2023/05/28

ヤマボウシの熟果を舐めるニクバエの一種

 

2022年10月下旬・午後15:25頃・晴れ 


河川敷に植栽されたヤマボウシの生垣が紅葉し、果実も赤く熟しています。 
ニクバエ科の一種がヤマボウシの熟果に止まり、その表面を口吻で舐め回していました。 

私もヤマボウシの熟果を味見してみることにしました。 
果皮がシワシワになった熟果を選んで摘果します。 
触れるとブヨブヨした触感でした。 
果皮を指で裂くと、柔らかくねっとりしたクリーム状の果肉が現れました。 
中には複数の種子が含まれています。 
味見すると薄っすらと甘かったのですが、品種改良された果物の甘さには到底及ばず、喜んで食べる気にはなれません。 

地面にはヤマボウシの落果が大量に散乱していました。 
トレイルカメラで監視すれば、タヌキやハクビシンなどの夜行性動物が落果を食べに来る様子が撮れたかもしれません。

2023/05/27

若いニホンザルはオニグルミの落果を拾って皮を剥いても硬い殻を割れない【種子散布】

 

2022年10月下旬・午後16:30頃・くもり 

山麓のスギ林の林縁で若いニホンザルMacaca fuscata fuscata)がねぐら入りする直前まで採食しています。 
地面から黒くて丸い物体を次々に拾い上げました。 
どうやらオニグルミの果実が熟して落ち、辺りにいくつも転がっているようです。 
実際に、オニグルミの大木がスギ林に隣接する土手のあちこちに自生していました。 

ニホンザルはオニグルミの落果を拾うと、黒い果皮を手や口を使って器用に剥がしています。
ここまではヒトのクルミ拾いと似ています。 

関連記事(同年同時期の撮影:ヒトの採食行動)▶ オニグルミの落果を採集(クルミ拾い) 

オニグルミの果皮にはタンニンが多く含まれますから、渋くて不味いはずなのに、果皮を口にしても猿は平気な顔をしています。 
果皮を剥いて中から硬い堅果を取り出しても、非力な若猿には歯が立ちません。 
しばらく弄んでから食べられないと分かると、オニグルミの堅果をポイッと捨ててしまいます。 
その間も遊動していますから、オニグルミの落果を拾った地点から捨てた地点まで数メートル運びました。 
つまり、ニホンザルはオニグルミ種子の分散に貢献したことになります。 
オニグルミの母樹から遠ざかる方向に移動したのか、逆に近づいてしまったのか、は偶然に左右されます(ニホンザルの気分次第)。
もし猿がスギ林の中に持ち込んでからクルミ堅果を捨ててしまうと、日照量の少ないスギ林床でオニグルミの実生が育つのは絶望的です。

オニグルミの主な種子散布者は野ネズミやリスで、彼らが堅果を貯食する習性を利用しています。
野ネズミやリスに拾われて地中に隠されたクルミ堅果のほとんどは冬の間に食べられてしまいますが、ごく一部の食べ忘れられたクルミ堅果から芽が出て種子散布に成功します。 
つまり持ちつ持たれつの共生関係にあります。
一方、ニホンザルに対してオニグルミは何も報酬を与えていません。 
一時の好奇心が満たされたこと自体が報酬なのでしょう。

今回クルミを拾ったニホンザルは、好奇心旺盛な若い個体ばかりだったのがポイントかもしれません。 
年を取って経験を積むと、オニグルミの落果は拾う価値が無いと学習するはずです。 
それでも暇つぶしや遊びとしてクルミを拾い続けるかな? 
知能の高いニホンザルの好奇心を刺激する(拾いたくてたまらない)形状にクルミの果実が進化したら面白いですね。(猿の好奇心と遊び心を利用した種子散布) 

【追記】
私は知らなかったのですが、ニホンザルの成獣の一部はオニグルミの堅果を歯で噛んで割ることができるようになるそうです。
参考:野⽣ニホンザルのオニグルミ採⾷⾏動を観察
―採⾷技術とそのバリエーション―(無料PDFファイル

クルミ拾いに飽きると、腕白盛りの若いニホンザルたちは林縁で追いかけっこしたり、スギの枝葉に跳びついてブランコ遊びをしたり、スギの木に登ったり降りたり、遊びながらスギ林の奥へ遊動して行きます。 
猿の鳴き声が杉林からひっきりなしに響き渡ります。 
ニホンザルの群れは、このスギ植林地で一夜を過ごすようです。 

※ 映像があまりにも暗過ぎるパートは、動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。


関連記事(約2週間後の撮影)▶ 餌場に置いたオニグルミ堅果に悪戯するも食べずに去る若いニホンザル【トレイルカメラ】


↑【おまけの動画】 
“Monkeys Use Stones to Crack Open Nuts” by National Geographic 

当地のニホンザルがもしもクルミの硬い殻を石で叩き割って中身を食べることを覚えたら(道具使用、石器使用)、今度はオニグルミの種子散布者から種子捕食者になります。 
日本のカラスが投げ落としによるクルミ割りをマスターしたのですから、ニホンザルがクルミ堅果を割れるようになっても不思議ではありません。
ヒトが石を使ってクルミの殻を叩き割るお手本を見せたら、すぐに学習するんじゃないかな?

カラマツの木の下で逃げる虫を捕食するシジュウカラ♀【野鳥:トレイルカメラ】

 



2022年10月下旬・午前10:40頃 

冒頭のシーンは明るい昼間に撮った現場の様子です。 
泥汚れの付いたカラマツの樹の下に山盛りのドングリ(ミズナラの堅果)を給餌してあります。 

その餌場を自動センサーカメラで監視していると、午前中にシジュウカラ♀(Parus minor minor)が来ていました。 
給餌場に残っていたドングリには興味を示さず、カラマツの幹の根元付近に止まっていました。 
前回は樹皮を剥がして持ち去ったのですが、今回は微小の虫を狩ろうとしている様子です。 
地面に落ちて林床を逃げ回る虫を追いかけて、見事シジュウカラ♀は捕食に成功しました。 
最後は獲物を咥えて飛び去りました。 
捕食シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 

シギゾウムシの老熟幼虫がドングリの堅果から脱出していたのかもしれませんが、それならすぐ地中に潜って蛹化するはずです。 
シギゾウムシの幼虫は足が退化しているので、木に登るはずはありません。 
スローモーションで見直すと、幹に止まっていたシジュウカラ♀が給餌場付近の地面に居た虫を見つけて飛び降りたようにも見えます。
それなら獲物の正体がシギゾウムシ幼虫でもおかしくありません。

※ 画面全体がピンク色に点滅して見苦しいので、動画編集時に自動色調補正を施しています。

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