ラベル アブ・ハエ・カ・ガガンボ(双翅目) の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル アブ・ハエ・カ・ガガンボ(双翅目) の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015/02/08

ニホンザルの糞に群がるベッコウバエ♀



2014年10月上旬

山間部の路上に黄土色の新鮮な獣糞が落ちていました。
ニホンザルが残した糞だと思います。
初め2匹のベッコウバエNeuroctena formosa)が糞に止まって居たのですが、動画に先立って写真を撮ったらストロボの閃光に驚いた1匹が飛んで逃げてしまいました。
ベッコウバエ以外にもう1匹居るのはキアシフンバエScathophaga mellipes)ですかね?(自信なし)
背面なので獣糞を舐めているかどうか、口器の動きは見えません。
撮影後に獣糞からガードレール裏に飛んで逃げたベッコウバエを採集しました。


15cm定規を並べた


以下は標本写真。

腹部が黒褐色で毛が目立たないので♀のようです。(『樹液に集まる昆虫ハンドブック』p65参照)



2015/02/05

ヤドリバエ(Gonia sp.?)の求愛未遂@松葉



2014年10月中旬

里山の尾根道に生えたアカマツの幼木で観察した光景です。

灰色の地味なハエが枝の松葉にホバリングしているのを不思議に思い、撮り始めました。
以下の説明はなんとなくハエの求愛だろうと勝手に解釈したものです。
外見で性別を見分けている訳ではないので、間違っているかもしれません。

枝の松葉の奥におそらく♀が潜んでいるようです。
頭を下に向けているのも不思議ですが、たとえば松葉に付着したアブラムシの甘露を舐めているのでしょうか。
そこへ同種の♂と思しき個体が飛来し、♀の真上でホバリング(停空飛翔)を始めました。
このとき互いに頭の向きが逆になっています。
♂が♀の体に脚でちょんちょんと触れたら、♀が飛んで逃げました。
すかさず♂が追飛します。
映像後半は1/4倍速のスローモーションでリプレイ。

♀が松葉の奥に隠れていたのも、しつこい♂から逃げ回っていたのかもしれません。

撮り始めるのが少し遅かったです。
どうせならハイスピード動画に撮れば良かったですね…。
同定用の写真を撮る余裕もなく未採集なので、残念ながらハエの名前は分かりません。


▼関連記事(5年後に撮影)
菊の花蜜を舐める♀にホバリングで求愛するハエ♂【名前を教えて】


【追記】
ヤドリバエ科のGonia sp.かもしれません。

2015/01/29

野菊の花を舐めるセスジハリバエ



2014年10月上旬

山間部の道端に咲いた野菊(種名不詳)の群落でセスジハリバエTachina nupta)が訪花していました。
口吻を伸ばして花蜜や花粉を舐めています。
花から飛び立つと入れ替わりにオオハナアブが飛来しました。



2015/01/20

ミゾソバと野菊の花蜜を吸うセスジハリバエ



2014年9月下旬

里山の草地でセスジハリバエTachina nupta)が花蜜(と花粉)を舐めていました。
初めはミゾソバの群落で訪花していましたが、隣に咲いた野菊(種名不詳)の群落にも飛んで行き、吸蜜しています。



複数個体を撮影した後、1匹だけ採集できました。
以下は標本写真。




2015/01/09

飛べ!シロスジベッコウハナアブ【ハイスピード動画】



2014年9月上旬

雑木林の山道脇でドクダミの葉にシロスジベッコウハナアブ♀(Volucella pellucens tabanoides)が止まっていました。
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
後半は更に1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

複眼がよく見えないアングルのため、性別不明です。
手元の図鑑『札幌の昆虫』p209と見比べると、胸部が明るい褐色なので♀と言っても良いかな?
この特徴は専門的なサイトの標本写真でも一応成り立っています。


2015/01/04

オオハナアブ♀の化粧



2014年7月下旬

オオハナアブ♀(Phytomia zonata)が葉に乗って身繕いしていました。
前脚で頭部を拭い、中脚では胸背と腹背を拭っています。

やれうつな虻が手をすり足をする



2014/12/30

ミネラル摂取中に飛翔筋をアイドリング♪するヒラタアブの一種♀



2014年9月中旬

山道の休憩所に飛来したヒラタアブの一種♀が、カメラのストラップやザックに止まり口吻を伸ばして舐め始めました。
雨水や私の汗が染み込んでいる所からミネラル摂取(塩分補給)しているのでしょう。
左右の複眼が離れているため♀のようです。

翅を休めて静止している間も甲高い音を発し続けていることに気づきました。
ハナアブはホバリング(停空飛翔)の名手ですけど、飛行中の羽音よりも高い音でした。
胸部の飛翔筋を高速で伸縮させて、いつでも飛び立てるようアイドリングしているのでしょうか?
この行動の正式名称は?
この日は周囲にうるさい蝉しぐれが無く静まり返っていたおかげで気づけた現象(行動)です。

ヒラタアブ飛翔筋のアイドリングを声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMOV動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードし、適当に切り出してからスペクトログラムを描いてみました。
すると何やら思わせぶりな声紋が得られました。
飛び立つ前後でスペクトログラムに劇的な変化が現れるかと期待したのですが、低周波成分が少し増えるだけで、素人には違いがよく分かりませんでした。 

※ 16kHz付近に持続する強いシグナルがあり、その半音の8kHzが逆にすっぽり抜けている、という謎の現象はこのビデオカメラに特有のノイズのようです。(何を撮っても毎回出現する波形)

カメラのストラップを舐めている時のアイドリング声紋
ザックを舐めている時のアイドリング声紋
飛び立つ前後の声紋を切り出してみる(3秒〜離陸)

撮影後に逃げられてしまいましたが、戻って来たハナアブを2匹採集しました。
(映像に登場した個体と同一である保証はなく、別種の可能性すらあるかも。)
以下は標本写真。
まずは一匹目の個体♀a。



続いては二匹目の個体♀b。



2014/12/20

コナラ樹液酒場でハエに負けたサトキマダラヒカゲ



2014年9月上旬

里山の雑木林で樹液が滲むコナラの幹にサトキマダラヒカゲNeope goschkevitschii)が止まっています。
他の昆虫が樹皮を齧って開けた穴に口吻を突っ込んで樹液を吸汁しています。
近づくハエを牽制するためときどき軽く翅を羽ばたかせるものの(占有行動)、翅表は決して見せてくれません。
大き目のミバエ?(種名不詳)によるしつこい頭突き攻撃に耐えかねて飛び去ってしまいました。
引きの絵にすると、逃げたのではなく幹を少し下りた所で一時避難していました。
樹液酒場の力関係でハエは最下層だと思っていたので、強気のハエが蝶を打ち負かしたことに少し驚きました。
同定用にハエの写真も真面目に撮っておけばよかったですね。



2014/12/14

ミズナラ樹液酒場で争うウシアブ♀とベニシタバ(蛾)



2014年8月中旬・天気は雨

里山の雑木林で定点観察しているミズナラの樹液酒場は雨天でも賑わっています。
ウシアブ♀(Tabanus trigonus)とベニシタバCatocala electa zalmunna;またはその仲間オニベニシタバ?)が小競り合いをしていました。(占有行動)
ベニシタバが得意な戦法は、派手な後翅をぱっと広げて見せる威嚇です。
しかしこの誇示戦法もウシアブには通用しませんでした。
ウシアブがこの勝負に勝って蛾を追い払ったのに、なぜか樹液に執着せず少し離れた所で身繕いを始めました。
その間にベニシタバは樹液酒場に戻り、吸汁しています。


2014/12/03

汗を舐めるシロスジナガハナアブ♀


2014年8月下旬


▼前回の記事
シロスジナガハナアブ♀の探索飛翔

私が山道で休んでいると、シロスジナガハナアブ♀(Milesia undulata)が飛来しました。
やがて私のザックに降り立ち、汗の滲み込んだベルト部分を舐め始めました。
汗に含まれるミネラルを摂取(塩分補給)しているのでしょう。
左右の複眼が離れているので、性別は♀ですね。
それまで探索飛翔していたのは、汗の匂いに誘引されたようです。
近寄ってきたクロアリを嫌って飛び立ち、ホバリング(停空飛翔)を披露してくれました。
飛び回ると意外に重低音の羽音が鳴り響きます。
ザックのいつもほぼ同じ場所に着地します。
不思議なことに私の体や服には寄って来ず、汗ばんだ腕を差し出してもその手に乗りませんでした。
警戒しているのか、それとも新鮮な汗は惹き寄せる匂いが足りないのかな?(濃縮・熟成が必要?)【※追記を参照のこと】

このハナアブは見た目がアシナガバチやスズメバチにそっくり(ベイツ型擬態)なだけでなく、捕獲すると蜂のように刺す真似をする(行動擬態)そうです。
捕虫網が無いと採集できず今回も確かめられませんでした。
実は近くをキイロスズメバチが盛んに行き来しています。
擬態のモデルかもしれないキイロスズメバチとシロスジナガハナアブ♀は互いに没交渉でした。(追記2を参照)


【追記】
私は山中でも虫除けスプレーや制汗剤、香水などを使う習慣がありません。
ひとつ心当たりがあるのは、私が夏に使っている冷涼系ボディソープにメントール(ハッカ油の成分)が含まれていることです。
虫除け効果が知られているため、ハナアブも私の汗を直接摂取しに来るのは忌避したのかもしれません。


【追記2】
上田恵介・有田豊『黄色と黒はハチ模様:ハチに擬態する昆虫類』 (『擬態:だましあいの進化論〈1〉昆虫の擬態』p62-71に収録) によると、
”虻蜂取らず”はアブの戦略 
針を持たないのにハチの姿をまねている昆虫というと、まず双翅目のアブ類が挙げられる。(p62より引用) 
 ところで、モデル種であるハチ類は、自分とよく似たアブ類をどう見ているのであろう。自分と同じハチの仲間と見ているのか、それともいくら模様が似ていても、ハエと同じただの双翅目と認識しているのであろうか。これについて、コガタスズメバチVespa analisがスズキナガハナアブSpilomyia suzukiiを捕らえた報告がある。(p63より)


2014/12/02

シロスジナガハナアブ♀の探索飛翔



2014年8月下旬

山道の休憩所にシロスジナガハナアブ♀(Milesia undulata)が飛来しました。
見る度にアシナガバチにそっくりだと思います。
ベーツ型擬態の代表格ですね。
初めは地面で身繕いしていたのですが、休憩所の床やベンチなどを小刻みに飛び回り何かを探索しているようです。
この虻の行き先を追うと…。

▼つづく
汗を舐めるシロスジナガハナアブ♀


2014/11/25

寄主モンスズメバチの巣の近くに産卵するムツボシベッコウハナアブ♀



2014年8月中旬

▼前回の記事
巣の裏のクヌギ樹洞を物色するモンスズメバチ♀

モンスズメバチの巣の定点観察4

クヌギの樹洞に営巣したモンスズメバチVespa crabro flavofasciata)のコロニーを観察していると、不審な訪問者が繰り返し現れました。
ムツボシベッコウハナアブ♀(Volucella nigropicta)です。
左右の複眼が離れているので♀と判明。
同じ日にすぐ近くのミズナラ樹液酒場で♀♂共に樹液を舐めに来ていました。

▼関連記事
ミズナラ樹液を吸いつつ排泄するムツボシベッコウハナアブ♂
ミズナラの樹液を舐めるムツボシベッコウハナアブ♀
そのときの個体と比べて今回は黄色い腹部の体色がくすんでいる(薄い)ように見えますが、個体差でしょうか。
(もしかすると別種の可能性は?)
観察したドラマを紹介する前に、生態について少し予備知識が必要になります。

京都府レッドデータブックでムツボシベッコウハナアブの項目を参照すると、

生態は不明であるが、成虫はクヌギの樹液に集まることが知られている。一般にこの属の種の幼虫はスズメバチ等の巣内に生息し、日本産の種の多くがそうであるが、海外では樹液で生育する種も知られている。本種の幼虫もクヌギの樹液に生息しているか不明だが、いずれにしてもクヌギへの依存度は高い。

『日本動物大百科9昆虫II』p133によると、

ベッコウハナアブの仲間の幼虫はスズメバチ類とマルハナバチ類の巣内に入り、巣の下の土中にいて、ハチの食物の残りや、ハチの幼虫、蛹、成虫の死骸などが棄てられるのを食べているらしい。巣の活動が終わりに近づくと、巣盤まで入り込んで幼虫や蛹などを食べることもある。しかし、かなり早い時期から巣盤などに入り込んで幼虫などを食べることもあるようで、単なる掃除者ではなく、捕食寄生者に変身することもあるようである。

ちなみに『スズメバチの科学』p64-65によれば、同属のニトベベッコウハナアブはモンスズメバチの巣房内に白い卵塊を産みつけることが報告されています。

オオスズメバチやモンスズメバチのように外被が釣り鐘型になっている種の巣下には、ベッコウハナアブの幼虫やナミクシヒゲハネカクシの幼虫が多数生息し、排泄物などを食べて、掃除屋として君臨している。

堅苦しいお勉強(予習)はこのぐらいにしておいて、映像をご覧ください。
ムツボシベッコウハナアブ♀がクヌギの幹を登ったり下りたりして樹洞の横を通り過ぎました。
初めは巣内のモンスズメバチに気づかれていません。
ムツボシベッコウハナアブ♀がときどき腹端を幹に付けているのは産卵でしょうか。
(卵を確認していないので、確証はありません。)
必ずしもムツボシベッコウハナアブの成虫♀がモンスズメバチの巣内に侵入できなくても、樹洞の近くに産卵できれば孵化した幼虫が自力で這って寄主の巣に侵入するのかもしれません。

再び同じクヌギの幹に飛来したムツボシベッコウハナアブ♀(腹部の黄色が濃い別個体?)が歩いたり飛んだりして寄主の巣に接近を試みるも、今度はモンスズメバチのワーカー♀に追い払われました。
同様のシーンが何度も繰り返されています。
寄主モンスズメバチに追い払われる瞬間を1/2倍速のスローモーションでリプレイしてみました。

ちなみに、このクヌギの木は昆虫が集まる樹液を分泌していませんでした。
したがって、ムツボシベッコウハナアブ♀が繰り返し来たのは樹液目当てではなく、モンスズメバチの巣に寄生産卵することが目的でしょう。

クヌギの木で私が見かけたムツボシベッコウハナアブは♀だけでした。
すぐ隣のミズナラ樹液酒場ではムツボシベッコウハナアブ♀の産卵行動は見ていません。
ムツボシベッコウハナアブの幼虫は樹液を摂取するのではないか、という上記レッドデータブックが示唆する可能性に私は否定的です。
やはりスズメバチの巣内で掃除屋(スカベンジャー)として育つのではないか、と推理するのが自然な気がします。

どうやらムツボシベッコウハナアブ♀は、寄主の巣内に産卵する機会を虎視眈々と狙っている印象を受けました。
しかし樹洞への侵入に成功した例は見ていません。
いつもモンスズメバチが気づいて飛びかかり、巣の近くから排除しています。
ムツボシベッコウハナアブのことを無害な掃除屋あるいは共生者ではなく、明らかに厄介な捕食寄生者(=天敵)とみなしているのでしょうか。
モンスズメバチの巣を初めて見つけたこの日、どうして蜂がこれほど興奮したように巣の回りを飛び回り忙しなく巣に出入りしているのか、不思議でなりませんでした。※
味方同士の空中戦が頻発しています。
この状態が普通なのかな?
そうでなければ考えられる理由の一つとして、オオスズメバチなどの外敵に対してコロニー全体が警戒レベルを上げているのかもしれません。
この日は実際にクヌギの木の近くで飛ぶオオスズメバチを一度だけ目撃しました。(映像なし)
ただし、オオスズメバチが他の社会性ハチ(ミツバチやスズメバチ類)の巣を襲い始めるのは晩秋になってからのはずです。
ムツボシベッコウハナアブ♀の接近を深刻な脅威と捉え、コロニー全体が最大限に警戒しているのでしょうか。
スズメバチよりもアブの方が動きが敏捷なので、殺される前に飛んで逃げてしまい、しばらくするとムツボシベッコウハナアブはクヌギの木に戻って来ます。
(※ 実は引っ越してきたばかりの移動巣ではないか?というまた別な解釈も抱いているのですけど、続報の記事で詳しく述べることにします。)

ムツボシベッコウハナアブの体色は黄色と黒の配色であり、モンスズメバチと少し似ていなくもありません。
アブ自身が捕食されないよう毒針を持ったスズメバチに似せたベーツ型擬態なのかもしれません。
また、体色を寄主に似せて油断させて巣に近づき産卵するという戦略が考えられますけど、実際は攻撃的擬態と呼べるほどの効果を果たしているかどうか、甚だ疑問です。
警戒中のモンスズメバチは巣に近づく者には同じ巣の仲間に対してもとりあえず迎撃する方針のようです(味方への誤認攻撃をも辞さず)。
敵味方を視覚ではしっかり識別していませんでした。(シリーズ12のブログ記事を参照)
社会性昆虫を騙しの標的とするのであれば、体表の化学成分を似せる(化学擬態)ことが先決でしょう。

以上はあくまでも短い観察(午後の数時間)にもとづく個人的な仮説ですので、今後の定点観察が楽しみです。

つづく→シリーズ#5:扇風行動



【追記】
『マルハナバチの謎〈下巻〉 (ハリフマンの昆虫ウオッチング・社会性昆虫記)』p38によると、
寄生するものの外見は寄主の特徴にどこか似ています。(中略)ベッコウハナアブは殺されても、死後卵を排せつして自分たち一族の繁栄をはかります。粘っこい卵はすぐに産みつけられた場所にくっつき、卵からかえった幼虫は巣の古い繭に向かって突進します。



2014/11/23

虻を捕食するアズマヒキガエル



2014年8月中旬

里山の雑木林で遊歩道の真ん中に大きなアズマヒキガエルBufo japonicus formosus)がデンと居座っていました。
ズームするとなかなか風格のある面構え。
鼻孔がヒクヒクしています。
横腹もリズミカルに動く(呼吸運動?)ものの、鳴き声は一切発しませんでした。
繁殖期以外でヒキガエルを見るのは初めてです。

▼関連記事
アズマヒキガエルの抱接と蛙合戦@沼
静止しているヒキガエルの左から黒い双翅目がなぜか歩いて足早に近づいて来ました。
ムシヒキアブの仲間ですかね?(自信なし)
ヒキガエルはすかさず舌を伸ばして電光石火のごとく捕食しました。
1/4倍速のスローモーションで見直すと、獲物をすぐに飲み込んだようです。
いつかハイスピード動画で捕食シーンを記録してみたいものです。
飼育するのは難しいのかな?



獲物が見つかると、足速に近づいていってつかまえる。だが、獲物が全く動かないと、目の前であっても気が付かない。つまり、ヒキガエルは動かないものには反応を示さないのである。(『The Moment:自然の瞬間』p116より)



つづく→キマワリを捕食するアズマヒキガエル



2014/11/22

ミズナラの樹液を吸いつつ翅紋を誇示するハネフリバエ科Pseudotephritis millepunctata



2014年8月上旬

里山の雑木林で樹液が滲むミズナラの幹に小さなハエが集まっていました。
特徴的な斑紋をもつ翅を動かしながら樹液を舐めています
左右の翅を同時に根元からぐるぐる回し続けています。
これは捕食者を幻惑するための行動なのですかね?
異性にアピールする求愛誇示なのかな?
ただし、この樹液酒場で交尾行動は見ていません。
腹端に黒く細長い筒のようなヘラのような産卵管を持つのが明らかに♀でしょう。
(樹液によく来るのはショウジョウバエ科ですけど、このような産卵管の形状はミバエ科ですかね?)
一方、腹端に産卵管が無い♂と思われる個体も腹部が膨満している体形です。
同種の♂♀なのか、それとも別種なのか、私には分かりません。
樹液酒場では他の昆虫よりも力関係の序列が低いようで、忙しなく動き回っています。



撮影後にこの日は1匹だけ採集して帰りました。
(後で思うと、♀♂ペアで採集すべきでした。)
以下は標本写真。



いつもお世話になっている「一寸のハエにも五分の大和魂・改」掲示板に投稿して質問したところ、まずアノニモミイアさんより以下の回答を頂きました。
ハネフリバエ科UlidiidaeのOtitinae亜科の1種ではないでしょうか(Otitidaeは現在Ulidiidaeの亜科として扱われています)。
Die Fliegenの翅の図版だけで絵合わせをすれば,Myennis millepunctata Hennig, 1939 にほとんど完全に一致しています。
本種は1927年6月15日にStackelbergによってUssuriのSutschanのSt. Sizaで採集された1雌によって新種として記載されたものです(Die Fliegen, Otitidae, p. 73, Taf. V, Fig. 60)。お尋ねのハエがこの種に一致するかどうかは,写真では原記載と照合できない形質が多々ありますので,わかりません。
本種はThe key to the insects of Russian Far East, Vol.6, part 2, p. 160では,Pseudotephritis属に移され,分布はアムール地方が含まれています。また,ussurica N. Krivosheina et M. Krivosheinaがこの種のシノニムとされています。この種,ussuricaはEnt. Oboz.1997の671-678のRevision of the Palaearctic species of the genus Pseudotephritis(原題はロシア語)で記載されたものでしょう。属が移されたので,学名はPseudotephritis millepunctata (Hennig, 1939)になるでしょう。
日本昆虫目録第8巻双翅目では本亜科には,Ceroxys sp.,Melieria crassipennis (Fabricius)の2種が掲載されています。後者の斑紋はDie Fliegenで見る限りあなたのハエとは翅の斑紋が一致していません。他にもHerina属の種が日本にいますが,これとは異なります。


次に茨城@市毛さんからも次のようにご教示頂きました。
Pseudotephritis millepunctataについては,"Han, Ho-Yeon. 2013. A Checklist of the Families Lonchaeidae, Pallopteridae, Platystomatidae, and Ulidiidae (Insecta: Diptera: Tephritoidea) in Korea with Notes on 12 Species New to Korea. Anim. Syst. Evol. Divers. 29(1):56-69"に生態写真が載っています.
同氏の説明では,"This species is clearly distinguishable from any other species of Ulidiidae by the numerous dark dots on its body."と記されており,しぐまさんの写真にも同様な暗色斑が多数あります.
"A Checklist of the Families Lonchaeidae, Pallopteridae"で検索すると,ネットでPDFが見られます.
ハネフリバエ科というのは本当に初耳でした。
まさに名は体(行動)を表すのですね。
この翅の動きにはどんな意味があるのか、とても興味があります。


【追記】
同じミズナラ樹液酒場で8月中旬、同種♂も採集しました。
以下は♂標本写真。
腹端の形状が♀と異なります。

『日本動物大百科9昆虫II』p106によると、
双翅類(ハエ目)♀の生殖器節は産卵管と称されるが、これは腹節そのものの変形であり、直翅類などの産卵管とはまったく起源を異にしている。




♂右翅脈

♂左翅脈



♂腹背



ランダムに記事を読む