2017/01/04

脱皮前の眠で微動だにするイラガ(蛾)若齢幼虫【100倍速映像】


▼前回の記事
脚が退化したイラガ(蛾)幼虫の歩行のひみつ


イラガ(蛾)の飼育記録#2016-5


2016年9月中旬・午前00:39〜10:36

イラガMonema flavescens)の若齢幼虫が食事もせずにカキノキの葉表に静止しています。
脱皮前のみん状態は、肉眼で見る限り完全に静止して死んでいるようです。
しかし微速度撮影してみれば、ときどき微かに蠕動運動していることが分かります。
100倍速の早送り映像をご覧下さい。
体内では様々な変化が進行中なのでしょう。
大道芸人の彫刻芸(statue)も早回し映像にすると粗が見えてくるのと似てますね。

ワンダリング(営繭前の徘徊)中の別個体(終齢幼虫)と接触すると入眠中の個体は少しだけ身動きしました。(威嚇?)
移動したり回避したりする能力は無いようです。
ピンセットで棘状突起に触れても、身をよじるだけで逃避のために移動しませんでした。(映像無し)
全身から水分が失われた印象で、棘状突起がやや褐色に変わりました。

要するに、脱皮するまでひたすら愚直に長撮りしている訳です。
初めにセッティングすれば後はカメラに任せるだけなので、別にしんどい作業ではありません。
いよいよ脱皮が近づくにつれて、この自発的な蠕動運動の間隔が短くなります。

つづく→#6:イラガ(蛾)若齢幼虫の脱皮




2017/01/03

ショウリョウバッタ♀を捕まえた!



2016年9月中旬

住宅街の路地で褐色型のショウリョウバッタ♀(Acrida cinerea)を見つけました。
子供の頃はよく見かけて珍しくもなかったバッタですが、最近では久しぶりの嬉しい遭遇でした。
動画で撮りながら少し近づいても予想に反して飛んで逃げることはありませんでした。
靴の先で触れると跳躍してから羽ばたいて逃げました。(飛翔シーンは次回紹介します。)
しかし飛んだ先は民家のブロック塀でした。
歩いて少し登ったところを手掴みで捕獲。
口から醤油状の液体を吐き戻すかと期待したのですが、おとなしくしています。

この路地はいつ車が来るか分からないので、飛翔シーンを落ち着いて撮影できる場所までウキウキと持って行きました。


つづく→ショウリョウバッタ♀の跳躍と飛翔【ハイスピード動画】





脚が退化したイラガ(蛾)幼虫の歩行のひみつ



▼前回の記事
ミズナラの葉を蚕食するイラガ(蛾)幼虫【60倍速映像】


イラガ(蛾)の飼育記録#2016-4


2016年9月中旬〜下旬

イラガMonema flavescens)の幼虫は英語でslug caterpillarと呼ばれるらしく、確かに動き方がナメクジのようです。
まずは側面から接写してみます。
腹脚が退化していて、腹面全体の粘着力を使った蠕動により前進しています。
胸脚も小さく、痕跡程度しかありません。

次は透明プラスチックの飼育容器越しに腹面を接写してみました。
内臓器官が透けて見えます。
その中でも白い顆粒の連なりが目に付きます。
これは何でしょう?
解剖して調べた訳ではありませんが、終齢幼虫だとすれば、繭作りに備えて発達した絹糸腺あるいはシュウ酸カルシウムを貯めこんだマルピーギ管なのかな?
若齢の時期から発達段階を追って腹面の内臓を観察するのも面白いかもしれません。

やがて幼虫は徘徊運動を始めました。
腹面全体が波打ち、前進します。
カタツムリやナメクジとは異なり、這った後に粘液は付いていないようです。

【参考】
カタツムリの腹足の蠕動運動との比較(ヒダリマキマイマイの映像)

前進するヒダリマキマイマイ腹足の蠕動【早回し映像あり】


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。




名著『わたしの研究:イラガのマユの謎』p57によれば、

イラガの幼虫には、あるくための足がありません(とくに、腹の足は、ほとんどみえません。胸の足は、すこしあとがのこっています)。どうしてあるくかというと、ちょうどナメクジがはうように、からだをうしろからまえへ、波のようにうごかしてすすみます。



つづく→#5:脱皮前の眠で微動だにするイラガ(蛾)若齢幼虫【100倍速映像】



ランダムに記事を読む