2014/09/11

寄生されたマイマイガ(蛾)前蛹cが繭から脱出【微速度撮影】



2014年7月上旬


▼前回の記事
マイマイガ(蛾)終齢幼虫cの繭作り【50倍速映像】

前日、紙箱内に繭を紡いだマイマイガLymantria dispar japonica)飼育個体cの観察記録です。

蛹化脱皮するまで10秒間隔のインターバル撮影で監視することにしました。
採寸の代わりに、一円玉を並べて置いて写し込みました。
前蛹は脱皮に備えて眠(みん)の状態と思われますが、粗く紡いだ粗末な繭の中でときどき蠕動したり寝返りを打ったりしています。



ところが突然、前蛹が反転を始め(22:07 pm)、遂に繭から脱出した(22:21 pm)ので仰天しました。
これは全く予想外の行動でした。
一体全体、何事でしょう?!
脱皮は繭の外で行うのだとしたら、わざわざ苦労して繭を作る意味が分かりません。
無防備な前蛹のときだけ身を守れれば良いのかな?
微速度撮影のため照明を一日中照らし続けているのがストレスなのでしょうか?
室内で撮ったので、寄生蜂の飛来など何か脱走するきっかけがあったとは考えにくいです。
もちろん蚊取り線香(殺虫剤)などは焚いていません。
実はこの個体は寄生バエに体内寄生されていることが後に判明します。
今回観察した前蛹の異常行動がヤドリバエによる寄主操作の一種だったら面白いですね。
マイマイガの内分泌系(脱皮変態ホルモン)が撹乱されていて、もはや脱皮できないようです。
筋肉や運動神経系を食い荒らされている断末魔なのかもしれません。



微速度撮影の早回し映像というのは、見て心地よいスピードが人それぞれ違うようです。
更に2倍速くしたバージョン↑もブログ限定で公開しますので、宜しければご覧ください。

つづく


2014/09/10

モノサシトンボ♀【猟奇的な彼女?】



2014年7月上旬

溜池に近い平地の林縁でモノサシトンボ♀(Copera annulata)がウコギの葉に止まって休んでいました。
平和な光景もよく見ると、実は恐ろしい惨劇の直後だったようです。
交尾しようとした♂が♀の頭部を腹端の把握器で捕まえたまま天敵に捕食されてしまい、腹部の一部しか残っていません。
♀だけが命からがら逃げ延びたのでしょう。
ちぎり取られて残された♂の腹部がときどき自発的に屈曲する様がなんとも不気味です。
トンボの♂は副性器(交接器)に移精してから♀と交尾します。

(トンボの交尾がハート型の体勢になるのはそのためです。)
したがって、カマキリの性的共食いとは異なり、腹端だけ残っていても♂はもはや交尾不能です。
静止している♀は頭部を脚で拭って身繕い。

おそらく♀は自力で♂の把握器を外したり振り解いたり出来ませんから、もはや次の♂と新たに交尾することも難しいでしょう。
そうなると♂は身を犠牲にしつつも究極の貞操帯を♀に付けて死んだことになりますね。(配偶者ガード)

♀にしたら良い迷惑かもしれません。



【追記】
井上清、谷幸三『トンボのすべて(第2改訂版)』という本に「連結中に♂が襲われ、腹端だけ♀の頭に残ったクロイトトンボ」と題した生態写真が掲載されていました。
 イトトンボの仲間は♀の産卵中♂が尾部付属器で♀の前胸を挟んで直立し、警護することが多いのですが、そのとき♂が鳥などに襲われ、残った腹端を前胸につけたままの♀を見かけることがあります。(p87より引用)



マイマイガ(蛾)終齢幼虫cの繭作り【50倍速映像】



2014年7月上旬・室温28℃→26℃

今季の山林で大発生したマイマイガLymantria dispar japonica)終齢幼虫を5日前に3匹採集してきました。
木の葉を糸で綴って作ったシェルターを開いたら1匹の毛虫が驚いて逃げ出しました。
この終齢幼虫cを隔離して、繭作りを微速度撮影で記録することにしました。
安全な場所を探して激しく徘徊するので、足場糸を張りやすいようにプラスチックケース内に紙箱(ティッシュペーパーの空き箱)を入れてやりました。
しばらくすると、目論見通りに紙箱の上の角で足場糸を張り始めました。
ジオラマモードで10倍速の微速度撮影した映像を元に50倍速の早回し映像を制作しました。
撮影しやすいように(照明のため)紙箱の天地を逆にするべきか迷いました。
最近観察したオビガの幼虫は途中で紙箱の天井隅から落ちて営繭に失敗した(関連記事)ので心配ですが、作業の邪魔をせずにこのまま続行します。

繭作りが本格化しても、吐糸の際に頭部を八の字に回す行動が見られない気がします。
本種の繭が密にならないのはそのせいでしょうか。
つまり、営繭行動が退化したせいで粗末な粗い繭しか作れなくなったのでしょうか。
進化的に原始的なグループに属するのかどうか知りませんが、マイマイガの幼虫は絹糸腺の発達が悪いのかな?
ときどき休息をはさみながら営繭を続けています。



微速度撮影の早回し映像というのは、見て心地よいスピードが人それぞれ好みが違うようです。
もう少し遅くした動画もブログ限定で公開しますので、宜しければご覧ください。
こちらは↑30倍速映像。



最後はオリジナルの↑10倍速映像。

残念ながらこの個体は体内寄生されており、驚くような異常行動を始めます。
つづく


プラスチック容器では絹糸が付着できず、いつまで経っても繭が作れません。





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