2018/06/12

初期巣にアリ避けを塗布するキボシアシナガバチ創設女王



2016年6月上旬

山間部の峠道の横に生えたタラノキ灌木の葉裏にキボシアシナガバチPolistes nipponensis)の初期巣を見つけました。
葉裏の主脈に巣柄を固定し、巣盤を吊り下げています。
育房内には白い卵が既に産み付けられていました。
巣を真下から見上げるアングルを現場で確保できなかったために、育房数や卵数をカウントできませんでした。
創設女王が育房を忙しなく点検して回ります。
そのついでに女王蜂は、巣盤の上部や巣柄、育房壁に腹部下面を擦り付けていました。

この行動は天敵であるアリが巣に侵入しないように、アリが忌避する物質を巣に塗布しているのでしょう。
アシナガバチ♀は腹部末端節の腹板基部に開口したヴァン・デル・ヴェフト腺からアリ避け物質を分泌するのだそうです。
単独営巣期は特に、女王が外役に出かけると巣は完全に留守(無防備)になりますから、真剣なアリ対策が必要になるのです。
外出の前にこの行動をよく行います。

つづく→タラノキの葉裏で初期巣を増築するキボシアシナガバチ創設女王



カワガラス:厳冬期の潜水漁(冬の野鳥)



2018年2月中旬

街中を流れる川でまたカワガラスCinclus pallasii)を見つけました。
撮影しようと私が不用意に近づくと、カワガラスは鳴きながら川面の上空を低空で飛んで逃げてしまいます。
鳴き声はチュンチュンチュン♪またはチッチッチッ♪と聞こえました。
警戒心が強いようですが、今回もなんとか潜水漁を動画で記録することが出来ました。

カワガラスは川中にある岩の上に乗って、捕ってきたばかりの獲物を岩に叩きつけて殺していました。
川の両岸は積もった雪が壁のようになっています。

うっかり獲物を落としてしまいましたが、すぐに拾い直しました。
食べ残し(食べ滓)を岩の上に置きました。
なんとなく貝殻のような気がします。
食後は川の水で嘴をゆすぎました。
すぐに再び冷たい川に飛び込んで漁を再開。

同じ岩にピョンと飛び乗るように戻って来たカワガラスは空荷でした。
どうやら今回は不漁に終わった模様です。
ときどきパチクリと瞬きすると白い瞬膜が目立ちます。
尾羽根を忙しなく上下に動かしています。
岩から飛び立ち、漁をする場所を変えました。

切り立ったコンクリートの護岸には枯れ草が垂れ下がっていて、一部は残雪に覆われています
そこで何か動く獲物(虫?)を見つけたのか、橋の下の近くの護岸をカワガラスは少し調べてから飛び去りました。


そっと追いかけて三度目に見つけたときは、川の中央部で潜水と息継ぎを何度も繰り返していました。
水中で見つけた獲物を嘴に咥えると、飛んで岸壁に戻りました。
すぐに入水し、潜水漁を再開。
泳ぎながら川の中央部(流れの早い瀬の部分)へ向かいます。
最後は上流へ飛び去りました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ときどきしか冬の川に通えませんでしたが、カワガラスに出会えたのはこの日が最後でした。
街中を流れる川で餌を食べ尽くし、縄張りを変えたのでしょうか。
それとも繁殖期が始まると上流域の渓流に戻るのでしょうか。



2018/06/11

衰退したヒメスズメバチのコロニー



柳の根際に営巣したヒメスズメバチの記録#6



前回の記事#5


2017年9月中旬・午後15:45〜15:50

4日ぶりの昼間に様子を見に来てみると、コロニー活動の衰えを感じます。
巣に出入りするハチの数が激減していました。
巣を壊されたという理由だけでなく、時期的にコロニーの解散が間近なのかもしれません。

ヒメスズメバチ♀(Vespa ducalis)がワーカーなのか新女王なのか見分けられないのが、もどかしいところです。
今思うと、長いピンセットを使って巣前庭に1円玉をそっと置けばよかったですね。
大きさの比較対象となり、居残っている蜂を採寸できたことでしょう。

巣前庭で2匹の♀α、βが日光浴しながらのんびり化粧(身繕い)していました。
巣を背後にした2匹は別々の方角を向いています。
奥の巣穴から3匹目の♀γが前庭に歩いて現れ、飛び去りました。

しばらくすると突然、巣穴の上部から出巣しようと4匹目の♀δが前庭に滑落しました。
日光浴中に突然ぶつかってこられた♀個体は反射的に反撃しても良さそうなものなのに、喧嘩にはなりませんでした。
(やはりワーカーよりも性格が穏健な新女王なのかな?)
落ちてきた個体♀δはそのまま前庭を少し歩いてからから羽ばたいて出巣しました。
次は巣穴の右奥から更に5匹目の♀εが歩いて出て来て、同様に出巣。
前庭に居残った♀α、βのうち左側の個体が身繕い。
門衛として巣を守っているつもりなのか、触角は油断なく動かしています。

恐れ知らずのオツネントンボが飛来し、巣口に上から垂れ下がっていた柳?の細根に止まりました。
コロニーに勢いがある時期なら追い払うか獲物として狩る瞬間が見れたかもしれませんが、前庭で油を売っているヒメスズメバチからは死角になって見えないようです。
このオツネントンボは虎口で休んでも狩られることなく、いつの間にか飛び去りました。

蝿(ニクバエの一種)が一匹、巣前庭に止まっても、ヒメスズメバチは無関心でした。
私がハエに気を取られている間に、一匹の♀(?)が帰巣し、巣穴の右奥に姿を消しました。



つづく→#7



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