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2018/07/08

樹上のトビを激しく襲うカラス混群【HD動画&ハイスピード動画】(野鳥)



2018年4月下旬

川沿いでトビMilvus migrans)が飛来してアカマツの樹冠の横枝に止まりました。
背後は杉の木で守られていますが、怯えたように辺りをキョロキョロ見回しています。
その周囲を数羽のカラスが飛び回り、樹上のトビを繰り返し襲い始めました。
近くの河畔林にカラスの営巣木がありますから、天敵の猛禽類を縄張りから追い払おうと激しいモビング(擬攻撃)を加えているのでしょう。
防戦一方のトビはピーヒョロロ♪と甲高い悲鳴を上げています。(威嚇の鳴き声?)
空からカラスが高速で向かってくると、頭を下げてお辞儀のような迎撃体勢になります。
ぶつかりそうになる寸前でトビが翼を広げて威嚇しました。
このとき翼裏面の白斑が見えたので、襲われている猛禽類の正体がトビと判明しました。
カラスもトビに対して神風特攻隊のように嘴でぶつかって行く意図は無く、あくまでも脅しのための擬攻撃で、トビの頭上すれすれを飛び交います。

モビングするカラスの動きが速過ぎて、なかなか外見から種類を見分けられません。
騒ぎの間、カーカー♪澄んだ声で鳴いていたので、ハシボソガラスではなくハシブトガラスCorvus macrorhynchos)のようです。
仲間を呼び寄せる声なのか、トビに対する威嚇の鳴き声なのでしょう。
3羽のカラスが代わる代わるモビングしていました。
つがいとヘルパーなのか、あるいは隣の縄張りのカラスが加勢しに来たのかもしれません。

途中から240-fpsのハイスピード動画に切り替えてカラスのモビング行動を記録してみました。(@1:50〜3:21)
カラスはとにかく天敵の猛禽類を飛び立たせて縄張りから追い出したいようです。
トビの頭上をかすめるように飛んだり、トビが止まっている横枝のすぐ下を高速でくぐって飛ぶこともあり、なかなかスリリングです。
トビが翼を広げて威嚇した拍子に白い羽毛が1枚抜け落ちて飛び散りました。

スローモーションでじっくり見てもなかなかカラスの種類を同定できません。
しかし一羽が樹間の空を背景に飛んだ瞬間に横向きの頭部のシルエットが一瞬見え、ようやくハシボソガラスと分かりました。
ということは、ハシブトガラスだけでなくハシボソガラスも共同戦線を張って共通の天敵に対してモビングしているようです。

今思うと、直接トビに飛びかかっている個体と遠巻きで鳴き騒いでいるだけ(野次馬)の個体とを区別して見分けるべきでしたね。(動画撮影に集中していると、なかなかそこまで気が回りません)

後半はHD動画に戻しました。
カラスの中には空中戦に加勢せずにすぐ左のアカマツの枝に止まって鳴き騒ぎ、トビに圧力をかける個体も居ます。(松葉の茂みに隠れて映像ではよく見えません)

頭上スレスレのモビングをかわす際にトビが堪りかねたようにフワリと飛び上がり、右の枝先へ移動しました。(@3:35)
枝先は細いので、ますますトビの足場が不安定になります。(トビが動く度に枝が激しくしなります)
再びトビがフワリと飛び上がり、横枝の中間部へ戻りました。(@4:05)
ここなら足場が比較的安定しています。

一層激しくなったカラスの波状攻撃に耐え切れず、遂にトビがアカマツ樹上から飛び立ちました。(@4:28)
空中でもカラスが容赦なく襲いかかります。
急激な方向転換など飛翔時の敏捷性はトビよりもカラスが上手です。
トビはピーヒョロロ♪と甲高く鳴きながら羽ばたきと旋回(滑翔)を繰り返し、必死で逃げ惑います。
追い回すカラスがガーガー♪と濁った声で鳴いていたので、やはりカラスの連合軍にはハシボソガラスが混じっているようです。
最後に右手(川の上流)へ飛び去るつがいのシルエットもハシボソガラスでした。
一方、アカマツの樹上には2羽のハシブトガラスが残っていました。
このつがいは左手(下流へ)へと澄んだ声で鳴きながら飛び去りました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

7日前に対岸から撮影したモビングも丁度この辺りで行われたことに気づきました。
トビとカラスは人知れず連日のように神経戦を繰り返しているのでしょう。

▼前回の記事
河畔林でトビを追い回すカラスのつがい(野鳥)



【追記】
中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』という本を読むと、2種類のカラスの関係性について興味深い記述がありました。

ボソとブトの両種は鳴き声が違うだけでなく、お互いの言葉が通じていないという説もあります。ただ、悲鳴の声(Distress Call)などは種を超えて理解しあっているようにも思います。 (p48より引用) 
大人のボソとブトが仲良くすることはない。 p66より引用)


トビ(野鳥)@アカマツ樹上

トビ(野鳥)@アカマツ樹上vsカラスsp@モビング
トビ(野鳥)@アカマツ樹上vsカラスsp@モビング

ハシブトガラス2(野鳥)@アカマツ樹上+モビング後

2018/07/05

回転翼を持つヒマラヤスギ種鱗の回転落下【ハイスピード動画】風による種子散布



2018年7月上旬

昨年の晩秋に採集したヒマラヤスギの球果を室内で乾燥させて多数の果鱗を得ました。

▼前回の記事
ヒマラヤスギの完熟した球果から剥落する果鱗

果鱗は更に種鱗と苞鱗へと自然に分解します。
種子には紙のように薄い翼が付いていて、プロペラの羽根のようになっています。
自然界では枝の上で熟した球果から次々と剥落し、風に流されて飛ぶことで遠くまで種子が散布されるのです。
このような種子散布の方法を風散布と呼びます。

室内で簡単な実演をしてみました。
半年も保管しておいたヒマラヤスギの果鱗から苞鱗を除いて種鱗だけを選り分けます。
脚立の上に立って大量の種鱗を撒き散らし、落下する様子を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
1/8倍速のスローモーションで見ると、個々の種鱗は風車のようにくるくると激しく回転します。
回転の向きは右回り、左回り、共に見られ、回転速度もまちまちでした。
種子に回転翼を備えたことで、ただの自由落下よりも種子の滞空時間を伸ばし、その間に横風が吹けば飛距離が伸びる(より広範囲に種子散布される)ことになります。

カエデの種子も似たような形状をしていて、翼果と呼ばれています。
植物学の用語に疎い私はヒマラヤスギの場合も「翼果」と一緒くたにして呼びたくなります。(私には「翼果」の方が馴染みのある用語なのです。)
しかし、ヒマラヤスギは裸子植物ですから被子植物の翼果と混同するのはおそらく間違っていて、機能や形態が似ているのは進化上の収斂なのでしょう。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

シリーズ完。


ヒマラヤスギ種鱗。フローリングの板の幅は7.5cm

2018/06/26

ツリフネソウに訪花するクロホウジャク?(蛾)の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2017年8月下旬・午後17:00頃

山麓の湿地帯に咲いたツリフネソウの群落で夕方近くにスズメガの一種が複数個体(少なくとも2頭以上)訪花していました。
花から花へとにかく忙しなく飛び回り、ホバリング(停空飛翔)しながら、ゼンマイのように巻かれた長い口吻を距の奥に差し込んで吸蜜しています。

後半は240-fpsのハイスピード動画に切り替えて、この激しい羽ばたきを撮ってみました。(@0:13〜)
1/8倍速のスーパースロー映像で見ても羽ばたきが速過ぎて、翅の斑紋などの特徴が見分けられません。

蛾を同定するためにストロボを焚いて翅の動きを止めた写真を撮りたかったのですが、やや遠くてストロボの光が届かないかな?と躊躇していたら蛾は逃げてしまいました。
近づくには長靴を履いてぬかるんだ湿地帯に踏み込まないといけないのですけど、この日は普通の靴でした。
おそらくクロホウジャクMacroglossum saga)ではないかと思うものの、定かではありません。
私の撮影スタイルは行動を記録するための動画中心なので、どのぐらい粘って動画を撮ったら写真に切り替えるか、という咄嗟の判断が遅れると虫に逃げられ悔しい思いをすることが多いのです。

同じ場所で後日、同じ被写体の撮影に再チャレンジしました。
同定用の写真とHD動画は撮れたものの、今度はハイスピード動画を撮る前に逃げられてしまいました。
どれか一つ撮るなら比較的容易いのですが、三つ全て撮るのはなかなか難しいのです。


▼関連記事
ツリフネソウの花で吸蜜ホバリングするクロホウジャク(蛾)

スズメガ類はツリフネソウに正当訪花するのですが、送粉者ではりません。
スズメガ類は細長い口吻を伸ばして手を汚さずに(雄しべの葯に全く触れずに)花蜜を効率的に吸えるので、花の受粉には全く寄与しません。
ツリフネソウにしてみれば、困った泥棒(盗蜜者)なのです。


田中肇『花と昆虫:不思議なだましあい発見記』によれば、

ツリフネソウの花をねらう泥棒は多く、花の正面から蜜や花粉をねらう昆虫もいる。(中略)スズメガ類はヘリコプターのように飛びながら花のまえの空中に静止し、3cm以上もある長い口を花の奥にさしこんで蜜を吸う。筒はその口よりは浅いので、ガの頭や体は雄しべや雌しべに触れない。もし口が触れることがあっても、細い口につく花粉はわずかだし、ついた花粉が針のように細い雌しべの先につく確率はたいへん低いと考えられる。このガも、ツリフネソウにくる泥棒なのだ。 (p140より引用)


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
実際はもう少し薄暗い条件でした。


2018/06/03

ソメイヨシノの幹をつつくアカゲラ♂♪【HD動画&ハイスピード動画】(冬の野鳥)



2018年2月上旬・午後12:00頃

小雪がちらつく正午頃、民家の庭から啄木鳥の鳴き声がするので探すと、庭木ソメイヨシノの幹をアカゲラ♂(Dendrocopos major)が登り降りしていました。

キョッキョッ♪と鳴きながら、桜の幹を嘴でコツコツ、コンコン♪と激しくつついています。
後半は、木をつつく行動を240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮ってみました。(@0:34〜)
無音になるのは、カメラの仕様です。

スローモーションで見ると、樹皮の破片が砕け落ちる様子や舞い散る雪が絵になりますね。
つついた直後に材の破片を嘴で千切り取って捨てています。
アカゲラ♂は幹の同じ場所に狙いを定め、繰り返しつついて穿孔しようとしています。
力任せにつつくだけではなく、嘴を穴に差し込んで首をねじりドリルのように繊細に動かしたり、つつく角度を変えたりすることもありました。
つつく合間に、細い針金のような舌が嘴に引っ込むのが見えました。
しかし材の中に潜んでいるカミキリムシなどの幼虫に逃げられたようで、獲物を捕食することなくアカゲラ♂はつつく場所を変えました。



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


アカゲラ♂(野鳥)@ソメイヨシノ幹+樹皮つつき

2018/05/27

ヒメスズメバチ♀の奇妙な扇風行動【HD動画&ハイスピード動画】



柳の根際に営巣したヒメスズメバチの記録#4

前回の記事#3

2017年9月中旬・午後15:27〜15:35・気温28℃

前庭で巣穴の方を向いて休んでいたヒメスズメバチ♀(Vespa ducalis)が突然、その場で羽ばたき始めましたので驚きました。
実際は飛翔時のように猛烈な勢いで羽ばたいているのですが、映像ではストロボ効果の錯覚により羽ばたきが遅く見えています。
休息を挟みながら扇風行動を断続的に繰り返していました。

後半は、定位飛行および扇風行動の羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画でも撮影してみました。(@3:01〜)
♀αが扇風行動を止め前庭で休んでいると、別個体♀βが飛来しました。(@4:04)
それに反応して飛び立つと、すれ違う際に接触し、♀αはバランスを崩して一瞬着地。
♀βはさっさと巣に入りました。
♀αは低空で定位飛行を続けます。
スローモーションで見ると、空中でホバリング(停空飛翔)している間も頭がキョロキョロと油断なく動いていました。
アシナガバチとは異なり、飛翔中は空気抵抗を減らすために脚を縮めて体に引きつけています。

スズメバチ類は真夏に気温が約30℃を越えると、育房内の幼虫や蛹を守るために巣を冷やそうとワーカーが巣の外被上で羽ばたいて扇風行動を行います。
巣口に風を送り込んで巣内の温度を冷やすのです。
しかし、今回の個体は巣の外被から離れている上に頭を巣に対して斜めを向けています。
したがって、いくら羽ばたいても風が巣には送り込まれず、体力の無駄でしかありません。
扇風による巣の冷却や換気の効果は全く期待できないことになります。
撮影しながら気温を測ると28℃でした。
日向の地面はもう少し暑くて30℃を越えていた可能性があります。
前庭の地表温度を測りたかったのですが、この個体が居座っているために近づけませんでした。
日光浴して暑くなったのなら日陰に移動すれば済む話なのに、わざわざ体力を消耗する扇風行動を行う意味が分かりません。
むしろ日向で定位飛行や扇風行動などの激しい運動をすれば体温は更に上昇するはずです。
もし捕獲したスズメバチを飼育中に室温を上げたら、たとえ巣がなくても簡単に扇風行動を誘発できるのか、確かめてみたいものです。

昆虫は変温動物なので、飛び立つ前に飛翔筋の入念な準備運動をして体温を上げる必要がある種もいます。(体重の重い昆虫や、気温が低い夜に活動する種など)
しかし、日向で日光浴をしているヒメスズメバチの体温は充分に高いはずです。

巣の前庭で扇風しながら腹端をやや持ち上げているため、もしかすると交尾前の新女王が雄蜂を誘引する性フェロモンを積極的に拡散しているのだろうか?と素人が勝手な妄想を逞しくしてみました。(私の知る限り、スズメバチでそのような行動は報告されていません)
この仮説は、ミツバチによる「匂い扇風」から連想したものです。
しかし、観察をしばらく続けても、営巣地の周囲にヒメスズメバチの雄蜂♂が殺到することはありませんでした。

柳の根際の土中に作られた巣が掘り返された(崩落した?)形跡があるため、そもそも異常な行動を見ているだけ、という可能性もあります。
巣が壊され女王蜂を失うとコロニーの統制が喪失し、ワーカー♀が呆然と様々な異常行動を示すようになるのかもしれません。
以前、山中で観察したチャイロスズメバチの巣が壊された後の行動も、巣を再建せずに呆然と無為に過ごしているようでした。

▼関連記事
破壊された巣とチャイロスズメバチ♀残党

謎の行動を繰り返している個体が1匹だけというのが、とにかく奇妙です。
一見無駄に見える定位飛行や扇風行動を繰り返しているのは、とにかく元気が有り余っている個体なのでしょうか?
それとも異常行動なのでしょうか?
ネジレバネなどに寄生された個体が異常行動を取るようになったのか?とか、巣を駆除する際に使われた殺虫剤(神経毒)が残留していて、その影響で異常行動をするようになったのか?などと想像してしまいます。


ヒメスズメバチのコロニーが解散したら初冬にでも巣の発掘調査をしようと計画していたのに、どうも何者かに巣を壊されてしまったようなのです。
巣の破壊状況を早く自分の目で確認したいのはやまやまなのですが、高価な防護服を持っていない私はなかなか巣に近づけません。
それでも安全に巣を調べる工夫を思いつきました。

つづく→#5:壊されたヒメスズメバチの巣穴を深夜に覗いてみると…【暗視映像】


2018/05/19

柳の根際にヒメスズメバチの巣を見つけた!



柳の根際に営巣したヒメスズメバチの記録#1


2017年9月上旬

フィールドでハキリバチの一種♀が丸めた巣材の葉を脚で抱えて飛来し、地上の穴?に潜り込むのを目撃しました。
ハキリバチ類はてっきり借坑性だと思っていたので、坑道を掘るハキリバチが居るとは驚きです。
ノネズミの古巣を利用したのかな?
慌てて茂みをかき分け地面に這いつくばって探したものの、そのまま蜂を見失ってしまいました。
しかし、すぐ近くにヒメスズメバチVespa ducalis)が出入りする巣があることに気づきました。
私にとってハキリバチの巣の方が激レアなので本当はそちらの方に興味があるのですが、スズメバチの巣の近くで無防備に地面を掘り返したりしたら振動でヒメスズメバチのワーカー♀に誤解されて攻撃されるかもしれません。

(一応、日本に暮らすスズメバチ類の中でヒメスズメバチは攻撃性が最も低くておとなしい、という知識はありました。)
仕方なく、観察対象をヒメスズメバチに切り替えることにしました。

湿地帯と池遊歩道の境界に生えた柳の根際で土がえぐれたような穴が開いていて、その奥に営巣しているようです。

観察を始めると帰巣したワーカー♀が私の体の周囲につきまとうように飛び回りましたが、毒針で攻撃してくることはありませんでした。
飛びながら私に対して大顎を鳴らす警告行動も示しませんでした。
重低音の羽音が恐ろしげですけど、こちらがじっとフリーズしていれば大丈夫です。
このときパニックになって蜂を手で払いのけるような激しい仕草をしないことが大切です。
本で読んだ通り、ヒメスズメバチはやはり攻撃性が低いようです。
私は野山に出かける際はいつもスズメバチを刺激しないような服装を心がけています。
(黒い服は避け、黒髪も帽子などで隠す、人工的な香料を含む香水や整髪料などは一切付けない、など。)
決して無茶な撮影をしている訳ではなく、とにかくスズメバチの習性と対処法をよく知っておけば身を守れます。

蜂を無闇に恐れる必要はありません。
ただし、もしこれがオオスズメバチの巣だったら私もこれほど大胆な撮影はしていません。(防護服が必要です)

冒頭の帰巣シーンはほんの一瞬の出来事なので、1/2倍速のスローモーションに加工しました。(@〜0:23)
巣に出入りする蜂をどう撮るか試行錯誤しましたが、カメラを地面に置いて撮影してみると、飛翔シーンの臨場感が増しますね。
ワーカー♀が連続して帰巣する数が多いので、コロニーの規模がかなり大きそうです。

地上すれすれで飛んで来た蜂が軽くホバリング(停空飛翔)してから草むらの奥に消えて行きます。
3匹が続けざまに帰巣するのを観察しています。
巣の手前に着地すると最後は歩いて入巣しました。
珍しく柳の根際まで直接飛んで土手に着陸してから歩いて入巣する個体もいました。
出巣する際も、穴から歩いて外に少し出てきてから離陸しました。
2匹のヒメスズメバチが巣の手前の空中ですれ違うシーンも撮れました。
営巣地の前に居座る見慣れない存在(=私)を警戒しているのか、帰巣前に近くの草むらや柳の枝葉に止まって小休止する個体も見受けられました。

最後に、帰巣するワーカー♀の羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画でも撮影してみました。(@5:12〜)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

これから定点観察に通うことにします。

つづく→#2:定位飛行と日光浴を繰り返すヒメスズメバチ♀の謎



2018/05/14

池から次々に飛び立つダイサギ(野鳥)【HD動画&ハイスピード動画】



2017年10月中旬

浅い池で3羽のダイサギArdea alba)が互いに離れ片足立ちでのんびり佇んでいました。
私がしつこく望遠レンズを向けていると警戒され、まず一羽aが飛び去りました。(撮影に失敗して映像無し)
続けてもう一羽bが飛び立ちました。(@1:19)

最後に残った個体cの飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@1:27〜)
身を屈めて脚力でジャンプしながら翼を力強く羽ばたいて離陸します。
白鷺の美しい飛翔シーンを上手いこと流し撮りすることができました。
スローモーションにすると見応えがありますね。
先に飛び去った仲間の後を追うように同じ飛行ルートを取りました。


後半は、飛び立つ前の行動をとらえたおまけの映像です。

別の記事にするまでもないと思い、ここでついでに紹介します。

(その1:身震い@2:25〜)
池に佇んでいた個体cがその場で翼を激しくばたつかせて身震いしました。
顔も左右に振っています。

(その2:漁の失敗@2:51〜)
浅い池を渡渉していたダイサギcが突然嘴を水面に突き刺しました。
しかし魚を取り逃がしてしまったようです。
顔を左右に激しく振って、濡れた嘴の水気を切りました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/05/06

セイタカアワダチソウを訪花するイチジクキンウワバ(蛾)の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2017年10月下旬

平地の農道沿いに咲いたセイタカアワダチソウの群落でイチジクキンウワバChrysodeixis eriosoma)が訪花していました。
半開きの翅を細かく震わせながら吸蜜しています。
吸蜜中はいつも花穂に足を掛けているので、ホバリング(停空飛翔)ではありません。
秋晴れの午後で気温は決して低くないはずですが、常に飛び立つ前の準備運動(アイドリング)をする必要があるのでしょう。

後半は花から花へ飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@1:16〜)
スローモーションにすると見応えある飛翔シーンだけでなく、口吻の素早い抜き差しがよく分かります。
花から口吻を引き抜くと、ゼンマイのようにくるっと丸まります。
ところで、後脚の腿節に毛が密生しているのは何か意味があるのでしょうか?
吸蜜中にブラシのような毛束に花粉が付着して次の花に授粉しやすいような体の作りになっているのかもしれません。(送粉者)

ストロボを焚いて同一個体を連写してみると、私にもなんとかイチジクキンウワバと写真同定できました。

参考サイト:類似種ミツモンキンウワバとの見分け方(by蛾LOVEさん)
吸蜜に夢中だったようで、HD動画だけでなくハイスピード動画、同定用の静止画と全て撮らせてくれて、最高の被写体でした。
ちなみに、インターネットで調べものをしていて「へーっ」と思ったのは、イチジクキンウワバという和名について。

幼虫は特定の食草をもたず, ゴボウなど圃場の作物につくことも多い. 和名は古い国外の食草の記録に由来すると思われ, 本種の食性を正しく表したものではない. (「Digital Moths of Japan」サイトより引用)


イチジクキンウワバ(蛾)@セイタカアワダチソウ訪花吸蜜
イチジクキンウワバ(蛾)@セイタカアワダチソウ訪花吸蜜
イチジクキンウワバ(蛾)@セイタカアワダチソウ訪花吸蜜
イチジクキンウワバ(蛾)@セイタカアワダチソウ訪花+飛翔
イチジクキンウワバ(蛾)翅裏@セイタカアワダチソウ訪花吸蜜

2018/05/03

池を歩きながら排泄するダイサギ【ハイスピード動画】(野鳥)



2017年10月中旬

水深の浅い溜池をダイサギArdea alba)が歩いて横断しています。
飛び立ちあるいは魚を捕食する瞬間を記録しようと240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
私の予想は外れたものの、その代わりに偶然、ダイサギの排泄シーンが撮れていました。

浅い池を歩いていたダイサギが一瞬立ち止まって液状便を排泄しました。(@0:30〜0:34)
その後ダイサギは何事もなかったように渡渉を再開。

ちなみに歩行シーンをスローモーションでよく見ると、ハトのように首振り歩行しています。
長い足を交互に前へ踏み出す度にダイサギは長い首の筋肉を使って頭部を前後に動かしています。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2018/04/13

キジバトの首振り歩行と脱糞 【HD動画&ハイスピード動画:野鳥】



2017年9月中旬

路上を歩きながらキジバトStreptopelia orientalis)がときどき地面を啄んで採食しています。
ハトの仲間は両足を交互に出してトコトコ歩きます。
藤田祐樹『ハトはなぜ首を振って歩くのか(岩波科学ライブラリー)』というベストセラー本で以前読んだ通り、キジバトも確かに一歩ずつ首を前後に振りながら歩行していました。

後半はキジバトの首振り歩行運動を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@1:06〜)
スローモーションで見るとよく分かるように、一歩踏み出す度に頭を前後に動かしています。
側面からのアングルだと一目瞭然。
しかしキジバトはカワラバト(ドバト)よりも警戒心が強く、基本的にカメラからどんどん遠ざかってしまいます。
この首振り運動の謎を知りたい方は、ぜひ名著『ハトはなぜ首を振って歩くのか』の一読をおすすめします。


▼関連記事
ドバトの首振り歩行 【ハイスピード動画:野鳥】

さて、狙って撮った訳ではありませんが、スローモーションの映像にキジバトが排便する後ろ姿がたまたま写っていました。(@1:56)
立ち止まって地面をついばみ、再び歩き出す際にポトリと脱糞しています。
鳥の糞と言えば白っぽい尿酸混じりの軟便をビシャーっと排泄するのが普通ですが、キジバトの糞は黒っぽくて丸い塊でした。

キジバトの糞はいつもこのような固形便なのでしょうか?

実はこの後、同一個体のキジバトが道端でツユクサの実を大量に採食(丸呑み)しました。

▼関連記事
ツユクサの実を食べるキジバト(野鳥)
キジバトが路上に残した糞にツユクサなど植物の種子が含まれているか調べるべきでしたね。
しかし実際の脱糞は一瞬の出来事で、撮影中は見過ごしてしまいました(気づかず)。
植物の実をよく食べるキジバトは種子散布に関与するのか、それとも種子捕食者なのか、それが問題です。
本で得た知識では、種子食性のハト類は砂嚢が発達していて、植物の実を飲み込むと種子も一緒に砂嚢で砕いて消化してしまうらしい。



2018/04/05

コガタスズメバチ♀の帰巣と出巣【HD動画&ハイスピード動画】



枯木に営巣したコガタスズメバチの定点観察#8



前回の記事→#7


2016年7月下旬・午後17:39〜17:50

3日ぶりの定点観察で夕方に様子を見に来ました。
コガタスズメバチVespa analis insularis
巣に出入りするワーカー♀の羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@0:16〜1:43)
外役に出る個体は巣口から門衛を押しのけるようにして外に出ると、外皮上を少し下に歩いて降りてから飛び立ちます。
黒っぽい巣材を持って帰巣した個体は巣口のすぐ近くに着地して、門衛の誰何すいかを受けるとすぐ巣内に入りました。

映像の後半は通常のリアルタイムのHD動画に戻して、造巣行動を記録しました。
2匹のワーカー♀が別々の場所で外皮を増築しています。
巣材を使い切ると、巣内に戻りました。

外皮に白い巣材を使わなくなったようで、巣の全体の印象が変わりました。
白い縞模様(鱗模様)が薄れてきています。

つづく→#9



2018/04/01

飛べ!セグロシャチホコ♂(蛾)【ハイスピード動画】



2017年9月中旬


▼前回の記事
繭を紡ぐセグロシャチホコ♂(蛾)終齢幼虫

繭を紡いでから10日後、室内でセグロシャチホコ♂(Clostera anastomosis orientalis)の終齢幼虫が羽化しました。
繭から羽化する様子は残念ながら見逃してしまいました。
夜中に消灯したら暗闇の室内を蛾が飛ぶ羽音が聞こえました。

繭を容器に閉じ込めていなかったので、羽化した成虫が逃げ出したようです。
翌朝、天井に止まっていた個体を写真に撮ると、セグロシャチホコ♂でした。
腹端に毛束が見えるので♂と判明。

白い繭を見ると、左端(柳の枝の根元側)から羽化脱出したようです。

更に翌日になると、明るい窓にかかったレースカーテンに止まっていました。
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました(@1:19〜)。
指で軽く触れると、準備運動なしにいきなり飛び立つ時もあれば、翅を広げて小刻みに震わせてから飛ぶこともありました。
正の走光性があるようで、少し飛んでも明るい窓際のレースカーテンに舞い戻ってきます。

逆光の条件でハイスピード動画を撮るために蛍光灯で蛾を照らしたら、蛍光灯のチラツキ(明滅)が目障りになってしまいました。
強制的に何度も飛び立たせてしつこく撮影したら嫌気が差したのか、セグロシャチホコ♂は最後に長く飛んで天井に避難しました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


セグロシャチホコ♂(蛾)@天井
セグロシャチホコ♂(蛾)@天井
セグロシャチホコ♂(蛾)@天井
セグロシャチホコ♂(蛾)繭@羽化後
セグロシャチホコ♂(蛾)@白壁+採寸
セグロシャチホコ♂(蛾)@レースカーテン
セグロシャチホコ♂(蛾)@レースカーテン
セグロシャチホコ♂(蛾)@レースカーテン+準備運動中。この姿勢(翅形)を見るのは珍しい。

以下は死後の標本写真。
羽毛状に発達した触角と腹端の毛束を確認しました。

(生前は触角の形状をしっかり見分けられませんでした。)
脚は前脚だけ太く見えます。(毛が密生?)
口吻は退化しているのかな?

後翅の色は地味でした。

セグロシャチホコ♂(蛾)繭+羽化殻@方眼紙
セグロシャチホコ♂(蛾)繭+羽化殻@方眼紙
セグロシャチホコ♂標本:背面
セグロシャチホコ♂標本:側面
セグロシャチホコ♂標本:側面
セグロシャチホコ♂標本:腹面
セグロシャチホコ♂標本:腹端の毛束(腹面)
セグロシャチホコ♂標本:羽毛状の触角
セグロシャチホコ♂標本:右前翅
セグロシャチホコ♂標本:右後翅
セグロシャチホコ♂標本:退化した口吻?(腹面)

2018/03/23

水田を飛び去る白鷺 【ハイスピード動画:野鳥】



2017年8月下旬

稲穂が実る田んぼの隅に居た白鷺しらさぎにカメラを向けると、身を屈めてその反動で飛び立ちました。
飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
力強く羽ばたいて飛び去る姿を流し撮りできました。
低空飛翔で田んぼを横切り、遠くの畦道に着陸。

チュウサギArdea intermedia)またはダイサギArdea alba)だと思うのですが、遠過ぎて見分けられませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


水田に着陸後の白鷺

2018/03/17

セイタカアワダチソウの花で吸蜜ホバリングするホシホウジャク?(蛾)の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2016年10月中旬・午後16:52頃

夕暮れ時に、川沿いの農道の横に咲いたセイタカアワダチソウの群落でホウジャクの仲間が訪花していました。
高速で羽ばたき続けホバリング(停空飛翔)しながら口吻を長く伸ばして花蜜を吸っています。
同じ群落に繰り返し何度も戻ってきてくれました。

ホバリングする様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:38〜)
スーパースローで見ると、腹端付近から何か粒状の物体をポロポロと落下したのが興味を引きました。(@0:40〜0:41)
これは脱糞ではないでしょうか。
この個体が♀なのかどうか、私には性別を見分けられませんが、♀だとしたら産卵した可能性はどうでしょう?
ホウジャク類の♀が空中から卵を散布するという話は聞いたことがありません。
♀は幼虫の食草にきちんと(丁寧に)卵を産み付けるはずです。
体に付着していた花粉が落ちた可能性も考えにくいでしょう。
なぜなら、訪花中に口吻以外の体は花に全く触れていないからです。
アシナガバチは飛翔中に脚をだらりと垂らしていますが、それとは異なり、ホバリング中のホシホウジャク?は脚を体に引き寄せて空気抵抗を減らしていることが分かります。
吸蜜中も花に足を掛けていません。

動画だけではこの蛾を同定できないのでストロボ写真も何枚か撮ったものの、シャッタースピードの設定を誤り、残念ながら翅表の模様をしっかり撮れませんでした。

やがて、私の目線よりも背高く伸びたセイタカアワダチソウの花で吸蜜を始めたので、見上げるアングルでは翅表が撮れなくなってしまいました。
おそらくクロホウジャクMacroglossum saga)またはホシホウジャクMacroglossum pyrrhosticta)だと思うのですが、どうでしょうか?

成虫出現期を調べるとクロホウジャクは6〜9月、ホシホウジャクは7〜11月ということで、後者かもしれません。 (こんな推理は乱暴ですかね?)


2018/03/12

川面で争うオナガガモ♀♂の群れ(冬の野鳥) 【HD動画&ハイスピード動画】



2016年12月中旬

冬の川面で群れをなしてくるくると泳ぎ回るオナガガモ♀♂(Anas acuta)を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@0:19〜)
群れ内でときどき勃発する小競り合いが気になったので、長撮りした素材からそんなシーンばかりをまとめてみました。

オナガガモは性別を外見から容易に見分けられるので助かります。
(真っ黒な頭部と白い首のツートンカラーが目立つのが♂で、♀は全体が地味な茶色。)



・♂vs♂ 正面から嘴で軽くつつき合う。

・♀vs♂ 羽繕い中の♀が前方に居た♂の尾羽を突いた。(@0:19-0:55)
♂は驚いて向き直っても反撃しませんでした。
再び♀に軽くつつかれて、♂はたまらず離れて行きました。

・♂vs♂ 「邪魔だ! どけ!」とばかりに前方の♂を嘴でつついた。(@0:55-1:20)
突かれた方は驚いて向きを変えたが、反撃せず離れました。
やられた個体が直後に尾羽をフリフリ。

・♂vs♀ ♂が♀の正面から近づき、顎で♀を下に押し付けました。(@1:21-1:47)
その後の展開を見ても求愛行動には思えません。

♀はぼーっとしていて♂の接近に気づかなかったのでしょうか? 
慌てて逃げる♀を♂は追いかけず、共に尾羽を左右にフリフリしています。(転移行動?)



オナガガモの群れにはつつきの順位があるのでしょうか?
これだけ群れが大きくても互いに個体識別して順位を覚えていられるのか、私には疑問です。

餌を奪い合うための争いでないことは確かです。

こうした小競り合いの個人的な解釈としては、オナガガモ同士がパーソナルスペースを保ち互いに近づき過ぎないように突いて牽制し合っているのかと、なんとなく想像しました。

満員電車内の人々の殺伐とした行動を連想してしまいます。
一方では群れとして集まりたいという矛盾した衝動もある訳ですから、なかなか大変ですね。


小競り合いの後に尾羽を左右にフリフリする行動がよく見られました。

これは、降参のポーズもしくは和睦の挨拶なのかな?
対立の気まずい感情を和らげて気分転換する転移行動?
ただし、何かに驚いたのか急に少し飛んで着水した直後にも尾羽を左右にフリフリしています。(♂@1:51-2:19)
八木力『冬鳥の行動記』を読むと、「儀式的水浴び→転移性はばたき→尾を振る」という一連の流れがカモ類の転移行動らしい。

尾羽を左右に振るだけでは転移行動とは呼べないのですかね?



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


今回観察したオナガガモの小競り合いが繁殖期に特有の求愛行動や♀の取り合いと解釈すべきなのかどうか私には分からず、ずっと気になっていました。
『動物たちの気になる行動(2)恋愛・コミュニケーション篇』という動物行動学の研究を紹介する本を読んでいたら、福田道雄『人前で求愛ディスプレイをするオナガガモ』という総説が収録されていました。

読んでみると、とても勉強になりました。
私の興味を引いたポイントをかいつまんで引用します。
 日本に渡来するカモ類のつがい関係は、一回の繁殖期の間だけのものです。(中略)日本で過ごす間につぎの繁殖期のために、新しいつがいをつくります。(中略)カモたちは、いったんつがいになると、ほとんど別れることはなく、連れ添って行動し、繁殖地へ帰って行きます。(p26より引用)

囲い込み行動はオナガガモだけにみられるもので、他種のカモ類は行いません。オナガガモが多数飛来した水辺で、1〜2月ごろに注意深く観察していると、数羽以上の♂が一羽の♀を囲むようにして、追いかけながら泳いでいく光景がよくみられます。(中略)「囲い込み」が始まると、集まったメンバーはほとんど入れ替わることなく続けられます。(中略)そしてこの集団の♂たちが、♀に対して求愛のディスプレイを繰り返し行います。(p22より引用)

オナガガモの代表的な(求愛)ディスプレイには、つぎのものがあります。(あご上げ、げっぷ、水はね鳴き、そり縮み)ただし多くの場合、一つのディスプレイは単独で行われることはなく、組み合わせられたり、一連の行動として行われます。(それぞれの詳細は割愛)(p22-29より引用)

つがい形成とその後の行動についても、♂の「後頭さし向け」と♀の「けしかけ」ディスプレイについて解説されていました。(p30-31より)


さすがプロの研究者による専門的な解説はとても勉強になりました。
しかし、記述された一連のディスプレイはあまりにも細かな行動で、観察歴の浅い私にはしっかり見分けられそうにありません。
撮影時期が12月で、求愛するには少し早かったのかもしれません。
オナガガモを観察する上で目の付け所がこれで分かったので、今後の宿題です。




【追記】
渥美猛『オナガガモの奇妙なつがい形成』によると、
多くの渡り鳥は、繁殖地でつがいを形成します。(中略)同じ渡り鳥でもカモの仲間は、つがいを形成する場所と時期が違います。なんと、越冬地である日本で繁殖とは関係のない越冬期につがいを形成するのです。 (上越鳥の会 編『雪国上越の鳥を見つめて』p125より引用)


日本に渡ってきた頃は、♂の羽の色は♀にとてもよく似ています。 オナガガモは10月下旬から求愛を始め、12月下旬からつがいを形成します。♂は♀の気を引くために鮮やかな羽毛に換羽するのです。(中略)つがいを形成する時期以外は地味な迷彩になる (同書p126より引用)

鮮やかな羽毛に換羽した♂は、♀に気に入られようと、ポンプ、げっぷ、水はね鳴き、そり縮みといったさまざまな求愛行動をします。つがいになった♂と♀は、一定の距離を保って、寄り添うように行動します。(中略)つがい♂は、つがい♀に求愛したり、接近する他の♂に対して攻撃します。この行動を配偶者防衛行動と呼びます。 (同書p126より引用)



♂は♀を獲得すると採餌に専念できるのです。(中略)攻撃する頻度が一番多いのはつがい♂です。攻撃される相手はつがい♀に近づく独身♂やつがいにうっかり近づく独身♀でした。つがい♀はつがい♂に守られているため攻撃される頻度はごくわずかでした。(同書p127より引用) 
この報文には「オナガガモの求愛行動 水はね鳴き」および「オナガガモの求愛行動 そり縮み」を描いた♂のイラストも掲載されていて、素人にはとても参考になりそうです。


オナガガモ♀(右)♂(左)
オナガガモ♀♂(野鳥)群れ@川面

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