2013/08/06

下痢便を排泄する蛹化間近のキアゲハ終齢幼虫



2013年6月下旬

キアゲハの飼育記録5

3匹いる飼育個体のうち、キアゲハPapilio machaon)終齢幼虫bが静止した状態で突然、泡立った水様便をボタボタと大量に排泄しました。
蛹化に備えて余分な水分を排出するお決まりの行動です(蛹化の前兆)。
食草由来の水分がこれほどの量で体内に蓄えられていたとは驚きです。
下に敷いておいた古新聞に下痢便が垂れています。
それまでに排便した通常の(固形の)糞も3個残っています。

つづく→「キアゲハ終齢幼虫の徘徊と前蛹の威嚇蠕動


(ちなみに、この個体bは寄生蜂に体内寄生されてたことが後に判明します。)


【追記】
このような排泄現象をガットパージと呼ぶそうです。
雑誌Newton 30(5) 2010.5 pp102~107に掲載された
『「変態」―昆虫が激変するしくみ:青虫は,どうやってチョウになるのか。いまなお謎が残る昆虫変態の不思議』によると、
完全変態昆虫では,どのように変態が進むのだろうか。まず幼虫の脳が成虫に向けてかじをきると,サナギに向けた準備が始まる。たとえば,腸の中身を出すために下痢をする(「ガットパージ」とよぶ)。腸の中に食物や便が残ると腐敗し,羽化する前に死んでしまうこともあるという。


『岩波生物学辞典 第4版』でガットパージを参照すると、

[英gut purge]

完全変態昆虫,特に鱗翅目の終齢幼虫が,前蛹になる前に消化管内の液性残存物を排出すること.幼虫から蛹への変態過程の初期におこる一連の行動の一つ.終齢幼虫の摂餌の完了後,消化管を空にして,蛹という閉鎖系に移る際内容物をもち込まないための生理的な準備と考えられる.行動の発現はホルモンにより制御され,これは蛹変態を誘導する内分泌現象と同一である.前胸腺から分泌されるエクジソンだけが作用するとガットパージをひきおこすが,エクジソン分泌前に幼若ホルモンを投与するとガットパージの時期は遅れる.通常この時期は,個体群レベルで()概日リズムをもち,一定の明暗周期下では,特定の短い時間帯に集中する.これは,前胸腺を刺激する脳のペプチドホルモンの分泌期が概日時計によって制御されていることと,前胸腺自身にも概日時計があってエクジソンの分泌時期を支配していることに起因する. 






虫を雛に給餌する♪コムクドリ♀(野鳥)



2013年6月下旬

嘴に虫を咥えたコムクドリ♀(Sturnus philippensis)が電線に止まっていました。
写真を見直すと、獲物は脚が長くキリギリスの仲間かもしれません。
すぐに電線から飛び立つと、民家の軒下の壁に開いた穴に潜り込みました。
ここで営巣しているようです。
映像の冒頭は1/8倍速のスローモーション。
穴の中から雛鳥が餌を催促する賑やかな鳴き声が聞こえてきます。

給餌を終えた親鳥♀が巣穴から出てくる瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に切り替えてみました。
(これは我ながらファインプレー!)
同じ1/8倍速のスローモーションでも映像の滑らかさが格段に違います。
近くの電線に戻った♀は、やれやれとばかりに羽繕いしています。
引きの絵にすると、つがいの♂(頬が茶色)も横の電線に止まっていました。





巣内の雛が給餌を催促する鳴き声を試しに声紋解析してみたのですが、残念ながら車が走り去った直後でノイズが多く、使い物になりませんでした。




【追記】
日本野鳥の会『ムクドリのなかまたち(みる野鳥記)』p43によると、
このころ(巣ができると)、コムクドリは、ほかの時期とはちがった方法で食物をとっていることがあります。コムクドリは、ふだんは木の上のほうで、忙しそうに枝から枝へ移って昆虫などの食物をとっているのですが、卵を産む時期には、巣穴の近くの電線などにとまって、飛んでいる昆虫を、飛び上がってつかまえるすがたが見られます。卵を産む時期には、遠くまで行く時間がないため、こんな食物のとりかたをするのでしょう。


2013/08/05

オオハナウドの葉を食すキアゲハ終齢幼虫



2013年6月下旬

キアゲハの飼育記録4

キアゲハPapilio machaon)終齢幼虫にセリ科の食草オオハナウドを与えてやると、もの凄い勢いで葉を蚕食します。
あっぱれな食欲に見ていて惚れ惚れします。
なぜか野外ではこのような摂食シーンを撮れなかったのが一つ心残りです。

充分に育つと、次は蛹に変身する準備が始まります。
つづく→「下痢便を排泄する蛹化間近のキアゲハ終齢幼虫



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