガラスの行水の作法は次の通りです。
川岸近くの浅い所に歩いて入ると、水面に嘴を差し込んで首を左右に激しく回し、顔を濡らします。
次は、それと同時に翼を水面に強く叩きつけるようになり、バシャバシャと水を跳ね上げて体を濡らします。
見ているだけで気持ちよさそうです。
全身を濡らしたいのならもっと川の深い所に入って行ってザブンと水に潜れば手っ取り早いと思うのですが、泳ぐことはありませんでした。
水浴が一段落するとピョンと跳んで近くの岩に上がり、大きく身震いして羽の水を切り、濡れた羽根を嘴で手入れします。
(飲水→)水浴→身震い、水切り→羽繕いと順番にやる行動が1セットらしく、このルーチンを何度も繰り返していました。
せっかく羽繕いまでしたのに、どうして再び水浴するのか、ちょっと不思議です。
ちなみに、「〔水にぬれたからすの羽のように〕黒くてつやつやした色」のことを「濡れ羽色」(ぬればいろ)と言います。

動物の水浴び行動と言えば、ハイスピード動画が活躍する絶好の題材です。
240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮ってみました。(@2:39〜)
躍動するカラスと水飛沫をスーパースローで堪能して下さい。
水浴の他にも華麗な跳躍や飛び立つ瞬間がハイスピード動画で撮れており、なかなか見応えがあります。(自画自賛♪)
水浴びする前に、先ず川の水を飲む個体もいました。(@5:30)
さっぱりしたカラスは川から飛び去りました。
羽根が水を含んで重くなったはずですが、普通に飛び立てるようです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
ハイスピード動画のスローモーションでは、ただでさえ長くなるので、羽繕いシーンを編集でカットしました。

この日は一脚が大活躍しました。
重い望遠レンズを装着し最大ズームでハイスピード動画を撮っても手ブレがかなり抑えられ、長時間の撮影でも疲れにくいです。
(ハイスピード動画撮影時は、カメラ内蔵の手ブレ補正機能がオフになってしまいます。)
三脚よりも一脚の方が、被写体の急な動きにも対応しやすいです。



つづく→#2

ハシブトガラス(野鳥)@川+水浴
ハシブトガラス2(野鳥)@川+水浴

2018/07/24

ウワミズザクラの花で吸蜜ホバリングするビロウドツリアブ【HD動画&ハイスピード動画】



2018年5月中旬

里山の山腹で満開に咲いたウワミズザクラの大木でビロウドツリアブ(=ビロードツリアブ;Bombylius major)が何匹も訪花していました。
この組み合わせも初見です。
長い口吻を花に差し入れて吸蜜している間、高速で絶え間なく羽ばたきホバリング(低空飛翔)しています。
(ただし吸蜜中は花穂に足を掛けていることがあるので、厳密にはホバリングとは呼べないかもしれません。)

吸蜜中の羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:50〜)
実際は超高速で羽ばたいているのに、スローモーションにすると翅を開いたまま静止して見えて、ちょっと面白いです。
打ち下ろしと打ち上げで翅の角度を変えていることがよく分かります。
別個体の羽ばたきは、実際よりもかなりゆっくり羽ばたいているように見えました。
羽ばたきの周波数に個体差があるのかな?
こうしたビデオの残像現象はストロボ効果(ワゴンホイール効果)と呼ばれます。

複数個体を撮影。


ビロウドツリアブ@ウワミズザクラ訪花+吸蜜ホバリング

2018/07/19

カキドオシの花で穿孔盗蜜するクマバチ♂【HD動画&ハイスピード動画】



2018年5月上旬
▼前回の記事
カキドオシの花で盗蜜するクマバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

川の堤防や河畔林の林床に咲いたカキドオシの大群落でキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)の♀ばかりでなく雄蜂♂も穿孔盗蜜していました。

複眼が大きく発達していて顔の頭楯が白いのが雄蜂♂の特徴です。
♂は採餌せず自分の空腹を満たすために吸蜜するだけですから、集めた花粉を巣に持ち帰るための花粉籠と呼ばれる器官が後脚には元々ありません。
訪花シーンをよく見ると、クマバチ♂は体が大きい(太い)ため、カキドオシの花筒の入り口から潜り込んで正当訪花することができません。
毎回常に花筒の根本に外側から口器を突き刺して吸蜜しています。
これは穿孔盗蜜と呼ばれる行動で、クマバチやクロマルハナバチのような舌の短い蜂の得意技です。
雄しべの花粉に全く触れませんから、カキドオシの受粉には関与しません。
カキドオシの立場にしてみれば、せっかく受粉の報酬として用意した花蜜が盗まれ損ということになります。


後半は240-fpsのハイスピード動画でも記録してみました。(@3:22〜)
複数個体を撮影。
リアルタイムでは見ているこちらの目が回りそうなくらい忙しなく飛び回ってます。
1/8倍速のスーパースロー映像でクマバチ♂の行動をじっくり見ると、面白いことが色々と分かります。
先客が残した盗蜜痕をそのまま利用することがありました。(例:@4:32)
このようなケースを二次盗蜜者と呼ぶらしい。
いちいち穿孔する手間も面倒なので、なるべく楽して省エネで盗蜜したいのでしょう。
腹端から白い小さな液滴がポトリと落ちたのは、飛びながら脱糞したのかもしれません。(@6:51)


クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜

2018/07/12

カキドオシの花で盗蜜するクロマルハナバチ創設女王【HD動画&ハイスピード動画】



2018年5月上旬

ニセアカシアを主体とする河畔林の林床に咲いたカキドオシの大群落でクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)が訪花していました。
この時期に見かける大型の♀個体はワーカーではなく創設女王だと思います。

クロマルハナバチ創設女王の訪花シーンをよく見ると、ミツバチ♀ヒゲナガハナバチ♂のようにカキドオシの花筒の入り口から潜り込んで正当訪花するのではなく、毎回必ず花筒の根本に外側から口器を突き刺して吸蜜していました。
これは穿孔盗蜜と呼ばれる採餌行動で、クマバチやクロマルハナバチのような舌の短い蜂の得意技です。
次々に花を訪れても雄しべの花粉に全く触れませんから、当然ながら後脚の花粉籠は空荷でした。

後半は、盗蜜行動と飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@3:44〜)
カキドオシの花に止まる際にうっかり正当訪花しそうになっても、慌てて穿孔盗蜜に切り替えた様子(@3:53)が興味深いです。
複数個体を撮影。

この辺りではクマバチよりも個体数が少ない印象で、日当たりの良い堤防ではクロマルハナバチ♀を見かけませんでした。
同所性に採餌しているとすれば競争相手になるはずですが、この二種のハナバチの微妙な棲み分けが興味深く思いました。
(短い観察時間だったので、たまたまそう見えただけかもしれません。)


クロマルハナバチ創設女王@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クロマルハナバチ創設女王@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クロマルハナバチ創設女王@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜

2018/07/09

カキドオシの花で盗蜜するクマバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】



2018年5月上旬

川の堤防や河畔林の林床に咲いたカキドオシの大群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が忙しなく訪花していました。
頭楯が黒く、複眼がそれほど大きくないので♀です。
クマバチ♀の訪花シーンをよく見ると、ミツバチのようにカキドオシの花筒の入り口から潜り込んで正当訪花するのではなく、毎回常に花筒の根本に外側から口器を突き刺して吸蜜しています。
これは穿孔盗蜜と呼ばれる行動で、クマバチのような舌の短い蜂の得意技です。
雄しべの花粉に全く触れませんから、当然ながら後脚の花粉籠は空荷でした。

後半は、盗蜜行動を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@2:00〜)
複数個体を撮影。

この辺りで活動するハナバチ類の中ではクマバチが優占種らしく、かなり個体数が多い印象を受けました。
日当たりの良い堤防でもやや薄暗い林床でもどちらでも採餌活動していました。
ニセアカシアを主体とする河畔林は未だ冬芽から葉が茂っておらず、林床まで日光が届いて明るい状態でした。
つまり春に開花するカキドオシは、スプリング・エフェメラルの一種と言えるかもしれません。

つづく→雄蜂♂は穿孔盗蜜するかな?


クマバチ♀@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♀@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♀@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜

2018/07/08

樹上のトビを激しく襲うカラス混群【HD動画&ハイスピード動画】(野鳥)



2018年4月下旬

川沿いでトビMilvus migrans)が飛来してアカマツの樹冠の横枝に止まりました。
背後は杉の木で守られていますが、怯えたように辺りをキョロキョロ見回しています。
その周囲を数羽のカラスが飛び回り、樹上のトビを繰り返し襲い始めました。
近くの河畔林にカラスの営巣木がありますから、天敵の猛禽類を縄張りから追い払おうと激しいモビング(擬攻撃)を加えているのでしょう。
防戦一方のトビはピーヒョロロ♪と甲高い悲鳴を上げています。(威嚇の鳴き声?)
空からカラスが高速で向かってくると、頭を下げてお辞儀のような迎撃体勢になります。
ぶつかりそうになる寸前でトビが翼を広げて威嚇しました。
このとき翼裏面の白斑が見えたので、襲われている猛禽類の正体がトビと判明しました。
カラスもトビに対して神風特攻隊のように嘴でぶつかって行く意図は無く、あくまでも脅しのための擬攻撃で、トビの頭上すれすれを飛び交います。

モビングするカラスの動きが速過ぎて、なかなか外見から種類を見分けられません。
騒ぎの間、カーカー♪澄んだ声で鳴いていたので、ハシボソガラスではなくハシブトガラスCorvus macrorhynchos)のようです。
仲間を呼び寄せる声なのか、トビに対する威嚇の鳴き声なのでしょう。
3羽のカラスが代わる代わるモビングしていました。
つがいとヘルパーなのか、あるいは隣の縄張りのカラスが加勢しに来たのかもしれません。

途中から240-fpsのハイスピード動画に切り替えてカラスのモビング行動を記録してみました。(@1:50〜3:21)
カラスはとにかく天敵の猛禽類を飛び立たせて縄張りから追い出したいようです。
トビの頭上をかすめるように飛んだり、トビが止まっている横枝のすぐ下を高速でくぐって飛ぶこともあり、なかなかスリリングです。
トビが翼を広げて威嚇した拍子に白い羽毛が1枚抜け落ちて飛び散りました。

スローモーションでじっくり見てもなかなかカラスの種類を同定できません。
しかし一羽が樹間の空を背景に飛んだ瞬間に横向きの頭部のシルエットが一瞬見え、ようやくハシボソガラスと分かりました。
ということは、ハシブトガラスだけでなくハシボソガラスも共同戦線を張って共通の天敵に対してモビングしているようです。

今思うと、直接トビに飛びかかっている個体と遠巻きで鳴き騒いでいるだけ(野次馬)の個体とを区別して見分けるべきでしたね。(動画撮影に集中していると、なかなかそこまで気が回りません)

後半はHD動画に戻しました。
カラスの中には空中戦に加勢せずにすぐ左のアカマツの枝に止まって鳴き騒ぎ、トビに圧力をかける個体も居ます。(松葉の茂みに隠れて映像ではよく見えません)

頭上スレスレのモビングをかわす際にトビが堪りかねたようにフワリと飛び上がり、右の枝先へ移動しました。(@3:35)
枝先は細いので、ますますトビの足場が不安定になります。(トビが動く度に枝が激しくしなります)
再びトビがフワリと飛び上がり、横枝の中間部へ戻りました。(@4:05)
ここなら足場が比較的安定しています。

一層激しくなったカラスの波状攻撃に耐え切れず、遂にトビがアカマツ樹上から飛び立ちました。(@4:28)
空中でもカラスが容赦なく襲いかかります。
急激な方向転換など飛翔時の敏捷性はトビよりもカラスが上手です。
トビはピーヒョロロ♪と甲高く鳴きながら羽ばたきと旋回(滑翔)を繰り返し、必死で逃げ惑います。
追い回すカラスがガーガー♪と濁った声で鳴いていたので、やはりカラスの連合軍にはハシボソガラスが混じっているようです。
最後に右手(川の上流)へ飛び去るつがいのシルエットもハシボソガラスでした。
一方、アカマツの樹上には2羽のハシブトガラスが残っていました。
このつがいは左手(下流へ)へと澄んだ声で鳴きながら飛び去りました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

7日前に対岸から撮影したモビングも丁度この辺りで行われたことに気づきました。
トビとカラスは人知れず連日のように神経戦を繰り返しているのでしょう。

▼前回の記事
河畔林でトビを追い回すカラスのつがい(野鳥)



【追記】
中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』という本を読むと、2種類のカラスの関係性について興味深い記述がありました。

ボソとブトの両種は鳴き声が違うだけでなく、お互いの言葉が通じていないという説もあります。ただ、悲鳴の声(Distress Call)などは種を超えて理解しあっているようにも思います。 (p48より引用) 
大人のボソとブトが仲良くすることはない。 p66より引用)


トビ(野鳥)@アカマツ樹上

トビ(野鳥)@アカマツ樹上vsカラスsp@モビング
トビ(野鳥)@アカマツ樹上vsカラスsp@モビング

ハシブトガラス2(野鳥)@アカマツ樹上+モビング後

2018/07/05

回転翼を持つヒマラヤスギ種鱗の回転落下【ハイスピード動画】風による種子散布



2018年7月上旬

昨年の晩秋に採集したヒマラヤスギの球果を室内で乾燥させて多数の果鱗を得ました。

▼前回の記事
ヒマラヤスギの完熟した球果から剥落する果鱗

果鱗は更に種鱗と苞鱗へと自然に分解します。
種子には紙のように薄い翼が付いていて、プロペラの羽根のようになっています。
自然界では枝の上で熟した球果から次々と剥落し、風に流されて飛ぶことで遠くまで種子が散布されるのです。
このような種子散布の方法を風散布と呼びます。

室内で簡単な実演をしてみました。
半年も保管しておいたヒマラヤスギの果鱗から苞鱗を除いて種鱗だけを選り分けます。
脚立の上に立って大量の種鱗を撒き散らし、落下する様子を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
1/8倍速のスローモーションで見ると、個々の種鱗は風車のようにくるくると激しく回転します。
回転の向きは右回り、左回り、共に見られ、回転速度もまちまちでした。
種子に回転翼を備えたことで、ただの自由落下よりも種子の滞空時間を伸ばし、その間に横風が吹けば飛距離が伸びる(より広範囲に種子散布される)ことになります。

カエデの種子も似たような形状をしていて、翼果と呼ばれています。
植物学の用語に疎い私はヒマラヤスギの場合も「翼果」と一緒くたにして呼びたくなります。(私には「翼果」の方が馴染みのある用語なのです。)
しかし、ヒマラヤスギは裸子植物ですから被子植物の翼果と混同するのはおそらく間違っていて、機能や形態が似ているのは進化上の収斂なのでしょう。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

シリーズ完。


ヒマラヤスギ種鱗。フローリングの板の幅は7.5cm

2018/06/26

ツリフネソウに訪花するクロホウジャク?(蛾)の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2017年8月下旬・午後17:00頃

山麓の湿地帯に咲いたツリフネソウの群落で夕方近くにスズメガの一種が複数個体(少なくとも2頭以上)訪花していました。
花から花へとにかく忙しなく飛び回り、ホバリング(停空飛翔)しながら、ゼンマイのように巻かれた長い口吻を距の奥に差し込んで吸蜜しています。

後半は240-fpsのハイスピード動画に切り替えて、この激しい羽ばたきを撮ってみました。(@0:13〜)
1/8倍速のスーパースロー映像で見ても羽ばたきが速過ぎて、翅の斑紋などの特徴が見分けられません。

蛾を同定するためにストロボを焚いて翅の動きを止めた写真を撮りたかったのですが、やや遠くてストロボの光が届かないかな?と躊躇していたら蛾は逃げてしまいました。
近づくには長靴を履いてぬかるんだ湿地帯に踏み込まないといけないのですけど、この日は普通の靴でした。
おそらくクロホウジャクMacroglossum saga)ではないかと思うものの、定かではありません。
私の撮影スタイルは行動を記録するための動画中心なので、どのぐらい粘って動画を撮ったら写真に切り替えるか、という咄嗟の判断が遅れると虫に逃げられ悔しい思いをすることが多いのです。

同じ場所で後日、同じ被写体の撮影に再チャレンジしました。
同定用の写真とHD動画は撮れたものの、今度はハイスピード動画を撮る前に逃げられてしまいました。
どれか一つ撮るなら比較的容易いのですが、三つ全て撮るのはなかなか難しいのです。


▼関連記事
ツリフネソウの花で吸蜜ホバリングするクロホウジャク(蛾)

スズメガ類はツリフネソウに正当訪花するのですが、送粉者ではりません。
スズメガ類は細長い口吻を伸ばして手を汚さずに(雄しべの葯に全く触れずに)花蜜を効率的に吸えるので、花の受粉には全く寄与しません。
ツリフネソウにしてみれば、困った泥棒(盗蜜者)なのです。


田中肇『花と昆虫:不思議なだましあい発見記』によれば、

ツリフネソウの花をねらう泥棒は多く、花の正面から蜜や花粉をねらう昆虫もいる。(中略)スズメガ類はヘリコプターのように飛びながら花のまえの空中に静止し、3cm以上もある長い口を花の奥にさしこんで蜜を吸う。筒はその口よりは浅いので、ガの頭や体は雄しべや雌しべに触れない。もし口が触れることがあっても、細い口につく花粉はわずかだし、ついた花粉が針のように細い雌しべの先につく確率はたいへん低いと考えられる。このガも、ツリフネソウにくる泥棒なのだ。 (p140より引用)


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
実際はもう少し薄暗い条件でした。


2018/06/03

ソメイヨシノの幹をつつくアカゲラ♂♪【HD動画&ハイスピード動画】(冬の野鳥)



2018年2月上旬・午後12:00頃

小雪がちらつく正午頃、民家の庭から啄木鳥の鳴き声がするので探すと、庭木ソメイヨシノの幹をアカゲラ♂(Dendrocopos major)が登り降りしていました。

キョッキョッ♪と鳴きながら、桜の幹を嘴でコツコツ、コンコン♪と激しくつついています。
後半は、木をつつく行動を240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮ってみました。(@0:34〜)
無音になるのは、カメラの仕様です。

スローモーションで見ると、樹皮の破片が砕け落ちる様子や舞い散る雪が絵になりますね。
つついた直後に材の破片を嘴で千切り取って捨てています。
アカゲラ♂は幹の同じ場所に狙いを定め、繰り返しつついて穿孔しようとしています。
力任せにつつくだけではなく、嘴を穴に差し込んで首をねじりドリルのように繊細に動かしたり、つつく角度を変えたりすることもありました。
つつく合間に、細い針金のような舌が嘴に引っ込むのが見えました。
しかし材の中に潜んでいるカミキリムシなどの幼虫に逃げられたようで、獲物を捕食することなくアカゲラ♂はつつく場所を変えました。



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


アカゲラ♂(野鳥)@ソメイヨシノ幹+樹皮つつき

2018/05/27

ヒメスズメバチ♀の奇妙な扇風行動【HD動画&ハイスピード動画】



柳の根際に営巣したヒメスズメバチの記録#4

前回の記事#3

2017年9月中旬・午後15:27〜15:35・気温28℃

前庭で巣穴の方を向いて休んでいたヒメスズメバチ♀(Vespa ducalis)が突然、その場で羽ばたき始めましたので驚きました。
実際は飛翔時のように猛烈な勢いで羽ばたいているのですが、映像ではストロボ効果の錯覚により羽ばたきが遅く見えています。
休息を挟みながら扇風行動を断続的に繰り返していました。

後半は、定位飛行および扇風行動の羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画でも撮影してみました。(@3:01〜)
♀αが扇風行動を止め前庭で休んでいると、別個体♀βが飛来しました。(@4:04)
それに反応して飛び立つと、すれ違う際に接触し、♀αはバランスを崩して一瞬着地。
♀βはさっさと巣に入りました。
♀αは低空で定位飛行を続けます。
スローモーションで見ると、空中でホバリング(停空飛翔)している間も頭がキョロキョロと油断なく動いていました。
アシナガバチとは異なり、飛翔中は空気抵抗を減らすために脚を縮めて体に引きつけています。

スズメバチ類は真夏に気温が約30℃を越えると、育房内の幼虫や蛹を守るために巣を冷やそうとワーカーが巣の外被上で羽ばたいて扇風行動を行います。
巣口に風を送り込んで巣内の温度を冷やすのです。
しかし、今回の個体は巣の外被から離れている上に頭を巣に対して斜めを向けています。
したがって、いくら羽ばたいても風が巣には送り込まれず、体力の無駄でしかありません。
扇風による巣の冷却や換気の効果は全く期待できないことになります。
撮影しながら気温を測ると28℃でした。
日向の地面はもう少し暑くて30℃を越えていた可能性があります。
前庭の地表温度を測りたかったのですが、この個体が居座っているために近づけませんでした。
日光浴して暑くなったのなら日陰に移動すれば済む話なのに、わざわざ体力を消耗する扇風行動を行う意味が分かりません。
むしろ日向で定位飛行や扇風行動などの激しい運動をすれば体温は更に上昇するはずです。
もし捕獲したスズメバチを飼育中に室温を上げたら、たとえ巣がなくても簡単に扇風行動を誘発できるのか、確かめてみたいものです。

昆虫は変温動物なので、飛び立つ前に飛翔筋の入念な準備運動をして体温を上げる必要がある種もいます。(体重の重い昆虫や、気温が低い夜に活動する種など)
しかし、日向で日光浴をしているヒメスズメバチの体温は充分に高いはずです。

巣の前庭で扇風しながら腹端をやや持ち上げているため、もしかすると交尾前の新女王が雄蜂を誘引する性フェロモンを積極的に拡散しているのだろうか?と素人が勝手な妄想を逞しくしてみました。(私の知る限り、スズメバチでそのような行動は報告されていません)
この仮説は、ミツバチによる「匂い扇風」から連想したものです。
しかし、観察をしばらく続けても、営巣地の周囲にヒメスズメバチの雄蜂♂が殺到することはありませんでした。

柳の根際の土中に作られた巣が掘り返された(崩落した?)形跡があるため、そもそも異常な行動を見ているだけ、という可能性もあります。
巣が壊され女王蜂を失うとコロニーの統制が喪失し、ワーカー♀が呆然と様々な異常行動を示すようになるのかもしれません。
以前、山中で観察したチャイロスズメバチの巣が壊された後の行動も、巣を再建せずに呆然と無為に過ごしているようでした。

▼関連記事
破壊された巣とチャイロスズメバチ♀残党

謎の行動を繰り返している個体が1匹だけというのが、とにかく奇妙です。
一見無駄に見える定位飛行や扇風行動を繰り返しているのは、とにかく元気が有り余っている個体なのでしょうか?
それとも異常行動なのでしょうか?
ネジレバネなどに寄生された個体が異常行動を取るようになったのか?とか、巣を駆除する際に使われた殺虫剤(神経毒)が残留していて、その影響で異常行動をするようになったのか?などと想像してしまいます。


ヒメスズメバチのコロニーが解散したら初冬にでも巣の発掘調査をしようと計画していたのに、どうも何者かに巣を壊されてしまったようなのです。
巣の破壊状況を早く自分の目で確認したいのはやまやまなのですが、高価な防護服を持っていない私はなかなか巣に近づけません。
それでも安全に巣を調べる工夫を思いつきました。

つづく→#5:壊されたヒメスズメバチの巣穴を深夜に覗いてみると…【暗視映像】


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