2018/12/23

雨上がりに池の落枝で佇むゴイサギ幼鳥と成鳥(野鳥)



2018年9月中旬・午前7:33〜7:40

雨が降った朝、ゴイサギNycticorax nycticorax)の昼塒を定点観察に来ました。
池の畔のいつもの落枝に、この日は幼鳥が1羽だけ休んでいました。
近くの岸辺の別な落枝に珍しく成鳥が佇んでいました。
雨に濡れても気にせず、ねぐらで休んでいます。
カルガモや錦鯉が池を泳ぎ回り目の前を通り過ぎても、ゴイサギは無関心でした。

日中に見かけるゴイサギの成鳥はいつも池畔の樹上に隠れていて、水際に居るのを見たのはこれが初めてです。
もしかすると、夜の採餌場からねぐらに戻って来て池の水を飲んだり水浴びした直後なのかもしれません。(雨の日は水浴しない?)
成鳥は警戒心が強く、対岸の私に気づくと落ち着きが無くなりました。
私がもう少し近づいてアングルを変えようとしたら、成鳥は飛んで近くの樹上の茂みに消えてしまいました。
(飛び立つシーンは撮り損ね)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



ゴイサギの群れが明け方?に塒に戻ってくる様子(集団就塒)を一度は観察しておかないといけませんね。

ゴイサギ成鳥(野鳥)@雨上がり:池畔:落枝
ゴイサギ幼鳥(野鳥)@雨上がり:池畔:落枝

2018/12/22

オミナエシの花蜜を吸うフタモンアシナガバチ♀とブチヒゲカメムシ



2018年9月下旬

民家の花壇に咲いたオミナエシの群落でフタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)のワーカー♀が訪花していました。
テーブル状の花序を歩き回りながら吸蜜しています。

奥の花序にブチヒゲカメムシDolycoris baccarum)も来ていたのですが、フタモンアシナガバチ♀はニアミスしても狩ろうとしませんでした。(@2:22)

他にもほっそりした別種のカメムシが訪花していたものの、背側から撮れず種類が見分けられませんでした。
カメムシはじっとしているだけで、動画に撮っても面白くありません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


フタモンアシナガバチ♀@オミナエシ訪花吸蜜
フタモンアシナガバチ♀@オミナエシ訪花吸蜜

ブチヒゲカメムシ@オミナエシ訪花吸汁

オミナエシ花
オミナエシ葉:ギザギザの葉が対生
オミナエシ葉:鳥の羽のようにギザギザしている

アキノノゲシは傷口から乳液を分泌する



2018年9月上旬
▼前回の記事
ホソバセダカモクメ(蛾)の幼虫がアキノノゲシの種子を食べる際のトレンチ行動
ホソバセダカモクメ(蛾)幼虫がアキノノゲシの実を食べる作法の謎

アキノノゲシはタンポポの仲間(Cichorieae族)なので、植物体を傷つけると直ちに粘り気のある乳液(ラテックス)を分泌します。
傷口から病原菌の侵入を防いだり、草食動物(昆虫)が嫌がる味の化学物質(毒?)を含んだりしていると考えられています。

実際にやってみましょう。
葉をちぎると切り口から白っぽい乳液が点々と滲み出してきます。
主脈の断面からの分泌が一番多いようです。

太い茎の断面をよく見ると、中心には白い髄の組織があります。
乳液が滲んでいるのは表皮の直下の組織でした。
ここに乳管があるようです。

『学研新世紀ビジュアル百科辞典』によると、

にゅうかん【乳管】
乳液を含む植物の分泌管。乳液を含む管状の細胞またはその集まり。latex vessel⇒乳液(にゅうえき)

にゅうえき【乳液】
植物体を傷つけたときに出てくる白色や黄褐色をした粘りけのある液。タンパク質・糖類・酵素・アルカロイド・ゴムなどが含まれており,乳管や乳細胞に保有されていることが多い。latex


ホソバセダカモクメ(蛾)幼虫による食害を真似して、爪の先で実を傷つけてみると、みるみるうちに白い乳液が傷口に滲み出してきます。
実の柄を切っても切り口から乳液が分泌されます。
黄土色の乳液の雫に指で触れると少し粘り気があり、独特の香ばしいような青臭いような匂いがします。
したがって、ホソバセダカモクメの幼虫がこれから食べる実がついた柄に念入りに噛み傷を付けていたのはやはり、乳管を断ち切って乳液の流入を防いでいたのでしょう。

花が咲き終わり実が付き始めた時期なので、今回はアキノノゲシの花を傷つける実験はできませんでした。


アキノノゲシ実:傷口@乳液分泌
アキノノゲシ実:傷口@乳液分泌
アキノノゲシ実:傷口@乳液分泌
アキノノゲシ茎:傷口@乳液分泌
アキノノゲシ葉:傷口@乳液分泌

ところで、アキノノゲシの群落の中にアブラムシのコロニーに寄生されている株が見つかります。
下の葉が白く汚れているのは、アブラムシが排泄した甘露のせいでしょう。
この赤いアブラムシは、おそらくタイワンヒゲナガアブラムシUroleucon formosanum)と思われます。
アブラムシがアキノノゲシの茎から吸汁してもなぜ乳液が滲み出てこないのか、不思議です。
タイワンヒゲナガアブラムシに対しては乳液の忌避効果が無いようです。
茎の師管液を吸汁しているアブラムシはどんな乳液対策をしているのでしょうね?
蛾の幼虫は噛む口器を持っているので摂食前にトレンチ行動が可能ですが、アブラムシの口器は刺すことしか出来ません。
吸汁しながら消化酵素で分解しているのか、それとも初めから乳管を避けて口吻を突き刺しているのでしょうか?


タイワンヒゲナガアブラムシ?コロニー@アキノノゲシ茎
タイワンヒゲナガアブラムシ?コロニー@アキノノゲシ茎


【追記】
この分野に関する英語の総説で全文PDFがインターネット上で無料公開されているものを読んでみました。
Agrawal, Anurag A., and Kotaro Konno. "Latex: a model for understanding mechanisms, ecology, and evolution of plant defense against herbivory." Annu. Rev. Ecol. Evol. Syst. 40 (2009): 311-331.

Most sap suckers (Hemiptera) similarly do notcontact latex because of their intercellular feeding, and thus have no obvious adaptations forfeeding on latex-bearing species. Asclepias syriaca is host to at least five hemipterans (three aphidsand two lygaeid bugs) (Agrawal 2005a, Smith et al. 2008; A.A. Agrawal, personal observations).Nonetheless, latex can occasionally entrap and kill hemipteran sap feeders, as was demonstratedfor aphids and whiteflies on lettuce (Dussourd 1995).


下線部によると、アブラムシは植物の細胞間に口吻を刺して吸汁するために乳管を傷つけないのだそうです。

ちなみに日本語で読める短い総説としては、竹田敏『昆虫機能利用研究』(2006)という本の全文PDFをダウンロードし、第1章第5節
『植物は乳液で昆虫から身を守る― 昆虫と植物との餌を介したせめぎ合い―』
を読んで勉強してみました。


ランダムに記事を読む