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2017/11/10

最後の雛も巣立った後のハシボソガラス空巣とその真下の糞(野鳥)



高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#35


2017年6月中旬・午後14:27〜15:57

いつもより少し早い時間に来てみたのに、ハシボソガラスCorvus corone)の巣から全ての雛が巣立っていて空き巣になっていたので、唖然としました。
前日に1羽だけ残っていた雛も、巣立つ素振りは見せていなかったので、予想外でした。
カラスの雛が巣立つ瞬間を映像で記録するという私の夢は破れてしまい、残念無念。
早起きして朝から見張るべきでしたが、巣立ちの予兆が私には分からなかったのです。
もし産卵日または孵化日が分かっていれば、巣立ちまでの日数の目安は先人の研究から見当をつけることができます。
しかし高所の巣の中を覗く術がないので、巣立ちの日を予想できませんでした。(ドローンを飛ばすことは許されるのだろうか?)
連日通う定点観察はかなりしんどくて、終盤は私も内心では飽きていたので、ようやく終わってホッとしました。
巣立ちを確実に撮るには、無人カメラで巣の監視映像を愚直に休みなく録画し続けるしかなさそうです。

念の為に微速度撮影で40分間ほど巣を監視してみても、雛の姿や親鳥による給餌シーンは見られませんでした。
10倍速の早回し映像をご覧ください。(@1:37-)
巣内に動きは全くありませんでした。
もし雛が巣にうずくまっているせいで外から見えないにしても、40分間もじっとしていることはあり得ません。
親鳥も空き巣には一度も飛来しませんでした。


さらに駄目押しとして、鉄塔の周囲を一回りしながら色んなアングルから空き巣を撮影してみました。
枯れ枝を緻密に組み合わせて作られた巣が、雛が育つにつれてどんどん風化・崩壊して貧相な巣になることも、実際に長期観察するまでは知らなかったことです。

梅雨入り前に4羽の雛全てが巣立ったことになります。
今季に同時並行でカラスの巣を幾つか観察した中で、この巣(高圧線鉄塔#21)が巣立ちまで一番遅かったです。
営巣地周囲の環境は素人目にはかなり自然豊かで育雛のための餌資源はここが一番豊富そうに見えたので、意外な結果でした。(田畑、林、池、住宅地の家庭菜園やゴミ捨て場などバラエティに富んだ環境なのに…。)
もしかすると私が見ていない営巣初期に何かトラブルがあって産卵をやり直したのか、それとも繁殖経験の浅いつがいだったのかもしれません。

以前から気になっていたのですが、長い針金を何本も束ねて扇状(円錐状?)に広げた物が高圧線鉄塔の鉄骨のあちこちに取り付けてあります。
この謎の物体(正式名称は?)はおそらくカラスが鉄塔に止まれないように電力会社が設置している障害物だと思います。

しかしカラスの営巣や育雛を妨げる効果は薄い(全く無い)ことが証明されました。 (※追記参照)

最後に、高圧線鉄塔#21の直下に行ってみました。

今までは親鳥を刺激しないように、巣の真下をウロウロしないように自重していたのです。
立入りを禁じる金網の隙間から覗いてみると、巣の真下の敷地に雛が排泄した糞が大量に散乱していました。

親鳥が給餌する度に甲斐甲斐しく雛の糞を回収して外に捨てに行っても(排糞行動)、どうしても全ては回収し切れず巣の下を糞で汚してしまうようです。(糞害)
雛が巣立ちに失敗して滑落死した可能性もわずかに疑っていたのですが、雛の死骸は落ちていなくて一安心。
後日に再訪すると、巣の下の糞は雨で洗い流されてきれいになっていました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#36:巣立ち後のハシボソガラス親鳥の行動(野鳥)




※【追記】
矢崎葉子『カラスバトル』を読むと、高圧線鉄塔に営巣するカラスに悩まされている東京電力に詳しく取材した見事な解説があり、とても参考になりました。
それとともに私の誤解も解けました。
電線には二種類あって、一般家庭に電気を送る配電線と、変電所間を結ぶ送電線がある。配電線はビニールで絶縁してある、いわば家庭にある電気コードの親玉みたいなもので、接触しても感電しない。一方、送電線は裸線、つまり電気コードの中味がそのまま剥き出しになっている状態だ。で、カラスの事故は大部分が送電線で起こる。(中略)たとえ裸線でも、一本の送電線に止まっているぶんにはカラスは感電しない。(中略)電位差がなければ流れないわけで、それが一本の送電線に止まったカラスが感電しない理由だ。この理屈は電線とそれを支える鉄塔の間についてもいえる。電線を鉄塔にそのままつなげてしまうと、鉄塔を通って電気はどんどん地面に放出されて、私たちの家庭には電気が来なくなってしまう。そのため鉄塔と電線を碍子と呼ばれる絶縁体で固定し、その間は、鉄塔に触れないように迂回させた電線を通しているのだ。ここでやっとカラスの登場となる。そうやって苦労して鉄塔と電線を絶縁しているのに、そこに巣材の小枝やハンガーなどが落ちたり、またカラスの羽根や体が挟まったりすると、絶縁が保てなくなり、電気が流れてショートしてしまうのだ。 (中略)巣材が針金、ハンガーではなく、たとえ木であっても、木が湿っている場合などは電気を通してしまうので、事故が起きることがあります。 p98-99より引用)

営巣場所はいろいろあるが、鉄塔と電線の間の絶縁部分付近などに巣を作られると事故が発生する危険性は高い。しかも、ちょうどその箇所は木の枝のように横につきだし、まるで枝分かれしているような構造になっており、カラスが営巣しやすい要素が揃っているのだ。送電線に巣が作られた場合、事故になりそうな箇所にある巣は撤去する。事故の可能性が低いと判断した場合はそのまま巣を残して、ヒナが巣立つのを待って取り除く。 (p103より引用)


(カラス対策として)あの手この手を使っているわけだが、これまでの経験上、視覚や聴覚に訴えるものより、物理的にカラスに来てほしくないところを防護するもののほうが費用対効果が高いそうだ。つまり、テグスを張ったり、カラスが止まれないように針山のようなものを設置したり、また、ゼリー状のネバネバしたものを貼付する、あるいは、ネットで局所を覆ってカラスの浸入を防ぐ。
ただ、物理的な対策にも欠点はある。メンテナンスを行なう際に逆にその防護が作業の支障になることがあるからだ。 (中略)最近主流になっているのが、営巣誘導カゴですね。つまり、一方で事故になりやすい部分に巣を作りにくくする対策をとっておいて、もう一方で営巣用のカゴを鉄塔の安全な場所に設置して、こっち側にお作りくださいとカラスの巣作りを誘導するわけです。(p105-106より引用)


つまり、私が観察したカラスの巣も、鉄塔中央のステージのような部分に作る分には電力会社からも黙認されているようです。(これが営巣誘導カゴ?)
一方、送電線を支える横の支柱の端にある碍子付近には絶対カラスに近づいて欲しくないので、物理的な障壁を色々と設置しているのだと理解できました。

私もカラス関連本をこれまで何冊も読んできましたが、『カラスバトル』は取り上げたトピックのバランスも取れていて名著だと思います。
筆者の取材力に感服しました。


2017/11/08

夜明けに咲くハスの開花運動【180倍速暗視映像】



2017年7月下旬・午前3:31〜8:11 (日の出時刻は4:36)

明け方に咲くハス(蓮)の開花運動を微速度撮影するために、夜明け前から蓮池に出かけました。
この撮影テーマについては予め勉強しておいた方が良かったと後で痛感するのですが、自分で試行錯誤するのも楽しいかな?と思い、敢えてあまり情報を入れずにほぼぶっつけ本番で挑みました。



広い蓮池のどの蕾に注目して撮り始めるべきか、暗闇でまず迷いました。
照明機材を使わずに未明の暗いうちから撮影を開始するとなると、岸から近い蕾を選ぶ必要があります。

それから朝日が昇ったときに逆光にならないように、撮影する方角を考えました。

岸のすぐ近くで咲きそうな一つの蕾に注目し、まず側面から赤外線の暗視カメラで1分間隔のインターバル撮影を始めました。
朝日が昇り明るくなるとともに周囲の赤外線ノイズが増え、ビデオカメラのピントが合わなくなりました。
そこで暗視モードから通常光モードに切り替えてインターバル撮影を続けます。
終了後は連続写真から30fpsの設定で早回し動画(1800倍速)に加工したのですが、これでは早過ぎたので編集し直して180倍速に落としました。


インターバル撮影と同時に蓮池の岸に別のカメラの三脚を立てて、見下ろすアングルで10倍速の微速度撮影を始めました。
後半から被写体を3つの蕾のうちの1つに絞りました(ズームイン)。
(しっかり予習していれば、初めからどの蕾に注目すべきか分かったはずです。)
撮影後は編集し直して180倍速映像に揃えました。
カメラ2台で同じ蕾の開花を別アングルで記録したことになります。

ぶっつけ本番で撮ったにしては、完成した映像の出来栄えに満足しています。


「ハスが開花の際にポン!と音を立てる」という俗説は、やはり迷信でした。
蓮池で夜を明かしても、一度もそのような破裂音は聞こえず、 静かに開花しました。

「ハス博士」大賀一郎氏の訃報に接した毎日新聞の社説「余録」によると(昭和40年6月17日)、
ハスが開花する時にポンと音がするという俗説についても、博士は上野公園不忍池などで徹夜で調べて、とうとうこの俗説はウソだということを証明した。明け方にハス池のコイが水面近くに飛んでいる蚊をとりにきて、ハネ上がる音をハスの開花とまちがえたのだそうだ。


ハスの花の独特な芳香が濃密に漂い、むせ返りそうでした。
個人的にはエキゾチックでどことなくケミカルな匂いで、あまり好みではありません。

咲き終わった後もしばらく撮り続けると、様々な昆虫が早速訪花を始めました。
朝から快晴で日差しが強く、大きな花弁がすぐに萎れてきました。
映像の最後で早くも閉花運動が始まっているようですが、尻切れトンボになってしまいました。
昼過ぎにはもう花が閉じてしまうのだそうです。
ハスの閉花運動の撮影は今後の宿題です。
暑い昼間に長時間撮影するとなるとまた別の問題があり、カメラが直射日光によってオーバーヒートしないように日傘などを用意する必要がありそうです。


復習としてインターネット検索したところ、次の文献がとても参考になりました。
加藤文男『大賀ハス (縄文ハス)の花の開閉について』によると (福井市自然史博物館から公開されたPDFファイルへのリンク)、

・ハスの花の開閉は花弁の基部の内側の生長度が外側のそれより盛んになれば開き、逆に弱くなれば閉じる。さらに花弁の基部の生長度の違いは、生長を促すホルモン(生長ホルモン)の濃度のかたよりによって生ずると考えられる。しかし、ハスの場合どのような外因または内因によって、上述のような生長度の違いがひき起こされるのか、明確ではない。(p125より引用)
・開花がハス自体のもつ周期性(バイオリズム)によることも考えられる。
ハスの花は4日間、毎朝開閉を繰り返してから散るのだそうです。
今回撮影したのは、花の開き方から見て3日目の花だろうと分かりました。(一番美しいとされる、浅い椀状開花)
蓮池の各蕾の開花日はばらばらなのです(開花して何日目か?)。


十亀好雄『ふしぎな花時計:身近な花で時間を知ろう』によれば、
ハスの花の開閉観察 エイジング(加齢)との関係で、初めて咲く花は、その日の午後7時ごろに五分咲き程度に開花して、10時ごろには閉花してしまいます。翌2日目は午前7〜8時ごろに全開して午後0時ごろに閉花し、3日目も再び早朝に完全開花して正午ごろに半閉花します。そして、4日目の早朝に3回目の完全開花をしてその日の午後に散っていきます。風が強く吹いたり暑いときには3日間ぐらいで終わったり、気温が低めで涼しいときには1週間ぐらい開閉運動を続けます。 (p64より引用)

野外での微速度撮影は大変なので、室内で楽できないかと考えました。
ハスの蕾を採取して水差しにしたら、室内でも開花してくれるでしょうか?
ネット検索すると、ハスは水揚げが悪く、残念ながら生け花の専門家でもきわめて難しいそうです。

3:30 am(開花日の異なる3つの蕾)。以降は左の蕾に注目。
6:02 am
8:13 am(閉花開始?)
8:15 am(左から順に開花3日目、4日目、1日目)


【追記】

北村文雄『蓮:ハスを楽しむ』という本を読んでびっくりしたことの一つは、童謡「ひらいたひらいた」に関するトリビアです


ひらいた ひらいた 
なんの花が ひらいた 
レンゲの花が ひらいた 
ひらいたと思ったら 
いつのまにか つぼんだ
この歌詞に登場するレンゲの花とは、てっきりレンゲソウ(ゲンゲ)だと今まで私は思い込んでいたのですが、蓮華の花、つまりハスの花なのだそうです。
これは、ハスの花の生態をよく表している、わらべうたです。(同書p13より引用)



↑【おまけの映像】
注目した蕾の周囲の環境については、開花前後のスナップショットをブログ限定で公開します。

折れた茎の断面にレンコン様の穴

科学のアルバム『水草のひみつ』によると、

ハスの葉の付け根部分の断面。葉の先まで管が通っています。(p37より引用)


つづく→開花初日のハス蕾の開閉運動(壺状開花)【180倍速映像】

2017/11/07

巣立ちが遅れた最後の雛に給餌するハシボソガラス親鳥【10倍速映像:野鳥】



高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#34


2017年6月中旬・午後15:29〜17:02

最後まで巣に残ったハシボソガラスCorvus corone)雛に対する親鳥の給餌活動をまとめてみました。
冒頭は通常のHD動画で記録した1回の給餌シーンで、残りは(@1:57〜)微速度撮影した10倍速映像です。
90分間で親鳥は7回帰巣したものの、そのうちの一回は給餌せず雛の様子を見に来ただけでした。
親鳥を個体識別出来ていないので、つがいの2羽が相変わらず共働きで巣に通っているのかどうか不明です。(今回の映像では2羽の親鳥が同時に登場することはありませんでした。)
もしかすると育雛に分担が生じ、巣立ち前の雛の世話は親鳥の一羽が担当し、もう一羽の親鳥は既に巣立った3羽の幼鳥に給餌したり面倒を見ているのかも知れません。

この日は明らかに給餌頻度が減りました。
しかし雛1羽あたりの給餌頻度を比べれば、前日(4羽の雛に親鳥2羽が66分間で計12回の給餌)までとあまり変わりないようです。
餌の争奪戦をしていた兄弟姉妹の雛鳥が巣立った後は、親鳥が与える餌を独り占めにすることができます。
巣立ち前に親鳥が雛への給餌を控えてダイエットさせ巣立ちを促す、という話が本当なのかどうか、私にはよく分かりませんでした。
この問題を調べるには、雛も全て個体識別した上で給餌をしっかり記録する必要があるでしょう。

独りで留守番している間、1羽で取り残された雛は羽繕いしたり羽ばたき練習をしています。
やがて巣内で動きが見られなくなりました。
私がちょっと目を離した隙に最後の1羽も巣立ってしまったのかと焦りました。
しかし鉄骨の陰に隠れ、巣にうずくまって休んでいただけと分かり、一安心。

この雛はやはり発育が遅れている印象で、体つきが華奢に見えるだけでなく、巣から離れて鉄骨を登ったり歩き回ったりするやんちゃな独り遊び(冒険)もやりませんでした。
性格が臆病なのかも知れません。
高所から飛び降りる巣立ち(初飛行)は、鳥の雛にとっても、いきなりバンジージャンプするような恐怖感があるのでしょうか?
一方、親鳥が巣の右下に張り出した鉄骨の端に止まり、そのまま帰巣せず南の杉林の方へ滑空したことが一度ありました。
巣に残った雛に飛び方のお手本を見せているのかな?

さて、巣立ったばかりの3羽の雛は、どこに行ったのでしょう?
なんとなく、鉄塔の南の杉林に隠れていそうな気がしてきました。
親鳥がときどき鉄塔に帰巣せず、南にある杉林の方へ低空で飛んで行くのが怪しい…。
幼鳥へ巣外給餌しに行ったのでは?と予想したものの、実際に確かめた訳ではありません。

映像には写っていませんが、給餌後に排泄した雛の糞を親鳥が持ち去り、近くの屋根で捨てていました。(排糞行動)
また、親鳥が縄張り防衛するのを目撃しています。
溜池の北の電線まで急行して、侵入したカラスを追い払いました。



以下は微速度撮影した映像のメモ。

再生時間  行動
0:25   帰巣、給餌
0:30   出巣 鉄骨の右端に飛んで移動しただけ。
0:38   出巣 今度こそ出巣
0:51   帰巣、給餌
0:53   出巣
1:20   帰巣、給餌
1:34   出巣
3:30?   幼鳥が巣にうずくまり、完全に見えなくなった。ときどき風で煽られる羽毛がかすかに見えるだけ
6:40?   幼鳥が一瞬立ち上がった。昼寝から起きた? すぐにまた座り込み、 姿が見えなくなった。
7:18   帰巣? やや引きの絵にすると、親鳥が鉄骨の右端に止まっていた。
7:19   出巣 雛に給餌せず飛び去った。
7:23   帰巣、給餌
7:26   出巣
7:31   帰巣、給餌
7:36   出巣
8:23   帰巣、給餌
8:25   出巣
9:02   撮影終了





※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#35:ハシボソガラスの雛が全て巣立った後の空巣とその真下の糞(野鳥)



2017/11/02

巣立ちの近いハシボソガラス雛の冒険(その2)後編 【2.5倍速映像:野鳥】



高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#32


2017年6月中旬

いつものようにハシボソガラスCorvus corone)の巣を微速度撮影で長時間監視していたら、育った雛が巣立ちを躊躇する興味深い行動が記録されていました。
前回の記事で紹介した10倍速映像から該当部分を抜粋し、2.5倍速まで再生速度を落としてじっくり見てみましょう。

親鳥が給餌を済ませて巣から離れると、直後に雛の1羽が高く飛び上がって巣の右上の鉄骨に止まりました。
そこで元気に羽ばたき練習を披露。
かなり筋力がついたようですが、このまま鉄塔から飛び降りて巣立ちするのでしょうか?!
腕白な雛は傾斜のついた鉄骨をバランスを取りながら歩いて渡り、独りで遊んでいるようにも見えます。


私の予想に反して、親鳥は餌で釣って雛の巣立ちを促したりしませんでした。
親鳥が帰巣しても巣に残った3羽の雛に給餌するだけで、巣から離れた鉄骨で遊んでいる一羽の腕白な雛のことはあまり気にしていないように見えます。
もちろん、もし雛が下界に飛び降りたら親鳥もすぐに追いかけて、茂みなど安全な場所まで雛を誘導するはずです。

高所の冒険をハラハラして見ている私の心配をよそに、腕白な雛は巣の真上の鉄骨からピョンと飛び降りて、ようやく巣に戻りました。
無事で一安心。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#33:巣立ちが遅れた最後のハシボソガラス雛が独りで羽ばたき練習(野鳥)



↑【おまけの映像】
同じ素材をほぼリアルタイムまで再生速度を落としてみました(1.25倍速映像)。
カラスの動きにもっと残像が出て、不自然な映像になってしまいます。
微速度撮影はフレームを間引きして記録しているので、完璧に復元できないのは仕方がありません。


2017/11/01

巣立ちの近いハシボソガラス雛の冒険(その2)前編【10倍速映像:野鳥】



高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#31


2017年6月中旬・午後15:11〜16:17

ハシボソガラスCorvus corone)親鳥♀♂が共稼ぎで巣に通って4羽の雛に給餌する様子を微速度撮影で長時間記録してみました。
10倍速の映像をご覧ください。
微速度撮影した66分間の間に親鳥♀♂は計12回も給餌しました。

さて、雛のいつもと違う行動に何かお気づきになられましたでしょうか?(@0:31〜1:15)
詳しくは次回。


再生時間 行動
0:22  帰巣
0:30  出巣
0:31  出巣 親鳥ではなく、幼鳥γが少しずつ巣から離れ冒険
1:00  帰巣
1:02  出巣 その間に幼鳥γが巣の上の鉄骨に移動
1:15  γ@帰巣 上の鉄骨から巣に飛び降りた。無事で何より
1:19  帰巣
1:25  帰巣
2:16  帰巣
2:22  出巣 鉄塔の奥の高圧線(最上段)に止まり直し監視
2:26  帰巣 もう1羽の親鳥が帰巣、雛給餌
2:30  出巣
2:33   高圧線から飛び立った
3:38  帰巣
3:40  出巣
3:43  帰巣
3:46  出巣
4:01  帰巣
4:04  出巣
4:14  帰巣
4:18  出巣
5:01  帰巣
5:04  出巣
5:55  帰巣
5:57  出巣 巣の右の鉄骨に止まり直して監視。
6:09   飛び去った
6:12  帰巣
6:14  出巣
6:36  撮影終了




カメラを据え付けた三脚が強風で振動してしまいました。
いつものように動画編集時に手ブレ補正処理をしてみたら、副作用で鉄塔がグニャグニャと妙に歪んだりしてしまいました。
あまりにも酷いので、仕方なくオリジナルのままお見せします。
自動色調補正も施していません。
最近、YouTubeの手ブレ補正のアルゴリズムが変わった気がします。(質が落ちた改悪)

つづく→#32:巣立ちの近いハシボソガラス雛の冒険(その2)後編 【2.5倍速映像:野鳥】



2017/10/27

巣立ちの近いハシボソガラス雛の冒険:後編【2.5倍速映像:野鳥】



高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#28


2017年6月中旬

いつものようにハシボソガラスCorvus corone)の巣を微速度撮影で長時間監視していたら、巣立ち前の雛のとても興味深い行動が記録されていました。
前回の記事で紹介した10倍速映像から該当部分を抜粋して、2.5倍速まで速度を落としてみます。
リアルタイム(1倍速)まで速度を落とすと動きに残像が出て不自然になってしまうのです。

給餌後に雛が排泄した糞を持って親鳥が巣から離れると(@0:40)、4羽いる雛鳥のうち腕白な1羽の個体が、巣の右に張り出した鉄骨にピョンと進出しました。(@1:01)
その場で羽ばたき練習したり、足元の鉄骨のボルトを嘴でつついて悪戯したりしています。
強風に吹かれてバランスを崩し、慌てて羽を広げているようにも見えます。

やがて親鳥がまた帰巣し、巣に残った3羽の雛に給餌しました。(@1:41)
鉄骨に居る腕白な雛は、その様子を物欲しそうに見ています。
給餌を終えた親鳥が同じ鉄骨に並んで止まると、腕白な雛は親鳥を向いて軽く餌乞いしました。
腕白な雛が嘴を開けて鳴いた際に、口の中が赤く見えました。(カラスの雛および幼鳥の特徴)
微速度撮影の際に音声が録音されないのはカメラの仕様です。

もしかすると、この雛はそのまま巣立ちするのかな?と私は内心興奮しました。
しかし横で見ている親鳥は
餌で釣ることもなく、雛の巣立ちを促しているようには見えませんでした。
むしろ、危ないから早く巣に戻るよう叱ったのかな?(擬人化しすぎ)
もちろん、もし雛が飛び降りたら親鳥もすぐに追いかけて、茂みなど安全な場所まで雛を誘導するはずです。
やんちゃな雛も高さに怖気づいたのか、危なかっしい足取りながらも自力で鉄骨を伝い歩きして無事に巣へ戻りました。(@1:59)
それを見届けてから親鳥は鉄骨から飛び立ち、次の採餌へ出かけました。(@2:03)
雛の自立や成長を感じさせる行動が偶然撮れてラッキーでした。
欲を言えば、微速度撮影ではなく通常のHD動画でリアルタイムに録画できていれば最高でした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



↑【おまけの映像】
1.25倍速
リアルタイム(1x)近くまで速度を落とすと動きにもっと残像が出て不自然になってしまいます。
微速度撮影はフレームを間引きして記録しているので、仕方がありません。

つづく→#29:雛に餌を与えるハシボソガラス(野鳥)


2017/10/25

巣立ちの近いハシボソガラス雛の冒険:前編【10倍速映像:野鳥】




高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#27


2017年6月中旬・午後16:20〜17:26

ハシボソガラスCorvus corone)の親鳥が共働きで巣に通って4羽の雛に給餌する様子です。

前半は通常のHD動画で撮影したもので、給餌を1回記録しました。
食後に雛が排泄した糞を受け取ったようで、出巣する親鳥の喉袋が膨らんでいます。

後半(@0:41〜)は微速度撮影で63分間、長撮りしました。
10倍速の早回し映像でご覧ください。
計14回、給餌しました。
親鳥を待つ間、暇を持て余した雛鳥はいつものように、各自で羽繕いしたり羽ばたきの自主練をしたりしています。

さて、後半の10倍速映像を注意深くご覧になって、いつもと違う雛の行動に何かお気づきになられましたでしょうか?
親鳥の留守中に1羽の腕白な雛が巣を離れて右の鉄骨まで移動したのです。
横に張り出した鉄骨で羽ばたき練習したり、帰巣した親鳥とその雛が鉄骨に並んで餌乞いしたので、そのまま巣立ちするのかと期待しました。
ところが、しばらくすると兄弟姉妹の居る巣へ自力で無事に戻りました。(@2:35〜2:53)
雛の自立・成長を感じさせる行動が偶然撮れてラッキーでした。
詳しくは次回。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


つづく→#28:後編


2017/10/20

高圧線鉄塔の巣に餌を運ぶハシボソガラス親鳥♀♂【10倍速映像:野鳥】



高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#24



2017年6月中旬・午後15:02〜15:24


ハシボソガラスCorvus corone)雛鳥は未だ巣立ちしいません。
wikipediaの情報によれば、

(ハシボソガラスの)産卵期は4月頃で、1回に3-5個の卵を産む。主にメスが抱卵し、その間オスはメスに餌を運ぶ。抱卵日数は約20日。雛に対する給餌は雌雄共同で行い、雛は孵化後約1か月で巣立つ。子育てに失敗すると再度抱卵し子育てを行うこともあるが、子育てに時間が掛かるため北では1度が限度と見られる。
なんとか雛が巣立つまで見届けたくてしつこく通っているのですけど、いつ孵化したのか分からないので、巣立ちの予定日も予測できないのが辛いところです。

巣に通って雛に給餌する親鳥♀♂の活動を微速度撮影してみました。
望遠レンズでズーム最大にしてしまうと、10倍速映像では親鳥の出入りを見落としそうになります。

22分間で親鳥♀♂が代わる代わる8回給餌しました。
親鳥が留守中に雛がいつものように羽ばたき練習すると、強風で体が浮きました。

高所の巣から落ちてしまうのではないかとハラハラしましたが、無事でした。
こうやって少しずつ飛ぶ感覚を身につけているのでしょう。

再生時間  行動
0:41 帰巣、給餌
0:45 出巣
0:52 帰巣、給餌
0:55 出巣
0:59 帰巣、給餌
1:02 出巣
1:17 帰巣、給餌
1:20 帰巣、給餌
1:22 出巣
1:23 出巣
雛@羽ばたき練習で浮いた!
1:44 帰巣、給餌
1:46 出巣
1:49 帰巣、給餌
1:50 出巣
2:03 帰巣、給餌
2:11 出巣
2:12 撮影終了


背景の雲の流れが早いことから分かるように、風が強くてやや肌寒い日でした。
強風で三脚が振動して困りましたが、動画編集時に手ぶれ補正すれば、映像が改善されました。
次回からは水入りのペットボトルを用意して、三脚に重りとして吊り下げることにします。

つづく→#25:嘴に咥えてきた餌を巣内の雛に与えるハシボソガラス(野鳥)



2017/10/16

ハシボソガラス♀♂の早朝給餌活動【10倍速映像:野鳥】




高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#22


2017年6月中旬・午前4:22〜6:03 (日の出時刻は4:15)


ハシボソガラスCorvus corone)の♀♂親鳥による早朝の給餌活動を微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧ください。
望遠レンズで巣を狙い、やや引きの絵で親鳥の出入りを監視します。

2羽の親鳥が続けざまに入巣することがあるので、朝からつがいで共稼ぎしていることが分かります。
長撮りで記録した1時間41分の間に計14回、親鳥が帰巣しました。
平均すると7分15秒に1回、親鳥のいずれかが雛に給餌している計算になります。
ただし親鳥が毎回本当に雛へ給餌しているとは限りません。
採餌に出掛けても空荷で帰巣することがあるのですが、引きの絵では給餌の有無がしっかり見分けられません。
この巣では雛を3羽(または4羽?)育てていますから、それぞれの雛は毎回餌にありつける訳ではありません。

留守番している間に雛鳥は羽繕いしたり、元気に羽ばたき練習したりしています。
微速度撮影すると、背景を流れる雲の動きも美しいですね。
西から鉄塔を狙うと朝は完全に逆光になります。
肉眼では朝日が眩しくてとても見ていられませんが、映像ではむしろカラスのシルエットが強調されて見えやすくなりました。

朝は親鳥が鉄塔の西側でも採餌するようになったのが珍しく(興味深く)思いました。

夕方に観察していたときには、親鳥は私を警戒して鉄塔の西側では採餌しなかったのです。
西側に私が居座って撮影していても気を許してくれるようになったのか、それとも一日の時間帯によって餌場を使い分けているのかもしれません。


再生時刻  行動
0:13 帰巣、給餌
0:21 出巣
1:16 帰巣、給餌
1:44 出巣     しばらく巣の右の鉄骨で休息。
1:46 帰巣、給餌 すぐ戻ってきた? 別個体の親鳥?
1:47 出巣
2:57 帰巣、給餌
2:59 出巣
4:30 帰巣、給餌
4:33 出巣
5:29 帰巣、給餌
5:33 出巣
6:26 帰巣、給餌
6:27 帰巣、給餌 もう1羽の親鳥が続けざまに入巣。
6:29 出巣      2羽が続けざまに出巣。
6:44 帰巣、給餌
6:47 出巣
6:55 帰巣、給餌
7:15 出巣     しばらく巣の右の鉄骨で休息。
7:45 帰巣、給餌
7:49 出巣
7:50 帰巣、給餌
7:52 出巣
8:32 帰巣、給餌
8:38 帰巣、給餌
8:40 出巣
8:41 出巣
10:11 撮影終了




※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


つづく→#23:給餌直後に雛の糞を持ち去るハシボソガラスの親鳥(野鳥)


2017/09/19

共稼ぎでせっせと巣に通い雛に給餌するハシボソガラス♀♂【野鳥:10倍速映像】



高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#9


2017年6月上旬・午後16:58〜18:32(日の入り時刻は18:59)

日没前の夕方にハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の親鳥♀♂が給餌に通う様子を微速度撮影で記録してみました。
10倍速の早回し映像をノーカットでご覧ください。

0:04   帰巣
0:07   出巣
0:13   雛の羽ばたき練習(以降は面倒で記録していない)
0:28   帰巣
0:32   出巣
0:45   帰巣
0:48   出巣
0:57   帰巣
1:00   出巣
1:37   帰巣
1:41   出巣
2:39   帰巣
2:41   出巣
3:14   帰巣
3:18   出巣  親鳥αが奥の高圧線に止まった。
3:25   帰巣   もう1羽の親鳥βが帰巣。
3:26    αが右へ飛び去った。
3:28   出巣   β
3:46   帰巣
3:49   出巣
4:13   帰巣
4:18   出巣
4:51   帰巣
4:55   出巣
5:49   帰巣   左より高速入巣。親鳥が突然出現。
5:53   出巣
6:38   帰巣
6:42   出巣
6:48   帰巣
6:56   出巣(奥の高圧線に止まって辺りを監視)
7:00     高圧線から飛び去った。
7:59   帰巣
8:04   出巣
8:32   帰巣
8:35   出巣
9:14   帰巣
9:16   出巣
9:23   撮影終了。

長撮りした1時間33分50秒の間に親鳥♀♂が計17回も巣に通って雛に給餌しました。
ただし、帰巣した全ての回で雛に給餌したとは限りません。
雛の様子を見るためだけに空荷で帰巣することがあるようですが、引きの絵にすると給餌の有無がはっきり見分けられません。
親鳥を待つ間、雛はときどき羽ばたき運動の自主練をしています。

2羽の親鳥が同時に映ることがあるので、共稼ぎで(交互に?)給餌していることが分かります。
残念ながら親鳥の性別を見分けられないため、給餌分担の割合(育雛への貢献度)が割り出せません。
きっちり調べようとすると、カラスを捕獲して個体識別用の足環を装着する必要があります。

つづく→#10:三羽の雛に給餌するハシボソガラス親鳥(野鳥)



2017/08/28

イチモンジチョウの羽化【10倍速映像】



2017年5月下旬

イチモンジチョウの飼育記録#12


微速度撮影しながら外出していたら、午後にイチモンジチョウLimenitis camilla)成虫が羽化していました。
10倍速の早回し映像を御覧ください。
垂蛹が割れてスルリと抜け出た成虫が抜け殻にしがみつくと、みるみるうちに翅が伸展します。
ところが肝心の翅が、画角から下にはみ出していて映っておらず、残念でした。
私の予測が甘かったですね。
途中で気づいて引きの絵にしても時既に遅し。
前翅翅裏の縁の白紋が明瞭なので、アサマイチモンジではなくイチモンジチョウで確定しました。
(参考:ヤマケイポケットガイド9『チョウ・ガ』p143)

イチモンジチョウ垂蛹の背面中央にある竜骨突起(しぐま造語)が何のためにあるのか、ずっと気になっていました。
羽化した成虫はこの竜骨突起に前脚をかけてぶら下がっています。
この奇妙な突起は、羽化した成虫がつかまって翅を伸ばすために作られた専用の場所なのですかね?
それとも終齢幼虫から蛹化する際に抜け殻をうまく割るための構造なのかな?
成虫の背中にコブのような物はありません。
背側なら竜骨と呼ぶのは本来おかしいのですけど(鳥類の竜骨突起は腹側にある)、正式名称をご存知の方は教えてください。

初めは左右に分かれていた2本の口吻がゼンマイのようにクルクルと伸ばしたり曲げたりしているうちに根元からジッパーのように1本に融合して、食事用の管(ストロー)になります。

やがて翅を軽く開閉するようになりました。
翅を乾かしているのでしょう。



翅を伸ばし終えた後に蛹便(羽化液)を排泄する瞬間は撮れていませんでした。
真下に敷いていた白紙に黄土色の羽化液が一滴垂れていました。
量も少なかったです。

蛹便

蛹化してから8日目に羽化しました。
蛹内での変態のスピードが予想よりも速かったです。
幼虫の時期には体内寄生を疑っていたのですが、無事に成虫が羽化して良かったです。



以下は羽化殻(垂蛹の抜け殻)の写真です。

側面
側面
腹面
背面

つづく→#13:イチモンジチョウ:羽化直後の飛翔

2017/08/27

イチモンジチョウ垂蛹:羽化前の自発的な蠕動【60倍速映像】



2017年5月下旬

イチモンジチョウの飼育記録#11


イチモンジチョウLimenitis camilla)が蛹化してから8日後。
翅の黒色が透けて黒くなった垂蛹が、朝になると背面の銀白紋が消失していました。
いよいよ羽化しそうです。

羽化の前兆が分からないので、微速度撮影で監視を始めました。
60倍速の早回し映像を御覧ください。
自発的な蠕動運動の頻度が上がってきました。
室内の風で揺れているのではありません。



↑【おまけの映像】
早回し速度を少し落とした40倍速の動画をブログ限定で公開します。


つづく→#12:イチモンジチョウの羽化【10倍速映像】



2017/08/12

イチモンジチョウの蛹化【40倍速映像】



2017年5月下旬

イチモンジチョウの飼育記録#8


突発的な蠕動運動を繰り返していたイチモンジチョウLimenitis camilla)の前蛹は、朝になると最終脱皮(蛹化)して垂蛹になりました。
断続的だった蠕動運動が激しく続くようになると、いよいよ脱皮が始まります。
途中で一旦、上半身も真っ直ぐに伸びました。
当時の私はこの個体がてっきり体内寄生されていると思い込んでいたので、ここまで正常に発生したのは意外でした。

ところで、このゴツゴツした垂蛹に見られる背面の竜骨突起(正式名は?)と頭部の耳状突起が気になりました。
一体どんな役目があるのですかね?
耳状突起の中で触角が作られる訳でもありませんし、竜骨突起に対応してイチモンジチョウの成虫の背中に大きな瘤(コブ)があるとは思えません。


側面
側面
腹面
背面

下の落ちた蛹化殻を採集して、私の個人的な抜け殻コレクションに加えました。


背面
側面
腹面


【おまけの動画】
早回し速度を落とした20倍速映像と10倍速映像(オリジナルの素材)をブログ限定で公開します。







つづく→#9:イチモンジチョウ垂蛹の黒化


2017/08/11

イチモンジチョウ前蛹:蛹化前の蠕動【20倍速映像】



2017年5月下旬

イチモンジチョウの飼育記録#7


眠から覚めたイチモンジチョウLimenitis camilla)の終齢幼虫が前蛹になるまでの様子は撮り損ねてしまいました。
タニウツギ小枝の下面に腹端を固定するための足場を絹糸で綴ってから脚を枝から離して腹端でぶら下がり、前蛹になりました。
当時の私は、この個体が絶対に体内寄生されているに違いないと思い込んでいて、あまり観察に身が入らなかったのです。
むしろ私の関心は、ヤドリバエや寄生蜂の幼虫がいつ寄主を食い破って出てくるか?という方にありました。

日付が変わってから、イチモンジチョウの前蛹が脱皮して蛹になる過程を微速度撮影で愚直に記録し始めました。
20倍速の早回し映像をご覧ください。
前蛹は自発的な蠕動運動を繰り返し、ときどき身を捩らせています。
蛹化の前兆が分からなかったのですが、次第にクチクラの裏に泡のような空気が入り、色が白っぽくなってきました。
新旧クチクラ層の間に隙間が作られつつあるのです。

つづく→#8:イチモンジチョウの蛹化【40倍速映像】



2017/08/04

イチモンジチョウ終齢幼虫の食餌と排泄【10倍速映像】



2017年5月中旬

イチモンジチョウの飼育記録#3


イチモンジチョウLimenitis camilla)終齢幼虫が凄まじい食欲でタニウツギの葉をひたすら食べ続け、定期的に排便する様子を微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像を御覧ください。
イモムシ毛虫の見事な食べっぷりを見るといつも惚れ惚れします。
ときどき食休みしています。

つづく→#4:ぎこちない動きのイチモンジチョウ終齢幼虫


2017/07/20

電柱に巣を作るハシボソガラス♀♂【10倍速映像:野鳥】



2017年4月中旬・午後14:44~15:51
▼前回の記事
電柱の天辺に小枝を組み合わせて巣を作るハシボソガラス♀♂(野鳥)

電信柱の最上部に営巣を始めたハシボソガラスCorvus corone)の♀♂番(つがい)による造巣を微速度撮影で1時間以上記録してみました。
カメラを嫌って営巣を止めてしまうのが一番心配でした。
巣に出入りする親鳥を警戒させないように、私はなるべく巣の方向を見ないように心がけました。
素知らぬ顔でわざと巣の逆を向いて座り、ときどき手鏡で背後のカメラの液晶モニタをチェックしました。
すると後半はカラスの番がわざわざ私が眺めている方角の電柱に止まり直し、偵察に来たのが可笑しかったです。
私が長々と一体何を見ているのか、気になってたまらなくなったのでしょう。
少し離れた電柱や電線に2羽が並んで止まり、こちらを見張っているときもありました。

10倍速の早回し速度を御覧ください。
親鳥の♀♂番が協力して、巣材の小枝を一本ずつ搬入しました。
映像の中で巣材を搬入したのは、@0:12(単独)、@1:22(♀♂)、@3:03(♀♂)、@4:01(単独)、@4:33(♀♂)、@5:27(単独)の計9回です。
手ぶら(空荷)で帰巣することはありませんでした。
もし私が撮影していなければ、もっと伸び伸びと(頻繁に)造巣活動を行ったかもしれません。
カラスを性別を外見で見分けられないのが残念です。
単独で帰巣するのではなく、番が相次いで帰巣することが多い印象を受けました。
夫婦で同じ場所から巣材を集めてくるのですかね?

これは個人的な仮説ですけど、細かい造巣作業は♀の担当なのだとすれば、♀が不在時は♂が♀の帰りを待っているのかもしれません。
一緒に帰巣すれば♂は♀に巣材を渡してすぐ出かけられるので、無駄なタイムロスが無くなるでしょう。

巣から飛び立つまで結構長い時間、巣の横の電線に止まっていることがありました。
疲れて休んでいるのか、それとも私を油断なく監視しているのかな?

一から作り始めて何日目の巣なのでしょう?(この巣を見つけたのは2日前)
一番初めの作り始めに電柱の天辺に乗せた小枝が風で飛ばされたりしないように、どうやって固定したのか、知りたいところです。
このような丸見え状態でも平気で営巣するのは、ハシボソガラスの特徴なのだそうです。

電柱は約10メートルの高さの支柱にアーム(横棒)がついている構造で、まったく隠蔽物のない環境である。したがって、隠蔽にこだわるハシブトガラスの電柱利用は難しいが、隠蔽にこだわらない性質をもっていることで、ハシボソガラスは営巣箇所として、電柱を利用することができるのだろう。(後藤三千代『カラスと人の巣づくり協定』p24-25より引用)

営巣地の電柱の真下に庭木を伐採した枝が積み上げられています。
微速度撮影の後半になると近所の人が現れ、その枝をその場で更に細かくカットし始めました。
その間も、カラスは平気で電柱の天辺にせっせと巣材を運搬し造巣を続けました。
ヒトを個体識別し、カラスに対する敵意の有無をきちんと見分けているとしか考えられません。
見ていた私は、このヒトが親切心でカラスのために巣材を提供しているのか?とさえ思うようになりました。
しかし、インタビューする機会を逃してしまいました。
実は初めカラスは電柱下の豊富な巣材源から小枝を集めていたのですが、私が見ていると警戒して他所から巣材を調達するようになりました。
もし適切な巣材を大量に用意して積み上げておけば、カラスはその近くに営巣してくれるかもしれません。

ここで悲しいお知らせです。
その後も張り切って定点観察に通ったものの、まず親鳥が警戒して私が見ている間は巣に近寄らなくなりました。
私が諦めて帰ろうとすると、親鳥がしばらく後を追いかけてきて、ちゃんと帰ったかどうか確かめようとさえするのです。
今季はあちこちでカラスの営巣観察を集中的に行ったのですが、それで分かったことは、このときの撮影地点があまりにも巣に近過ぎました。
むしろ初日にブラインドも張らず長時間撮れたのが奇跡的でした。
その次は電柱から巣が撤去されてしまい、残念ながらここには二度と再建されませんでした。
電気トラブルを恐れた近隣住民が通報したのか、電力会社が対処したのでしょう。
私が見たところ、この親鳥は電柱の最上部に営巣していて電線とはほとんど干渉しそうにない上に、巣材に針金ハンガーなどは使用していません。
したがって(素人考えでは)、漏電事故は起こりにくいと思うのですが、仕方がありません。
雛が孵ると親鳥は周囲のヒトに対して攻撃的になるので、その意味でもこの巣をそのままにしておくのは危険だったかもしれません。

営巣による停電は、巣の材料として使われる木の枝やハンガーなどの金属類が電線に触れ、漏電するなどして起こる。(同書p9より引用)





【書評】
後藤三千代『カラスと人の巣づくり協定』という新刊本を書店で見つけて衝動買いし、一気に読みました。
我が山形県の北部の鶴岡地区で電柱に営巣するカラスの問題と対策について研究してきた山形大学農学部の先生による著書です。
内容も本格的で充実しており、非常に参考になりました。(こういう本を待っていました。)
私のフィールドは同じ山形県でも南部なので、地域性の違いを伺い知れて興味深く思いました。
カラスについて書かれた本は数あれど、営巣活動(巣作り)に焦点を当て、全く新しいユニークな視点からカラスの生態について教えてくれます。

驚いたのは、本書に書かれた研究アプローチはフィールドでカラスの行動や生態を全く観察していないことです。(割愛しただけかもしれません)
バードウォッチャーの私としてはその点で不満はあるのですが、他の本を読んで補足すればよいのでしょう。(餅は餅屋)
それでも電柱から撤去された多数の巣を鑑識のように緻密に分析するだけでここまで深くストーリーを組み立てられるのか!と驚嘆しました。(巣の遺留物からDNAバーコーディングも駆使しています。)

巣材に使われた小枝の植物種を一本ずつ同定しています。

電柱の営巣対策でも決して情緒に流れされず冷徹に科学的なデータを積み上げて合理的な対策を提案しています。

実際に成果をしっかり上げつつあるので、非常に説得力があります。
カラスが悪者でないことがわかれば、人間の戦う相手は、カラスではなくなる。カラスの営巣生態を無視した、撤去という対策のあり方に問題があったのである。(p121あとがきより引用)


以下は個人的な疑問点。(一度通読しただけなので、私の読み落としや誤解があるかもしれません)

  • DNAバーコーディングで巣を作ったカラスの種類(ハシボソガラスまたはハシブトガラス)を見分けるだけでなく、DNAフィンガープリンティングで親鳥や巣で育った雛の正確な個体識別は可能か?
  • カラスはひとつの縄張りで一つしか巣を作らないという前提で議論を進めているが、大丈夫か? 繁殖に使われない偽巣を作ることがある、という記述を別な本で読んだことがあり、私もそれらしき偽巣の存在を観察しています。(同じ縄張り内でニ巣並行営巣の決定的な証拠映像を撮るのが私の次の目標です。)
  • 撤去したカラスの巣の基盤部から珍虫アカマダラハナムグリの土繭や蛹、幼虫を得たという結果は興味深いのですが、必ずしもカラスの巣でアカマダラハナムグリ♀が産卵・繁殖したとは限らないのでは? 基盤部の巣材となる土壌をカラスが水田から採取してきた際に既にアカマダラハナムグリの卵や幼虫が混入していた可能性は?

2017/07/14

シロバナジンチョウゲの開花【3600倍速映像】



2017年4月中旬

沈丁花
の白い蕾がほころび始めたので、常緑樹の灌木から小枝を採取してきました。
水を入れたペットボトルに生けて、室内で開花する様子を微速度撮影しました。
30秒間隔で約41時間インターバル撮影しました。
花が小さいのでマクロレンズで接写します。
得られた連続写真から30fpsの設定で動画を作成してから、更に4倍速に加工しました。
計算するとリアルタイムに対して、30*30*4=3600倍速の早回し映像になります。

花が咲いてみると、シロバナジンチョウゲと判明。
室内に私の大好きな沈丁花の上品な芳香が強く漂います。
撮影のために照明を一日中当て続けること(長日条件)が植物の開花に影響を及ぼすのかどうか気になるので、本を読んで勉強中です。
幻とされていたフロリゲン(花成ホルモン≠開花ホルモン)を探し求める熾烈な研究の歴史など、植物生理学も勉強してみるとなかなか面白いですね。



ジンチョウゲは小さな花が集まって手毬状になるはずなのに、この枝につく花芽(つぼみ)の数が少ないのは、日当たりの悪い所に植栽されたためでしょう。(日照不足)
沈丁花は陰樹らしいのですけど、それにしても植えた場所の日当たりが悪くて貧弱な枝ぶりでした。


室内での微速度撮影が終了した日に採集地でも元株が少し開花していた。

この機会に沈丁花について調べてみると、知らないことばかりでした。

日本にある木は雄株が多く、雌株はほとんど見られない。(wikipediaより引用)
確かに小花の奥には黄色い雄しべだけで、雌しべが見当たりませんでした。

『樹木見分けのポイント図鑑』で沈丁花を調べると、

花弁に見えるのは萼片で、筒状の萼の先が4裂したもの(p40より引用)。



【おまけの動画】
同じ素材で早回し速度を変えたバージョンをブログ限定で公開します。



↑5400倍速映像



↑900倍速映像


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