2011/04/01
2011/03/31
2011/03/24
アリグモ(蜘蛛)の擬態
2007年6月下旬
アリグモ(Myrmarachne japonica)の擬態はアリを油断させて捕食するための攻撃的擬態ではないそうです。
アリは視覚で騙されるほど目が良くないのでしょう。
試しに生餌のミクロ蛾と一緒にアリ(種類不明)をアリグモ♀の飼育容器に投入してみました。
数日飼っても力関係で劣るのかアリグモは決してアリを捕食せず逃げて回りました(映像なし)。
やはり攻撃的で恐れられているアリに似せることで外敵から身を守る作戦らしい。
「蟻の威を借る蜘蛛」
アリは獲物を噛み砕いて体内消化します。
対するアリグモは体外消化で腹部にはアリの分節を模した横縞が見えます。
第一脚をアリの触角のように振り立てます。
【追記】
『クモのはなしII:糸と織りなす不思議な世界への旅』p107(第14章:アリに似たクモ)によると、
アリグモ類は、日本での観察によると、ハエなどの双翅類の昆虫を食べていることが多く、アリを襲うことは知られていません。(中略)ほかの虫たちにきらわれているアリに似ることで、外敵、とくに狩人蜂から身を守っているというわけです。
【追記2】
鈴木紀之『すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く (中公新書)』によると、
(ヨーロッパに生息するアリに擬態したクモの)擬態はあくまで不完全で、アリの完全なコピーとはなっていません。いつも何匹かで歩き回っているアリとは異なり、アリに擬態したクモはよく葉の上に単独で餌を待ち伏せしていますが、こうした行動の差も「アリとは少し違う」という違和感の原因になっています。それゆえか、実験の結果、アリだけを食べるクモはアリに擬態したクモのことをエサとは認識せず、攻撃をしかけませんでした。アリだけを食べるクモは不完全な擬態を見抜き、クモであると正しく認識していたのです。では、クモだけを食べるクモはどうだったのでしょう。彼らは逆に、アリに擬態したクモのことを「こいつはアリかもしれない」と思い込み、攻撃をしかけませんでした。不完全ながらも擬態がうまく機能して、天敵をだますことに成功していたのです。 つまり、擬態が不完全だからこそ、アリを狙うクモとクモを狙うクモの双方に対して効果的だったのです。(p215〜216より引用)
2011/03/22
2011/03/19
オジロアシナガゾウムシの擬態と死んだ振り
2008年5月下旬
タニウツギの葉に居たオジロアシナガゾウムシ(Mesalcidodes trifidus)。
鳥の糞に擬態していると言われています。
白黒模様で葉の上に静止していると確かにそっくり。
手で捕まえようとすると擬死(死んだ振り、強直反射)してポロリと下に落ちて逃げます。
...というよくあるシーンをいざ動画に撮ろうとしたら、しがみ付いてすんなり落ちない個体も居ますね。
典型的なマーフィーの法則。
実は日を改めて別個体でテイク4まで撮りましたが、半々の結果でした。
単なる偶然や個体差なのか未知の要因が関わるのだろうか?
【追記】
本種の生活史については『カラー自然シリーズ47:ゾウムシ』に詳しい。
2011/03/01
蜂に擬態したキオビコスカシバ(蛾)
2008年7月下旬
蜂の威を借る蛾。
虫我像掲示板にてキオビコスカシバ(Synanthedon unocingulata)と教えてもらいました。
クズの葉に止まって休んでいたのが急に飛び立ちカメラの方に向かって来ました。
蜂じゃないと頭で理解していても反射的に怯んでしまいます。
羽音も蜂っぽい。
実に見事なベーツ擬態だと感心します。
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2011/02/23
スズメバチに擬態したコシアカスカシバ(蛾)
2008年8月下旬
カメラを向けると写真を撮る間もなく逃げられました。
コマ送り再生で見るとスズメバチそっくりなスカシバ(蛾)のようです。
クビアカスカシバと迷いましたがコシアカスカシバ(Scasiba scribai)と虫我像掲示板にて教えて頂きました。
実に見事なベーツ型擬態です。
蜂の威を借る蛾。
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2011/02/02
アゲハモドキ♀(蛾)の産卵
2009年6月上旬
一瞬ジャコウアゲハかと思ったのですけど、それに擬態したアゲハモドキ本土亜種(Epicopeia hainesii hainesii)だと思います。
映像では休んでいるだけのように見えますが、撮影開始前に腹部を曲げていたので♀がミズキの葉裏に産卵していたのだと思います。
ミズキ属はアゲハモドキ幼虫の食餌植物であることが知られています。
撮影に邪魔な枝を不用意にどけたら逃げられてしまいました。
1/10倍速のスローモーションでもう一度。
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2011/01/26
2011/01/25
アケビコノハ幼虫の眼状紋と威嚇姿勢
2009年7月中旬
アケビコノハ(Eudocima tyrannus)の幼虫がホオノキ幼木の葉裏に隠れていました。
主脈にしがみ付いて静止しているだけで、採食中ではなさそうです。
確か食草はアケビ類だったはず?と思ってよく見たら、ホオノキの細い幹にミツバアケビの蔓が巻きついていたので納得。
葉裏は陰になって暗いので、そっとナイフで切り落とした葉を裏返しに地面に置いてじっくり観察してみました。
体に触れると頭部を丸め、有名な威嚇姿勢を取りました。
側面の眼状紋が一層目立ちます。
子供の頃は昆虫図鑑に載っていたアケビコノハ幼虫のクローズアップ写真が怖くて仕方がありませんでした。
撮影後に元の場所へ戻しておきました。
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2011/01/10
キシタバ(蛾)後翅の眼状紋
2009年11月上旬
軒下に地味な蛾が止まっていました。
指で触れると驚いて落下。
死んだ振り(擬死)というよりも、寒くて体が動かず咄嗟に反応できなかったのでしょう。
体に触れると歩いて逃げながら後翅を半開きにして鮮やかな黄色の模様を披露してくれました。
鳥などの天敵を威嚇するための眼状紋の一種なのかもしれません。
気温10℃と肌寒いのですぐには飛べません。
飛翔筋を激しく震わせて飛び立つ前の準備運動をしています。
飛び立つ瞬間を撮ろうと暫く待ち構えていたものの、離陸することなく身震いを止めてしまいました。
ウォーミングアップだけで疲れてしまったのか、飛んで逃げるほどの危険は無いと判断したようです。
このように外敵から素早く逃げる能力に欠けているため、ひたすら翅斑紋のカモフラージュに頼って身を隠し難を逃れるという消極的な生き残り戦略のようです。
絵合わせでノコメキシタバと迷ったのですが、いつもお世話になっている虫我像掲示板にて質問するとキシタバ(Catocala patala)と教えて頂きました。
前翅長37mm。
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2010/12/19
ニトベベッコウハナアブの身繕い
2010年10月中旬
ススキの穂にニトベベッコウハナアブ♀(Volucella linearis)が止まって身繕いしていました。
後脚を擦り合わせています。
見れば見るほど、チャイロスズメバチに似ています。
擬態にしては随分マイナーな蜂をモデルにしたものです。
翅は前半部が黒く濁っています。
左右の複眼が頭頂部で接していないので♀だろうか。
口吻を収めた顔全部が鳥の嘴のように尖っているのが面白いです。
2:04に突然、一滴の透明な液体を排泄しました(再生ウィンドウのプログレスバーが邪魔で見え難い)。
訪花吸蜜編へ続く。
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2010/12/14
オビガ(蛾)の擬死落下
2010年8月下旬
緑の木の葉にオビガ(Apha aequalis)が止まっていました。
後翅の模様も見たいなと思い指で軽く触れたら落下。
大きな蛾はすぐには飛び立てないので、緊急避難のための擬死行動でしょうか。
羽の色が褐色なので、地面の落ち葉に紛れて見失ってしまいました。
カモフラージュ効果も抜群です。
≪参考≫
『無名のものたちの世界III』 思索社 p173 (「行動は動物のことば」の章) より引用
ヤガやシャクガのある種のガは、自分の体の模様が、止まる場所にどのような効果を持つかを知っている。例えば、縦縞の紙の上には自分の体の模様を合わせて止まる。
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2010/12/11
ハチに擬態したシロスジナガハナアブ♀の身繕い
2010年9月中旬
山地の道端でお地蔵さんのお供え物の横に止まっていた虻です。
両手を擦り合わせ、顔を拭います。
後脚で腹部背面も掻いています。
黄色と黒の縞模様でいかにも危険そうな信号を全身から発しており、まさに「蜂の威を借る虻」です。
「一寸のハエにも五分の大和魂BBS」にて問い合わせたところ、シロスジナガハナアブ♀(Milesia undulata)とご教示頂きました。
本種のベーツ擬態は外見だけにとどまらず、捕まえると尾端を押し付けるようにしてまるでハチが刺すような真似をするのだそうです。
ブラフにしてもそこまで徹底するとは天晴。
今度は是非それを試してみよう。
飛んでいる姿はキイロスズメバチやキアシナガバチにそっくりだったように記憶しています。
【追記】
石井誠『昆虫のすごい瞬間図鑑:一度は見ておきたい!公園や雑木林で探せる命の躍動シーン』という本を眺めていたら、まさにこの昆虫を撮影した見事な生態写真がp108に掲載されていました。
ベイツ型擬態の見事な例として、モデルと考えられるホソアシナガバチの写真と並べて挙げられています。
しかし、キャプションの「フトハチモドキバエ」はシロスジナガハナアブの誤同定だと思います。
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