2018/04/03

ナスとリンゴの果実を食べ排便するノハラナメクジ?【40倍速映像】



2016年9月下旬

ヒダリマキマイマイと同じ容器(大き目の水槽)でナメクジを何匹か飼っています。

台所の流しで徘徊するナメクジを見つける度に採集して、飼育容器に投入していたのです。(野菜と一緒に外から持ち込まれたナメクジ?)
餌として野菜屑を適当に入れてやると、この日はナス(茄子)のヘタが気に入った様子です。
40倍速の早回し映像をご覧下さい。

ナスの黒紫色で固い果皮には全く口を付けていません。
輪切りにした断面の白くて柔らかいスポンジ状の果肉にえぐれたような食痕が残りました。
この嗜好はヒダリマキマイマイと同じでした。

▼関連記事
ナスの実を食べるヒダリマキマイマイ 【10倍速映像】

黒い大触角を途中で引っ込めたのは、撮影用の照明が眩しいからですかね?
ナスに頭をつっこんでいる体勢のため、触角が傷つかないように引っ込めているだけかもしれません。

移動する前に、体の前方右側からオレンジ色の糞をニョロニョロと少し排泄しました。(@1:39)
糞の色は前に食べたニンジンの色素(カロチン)から来ているのでしょう。
橙色の糞がナスのへたに残りました。
ヒトのうんちは、ヘモグロビンの分解産物の色の影響が強く、食べた物の色にあまり左右されないような色(茶色系)になりますが、ナメクジが排泄するうんちは食べたエサと同じ色をしています。(p34より引用)


後半ナメクジはナスのヘタから離れ、隣に置いてあったリンゴの皮を摂食しました。
体を左右に動かしながら、皮の裏に薄く残った白い果実の部分をデザートとして食べているようです。

宇高寛子、田中寛『ナメクジ:おもしろ生態とかしこい防ぎ方』によれば、

ナメクジはゴミ食い(動植物の遺体食い)であり、生きた植物はそれほど好きではない(p83より引用)
もっと腐りかけの生ごみが好みなのかもしれませんが、飼育下では衛生面からご希望に応えられず誠に申し訳ないです。

さて、このナメクジの和名、学名が分かりません。
背中に甲羅が見えるのでコウラナメクジ科だと思うのですが、チャコウラナメクジとは違い、体の左右に黒い線が全くありません。
体全体が茶色で、素人目には特徴がありません。
体長を採寸するのを忘れました。
動画撮影中にコインでも並べて置くべきでしたね。
ヨーロッパからの外来種ノハラナメクジDeroceras reticulatum)でしょうか?
ナメクジの見分け方(簡易版)」サイトを参考にしたら、ノハラナメクジが候補に残りました。

体長は這っている時で5cm程度と小型。全体的に灰色~茶色で目立った模様は無い。
大触覚(原文ママ。「大触角」の誤植)が灰色~黒色。外来種。コウラナメクジ科。
体色が違い自信がないので、もし間違っていたら、ご指摘願います。
この検索表は「簡易版」と断っているように、国内で見られるナメクジを網羅しているとはとても思えません。

それともチャコウラナメクジ類の一種(Ambigolimax sp.)とすべきでしょうか?

日本にはチャコウラナメクジのほか、外見的によく似た複数種が侵入し、定着している。これらは生殖器の形で区別できる。(『カタツムリハンドブック』p64より引用)


※ 接写パートのみ動画編集時に自動色調補正を施しています。




↑【おまけの動画】
オリジナルの10倍速映像をブログ限定で公開しておきます。



ミドリシジミ♀AB型の日光浴



2017年9月中旬

柳やハンノキなどが生えた湿地帯の遊歩道を歩いていると、アメリカセンダングサ?の葉の上で見慣れないチョウを見つけました。
翅をゆっくり開閉しながら日光浴していました。
一瞬コムラサキかと思いきや、尾状突起があるのでシジミチョウの仲間でしょう。
翅の縁がやや破損していますが、翅表に美しい青とオレンジ色の斑紋があります。

帰宅して図鑑で調べてみると、ミドリシジミ♀AB型(Neozephyrus japonicus japonicus)と判明。
ヒサマツミドリシジミは本州西南部にしか分布しないので除外しました。

(ミドリシジミの)雌の翅には遺伝的多型があることが知られ、表面全体がこげ茶色で斑がない[1]O型、橙色の小さな斑点がある[1]A型、紫色の帯(青色の斑[1])のあるB型、それらの両方がある[1]AB型である[注釈 1:]。^ ミドリシジミの雌の表翅の斑紋による識別のO、A、B、AB型は、人間の血液のABO式血液型とは遺伝形態が異なる。(wikipediaより引用)
この個体はAB型の♀になります。
素早く飛んで逃げるシーンをスロー再生にすると、翅裏の斑紋もなんとか確認することができました。

こんな時期に(しかも平地で)、まさかゼフィルスの仲間と出会えるとは意外でした!
栗田貞多男『ゼフィルスの森』という専門書(生態写真集としても見事)を紐解いてミドリシジミの出現期を調べると、

低地では6月中、下旬が盛期だが、山地や寒冷地では7月中旬〜8月上旬に入ってから見られる。(p141より引用)
それにしても9月中旬というのは、時期的に遅い目撃例になりそうです。
近くの河畔林にはミドリシジミ幼虫の食樹であるハンノキが生えているので、ここが生息地なのだと納得しました。



【追記】
浅間茂『カラー版 虫や鳥が見ている世界―紫外線写真が明かす生存戦略 』という中公新書にミドリシジミについての記述もありました。
ミドリシジミの翅も構造色である。(中略)日中は下の草原や低木に休んでいるか、翅を閉じている場合が多い。ときには日光浴のためか、翅を広げている場合がある。♂の表の青緑色の部分と、♀の前翅表の青色の斑紋の部分は、いずれも強く紫外線を反射する。 (p31-32より引用)



2018/04/02

モズ(野鳥)の早贄にされたコオロギ♂



2017年9月上旬

河原でニセアカシア(別名ハリエンジュ)の灌木の鋭い棘にコオロギ♂の死骸が突き刺してありました。
これは、モズLanius bucephalus)の早贄はやにえですね。
地上からの高さは148cm。
死骸はモズの食べ残しのようで破損が激しく、コオロギの種類は同定できませんでした。
翅がある成虫なのに産卵管が無いので♂ですね。
記念に小枝ごと採集して持ち帰りました。



実は私にとってモズの早贄の実物を見つけるのはこれが初めてで、ちょっと嬉しい発見でした。
モズ自体は身近に居る野鳥なのに速贄を一度も見たことがなかったので、ひょっとして当地のモズは早贄を立てる習性が無いのでは…?(獲物を食べ残さず完食するのかも…?)と少し疑っていたぐらいです。
探すときの目の付け所が分かったので、これからはもっとたくさん見えてくるかもしれません。

しかし、撮影後に周囲のニセアカシアの枝を見て回っても、モズの速贄はもう見つけられませんでした。
モズが獲物を狩る瞬間も未だ観察できていないのですが、早贄を立てる一連の行動をいつか動画撮影してみたいものです。

関連記事(4年後の撮影)▶ アブラゼミ♀を庭木の枝の刺に突き刺して捕食するモズ♂(野鳥)




【追記】
モズが速贄を立てる理由には諸説あるらしのですが、大田眞也『田んぼは野鳥の楽園だ』によると、
 モズを飼育しての観察によると、速贄を作る行動は孵化して1ヶ月目頃から見られ、季節には関係なく一年を通して行われ、特に満腹のときや獲物がまずそうなとき、食べにくいときに作る傾向があったそうです。(p181-182より引用)



【追記2】
長年謎だったモズが早贄を立てる理由が遂に解明されたようです。
大阪市立大学からのプレスリリース記事
モズの『はやにえ』の機能をついに解明!―はやにえを食べたモズの雄は、歌が上手になり雌にモテる―
フィールドでの地道な観察とエレガントな操作実験で証明しています。
原著論文はこちら。
Nishida, Yuusuke, and Masaoki Takagi. "Male bull-headed shrikes use food caches to improve their condition-dependent song performance and pairing success." Animal Behaviour 152 (2019): 29-37.

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