2018/11/12

キイロスズメバチ♀の体に粘りつくメマツヨイグサの花粉の企み



2018年8月中旬・午前6:18

用水路沿いの原っぱ(休耕地)に咲いたメマツヨイグサの群落でキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が朝早くから訪花していました。

初めは茎を蕾まで登ると、身繕いをして体に付いた黄色い花粉を落としてから飛び立ちました。
次はメマツヨイグサの花で吸蜜します。
花から飛び去る際に、粘り気のある花粉がキイロスズメバチ♀の体に付着していることがよくわかります。
メマツヨイグサの花粉が納豆のように糸を引いている様子を1/10倍速のスローモーションでリプレイ。
送粉者の体に花粉がちょっと触れただけでもまとわりつくようにマツヨイグサの仲間は進化して、次の花へ運んでもらい授粉のチャンスを高めているのです。
朝露の水滴もキイロスズメバチの体に付着していました。


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※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


キイロスズメバチ♀@メマツヨイグサ訪花吸蜜
キイロスズメバチ♀@メマツヨイグサ訪花吸蜜

ゴイサギ幼鳥の群れが昼塒のヨシ原で羽繕い、脱糞(野鳥)



2018年8月中旬・午前7:14〜7:21

溜池の周囲のヨシ原に隠れるようにゴイサギNycticorax nycticorax)の幼鳥が4羽休んでいました。
ここが昼塒なのでしょう。
じっとしていればゴイサギ幼鳥(別名:ホシゴイ)の迷彩柄は目立ちません。
互いに少し離れ、のんびり自分で羽繕いしています。

1羽が池にお尻を向けて足を屈め、粘り気のある白い糞を水面に排泄しました(@0:57)。
その後は葦原の茂みの中へ移動し、隠れました。

辺りに成鳥の姿は見当たりませんでした。
なぜか、この池でゴイサギの成鳥を見つけたことがないのです。(とても上手く隠れているのか、親子で完全に別行動しているのか、不明です。)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ゴイサギ幼鳥(野鳥)@池畔:葦原
ゴイサギ幼鳥(野鳥)@池畔:葦原
ゴイサギ幼鳥(野鳥)@池畔:葦原+羽繕い

2018/11/11

夜明け前に飛び回りコナラの樹液を舐めるシダクロスズメバチ♀【暗視映像】



2018年8月中旬・午前4:47〜4:52(日の出時刻は4:51)

定点観察している里山のコナラ樹液酒場を日の出前から見に行くと、クロスズメバチの一種のワーカー♀も来ていました。
樹液を吸汁するシーンを撮りたくてもすぐに飛び去ってしまいます。
入山前に吸血性ブヨ対策として体中に噴霧した虫除けスプレーの匂いが嫌いなのかもしれません。(蚊に刺されるのは慣れで我慢できても、ブヨに刺される痛さは耐えられないのです。)
私が少し動いただけですぐ逃げてしまうため、白色LEDを点灯できず撮影は赤外線の暗視モードのみです。
シダクロスズメバチが薄明の森を自由に飛び回ることが可能だと分かったのは一つ収穫です。
スズメバチの仲間で暗い夜も飛べるのはモンスズメバチだけだと思っていたからです。
こんなに早い時刻から巣外で活動を始める個体がいるとは意外でした。
私がしばらく粘ってじっと待つと、ようやく落ち着いて樹液を吸汁してくれました。
樹液を舐めながら腹部を激しく伸縮させているのは、激しい飛翔運動をした直後の腹式呼吸なのでしょう。

同定のため、動画撮影後にビニール袋を被せて捕獲しました。
採集に手こずって少し時間が開いてしまったので同一個体である保証はありません。

しかし、それ以降は樹液酒場にクロスズメバチの仲間が1匹も来なくなったので、おそらくこの個体でしょう。
標本を精査すると、シダクロスズメバチ♀(Vespula shidai)でした。
以下は標本の写真。

死骸の腹端から毒針が伸びていました。

シダクロスズメバチ♀標本:背面@方眼紙
シダクロスズメバチ♀標本:側面@方眼紙
シダクロスズメバチ♀標本:側面@方眼紙
シダクロスズメバチ♀標本:腹面@方眼紙
シダクロスズメバチ♀標本:単眼@方眼紙
シダクロスズメバチ♀標本:顔@方眼紙
シダクロスズメバチ♀標本:顔@方眼紙



【追記】
有賀文章『スズメバチの生活:生態に光をあてて』という本を読むと、筆者はクロスズメバチとシダクロスズメバチ、それぞれの巣の入り口(巣口)に出入りする蜂の数を一日中連続観察するという偉業(苦行)を成し遂げておられました。
シダクロスズメバチの或る巣を8月下旬の午前4時23分から午後18時45分まで5分間隔で調べた結果、暑い夏季には朝と夕方という涼しい時間帯にもっとも多くのワーカーが活動するそうです。あるていど日がのぼり、気温があがってくると、活動がぐっと少なくなる。(p58〜61) 
筆者は晩秋の11月下旬にも同様の終日観察をされています。最初に蜂が出巣したのは午前7時46分、そのときの気温は4.4℃、照度1649ルクスとのこと。晩秋になると朝夕は活動は鈍っても日中に気温が高くなると、巣の入り口は夏の朝夕をおもわせる賑わいを見せます。外が十分に明るくても外気温が低いと蜂は出巣しても慌ててすぐにUターンして巣に戻るらしい。(p66〜70)
この本を読むと、暑い夏にシダクロスズメバチのワーカー♀が未だ薄暗い日の出直前に巣を出て外役に従事するのはおそらく普通のことだと知りました。
蜂の活動性と照度(明るさ)や気温の関係を調べれば面白いかも知れません。


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