2018/10/25

ピアノ演奏付きで熱唱するミンミンゼミ♂



2018年8月上旬

ミンミンゼミ♂(Hyalessa maculaticollis)がサクラの幹に止まって鳴いています。
背後の民家で誰かがピアノを練習していて、夏の午後らしい風情を感じました。

鳴いているミンミンゼミ♂を横から見ると口吻は幹に突き刺してはおらず、吸汁と求愛歌を両立している訳ではありません。
大音量で発音する腹部の動きは伸縮させながら背側⇔腹側に大きく屈曲するだけでなく、意外にも複雑・繊細でした。
動画を撮りながら少しずつ回り込んでセミの背面も撮ろうとしたら、逆光になってしまいました。

ひとしきり鳴き終わるとミンミンゼミ♂は飛び去ってしまいました。
飛び立つ瞬間に小便の排泄はありませんでした。
うるさいセミが飛び去ったら急に辺りが静かになり、ピアノ練習曲がよく聞こえるようになりました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ミンミンゼミ♂@サクラ幹♪

2018/10/24

朽ちた倒木を徘徊し樹皮の裏に潜り込むコバネカミキリ



2018年7月下旬・午後16:30〜16:34

里山の雑木林で朽ちかけた倒木の上を見慣れない地味なカミキリムシが歩き回っていました。
鞘翅が短くて後翅が剥き出しの個体です。
やがて、剥がれかけた樹皮の裏の隙間に潜り込みました。

朽木は幹だけで、特徴となる枯葉の付いた枝がもう残っておらず、私には樹種が見分けられません。(広葉樹であることは確かです。コナラかミズナラ?)
倒木の苔むした樹皮をバリバリ剥がすと、潜んでいたカミキリムシが現れました。
すぐには逃げずにじっとしていました。
ヤスデの仲間も樹皮の裏に1匹見つかりました。
樹皮裏は古いフラス(穿孔性昆虫が排泄した糞)が詰まっていました。

私の知らない種類のカミキリムシなので、撮影直後に採集。
以下は標本の写真。

鞘翅が短いのは、異常な羽化不全個体ではなく、そういう種類のカミキリムシなのだろう。
と思い直し、図鑑などで調べてみるとコバネカミキリPsephactus remiger remiger)と判明。
次に機会があれば、短翅による飛翔シーンを観察してみたいものです。
この個体は♀ですかね?
カミキリムシに疎い私は形態(触角の長さ?)で性別が見分けられません。
樹皮の隙間に潜り込んだのはてっきり♀が産卵するためかと思ったのですが、そうとも限らないようです。(♂の探雌行動だとしても納得できる)
鈴木知之『日本のカミキリムシハンドブック(旧版)』でコバネカミキリについて調べると、

ホストは広葉樹の白色腐朽材。(中略)
♂は日没前の薄暮時に現れ、朽ちた広葉樹の立ち枯れや倒木、シイタケほだ木の廃材の周囲を、♀を求めて飛翔する。昼間は、朽ち木の樹皮の隙間や脱出孔の中に潜んでいることが多い。♀は朽ち木の亀裂や他の昆虫が空けた脱出孔などに乳白色の卵を10卵ほどまとめて産む。(p16より引用)


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


コバネカミキリ@倒木(朽木)徘徊

交尾したまま死んだアオカナブン♀♂

アオカナブン♀♂:死骸@交尾中
アオカナブン♀♂:死骸@交尾中

2018年7月下旬

里山の登山道に交尾中のアオカナブンRhomborrhina unicolor)♀♂ペアが死んで転がっていました。
腹面を見ると左右の後脚の根元が接していることから、カナブンの緑化個体ではなくてアオカナブンと確定できました。

小雨が降っていたのでスナップ写真を撮っただけで、すぐに死骸を採集しました。
もし晴れていれば、死骸に群がり始めたアリの様子を動画に記録していたでしょう。

森上信夫『樹液に集まる昆虫ハンドブック』p49にもアオカナブンの「交尾する個体」の写真が掲載されており、「♂は長大な交尾器をもつ」との記述がありました。


帰宅後に、交尾器の結合部を接写してみました。
小型の♀に大型の♂が背後からマウントし、無理やり交尾しようとして交尾器が抜けなくなったのかな?
♀にしてみれば酷い災難です。
♂の後翅が鞘翅の下に完全には畳み込まれておらず、腹端から後翅の端がはみ出ていました。
カナブンのように前脚の形状に性差があるかどうか、要確認。


アオカナブン♀♂標本:交尾中@方眼紙
アオカナブン♀♂標本:交尾中@方眼紙
アオカナブン♀標本:背面+交尾中@方眼紙
アオカナブン♀標本:腹面+交尾中@方眼紙
アオカナブン♂標本:背面+交尾中@方眼紙
アオカナブン♂標本:顔+交尾中@方眼紙
アオカナブン♂標本:側面+交尾中@方眼紙
アオカナブン♂標本:交尾器+交尾中@方眼紙
アオカナブン♀♂標本:交尾器結合部@方眼紙

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