2018/05/18

ヤツデの雄花を舐めるハナアブ類(ナミハナアブとシマハナアブ?)



2017年11月上旬

民家の玄関脇に植栽されたヤツデが雄性期の花を咲かせていました。
様々な種類のハナアブ類が訪花し、玉状の散形花序を歩き回りながら花蜜を舐めています。

普通種だと思うものの、ハナアブ類はとにかく種数が多くて難しいので私は苦手意識が強く、どうしても名前を調べるのが億劫になってしまいます。
どなたか教えて下さい。
なんとなく、シマハナアブEristalis cerealis)とナミハナアブEristalis tenax)ですかね?
きちんと同定できれば一種類ずつ動画を切り分けるのですが、面倒なので一緒くたにしました。



田中肇『花と昆虫、不思議なだましあい発見記』によると、
・(ハナアブ類は)花にもぐりこんだり、下向きの花に止まったり複雑な花を操作したりするのは得意ではない。彼らが得意とするのは、比較的低温でも飛べることである。 (p99より引用)
・ハナアブ類が活動できる下限の温度は15℃。 p100より)
撮影後に気温を測るべきでしたね。
また、この名著のハナアブ類に関する章を読んで一番驚いたのは、「ハナアブ類のあいだには、種類により花を利用するさいの優劣関係がある。優位の昆虫が来たら席をゆずる。」という記述でした。(p113-114より)
樹液酒場に集まる昆虫類に序列があるのは有名ですが、訪花するハナアブ類に序列があるとは初耳でした。
研究データに基づいた具体的な序列が書かれてあり、ハナアブは1位、シマハナアブは3位とのことでした。




2018/05/17

カエデの幹をつつくコゲラ♀♂(野鳥)



2017年11月下旬

民家の庭に植栽されたカエデの樹上で2羽のコゲラDendrocopos kizuki)を見つけました。
紅葉した葉もほとんど散り終わった初冬に樹種を見分けるのは困難かと思いきや、枝に特徴的な形の翼果が残っていたので、カエデの一種と判明しました。

コゲラの2羽とも頭部に赤い羽毛が見えないので、現場では母娘なのか?と不思議に思いました。
しかしwikipediaによれば

オスよりメスがやや大きい。(中略)雌雄の羽色の違いは後頭部にある赤い斑の有無(雄にある)程度だが、野外ではほとんど見えないため、羽色で雌雄を区別することは困難なことも多い。
とのことなので、実は♀♂のつがいなのかもしれません。

カエデの幹を登り降りして、短い嘴であちこちの枝を頻りにつついています。
横の車道は車の往来が結構あるのに、コゲラは気にせず作業を続けます。
材の中に潜む虫を捕食しようとしているのでしょう。

『野鳥と木の実ハンドブック』を紐解いてみると、コゲラは様々な木の実を採食することが知られています。
今回カエデの幹に絡みついた落葉後のツタに青紫色の実がブドウのように多数ついていたのに、コゲラは全く採食しませんでした。
ツタの実は好みの味ではないのかな?

それとも未だ充分に熟していないのですかね?


最後コゲラは飛び去り、見失いました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


コガタスズメバチ♀が巣の内壁を削る音♪



枯木に営巣したコガタスズメバチの定点観察#14



前回の記事→#13

2016年8月中旬・午後12:37

8日ぶりの昼下がりに巣の様子を見に行くと、コガタスズメバチVespa analis insularis)の外役ワーカー♀が巣口で渋滞していました。
中の門衛と口づけを交わしています。(栄養交換)

依然として外皮の増築作業が盛んに続いています。
この日に特筆すべきは、耳を澄ますとどこからか外皮をガリガリ、ゴシゴシ♪と齧る音が響いていました。
とてもかすかな音なので、音量を最大にして聞いて下さい。(ヘッドフォン推奨)
マイクを巣の外被に密着させるように取り付ければ、もっと明瞭に録音できるはずです。
おそらく内役ワーカー♀が巣の内部から外被を大顎で齧っているのでしょう。
スズメバチ関連の本で読んだ知識ですが、外被を外側から何層にも付け足していくと同時に、内部からも削って巣盤を拡張するスペースを確保するのです。
内部から齧り取った巣材は唾液と混ぜ合わせ、巣盤を作るためのパルプとして再利用されるのだそうです。
素晴らしく合理的な建築法ですね。
スズメバチの巣にファイバースコープを挿し込んだりして、内役の様子をいつか観察・撮影してみたいものです。

つづく→#15



【追記】
巣内の様子を直接観察した訳ではないので、この物音は成虫ではなく幼虫が発した可能性も考えられます。
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』によれば、
スズメバチの巣を、生けどりにしたり飼育していると、カリカリカリ…という、かなり大きな連続音が、一定の間隔をおいて聞こえてくる。これは、終齢幼虫が育房の壁をいっせいに大腮でかむことによって生じる音で、巣の中に運びこまれるえさが少なくなったときや、また、空腹の幼虫によっても、ひんぱんに発せられる。働きバチは、この音を発する幼虫にひきつけられ、肉団子を口もとへ給餌するので、つまりは、幼虫が空腹を知らせる合図となっている。 
 (中略)壁こすりによるえさねだりの行動は、スズメバチ亜科に属する4属のすべてで知られている。とくに、大型種のスズメバチ属の各種で顕著にみられる、成虫と幼虫間のコミュニケーションである。(p222-223より引用)


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