2013/10/25

アリとアブラムシ、ゴイシシジミ幼虫の関係



2013年8月中旬

前回の記事はこちら→「ゴイシシジミ幼虫vs兵隊アブラムシ(ササコナフキツノアブラムシ)

笹の葉裏(アズマネザサ?)に密集するササコナフキツノアブラムシCeratovacuna japonica)のコロニーとそれを捕食するゴイシシジミTaraka hamada)幼虫を観察していると、クロアリのワーカーが一匹登って来ました。
クロヤマアリ♀(Formica japonica)だと思うのですがどうでしょう?(ハヤシクロヤマアリとの見分けがあまり自信ありません)

アブラムシと蟻と言えば共生関係を結んでいる話が有名ですけど、ここではどうでしょうか?
蟻がアブラムシのボディーガードとして振る舞うのかどうか、興味があります。(※追記2参照)

コロニーを徘徊する蟻がアブラムシの尻から甘露を舐める行動ははっきり撮れませんでした。(やってない気がします。)
また、蟻がゴイシシジミ幼虫と出会っても触角でタッピングするだけで素通りし、攻撃したりコロニーから排除したりしませんでした。
共生関係ではないのか、ゴイシシジミ幼虫の化学擬態が完璧なのか、どちらでしょう?


【追記】
『日本動物大百科9昆虫II』p43によれば、
ゴイシシジミの幼虫も背部蜜腺をもたないので、おそらくアリにとって利益はない。アブラムシなどの同翅類はアリとの共生関係をむすんでいるものが多く、そのなかに肉食性を獲得したゴイシシジミが割り込んでいったと考えられる。(中略)成長するとアブラムシが分泌するロウ状物質を体表に付着させるのは、天敵の攻撃から身を守るためであろう。


【追記2】
『チョウのはなしII』p64(第10章:アブラムシ牧場へのなぐりこみ)によると、
(ゴイシシジミが)捕食するササコナフキツノアブラムシにはアリがきません。したがって、この群落は牧場ではなく、野性の天国です。アリの保護がないのですから、アブラムシは一方的に捕食される立場となります。ところがどっこい、(以下略)


つづく



ムラサキツメクサの花で交尾するトモンハナバチ♀♂【ハイスピード動画】



2013年8月中旬

ムラサキツメクサの花で交尾中のトモンハナバチ♀♂(Anthidium septemspinosum)を240-fpsのハイスピード動画に撮りました。
今回のペアは珍しく♀の方から交尾器の連結を外して先に飛び去りました。

近くのクサフジ群落で訪花中に交尾するペアはこれまでよく見かけましたが、それ以外の花で交尾するのは初見です。
有望な蜜源であったクサフジの花が散ったので、♀がムラサキツメクサによく訪花するようになったのだと思います。

関連記事→「トモンハナバチの交尾@クサフジ【HD動画&ハイスピード動画】



ところで前日に近くのヨモギ群落でトモンハナバチ♀が巣材を集めていました。
ヨモギ葉裏に密生した白い産毛を掻き集め、丸めた巣材を巣に持ち帰りました。
まさに『ファーブル昆虫記』に書いてあった行動を目の当たりにして感動しました。
生憎カメラのバッテリーが切れており、撮影できませんでした。
痛恨のミスを取り返そうとこの夏頑張って通ったのですけど、残念ながら二度と目にすることはありませんでした。
来年以降の課題です。
竹筒トラップに営巣するそうなので、設置してみようと思います。



【追記】
小松貴『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる (BERET SCIENCE)』p48によると、
初夏に涼しい地域のヨモギが繁茂する草原へ行くと、トモンハナバチという美しいハチを見ることがあります。彼らは巣の仕切り材として、ヨモギの葉裏に生える綿毛をかき集める習性があるため、ヨモギが多くない場所では見られません。



2013/10/24

柳の樹液に来たシロテンハナムグリとコムラサキ♂【微速度撮影】



2013年8月中旬

水辺に生えた柳の潅木に樹液酒場がオープンしていました。
幹の根元付近のあちこちから白く泡立つ樹液が分泌され、独特の発酵臭が辺りに漂っています。
カミキリムシの産卵痕から滲み出しているのでしょう。

樹液酒場に集まる昆虫の様子を微速度撮影で長時間、記録してみました。
ジオラマモードで撮った10倍速の早回し映像をご覧ください。

シロテンハナムグリProtaetia orientalis submarumorea)と思われる大型の甲虫が樹液に多数群がって吸汁しており、コムラサキ♂(Apatura metis substituta)も来ていました。

樹液をめぐるシロテンハナムグリ同士の喧嘩がコミカルに描かれています。
喧嘩の後で酒場に誰も居なくなったところで、樹液が滲み出す様子が写っています。
コムラサキ♂は左後翅の破損した(ビークマーク)個体と無傷の個体の少なくとも2頭が入れ替わりで樹液を舐めに来ていました。
コムラサキの成虫はあまり訪花せずに専ら樹液で栄養補給するらしく、更に幼虫の食草はヤナギだそうです。
従って、最近この辺りでコムラサキをよく目にするのは納得です。

実は途中でスズメバチが飛来したのですが、早回し映像ではほんの一瞬しか写っていません。
コムラサキ♂は驚いて飛び去ったものの、固い装甲で身を守るシロテンハナムグリは平気で吸汁を続けていました。

つづく



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