2018/07/13

川岸で採食するイソシギの鳴き声を声紋解析してみる(野鳥)



2018年5月上旬

夕方の川で他の野鳥を観察していると、ずっと高音の奇妙な鳴き声を発しながら川岸で活動する小さな鳥が気になりました。
てっきりカワセミがいるのかと思いきや、気になる鳥の正体はイソシギActitis hypoleucos)でした。
川岸の砂地を鳴きながら歩き回り、採食しています。
歩行中の尾羽の振り方に注目しました。
藤田祐樹『ハトはなぜ首を振って歩くのか(岩波科学ライブラリー)』によると、

・イソシギという鳥は、セキレイと同じように、頻繁に尾を振っている。もっとも、イソシギはよくよく見ると尾を尻ごと振っている。尻を上下させるから、その先にある尾も上下に動くようだ。他にもいくつかのシギの仲間が、尾または尻を振っている。
・先述のとおりイソシギは、尾を振るのではなく、尻を振っている。もっと正確に言うと、体幹を傾斜させて尾を上下させている。(p110より引用)


イソシギはときどき地面をついばみながら、ピュピュピュピィ、ピュピュピュピィ♪と高音で繰り返して鳴いています。
嘴の動きと鳴き声が一致しているので(リップシンクロ)、この個体の鳴き声で間違いありません。
イソシギの鳴き声を初めて聞くのですけど、これは私に対する警戒声なのでしょうか?
カワセミよりも鳴くテンポがずっと速いですね。



【追記】
『日本の野鳥:さえずり・地鳴き図鑑』でイソシギの鳴き声を調べると、
秋冬期にはチーとかツィーと鳴く。ヒナがいるとピーイ、ピーイと繰り返し鳴く。 (p138より引用)



イソシギの鳴き声を声紋解析してみる

オリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出します。
次にピピピピ、ピピピピ♪と繰り返し鳴いている部分を適当に切り出してからスペクトログラムを描いてみました。
川のせせらぎがノイズに入っているかと思ったら、意外にきれいな声紋が得られました。



最後は下流へ飛び立ちました。
私がもっと早く気づいていれば、じっくり撮れたのに…。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

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イソシギを見つけた!:羽繕いからの飛び立ち(野鳥)


イソシギ(野鳥)@川岸+採食
イソシギ(野鳥)@川岸+採食


2018/07/12

カキドオシの花で盗蜜するクロマルハナバチ創設女王【HD動画&ハイスピード動画】



2018年5月上旬

ニセアカシアを主体とする河畔林の林床に咲いたカキドオシの大群落でクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)が訪花していました。
この時期に見かける大型の♀個体はワーカーではなく創設女王だと思います。

クロマルハナバチ創設女王の訪花シーンをよく見ると、ミツバチ♀ヒゲナガハナバチ♂のようにカキドオシの花筒の入り口から潜り込んで正当訪花するのではなく、毎回必ず花筒の根本に外側から口器を突き刺して吸蜜していました。
これは穿孔盗蜜と呼ばれる採餌行動で、クマバチやクロマルハナバチのような舌の短い蜂の得意技です。
次々に花を訪れても雄しべの花粉に全く触れませんから、当然ながら後脚の花粉籠は空荷でした。

後半は、盗蜜行動と飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@3:44〜)
カキドオシの花に止まる際にうっかり正当訪花しそうになっても、慌てて穿孔盗蜜に切り替えた様子(@3:53)が興味深いです。
複数個体を撮影。

この辺りではクマバチよりも個体数が少ない印象で、日当たりの良い堤防ではクロマルハナバチ♀を見かけませんでした。
同所性に採餌しているとすれば競争相手になるはずですが、この二種のハナバチの微妙な棲み分けが興味深く思いました。
(短い観察時間だったので、たまたまそう見えただけかもしれません。)


クロマルハナバチ創設女王@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クロマルハナバチ創設女王@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クロマルハナバチ創設女王@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜

雪解けした畑でミミズを捕食するハシボソガラス(野鳥)



2018年3月下旬

雪国の根雪が溶け始めた広い農地(畑)でハシボソガラスCorvus corone)が地面をほじくって何かオレンジ色の実を美味そうに食べています。
冬の間に深い雪で押しつぶされていた植物(作物?)だと思うのですが、採食メニューは不明です。
カラスの上嘴に茶色の食べ残しが付着しています。


やがて、雪解け水で水浸しの農地を畝から畝へと歩いて渡り始めました。
遠くの地面で動いているミミズを目敏く見つけたようで、一目散に歩み寄ると長大なミミズを捕食しました。
のたうち回る獲物を足の爪で押さえつけながら嘴で引き千切り飲み込みます。
食後は水たまりで嘴をかるくゆすぎました。

画面の奥でもう一羽のハシボソガラスが餌を探し歩いています。
この2羽はつがいなのでしょう。
初めのカラスが少し歩くと二匹目のドジョウならぬ、2匹目のミミズを捕食しました。(@1:00)
カラスはミミズが好物なのかもしれません。

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川でミミズ?を捕食するハシボソガラス(野鳥)

雪解けした畑では土壌が水浸しになってミミズが溺れそうになり、地上に避難してきたところを捕食者に狙われるのでしょう。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


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