2016/09/04
山道で相互毛繕いするニホンザル
2016年6月下旬
峠道で野生ニホンザル(Macaca fuscata)の群れに遭遇しました。
若い2頭が路肩に座っていました。
1頭が相手の背後に回ると、他方は路上に身を伏せて背中を毛繕いしてもらっています。
途中から攻守交代。
仲良きことは美しき哉。
2016/09/03
斜面の藪で採食するツキノワグマ
2016年6月下旬
山間部の道を静かに歩いていると、横の斜面で大型獣が採食している気配がしました。
姿は全く見えませんが、クズなどが深く生い茂った藪の一部が不自然に揺れています。
ニホンカモシカだと良いのですけど、ツキノワグマかもしれません。
万が一に備えて、腰に携帯したクマ撃退スプレーをいつでも取り出せるようにしつつ撮影しました。
遂に藪の中からツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)が黒い鼻面が突き出しました。(@0:39)
真っ黒な巨体で斜面を少しずつ登ってるようです。
最後は突然藪の奥に逃げ込みました。
私の匂いを嗅ぎとって警戒したのかな?
実はこの直前にも、山道が大きくカーブする地点を歩いていたら樹上から慌てて降りて藪に隠れる獣をちらっと目撃しました。(猿か熊か不明)
クマが生息するフィールドに出かける際は、鈴やラジオを鳴らすよりも何よりも、犬を連れて歩くか、自衛用の強力なスプレーを持参することを強くお勧めします。
2年前にこの山道で熊棚のような痕跡を見つけた時は半信半疑だったのですが、やはりこの山にはクマが生息していました。
このフィールドでは常に五感を研ぎ澄ませて、気を抜かないようにしなければいけません。
2016/09/01
胡桃を取り合って遊び、猫をからかうハシボソガラスの家族群(野鳥)
2016年6月中旬・午前4:12〜4:18
早朝に郊外のだだっ広い駐車場で、ハシボソガラス(Corvus corone)の群れが遊んでいました。
割れたクルミの殻の欠片を幼鳥同士で奪い合っています。
食べられる中身(実)は入っていないため、食料の真剣な争奪戦というよりも遊びなのでしょう。
クルミを奪われそうになると相手をヒョイと飛び越え、かわしました。
近くの電線に止まって居たもう一羽が途中から舞い降りて参戦。
クルミの実を持って仲間から遠ざかる途中で嘴から落としてしまい、慌てて拾い上げる様が微笑ましいです。
残る2羽も左手で別な欠片(小石?)で遊んでいます。
ガラガラ声の甘えたような鳴き声がガランとした屋外駐車場に響き渡ります。
更に2羽のカラスが飛来しました。
そのうちの一羽が明らかに大型で、おそらく親鳥なのでしょう。
計5羽の家族群になりました。
親鳥が右に移動すると、幼鳥たちがついて歩きます。
幼鳥が親鳥に向かって翼を持ち上げ、餌乞いの姿勢になりました。
家族水入らずで遊んでいたのに、鳴き声を聞きつけた茶トラのネコ(Felis silvestris catus)が奥の民家から登場しました。(@2:17)
親鳥が真っ先に猫の存在に気づき、左へ小走りで逃げました。
危険を回避して、さり気なく幼鳥を誘導します。
逃げ遅れた2羽に向かって猫が近づくと、ガー♪と警戒声を発して一斉に飛び立ちました。
画面の左では一羽だけ駐車場に居残っています。
一方、飛び立ったカラスは猫を馬鹿にしたように威嚇するようにグヮー、ガー♪と鳴きながら低空で旋回します。
挑発的にわざと猫の近くに2羽が舞い降りました。
(逃げ遅れた子ガラスと猫の間に親ガラスが立ちはだかったのかな?)
天敵の猫をカラスが集団でモビング(擬攻撃)するかと思いきや、座っていた猫が小走りで左へ逃げ始めました。
たまたま新聞配達のバイクが来たことも影響したようです。
それまで私は気づかなかったのですが、植え込みの陰に潜んでいた黒猫も茶トラと一緒に走り去りました。
平和が戻った駐車場でカラスの家族群は各々で採食を始めました。
幼鳥は親鳥に駆け寄り、催促しています。
駐車場の境界で車止めの柵に親子のカラスが相次いでひょいと飛び乗りました。
幼鳥はすぐに地面へ降りたり、また柵に飛び乗ったりと、落ち着きません。
最後は親鳥が飛び立つと近くの電線に止まって鳴きました。
明らかに家族群という印象を受けました。
2016/07/18
杉林の雪面に残るニホンカモシカの足跡を追う
2013年4月上旬
杉を植林された山で林床の残雪を踏みしめて歩いたニホンカモシカ(Capricornis crispus)の足跡を追いかけてみました。
急斜面をトラバースして雑木林の方へ登って行ったようです。
2016/07/03
農道で道草を食うニホンザル
2012年5月中旬
山間部の水入れ前の田んぼで、奥の農道を遊動する野生ニホンザル(Macaca fuscata)を見つけました。
二頭が相前後して左へ向かっています。
途中で立ち止まり、文字通り道草を食っています。
採食メニューは残念ながら遠過ぎて不明ですが、何やら草を毟っているように見えます。
二頭がすれ違う際にマウントするかと思いきや、毛繕いすらしませんでした。
最後は杉林の中へ消えました。
林縁の農道に水仙の群落があり黄色い花を咲かせていますが、通りすがりのニホンザルが猛毒の水仙の葉には見向きもせず採食しなかったのは流石です。
人間界ではニラと誤認して水仙の葉を食べてしまい中毒死する事故が毎年報じられています。
2016/06/26
雪山に残るホンドギツネの足跡
2013年3月下旬
雪に覆われた里山の尾根道でホンドギツネ(Vulpes vulpes japonica)のものと思われる足跡を雪面に見つけました。
強い風が吹き付ける稜線ではなく、並行する細い林道を選んで歩いています。
タヌキと異なり、キツネは前足跡の上に後ろ足を重ねて歩くため、足跡の歩行パターンはほぼ一直線になるのが特徴です。
このようなハンター歩きをすることで地面に残る足跡の数が半分になり、追跡する獲物に気づかれにくくなると考えられています。(『哺乳類のフィードサイン観察ガイド』より)
▼関連記事
・泥に残されたタヌキの足跡
・雪山でタヌキの足跡を追跡してみる
15cm定規を並べて置く。 |
2016/06/24
夜の小川沿いを逃げるハクビシン【暗視映像】
2016年5月中旬・午後19:04
山裾の用水路沿いで日没後に疲れて座り込んでいたら、私の背後から疎水のフェンスに沿ってハクビシン(Paguma larvata)がコンクリート岸壁を歩いて来ました。
私が慌てて赤外線の暗視ビデオカメラを構えたら、カチッというスイッチ音に驚き、対岸のハクビシンは慌てて走って引き返しました。
赤外線LEDに切り替わる前に眩しい白色LEDが点灯する仕様になっているのも仇となりました。
カチッカチッとスイッチを2回押さないと暗視モードにならないのです。
辛うじて撮れたのは、逃げる後ろ姿だけでした。
もしビデオカメラを前もって起動していれば、プレレコーディング機能で遭遇シーンをしっかり撮れたはずです。
痛恨のミス…。
撮影時刻は午後19:04。
ちなみに、日の入り時刻は18:41。
現場は山麓なので、それよりもだいぶ早く太陽は山の陰に沈みます。
実はこの近くで昨年の夏2015年8月上旬の晩に暗闇を歩いていたら、謎の動物とニアミスしました。
出会い頭に驚いた小動物がギャー!とかグヮー!とかいう凄まじい絶叫を発して逃げて行き、私も肝を冷やしました。
その正体は、タヌキではなくハクビシンだったのかもしれません。
この辺りでよく見かける謎の獣糞の主もこれで分かりました。
予算があれば、獣道に無人のカメラトラップを仕掛けてみるのもきっと楽しそうです。(やりたいことが多過ぎて手が回りません。)
ハクビシンを撮れたのは2回目です。
▼関連記事
ハクビシンの早朝散歩
【追記】
古谷益朗『なぜハクビシン・アライグマは急にふえたの? (シリーズ鳥獣害を考える)』という本を読んだら、なぜこの場所でこの時間帯に出会えたのか謎が解けました。
ハクビシンはねぐらやエサ場をゆききするとき、池や川、用水路、側溝(下水などを流すみぞ)などの水ぎわを好んで利用します。そして、移動中にふんをしたときは、水の中にかくすのです。 (p10より引用)
ハクビシンやアライグマは、移動には用水路や側溝、川などをつかいます。市街地では、おもに側溝が利用されています。ところが、農村では、田や畑に水をひくために用水路が網の目のように整備されています。このよく整備された水路網をつたって、ハクビシンやアライグマは自由自在に移動できるのです。 (p24より引用)
2016/06/04
暗闇に光るネコの目【暗視映像】
2015年8月上旬・午後20:08
道端の原っぱ(駐車場かも?)で夜、ネコ(Felis silvestris catus)が地面に座って(伏せて)いました。
赤外線の暗視カメラで撮ると、警戒したネコの目が爛々と光っています。
バッテリーが切れかかっていて、赤外線が弱いのが残念です。
逆にネコから私はどのように見えているのでしょう?
横の車道を車が通ると、ネコは不安そうに目で追いました。
私が動かずに撮り続けると、ネコはやがて立ち上がって歩き去りました。
途中で一度だけ立ち止まって振り返りました。
近くの民家で飼われているのでしょう。
2016/05/18
ニホンカモシカとの出会い:鼻息威嚇♪
2016年4月下旬
下山していると、私の足音に驚いた野生ニホンカモシカ(Capricornis crispus)が林道の前方に現れました。
カモシカは振り返って静止したまま、こちらの様子を窺っています。
本当は身動きせずに撮影するのが鉄則ですけど、手前の灌木でカモシカの顔が隠れていたので、撮りながらそっと横にずれました。
個体識別できる特徴の有無をチェックしたかったのです。
私の動きに反応したカモシカは鼻息を鋭く吐いて威嚇しつつ、林道の脇の茂みへ逃げ込みました。
斜面を下って行った模様。
夕方で薄暗い時間帯なので(午後17:08)、直前に望遠レンズを外していたのが残念。
2016/05/09
雪国で疥癬タヌキの散歩を追跡すると…【後編】
2016年2月上旬
▼前回の記事
雪国で疥癬タヌキの散歩を追跡すると…【前編】
疥癬の軽症例と疑われる野生ホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)を追いかけて私も慌てて車道に戻りました。
先回りして待ち構えていると、タヌキが雪原からのこのこと出てきて、暖冬で雪の無い車道に飛び降りました。
タヌキのロードキルを路上でよく見かけるので、通りかかる車に轢かれるのではないかと案じましたが、このタヌキはパニックにはならず車道の右端を歩いてくれて一安心。
私はビデオカメラで撮りながら歩いてタヌキを尾行します。
タヌキのすぐ横を車が通りすぎた際はさすがに少し怖がって、道端の雪の壁に引き返し登ろうとしました。
車もタヌキに気づいて少し徐行してくれたようです。
やがてタヌキは右折し、民家の敷地(駐車場)へ入りました。
車庫の入り口隅に開けられたキャットドアに迷いなく向かうと、頭から潜り込んだので、意外な結末に衝撃を受けました。
「それではドロンします♪」と昼間からタヌキに化かされたような気がしました。
勝手に侵入して居候しているのかな?
それとも、ここで餌付けされたり飼われたりしている個体なのでしょうか?
首輪こそ付けてなかったですけど、このタヌキの行動を振り返ると、まるで躾の良いお利口な飼い犬が独りで日課の散歩をしているような風情でした。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
【追記】
中嶋捷恵『我が家にはいろんな動物がやって来る』という本によると、疥癬タヌキが回復する事例もあるそうです。
最近ではダニがタヌキに寄生して疥癬による皮膚病を引き起こし、それが次々と他のタヌキに伝染して多くのタヌキが死んでいった。症状が現れ始めるのは10月〜11月で、末期(1月〜3月)になるとほとんど毛が抜け落ちて丸裸の状態になる。直接の死因は寒さかもしれない。ところが、この時期を何とか乗り切り、6月の雨季を迎える頃まで生き長らえば、余命いくばくもないように見えていても何故か毛が蘇り、真夏にはすっかり回復して元気なタヌキに戻るのである。この皮膚病は温度や湿度、あるいは食べ物と何らかの関係があるのだろうか。同じ例がここ2年続いている。(p8より引用)
筆者は自宅の裏庭に現れる野生動物を餌付けして、タヌキを毎日のように長年観察しています。
個体識別もできているので、信頼できそうな情報です。
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哺乳類
2016/05/08
雪国で疥癬タヌキの散歩を追跡すると…【前編】
2016年2月上旬
農村部で一頭のホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)が歩いていたので、追跡することにしました。
ビデオカメラを手に忍び寄ってみると、タヌキは針葉樹の根本をうろついています。
地面(雪面)の匂いを嗅ぎまわって食物を探し当てたようで、何かを口にしました。
雪面を歩き始めたタヌキを見ると、全身がずぶ濡れで毛並みがとても悪い個体です。
頻繁に身震いして、ボサボサで油気のない毛皮から水気を飛ばそうとしています。
明らかに病気のタヌキです。
この症状は疥癬にかかって毛が抜け始めたのですかね?(間違っていたらご指摘願います。)
撮影は2月ですから、タヌキの毛が冬毛から夏毛に自然と生え変わる換毛期(5〜7月)ではありません。
たんに老齢で脱毛している可能性もありますかね?
参考資料:「タヌキの脱毛症状(疥癬症)について(2010年7月暫定版)PDFファイル」
雪面に残るタヌキの足跡はフィールドサインの本に書いてある通りで、確かに狐と異なり左右の幅があります。
雪囲いされ冬は使われていないログハウスにタヌキは向かうと、その周囲をぐるっとひと回りしました。
一度は中に侵入しかけたものの、すぐ外に出てきました。
ログハウスを一周したタヌキが反対側の軒下で身震いしました。
私の方を見ても、さほど驚いた素振りはありませんでした。
衰弱しているのか、それとも本来タヌキは視力が弱いのかな?
タヌキは再び雪面を歩き始めました。
大木の根元で露出した地面の匂いを嗅いでから、また身震いしました。
私が急いで先回りして待ち伏せしていると、タヌキが右手から雪原を歩いて来ました。
除雪されて雪の無い舗装路に飛び降りると、道の真ん中の匂いを嗅いで立ち止まりました。
こちらを振り返ってもそれほど驚かず、トコトコと歩き去りました。
仮に目が悪いにしても、イヌ科の嗅覚で私の存在には気づいているはずです。
大胆なのかと思いきや、路上の枯葉が風で動いたのに反応して振り返りました。
やはり衰弱しているのか、あるいはよほど人馴れした個体なのではないかという気がしてきました。
建物の角を曲がるとスギ疎林の方へ向かい姿を消しました。
慌てて追いかけると、沢に近い杉の木の下でタヌキと再会。
地面が露出した林床の匂いを嗅ぎ、身震いしていました。
後で思うと、杉林にタヌキの溜め糞の有無を確認すべきでしたね…。
もしかするとタヌキは縄張りをパトロールしてから杉林に溜め糞(共同便所)をチェックしに来たのかもしれません。
実はタヌキは私の存在に気づいていて目を合わさないように木陰に隠れたり私をまこうとしているのかと思いきや、また戻って来ました。
左脇腹の毛が抜けているように見えますが、毛皮が水で濡れているだけなのか、素人目には分かりにくいです。
やっぱり疥癬症の軽症例なのかなー?
疥癬とは、ヒゼンダニ類のダニが皮ふに寄生しておこる、かゆみを伴った伝染性皮膚疾患である。タヌキから発見されたヒゼンダニは、センコウヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)であった。(中略)重篤な状態になったタヌキの大部分が、細菌の二次感染や冬季の体温維持不全などにより死亡する。タヌキは雪原をどんどん歩いて車道の方へ向かっています。
(現代日本生物誌3『フクロウとタヌキ:里の自然に生きる』p104より)
果たしてどこへ行くのでしょうか?
つづく→後編(衝撃の結末を見逃すな!)
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
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哺乳類
2016/04/23
岩山を遊動するニホンザル
2015年11月中旬
▼前回の記事
野生ニホンザルの交尾
交尾していた野生ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)の♀♂ペアが居なくなってすぐ、別の猿が岩山の下から登って来ました。
股間に睾丸が見えますが、赤くないので若い♂(発情していない)のようです。
もう1頭は♀かな?(自信なし)
2頭が連れ立って斜めに登り、群れの後を追うように遊動して行きました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
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2016/03/20
野生ニホンザルの交尾
2015年11月中旬
▼前回の記事
ニホンザル♂を毛繕いする発情♀(求愛・誘惑・前戯)
野生ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)の♀♂ペアが岩山(採掘場跡?)で群れから離れて毛繕いを続けています。
小柄な♀は♂の毛皮から蚤取りしつつ、♂に体を密着させています。
突然♂が♀の背後に回って馬乗りになりました。(マウンティング@1:27)
その後♂は四足になり、岩山の麓を見下ろしています。
その脇腹を♀が甲斐甲斐しく毛繕いしています。
再び♂が♀に短いマウントを行うと(@2:25)、カップルは仲睦まじく並んで座りました。
もう一度♂が♀に短いマウントを行いました。(@3:00)
胡座をかいて座った♂が自分の右腿および脛を掻いて毛繕い。(@3:13)
その間、♀は手持ち無沙汰になりました。
また♂が♀に短いマウントを行いました。(@4:00)
これを最後に♂が♀から離れ、独りで右へ歩き去りました。
おそらく群れの本隊と合流するのでしょう。
♀は少し追いすがるも、居残りました。
岩山を右へトラバースした♂は灌木の茂みに姿を消しました。
♂の後ろ姿を見つめていた♀も別ルートで同じ方角へ移動を開始。
斜面を斜めに登り、ススキの茂みに姿を消しました。
♀の臀部(お尻)も赤くなっていて、これが発情の印です。
※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。
野生ニホンザルの配偶行動らしきものを初めて観察できて非常に嬉しく思いました。
♂から♀へ毛繕いのお返しが一度もありませんでした。
このカップルの場合は、♀が♂にすっかり惚れていて、好意が♀から♂へ一方的なのだろうと解釈しました。
♂が交尾を挑む寸前に♀が♂にプレゼンティングしたのかどうか、私にはその辺りの機微がよく分かりませんでした。
今回のペアは♀の毛繕いを受けて高まった♂が短時間のマウントを計4回繰り返しましたが、本当に交尾したのでしょうか?
挿入や射精の有無は確信がもてませんでした。
マウントの際に♂は腰をスラスト(ペルヴィック・スラスト)しておらず、素人目にはペニスを挿入したようには思えません。
交尾を迫る発情♀の機嫌を損ねないように(♀に恥をかかせないように)形式的な(お座なりな)マウントではないか?という気もします。(擬人化し過ぎ?)
ニホンザルの交尾の挿入時間は通常この程度の短さなのですかね?
別れた後、♀の尻に精液が付着しているようにも見えません。(遠過ぎる?)
別れ方も淡白で、♂は♀に何の未練もなく離れて行きました。
♂を追いかけなかったということは、交尾・射精が無事に終わり♀が満足したと判断して良いのかな?
ニホンザルは妊娠可能な発情♀をライバル♂から守る交尾後ガードをやらないのでしょうか?
『ニホンザル観察事典』p34-35によると、
・発情した♀は、おしりを赤くはれあがらせ、「ウニャー、イヨウー」と切なげに鳴きつづけます。そして、♂が♀にさそわれると、体にふれてみたり、目をのぞきこんだりして、相手を確かめます。
♀の申し出を♂が受け入れると、やがて交尾が始まります。よつんばいになった♀の腰に、♂が後ろから馬乗りをするようにして、交尾が行われます。そう、力の順位をしめすマウンティングとおなじ姿勢です。
・♂と♀は、その日一日はいっしょにいて、何度か交尾をおこないます。
今回は発情した♀の鳴き声を聞きそびれたのが残念です。
つづく→岩山を遊動するニホンザル
2016/03/05
ニホンザル♂を毛繕いする発情♀(求愛・誘惑・前戯)
2015年11月中旬
下山中に山の方から変な鳴き声(短い叫び声の繰り返し)が聞こえたので立ち止まって見回すと、川を隔てた遠くの岩山の斜面に猿を見つけました。
ニホンザルの警戒声または♀による求愛コールだったのでしょう。
(映像はここから。撮影中のニホンザルは鳴き声を発しませんでした。)
岩山に野生ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)が二頭座っています。
体格差のある2頭は成獣の♀♂ペアであることが後に判明します。(♂>♀)
繁殖期で発情した成獣は♀♂共に顔が紅潮しています。
群れの仲間はどこにいるのか見当たりません。
このペアは群れの本隊からこっそり離れ、人目(猿目)を忍んで逢引(密会)しているようです。
初めは並んで座りこちら(里)を見下ろしています。
小柄な♀はキョロキョロして落ち着かない様子。
川を挟んで対岸から望遠レンズで撮影している私の存在は猿から丸見えなので、警戒しているようです。
♂の背後に回った♀が、♂の毛繕いをしようと背中に手を伸ばしたら、♂が怒りました。(逆鱗に触れた?)
怯えた♀は歯を剥き出した泣きっ面で地面に伏せました。
その♀に対して♂は軽くマウント(交尾ではなく優位行動)した後、左手に歩き去りました。
大きく発達した睾丸が股間に目立ちます。
叱られたのに、♀は♂の後をついて歩きます。
♀の方が♂に惚れ込んでいる印象を受けました。
今度はこちらに背を向け、並んで座りました。
♀はときどき振り返り、カメラを気にしています。
再び♀が♂の背中の毛繕いを始めました。
このスキンシップは♀からの熱烈な求愛行動も兼ねているのでしょう。
丹念に毛皮をかき分けて甲斐甲斐しく蚤を摘み取っては食べています。(左利きなのかもしれません。)
♂も毛繕いをされながら体をよじってこちらを見下ろしています。(じろりんちょ)
映像に写っていませんが、実は下に群れの仲間が居るのです。
♀は中腰になり、♂の肩の辺りを毛繕い。
遂に♀は立ち上がり、♂の後頭部を毛繕い。
とにかく♀は尽くすタイプなのか、この♂に首ったけなのか、一方的な毛繕いを長々と続けていました。
お返しに♂が♀を毛繕いすることは一度も見られませんでした。
この直後に交尾を始めたので、求愛や誘惑、前戯としての毛繕いだったようです。
♂にその気になってもらおうと♀が必死に機嫌を取っていたのでしょう。
(今回観察したカップルがたまたまそうだっただけで、ニホンザルの恋愛事情は様々あって面白いのだそうです。)
映像だけ見ると動物園のサル山のように思うかもしれませんが、あくまでも野生の生態動画です。
※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。
つづく→交尾
2016/02/25
笹の葉に眼下腺でマーキングするニホンカモシカ
2015年11月上旬
私が里山の山道を登っていると、横の藪に座って休んでいた野生のニホンカモシカ(Capricornis crispus)が驚いて立ち上がりました。
しばらく対峙した後に、いつものように鼻息を荒らげる威嚇をしつつ少し走り去りました。
絶好の撮影チャンスなのに、カメラの起動トラブルで痛恨のタイムロス。
(動画はここから。)
こちらを振り返ったカモシカの顔をよく見ても、耳介や角に個体識別できそうな特徴は無さそうです。(見覚えがない個体)
カモシカは道端の笹の葉裏の匂いを頻りに嗅ぐと、眼下腺を擦り付けてマーキングしました。(@0:23)
つづいて横から伸びた枯れ枝の先を齧りました。(@1:13)
採食というほど本格的ではなく、気紛れかもしれません。
緩やかな上り坂をゆっくり歩き去り、つづら折れを右に曲がり姿を消しました。
(映像はここまで。)
急いで追いかけるも、見失いました。
どうもカモシカにまかれたようで、なぜか背後から威嚇の鼻息が響いてきました。
私も真似して応酬します。
その後も再会できませんでした。
今思うと、カモシカがマーキングした笹の匂いを私も実際に嗅いでみればよかったですね…。
▼関連記事
ニホンカモシカの眼下腺マーキング
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哺乳類
2016/02/04
深夜および早朝にニアミスした野生ニホンカモシカの鼻息威嚇♪
2015年10月上旬
里山でイシサワオニグモ♀の円網を徹夜で監視している間に、椅子に座ったまま居眠りしてしまったようです。
内心ツキノワグマの出没を恐れていたのですが、現れたのは意外にもニホンカモシカ(Capricornis crispus)でした。
一度目のニアミスは午前4:06。
うたた寝していたら、至近距離からカモシカが鼻息を荒げながら走り去りました。
その前にカモシカが藪の斜面を登り砂利道を踏みしめる蹄の音を夢うつつで聞いたような気がしました。
深夜徘徊していたカモシカが山道で私に気づき、驚いて逃げて行ったのでしょう。
慌てて暗視ビデオカメラで撮り始めるも、赤外線が届かない範囲で姿は見えません。
寝惚けてレンズカバーの開閉をミスったのも私の狼狽っぷりを物語っています。
鳴き声(鼻息威嚇)だけでも録音することにしました。
暗闇でパニックになったカモシカに突進して来られるのは怖いので、追い払うため懐中電灯を点灯したら逃げて行きました。
カモシカが夜行性とは知りませんでした。
用心のために熊撃退スプレーを携帯していたのですが、寝落ちして野生動物が接近する気配に気づかなかったのが一番の不覚です。
この辺りが獣道だとしたら、カメラトラップ(トレイルカメラ)を仕掛けてみたら面白そうです。
二度目の遭遇は午前6:30。
夜が明けた早朝にもカモシカが再登場しましたが、やはり鼻息を聞いただけで姿は見つけられませんでした。
今度はハンディカムを掴んで鼻息を頼りに追跡してみたものの、藪の中に隠れてしまったのか、遭遇できませんでした。
同一個体が縄張りを巡回しているのでしょうか?
ひょっとして鳴き真似上手のカケスに騙されているのではないか?とふと疑問になりました。(本当にカモシカだったのかな?)
2016/01/25
夜の塀を歩くネコ【暗視映像】
2015年8月下旬・午後19:30
民家の塀の上に座り見下ろしていたネコ(Felis silvestris catus)を赤外線の暗視カメラで撮ってみた映像です。
首輪などは無いものの、飼い猫のようです。
真横で撮り始めても、耳を立てて警戒するだけでした。
欠伸をしながら立ち上がり、ストレッチ(伸び)してから立ち去ろうとします。
尻尾をピンと上げて歩き、塀の段差を身軽に降りて行きました。
2016/01/18
側溝に出入りするネコ
2015年10月上旬
道端で寝そべっていたネコ(Felis silvestris catus)がようやく立ち上がり、悠然と歩き去りました。
私も慌てて追いかけると、ネコが道端でこちらを振り返っていました。
警戒しているようで、水涸れした側溝に降りて身を隠しました。
側溝の中を少し歩いてまた振り向きました。
そのまま暗渠(トンネル)に潜り込むかと思いきや、外に出てきて物置小屋の角を曲がり草むらに姿を消しました。
猫は一挙手一投足が見ていて面白いです。
野良ネコをひたすら追跡して観察するのも楽しそうですが、すぐに撒かれてしまうのが難点です。
三部作完。
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2016/01/17
2016/01/16
農道をパトロールするネコ
2015年10月上旬
農村部で脇道(農道)を歩いていると、向こうから1頭のネコ(Felis silvestris catus)が歩いてきました。
どうやら近所で飼われている猫のようです。
望遠レンズで撮っている私に猫も気づき、立ち止まるとじっとこちらを凝視して警戒しています。
忍び足で更に近づいて来ます。
ときどき何かの物音に怯えて振り返りました。
左目が濁っていますかね?(白内障?)
私が行く手を塞いでいるので、ネコは遂にUターンして歩き去りました。
ときどきこちらを振り返ります。
轍の間で何か獲物(虫?)を見つけたようで草むらを調べています。(@2:50)
再び歩き始める際に軽く腰を屈めて排泄(排尿?)したように見えました。(@3:05)
しかしすぐに座り込んで毛繕いを始めたので、違うかもしれません。(自分の排泄物の上には座らないでしょう。)
股関を舐めています。
飛来したモンシロチョウ?にギクッと驚いたように身構えました。(@3:17)
立ち上がってまた歩き始め、今度は道端のイヌタデ群落を調べています。(@4:20)
虫を捕食しようとしているのかな?
ときどきこちらを振り返りながら、ゆっくりした足取りで奥を横切る車道に合流しました。
車道の手前の草地でごろんと寝そべり、毛繕いを開始。
つづく
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