2019/01/16

深夜の庭から聞こえた謎の鳴き声(ニホンイタチ?!)



2018年10月上旬・午前1:27〜1:35

深夜に窓の外の庭から野生動物が発する凄まじい鳴き声が聞こえてきて、寝ていた私は飛び起きました。
静かな真夜中にキキキッ♪(チュチュチュッ♪)とかなりの大音量で悲鳴のような鳴き声が繰り返し響き渡ります。
それに釣られてカエルも外で鳴き始めました。

カーテンや窓を開けると逃げられると思い、室内から窓越しに動画で鳴き声だけ記録しました。
鳴き声の主は、外で少しずつ場所を移動しながら(遠ざかりながら)断続的にキキキッ♪と繰り返し鳴いているようです。
複数個体が喧嘩しているのかな?

これは一体、何の鳴き声なのでしょう?
夜にこんな鳴き方をする鳥を私は知りません。
夜行性の捕食者に襲われた獲物が断末魔の悲鳴を上げているのでしょうか?
例えばシジュウカラなどの小鳥や小動物が寝込みを襲われたのかな?
なんとなく、ネズミやコウモリの鳴き声っぽい気もします。

発情したイエネコFelis silvestris catus)が夜中に鳴き騒ぐことがありますが、今回の鳴き声は明らかに猫とは違いますし、調べたら10月上旬は猫の繁殖期ではありませんでした。



他に候補として考えられる野生動物は、ハクビシンです。

▼関連記事 
ハクビシンの早朝散歩
しかし、YouTubeに公開されている動画でハクビシンの鳴き声と聴き比べると、どうも違うようです。


謎の鳴き声を声紋解析してみる

オリジナルの動画(MOVファイル)から音声をWAVファイルに抽出し、鳴き声の入った部分を適当に切り出してからスペクトログラムを描いてみました。
約16kHzの単調で強いシグナルは、私のビデオカメラに固有のノイズなので無視して下さい。
20kHz以上の高周波数域で弱いながらも断続的に鳴き続けているのは、かすかに聞こえたコオロギなど虫の音だと思います。



この事件があってから45日後の11月下旬。
昼過ぎに私が家から外出しようとしたら、入れ違いで黄土色の細長い小動物が庭の方へササッと素早く駆け込みました。
一瞬の出来事で証拠となる写真や動画は撮れるはずもありませんが、どうやらニホンイタチMustela itatsi)のようでした。
この辺りに野生のイタチが住み着いているとは知りませんでした。
家庭菜園や田畑が点在し、細い用水路も流れているので、イタチの食料もありそうです。
てっきり夜行性だと思っていたイタチが真っ昼間に活動することも意外でした。
本種は冬眠はしないで1年中活動し、その活動時間帯は特に定まっておらず、昼夜活動する (wikipediaより引用)

もしかして、1.5ヶ月前の夜中に聞いた謎の鳴き声は、このイタチかもしれません。
車庫や庭などのあちこちにカメラトラップを仕掛けてみたら楽しそうです。
YouTubeに公開されている動画で捕獲されたイタチが威嚇する鳴き声を聞いてみると、状況が違えどかなり似ています。











↑最後はツイッターで話題になった動画です。

犬に追い詰められたイタチが側溝の穴から顔を出したり引っ込めたりしながらキキキッ♪と鋭く鳴いています。
この鳴き声が私が聞いたのとそっくりでした。


【追記】
今泉忠明『イタチとテン―森をかけめぐる万能選手』という動物学の書籍を読むと、繁殖期に♀を巡って♂同士が争う「イタチごっこ」を解説した文脈の中で、イタチの鳴き声について詳しく書いてありました。
 「キチッ! キチキチキチキチ」と鋭く鳴き、「ケケケケ…!」などの叫び声を時折あげて走り、闘争する。相手を威嚇したり、激しく怒ったときに出される声だ。平常時には、イタチはほとんど発声することもない。春の発情期から、夏の育児期にわたる期間にはかなり頻繁に啼き、しかも特殊な啼き声が多いという。一声鋭く「キッ!」と発声するのは驚愕を表し、低く「シューッ!」と発声するのは警戒を表すという。(p71より引用)

しかし今回の動画の撮影時期は10月上旬なので、「春の発情期から、夏の育児期にわたる期間 」には当てはまりません。



【追記2】

郷土出版社『置賜ふるさと大百科―決定版』でイタチについて調べると、

置賜地方では方言で小豆トギとも呼ぶ。由来は鳴き声からきたものである。(p52より引用)

私はそんな呼び名を聞いたことがないのですし、鳴き声が小豆を研ぐ音と似ているとは思わないのですけど、覚書として追記しておきます。




イチモンジセセリ?の舌舐めずり



2018年9月下旬

川沿いにある民家の庭の花壇でイチモンジセセリParnara guttata)らしき蝶が菊の葉に止まっていました。
いつものように翅は半開き状態です。

ゼンマイ状の口吻をクルクルと曲げ伸ばす謎の行動を何度も繰り返しているのが目を引きました。
葉の表面を舐めている訳ではありません。
先程までタンポポの花で吸蜜していたのと同一個体ではないかと思います。

▼関連記事
セイヨウタンポポの花蜜を吸うイチモンジセセリ

擬人化すると、吸蜜後の余韻を味わいながら「舌舐めずり」をしているのでしょうか?
蝶が羽化直後以外でこのように口吻を伸縮させるのを見るのは初めてかもしれません。
羽化直後の蝶や蛾(鱗翅目)は、左右に別れた口吻のパーツをクルクルと曲げ伸ばしながらジッパーのように閉じて1本のストローにします。
このジッパーの噛み合わせの具合が悪くなって改めて整えていたのだとすると、身繕いの一種と言えそうです。

最後に飛び立つと、近くに咲いていた野菊の花で吸蜜を始めました。(映像なし)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2019/01/14

日没後の夜空を飛ぶゴイサギ(野鳥)♪



2018年8月上旬・午後19:15〜19:21

ゴイサギNycticorax nycticorax)の群れが昼間にねぐらとしている池の畔の森をまた見に来ました。
夜行性のゴイサギは日没から約30分後に、塒から続々と飛び出して夜間の採餌に出かけるようです。
まるでコウモリのような暮らしです。
この日の日の入り時刻は午後18:44。

群れが一斉に離塒するのではなく、クワッ♪と不気味に鳴きながらばらばらに飛び去ります。
初めは塒から離れるのを躊躇って、少し飛んだだけで塒の森に戻ってしまう個体もいます。
ドラマチックな映像にはならず、なんだかとりとめのない記録になってしまいました。

薄暗い条件下で普通のカメラで撮ろうとすると、オートフォーカス(AF)が効きにくくなり、しっかりズームできません(望遠レンズの性能を充分に活かせない)。
したがって、残念ながら夜空を飛んでいるゴイサギのシルエットが幼鳥か成鳥かも見分けられないのです。
(赤外線の暗視カメラを使っても、赤外線投光器の補助照明が届かない距離の被写体は撮れません。)
今回はあえて動画を自動色調補正せずに、暗さをそのまま伝えることにします。

ゴイサギが夜に採餌する様子を観察(撮影)してみたいのですが、いつも塒からの追跡に失敗してしまいます。
採餌場を突き止めるのが課題です。
成鳥と幼鳥が夜も家族群として行動を共にしているのか、知りたいところです。

また、秋になると、ゴイサギはこの昼塒から忽然と姿を消します。
一体どこへ行ったのでしょう?
図鑑などでゴイサギは留鳥とされていますけど、ここ(東北地方の雪国)で観察したイメージでは完全に夏鳥です。
冬は暖かくて餌の豊富な地方に南下してしまうのでしょう。


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