2021/11/26

イチジクの熟果に仲良く群がるオオスズメバチ♀とシロテンハナムグリ

 

2021年8月下旬・午後13:40頃・くもり時々小雨 

民家の庭に植栽されたイチジク(無花果)で果実が熟すと、オオスズメバチVespa mandarinia japonica)のワーカー♀が何匹も集まっていました。 
  シロテンハナムグリ(Protaetia orientalis submarumorea) 
よく熟したイチジクは見るからに甘くて美味しそうです。 
オオスズメバチ♀は熟果の果肉を大顎でザクザクと噛み切りますが、固形物を飲み込めないので、果汁を啜っているだけです。 
その証拠に、オオスズメバチは果肉を噛み切って団子状にしたものの、絞りカスはすぐに捨ててしまいました。
スズメバチは獲物を狩ると肉団子にして幼虫の餌にしますが、団子にしたイチジク果肉を巣に持ち帰ることはありません。 

オオスズメバチ♀同士が熟果で出会っても喧嘩せず、軽く口づけを交わしました(栄養交換)。 
おそらく同じコロニー出身なのでしょう。 
今回他の種類のスズメバチを全く見かけなかったのは、おそらく最強のオオスズメバチが追い払って独り占めしたのでしょう。(占有行動) 
ところが、同じ熟果に複数のオオスズメバチとシロテンハナムグリが群がって食餌している光景があちこちの枝で見られました。 
喧嘩もせずに仲良く(平和に)食餌しているというか、互いに無視しています。 
オオスズメバチ♀はシロテンハナムグリの背中に覆いかぶさりながら食事を続け、甲虫を追い払うことはありませんでした。 
樹液酒場などの餌場で占有行動する傾向が強いとされるオオスズメバチがシロテンハナムグリに対して寛容だったのは、餌が十分豊富にあるためか、あるいは甲虫が丈夫な鎧に守られているためか、どちらでしょう? 

他の来客としては、クロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀とキンバエLucilia caesar)の仲間もイチジク熟果を訪れていました。 
下に掲載した最初の写真で、イチジク熟果を時計盤と見立てた時に2時の方角に位置する謎の昆虫が気になります。(動画@1:14〜1:32) 
脚が長く、腹部が白く膨満しています。 
おそらくカメムシの仲間ではないかと思ったのですが、背側からしっかり撮ることが出来ませんでした。 
それとも伸縮する口吻の形状からハエとかシリアゲムシの仲間ですかね?

2021/11/25

トノサマガエルの死骸を屋根の上に運んで食べるハシボソガラス(野鳥)

 

2021年8月下旬・午後14:25頃・晴れ

郊外の住宅地で民家の屋根に2羽のハシボソガラスCorvus corone)が飛び乗りました。 
左側の個体Lは体つきが華奢なので、おそらく幼鳥のようです。 
そのカラスLが干からびたカエルの死骸を持ち運んでいました。 
道で車に轢かれたロードキルや周囲の田んぼから死骸を拾ってきたのでしょう。 
カエル死骸の頭部が千切られたように欠損しているのは、カラスが啄んだ後なのかな? 
大きさからおそらくトノサマガエルPelophylax nigromaculatus)と思われます。 
逆光のせいか、トノサマガエルにしては死骸が赤っぽく見えます。 

私がカメラを向けているのを嫌い、ハシボソガラスLは獲物を咥えたまま左へ飛び去りました。 
屋根に残った個体Rは小さな肉片を摘み上げて、逆の右へ飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
撮影中、2羽とも全く鳴きませんでした。

草むらの奥にある巣に出入りするキイロスズメバチ♀の群れ【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月下旬・午後13:15頃・晴れ 

里山の斜面の茂みの中から多数のスズメバチが高速で出入りしていました。 
クズのマント群落やシダ植物などが辺りに繁茂しています。 
山腹の藪の奥にスズメバチの巣盤らしき構造物が見えているのに、撮影中は気づきませんでした。 
(明るい日差しの下ではカメラのバックモニターが見えにくいのです。)
巣は地上の意外と低い位置にあるようです。 

飛び回るスズメバチの動きがあまりにも速いので、初めは種類が見分けられませんでした。 
怖いのは地中営巣性のオオスズメバチです。 
こういうときはスーパースロー映像の出番です。 
飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:00〜) 
すると蜂の正体はキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀と判明しました。 

私の知る限り、キイロスズメバチは樹上に営巣するはずなので、地上の低い位置の草むらに営巣している例は珍しく思いました。 
スズメバチ専用の防護服を着ないとこれ以上は危険で近づけませんが、低木が藪に隠されているのかもしれません。 

スーパースローにしても帰巣する外役ワーカー♀の飛翔速度が速過ぎて、巣材や肉団子を搬入しているのかどうか、よく分かりませんでした。 
ほとんどが帰巣する個体で、出巣する個体は1匹しか撮れませんでした。 

キイロスズメバチの巣の直下にたまたま蝶が飛来しました。 
ミドリヒョウモンArgynnis paphia)とダイミョウセセリDaimio tethys)のようです。 
しかし、忙しく飛び回るキイロスズメバチ♀は蝶を狩ったり追い払ったりすることはありませんでした。 
その一方で私に対しては明らかに警戒してきました。 
蜂が飛ぶコースを塞ぐように巣の正面に突っ立って動画を撮っていると、キイロスズメバチ♀は次第に私を警戒するようになり、停飛(ホバリング)しながら私の体にまとわりつくようになりました。 
飛びながら大顎をカチカチ♪と鳴らす警告音は聞こえなかったものの、身の危険を感じた私は静かに後退し、難を逃れました。 
後半は蜂の飛行ルートから少し離れて、横から撮影するようにしました。
次回からは白っぽい服装で観察すべきです。 
今回は黒っぽいマスクを顔にかけていたのが良くなかったのかもしれません。
スズメバチ専用の防護服をレンタルしようかと検討すると、往復送料込みで1万円弱でした。 
蜂を駆除しないで観察するだけという酔狂な目的にしては値が張ります。 
防護服無しでどこまでスズメバチの生態に迫れるか、無理のない範囲で挑戦を続けます。 

高見澤今朝雄『日本の真社会性ハチ 全種・全亜種生態図鑑』を紐解いてキイロスズメバチの巣について調べると、
・成熟期では巣に近づいただけで攻撃してくることがある。 
初期の巣は石垣の中、樹洞、土中などの遮蔽空間に造られ、巣盤数2〜3段で働きバチの数が百匹前後に達すると軒下や崖などの解放空間へ巣の引っ越しを行なう。(p94より引用)
したがって、今回見つけたのはおそらく春に創設女王が目立たない場所に作った母巣(一次巣)であり、これからコロニーが二次巣へと引っ越すのではないかと予想しました。 
この巣は山中でも少し目立つ場所にあるため、いずれ駆除されてしまう可能性が高そうです。


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