2018/05/22

駐車場のハクセキレイ♂(冬の野鳥)



2018年1月上旬

消雪パイプから散水している駐車場で、1羽のハクセキレイ♂(Motacilla alba lugens)を発見。
駐車場の水溜りを歩き回っていました。
水溜りで水浴するか水を飲むか…と期待したのですが、すぐにチチッ♪と鳴きながら飛んで逃げてしまいました。
結構近くで撮り始めたので、鳥に警戒されてしまったのでしょう。


消雪パイプとは?
南国住まいの人には馴染みがないと思いますが、雪国に特有の消雪設備です。
豪雪地帯では除雪作業が大変なので、スプリンクラーのように常時水をチョロチョロと出し続けて、降り積もる雪を溶かす旧式な仕組みです。
街中の道路などで消雪パイプ用に地下水を汲み上げている場合は、地盤沈下の原因になると問題になったりします。
地下水は冬でも水温が比較的高く保たれているので、融雪には好都合なのです。



垂直円網に付いたミゾソバの花を取り除くアカオニグモ♀a(蜘蛛)



2016年9月下旬

前の年に、一部の造網性クモが給餌した花を食べるという衝撃的な観察結果を得ました。

◆記事のまとめ
花を食べる造網性クモの謎:2015年

常識破りの食性で興味深いのですが残念ながら今のところ再現性に乏しいので、機会がある度に種類や条件を変えながら細々と実験を続けています。


湿地帯の近くでアカオニグモ♀(Araneus pinguis)の張った正常円網を見つけました。
近くに咲いていたミゾソバの花を摘んで網の甑付近に投げつけてみました。
主の♀は網の横に生えたイヌタデやセイタカアワダチソウの群落で、葉や花穂などを糸で綴った隠れ家に潜んでいました。
網から隠れ家まで信号糸が伸びていて、振動を感知できるようになっているのですが、花を網に投げつけてもクモは無反応でした。
ミゾソバの花を指でくすぐるように揺らしてやると、アカオニグモ♀がようやく隠れ家から出てきました。

クモは歩脚で花に触れて調べると、すぐに獲物ではなく異物だと判断したようです。
花には噛みつかずに、網から丹念に外し始めました。
ミゾソバの花が付着した粘着性の横糸を全て切ると、花を網から捨てました。
次に歩脚で周囲の糸を引き締めたり自分で網を揺すり、もう網に異物が付いていないかどうか、状態をチェックしました。

隠れ家に戻りかけ、枠糸を調べてから、なぜか再び甑に戻りました。
最後は隠れ家に戻ると、やれやれと言わんばかりに、食べかけの獲物に食いつきました。

という訳で、実験はまたもや失敗に終わりました。
網にかかった花を昆虫が暴れていると誤認して噛み付いたり糸でラッピングしてくれないことには、花を食べる行動が始まりません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


アカオニグモ♀a(蜘蛛)@ミゾソバ花給餌→垂直円網+異物除去
アカオニグモ♀a(蜘蛛)@住居:イヌタデ

2018/05/21

ダイサギが足踏み追い出し漁で川魚を3匹捕食(野鳥)



2017年11月下旬

街中を流れる川で1羽のダイサギArdea alba)が岸辺をこちら(上流)に向かってゆっくり歩いて来ます。
一歩ずつ歩きながら川底の泥を足でわざとガクガクと踏みしめていました。
これは、小魚など隠れている獲物を追い出そうとしているのです。
このような写真では記録できない行動こそ、動画の出番です。

▼関連記事(約10ヶ月前の撮影で計3羽の別個体)
足踏みで川魚を追い出し捕食するダイサギa(冬の野鳥)
川で足踏みしながら魚を探し回るダイサギc(冬の野鳥)
川で足踏みして追い出し漁をするダイサギe(冬の野鳥)

ダイサギが「足踏み追い出し漁」をしながら上流へ向かって川を遡上するのも、意味がありそうです。

もし逆に下流へ向かって歩いて行くと、足踏みして川底を掻き乱した結果、濁った水が行く先に流れて魚影が見えなくなってしまうでしょう。
しかし上述した昔の記録を読み返すと、ダイサギは必ずしも上流へ向かうばかりではありませんでした。
これは漁の可否(上手下手、成功効率)に影響するはずですから、経験の浅い若い個体は自分で学習しないといけないのかもしれません。

6分間ほど長撮りしている間に、小魚など獲物を3回も捕食していました。
なかなか高い成功率(効率の良い漁法)と言えるでしょう。


  1. 何か小さな獲物を捕食。(@2:36) 
  2. 川の中をゆっくり渡渉しながら急に向きを変えると、翼を広げてバランスをとりながら嘴を一閃し、見事に小魚を捕らえました!(@3:43)
  3. ゴミと一緒にまた小魚を捕らえました。(@5:36) 暴れる魚を咥えながら器用にゴミだけを捨て、獲物を丸呑み。
もちろん、獲物に逃げられ捕食に失敗することも何回かあります。

私は釣りをやらないので知りませんでしたが、お世辞にも清流とは呼べないこんな街中の川にも魚が結構居るのだなとダイサギに教えられました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
大田眞也『田んぼは野鳥の楽園だ』という本を読んでいたら、気になる記述がありました。
(コサギは)片方の足を前方に出して震わせ、ドジョウすくいのような格好で、魚やアメリカザリガニなどを追い出して捕食しています。ダイサギやチュウサギにはこのような習性はなく、ただじっと獲物が近づくのを待って捕食しています。(p81より引用)
著者は私なんかより遥かに熟練のバードウォッチャーですが、畏れながら下線部に対して私は複数の証拠映像を添えて異議を申し立てます。
大田氏のフィールドは九州なので、私が見ている東北地方のダイサギとは習性が異なるのでしょうか?(地域差)
ダイサギはオオダイサギとチュウダイサギという2亜種に分けられるそうなのですが、私には外見で亜種を見分けられません。亜種によって食習性が異なるのでしょうか?
それともダイサギが足踏み追い出し漁をするようになったのは、比較的最近のことなのかな?



【追記2】
孝森まさひで『フィールド版カモ類の観察』を読んでいたら、ダイサギの亜種(オオダイサギとチュウダイサギ)の見分け方が書いてありました。

冬、日本で過ごす亜種(オオダイサギ)は脚が肉色をしている。嘴は冬羽では両亜種とも黄色。(中略)この2亜種の場合は体の大きさ、脚の色が違う。 (p54より引用)

しかし、今回の動画では泥で汚れていて脚の色が分かりませんね。


【追記3】
松原始『鳥類学者の目のツケドコロ』に読むと、「コサギ独特の足で獲物を追い出す行動」について詳しい解説がありました。
 これはタモ網を使った捕獲とまったく同じ方法です。タモ網で魚を獲るとき、無闇に網を突っ込んで魚を掬い上げようとしても、なかなかうまくいきません。こういうときは、魚の潜んでいそうな場所の先にそっと網を差し入れ、足でガサガサと水底を踏んで、魚を網のほうに追い立てるのが得策です。魚が勝手に網に飛び込んできてくれます。これを「ガサ」などとも呼びます (電子書籍版より引用)

筆者はさらに次のような面白い仮説を提唱しています。
コサギだけが妙に目立つ黄色い足先を持っているのも、この行動と関係しているかもしれません。黒と黄色という取り合わせは警告色に使われるくらい、目立ちやすい色合いです。黄色い足先で、より魚を脅しやすくしているということも、あるのかもしれません。(同書より引用)
 しかし、ダイサギの足は黒いけどコサギと同じような足踏み追い出し漁をするぞ?と反論したくなります。
 松原氏のフィールドは京都周辺で、大田氏と同じく西日本です。
ダイサギはもう少し歩いて探すこともありますが、コサギに比べればあまり動きません。(同書より引用)
こうした記述は、どうも東北地方の雪国をフィールドとする私の観察結果と一致しなくて、読んでいても首をひねるばかりです。
そもそも私が見かける白鷺はダイサギばかりで、今のところ一度もコサギを見たことがないのです。
専門家や偉大な先人の書いた書物は参考になりますけど、どうも鳥の生態や行動には地域差がありそうなので、本の内容を鵜呑みに出来ません。
結局のところ、自分のフィールドのことは自力でコツコツ調べていくしかありません。
ダイサギ(野鳥)@川+足踏み追い出し漁
ダイサギ(野鳥)@川+足踏み追い出し漁
ダイサギ(野鳥)@川+足踏み追い出し漁

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